【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 集会における発表/公開日:令和1年10月23日〜11月4日 集会名「第46回東京モーターショー2019」 集会における発表/公開日:令和1年11月25日〜12月13日 集会名「2019 MAZDA EUROPEAN TECHNOLOGY & DESIGN FORUM」
【解決手段】充電ボックス構造2は、車両1の内外を隔てる外側平面部12と、外側平面部12と劣角を形成するように交差する内周面11とを有するチャージリッドボックス10と、外側平面部12に設けられたインジケーター用孔部12aに組み付けられるとインジケーター22と、内周面11に設けられた照明用孔部11aに組み付けられると照明部品21とで構成され、インジケーター22及び照明部品21を一体的に保持するとともに、外側平面部12に締結固定される保持部材30と、外側平面部12と内周面11とが形成する劣角側から、外側平面部12に保持部材30を締結固定する締結部材42とを備え、保持部材30は、締結部材42による締結に伴って、内周面11へ向けて変形可能に構成されている。
車両の内外を隔てるチャージリッドボックスの第1面に設けた第1孔部に対して第1電気部品を組み付け、前記第1面と劣角を形成するように交差するチャージリッドボックスの第2面に設けた第2孔部に対して第2電気部品を組み付ける電気部品組付方法であって、
締結部材を用いて、前記第1電気部品及び前記第2電気部品を一体的に保持した保持部材を、前記第1面と前記第2面とが形成する劣角側から、前記第1面又は前記第2面のうちの一方の面に締結固定する工程と、
前記締結部材による締結に伴って、他方の面に向けて前記保持部材を変形させる工程とを備えた
電気部品組付方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の問題を鑑み、互いに交差するそれぞれの面に電気部品を組み付ける組付作業性を向上させることができる車両の充電ボックス構造及び電気部品を組み付ける電気部品組付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、車両の内外を隔てる第1面と、前記第1面と劣角を形成するように交差する第2面とを有するチャージリッドボックスと、前記第1面に設けられた第1孔部に組み付けられる第1電気部品と、前記第2面に設けられた第2孔部に組み付けられる第2電気部品とで構成された車両の充電ボックス構造であって、前記第1電気部品及び前記第2電気部品を一体的に保持するとともに、前記第1面又は前記第2面のうちの一方の面に締結固定される保持部材と、前記第1面と前記第2面とが形成する劣角側から、前記一方の面に前記保持部材を締結固定する締結部材とを備え、前記保持部材は、前記締結部材による締結に伴って、他方の面へ向けて変形可能に構成されたことを特徴とする。
【0008】
またこの発明は、車両の内外を隔てるチャージリッドボックスの第1面に設けた第1孔部に対して第1電気部品を組み付け、前記第1面と劣角を形成するように交差するチャージリッドボックスの第2面に設けた第2孔部に対して第2電気部品を組み付ける電気部品組付方法であって、締結部材を用いて、前記第1電気部品及び前記第2電気部品を一体的に保持した保持部材を、前記第1面と前記第2面とが形成する劣角側から、前記第1面又は前記第2面のうちの一方の面に締結固定する工程と、前記締結部材による締結に伴って、他方の面に向けて前記保持部材を変形させる工程とを備えてもよい。
【0009】
上述の車両の内外を隔てるとは、車幅方向、車両前後方向あるいは車両上下方向において、車両の外部と内部とを隔てることをいう。
前記保持部材は、一方の面に対する締結に伴い他方の面に押し付けられるように変形すればどのような構成でもよく、例えば、弾性を有する弾性部材で構成された保持部材や、第1面に対する締結に伴って第2面へ向けて変形あるいは他部材が突出して変位する保持部材などのことをいう。
【0010】
この発明によれば、互いに交差する第1面と第2面のそれぞれに電気部品を組み付ける組付作業性を向上させることができる。
詳述すると、本発明は、保持部材を第1面又は第2面の一方の面に締結固定することで、第1面の第1孔部に第1電気部品を組み付けることができるとともに、保持部材を第2面に向けて押し付けて変形させることができる。これにより、保持部材に保持された第2電気部品を、第1面と劣角を形成するように交差する第2面の第2孔部に組み付けることができる。
【0011】
このように、保持部材を第1面又は第2面の一方の面に締結固定するだけで、第1面の第1孔部と第2面の第2孔部に対して第1電気部品と第2電気部品とを略同時に組み付けることができるため、チャージリッドボックスに対する第1電気部品及び第2電気部品の組付作業性を向上することができる。
