特開2021-121341(P2021-121341A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2021-121341体腔内で吸引が用いられる時に安定した体腔圧を維持するように構成されたマルチモード外科用ガス送達システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-121341(P2021-121341A)
(43)【公開日】2021年8月26日
(54)【発明の名称】体腔内で吸引が用いられる時に安定した体腔圧を維持するように構成されたマルチモード外科用ガス送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/94 20060101AFI20210730BHJP
【FI】
   A61B17/94
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2021-83667(P2021-83667)
(22)【出願日】2021年5月18日
(62)【分割の表示】特願2019-524883(P2019-524883)の分割
【原出願日】2017年11月14日
(31)【優先権主張番号】62/421,543
(32)【優先日】2016年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シルバー ミキヤ
(72)【発明者】
【氏名】トゥルツァ ジョージ アール.
(72)【発明者】
【氏名】ケイン マイケル ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160MM23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外科処置の間に患者の体腔に送気ガスを送達するためのシステムを提供する。
【解決手段】送気ガスの流れを、空気圧封止されたトロカール131、133、135と連通する流路を通して患者の体腔に送達するための気腹装置と、吸引装置の使用によって体腔から除去されたガスの量を測定するための流量計125と、流量計から流れ測定値を受信して、腔吸引装置が用いられる時および吸引装置によって体腔から除去されるガスを補うために気腹装置によって体腔に送達する必要がある送気ガスの量を判定するために流量計に動作可能に接続されたコントローラ126と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科処置の間に患者の体腔に送気ガスを送達するためのシステムであって、
a) 流路を通して前記患者の体腔に送気ガスを送達するための気腹装置と、
b) 前記外科処置の間に前記体腔から固体、液体およびガスを除去するために真空源に接続された吸引装置と、
c) 前記真空源と前記吸引装置との間の連通を提供する導管と、
d) 前記吸引装置の使用によって前記体腔から除去された前記導管を通って流れるガスの量を測定するために前記導管と連通する流量計と、
e) 前記流量計から流れ測定値を受信して、前記吸引装置が用いられる時、および前記吸引装置によって前記体腔から除去されるガスを補うために前記気腹装置によって前記体腔に送達する必要がある送気ガスの量を判定するために前記流量計に動作可能に接続されたコントローラと、を備える、システム。
【請求項2】
前記コントローラが、前記気腹装置に前記流路を通る前記送気ガスの流れを増大させて、前記吸引装置によって前記体腔から除去される前記ガスを補うように適合および構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラが、前記吸引装置の使用を停止した時に、前記気腹装置に前記流路を通る前記送気ガスの流れを減少または停止させるように適合および構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラが、バルブを起動させて前記流路を通って流れる前記ガスの量を制御して、前記吸引装置によって前記体腔から除去される前記ガスを補うように適合および構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラが、前記システムを通して再循環するガスの量を調整するために再循環ポンプと通信するように適合および構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記吸引装置が洗浄装置としても構成され、洗浄液の供給源がこれに接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
流体収集キャニスターが前記吸引装置と関連付けられる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
流体ポンプが、洗浄液を前記洗浄装置に送達するために前記洗浄液の供給源に動作可能に関連付けられる、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記流体ポンプが、前記コントローラに動作可能に接続され、かつ前記コントローラによって制御される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記真空源が、前記導管を通して前記吸引装置と連通する真空ポンプである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
フィルターが、前記真空ポンプと動作可能に関連付けられ、前記真空ポンプからの排気ガスをフィルタリングする、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記真空ポンプが、前記コントローラに動作可能に接続され、前記コントローラによって制御される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
有線通信リンクが、前記真空源と前記コントローラとの間に存在する、請求項10に記
載のシステム。
【請求項14】
無線通信リンクが、前記真空源と前記コントローラとの間に存在する、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記流路が空気圧封止されたトロカールと連通する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記流路が再循環ポンプと連通する、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
内視鏡外科処置の間に患者の体腔に送気ガスを送達するためのシステムであって、
