特開2021-121260(P2021-121260A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2021121260-スキー靴 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-121260(P2021-121260A)
(43)【公開日】2021年8月26日
(54)【発明の名称】スキー靴
(51)【国際特許分類】
   A43B 5/04 20060101AFI20210730BHJP
【FI】
   A43B5/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2020-14800(P2020-14800)
(22)【出願日】2020年1月31日
(71)【出願人】
【識別番号】719005079
【氏名又は名称】阿部 英樹
(72)【発明者】
【氏名】阿部 英樹
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050BA07
4F050HA53
4F050JA13
(57)【要約】
【課題】スキー靴で歩行する際は靴が重く足の動きが制限され非常に歩きにくい。また、靴底部分がプラスチック材であるため路面、建物床面で滑りやすく転倒の危険が非常に大きい。更に雪面では靴底に雪が付着し、スキー板に取り付ける際は付着した雪を取り除く手間が必要である。
【解決手段】スキー靴のインナーブーツ部分をアウターシェル部分から簡単に着脱できるようにし、インナーブーツで歩行できるようにゴム材の靴底を取り付けて滑りにくくし、足の関節可動域をある程度保つようにする。また、ゴム材は雪が付着しないので雪上でも楽にスキー板を装着できる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウターシェル1の足部分(ロアシェル)はつま先から踵まで一体型となっており、足底土踏まず内側・外側から包み込むように足甲上部は解放しており重なり合ってバックル3にて固定され、下腿部分(アッパーシェル)は前脛から後方へ包み込むように回っているが、アキレス腱からふくらはぎに向かって縦方向に切れ込んで開放しており、切れ込み下端に可動式のタン2aを取り付け下腿外側のバックル3にて固定し、くるぶし部分で足部分(ロアシェル)と下腿部分(アッパーシェル)を取り付け金具で繋ぎ合わせたスキー靴。
【請求項2】
インナーブーツ4の底にゴム製の靴底6を取り付けてそのゴム底に溝7bを入れ、アウターシェル1底は開放しており格子状の骨組み(フレーム)7aを呈し、ゴム底の溝7bのパターンとそのフレーム7aの型が噛み合ってスキー靴内を固定し、アウターシェル1装着時であってもインナーブーツ4のゴム底6が露出することを特徴とした請求項1記載のスキー靴。
【請求項3】
アウターシェル1底で形成するフレーム7aの頂点は山型となっており、また、インナーブーツ4底に取り付けたゴム底溝7bの頂点は谷型となってアウターシェル1と噛み合い、更に着脱の際に引っかかりを少なくした請求項1又は請求項2記載のスキー靴。
【請求項4】
アウターシェル1底のフレーム7aは六角形を組み合わせたハニカム構造を呈し、細いフレームの脆弱部分を補う請求項1乃至請求項3記載のスキー靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
スキー靴のインナーブーツ部分をアウターシェル部分から簡単に着脱できる構造に関する。
また、ゴム製の靴底をとり着ける事によって滑りにくく、靴底に雪が付着しにくい構造に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでのスキー靴は硬いアウターシェルに覆われ、重くて硬く足の動きが制限されていたので非常に歩きにくかった。そのため歩きやすくするためのスキー靴に取り付ける器具や、靴の底に付着した雪を取り除く器具が考案され、またスキー靴自体に歩行しやすくするための足首の前傾を解除するウォークモードといった機能を搭載したスキー靴が市販されているが重さに関しては解消されておらず、またそれぞれが単一の機能であり、それらの機能を併せ持つものは無い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−184404
【特許文献2】特開平05−199904
【特許文献3】特開平06−007201
【特許文献4】特開平08−242901
【特許文献5】特開平06−062903
【特許文献6】特開平09−503946