【0012】
また、第1電気部品及び第2電気部品を保持部材で保持するため、第1電気部品及び第2電気部品をそれぞれ別々の保持部材で保持した場合に比べて、部品点数の増加を抑えることができる。
【0013】
さらにまた、締結部材による締結に伴って、保持部材を一方の面に密着させるとともに、保持部材が他方の面へ向けて変形して他方の面に密着させた場合には、一方の面と保持部材との隙間、及び他方の面と保持部材との隙間からの水分が侵入することを阻止できる。
【0014】
このように本発明である車両の充電ボックス構造及び電気部品組付方法は、第1電気部品及び第2電気部品の組付作業性を向上させるとともに、部品点数の増加を抑えることができる。また、保持部材を第1面及び第2面に密着させた場合に、チャージリッドボックスと第1電気部品及び第2電気部品との間における止水性を向上させることができる。
【0015】
この発明の態様として、前記締結部材は、前記第1電気部品又は前記第2電気部品を挟んで2つ設けられてもよい。
この発明によると、第1電気部品又は第2電気部品を挟んだ二か所で保持部材を一方の面に締結することができるため、強い力でバランスよく前記保持部材を一方の面に対して締結できる。すなわち、保持部材を一方の面に確実に締結しつつ、保持部材を確実に変形させることができる。
【0016】
したがって、バランスよく第1電気部品又は第2電気部品の一方を第1面又は第2面の一面に押し付けることができるとともに、保持部材の変形に伴い他方の電気部品を他の面に確実に押し付けることができ、第1電気部品及び第2電気部品を第1孔部及び第2孔部に対して確実に組み付けることができる。
【0017】
また、強い力でバランスよく前記保持部材を一方の面に対して締結できるため、第1面及び第2面と保持部材とをより接触させることができ、第1面及び第2面と保持部材との隙間からの浸水を防止できる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記保持部材は、前記第1電気部品を囲繞するとともに、前記第1面に当接する第1シール部と、前記第2電気部品を囲繞するとともに、前記第2面に当接する第2シール部とを備えてもよい。
前記第1シール部及び第2シール部は、保持部材とは別体、又は保持部材と一体に構成されたものをいう。また、第1シール部及び第2シール部は別体でも一体でもよい。
【0019】
この発明により、車両の充電ボックス構造は、第1面と保持部材との隙間及び第2面と保持部材との隙間に、第1シール部及び第2シール部がそれぞれ押し付けられるため、第1孔部と保持部材との隙間及び第2孔部と保持部材との隙間からの浸水をより確実に阻止できる。したがって、車両の充電ボックス構造は、チャージリッドボックスと保持部材との間における止水性をより向上することができる。
【0020】
さらにまた、第1シール部又は第2シール部が2つの締結部材の間に配設される場合には、締結部材の締結に伴って保持部材に加わる押圧荷重を第1シール部又は第2シール部に安定して作用させることができる。これにより、第1シール部又は第2シール部をより確実に第1面又は第2面に密着させることができ、第1孔部と保持部材との隙間及び第2孔部と保持部材との隙間からの浸水をより確実に阻止できる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記第1シール部及び前記第2シール部は、前記第1面及び前記第2面に頂点部分が当接する断面略三角形の環状体で形成されてもよい。
この発明によると、保持部材を第1面及び第2面の一方に締結した際に、面に押し付ける強さに比例して第1シール部又は第2シール部の一方が一方の面と当接して潰れる。これにより、一方の面との間で確実に止水することができる。
【0022】
また、一方の面に強く押し付けることにより、保持部材を他方の面に向けて変形させることとなる。これにより、第1シール部又は第2シール部の他方を他方の面に押し付けることができ、保持部材と他方の面との間での水の侵入を防止できる。
【0023】
加えて、第1シール部又は第2シール部を他方の面に当接させた場合に、弱い力で押し付けられたとしても、第1シール部及び第2シール部の他方の先端側は反発力が小さく変形しやすいため、シール部分が押し付けられ確実に止水することができる。
【0024】
