特開2021-121307(P2021-121307A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-121307(P2021-121307A)
(43)【公開日】2021年8月26日
(54)【発明の名称】硬貨またはメダル
(51)【国際特許分類】
   A44C 21/00 20060101AFI20210730BHJP
   A44C 3/00 20060101ALI20210730BHJP
   G11B 3/00 20060101ALI20210730BHJP
【FI】
   A44C21/00
   A44C3/00
   G11B3/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-201995(P2020-201995)
(22)【出願日】2020年12月4日
(31)【優先権主張番号】10 2019 133 806.9
(32)【優先日】2019年12月10日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】520479386
【氏名又は名称】ベー.ハー.マイヤーズ クンストプラゲアンシュタルト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】アレックス ウェグナー
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114AA02
3B114AA03
3B114AA05
3B114BA06
3B114BB07
3B114BD00
3B114BF03
3B114CC00
3B114JB00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】音楽イベント等の恒久的な記念品を構成しかつ実用性も持ち合わせた硬貨またはメダルを提供する。
【解決手段】周回状の外縁部3を有する硬貨またはメダル2の側面図が立体的に示されている。ここでも録音帯6と中央孔8が示されている。硬貨またはメダル2の表面4上にスパイラル状の録音帯6が圧印される。市販のレコード盤と同様に録音帯6は切れ目のない連続的な溝から形成され、それが硬貨またはメダル2の外縁部から開始して中央の空白域まで継続する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨またはメダル(2)が圧印された録音帯(6)を備えることを特徴とする少なくとも1本の周回状の外縁部を有する硬貨またはメダル。
【請求項2】
硬貨またはメダル(2)が少なくとも片面上、特に圧印されたレリーフ(10)と逆側の面上に録音帯(6)を備えることを特徴とする請求項1記載の硬貨またはメダル。
【請求項3】
硬貨またはメダル(2)が録音帯(6)の面上に他の模様あるいはレリーフ(10)を備えないことを特徴とする請求項1記載の硬貨またはメダル。
【請求項4】
硬貨またはメダル(2)が録音帯(6)の面上に少なくとも1つの他の模様あるいはレリーフ(10)を備えることを特徴とする請求項1記載の硬貨またはメダル。
【請求項5】
スパイラル状に周回する録音帯(6)が少なくとも20mm、特に30ないし50mmの内径を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬貨またはメダル。
【請求項6】
硬貨またはメダル(2)がその硬貨またはメダル(2)の少なくとも1面上に延在する少なくとも1つの圧印されたレリーフを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬貨またはメダル。
【請求項7】
硬貨またはメダル(2)がその硬貨またはメダル(2)の少なくとも1面上に延在する少なくとも1つの印刷された図画を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬貨またはメダル。
【請求項8】
レリーフが圧印される表面(4)が極めて平滑であり、特に5μm未満の粗度であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬貨またはメダル。
【請求項9】
硬貨またはメダル(2)が鋼鉄、貴金属、貴金属合金、あるいは複合金属からなるか、または銀メッキあるいは金メッキされるか、または貴金属被覆されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬貨またはメダル。
【請求項10】
