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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-120599(P2021-120599A)
(43)【公開日】2021年8月19日
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20210726BHJP
   F24F 13/28 20060101ALI20210726BHJP
【FI】
   F24F7/06 101A
   F24F13/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-14023(P2020-14023)
(22)【出願日】2020年1月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】丸川 雄一
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BA01
3L058BH00
3L058BK05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フィルタを高速で回転することで油分を効率よく捕集でき、しかも稼働時に発生する騒音を抑制できるようにしたレンジフードを提供する。
【解決手段】フード内の空気の流れの流路に、前記空気が通過する孔42を有するフィルタ4を設け、そのフィルタ4を高速回転することで、前記空気に含まれる油分を前記フィルタ4で効率よく捕集し、前記流路における前記フィルタ4の下流側に、前記フィルタ4の回転中心側の孔42と対向する空気流れ止め部材6を設けることで、前記フィルタ4の回転中心側の孔42を通過する空気の通気抵抗を大きくして、孔42を通過する空気の最大速度を遅くして稼働時の騒音を抑制できるレンジフードとする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フードと、前記フード内に空気の流れを発生させるファンと、前記空気の流れの流路における前記ファンより上流側に回転可能に設けられ、前記空気が通過する孔を有するフィルタと、前記フィルタを回転するフィルタ用モータとを備え、
前記ファンが空気の流れを発生させるとともに、前記フィルタ用モータで前記フィルタを高速回転し、前記空気が前記フィルタの孔を通過させられることで、前記空気に含まれる油分を前記フィルタで捕集するようにしたレンジフードであって、
前記流路における前記フィルタの下流側に、前記フィルタの回転中心側の孔と対向する空気流れ止め部材が設けられ、前記空気流れ止め部材のフィルタ側面と前記フィルタの空気流れ止め部材側面との間に、前記フィルタの回転中心側の孔を通過した空気が流れる空気通路を有することを特徴とするレンジフード。
【請求項2】
請求項1に記載のレンジフードにおいて、
前記フィルタは、回転中心部が非通気部で、前記回転中心部の周囲が前記孔を有した通気部であり、
前記フィルタの回転中心側の孔は、前記通気部の内周から外周までの長さの30%以上で、かつ60%以内の範囲の孔であるレンジフード。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレンジフードにおいて、
前記フィルタは円形で、前記空気流れ止め部材は、前記フィルタの回転中心を中心とする円形であるレンジフード。
【請求項4】
請求項1、2、3いずれかに記載のレンジフードにおいて、
前記フィルタの空気流れ止め部材側面と、前記空気流れ止め部材のフィルタ側面は平行であるレンジフード。
【請求項5】
請求項1、2、3、4いずれかに記載のレンジフードにおいて、
前記空気流れ止め部材のフィルタ側面に、前記フィルタの回転中心を中心とするリング状の凸部を有しているレンジフード。
【請求項6】
請求項1、2、3、4、5いずれかに記載のレンジフードにおいて、
前記フィルタ用モータは、前記空気流れ止め部材に取り付けてあるレンジフード。
【請求項7】
請求項6に記載のレンジフードにおいて、
