【解決手段】位相制御式調光部2からの位相制御出力が入力され、この入力される位相制御出力をPWM制御出力に変換するPWM変換回路3であって、前記位相制御出力に対応して直流のパルス状波形を生成するパルス状波形生成部30と、前記パルス状波形の有無を、一定の単位カウント時間に亘って計測サンプリング信号によってカウントして計測する計測部を有し、前記計測部の計測結果に基づき、計測結果に対応したパルス幅のPWM制御信号を出力する制御処理手段6と、を具備する。
前記計測による計測結果に対応したパルス幅のPWM制御信号における出力の更新は、PWM制御信号のパルス幅の変化を緩和して補間することにより実行されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のPWM変換回路。
前記一定の単位カウント時間は、40ms(ミリ秒)〜2s(秒)であり、前記計測サンプリング信号の出力間隔は1μs(マイクロ秒)〜2ms(ミリ秒)であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のPWM変換回路。
前記制御処理手段から出力されるPWM制御信号は、正論理と負論理とに切換え可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のPWM変換回路。
前記制御処理手段から出力されるPWM制御信号は、リニア出力と対数的出力とに切換え可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のPWM変換回路。
前記制御処理手段から出力されるPWM制御信号は、複数チャンネルとして構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のPWM変換回路。
前記位相制御式調光器の調光用の操作部を操作して、最大位相出力としたときの前記計測サンプリング信号によるカウントの値と、最小位相出力としたときの前記計測サンプリング信号によるカウントの値とを前記制御処理手段に記憶させることを特徴とする請求項9に記載のLED調光システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第1の実施形態に係るPWM変換回路、PWM変換方法及びLED調光システムについて
図1乃至
図9を参照して説明する。本実施形態のPWM変換回路は、位相制御式調光部からの位相制御信号をPWM制御信号に変換して、照明手段(LED照明器具)にPWM制御電力を供給し、照明手段を調光制御するものである。
【0015】
図1は、LED調光システムを示すブロック構成図である。
図1に示すように、LED調光システム1は、位相制御式調光部としての位相制御式調光器2と、PWM変換回路としてのPWM変換器3と、光源をLEDとする照明手段としてのLED照明器具4と、直流電源ユニット5とを備えている。
【0016】
位相制御式調光器2は、市販の位相制御方式による既設の調光器であり、商用交流電源ACに接続され、交流電圧の導通角を可変して位相制御出力によって白熱電球やハロゲン電球を調光するものである。位相制御式調光器2は、前面側が略矩形状の本体を備え、壁面に埋め込まれて取付けられる壁埋込形であり、その前面側には、調光用の操作部として回動操作摘み21、ON/OFFスイッチ22や表示ランプ23が設けられている。回動操作摘み21を回動操作することにより調光度を調節することができる。
【0017】
なお、調光用の回動操作摘み21はスライド式であってもよい。格別操作方式が限定されるものではない。また、位相制御式調光器2は、逆位相式のものであってもよい。
【0018】
PWM変換器3は、ボックス形の本体を有し、その本体内には絶縁降圧部31と、整流部32と、ノイズ除去部33と、制御処理手段6と、駆動回路部34とが設けられている。
【0019】
絶縁降圧部31は、絶縁トランスであり、商用交流電源ACからの入力電圧を例えば5V程度の電圧に降下させる。これにより、PWM変換器3内部での信号の取扱いを平易にすることができ、また、絶縁することで電気的な安全性を確保できる。
【0020】
絶縁降圧部31には整流部32が接続されている。整流部32は、ブリッジダイオードから構成された全波整流回路であり、絶縁降圧部31からの交流の入力信号を直流に整流する。
【0021】