このように、車両の充電ボックス構造は、第1面と第1シール部及び第2面と第2シール部とを確実に当接させるとともに、第1孔部と第1シール部及び第2孔部と第2シール部の当接状態を安定して確保することができる。これにより、チャージリッドボックスに対する保持部材の組付作業性を向上させるだけでなく、チャージリッドボックスと保持部材との間における止水性をさらに向上することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記チャージリッドボックスは、車幅方向に向いた平面部と、前記平面部の中央側に開口を形成する円筒状の内周面を備え、前記第2面は、開口部分における環状の前記内周面であり、前記第1電気部品は、車両に設けたバッテリーの充電状態を示す充電状態インジケーターであり、前記第2電気部品は、照明部品であってもよい。
【0026】
この発明により、外部から目視できる面に第1面に組み付けられた充電状態インジケーター(第1電気部品)が組み付けられるとともに、開口部分における環状の内周面に照明部品(第2電気部品)が組み付けられる。このため、外部から充電状態インジケーターを目視して充電量を確認することができるとともに、チャージリッドボックスにおける開口部分に設けられた充電口を照明部品で照らすことができる。したがって、簡単に充電量を確認することできるとともに、例えば屋外にある駐車場のような暗い場所であっても充電用コネクタを充電口に容易に接続することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記第1面と前記第2面とは互いに直交し、前記保持部材は、弾性体で構成され、前記締結部材は前記他方の面と略平行となる方向に固定されてもよい。
この発明により、第1面又は第2面の一方の面に対して略垂直な方向に保持部材を押し付けて固定することができるため、保持部材を一方の面に確実に固定しつつ、最も効率よく変形させることができる。したがって、他方の面に保持部材を確実に押し付けて、第2電気部品を第2孔部に確実に組み付けることができる。
【発明の効果】
【0028】
この発明により、互いに交差するそれぞれの面に電気部品を組み付ける組付作業性を向上させることができる車両の充電ボックス構造及び電気部品を組み付ける電気部品組付方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
この発明の一実施形態を、以下図面とともに説明する。
本実施形態の車両1は、駆動用の電力を充電するための充電用コネクタを連結する充電口が設けられた充電ボックス構造2が車両1の右後方に備えられた電動車両である。このような車両1の充電ボックス構造2について、
図1から
図9を用いて説明する。
【0031】
図1は、車両後部の右側面図を示し、
図2はチャージリッドボックス10における照明部品21とインジケーター22が組み付けられた部位を車幅方向外側から視た拡大斜視図を示し、
図3は保持部材30が固定された状態のチャージリッドボックス10を車幅方向内側(裏面側)から見た裏面図を示す。
【0032】
図4は保持部材30が固定されていない状態のチャージリッドボックス10の裏面図を示し、
図5は保持部材30の構造を説明する説明図を示す。
図6乃至
図9は照明部品21とインジケーター22をチャージリッドボックス10に組み付ける組付方法の説明図を示す。
【0033】
図1及び
図3、
図4、
図5について詳述すると、
図1(a)は車両1の後方全体の側面図を示し、
図1(b)はチャージリッドボックス10の拡大側面図を示す。また、
図3(a)は照明部品21とインジケーター22を保持する保持部材30が固定された状態のチャージリッドボックス10の裏面図を示し、
図3(b)は
図3(a)におけるα部の拡大図を示し、
図4(a)は保持部材30が固定されていない状態のチャージリッドボックス10の裏面図を示し、
図4(b)は
図4(a)におけるβ部の拡大図を示す。
図5について詳述すると、
図5(a)は保持部材30の平面図を示し、
図5(b)は
図5(a)中のB−B矢視断面図を示す。
【0034】
なお、
図1(b)及び
図2乃至
図4において、チャージリッドボックス10の内部を明示するため、チャージリッドボックス10を覆う蓋については省略している。また、
図2は、保持部材30を明示するため、チャージリッドボックス10を構成する内周面11及び外側平面部12については破線で示し、内周面11及び外側平面部12が透過した状態を示している。
【0035】
図6乃至
図9について詳述すると、
図6は照明部品21とインジケーター22を組み付ける前のチャージリッドボックス10を裏面側(車幅方向内側から車幅方向外側に向けて)から視た拡大斜視図を示し、
図7乃至
図9はチャージリッドボックス10に対する照明部品21とインジケーター22の組付方法の説明を示す断面図を示す。なお、
図7乃至
図9に示す断面図は、
図3中におけるA−A矢視断面図に対応する。
【0036】
なお、図中において、矢印Fr及びRrは前後方向を示しており、矢印Frは前方を示し、矢印Rrは後方を示している。また、矢印INは車幅方向内側を示し、矢印OUTは車幅方向外側を示している。