前記フィルタ用モータは、前記空気流れ止め部材のフィルタ反対側面に取り付けてあり、前記フィルタ用モータは、前記空気流れ止め部材よりも小径であるレンジフード。





【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理により発生した油煙等を捕集して排気するレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
調理により発生した油煙等を捕集して排気するレンジフードとしては、油煙に含まれる油分をフィルタで捕集するようにしたものが提案されている。
例えば、特許文献1に、ファンにより発生される空気の流れの流路におけるファンよりも上流側に、空気を通過させる孔を有したフィルタを回転可能に設け、このフィルタをモータで高速で回転することで、油煙に含まれる油分を効率よく捕集できるようにしたレンジフードが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5631860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィルタが高速で回転することで、レンジフードの稼働時に発生する騒音が、フィルタが回転しないものよりも大きくなり、使用者が不快に感じる要因の一つとなる。
騒音が大きくなるのは、次のようであると推察される。
回転するフィルタの周速は、回転中心側が遅く、外周側が速いので、油煙を含む空気がフィルタの孔を通過する際の通気抵抗は回転中心側が小さく、外周側が大きいから、油煙を含む空気は回転中心側の孔を速い速度で通過し、外周側の孔を遅い速度で通過する。このように、油煙を含む空気のフィルタの孔を通過する速度が、回転中心側の孔と外周側の孔とで異なり、油煙を含む空気の孔を通過する最大速度が速いために大きな騒音が発生すると考えられる。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するために為されたものであり、その目的は、フィルタを高速で回転することで油分を効率よく捕集でき、しかも稼働時に発生する騒音を抑制できるようにしたレンジフードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のレンジフードは、フードと、前記フード内に空気の流れを発生させるファンと、前記空気の流れの流路における前記ファンより上流側に回転可能に設けられ、前記空気が通過する孔を有するフィルタと、前記フィルタを回転するフィルタ用モータとを備え、前記ファンが空気の流れを発生させるとともに、前記フィルタ用モータで前記フィルタを高速回転し、前記空気が前記フィルタの孔を通過させられることで、前記空気に含まれる油分を前記フィルタで捕集するようにしたレンジフードであって、
前記流路における前記フィルタの下流側に、前記フィルタの回転中心側の孔と対向する空気流れ止め部材が設けられ、前記空気流れ止め部材のフィルタ側面と前記フィルタの空気流れ止め部材側面との間に、前記フィルタの回転中心側の孔を通過した空気が流れる空気通路を有することを特徴とするレンジフードである。
【0007】
本発明のレンジフードにおいては、前記フィルタは、回転中心部が非通気部で、前記回転中心部の周囲が前記孔を有した通気部であり、前記フィルタの回転中心側の孔は、前記通気部の内周から外周までの長さの30%以上で、かつ60%以内の範囲の孔であるレンジフードとすることができる。
【0008】
本発明のレンジフードにおいては、前記フィルタは円形で、前記空気流れ止め部材は、前記フィルタの回転中心を中心とする円形であるレンジフードとすることができる。
このレンジフードによれば、フィルタの回転中心側の孔における周方向に配置された複数の孔を通過する空気の通気抵抗を均等とすることができる。
【0009】
本発明のレンジフードにおいては、前記フィルタの空気流れ止め部材側面と、前記空気流れ止め部材のフィルタ側面は平行であるレンジフードとすることができる。
このレンジフードによれば、フィルタの回転中心側の孔における内外周方向に配置された複数の孔を通過した空気の空気通路を通過する際の通気抵抗を均等とすることができる。
【0010】