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在のスキー靴は全体をポリウレタン製の硬いアウターシェル部分に覆われており、歩行時は足の可動域が制限され非常に歩きにくく重いため疲労もしやすかった。
【0005】
スキー靴底も全体が一体型のポリウレタン製であるため路面や床面で滑りやすく転倒して怪我をすることも少なくない。また、雪面では靴底に雪が付着し、その雪を取り除かなければスキー板を装着することができないので非常に手間がかかって面倒であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
スキー靴の硬く重いアウターシェル部分からインナーブーツ部分を履いたまま簡単に着脱できるようにする。また、インナーブーツに滑りにくいゴム底を取り付けて路面や建物内の歩行を容易にする。
【発明の効果】
【0007】
インナーブーツをスキー靴から簡単に着脱できるようにし、ゴム底を取り付けることによって歩行が可能となり、軽く足の動きもある程度確保されるので食事などで建物内を歩く際はガチャガチャと大きな音がせずに非常に歩きやすく疲れ難い。
使用後の濡れたスキー靴内もインナーブーツだけであれば乾きやすい。
また、インナーブーツの底に取り付けたゴム製の靴底は溝をつけてブロック状にすることによって雪面・路面・床面で滑りにくく、靴底への雪の付着が少なくなるのでスキー板を装着しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】アウターシェル部分の外側面図である。
図2】インナーブーツ部分の外側面図である。
図3】アウターシェルの足底部分の図である。
図4】インナーブーツの足底部分の図である。
図5】バックルを固定しスキー板を装着したスキー靴の外側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
スキー靴の形態は従来のリアエントリー方式を基本とし(図1)、ふくらはぎ部分に当たるタン2aを大きく後方へ開いてアウターシェル1からインナーブーツ4を簡単に着脱できるようにする。
アウターシェル1の足の甲部分はフロントバックル方式としてポリウレタン材が足底から包み込む形で、足の甲の外側をバックル3で固定し締め付け調整をするようになっており、インナーブーツ4を脱ぐ場合は足の甲部分の固定具3を解放するとアウターシェル1とインナーブーツ4の間の圧迫が弛み隙間を生じさせて、下腿部分脛外側のバックル3を解放し固定具3を外してタン2aを後方に開くことでアウターシェル1から簡単に脱ぐことができる。
アウターシェル1の下腿部分である前面の脛に当たる部分は固定されており、アキレス腱からふくらはぎ部分のタン2a・2bが後方に大きく開いて、履く・脱ぐ動作が容易となる。
また、アウターシェル1のくるぶし部分は、止め具で足の甲部分(ロアシェル)と下腿部分(アッパーシェル)をつなぎ止めており、若干の可動性がある。
本発明はフロントバックル方式のような細かい締め付け調整が可能であり、リアエントリー方式のように履く・脱ぐ動作が容易であってフロントバックルとリアエントリーのいずれの長所を取り入れていることになる。
アウターシェル1底のつま先部分と踵部分以外の中ほどは数ミリ窪んでおり、インナーブーツ4を装着時でもゴム底6が露出するので、転倒でスキー板10が外れるなどして雪上を歩く際には靴底に雪が付着せず、また、路面や床・タイル上を歩く際でもゴム底が接地するので滑りにくい。
スキービンディング9のブレーキプレート8と接地する部分は更に窪んでおり、スキー板10を装着時にインナーブーツ4を脱いだとしてもブレーキプレート8の動きを妨げることはなくブレーキの作動に影響はない。
また、アウターシェル1底のつま先と踵部分にも、硬いゴム材を取り付けて雪の付着と路面や床面での滑りを防ぐ。尚、このゴム材は磨耗したら交換できるように取り付ける。
【0010】
インナーブーツ4は靴底部にゴム6を貼り付けて、従来のインナーブーツ同様外側は硬いプラスチック材で覆われているが、甲部分と足首部分に切れ込みが入っておりある程度の可動性を持たせる。(図2
インナーブーツ4もアウターシェル1同様ふくらはぎ部分に当たるタン2bが大きく後方に開いて足入れしやすくし、使用時はタン2bをマジックテープ(登録商標)5で固定する。固定していてもゴム底と足の甲・足関節部分の切れ込みによって可動性を持たせているので歩きやすくなっている。尚、タン2b中ほどから下部にかけてもマジックテープ(登録商標)5を設けて、歩行の際にインナーブーツ4内部への雪の侵入を防ぐ。
ゴム底踵部分は斜めに切れ込んでいるが、アウターシェル1内部の踵部分との当たる部分を減らしてスムーズに着脱が行えるのと同時に、スキービンディング9のブレーキプレート8に干渉する接地面を確保しつつ、アウターシェル1の踵面積を出来るだけ大きくして摩耗・破損を防ぐ。また、格子7aは山型に格子溝7bは谷型になって噛み合っているので踵部分の切れ込みと同様に着脱しやすいようになっている。