【0037】
本実施形態の車両1には、
図1に示すように、照明部品21とインジケーター22が組み付けられたチャージリッドボックス10が車両1の右後方の側面に設けられている。
【0038】
この照明部品21とインジケーター22は保持部材30に保持されており、保持部材30をチャージリッドボックス10に対して固定することにより、照明部品21とインジケーター22をチャージリッドボックス10に組み付けることができる。このように、チャージリッドボックス10に対して固定される保持部材30と、保持部材30に保持された照明部品21とインジケーター22と、チャージリッドボックス10とで構成された構造を充電ボックス構造2とする。
【0039】
チャージリッドボックス10は、
図1(b)に示すように、車両前後方向に沿った長軸を有する長楕円状の筒状体であり、中央部分には車幅方向に沿って貫通した貫通孔S1を有する。なお、この貫通孔S1に、車両1の内部に搭載された充電バッテリーの充電口(図示省略)を挿通することで、チャージリッドボックス10に充電口が設けられる。
【0040】
チャージリッドボックス10について詳述する。チャージリッドボックス10は、
図1及び
図2、
図3、
図4に示すように、貫通孔S1を構成する円筒の内周面11と、車両後方において内周面11の車幅方向外側の端部と連結する外側平面部12と、車両前方において内周面11の車幅方向内側の端部と連結する内側平面部13とで構成されている。また、チャージリッドボックス10の裏面(車幅方向内側の面)には保持部材30を固定する固定部40が備えられている。
【0041】
内周面11は、
図1(b)及び
図2に示すように、車幅方向外側(チャージリッドボックス10の表側)から視て略長楕円状に構成された円筒の壁面であり、車両後方側には照明部品21を取り付ける照明用孔部11aが設けられている(
図2参照)。
照明用孔部11aには、内周面11を板厚方向に貫通させた照明用孔S2が構成されており、後述する照明部21aが嵌め込まれている。
【0042】
外側平面部12は、
図1(b)及び
図2に示すように、内周面11の車幅方向外側の端部から径外側に向けて延出する平面であり、車幅方向内側において内周面11と劣角を形成している。具体的には、外側平面部12は内周面11と略直交しており、車幅方向に向いた面、すなわち車両1の外側から目視可能な面を構成している。なお、内周面11は外側平面部12の略中央部分に構成されている。
【0043】
外側平面部12における照明用孔部11aの後方には、
図1及び
図2、
図4に示すように、インジケーター22を組み付けるインジケーター用孔部12aが設けられている。このインジケーター用孔部12aは、車幅方向内側に向けて窪んで構成された略円筒体であり、中央部分には板厚方向に貫通させた円形状のインジケーター用孔S3が構成されている。そしてインジケーター用孔部12aにはインジケーター表示部22aが嵌め込まれている。
【0044】
外側平面部12におけるインジケーター用孔部12aが設けられた箇所の裏面側には、
図3及び
図4に示すように、照明部品21とインジケーター22を保持する保持部材30を固定する固定部40が設けられている。
【0045】
固定部40は、
図4及び
図6に示すように、外側平面部12の裏面から車両方向内側に突出した表示部固定部41と、表示部固定部41を挟んで立設する2つの締結部材42とで構成されている。
【0046】
表示部固定部41は、
図4に示すように、外側平面部12の裏面から車幅方向内側に向けて突出させた有底の略円筒体であり、車体内側に突出する筒状の本体部分と、本体部分の車体内側に構成された底部とで構成されている。
この表示部固定部41の底部は所定の面積を有した円環状の底面であり、中央には板厚方向に貫通したインジケーター用孔部12aが設けられている。
【0047】
締結部材42は、
図2及び
図3、
図4に示すように、外側平面部12に直交するとともに、インジケーター用孔部12aの中心と照明用孔部11aの中心とを結んだ面に対して面対称の位置に設けられている。この締結部材42は、
図3及び
図4、
図6に示すように、外側平面部12の裏面に立設している被締結部42aと、被締結部42aに締結する締結ボルト42bとで構成されている。そして、
図3及び
図6に示すように、被締結部42aと締結ボルト42bとで後述する保持部材30を締結固定している。
【0048】
被締結部42aは、外側平面部12の裏面に対して垂直方向に立設する円筒である。すなわち、被締結部42aは内周面11に対して略平行となるように外側平面部12の裏面から車幅方向内側に立設している。また、その高さは後述する保持部本体31の高さよりもわずかに低くなっている。なお、被締結部42aの中央部分には、締結ボルト42bを挿通するためのボルト挿通孔が開口形成されている。
