特開2021-122339(P2021-122339A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-122339(P2021-122339A)
(43)【公開日】2021年8月30日
(54)【発明の名称】インナー手袋
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/14 20060101AFI20210802BHJP
   A41D 19/00 20060101ALI20210802BHJP
   A41D 13/08 20060101ALI20210802BHJP
   A41D 19/015 20060101ALN20210802BHJP
【FI】
   A63B71/14 Z
   A41D19/00 N
   A41D13/08
   A41D19/015 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2020-15667(P2020-15667)
(22)【出願日】2020年1月31日
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】500399770
【氏名又は名称】株式会社東栄
(74)【代理人】
【識別番号】100079371
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 庸男
(72)【発明者】
【氏名】小林 一
【テーマコード(参考)】
3B011
3B033
【Fターム(参考)】
3B011AA08
3B011AB14
3B033AA14
3B033AA27
3B033AB07
3B033AB20
(57)【要約】
【課題】格闘技の練習あるいは格闘技の動きを健康・美容のために取り入れたフィットネスの練習の際に利用されるグローブに挿入され、手首に続く前腕からの発汗を緒とした汚れによるグローブの悪臭化に対して有効な吸汗機能を奏するインナー手袋を提供する。
【解決手段】手指を覆う指部1と手の平や手の甲を覆う中央部2と手首を覆う手首部3とにより手袋状に形成されている。指部1と中央部2と手首部3とは内側の汗を吸汗する内側面Aと、外側の吸汗した汗の滲出を阻止する外側面Bとの積層構造とされている。手首部3は使用者の肘に近接する長尺に形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手指を覆う指部と手の平や手の甲を覆う中央部と手首を覆う手首部とにより手袋状に形成され、指部と中央部と手首部とは内側の汗を吸汗する内側面と、外側の吸汗した汗の滲出を阻止する外側面との積層構造とされ、手首部は使用者の肘に近接する長尺に形成されてなるインナー手袋。
【請求項2】
請求項1のインナー手袋において、手首部は端縁にある挿入口から中央部に向けて切込みが設けられていることを特徴とするインナー手袋。
【請求項3】
請求項2のインナー手袋において、切込みは中央部側の端部から挿入口に向けて拡開される形状であることを特徴とするインナー手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボクシング、キックボクシング、ムエタイ、空手等の格闘技の練習あるいは前記格闘技の動きを健康・美容のために取り入れたフィットネスの練習の際に使用されるグローブ内に挿入して使用されるインナー手袋に係る技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
ボクシング、キックボクシング、ムエタイ、空手等の徒手による打撃を伴う格闘技では、打撃の衝撃から相手の身体や自己の手首,拳等を保護するためにクッション材を内蔵したグローブが使用される。さらに、自己の手首,拳等には、打撃の衝撃からのさらなる保護のためにバンデージが装着される。このバンデージは包帯様の材料からなるものでバンデージの吸湿機能によりグローブ内の汗は吸汗される。
【0003】
バンデージは、テープ状に形成され、手首,拳等に怪我治療の包帯のように巻付ける装着形態が採られるものが一般的である。
然しながら、試合ではなく練習においてバンデージを装着するのは面倒でありこの種バンデージでは装着に手間がかかるし、基本的に手指を折り曲げて作る拳部分の汗には対処できるが、手首を含め手首から前腕部分の汗対策にはならない。よって汗による悪臭(特に革製品のグローブは汗臭さが強い)、に対処できる商品開発が要望されている。
【0004】
従来、比較的簡単に装着可能で吸汗可能にしたバンデージとしては、特許文献1に記載のものが知られている。
【0005】
特許文献1には、テープ状ではなく手袋状に形成されたバンデージが記載されている。