整流部32にはノイズ除去部33が接続されている。ノイズ除去部33は、具体的には発光ダイオードとフォトトランジスタとからなるフォトカプラである。整流部32から直流に整流された信号はノイズ除去部33に入力される。整流部32からの入力信号は、ノイズ成分や波形の乱れを含んでいる場合があり、そのまま計測を行うとノイズ成分などを計測対象の信号と誤判定し、動作異常を生じることがある。このため、フォトカプラを駆動できない微細なノイズ成分を除去するとともに、波形を安定化させる。
【0022】
このような絶縁降圧部31、整流部32及びノイズ除去部33によって、直流のパルス状波形を生成するパルス状波形生成部30が構成されている。なお、パルス状波形生成部30は、位相制御式調光器3からの位相制御出力に対応した出力波形を生成するものであり、格別パルス状波形生成部30を構成する要素が限定されるものではない。
【0023】
ノイズ除去部33には、制御処理手段6が接続されている。制御処理手段6には、全体の制御をソフトウェアにより実行するマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」という)が用いられている。
【0024】
制御処理手段6であるマイコンは、概略的には、演算部、処理部、判定部、制御部及びカウント部を有するCPU61と、記憶手段であるROM62及びRAM63と、入出力制御手段とから構成されている。マイコンは、位相制御出力に対応するノイズ除去部33からの入力信号を演算処理してPWM制御信号に変換し駆動回路部34へ出力する。
【0025】
制御処理手段6の入出力制御手段には、駆動回路部34、設定変更部64、判別スイッチ65や選択スイッチ66が接続されている。設定変更部64は、ジャンパー線を備えていて、その接続を切換えることにより、LED照明器具4のLEDの特性に応じてPWM制御信号にガンマ補正の処理を行ったり、PWM制御信号をリニア出力と対数的出力に選択的に切換えたりすることができる。判別スイッチ65は、その操作によりLED照明器具4のタイプに応じてPWM制御信号を正論理と負論理に切換えることができる。
【0026】
選択スイッチ66は、詳細を後述するように、適用する位相制御式調光器2によってその出力範囲が異なることから、位相制御式調光器2の出力範囲とPWM変換器3側の出力との整合性を図るために用いられる。
【0027】
駆動回路部34は、電力増幅の機能を有し、直流電源ユニット5から直流出力を受けるとともに制御処理手段6から出力されるPWM制御信号が入力されて、このPWM制御信号に応じてLED照明器具4のLEDを点灯制御する。駆動回路部34は、FET等のスイッチング素子を有し、PWM制御信号の入力に応じてスイッチング素子がON/OFFし、駆動回路部34からLEDに流れる電流の導通時間比(デューティー比)を制御して調光する。なお、本実施形態では、PWM制御信号による制御によって100%点灯から約0%までにおいて4095諧調の調光が可能となっている。なお、諧調は適宜選択することができる。
【0028】
以上のようなPWM変換器3は、負荷インターフェイスユニット7を介して位相制御式調光器2に接続されている。負荷インターフェイスユニット7は、負荷装置を備えている。負荷装置は例えば、PWM変換器3に並列に接続されるブリーダ抵抗である。位相制御式調光器2によっては、PWM変換器3が十分な容量を有していないために正常に動作しない場合がある。このため適切な抵抗値の負荷装置を介在させている。なお、ブリーダ抵抗は、複数接続して調整するようにしてもよい。
【0029】
また、PWM変換器3の出力側には、LED照明器具4が接続されている。LED照明器具4は、例えば居室内に設置される照明器具である。光源として基板に実装された複数のLED41を有していて、PWM制御により点灯制御されるLED41から出射される光によって、居室内に光を照射するものである。LED41は、発光色が電球色、昼白色や昼光色等の白色系のLEDが用いられている。また、LEDは、表面実装型(SMD)のLEDパッケージが用いられているが、基板にLEDを直接的に実装するCOB(chip on board)型のものを用いてもよく、実装方式が格別限定されるものではない。なお、LED41は、発光色が白色系のものに限らず、赤色、緑色や青色に発光するものを用いることができる。
直流電源ユニット5は、例えば、商用交流電源を受けて直流出力を生成するものであり、駆動回路部34を通じてLED照明器具4へ電力を供給する。
【0030】
次に、LED調光システムの動作について
図2乃至
図9を参照して説明する。
図2乃至
図5は、PWM制御信号の生成方法を示し、
図6及び
図7は、PWM制御信号の補間方法を示し、