本発明のレンジフードにおいては、前記空気流れ止め部材のフィルタ側面に、前記フィルタの回転中心を中心とするリング状の凸部を有しているレンジフードとすることができる。
このレンジフードによれば、孔を通過する空気の最大速度がより遅くなるので、レンジフード稼働時に発生する騒音をより一層抑制できる。
【0011】
本発明のレンジフードにおいては、前記フィルタ用モータは、前記空気流れ止め部材に取り付けてあるレンジフードとすることができる。
このレンジフードによれば、空気流れ止め部材はフィルタ用モータのモータ取付台を兼用するので、モータ取付台は不要で、空気流れ止め部材を取り付けすればよく、レンジフードを構成する部材の数が少なくなりレンジフードのコストが抑えられるとともに、レンジフードの組み立て時の工数も抑えられ、価格を大きく上げずに、稼働時に発生する騒音を抑制したレンジフードとすることができる。
【0012】
本発明のレンジフードにおいては、前記フィルタ用モータは、前記空気流れ止め部材のフィルタ反対側面に取り付けてあり、前記フィルタ用モータは、前記空気流れ止め部材よりも小径であるレンジフードとすることができる。
このレンジフードによれば、フィルタ用モータがフィルタの孔を通過した空気の流れに影響しない。
【発明の効果】
【0013】
本発明のレンジフードによれば、フィルタを高速で回転することで油分を効率よく捕集でき、しかも、フィルタの孔を通過する空気の最大速度が遅く、レンジフードの稼働時に発生する騒音を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のレンジフードの実施の形態を示す正面図である。
図2図1に示すレンジフードの底面図である。
図3図1に示すレンジフードのA−A拡大断面図である。
図4図2に示すレンジフードの整流板を取り外した状態のレンジフードの底面図である。
図5図4に示すレンジフードの油受けとフィルタを取り外した状態のレンジフードの底面図である。
図6図3に示すレンジフードのB部拡大図である。
図7】油受けとフィルタと内面パネルと空気流れ止め部材とフィルタ用モータを取り外した状態の斜視図である。
図8】フィルタに対する空気流れ止め部材の大きさを示す底面図である。
図9】空気流れ止め部材の正面図である。
図10】空気流れ止め部材の底面図である。
図11図9に示す空気流れ止め部材の右側面図である。
図12図10に示す空気流れ止め部材のC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のレンジフードの全体構成を図1図2図3図4図5に基づき説明する。図1は、本発明のレンジフードの実施の形態を示す正面図、図2は、図1に示すレンジフードの底面図、図3は、図1に示すレンジフードのA−A拡大断面図、図4図2に示すレンジフードの整流板を取り外した状態のレンジフードの底面図、図5は、図4に示すレンジフードの油受けとフィルタを取り外した状態のレンジフードの底面図である。
図1図2に示すように、レンジフード1のフード2は、下部フード2aと上部フード2bを有する。
下部フード2aは、上面板20と、周面板21と、下面フランジ22と、下面フランジ22に取り付けられた上向きに凹んだ形状の内面パネル23からなり、下面の中央部分が上向きに凹んだ扁平な箱形状である。
内面パネル23の凹んだ部分23aに整流板24が取り付けてある。
整流板24は内面パネル23の凹んだ部分23aより小さく、整流板24の外周面24aと内面パネル23の凹んだ部分23aの開口周面23a−1との間に隙間aがある。
【0016】
図3に示すように、内面パネル23の凹んだ部分23aの底面23a−2と整流板24との間に空間bがあり、この空間bと前述の隙間aとで空気が流れる通路25を形成している。上面板20は開口部26を有し、内面パネル23は空気流通口27を有している。
上部フード2bは、下面が開口した箱形状で、下部フード2aの上面板20における開口部26の周囲に取り付けてある。上部フード2bの内部は、上面板20の上開口部26と内面パネル23の空気流通口27とを通して内面パネル23と整流板24との間の通路25に連通し、通路25と空気流通口27と開口部26と上部フード2b内部とでフード2内に空気が流れる流路を構成している。