硬貨またはメダル(2)の中央に中央凹部(8)、特に窪みまたは孔を形成することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の硬貨またはメダル。
【請求項11】
録音帯(6)がアナログ技術によって作成された原版(30)を使用した圧印によって形成されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の硬貨またはメダル。
【請求項12】
録音帯(6)が縦方向および横方向の変化によって信号化されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の硬貨またはメダル。
【請求項13】
圧印された録音帯(6)が特に水平に対して45°の角度からなるV字型を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の硬貨またはメダル。
【請求項14】
圧印された録音帯(6)の幅が周知のレコード技術の標準溝、特に約65μmに相当することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の硬貨またはメダル。
【請求項15】
録音帯の個々の溝間の距離が市販のレコードよりも小さいことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の硬貨またはメダル。
【請求項16】
硬貨またはメダルの圧印工法用の原版の電食製造法であり、金属板に特に硝酸セルロース塗料からなる樹脂層を設け、その樹脂層内に原版(30)の録音帯を特に彫刻によって形成し、その後前記層に特に銀電解物からなる特に4ないし5μmの厚みの層を電食によって付加し、その上にさらに剥離剤を塗付し、続いてその上に電食によって特に約250μmの厚みのニッケル層を付加し、そのニッケル層を分離後に圧印原版(30)として使用することを特徴とする製造法。
【請求項17】
硬貨またはメダルを製造するための単一あるいは複数段階、特に2段階式の圧印方法であり、圧印リング(24)ならびに相互に対向していてまた相互に接近動作し得るように取り付けられた第1および第2の圧印型(26)から構成された圧印空間(22)内に硬貨ブランク(円形ブランク)(28)を装填し、前記ブランクを圧印工程の第1の段階において200トン超、特に800トンの圧力で圧印し、圧印工程の第2の段階においてプレス空間(22)内のブランク(28)と第1および/または第2の圧印型(26)の間に配置された少なくとも1枚の原版(30)を使用して適宜な録音帯(6)とおよび/または前記録音帯(6)と逆側の硬貨またはメダル(2)の面上の模様あるいはレリーフ(10)を圧印することを特徴とする圧印方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、請求項1前文に記載の硬貨またはメダルと、請求項17前文に記載の圧印加工法に関する。
【背景技術】
【0002】
硬貨およびメダルは昔から支払手段と並んで国王および皇帝の記念のために使用されている。情報を伝達する贈答品としての硬貨およびメダルの利用は特許文献1によって知られている。これは硬貨あるいはメダルの内部に形成された記憶媒体(例えばUSBスティック)に基づいている。その場合硬貨あるいはメダルの表面は単に装飾的な機能を成す。
【0003】
硬貨あるいはメダル上への配列された窪みの線のみによって形成されたデザインの圧印と対応する圧印型が特許文献2によって知られている。その際圧印される絵柄の色合いが極めて近接して配置された窪みの線の距離によって形成される。色の濃さは線の深さによって調節することができる。それらの極めて近接して配置された窪みの線はレーザ技術によって圧印される。
【0004】
音楽および音声録音用の音声媒体が一般的に広く知られている。そのような録音帯を特殊な媒体材料上に付加すると、例えば特許文献3に記載されているチョコレート上の小型レコード盤のように多様な適用可能性が達成される。この実用新案は、市販のレコードプレーヤによって再生できるように構成される。
【0005】
チョコレートは極めて脆弱な材料であり、また高い耐熱性も備えていない。例えば小型レコード盤を記念品として利用したい場合は耐久性のある材料に基づくものとする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ国特許出願公開第102004033356号(A1)明細書
【特許文献2】ドイツ国特許第60102007号(T2)明細書