図8は、出力範囲の異なる位相制御式調光器の例を示している。また、
図9は、PWM制御信号の生成方法における別の例を示している。なお、LED調光システム1の動作は、主として制御処理手段6のソフトウェアによって実行される。
【0031】
LED調光システム1は、位相制御式調光器2からの位相制御信号をPWM変換器3でPWM制御信号に変換し、LED照明器具4にPWM制御電力を供給して、LED照明器具4を点灯制御する。
(PWM制御信号の生成方法)
【0032】
PWM制御信号の基本的な生成方法について説明する。
図2は、位相制御された波形からPWM制御信号に変換される過程を示すタイミングチャートであり、
図3は、計測値(カウント値)とPWM制御信号のデューティー比(調光比)との関係を示すグラフであり、
図4は、計測動作を示すフローチャートである。
【0033】
図2において、
図2(a)は、位相制御式調光器2から送信された位相制御入力が絶縁降圧部31の絶縁トランスによって降圧された後の出力波形であり、位相制御された交流波形である。例えば、調光操作に伴って導通角が変化して調光度が50%、60%、70%と変更されている状態を示している。
図2(b)は、整流部32のブリッジダイオードによって整流された後の直流の出力波形を示している。
【0034】
図2(c)は、整流後の出力波形がイズ除去部33のフォトカプラに入力する入力波形の状態を示している。フォトカプラには動作電圧が設定されていて、フォトカプラを駆動できない低電圧部分をカットして微細なノイズ成分の影響を除去し、フォトカプラの出力波形を
図2(d)に示すような直流のパルス状波形として波形を安定化させている。
【0035】
本実施形態では、位相制御式調光器3からの位相制御出力に対応した
図2(d)に示す出力波形の有無を計測する。具体的には、この出力波形が出力されているON(Hight)の状態をON/OFF計測サンプリング信号によって計測する。計測サンプリング信号は、10μs(マイクロ秒)毎の間隔で出力される信号であり、当該出力波形のON状態を計測サンプリング信号によってカウントする。つまり、当該出力波形のON状態の期間において、いくつの計測サンプリング信号が出力されているかによってカウントする。計測方法を図に従い以下に詳細に説明する。
<移動累計1の算出>
【0036】
(1)最初の調光度が50%の場合において、50ms(ミリ秒)間で計測サンプリング信号は、5000サンプル(5000回)出力されている。この50ms間において、前記出力波形のON状態の期間では2400サンプルの計測サンプリング信号が出力されており、2400カウントと算出する(カウント(1))。なお、開始時点の位相制御式調光器2の調光度によるカウント値は2400カウントとしている。
【0037】
(2)次の調光度が60%の場合において、50ms間での前記出力波形のON状態の期間では2900サンプルの計測サンプリング信号が出力されており、2900カウントと算出する(カウント(2))。
【0038】
(3)カウント(2)が終了すると、カウント(1)及びカウント(2)の100msの期間(「単位カウント時間」)における10000サンプル(10000回)のカウント値を合計し、5300カウントと算出し移動累計を決定する(移動累計1)。
(4)この移動累計1の5300カウントに対応した調光度のデューティー比によるパルス幅のPWM制御信号が制御処理手段6から出力される。
<移動累計2の算出>
【0039】
(1)調光度が70%の場合において、50ms間での前記出力波形のON状態の期間では3400サンプルの計測サンプリング信号が出力されており、3400カウントと算出する(カウント(3))。
【0040】
(2)カウント(3)が終了すると、直前の50ms間のカウント(2)及びカウント(3)の100msの期間(「単位カウント時間」)における10000サンプル(10000回)のカウント値を合計し、6300カウントと算出し移動累計を決定する(移動累計2)。
(3)そして移動累計の6300カウントに対応した調光度のデューティー比によるパルス幅のPWM制御信号が制御処理手段6から出力される。
<移動累計3の算出>
【0041】
前述と同様に、カウント(3)及びカウント(4)の100msの期間(「単位カウント時間」)における10000サンプル(10000回)のカウント値を合計し、7150カウントと算出し移動累計を決定し(移動累計3)、移動累計の7150カウントに対応した調光度のデューティー比によるパルス幅のPWM制御信号を制御処理手段6から出力する。以降同様な計測動作を繰り返し実行する。