a) 送気ガスの流れを、空気圧封止されたトロカールと連通する流路を通して前記患者の前記体腔に送達するための気腹装置と、
b) 吸引装置の使用によって前記腹腔から除去されたガスの量を測定するための流量計と、
c) 前記流量計から流れ測定値を受信して、吸引装置が用いられる時、および前記吸引装置の使用によって前記体腔から除去されるガスを補うために前記気腹装置によって前記体腔に送達する必要がある送気ガスの量を判定して前記患者の前記体腔内の安定的な腔圧を維持するために前記流量計に動作可能に接続されたコントローラと、を備える、システム。
【請求項18】
前記外科処置の間に前記体腔から固体、液体およびガスを除去するために真空源に接続された吸引装置をさらに備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記真空源と前記吸引装置との間の連通を提供する導管をさらに備え、前記流量計が前記導管と通信して、それを通る前記ガスの流れを測定する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記コントローラが、前記気腹装置に前記流路を通る前記送気ガスの流れを増大させて、前記吸引装置によって前記体腔から除去される前記ガスを補うように適合および構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記コントローラが、前記吸引装置の使用を停止した時に、前記気腹装置に前記流路を通る前記送気ガスの流れを減少または停止させるように適合および構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記コントローラが、バルブを起動させて前記流路を通って流れる前記ガスの量を制御して、前記吸引装置によって前記体腔から除去される前記ガスを補うように適合および構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
前記吸引装置が、洗浄装置としても構成され、洗浄液の供給源が流体収集キャニスターに沿ってこれに接続される、請求項18に記載のシステム。
【請求項24】
外科処置の間に、患者の体腔に送気ガスを送達するためのシステムであって、
a) 送気ガスの流れを、空気圧封止されたトロカールと連通する流路を通して前記患者の前記体腔に送達するための気腹装置と、
b) 前記空気圧封止されたトロカールを通して送気ガスを循環させて、その内部に気体封止を提供および維持するためのポンプと、
c) 前記気腹装置および前記ポンプと連通するコントローラであって、前記腹腔内で用いられる外科用器具からの信号を受信するように構成され、前記気腹装置から前記腹腔への新たな送気ガスの流れおよび/または前記ポンプによる既存の送気ガスの循環を調整
するように適合される、コントローラと、を備える、システム。
【請求項25】
前記外科用装置が、前記外科処置の間に前記腹腔から固体、液体およびガスを除去するために真空源に接続された吸引装置である、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記外科用装置が、外科処置の間に組織に電気的に作用するためにエネルギー発生装置に接続された電気焼灼装置である、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記コントローラが、有線通信リンクによって前記気腹装置および前記ポンプと通信する、請求項24に記載のシステム。
【請求項28】
前記コントローラが、無線通信リンクによって前記気腹装置および前記ポンプと通信する、請求項24に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年11月14日に出願された米国仮特許出願第62/421,543号の優先権の利益を主張するものであり、この開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、外科用ガス送達システムに、より具体的には、外科用送気、煙排出、および/またはガス再循環のためのマルチモードガス送達システムに関し、本システムはまた、外科処置の間に体腔内で吸引が用いられる時に体腔圧を維持するように構成される。
【背景技術】
【0003】
関連技術の背景
内視鏡および腹腔鏡外科処置などの低侵襲外科技術は、ますます一般的になってきている。このような処置の利点には、患者への外傷の減少、感染の機会の減少、および回復時間の短縮が挙げられる。腹(腹膜腔)腔内の腹腔鏡外科処置は、一般的に、トロカールまたはカニューレとして知られる装置を通して実施され、これは患者の腹腔への外科用器具の導入を促進する。
【0004】
さらに、このような処置は、一般に、腹(腹膜)腔に二酸化炭素などの加圧流体を充填または「送気」して、気腹と呼ばれるものを作り出す。送気は、送気流体を送達するために装備された外科用アクセス装置(しばしば「カニューレ」または「トロカール」と呼ばれる)によって、または、送気(ベレス)ニードルなどの別個の気腹装置によって実行することができる。気腹を維持するためには、送気ガスの実質的な損失なく、外科用器具を気腹内に導入することが望ましい。
【0005】
一般的な腹腔鏡処置の間、外科医は、それぞれ通常約12ミリメートル未満の三つ〜四つの小さな切開を行うが、これは一般的には、別個のインサータまたはその内部に配置されたオブチュレータをしばしば用いて、外科用アクセス装置自体によって行われる。挿入後、インサータが取り外され、トロカールが腹腔内に挿入される器具のアクセスを可能にする。一般的なトロカールは、外科医が操作および作業を行う開放した内部空間を有するように、腹腔に送気する方法を提供する。
【0006】
トロカールは、外科用器具の少なくとも最小限の移動の自由を可能にしたままで、トロカールとそれを通過する任意の外科用器具との間に封止を提供することによって腹腔内の圧力を維持しなければらない。このような器具には、例えば、はさみ、把持器具、および閉塞器具、焼灼ユニット、カメラ、光源およびその他の外科用器具が含まれうる。
【0007】
封止要素または機構は通常、送気ガスの漏れを防ぐためにトロカール内に提供される。これらは典型的に、トロカールを通過する外科用器具の外部表面の周りに封止するための、比較的柔軟な材料で作られたダックビル型バルブを含む。
【0008】
従来的な機械的封止を必要としない、送気された外科用腔への封止されたアクセスを許容する外科用アクセス装置またはトロカールは、当技術分野で周知である。これらの装置は、加圧された送気ガスの循環流によって生成および維持される空気圧または気体封止の使用を通して、外科用腔への封止可能なアクセスを提供するように適合および構成される。このような装置は、米国特許第7,854,724号および第8,795,223号に