締結ボルト42bは、被締結部42aに対して螺合可能なボルトである。
【0049】
内側平面部13は、
図1(b)に示すように、外側平面部12の車両前方において、外側平面部12の車幅方向内側の端部から径方向内側に向けて延出された平面であり、外側平面部12とで充電口を挿通させるための円筒状の貫通孔S1を形成している。
【0050】
チャージリッドボックス10に組み付けられた照明部品21は、チャージリッドボックス10に設けられた充電口を照らすための照明機器である。この照明部品21は、
図1及び
図2に示すように、内周面11に設けられた照明用孔部11aに対して嵌め込むための矩形状の照明部21aを備えている。
【0051】
インジケーター22は、
図1及び
図2に示すように、車両1の内部に搭載された充電バッテリーの充電量を表示するための表示機器であり、車幅方向外側から視て円形状に構成されたインジケーター表示部22aを備えている。なお、インジケーター表示部22aは、外側平面部12に設けられたインジケーター用孔部12aに嵌め込まれている。
【0052】
これらの照明部品21とインジケーター22を保持する保持部材30は、照明部品21とインジケーター22を収容する保持部本体31と、保持部本体31をチャージリッドボックス10に組み付けるための組付固定部32と、チャージリッドボックス10と保持部材30との間の止水性を確保するためのシール部33とで構成されている。
【0053】
保持部本体31は、外力が作用することにより変形可能に構成されたアクリル製の筐体で構成されており、照明部品21及びインジケーター22の制御基板などの電子部品を内部に収容している。なお、
図5(b)や
図7乃至
図9において、保持部本体31の内部に配置されている照明部品21及びインジケーター22の電子部品は図示を省略する。
【0054】
具体的には、保持部本体31は、
図5に示すように、保持部本体31の側面を構成する側面部31aと、固定状態において外側平面部12と対向する平面部31bと、平面部31bの対向面である底面部とを有する。
【0055】
側面部31aは、平面部31b及び底面部と互いに直交するように構成されている。また、側面部31aのうち固定状態において内周面11と対向する面には、照明部品21の照明部21aが外側に向けて突出するように設けられている。
【0056】
平面部31bには、充電バッテリーの充電量を表示するインジケーター22の表示部が、外側に向けて突出するように設けられている。
なお、保持部本体31の底面部には、保持部本体31の内部に収容されている電子部品と電気的に接続可能なコネクタが突出している。
【0057】
組付固定部32は、保持部材30を固定部40に対して固定するための部材であり、保持部本体31と一体構成されている。
この組付固定部32は、保持部本体31の底面と略同形に構成された平板状の組付板32aと、側面部31aの一部分を覆う外壁部32bと、保持部材30を固定部40に固定した状態において締結部材42と対応する位置に設けられた被固定部32cとで一体に構成されている。
【0058】
組付板32aの中央部分には、保持部本体31の底面部から突出しているコネクタを挿通する挿通孔が設けられている。
外壁部32bは、組付板32aの外周縁から側面部31aに沿って立設する壁部であり、側面部31aの一部分を覆っている。具体的には、外壁部32bは、照明部21aが設けられた側面部31aを除く側面部31aを覆っている。
【0059】
被固定部32cは、固定状態における締結部材42に対応する位置において、組付板32aから保持部材30の側面方向に突出している。また、締結部材42に対応する位置には、組付固定部32の板厚方向に沿って貫通したボルト挿通部32dが設けられている。
【0060】
このボルト挿通部32dは、外径が被締結部42aの外径よりも小さく、被締結部42aに螺合する締結ボルト42bの外径と略同じとなるように構成されている。すなわち、被締結部42aに対して締結ボルト42bを螺合することにより、保持部材30も締結ボルト42bの挿入方向に向けて押し付けられることとなる。
【0061】
シール部33は、断面が略三角形状をした弾性部材で構成されている。具体的には、
図5(b)に示すように、シール部33の断面は保持部本体31の外側に向けて傾斜面が形成された略二等辺三角形状に形成されている。
【0062】
このシール部33は、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、照明部21aを囲繞する照明シール部33aと、インジケーター表示部22aを囲繞する表示部シール部33bと、照明シール部33aと表示部シール部33bを連結する連結シール部33cとで構成されている。