【0042】
以上のようなPWM制御信号の生成のための計測方法は、制御処理手段6の計測部としてのカウント部において、パルス状波形の有無を、一定の単位カウント時間に亘って計測サンプリング信号によってカウントして計測し、カウント部のカウント結果に基づき、カウント結果に対応した調光度のデューティー比によるパルス幅のPWM制御信号を出力する。
【0043】
したがって、LED調光システム1は、位相制御式調光器2の回動操作摘み21を回動操作することにより調光度が調節された位相制御式調光器2からの位相制御信号を、PWM変換器3でPWM制御信号に変換し、LED照明器具4にPWM制御電力を供給して、LED照明器具4を点灯制御する。よって、LED照明器具4をノイズ等の影響を軽減して精度よく調光し点灯制御することができる。
【0044】
また、単位カウント時間は、一部(1/2)が重複して設定されている。具体的には、例えば、移動累計2の算出にあっては、移動累計1の算出におけるカウント(2)の期間が重複して設定されて、そのカウント値が算出情報として重複して用いられている。このように単位カウント時間が重複していることにより、移動累計1のカウント値と移動累計2のカウント値との変化の度合いを緩和することができ、LED照明器具4の点灯のちらつき感を抑制することができる。
【0045】
なお、本実施形態では、移動累計を算出するベースとなる期間(100ms)を「単位カウント時間」としており、計測動作は繰り返し行われることから、この単位カウント時間は繰り返し複数設定されることとなる。
【0046】
次に、移動累計のカウント値とPWM制御信号の出力との関係について
図3を参照して説明する。
図3は、計測サンプリング信号の0〜10000サンプルをPWM制御信号の出力0〜100%に割り振ったグラフである。横軸は出力波形のON状態のカウント値を示し、縦軸はPWM制御信号の出力(デューティー比)を示している。
【0047】
制御処理手段6は、このような移動累計のカウント値とPWM制御信号の出力との関係についてのデータテーブル有している。したがって、移動累計1のカウント値が5300カウントでは、デューティー比が53%のパルス幅のPWM制御信号が制御処理手段6から出力され、移動累計2のカウント値が6300カウントでは、デューティー比が63%のパルス幅のPWM制御信号が制御処理手段6から出力され、移動累計3のカウント値が7150カウントでは、デューティー比が71.5%のパルス幅のPWM制御信号が制御処理手段6から出力される。
【0048】
なお、例えば、移動累計1のデューティー比が53%のパルス幅のPWM制御信号によるLED41の点灯から、移動累計2のデューティー比が63%のパルス幅のPWM制御信号によるLED41の点灯への変更は、光の明るさの急激な変化となり、ちらつき感を生じる可能性がある。本実施形態では、このような不都合を解消するため、後述するように移動累計1による出力から移動累計2による出力へ更新して移行する際に、PWM制御信号の変化を緩和して補間する補間期間が設定されるようになっている。
【0049】
次に、
図4を参照してPWM制御信号の生成方法の流れの概要について説明する。なお、実施形態のPWM制御信号を生成できれば、各処理ステップの内容や順序の変更を許容するものである。
【0050】
LED調光システム1の起動が開始されると、計測サンプリング信号が10μs毎の間隔で出力される(ステップS1)。次いでフォトカプラから出力されるパルス状波形の有無、すなわち、ONか否かが判断される(ステップS2)。パルス状波形がONの場合には、計測サンプリング信号がカウントされ(ステップS3)、50ms間での計測サンプリング信号が5000サンプル出力されたか否かが判断される(ステップS4)。一方、ステップS2でパルス状波形がONではないOFFの場合には、ステップS3のカウントを行わずステップS4の判断が行われる。
【0051】
ステップS4で計測サンプリング信号が5000サンプル出力されている場合には、1回目としてのカウント(1)か否かを判断し(ステップS5)、カウント(1)のときはカウント(1)のカウント値を記憶手段に記憶する(ステップS6)。
【0052】
また、ステップS5で1回目としてのカウント(1)ではない場合には、2回目としてのカウント(2)か否かが判断され(ステップS7)、カウント(2)のときはカウント(2)のカウント値を記憶手段に記憶する(ステップS8)。次に、カウント(1)のカウント値にカウント(2)のカウント値を加算(カウント(1)値+カウント(2)値)し、移動累計1を算出する(ステップS9)。続いて、移動累計1を決定し(ステップS10)、移動累計1に対応したPWM制御信号を出力する(ステップS11)。