記載されており、それらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。また、送気ガスを体腔に送達するため、外科用ガスをトロカールを通して循環させて空気圧封止を生成および維持するため、および体腔からの煙排出を促進するために、こうした空気圧封止されたトロカールと共に用いられるマルチモード外科用ガス送達システムも、当技術分野で周知である。
【0009】
マルチモードシステムの使用により、複数の機能を達成しながら、一つのシステムのみの購入を必要とすることによってコストを削減することができ、さらにそれによって、手術室内に必要な機器の量を減らして混乱を低減し、その他の必要な機器のための空間を可能にする。このようなシステムは、例えば、米国特許第8,715,219号および第8,961,451号、ならびに米国特許第9,295,490号および第9,375,539号に記載されており、それらの開示は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0010】
また、腹腔鏡外手術中に電子焼灼およびその他の外科技術(例えば、高調波外科用メスなど)を実施することも知られている。これらの技術は、外科用腔内に煙およびその他の破片を生成する。煙およびその他の破片は、内視鏡などからの視界を曇らせることにより、視認性を低減しうる。
【0011】
外科処置の間に破片、煙、体液、または洗浄液を除去するために、外科用腔に吸引が導入されることがある。吸引機構の起動は、気腹を形成するのに用いられる送気ガス上に真空を引き出すことによって、外科用腔における圧力を変化させる。
【0012】
送気ガスの除去は、外科用腔における作業空間の減少を引き起こす可能性がある。従来の気腹装置よりも高いレートでガスを除去する吸引機構は、腔内のガスレベルを補充できることが多い。その結果、外科用腔における気腹は、吸引機構および気腹装置が相互に反して動作すると不安定になりうる。これにより、外科医の視覚化の問題が生じることがある。
【0013】
吸引機構の起動に起因する圧力損失に反応または過剰反応する代わりに、気腹装置を吸収機構または装置と協調させて動作させて、外科用腔内の気腹の安定性を維持することが有利でありうる。本発明は、この目的のためのシステムを提供する。
【0014】
こうしたシステムは、患者の腹腔内の腹腔鏡外科処置の性能において有利でありうるが、こうしたシステムが胸部、大腸内、子宮およびその他の内視鏡処理で利用できることは、想定されると共に十分に本開示の範囲内である。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、外科処置の間に患者の体腔に送気ガスを送達するための新規で有用なシステムを対象とする。本発明の一実施形態では、システムは、流路を通して患者の体腔に送気ガスを送達するための気腹装置と、外科処置の間に体腔から固体、液体およびガスを除去するために真空源に接続された吸引装置と、真空源と吸引装置との間の通信を提供する導管と、を含む。
【0016】
本システムはさらに、吸引装置を使用することによって、体腔から除去された、導管を通って流れるガスの量を測定するために導管と通信する流量計と、流量計から流れ測定値を受信して吸引装置が使用されている時(つまり、開始および/または停止)、および吸引装置によって体腔から除去されるガスを補うために気腹装置によって体腔に送達するのに必要な送気ガスの量を判定するために流量計に動作可能に接続されたコントローラと、を含む。
【0017】
本発明の一態様では、コントローラは、気腹装置に流路を通る送気ガスの流れを増大させて、吸引装置によって体腔から除去されるガスを補うように適合および構成される。本発明の別の態様では、コントローラは、吸引装置の使用を停止した時に、気腹装置に流路を通る送気ガスの流れを減少または停止させるように適合および構成される。本発明のさらに別の態様では、コントローラはバルブを起動させて流路を通って流れるガスの量を制御して、吸引装置によって体腔から除去されるガスを補うように適合および構成される。コントローラはまた、空気圧封止されたトロカールを通して循環する加圧された外科用ガスなど、システムを通して再循環するガスの量を調整するために再循環ポンプと通信するように適合および構成される。
【0018】
本発明の一実施形態では、吸引装置は洗浄装置としても構成され、洗浄液の供給源がこれに接続される。流体収集キャニスターもまた、吸引装置と関連付けられる。本発明の別の実施形態では、洗浄液を洗浄装置に送達するために、流体ポンプが洗浄液の供給源に動作可能に関連付けられる。この場合、流体ポンプはコントローラに動作可能に接続され、コントローラによって制御される。
【0019】
本発明の一実施形態では、真空源は導管を通して吸引装置と連通する真空ポンプであり、フィルターは、真空ポンプと動作可能に関連付けられて、真空ポンプからの排気ガスをフィルタリングする。真空ポンプは、コントローラに動作可能に接続され、コントローラによって制御されることが好ましい。有線または無線通信リンクが真空源とコントローラとの間に存在することが想定される。
【0020】
また、本発明は、腹腔鏡外科処置などの内視鏡処置の間に患者の腹腔などの患者の体腔に送気ガスを送達するためのシステムを対象としており、本システムは、送気ガスの流れを空気圧封止されたトロカールと連通する流路を通して腹腔に送達するための気腹装置を含む。
【0021】
本システムはさらに、吸引装置が用いられる時、および吸引装置を使用することによって、体腔から除去されたガスの量を測定するための流量計と、流量計から流れ測定値を受信して吸引装置の使用によって体腔から除去されるガスを補い患者の体腔内の安定的な圧力を維持するために気腹装置によって体腔に送達する必要がある送気ガスの量を判定するために流量計に動作可能に接続されたコントローラと、を含む。
【0022】
本発明はまた、内視鏡外科処置の間に患者の体腔に送気ガスを送達するためのシステムを対象としており、本システムは、送気ガスの流れを空気圧封止されたトロカールと連通する流路を通して患者の体腔へと送達するための気腹装置と、空気圧封止されたトロカールを通して送気ガスを循環させてその内部に気体封止を提供および維持するためのポンプと、気腹装置およびポンプと連通するコントローラと、を含む。ここで、コントローラは、腹腔内で用いられる外科用器具からの信号を受信するように構成され、また、気腹装置から腹腔への新たな送気ガスの流れ、および/またはポンプによる既存の送気ガスの循環を調整するように適合される。
【0023】