靴底中ほどの溝7bは深めになっており、雪上では雪を確り捉えられ、アウターシェル1に装着した時に格子7aと噛合いスキー靴内のズレを防ぐ。
また、装着時にアウターシェル1底からゴム部分が若干突出するようになるため、雪面での雪の付着が少なく、路面や床面での歩行の際も滑りにくい。
【0011】
アウターシェル1底の中ほどは開放しており、骨組みが六角形の格子状7aに呈し(図3)、インナーブーツ4のゴム底6のパターン型と合致する事で、スキー靴内部のズレを防止すると共に、この六角形の格子7aがハニカム構造のフレームとなってアウターシェル1の強度を保つ。
インナーブーツ4底の踵との当たる部分は斜めに切れており、アウターシェル1の踵面積を大きくして踵部分のすり減りや破損を防ぐ。また、アウターシェル1のスキービンディング9のブレーキプレート8に当たる部分は開放しており、インナーブーツ4未装着の場合プレート8に干渉することがないのでブレーキは通常に作動する。インナーブーツ4装着時はインナーブーツ4の底がプレート8上に乗っているのでブレーキは解除される。
スキー滑走時に転倒でスキー板10がスキー靴から外れた場合などでも、プレート8上には何も無い状態なのでブレーキは通常に作動する。
よってスキー板10にスキー靴を固定したままインナーブーツ4だけを外してもブレーキは作動するので、スキー板10が流れる事は無い。
【0012】
インナーブーツ4の底にはゴム製の靴底6が張られ、アウターシェル1底の山型になっている六角形の格子フレーム7aと噛合う深い谷型の溝7bを有した六角形のブロック状になっており(図4)、そのブロック底面には細かい溝を施して路面や濡れた床・タイルでも滑りにくくして転倒の危険を減らす。また、雪面でもゴム底の大きい溝とブロックが雪を捉えて滑りにくい。
従来のポリウレタン製のスキー靴は踏みつけた雪が靴底に付着してしまい、スキー板10を取り付ける際にはその雪を取り除く手間が必要であったが、ゴムには雪が付着することがないのでスキー板10を装着する際は非常に楽に取り付けることができる。
ゴム底の深い溝部分と甲部分の外皮の切れ込みを合わせることによって靴の反りが可能となり歩行しやすくなる。
甲部分と足関節部分の切れ込みにはゴムなどの防水性の高いシート状のものを貼ってインナーブーツ内への浸水を防ぐ。
道路上を歩行する際には路面にたくさんの小石などが散乱し、靴で踏みつけるとどうしても靴底の溝に小石が挟まってしまい、本考案のアウターシェル1装着時にフレーム7aを傷めてしまう。そこでフレーム7a接合部分の溝7bの幅を7mmと仮定し、接合部から下へ接地面まで両端を2.5mm広げて接地面溝幅を12mmとすると、12mm以下の小石は挟まれず、12mm以上の比較的大きな小石は溝の深さが足りず挟まれ難いし、踏みつけた際に気がつきやすい。
【0013】
アウターシェル1にインナーブーツ4を装着する際は、インナーブーツ4に足を入れブーツ後方のタン2bを閉じてマジックテープ(登録商標)5で固定し、歩行可能状態にする。そしてつま先からアウターシェル1内に入れて靴底の格子7aとインナーブーツ4の底の溝7bを合わせて踵を入れる。靴底の格子7aと7b全体が噛み合ったらアウターシェル1側のタン2aを閉じて、下腿内側から始まる固定金具3のワイヤーをタン2aの後方に回して下腿外側の固定金具3バックルで固定し、足の甲内側から始まる固定具3ワイヤーを固定具3バックルに掛けて足の甲部分を固定し、各バックルの締め付け調整をする。
スキー靴にスキー板10を装着する際は(図5)従来通りとし、スキービンディング9のブレーキプレート8が当たる部分はインナーブーツ4の踵部分が乗るようになり、アウターシェル1底の切れ込みが深くなっているため、スキー板10装着時にインナーブーツ4を脱いだ場合でも、ブレーキプレート8に干渉せず作動に影響を及ぼすことはない。
スキー板10装着時、スキービンディング9のつま先と踵部分には台があるため、通常は板と靴の間に隙間が生じる。このままであると体重がアウターシェル1の格子7aに掛かってしまうので、スキービンディング9の台と同じ高さの台をブレーキプレート8の前部分に取り付けて隙間を埋める。
アウターシェル1の底はインナーブーツ4のゴム底が露出しているので、路面や床面では滑りにくく、雪面では雪が靴底に付着しにくい。
【符号の説明】
【0014】
1 アウターシェル
2 タン
3 固定金具
4 インナーブーツ
5 マジックテープ(登録商標)
6 ゴム底
7 格子 フレームa 溝b
8 ブレーキプレート
9 スキービンディング
10 スキー板
11 台
図1
図2
図3
図4
図5