【0017】
図3に示すように、レンジフード1は、フード2内に空気の流れを発生させるファン3と、その空気の流れの流路に回転可能に設けたフィルタ4と、フィルタ4を回転するフィルタ用モータ5と、フィルタ用モータ5を取り付けるモータ取付台を兼用する空気流れ止め部材6と、油受け7などを備えている。
ファン3は上部フード2b内に設けてあり、ファン用モータ30で回転される。ファン3が回転することで、矢印cで示すように空気が通路25に吸い込みされ、吸い込みされた空気はフィルタ4の孔(後に説明する)を通過して空気流通口27、開口部26を通して上部フード2b内に流れる。上部フード2b内に流れた空気はファン3により屋外などに排気される。
【0018】
実施の形態のファン3はシロッコファンで、ファンケース31内にファンを回転可能に設けられ、回転することでファンケース31の吸い込み口32から上部フード2b内の空気をファンケース31内に吸引し、ファンケース31の排出口33から図示しない配管を通して屋外などに排気する。
実施の形態における空気は、調理により発生した油煙などを含有した空気であり、その空気には油分が含まれている。
ファン3はプロペラファンとしてもよい。すなわち、ファン3はフード2内に空気の流れを発生させるものであればよい。
フード2は下部フード2aと上部フード2bを有したものに限ることはない。例えば、下部フード2aのみでフード2とし、その上面板20にファンケース31を取り付けるようにすることができる。
【0019】
フィルタ4、フィルタ用モータ5、空気流れ止め部材6、油受け7は、フード2内に発生し空気の流れの流路に、上流側から下流側に向けて油受け7、フィルタ4、空気流れ止め部材6、フィルタ用モータ5の順番で空気流れ方向に順次位置をずらして設けてある。
油受け7は、フィルタ4で捕集した油分を溜めるものである。油受け7は、空気の流れの流路の最も上流側に位置し、図4に示すように整流板24を取り外しすると油受け7の全体が目視できる。実施の形態では油受け7は、内面パネル23の凹んだ部分23aの底面23a−2に取り付けてある。
フィルタ4は、フード2内の流路を流れる空気が通過する孔42を有する。フィルタ4は、フード2内に発生した空気の流れの流路における空気流れ止め部材6より上流側で、油受け7より下流側に回転可能に設けてあり、整流板24を取り外しすることでフィルタ4を目視できる。実施の形態ではフィルタ4は、内面パネル23の凹んだ部分23aの底面23a−2の下方に位置するように設けてある。フィルタ4の詳細は後述する。
【0020】
空気流れ止め部材6は、フィルタ4の孔42を通過した空気の流れを止める役目を果たすものである。空気流れ止め部材6は、フード2内に発生した空気の流れの流路におけるフィルタ4より下流側に設けてあり、図3に示すように、空気流れ止め部材6は、内面パネル23の上面に取り付けてある。
図5に示すように、油受け7、フィルタ4を取り外しすると空気流れ止め部材6が内面パネル23の空気流通口27から目視できる。
図3に示すように、フィルタ用モータ5は、空気流れ止め部材6に取り付けてあり、フィルタ用モータ5の回転軸5aにフィルタ4が連結されている。
【0021】
実施形態のレンジフードは次のように空気に含む油分を捕集する。
ファン用モータ30でファン3を回転するとともに、フィルタ用モータ5でフィルタ4を高速で回転することで、調理により発生した油煙などを含有した空気は、フード2内に発生した空気の流れの流路を流れて屋外などに排気されるが、回転するフィルタ4の孔42を通過することで、その空気に含まれた油分がフィルタ4に効率よく捕集される。フィルタ4に捕集された油分は、フィルタ4の回転により外周側に飛散し、油受け7に溜まる。
フィルタ4の孔42の大きさと回転数は次のように設定することで、圧力損失が小さい状態で高い油分捕集効率を有するレンジフードを提供できる。
【0022】
第1の設定は、フィルタ4の孔の円周方向の開口寸法(径)は0.75mm以下であり、かつそのフィルタ4の回転数は230rpm以上である。