この場合、外科用装置は、外科処置の間に腹腔から固体、液体およびガスを除去するために真空源に接続された吸引装置とすることができる。別の方法として、外科用装置は、外科処置の間に組織を焼灼するために、エネルギー発生装置に接続される電気焼灼装置とすることができる。コントローラは、有線通信リンク、または無線通信リンクによって、気腹装置およびポンプと通信できるものとして想定される。
【0024】
本発明のマルチモードガス送達システムのこれらおよびその他の特徴は、以下に説明するいくつかの図面と共に、本発明の好ましい実施形態の以下の実施可能な記載から、当業
者により容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
当業者であれば、本発明のガス送達システムおよび方法をどのように生成および使用するかを、過度の実験を用いることなく容易に理解するため、以下、本明細書において、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1図1は、本発明の一実施形態により構成され、真空源と、吸引装置が使用される時、および吸引装置によって体腔から除去されるガスの量を測定するための流量計とに接続された吸引装置で用いられる、マルチモード外科用ガス送達システムの概略図である。
図2図2は、図1のマルチモード外科用ガス送達システムの一部を形成する計算環境の概略フロー図である。
図3図3は、ポンプと、吸引装置によって体腔から除去されるガスの量を測定するための流量計とに接続された吸引装置で用いられる、図1のマルチモード外科用ガス送達システムの概略図である。
図4図4は、真空源に接続された吸引装置で用いられる、図1のマルチモード外科用ガス送達システムの概略図であり、これは、有線または無線通信リンクを介してコントローラと通信する。
図5図5は、エネルギー発生装置に接続された電気焼灼装置で用いられる、図1のマルチモード外科用ガス送達システムの概略図であり、これは、有線または無線通信リンクを介してコントローラと通信する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に図面を参照すると、同一の参照符号は本発明の類似した構成要素または特徴を特定しており、図1には、本発明の好ましい実施形態に従って構成され、かつ一般的に参照番号100で示される、マルチモード外科用ガス送達システムが図示されている。以下により詳細に記載されるように、ガス送達システム100は、体腔の送気、体腔からの煙排出、および/または体腔と連通するアクセスポートを介したガス再循環を促進するための、マルチモード動作用に設計される。さらに、外科用ガス送達システム100は、体腔から固形破片、液体およびガスを除去するための外科処置の間に体腔内で吸引が用いられる時に、体腔圧を維持するように構成される。
【0028】
図1に示すように、ガス送達システム100は、患者の体腔190と連通する三つの外科用アクセス装置またはトロカール(131、133、135)で機能するように適合される。ガス送達システム100は、例えば、本出願の譲受人に譲渡された米国特許第9,375,539号に開示されているように、二つの外科用アクセス装置またはトロカールでも用いられうることが想定される。別の方法として、本システムは、例えば、本出願の譲受人に譲渡された米国特許第9,295,490号に開示されているように、単一の外科用アクセス装置で用いることができる。
【0029】
マルチモードガス送達システム100は、図2で最良に見られる汎用計算システムによって駆動されるコンピュータ制御制御ユニット110を含む。理解および認識されるように、計算システムは、マルチモードガス送達システム100の選択的な動作モードを容易にする。
【0030】
図2を参照すると、制御ユニット110の計算システム10は、少なくとも一つのプロセッサ12、メモリ14、少なくとも一つの入力装置16および少なくとも一つの出力装置18を含み、これらはすべてバス11を介して共に結合される。記憶装置14は、例えば、揮発性または不揮発性メモリ、固体記憶装置または磁気装置など、任意の形態のデー
タまたは情報保存手段でありうる。
【0031】
本発明の特定の実施形態では、入力装置16および出力装置18は同一の装置であってもよい。インターフェース15が、計算システム10を一つ以上の周辺装置に結合するために提供されてもよい。例えば、インターフェース15は、PCIカードまたはPCカードとしうる。メモリまたは記憶装置14は、少なくとも一つのデータベース17を収納または維持しうる。メモリ14は、例えば、揮発性または不揮発性メモリ、固体記憶装置、または磁気装置などの任意の形態の記憶装置とすることができる。
【0032】
入力装置16は、入力データ19を受信し、例えば、キーボード、ペン様装置などのポインタ装置、マウス、タッチスクリーン、またはモデムまたは無線データアダプターなどの任意の他の適切なデバイス、またはデータ取得カードを備えることができる。入力データ19は、ネットワークを介して受信されるデータと共に、異なるソース、例えばキーボード命令からのものでありうる。
【0033】
出力装置18は、出力データ20を作成または生成し、例えば、表示装置またはモニタを含みうるが、この場合には、出力データ20は視覚的である。出力データ20は、別個であって異なる出力装置に由来するもの、例えば、ネットワークに送信されたデータと共にモニタ上の視覚表示であってもよい。ユーザーは、例えば、モニタ上の、またはプリンタを使用して、データ出力、またはデータ出力の解釈を閲覧しうる。
【0034】
使用時に、計算システム10は、有線または無線通信手段を介して、メモリ14に格納された少なくとも一つのデータベース17にデータまたは情報を保存および/またはメモリ14に格納された少なくとも一つのデータベース17からデータまたは情報を取得することを可能にするように適合される。インターフェース15は、特定の目的を果たしうる、処理ユニット12と周辺部品との間の有線および/または無線通信を許容しうる。
【0035】
プロセッサ12は、入力装置16を介して入力データ19として命令を受信し、出力デバイス18を利用することによって、処理結果または他の出力をユーザーに表示することができることが好ましい。複数の入力装置16および/または出力装置18が提供されうる。当然のことながら、計算システム10は任意の形態であってもよいが、外科用ガス送達システム100の制御ユニット110と一体的に提供されることが好ましい。
【0036】
当然のことながら、計算システム10はネットワーク通信システムの一部でありうる。計算システム10は、ネットワーク、例えばインターネットまたはWANに接続されうる。入力データ19および出力データ20は、ネットワークを介して他のデバイスに通信されうる。ネットワークでの情報またはデータの転送は、有線通信手段または無線通信手段を使用して達成することができる。サーバーは、ネットワークと一つ以上のデータベースとの間のデータの転送を容易にしうる。サーバーおよび一つ以上のデータベースは、情報源の一例を提供する。