【特許文献3】ドイツ国実用新案第202008003639号(U1)明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は、音楽イベント等の恒久的な記念品を構成しかつ実用性も持ち合わせた請求項1前文に記載の硬貨またはメダルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題は、本発明に従って請求項1あるいは17によって解決される。従属請求項によって好適な追加構成が定義される。
【0009】
すなわち前記の課題は、適宜な圧印方法によって表面に録音帯が付加されるように構成した請求項1前文に記載の硬貨またはメダルによって解決される。その録音帯は、市販のレコードプレーヤあるいは硬貨またはメダル用に設計された再生機器を使用して読み取り可能にすることが好適である。
【0010】
特に硬貨は広く普及したシンボルを含むものとして人類全体に認識されているため、これを使用することが好適である。硬貨は最も広範に使用される支払手段であり、またしばしば縁起物としても使用される。
【0011】
本発明に係る解決方式の利点は、長年使用可能で経年による外見的変化も少なくまた傷つきにくく搬送も容易なことから記念品となり得る金属製の硬貨またはメダルの長期耐久性である。
【0012】
硬貨またはメダルの表面上に圧印された本発明に係る録音帯は年月が経過した後も読み取り可能で、また通常の気温下に保存され意図的に使用された金属の熔融点まで加熱しない限り熱による変化も発生しない。
【0013】
本発明に係る圧印された録音帯を有する硬貨またはメダルの別の利点は、硬貨またはメダルが固形の金属、特に貴金属から形成されることである。そのような金属は耐久性があって美観的にも良好である。特に好適な金属は、金(Au)、銀(Ag)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、ならびに金メッキあるいは銀メッキされた金属材料である。その他の被覆された材料も本発明に係る方法において使用可能である。
【0014】
本発明に係る圧印された録音帯を有する硬貨またはメダルの別の利点は、硬貨またはメダルの小さなサイズにもかかわらず少なくともシングル盤と比較可能な情報内容を表面上に収録可能なことである。そのことは、金属の使用によってより高い録音帯の安定性が達成され従ってより高密度に圧印され、すなわち従来のレコード盤よりも小さな個々の録音溝の距離を選択し得ることによって理由付けられる。さらに録音帯の密度とそれに伴った情報密度のため、特に従来のレコードプレーヤの33rpmのような低い回転速度あるいは硬貨またはメダル用に設計された再生機器のさらに低い回転速度を選択することができる。
【0015】
硬貨またはメダルの表面に溝がV字型に圧印され、その“V字”が水平、すなわち硬貨またはメダルの表面に対して特に45℃、すなわちステレオ録音の情報記録を可能にする傾斜角を有する硬貨またはメダル上の録音帯を使用することが極めて好適である。
【0016】
好適な追加構成によれば、録音帯を圧印する前に可能な限り平坦および平滑な表面を有するように硬貨またはメダルを先に加工する。そのため硬貨またはメダルを、相互に対向する第1および第2の圧印型を有する圧印リングから形成されたプレス空間内にブランク(円形ブランク)として装填する。圧印リングおよび両方の圧印型は耐圧性の材料から形成される。
【0017】
圧印工程に際して極めて高い圧力(約200トンないし800トン)で圧印を実施することが好適である。
【0018】
好適な実施形態において、第1および第2の圧印型が圧印空間に向かって極めて平滑な表面を備える。少なくとも1つの圧印型上にプレス空間内のブランクと第1および/または第2の圧印型の間に配置される原版が存在する。そのことによって、録音帯とその録音帯と逆側の硬貨またはメダルの面上の模様の同時圧印と、さらに極めて平滑な表面、いわゆる鏡面との同時圧印が可能になる。また、硬貨またはメダルの一面上に録音帯を模様と共に圧印し、録音帯と逆側の硬貨またはメダルの面上に別の模様を圧印することも可能である。
【0019】
別の好適な実施形態においても、第1および第2の圧印型が圧印空間に向かって極めて平滑な表面を備える。両方の圧印型のうちの一方の上に所要の模様の陰画を描写する原版が存在する。それによって極めて平滑な、すなわち鏡面状の表面を有する模様の圧印が可能になる。続く第2の圧印工程において、前記の模様と逆側の硬貨またはメダルの表面上に別の原版を使用して録音帯を場合によって別の模様と共に圧印する。
【0020】