【0053】
同様に、ステップS7で2回目としてのカウント(2)ではない場合には、3回目としてのカウント(3)か否かが判断され(ステップS12)、カウント(3)のときはカウント(3)のカウント値を記憶手段に記憶する(ステップS13)。カウント(2)のカウント値にカウント(3)のカウント値を加算(カウント(2)値+カウント(3)値)し、移動累計2を算出する(ステップS14)。移動累計2を決定し(ステップS15)、移動累計2に対応したPWM制御信号を出力する(ステップS16)。以降は、同様なステップが繰り返し実行される。
【0054】
次に、
図5を参照して位相制御出力にノイズやばたつきが生じた場合の模式的なPWM制御信号の生成状態について説明する。
図5は、
図2に相当するタイミングチャートであり、
図2と重複する説明は省略する。
【0055】
図5(a)に示すように位相制御された出力の交流波形は、例えば、導通角が変化して出力としての調光度が50%、48%、52%、45%、55%と変更されている。この期間の出力の平均は50%となっている。ここで初期の出力50%の波形にはノイズが生じている。
【0056】
しかしながら、フォトカプラの動作電圧が設定されていて、フォトカプラを駆動できない低い電圧部分をカットするとともに高い電圧部分のみを取り出して、フォトカプラの出力波形を
図5(d)に示すような直流の安定したパルス状波形として出力される。
【0057】
したがって、パルス状波形のON状態の期間では2400サンプルの計測サンプリング信号が出力され、カウント値は2400カウントと算出される。このためノイズやばたつきが生じた場合であっても、ノイズがない50%の出力のときと同じカウント値となり、出力が50%となって安定化するように動作する。
(PWM制御信号の補間方法)
【0058】
図6及び
図7を参照してPWM制御信号の補間方法を説明する。
図6は、計測サンプリング信号の0〜10000サンプルをPWM制御信号の出力0〜100%に割り振ったグラフである。横軸は出力波形のON状態のカウント値を示し、縦軸はPWM制御信号の出力(デューティー比)を示している。本例では、開始値のカウント値が2400カウントであり、移動累計1のカウント値が5400カウントの場合を例示している。
【0059】
この場合、PWM制御信号の出力が24%から54%へ更新し変更されるが、この出力へ更新して移行する際に、PWM制御信号の変化を緩和して、つまり、PWM制御信号のデューティー比(パルス幅)を24%から54%へ緩やかに変化させて、PWM制御信号のパルス幅の変化を緩和して補間する補間期間が設定されるようになっている。補間は、PWM制御信号の出力の急峻な変更を回避して、変化を緩やかに行うものである。
【0060】
図7に示すように具体的には、PWM制御信号の出力24%(開始値)から出力54%(移動累計1値)への更新は、補間期間として50ms間が設定されて、この間に漸次行われる。開始値の出力24%から移動累計1値54%の間は、5ms毎にPWM制御信号の出力を緩やかに変化するように10の等間隔で更新される(5ms×10=50ms)。
【0061】
つまり、補間期間は、開始値の出力から移動累計1の出力の間に設定されており、この間において開始値の出力から移動累計1の出力へ徐々に近づくように出力が補間される。したがって、補間期間内にPWM制御信号の出力の更新が行われ、この更新処理は次の移動累計値が出力されると終了する。
【0062】
なお、開始値の出力と移動累計1値の出力との関係における補間について説明したが、移動累計1値の出力と移動累計2値の出力との関係においても同様な補間処理が行われる。
【0063】
したがって、
図2及び
図3において説明した移動累計1のカウント値に対応したPWM制御信号の出力から移動累計2のカウント値に対応したPWM制御信号の出力の間、及び移動累計2のカウント値に対応したPWM制御信号の出力から移動累計3のカウント値に対応したPWM制御信号の出力の間に補間が行われ、また、補間は次のPWM制御信号の更新の際も継続的に行われる。
【0064】
再び
図2を参照して示すように、カウントのタイミングと補間との関係では、カウント(3)の開始と同時に、開始値から移動累計1値まで5ms毎の10の等間隔で補間が行われ(出力24%→53%、1間隔2.9%)、カウント(4)の開始と同時に、移動累計1値から移動累計2値まで5ms毎の10の等間隔で補間が行われる(出力53%→63%、1間隔1%)。