【0063】
照明シール部33aは、
図2及び
図5に示すように、照明部21aが露出する側面部31aにおいて、照明部21aの外縁と所定の間隔を隔てて矩形状に構成され、照明部21aを囲繞している。なお、照明シール部33aの高さは、照明部21aの突出量よりも低い。
【0064】
表示部シール部33bは、
図5(a)に示すように、組付板32aにおいて、インジケーター表示部22aの外縁と所定の間隔を隔てて円形状に構成され、インジケーター表示部22aを囲繞している。なお、照明シール部33aと同様に、表示部シール部33bの高さは、インジケーター表示部22aの突出量よりも低い。
【0065】
次に、照明部品21とインジケーター22を保持する保持部材30を、固定部40に固定し、チャージリッドボックス10に対して照明部品21とインジケーター22を組み付ける方法について、
図6乃至
図9に基づいて説明する。
【0066】
簡単に説明すると、チャージリッドボックス10に対する照明部品21とインジケーター22の組付方法は、照明部品21とインジケーター22を保持する保持部材30を外側平面部12の裏面側に配置する配置工程と、保持部材30を締結部材42で締結固定する締結工程と、保持部本体31を変形させて照明部21aを照明用孔部11aに組み付ける変形工程とで構成されている。
【0067】
詳述すると、
図6及び
図7に示すように、平面部31bから突出するインジケーター表示部22aがインジケーター用孔部12aと対向するとともに、保持部材30のボルト挿通部32dが被締結部42aと対応する位置となるように、保持部材30を外側平面部12の裏側に配置する(配置工程)。これにより、側面部31aのうち照明部21aが突出する面は内周面11と対向する方向に配置される。
【0068】
次に、このようにチャージリッドボックス10の裏面に保持部材30配置された状態で、被締結部42aに対して締結ボルト42bを螺合させる(締結工程)。
詳しくは、
図6及び
図7に示すように、被締結部42aと締結ボルト42bとの間に被固定部32cが配置された状態で、被締結部42aに対して締結ボルト42bを螺合する。これにより保持部材30が車幅方向外側に向けて押し付けられることとなり、インジケーター表示部22aがインジケーター用孔部12aに組み付けられる。
【0069】
このとき、表示部シール部33bは外側平面部12と当接し、断面形状が略二等辺三角形状に構成された表示部シール部33bの頂点部分が押し潰される。これにより、表示部シール部33bと外側平面部12が密着し、保持部材30と外側平面部12との間の止水性を確保することができる(
図8参照)。
【0070】
続けて、
図9に示すように、被締結部42aに対して締結ボルト42bをさらに螺合させることにより、平面部31bが表示部固定部41の底部に押圧される。この保持部本体31は外力が作用することにより変形可能に構成されているため、表示部固定部41の底部による押圧で、照明部21aが設けられた側面部31aが内周面11に向けて延出する。すなわち、
図9中に示す変形方向Fに向けて延出するように保持部本体31が変形する(変形工程)。これにより、照明部21aが照明用孔部11aに組み付けられることとなる。
なお、本実施形態では、外壁部32bが内周面11と反対側を支持しているため、保持部本体31は内周面11側に変形しやすくなっている。
【0071】
このとき、断面形状が略二等辺三角形状に構成された表示部シール部33bはさらに押し潰され、表示部シール部33bと外側平面部12がより密着する。これにより、保持部材30と外側平面部12との間の止水性を確実に確保することができる。
【0072】
また、照明シール部33aは内周面11と当接することで、断面形状が略二等辺三角形状に構成された照明シール部33aの頂点部分が押し潰される。これにより、照明シール部33aと内周面11が密着し、保持部材30と内周面11との間の止水性を確保することができる(
図9参照)。
【0073】
このように、チャージリッドボックス10と照明部品21とインジケーター22と保持部材30とで構成された充電ボックス構造2では、保持部材30を外側平面部12に螺合するだけで、照明部21a及びインジケーター表示部22aが、内周面11及び外側平面部12に対して略同時に組み付けることができる。
【0074】