第2の設定は、フィルタ4の孔の円周方向の開口寸法(径)は1.00mm以下であり、かつそのフィルタ4の回転数は310rpm以上である。
第3の設定は、フィルタ4の孔の円周方向の開口寸法(径)は1.50mm以下であり、かつそのフィルタ4の回転数は460rpm以上である。
第4の設定は、フィルタ4の孔の円周方向の開口寸法(径)は2.00mm以下であり、かつそのフィルタ4の回転数は620rpm以上である。
第5の設定は、フィルタ4の孔の円周方向の開口寸法(径)は5.00mm以下であり、かつそのフィルタ4の回転数は1500rpm以上である。
【0023】
次に、図6から図8に基づいて各部材の詳細を説明する。図6は、図3に示すレンジフードのB部拡大図、図7は、油受けとフィルタと内面パネルと空気流れ止め部材とフィルタ用モータを取り外した状態の斜視図、図8は、フィルタに対する空気流れ止め部材の大きさを示す底面図である。
図6図7に示すように、油受け7は、内面パネル23の空気流通口27とほぼ同じ形状で、かつほぼ同じ大きさの開口部70を有し、開口部70とほぼ同じ形状の底面板71と、底面板71の外周と連続した環状の外周側上向き板72と、底面板71の開口部70の周辺と連続した環状の内周側上向き板73とで、断面がコ字形状の環状である。油受け7は内面パネル23に取り付けてある。
【0024】
図8に示すように、フィルタ4は円形で、回転中心部が空気が通過しない非通気部40で、非通気部40の周囲が通気部41で、通気部41に孔42を有している。孔42は、フィルタ4の周方向及び内外周方向(径方向)に間隔をあけて多数形成されている。フィルタ4の非通気部40に、フィルタ4を回転軸5aに連結するための被連結部材43が取り付けてある。
フィルタ4の回転中心部とは、フィルタ4の回転中心4aの周囲の部分である。非通気部40の周囲とは、非通気部40の外周40aとフィルタ4の外周4bとの間の部分である。
孔42は、フィルタ4の回転中心4aから外周4bに向けて円弧状に湾曲したスリット形状で、その孔42の回転方向の幅が先に述べた円周方向の寸法である。孔42の形状はスリット形状に限ることはなく、円形、楕円形、多角形、矩形などの形状とすることができる。
【0025】
図7に示すように、空気流れ止め部材6は、空気流れ止め部60と取付部61を有している。空気流れ止め部60は内面パネル23の空気流通口27より小さな円形で、空気流れ止め部60の外周に一対の取付部61が一体に設けてある。
空気流れ止め部材6は、内面パネル23に次のように取り付けてある。図5に示すように、一対の取付部61を内面パネル23の上面における空気流通口27の径方向に向かい合う箇所に固定手段で固定され、空気流れ止め部60が空気流通口27のほぼ中央に位置するように取り付けてある。ほぼ中央とは、中央でもよいし、中央からずれてもよいことである。
【0026】
図6に示すように、フィルタ用モータ5は、空気流れ止め部60のフィルタ4と対向したフィルタ側面60aと反対側のフィルタ反対側面60bに取り付けてある。フィルタ用モータ5は空気流れ止め部60より小径である。
したがって、フィルタ用モータ5がフィルタ4の孔42を通過した空気の流れに影響しない。
フィルタ用モータ5の回転軸5aは、空気流れ止め部60のフィルタ側面60aからフィルタ4側に突出し、フィルタ4の被連結部材43が連結され、回転軸5aにフィルタ4が連結されている。空気流れ止め部60のフィルタ側面60aは空気流れ止め部材6のフィルタ側面で、空気流れ止め部60のフィルタ反対側面60bは空気流れ止め部材6のフィルタ反対側面である。
したがって、フィルタ用モータ5の回転軸5aが高速回転することで、フィルタ4が高速回転する。フィルタ4の回転中心4aは回転軸5aの中心である。
【0027】
図6に示すように、フィルタ4は、油受け7の底面板71より上で、かつ外周4bは油受け7の開口部70より外周側上向き板72側に位置している。
したがって、フィルタ4が高速で回転することで、捕集した油分を遠心力で油受け7に向けて飛散し、油分を油受け7で捕集できる。
【0028】