【0037】
したがって、計算システム10は、一つ以上の遠隔コンピュータへの論理的接続を用いて、ネットワーク環境内で動作しうる。遠隔コンピュータは、パーソナルコンピュータ、サーバー、ルータ、ネットワークPC、タブレットデバイス、ピアデバイス、または他の共通ネットワークノードであってもよく、一般には、上述の要素の多くまたはすべてを含む。
【0038】
再び図1を参照すると、マルチモード外科用ガス送達システム100は、システム100を通して加圧された送気流体を循環させるように適合および構成された流体ポンプ111を含む。供給導管114は、流体ポンプ111の出力と流体連通し、制御ユニット11
0の出力ポート183に加圧された送気流体を送達するように構成および適合される。
【0039】
戻り導管112は、流体ポンプ111に送気流体を送達するために流体ポンプ111の入力と流体連通しており、制御ユニット110の入力ポート181へ送気流体を戻すように構成および適合される。調節可能な背圧制御バルブ113は、供給導管114および戻り導管112と流体連通して提供され、開放して供給導管114から戻り導管112へ方向付けることで、設定された圧力を超える供給導管圧力に応答するように適合および構成される。背圧制御バルブ113は、弾性的に付勢されたバルブなどの機械的バルブであってもよい。別の方法として、背圧制御バルブ113は、システム100内の一つ以上の圧力センサー(例えば、117)からの高圧信号に応答する、電気機械バルブとしうる。
【0040】
送気サブユニット121が提供され、これは、図示するローカルタンクなどの供給源140から、または同じくガス送達システム100に入る前に圧力調整装置141を通過しうる中央分配システムから、送気ガス(例えば、二酸化炭素)の供給を受信するように適合および構成される。送気サブユニット121は、送気導管118を通してシステム100の残りに送気ガスを送達する。送気サブユニット121は、送気導管118を通る外科用腔190の圧力を感知する内部圧力センサー(図示せず)と、供給源140からシステム100への送気流体の追加を周期的に停止および開始して、周期的な圧力測定を促進する送気制御(図示せず)と、を含む。
【0041】
ガス送達システム100は、制御ユニット110上に提供された、または制御ユニット110に関連して提供されるものなど、制御パネルを通して、ユーザーによって操作、または制御される。こうした制御パネルは、ユーザーが、スイッチ、タッチスクリーン、または他のユーザーインターフェースによるなど、マルチモード外科用ガス送達システムのモードを選択できるように適合および構成されることが好ましい。例えば、動作モード、ならびに特定のモードに対する動作パラメータの選択を許容するグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)が提供されうる。理解および認識されるように、制御パネルは、システム100と一体的に提供されてもよく、または周知のデータ通信手段を用いてシステム100から遠隔に位置してもよい。
【0042】
動作モードとしては、限定されないが、送気、煙排出、煙排出と送気との組み合わせ、再循環、または再循環と煙排出との組み合わせが挙げられる。モードに対する動作パラメータには、例えば、流量(例えば、リットル/分)、圧力(例えば、mmHg)、および条件パラメータ(例えば、温度および湿度)などを含みうる。
【0043】
本明細書で使用される場合、単独またはその他のモードと組み合わされる「再循環」モードは、十分な動作圧力および流量を提供して、参照により本明細書に組み込まれる、本出願の譲受人に譲渡された、米国特許第7,854,724号および第8,795,223号に記載されるものなどの、空気圧封止された外科用アクセス装置を駆動するのに適したものである。
【0044】
また、管セット150が提供され、これは、一方の端部において供給導管114、戻り導管112および送気導管118に接続し、反対側の端部において、外科用腔190と流体連通する複数の外科用アクセス装置131、133、135に接続するよう適合および構成される。管セット150の構成は、上述の通り、所望の実施に応じて変化しうる。システム100の場合、管セット150は、入力181、出力183、および送気185ポートへの一元のマルチルーメン接続と、個別の外科用装置131、133、135への個々の接続とを有することが好ましい。管セット150は、ポート181、183、185から開始して制御ユニット110から所定の距離の複合マルチルーメン管を有し、中間点において分岐155が複数の個々の管を生じうることが想定される。システム100の場
合、三つの個々の管は、外科用装置131、133、135のそれぞれに個々につながり、これらは送気能力を有する外科用アクセス装置、または一つ以上のベレスニードルなどのその他の器具でありうる。外科用装置131、133、135はこうして、供給導管114、戻り導管112および送気導管118のうちの一つに個別に接続されるため、それぞれがその機能を促進する。
【0045】
上記に記載するように、一つの好ましい態様では、管セット150の個々の遠位管部分は、従来的な外科用装置上のルアーロック取付具などの従来的な取付具によって接続される。管セット150の正確な構成は、所望の構成に応じて変化しうる。マルチルーメン管セット用の取付具の一例は、本出願の譲受人に譲渡された米国特許第9,526,886号に記載されており、この開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0046】
使い捨てフィルター116はまた、管セット150とは個別に、あるいは管セット150と一体的に、管セット150に関連付けられる。送気、煙排出および再循環機能を備えた、専用の空気圧封止された外科用アクセス装置で用いられる、マルチモードガス送達システム100での使用に適したフィルターは、米国特許第9,067,030号および第9,526,849号に開示されており、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0047】
システム100に関連して用いられる使い捨て管セット150および/またはフィルター116には、許可された使用を許可する、あるいは不正使用を防止する、識別装置が提供されうることが想定される。このような識別装置には、制限されるものではないが、その上に提供される無線周波数識別(RFID)トランスポンダ、コンピュータ可読データチップ、バーコードまたはその他のデータ通信要素が挙げられる。また、フィルターまたは管セット上の識別装置は、ガス送達システム100に、特定の動作モード(例えば、再循環、煙排出、または標準的な送気など)に自動的に切り替えるか、またはその開始を生じさせる、またはこれを指示しうることが想定される。