さらに別の実施形態においても、第1および第2の圧印型が圧印空間に向かって極めて平滑な表面を備える。ここでは、最適な密度と場合によって存在するブランクの表面上の凹凸の除去(鏡面)を達成するために未だ原版を使用しない。第2の圧印工程において、プレス空間内のブランクと第1および/または第2の圧印型の間に配置された少なくとも1枚の原版を使用して、適宜な録音帯とおよび/または前記録音帯と逆側の硬貨またはメダルの面上の模様が圧印される。
【0021】
原版を円形ブランクと等しい直径とせずにより小さい直径とすることも可能である。そのことによって、硬貨またはメダルの表面全体には延在しないようにして録音帯あるいは模様のような構造を圧印することが可能になる。
【0022】
圧印型と圧印リングとの間に極めて小さい間隙、特に0.02mmの間隙が存在する圧印空間を使用することが極めて好適である。そのことによって原材料のロスを可能な限り少なくすることが保証される。
【0023】
本発明に係る解決方式の好適な追加構成によれば、特に電食によって製造された原版を使用する。
【0024】
そのためまず金属板に特に硝酸セルロース塗料からなる樹脂層を設ける。レコード盤の場合と同様に樹脂層内に原版の録音帯が彫刻によって形成される。
【0025】
その後その層に特に4ないし5μmの厚みの銀電解物からなる層を電食によって設ける。
【0026】
前記の銀電解物層上に極めて薄い剥離剤を塗付する。
【0027】
その層の上に電食によって特に約250μmの厚みのニッケル層が設けられ、それがその後分離され原版として機能する。
【0028】
両方の圧印工程の前あるいは後に市販のレコードプレーヤによる再生を可能にするための中央孔を硬貨またはメダルの中央部に設けることが極めて好適である。
【0029】
本発明に係る解決方式の別の利点は、前述のようにして圧印された硬貨を市販のレコードプレーヤ上で自動停止装置を遮断して使用し得ることである。
【0030】
本発明のその他の詳細、特徴ならびに利点は、添付図面を参照しながら以下に記述する本発明の複数の実施例の説明によって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1の実施形態に係る内蔵された録音帯を有する硬貨またはメダルを示した概略平面図である。
図2図1の本発明の実施形態に係る内蔵された録音帯を有する硬貨またはメダルを示した立体図である。
図3】録音帯と逆側の硬貨またはメダルの面上に圧印された例示的な模様を伴った本発明の別の実施形態に係る硬貨またはメダルを示した立体図である。
図4】硬貨またはメダル上に圧印された録音帯の一部を拡大して示した概略説明図である。
図5】本発明に係る内蔵された録音帯を有する硬貨またはメダルを例示的な市販のレコードプレーヤのスケッチと共に示した立体図である。
図6】本発明に係る圧印された録音帯を有する硬貨またはメダルと録音帯を読み取るために使用される音響ピックアップの針の先端の概略を示した側面図である。
図7】圧印リングと第1および第2の圧印型と本発明に係る硬貨またはメダルのブランクを有する圧印空間を示した概略断面図である。
図8】圧印リングと第1および第2の圧印型と本発明に係る硬貨またはメダルのブランクと録音帯および/または逆側の面のレリーフを形成するために使用される原版を有する圧印空間を示した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1には、周回状の外縁部3を有する本発明に係る硬貨またはメダルが平面的に示されている。本発明に係る硬貨またはメダルは約50mmないし150mm、特に約100mmの直径を有する。硬貨またはメダル2の表面4上にスパイラル状の録音帯6が圧印される。市販のレコード盤と同様に録音帯6は切れ目のない連続的な溝から形成され、それが硬貨またはメダル2の外縁部から開始して中央の空白域まで継続する。その硬貨またはメダル2の録音帯6が圧印されていない中央の空白域は、構造的にその帯域が市販のレコードプレーヤ12によって読み取れないことから不可欠であり、硬貨の場合約20mmないし50mmの直径、メダルの場合は50ないし100mmの直径を有する。しかしながら独自の硬貨またはメダル2用の読み取り装置を構成する場合は、空白域を必要なくして録音帯6が硬貨またはメダル2の中央まで延在し得るように読み取り装置を構成することも可能である。市販のレコードプレーヤによる再生を可能にするために硬貨またはメダルの中央に中央孔8を設ける。独自の硬貨またはメダル2用の読み取り装置を選択する場合は、中央孔8を窪み部によって代替するか、またはターンテーブル20による固定を通じて完全に省略することも可能である。
【0033】
図2には、本発明に係る周回状の外縁部3を有する硬貨またはメダル2の側面図が立体的に示されている。ここでも録音帯6と中央孔8が示されている。