以上のように、充電ボックス構造2は、車両1の内外を隔てる外側平面部12と、外側平面部12と劣角を形成するように交差する内周面11とを有するチャージリッドボックス10と、外側平面部12に設けられたインジケーター用孔部12aに組み付けられるとインジケーター22と、内周面11に設けられた照明用孔部11aに組み付けられると照明部品21とで構成されている。そして充電ボックス構造2は、インジケーター22及び照明部品21を一体的に保持するとともに、外側平面部12に締結固定される保持部材30と、外側平面部12と内周面11とが形成する劣角側(車幅方向内側)から、外側平面部12に保持部材30を締結固定する締結部材42とを備えている。そして、保持部材30は、締結部材42による締結に伴って、内周面11へ向けて変形可能に構成されている。
【0075】
これにより、充電ボックス構造2は、保持部材30を外側平面部12に締結固定することで、外側平面部12のインジケーター用孔部12aにインジケーター22を組み付けるとともに、保持部材30を外側平面部12に押し付けて変形させることができる。したがって、保持部材30に保持された照明部品21を、外側平面部12と劣角を形成するように交差する内周面11の照明用孔部11aに組み付けることができる。
【0076】
このように、充電ボックス構造2は、保持部材30を外側平面部12又は内周面11の外側平面部12に締結固定するだけで、互いに交差する外側平面部12のインジケーター用孔部12aと内周面11の照明用孔部11aに、インジケーター22と照明部品21とを略同時に組み付けることができる。したがって、チャージリッドボックス10に対するインジケーター22及び照明部品21の組付作業性を向上することができる。
【0077】
また、インジケーター22及び照明部品21を保持部材30で保持するため、インジケーター22及び照明部品21をそれぞれ別々の保持部材30で保持した場合に比べて、部品点数の増加を抑えることができる。
【0078】
さらにまた、締結部材42による締結に伴って、保持部材30(表示部シール部33b)を外側平面部12に密着させるとともに、保持部材30を内周面11へ向けて変形させ、保持部材30(照明シール部33a)を内周面11に密着させることができる。これにより、内周面11と保持部材30との隙間、及び外側平面部12と保持部材30との隙間からの水分が侵入することを阻止できる。
【0079】
このように充電ボックス構造2は、インジケーター22及び照明部品21の組付作業性を向上させるとともに、部品点数の増加を抑えることができる。また、保持部材30を内周面11及び外側平面部12に密着させることで、チャージリッドボックス10と照明部品21及びインジケーター22との間における止水性を向上させることができる。
【0080】
また、締結部材42は、インジケーター22を挟んで2つ設けられていることにより、インジケーター22を挟んだ二か所で保持部材30を外側平面部12に締結することができる。すなわち、強い力でバランスよく保持部材30を外側平面部12に対して締結でき、保持部材30を外側平面部12に確実に締結しつつ、保持部材30を確実に変形させることができる。
【0081】
したがって、バランスよくインジケーター22をインジケーター用孔部12aに押し付けることができるとともに、保持部材30の変形に伴いに照明部品21を内周面11に確実に押し付けることができ、インジケーター22及び照明部品21をインジケーター用孔部12a及び照明用孔部11aに対して確実に組み付けることができる。
【0082】
また、強い力でバランスよく保持部材30を外側平面部12に対して締結できるため、外側平面部12及び内周面11と保持部材30とをより接触させることができ、外側平面部12及び内周面11と保持部材30との隙間からの浸水を防止できる。
【0083】
また、保持部材30は、インジケーター22を囲繞するとともに、外側平面部12に当接する表示部シール部33bと、照明部品21を囲繞するとともに、内周面11に当接する照明シール部33aとを備えている。
【0084】
これにより、充電ボックス構造2は、インジケーター用孔部12aと保持部材30との隙間及び照明用孔部11aと保持部材30との隙間に、表示部シール部33b及び照明シール部33aを押し付けることができる。
【0085】
この表示部シール部33b及び照明シール部33aにより、インジケーター用孔部12aと保持部材30との隙間及び照明用孔部11aと保持部材30との隙間からの浸水をより確実に阻止でき、チャージリッドボックス10と保持部材30との間における止水性をより向上することができる。
【0086】
また、表示部シール部33bが2つの締結部材42の間に配設されているため、締結部材42の締結に伴って保持部材30に加わる押圧荷重を表示部シール部33bに安定して作用させることができる。これにより、表示部シール部33bをより確実に外側平面部12に密着させることができ、外側平面部12と保持部材30との隙間の浸水をより確実に阻止できる。
【0087】