【0048】
さらに図1を参照すると、システム100はさらに、流体供給導管114に関連する第二のダンプバルブ115を含む。さらに、上述の背圧制御バルブ113の短絡動作に対して、システム100には、図示するように機械的または電気的でありうる圧力センサー117が提供されている。センサー117は、送気導管118またはその他の腹圧源と流体連通する。過圧状態が感知されると、圧力センサー117はダンプバルブ115に、システム100から流体を放出するよう合図する。
【0049】
システム100は、送気および感知機能に使用される一つの外科用装置131と、腹部から送気ガスを除去するよう機能する別の外科用装置135と共に使用されうるが、送気ガスはその後、ポンプ111に戻る前に、超低透過エア(「ULPA」)フィルター要素116などのフィルターを通過する。フィルター116は、それを通過するガスからすべてまたは本質的にすべての煙および破片を除去するように構成および適合されることが好ましく、ガスは、第三の外科用装置133を通って腹腔190に戻る。図示されるように、別のフィルター要素116が、ポンプ111からつながる供給導管114と関連して提供されてもよい。
【0050】
さらに図1を参照すると、上述のように、本発明のガス送達システム100は、外科処置の間に体腔内で吸引が用いられる時に体腔圧を維持するように構成される。これに関して、気腹装置制御ユニット110はさらに、吸引装置127と真空源130との間の流体連通を促進する導管124をさらに含む。流量計125は、導管124を通って流れるガスの量を測定するために導管124と連通している。流量計125は、測定信号をコントローラ126に送信してガス流の量を示す。コントローラ126は、流量計125によっ
て提供される測定信号を用いて、吸引装置127によって外科用腔190から除去されるガスの量を補うのに必要な送気ガスの量を決定する。
【0051】
コントローラ126は、いくつかの方法の一つでガス除去と補填を達成する。例えば、コントローラ126は、通気サブユニット121と連通して、導管118を通る送気ガス流を増大させることができる。別の方法として、コントローラ126はバルブ、例えば、バルブ113を起動させて、送気ガス出力を増大させるか、またはシステムを通して再循環されるガスの量を減少させてもよい。別の実施形態では、コントローラ126は、ポンプ、例えば、流体ポンプ111と連通して、システムを通る送気ガス流を調整しうる。吸引機構127によって体腔190から除去されるガスを補うために取られるアクションに関わらず、任意の選択された動作モードにおいて体腔190内の気腹の安定性が維持される。
【0052】
吸引機構127は、例えば、米国特許第5,609,573、6,527,743号、または6,918,902号に開示されている装置などの、組み合わされた吸引/洗浄器具であることが好ましく、それの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらの器具は通常、ユーザーが、ボタンを押すことによって、または器具自体のトリガーを引き出すことによって、吸引または洗浄を起動させることを可能にするように設計されている。吸引/洗浄機器127の洗浄部分は、液体源128、例えば、食塩水のIVバッグに接続される。吸引/洗浄機器127の吸引部分は、流体収集キャニスター129に接続され、これは次に、入力ポート186を介して、導管124を通って制御ユニット110に接続される。導管124は、真空源130、例えば、従来の壁真空源または従来のスタンドアロン真空源に接続される。
【0053】
図3を参照すると、本発明のガス送達システム100の別の実施形態では、吸引のための真空源は、物理的に位置するか、あるいは、制御ユニット110と共に含まれうる。この場合、ポンプ142は、導管124を介して吸引/洗浄器具127の吸引部分からガスを引き出す。次いで、システム100は、図1を参照して上述したように、流量計125によって外科用腔190における気腹の安定性を維持するよう動作する。
【0054】
フィルター144は、ポンプ142からの排気ガスをフィルタリングするために提供され、流体収集キャニスター129の下流のいずれかの場所に位置すしうる。図示するように、ガス送達システム100の制御ユニットはさらに、液体源128から導管145を通って吸引/洗浄器具127の洗浄部分へ流体をポンプするために用いられる流体ポンプ143を含む。吸引/洗浄器具127の洗浄部分は、出力ポート187を通して制御ユニット110に接続されている。
【0055】
ポンプ142および143の起動は、吸引/洗浄器具127から信号を受信すると、コントローラ126によって制御されうる。別の方法として、ポンプ142および143は、システム100が、吸引および洗浄機能が吸引/洗浄器具127によって制御されて動作するときに、動作状態で維持されうる。システム100の代替的な実施形態は、ポンプ142および143のいずれかまたは両方を含みうる。この実施形態は、上述の第一、第二、および第三の動作モードのそれぞれと互換性がある。また、ポンプ142またはポンプ143、あるいはその両方は、システム100とは独立して動作して、送気ガスの供給に影響を与えることなく、送気、洗浄、またはその両方に独立して影響を及ぼしうる。このタイプの動作モードの一例は、通気が必要ではない、非腹腔鏡処置における吸引/洗浄の使用である。
【0056】
コントローラ126によって吸引機構127を送気サブユニット121に直接的または間接的に接続することで提供される本発明のシステム100の追加的な利点は、吸引装置
127の使用を止める時に、送気をリアルタイムで停止することができることである。すなわち、外科医が吸引機構127を起動させなくなると、送気ガス流は直ちに通常の状態に戻る。吸引停止時に直ちに送気を停止させるこの能力は、体腔内の過圧状態および圧力スパイクを防止する。この能力は、吸引が加えられると一般的に腔圧を維持するために送気を増大させ、吸引が停止されると、一般的には気腹装置が動作し続け、これが体腔内に圧力スパイクを生じさせうる、従来の気腹装置とは対照的である。
【0057】
一例として、図1を参照すると、外科処置の間、吸引機構127が起動されて破片、煙または流体を体腔から取り除く時に、流量計が導管124を通る30L/分の流れを測定し、コントローラに、導管118を通した体腔への送気ガスの流れを増大するよう通気ユニット121にコマンドさせる。吸引が停止すると、導管124を通る流れはもはやなくなるため、流量計125は0L/分の流れを測定し、送気ユニット121に、ガス流を停止、減少、または通常のモードに、あるいは所定のガス流量に戻るよう、リアルタイムでコマンドしうる。