図6に示すように、フィルタ4の空気流れ止め部材側面4cと空気流れ止め部60のフィルタ側面60aは、間隔を空けて対向し、空気流れ止め部60はフィルタ4の回転中心側の孔42と対向している。空気流れ止め部60のフィルタ側面60aは、フィルタ4の空気流れ止め部材側面4cと平行な平坦面であるが、これに限ることはなく、フィルタ4の空気流れ止め部材側面4cと平行でない平坦面、平坦面と曲面を有する面、曲面のみ等であっても良い。すなわち、空気流れ止め部60は、フィルタ4から見てフィルタ4の回転中心側の孔42と被る状態で設けてある。
図8に示すように、空気流れ止め部60の大きさは、フィルタ4の回転中心側の孔42と対向する大きさで、フィルタ4の空気流れ止め部材側面4cにおける回転中心側の孔42部分と空気流れ止め部60のフィルタ側面60aとの間に空気通路8を形成している。
図8に示すように、フィルタ4の回転中心側の孔42とは、通気部41の内周41a(非通気部40の外周40a)から通気部41の外周41bまでの長さSの30%以上で、かつ60%以内の範囲の孔42である。つまり、長さSの30%以下の範囲の孔42とすると、フィルタ4の回転中心側の孔42を通過する空気の速度をあまり遅くできず、長さSの60%以上の範囲の孔42とすると、通気抵抗が大きくなりすぎて、風量が低下する。
【0029】
フィルタ4の回転中心側の孔42を通過した空気は、図6に矢印dで示すように空気通路8を流れてファン3に吸引されるので、空気通路8を流れる際の通気抵抗が回転中心側の孔42を通過する空気の通気抵抗として作用し、回転中心側の孔42を通過する空気の通気抵抗が大きくなる。つまり、空気流れ止め部60は、回転中心側の孔42を通過する空気の通気抵抗を大きくする役目をする。
フィルタ4の外周側の孔42(回転中心側の孔42よりも外周寄りの孔42)を通過した空気は、ファン3に直接吸引されるので、空気流れ止め部60により通気抵抗が大きくなることはない。
したがって、フィルタ4の回転中心側の孔42を通過する空気の速度と、外周側の孔42を通過する空気の速度が同じに近くなり、孔42を通過する空気の最大速度が遅くなり、レンジフード稼働時に発生する騒音を抑制できる。
【0030】
図6図7に示すように、フィルタ4の外周4bは、回転中心4aを中心とする円形で、フィルタ4は円形である。
空気流れ止め部60の外周60cは、フィルタ用モータ5の回転軸5aの中心を中心とする円形で、空気流れ止め部60はフィルタ4の回転中心4aを中心とする円形である。
したがって、フィルタ4の回転中心側の孔42における周方向に配置された複数の孔42を通過する空気の通気抵抗を均等とすることができる。
また、フィルタ4の空気流れ止め部材側面4cと空気流れ止め部60のフィルタ側面60aは平行である。
したがって、フィルタ4の回転中心側の孔42における内外周方向に配置された複数の孔42を通過した空気の空気通路8を通過する際の通気抵抗を均等とすることができる。
【0031】
図6に示すように、空気流れ止め部60のフィルタ側面60aに、フィルタ4の空気流れ止め部材側面4cに向かう凸部62を有している。凸部62はフィルタ4の回転中心4aを中心とするリング状である。
空気通路8の隙間(フィルタ4の空気流れ部材側面4cと空気流れ止め部60のフィルタ側面60aとの間隔)が、凸部62により狭くなり、凸部62とフィルタ4の空気流れ止め部材側面4cとの間を流れる空気の通気抵抗が、空気流れ止め部60のフィルタ側面60aとフィルタ4の空気流れ止め部材側面4cとの間を流れる空気の通気抵抗より大きくなるので、凸部62よりもフィルタ4の回転中心寄りの孔42を通過する空気の通気抵抗が、凸部62よりも外周側の孔42を通過する空気の通気抵抗より大きい。
【0032】
凸部62よりもフィルタ4の回転中心寄りの孔42を通過する空気の速度と、凸部62よりも外周側の孔42を通過する空気の速度が同じに近くなる。つまり、フィルタ4の凸部62よりもフィルタ4の回転中心寄りの孔42部分の周速は、フィルタ4の凸部62よりも外周側の孔42部分の周速より遅く、凸部62よりもフィルタ4の回転中心寄りの孔42を通過する空気の速度は、凸部62よりも外周側の孔42を通過する空気の速度より速いが凸部62を設けたことにより、両方の速度が同じに近くなる。