さらにまた、表示部シール部33b及び照明シール部33aは、外側平面部12及び内周面11に頂点部分が当接する断面略三角形の環状体で形成されている。これにより、保持部材30を外側平面部12に締結した際に、外側平面部12に押し付ける強さに比例して表示部シール部33bが外側平面部12と当接して潰れ、外側平面部12との間で確実に止水することができる。
【0088】
また、表示部シール部33bを外側平面部12に強く押し付けることによる反発力が保持部材30に作用するため、保持部材30はより内周面11に向けて変形する。これにより、照明シール部33aを内周面11に押し付けることができ、保持部材30と内周面11との間での水の侵入を防止できる。
【0089】
加えて、締結部材42による締結に伴って、照明シール部33aを弱い力で内周面11に押し付けられたとしても、照明シール部33aの先端側は反発力が小さく変形しやすいため、照明シール部33aが内周面11に押し付けられ確実に止水することができる。
【0090】
このように、充電ボックス構造2は、外側平面部12と表示部シール部33b及び内周面11と照明シール部33aとを確実に当接させるとともに、インジケーター用孔部12aと表示部シール部33b材及び照明用孔部11aと照明シール部33aの当接状態を安定して確保することができる。
【0091】
これにより、チャージリッドボックス10に対する保持部材30の組付作業性を向上させるだけでなく、チャージリッドボックス10と保持部材30との間における止水性をさらに向上することができる。
【0092】
また、チャージリッドボックス10は車幅方向を向いた外側平面部12と、外側平面部12の中央側に開口を形成する内周面11とで構成され、外部から目視できる面である外側平面部12にインジケーター22が組み付けられるとともに、開口部分における環状の内周面に照明部品21が組み付けられる。
【0093】
このため、外部から充電状態インジケーターを目視して充電量を確認することができるとともに、チャージリッドボックス10における開口部分に設けられた充電口を照明部品21で照らすことができる。したがって、簡単に充電量を確認することできるとともに、例えば屋外にある駐車場のような暗い場所であっても充電用コネクタを充電口に容易に接続することができる。
【0094】
また、外側平面部12と内周面11とは互いに直交し、保持部材30は、弾性体で構成され、保持部材30は内周面11と略平行となる方向に固定されている。これにより、外側平面部12に対して略垂直な方向に保持部材30を押し付けえ固定することができるため、保持部材30を外側平面部12に確実に固定しつつ、最も効率よく変形させることができる。したがって、内周面11に保持部材30を確実に押し付けて、照明部品21を照明用孔部11aに確実に組み付けることができる。
【0095】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の車両は、実施形態の車両1に対応し、
以下同様に、
第1面は、外側平面部12に対応し、
第2面は、内周面11に対応し、
チャージリッドボックスは、チャージリッドボックス10に対応し、
第1孔部は、インジケーター用孔部12aに対応し、
第1電気部品は、インジケーター22に対応し、
第2孔部は、照明用孔部11aに対応し、
第2電気部品は、照明部品21に対応し、
車両の充電ボックス構造は、充電ボックス構造2に対応し、
保持部材は、保持部材30に対応し、
締結部材は、締結部材42に対応し、
第1シール部は、組付固定部32に対応し、
第2シール部は、シール部33に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0096】
例えば、本実施形態において、外側平面部12の裏面側から外側平面部12に対して保持部材30を締結固定しているが、必ずしも外側平面部12に保持部材30を締結固定する必要はない。例えば、内周面11に対して締結部材42が立設しており、内周面11に対して保持部材30を固定してもよい。この場合、保持部材30は、外側平面部12と略平行となるように内周面11に立設した締結部材42による締結に伴って、外側平面部12へ向けて変形可能に構成されることとなる。
【0097】
また、本実施形態において、チャージリッドボックス10は車両後部の右側面に設けられているが、必ずしもこの場所に限定されず、例えば車両後部の左側面、車両前部の上面や前面、側面、車両の後面にあってもよい。
【0098】
さらにまた保持部材30は、外側平面部12に対する締結に伴い内周面11に押し付けられるように変形する構成そしているが、例えば、弾性を有する弾性部材で構成され弾性変形する構成であってもよい。また、外側平面部12に対する締結に伴って、他部材が突出して変位し保持部本体が内周面11に押し付けられるような内部機構を有する保持部材であってもよい。