以上のようにPWM制御信号の出力の更新の際に補間が行われるので、光の明るさの変化が緩和され、ちらつき感を抑制することが期待できる。
【0065】
なお、前述した計測サンプリング信号の出力間隔は1μs(マイクロ秒)〜2ms(ミリ秒)、カウント(1)、 カウント(2)、 カウント(3)・・・カウント(n)の各期間は20ms(ミリ秒)〜1s(秒)、単位カウント時間は40ms(ミリ秒)〜2s(秒)、補間期間は10μs(マイクロ秒)〜500ms(ミリ秒)に設定するのが好ましい。
【0066】
前述してきたPWM変換回路によるPWM変換方法は、位相制御式調光部としての位相制御式調光器2からの位相制御出力が入力され、この入力される位相制御出力をPWM制御出力に変換するPWM変換回路としてのPWM変換器3を備えていて、前記位相制御出力に対応して直流のパルス状波形を生成するステップと、前記パルス状波形の有無を、一定の単位カウント時間に亘って計測サンプリング信号によって繰り返しカウントして計測するステップと、前記計測結果に基づき、計測結果に対応したパルス幅のPWM制御信号を繰り返し出力するステップと、を含み、前記PWM制御信号を繰り返し出力するステップにおける当該ステップ間には、前記PWM制御信号のパルス幅の変化を緩和して補間するステップが設けられるものである。
(出力範囲の異なる位相制御式調光器)
【0067】
次に、
図8を参照して出力範囲の異なる位相制御式調光器の例について説明する。
図8は、出力範囲の異なる複数種の位相制御式調光器における計測サンプリング信号によるON状態のカウント値(カウント数)とPWM制御信号の出力との関係を示している。また、横軸は出力波形のON状態のカウント値を示し、縦軸はPWM制御信号の出力(デューティー比)を示している。
【0068】
位相制御式調光器を調光器A、調光器B及び調光器Cの3種類を用意した。一般的には調光器の種類によってその出力範囲(調光範囲)異なっており、調光器の出力範囲とPWM変換器側の出力との整合性を図る必要がある。そのため出力波形のON状態のカウント値の最小値と最大値を調べた。調光器Aでは最小値256カウント、最大値7000カウント、調光器Bでは最小値1122カウント、最大値6700カウント、調光器Cでは最小値5000カウント、最大値7600カウントとなっている。
図8は、この結果を基に各調光器のカウント値の最小値と最大値とを直線で結んで表している。
【0069】
したがって、各調光器に応じて出力波形のON状態のカウント値とPWM制御信号の出力との関係を設定することにより、各調光器に応じたPWM制御による調光を行うことができる。
【0070】
具体的な設定は、
図1に示す位相制御式調光器2の調光用の操作部としての回動操作摘み21を回動操作し、最大位相出力としたときに選択スイッチ66をONにし、最小位相出力にしたときに選択スイッチ66をOFFにすることにより行われる。この操作により最大位相出力としたときの前記カウント値と最小位相出力としたときの前記カウント値とを制御処理手段6の記憶手段に記憶させることができる。
【0071】
また、前記最大位相出力としたときに位相制御調光器2のON/OFFスイッチ22を5秒間以内に2回ON−OFFして続けて、1分以内に最小位相出力にしたときにON/OFFスイッチ22を5秒間以内に2回ON−OFFすることにより、最大位相出力としたときの前記カウント値と最小位相出力としたときの前記カウント値とを制御処理手段6の記憶手段に記憶させるようにしてもよい。
【0072】
さらに、位相制御調光器2の出力範囲に応じて、選択スイッチ66によりそのタイプを選択するようにしてもよい。この場合、選択スイッチ66にはロータリ式のスイッチを用いるのが好ましい。
(PWM制御信号の生成方法の別の例)
図9を参照してPWM制御信号の生成方法の別の例について説明する。
図9は、
図2の一部に相当する部分を抜き出して示すタイミングチャートである。
図9(d)はフォトカプラの出力波形を示しており、移動累計を算出する単位カウント時間との関係を示している。
【0073】
本例では、単位カウント時間は重複していない。前述のように単位カウント時間の一部が重複して設定されるのが好ましいが、必ずしも重複させる必要はない。重複させない場合であっても、パルス状波形の有無を、単位カウント時間に亘ってカウントするので、LED照明器具4をノイズ等の影響を軽減して精度よく調光し点灯制御することが期待できる。