したがって、フィルタ4の回転中心側の孔42を通過する空気の速度と、外周側の孔42を通過する空気の速度がより同じに近くなり、孔42を通過する空気の最大速度がより遅くなるので、レンジフード稼働時に発生する騒音をより一層抑制できる。
【0033】
空気流れ止め部材6はフィルタ用モータ5のモータ取付台を兼用するので、モータ取付台は不要で、空気流れ止め部材6を取り付けすればよく、レンジフードを構成する部材の数が少なくなりレンジフードのコストが抑えられるとともに、レンジフードの組み立て時の工数も抑えられる。
したがって、価格を大きく上げずに、稼働時に発生する騒音を抑制したレンジフードを提供することができる。
【0034】
図9から図12に基づいて空気流れ止め部材6を具体的に説明する。図9は、空気流れ止め部材の正面図、図10は、空気流れ止め部材の底面図、図11は、図9に示す空気流れ止め部材の右側面図、図12は、図10に示す空気流れ止め部材のC−C断面図である。
空気流れ止め部材6は、径方向に対向した2つの円弧状側面を有した略円形の底面板63と、底面板63の円弧状側面以外の径方向に対向した2つの部分と一体に連続した一対の矩形状の張り出し板64と、底面板63の円弧状側面と一対の張り出し板64の側面と連続して上方に向かう一対の立上り片65を有している。底面板63と立上り片65の円弧状部65aとで空気流れ止め部60を形成し、底面板63の下面がフィルタ側面60aで、上面がフィルタ反対側面60bである。張り出し板64と立上り片65の直線部65bとで取付部61を形成している。
【0035】
底面板63の中央部に円形の開口部66が形成され、底面板63の開口部66よりも外周寄りを下面側に向けてリング状に突き出して凸部62としてある。
底面板63の開口部66と凸部62と間に取付穴67が形成されている。図6に示すように、フィルタ用モータ5を底面板63の上面に載置し、固定ねじ68を取付孔67を通してフィルタ用モータ5にねじ込んで、フィルタ用モータ5を底面板63に取り付ける。回転軸5aは底面板63の開口部66を貫通して底面板63の下面より突出する。
張り出し板64の端部には下方に向けてL字形状に折れ曲がった取付片69が一体に設けられ、この取付片69を内面パネル23に固定することで、空気流れ止め部材6を内面パネル23に取り付ける。
【0036】
底面板63と立上り片65の円弧状部65aが連続するコーナー部6a及び張り出し板64と立上り片65の直線部65bが連続するコーナー部6bは、上下方向に向けて円弧状に湾曲している。
したがって、フィルタ4の孔42を通過した空気は湾曲したコーナー部6a、6bに沿ってスムーズに流れ、空気流れ止め部材6がファン3により吸引される空気の流れを乱すことがない。
取付部61は、幅が広い張り出し板64と立上り片65の直線部65bとで構成されているから剛性が強く、空気流れ止め部材6を強固に内面パネル23に取り付けできので、フィルタ用モータ5をしっかりと支持することができる。
張り出し板64には大きな開口部61aが形成されているから、フィルタ4の孔42を通過した空気は開口部61aを流れ、ファン3により吸引される空気の流れを取付部61が阻害することが抑制される。
【0037】
図示は省略するが、空気流れ止め部材6とは別にモータ取付台を内面パネル23に取り付け、モータ取付台にフィルタ用モータ5を取り付けるようにしてもよい。
この場合には、空気流れ止め部材6の取り付け強度を大きくする必要がないので、取付部61の強度を大きくする必要がなく、幅が狭い板や線材などを取付部61とすることができるとともに、取付部61を設けずに空気流れ止め部60のみで空気流れ止め部材6とし、空気流れ取付け部材6をモータ取付台などに取り付けることもできる。
【符号の説明】
【0038】
1…レンジフード、2…フード、3…ファン、4…フィルタ、4a…回転中心、4c…空気流れ止め部材側面、5…フィルタ用モータ、5a…回転軸、6…空気流れ止め部材、7…油受け、8…空気通路、40…非通気部、41…通気部、42…孔、60…空気流れ止め部、60a…フィルタ側面、60b…フィルタ反対側面、61…取付部、62…凸部。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12