【0034】
図3には、本発明に係る周回状の外縁部3を有する硬貨またはメダル2の別の側面図が立体的に示されている。ここでも中央孔8が示されているが、裏面(録音帯と逆側の硬貨またはメダル2の面)からである。加えて、その裏面に圧印することができる例示的な模様あるいはレリーフ10が示されている。
【0035】
図4は、硬貨またはメダル上に圧印された録音帯6の一部を拡大して示した概略説明図である。硬貨の表面4は本発明に従って耐久性かつ美観性を有する材料から形成される。そのため、特に金(Au)、銀(Ag)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、ならびに金メッキあるいは銀メッキされた金属材料、または鉄等の複合金属および貴金属が提案されている。加えて図4中には、録音帯6が直線状あるいは波状に延在し得ることが示されている。録音帯6の“横方向の”曲がりの軌跡が記録された信号の音響振動に相当し、図5および図6に示された音響ピックアップ16のレコード針14の先端によって音響信号に変換することができる。
【0036】
図5は、本発明に係る内蔵された録音帯6を有する硬貨またはメダル2を例えばスケッチされた市販のレコードプレーヤ12のターンテーブル20上に載置した状態で立体的に示した概略説明図である。レコードプレーヤ12の中央ピン18を硬貨またはメダル2の中央孔8に挿通させることによってその硬貨またはメダルを心合せする。録音帯6は音響ピックアップ16のレコード針14の先端によって音響信号に変換することができる。
【0037】
図6は、硬貨またはメダル2上に圧印された録音帯6の側面とレコード針ならびにそれに付属する音響ピックアップ16の左のコイル16aおよび右のコイル16bを概略的に示した説明図である。録音帯6の深さは、横方向の振動に加えて深さ方向の振動も可能にするために利用することができる。それによって録音帯6に記録された作品をステレオ方式で再生することが可能になり、その際1つのチャネルが垂直動作によって再現され、第2のチャネルは水平動作によって再現される。録音帯6の溝は“V”字形状を有し、特に側辺の傾斜角が硬貨またはメダル2の表面4に対して45°となる。
【0038】
図6中の点線は録音帯の深さが変化し得る2つの可能性を例示する。これは例として左側に示されているが、それに代えて右側に示すことも可能である。そのことによって違いは生ぜず、その理由は市販のレコードプレーヤ12がいずれも音響ピックアップ16の左のコイル16aと右のコイル16bを備えるためである。
【0039】
録音帯6の深さを溝の両側で同時に変化させると、それによって録音帯6の幅も変化するが、幅を一定に維持する場合は側面の傾斜角が必然的に変化する。硬貨またはメダル2の場合録音帯6の幅の変化が可能であるが、それによってより大きな溝の間隔が必要になり従って情報密度に影響が及ぶため好適ではない。録音帯6の中心点に対して対称あるいは非対称の側面の傾斜角の変化は、独自の硬貨またはメダル2用の読み取り装置を適宜に調節された音響ピックアップ16のレコード針14の先端と共に使用する場合に有効である。しかしながら市販のレコードプレーヤ12を使用して硬貨またはメダル2を再生するためには、表面4に対する側面の傾斜角の変化は除外しなければならず、その理由はそのような変化によって市販のレコード針14の先端による読み取りが劣化するためである。
【0040】
図7には、圧印リング24と第1の圧印型26aおよび第2の圧印型26bからなる圧印型26と硬貨またはメダル2のブランク28とを有する圧印空間22の断面が示されている。圧印空間22内において圧印型26と圧印リング24の間に小さな間隙、特に0.02mmの間隙が形成されることが極めて好適である。そのことによって、ブランク28の材料ロスが可能な限り少なくなることが保証される。圧印工程中の硬貨またはメダル2のブランク28の変形を防止するためには、圧印リング24が硬貨またはメダル2のブランク28に極めて近接することが理想的である。この構造と圧印型26の第1の圧印型26aと第2の圧印型26bの極めて平滑な表面のため、理想的な高密度化と場合によって存在するブランク28の表面の凹凸の解消が可能になる。
【0041】
図8は、図7と同様な圧印空間22と、追加的に録音帯6の圧印とその録音帯6と逆側の硬貨またはメダル2の面上の模様あるいはレリーフ10の圧印用の第1の原版30aと第2の原版30bからなる原版30を示した断面図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】
2021121307000001.pdf