また、単位カウント時間(移動累計1)と次の単位カウント時間(移動累計2)との間に所定の時間間隔を空けるようにしてもよい。
【0074】
以上のように本実施形態によれば、位相制御式調光部としての位相制御式調光器2からの位相制御出力をPWM変換回路としてのPWM変換器3でPWM制御出力に安定的に変換してLED照明器具4へ供給することができる。
【0075】
次に、
図10及び
図11を参照して第2の実施形態について説明する。本実施形態は、制御処理手段6から出力されるPWM制御信号が、複数チャンネルの2チャンネルとして構成されているものである。基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため重複する説明は省略する。
(実施例1)
【0076】
図10に示すように、LED照明器具4には、色温度が異なる発光色の複数のLED41が実装されている。例えば、発光色が電球色及び昼白色のLED41が実装されていて、1チャンネル目を発光色が電球色のLED41の調光に割当て、2チャンネル目を発光色が昼白色のLED41の調光に割当てることができる。
また、1チャンネル目を調光に割当て、2チャンネル目を発光色が電球色と昼白色のLED41の調光比率、すなわち、混光比率に割当てることもできる。
【0077】
したがって、チャンネルを切換えて調光制御したり、色温度が異なる発光色のLEDに応じてPWM制御出力の比率を調節して調色したりすることができ、多様な演出効果の実現が可能となる。
(実施例2)
【0078】
図11に示すように、2台のLED照明器具4a、4bがPWM変換器3に接続されている。したがって、チャンネルを切換えて各LED照明器具4a、4bを個別に調光制御することが可能となる。
【0079】
なお、チャンネルを切換えは、位相制御式調光器2の回動操作摘み21を回動操作し、最小位相出力としたときに位相制御調光器2のON/OFFスイッチ22を5秒間以内に2回ON−OFFして続けて、1分以内に最大位相出力にしたときにON/OFFスイッチ22を5秒間以内に2回ON−OFFすることにより、制御処理手段6の判定部で1チャンネル目と2チャンネル目とを判定させることができる。これにより、PWM制御信号を1チャンネル目と2チャンネル目とに切換えることができ、PWM制御電力を駆動回路部34を通じて1チャンネル目と2チャンネル目とに切換えてLED照明器具4に供給することが可能となる。
【0080】
以上の各実施形態において、LED照明器具4には、PWM制御信号に対して正論理で明るさが変化するタイプと負論理で明るさが変化するタイプとが存在する。したがって、各タイプに対応可能なように、判別スイッチ65を操作することによりPWM制御信号は正論理と負論理とに切換え可能になっている。
【0081】
また、使用者の調光操作の利便性を考慮して、PWM制御信号を比例的にリニア出力する場合と、視覚効果を考慮して、PWM制御信号を対数的出力にする場合とを切換えることができるようになっている。このような切換えは、前述した設定変更部64の切換え設定により行うことができる。
【0082】
本発明は、上記各実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、上記実施形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
本発明の実施形態によるPWM変換回路は、位相制御式調光部からの位相制御出力が入力され、この入力される位相制御出力をPWM制御出力に変換するPWM変換回路であって、前記位相制御出力に対応して直流のパルス状波形を生成するパルス状波形生成部と、前記パルス状波形の有無を、一定の単位カウント時間に亘って計測サンプリング信号によって
また、本発明の実施形態によるPWM変換方法は、位相制御式調光部からの位相制御出力が入力され、この入力される位相制御出力をPWM制御出力に変換するPWM変換回路を備え、前記位相制御出力に対応して直流のパルス状波形を生成するステップと、前記パルス状波形の有無を、一定の単位カウント時間に亘って計測サンプリング信号によって
繰り返しカウントして計測するステップと、前記計測結果に基づき、計測結果に対応したパルス幅のPWM制御信号を繰り返し出力するステップと、を含み、前記PWM制御信号を繰り返し出力するステップにおける当該ステップ間には、前記PWM制御信号のパルス幅の変化を緩和して補間するステップが設けられることを特徴とする。