【0058】
別の方法として、図3の構成では、真空ポンプ130が起動すると、コントローラ126が送気サブユニット121に、ガス流を増大するようにコマンドすることができるように、リンク146を通して信号がコントローラに送信され、真空ポンプ130が停止すると、コントローラ126が対応して、送気サブユニット121に通常の流れ状態に戻るようにコマンドできるように、リンク146を通して対応する信号がコントローラ126に送信される。
【0059】
図4を参照すると、別の実施形態では、ガス送達システム100の制御ユニット110は、外科用腔190において吸引が開始されたことを示す、吸引/洗浄システム127からの信号を受信するように構成される。図示されるように、信号は、通信ポート188を通して、制御ユニット110と吸引/洗浄システムとの間の有線接続146を介して受信される。
【0060】
あるいは、この通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)または近距離無線通信(NFC)接続を通して無線で生じうる。Bluetooth(登録商標)および近距離無線通信はいくつかの特徴を共有し、両方とも短距離にわたる装置間の無線通信の形態である。NFCは約4センチメートルの距離に限られ、Bluetooth(登録商標)は30フィート以上に達しうる。
【0061】
図4の実施形態では、ガス送達システム100は、吸引/洗浄器具127、液体源128、流体収集キャニスター129、および真空源130を含む。コントローラ126は、吸引/洗浄システムによって外科用腔190から除去されるガスを補うのに必要な送気ガスの量を調節するために、通信ポート188によって提供される信号を用いる。吸入/洗浄システムからの信号が吸引流についての情報を含む時、制御ユニット110は上述のように通気ガス流を補う。別の方法として、制御ユニット110は、所定の方法で、例えば、所定量だけ通気ガス流を増大させることによって、対応しうる。
【0062】
その他の外科用器具は、この通信システムを用いて、ガス送達システム100の制御ユニット110と通信できることが想定される。例えば、多くの外科処置は、組織を切断または凝固するための電気焼灼器具の使用を伴う。典型的には、これらの器具が用いられる時、外科用腔190内に煙が生成される。腔における視覚化を改善するためには、外科処置の間に外科用腔から煙を除去することが望ましい場合がある。これは吸引方法によって行われることが多く、吸引方法は、外科用腔190の気腹の安定性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0063】
煙除去のその他の方法は、大量の新しい送気ガスを導入すること、または多量の送気ガスの再循環を維持する必要がある。煙排出を、煙が生成されるときにターゲットして、外科用腔190に提供される送気ガスの量を低減する、または外科用腔190における気腹の安定性を維持することは、有利でありうる。
【0064】
図5を参照すると、本発明のガス送達システム100が図示されており、ここで制御ユニット110は、電気焼灼装置148およびエネルギー発生装置147を含む電気焼灼システムに動作可能に関連付けられている。この方法で使用されうる電気焼灼エネルギー発生装置の適切な例は、米国特許第7,972,329号、第7,736,358号、および第7,540,871号に開示されており、それらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0065】
制御ユニット110は、電気焼灼器具148が外科用腔190内で用いられていることを示す信号を電気焼灼装置148および/またはエネルギー発生装置147から受信する。信号は、制御ユニット110と電気焼灼システムとの間の有線接続149を介して、通信ポート188を通って受信される。あるいは、この通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)または近距離無線接続を通して無線で行うことができる。コントローラ126は、通信ポート188に提供される信号を用いて、送気ユニット121からの新しい送気ガスの流れまたはポンプ111による既存の送気ガスの再循環を調節して、外科用腔190からの煙の除去の改善を促進する。
【0066】
使用時、電気焼灼器具148が外科用腔190で使用されていないことを示す信号を受信した後、コントローラ126は、体腔への新たな送気ガスの流れを再調整する、または、既存の送気ガスの再循環を適切なレベルに再調整しうる。また、電気焼灼システムおよび制御ユニット110は、同一のユニットに組み合わされて、相互に独立して、あるいは相互に併用されて用いられうることが企図される。
【0067】
本開示は、好ましい実施形態を参照して図示および説明されているが、当業者は、本開示の範囲を逸脱することなく、本開示に適切な変更および/または修正を行いうることを容易に理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021年6月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科処置の間に患者の体腔に送気ガスを送達するためのシステムであって、
a) 圧力調整装置を通って送気ガスの供給源から送気ガスの供給を受け前記患者の前記体腔に送気ガスを送達するため、及び前記体腔で安定した気腹を形成するために空気圧封止されたトロカール、制御バルブ及び再循環ポンプと連通する流路を通して前記患者の前記体腔に所定の流量で送気ガスを循環させるための気腹装置と、
b) 前記外科処置の間に前記体腔から固体、液体およびガスを除去するために真空源に接続された吸引装置であって、前記吸引装置が、前記気腹装置により前記体腔に送達される送気ガスの前記所定の流量よりも多い流量でガスを体腔から取り除くことで、前記体腔の気腹が不安定になる原因となる、前記吸引装置と、
c) 前記真空源と前記吸引装置との間の連通を提供する前記流路外の導管と、
d) 前記吸引装置の使用によって前記体腔から除去された前記導管を通って流れるガスの量を測定するために前記導管と連通する流量計と、