【0006】
特許文献1に係るバンデージは、手指先から挿入口に挿入する通常の手袋のような装着を行えば良いため、容易に装着が可能で手首から手指の吸汗は可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3128433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に係るバンデージでは、手首,拳からの発汗に対しては有効な吸汗機能を奏するものの、手首に続く前腕からの発汗に対しては有効な吸汗機能を奏することができないので、手首に向かって流れる汗によるグローブの汗臭さを防止できないという問題点がある。また相対での格闘技の打撃を伴わない練習、例えばサンドバッグなどを殴打する練習では拳に与える衝撃の保護というバンデージの必要度は低下し、更に、相対での打撃を伴わず、単に格闘技の練習方法が女性のためのフィットネスつまり美容,健康に良いとするエクササイズにおいては拳への衝撃を和らげるというバンデージの必要度はほぼゼロで、むしろグローブの汚れ、悪臭に敏感な女性の清潔感にマッチする用具の必要があると言う社会的背景がある。
【0009】
本発明は、このような問題点等を考慮してなされたもので、ボクシング、キックボクシング、ムエタイ、空手等の格闘技の相対で打撃を伴わない練習や格闘技の動きを健康・美容のために取り入れたフィットネスの練習の際にグローブに挿入され手首に続く腕からの発汗に対して有効な吸汗機能を奏し、グローブの悪臭化を防止できるインナー手袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の課題を解決するため、本発明に係るインナー手袋は、特許請求の範囲の各請求項に記載の手段を採用する。
【0011】
即ち、請求項1では、手指を覆う指部と手の平や手の甲を覆う中央部と手首を覆う手首部とにより手袋状に形成され、指部と中央部と手首部とは内側の汗を吸汗する内側面と外側の吸汗した汗の滲出を阻止する外側面との積層構造とされ、手首部は使用者の肘に近接する長尺に形成されてなる。
【0012】
この手段では、内側の汗を吸汗する内側面と外側の吸汗した汗の滲出を阻止する外側面との積層構造とされた手首部が使用者の肘に近接する長尺に形成されることで、手首に続く前腕からの汗をも吸汗することができる。
【0013】
また、請求項2では、請求項1のインナー手袋において、手首部は端縁にある挿入口から中央部に向けて切込みが設けられていることを特徴とする。
【0014】
この手段では、切込みが設けられることで手指先からの挿入に際し挿入口が拡開される。
【0015】
また、請求項3では、請求項2のインナー手袋において、切込みは中央部側の端部から挿入口に向けて拡開される形状であることを特徴とする。
【0016】
この手段では、切込みが拡開された形状とされることで、手首部の挿入口近くの一部が切除された格好となって手首部の開口部がやや広くなるので手指先を入れ易くかつインナー手袋の挿入口付近が摘まみ取り易くなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るインナー手袋は、内側の汗を吸汗する内側面と外側の吸汗した汗の滲出を阻止する外側面との積層構造とされた手首部が使用者の肘に近接する長尺に形成されることで、手首に続く腕からの汗をも吸汗することができるため、例えばボクシング等の格闘技の徒手による打撃を伴わない練習の際に、グローブに挿入され手首に続く前腕からの発汗に対して有効な吸汗機能を奏するので、汗がグローブ内を汚すことが少なく、汗によるグローブの悪臭化を防止することができる効果がある。
【0018】
さらに、請求項2として、切込みが設けられることで、手指先からの挿入の際に挿入口が拡開されるため、装着が容易になる効果がある。
【0019】
さらに、請求項3として、切込みが拡開された形状とされることで、手首部の挿入口近くの一部が切除された格好となって手首部を摘まみやすくなるため、手指先からの挿入の際に手首部を肘側へ引っ張りやすくなって、装着がより容易になる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るインナー手袋を実施するための形態の第1例を示す正面図(要部断面を含む)である。
図2図1の手指、前腕への装着状態図である。
図3図1の使用状態図である。
図4】本発明に係るインナー手袋を実施するための形態の第2例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るインナー手袋を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1図3は、本発明に係るインナー手袋を実施するための形態の第1例を示すものである。