e) 前記流量計から流れ測定値を受信して、前記吸引装置が用いられる時に、前記吸引装置の使用によって前記体腔から除去されたガスの量を補うために前記気腹装置によって前記体腔に送達する必要がある送気ガスの量を判定するために前記流量計に動作可能に接続されたコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記外科処置の間に前記吸引装置が用いられる時に前記体腔内の気腹の安定性を維持するように前記空気圧封止されたトロカールを通って前記システムを通して循環するガスの量をゼロにはさせずに調整するために前記気腹装置、前記制御バルブ及び前記再循環ポンプと通信するように適合および構成され、
前記吸引装置は、前記コントローラを通って前記気腹装置に動作可能に接続されており、前記吸引装置の使用が停止するときに、前記体腔での加圧状態と圧力スパイクを避けるために、前記コントローラは前記気腹装置をすぐに前記所定の流量での前記体腔への送気ガスの循環に戻す、システム。
【請求項2】
前記コントローラが、前記気腹装置に、前記流路を通り必要とされる前記送気ガスの量を増大させて、前記吸引装置によって前記体腔から除去された前記ガスの量を補うように適合および構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラが、前記吸引装置の使用を停止した時に、前記気腹装置に前記流路を通り必要とされる前記送気ガスの量を減少または停止させるように適合および構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラが、前記制御バルブを起動させて前記流路を通って流れる前記ガスの量を制御して、送気ガス出力を増加させるか再循環するガスの量を減らすかによって、前記吸引装置によって前記体腔から除去された前記ガスの量を補うように適合および構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記吸引装置が洗浄装置としても構成され、洗浄液の供給源がこれに接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
流体収集キャニスターが前記吸引装置と関連付けられる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
流体ポンプが、洗浄液を前記洗浄装置に送達するために前記洗浄液の供給源に動作可能に関連付けられる、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記流体ポンプが、前記コントローラに動作可能に接続され、かつ前記コントローラによって制御される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記真空源が、前記導管を通して前記吸引装置と連通する真空ポンプである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
フィルターが、前記真空ポンプと動作可能に関連付けられ、前記真空ポンプからの排気ガスをフィルタリングする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記真空ポンプが、前記コントローラに動作可能に接続され、前記コントローラによって制御される、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
有線通信リンクが、前記真空源と前記コントローラとの間に存在する、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
無線通信リンクが、前記真空源と前記コントローラとの間に存在する、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
内視鏡外科処置の間に患者の体腔に送気ガスを送達するためのシステムであって、
a) 圧力調整装置を通って送気ガスの供給源から送気ガスの供給を受け前記患者の前記体腔に送気ガスを送達するため、及び前記体腔で安定した気腹を形成するために空気圧封止されたトロカール、制御バルブ及び再循環ポンプと連通する流路を通して前記患者の前記体腔に所定の流量で送気ガスを循環させるための気腹装置と、
b) 前記気腹装置により前記体腔に送達される送気ガスの前記所定の流量よりも多い流量でガスを体腔から取り除き前記体腔の気腹が不安定になる原因となる吸引装置の使用によって前記体腔から除去されたガスの量を測定するための流量計と、
c) 前記流量計から流れ測定値を受信して、前記吸引装置が用いられる時に、前記吸引装置の使用によって前記体腔から除去されたガスの量を補うために前記気腹装置によって前記体腔に送達する必要がある送気ガスの量を判定して前記患者の前記体腔内の安定的な腔圧を維持するために前記流量計に動作可能に接続されたコントローラとを備え
前記コントローラは、前記外科処置の間に前記吸引装置が用いられる時に前記空気圧封止されたトロカールを通って前記システムを通して循環するガスの量をゼロにはさせずに調整するために前記気腹装置、前記制御バルブ及び前記再循環ポンプと通信するように適合および構成され、
前記コントローラを通って前記気腹装置に動作可能に接続された前記吸引装置の使用が停止するときに、前記体腔での加圧状態と圧力スパイクを避けるために、前記コントローラは前記気腹装置をすぐに前記所定の流量での前記体腔への送気ガスの循環に戻す、システム。
【請求項15】
前記吸引装置は、前記外科処置の間に前記体腔から固体、液体およびガスを除去するために真空源に接続されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記真空源と前記吸引装置との間の連通を提供する導管をさらに備え、前記流量計が前記導管と通信して、除去された前記ガスの量を測定する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記コントローラが、前記気腹装置に前記流路を通る前記送気ガスの流れを増大させて、前記吸引装置によって前記体腔から除去された前記ガスの量を補うように適合および構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記コントローラが、前記吸引装置の使用を停止した時に、前記気腹装置に前記流路を通る前記送気ガスの流れを減少または停止させるように適合および構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラが、バルブを起動させて前記流路を通って流れる前記ガスの量を制御して、前記吸引装置によって前記体腔から除去された前記ガスの量を補うように適合および構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記吸引装置が、洗浄装置としても構成され、洗浄液の供給源が流体収集キャニスターに沿ってこれに接続される、請求項15に記載のシステム。