【0023】
第1例は、手指を覆う指部1と、手の平や手の甲を覆う中央部2と、手首を覆う手首部3とにより手袋状に形成されている。一般的にミトン手袋と呼ばれる外観をしている。
【0024】
指部1と中央部2と手首部3とは、図1の断面に詳細に示されるように、内側の汗を吸汗する内側面Aと、外側の吸汗した汗の滲出を阻止する外側面Bとの積層構造とされている。内側面Aとしては、例えば、消臭性,肌接触性が良好で洗濯が可能な不織布が選択される。外側面Bとしては、例えば、防水性のある合成樹脂布が選択される。
【0025】
手首部3は、図1図2に示すように、長さaが使用者の肘Eに近接する長尺とされ、端縁にある挿入口4から中央部2に向けて切込み5が設けられている。この切込み5は、中央部2側の端部から挿入口4に向けて拡開された形状となっている。なお、切込み5については、例えば、図1に示される長さbが3.5cm程度で拡開幅が1.5cm程度とされる。
【0026】
また、手首部3の内側面Aの切込み5によって開放された部分には、サイズや使用者の名前等を表示する表示部6が設けられている。
【0027】
第1例を使用するには、図2に示すように、特許文献1に係るバンデージと同様、手指先から挿入口4に挿入する通常の手袋のような装着を行うことになる。このとき、表示部6が設けられているため、サイズを誤るとか他の使用者のものを誤用することがない。また、切込み5が設けられているため、手指先からの挿入の際に挿入口4が拡開されて装着が容易になる。また、切込み5が拡開された形状とされているため、手首部3の挿入口4近くの一部が切除された格好となって手首部3の端部を反対側の手で摘まみやすくなる。従って、手指先からの挿入の際に手首部3を肘E側へ引っ張りやすくなって、手指、前腕への装着がより容易になる。
【0028】
そして、図3に示すように、手指、前腕に装着された状態でそのままグローブG(図面ではボクシング用のものが表示されている。)に挿入する。この結果、本発明に係るインナー手袋はグローブGに包まれた格好となる。
【0029】
図3に示す状態でボクシング、キックボクシング、ムエタイ、空手等の格闘技の練習あるいは前記格闘技の動きを健康・美容のために取り入れたフィットネスの練習の際には、拳(手指)や手首から発汗した汗は勿論のこと、前腕から発汗した汗もが指部1,中央部2,手首部3の内側面Aに確実に吸汗されることになる。従って、前記格闘技の練習の際とか前記格闘技の動きを健康・美容のために取り入れたフィットネスの練習においても、手首に続く前腕からの発汗に対して有効な吸汗機能を奏することになる。そして、吸汗された汗は、指部1,中央部2,手首部3の外側面Bに阻止されてグローブGの内部に滲出することがない。従って、汗によるグローブGの内部の汚損が確実に防止される。また、消臭性のある指部1,中央部2,手首部3の内側面Aとすれば、グローブGの悪臭化もより一層防止される。
【0030】
なお、第1例については、使用後に洗濯することで繰返し使用が可能である。
【0031】
図4は、本発明に係るインナー手袋を実施するための形態の第2例を示すものである。
【0032】
第2例は、第1例における切込み5を手首部3の挿入口側に直線状に設けている。
【0033】
第2例によると、簡素化された切込み5ではあるものの、充分に第1例と同様の作用,効果を奏することができる。また、切込み5が手首部3の挿入口側に設けられることで、左右兼用型とすることができる。
【0034】
以上、図示した各例の外に、切込み5を複数箇所に設けることも可能である。
【0035】
さらに、指部1,中央部2,手首部3の内側面A,外側面Bの間や外側面Bの外側にクッション材を積層することも可能である。クッション材を積層することで、ボクシング,空手等の格闘技のある程度の相対による激しくない打撃を伴う練習にも供することができるようになる。
【0036】
さらに、指部1,中央部2,手首部3の内側面Aに凹凸構造のある布地等を選択することで、内部での拳等の滑り止め機能を備えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係るインナー手袋は、ボクシング、キックボクシング、ムエタイ、空手等の格闘技の練習あるいは前記格闘技の動きを健康・美容のために取り入れたフィットネスの練習、各種作業における吸汗、防臭用具として有効性を発揮する。
ボクシング,空手等の格闘技以外にも、グローブ様のものを使用するスポーツ,各種作業における吸汗用具として有用性を発揮する。
【符号の説明】
【0038】
1 指部
2 中央部
3 手首部
4 挿入口
5 切込み
A 内側面
B 外側面
E 肘
G グローブ
図1
図2
図3
図4