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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-122933(P2021-122933A)
(43)【公開日】2021年8月30日
(54)【発明の名称】工作機械およびワークの加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23B 41/02 20060101AFI20210802BHJP
   B23B 43/02 20060101ALI20210802BHJP
   B23B 43/00 20060101ALI20210802BHJP
   B23P 23/02 20060101ALN20210802BHJP
【FI】
   B23B41/02
   B23B43/02
   B23B43/00
   B23P23/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-20585(P2020-20585)
(22)【出願日】2020年2月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 茂次
(72)【発明者】
【氏名】赤井 柊吉
【テーマコード(参考)】
3C036
【Fターム(参考)】
3C036AA13
3C036LL07
(57)【要約】
【課題】旋回可能な工具保持部に保持された工具を用いてワーク加工を行なう場合に、良好なワークの加工精度が得られる工作機械およびワークの加工方法、を提供する。
【解決手段】工作機械は、ワークを保持し、水平方向に延びる中心軸201を中心にしてワークを回転させることが可能なワーク主軸111と、被支持部21を有し、工具を保持し、中心軸201と直交する中心軸204を中心にして旋回可能な工具主軸121と、工具主軸121に保持された工具によりワーク主軸111に保持されたワークを加工する場合に被支持部21を支持する支持部27(第2チャック機構118)を有し、中心軸204の周方向において工具主軸121の位置を保持する位置保持機構部26(対向ワーク主軸116)とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを保持し、水平方向に延びる第1軸を中心にしてワークを回転させることが可能なワーク主軸と、
被支持部を有し、工具を保持し、前記第1軸と直交する第2軸を中心にして旋回可能な工具保持部と、
前記工具保持部に保持された工具により前記ワーク主軸に保持されたワークを加工する場合に前記被支持部を支持する支持部を有し、前記第2軸の周方向において前記工具保持部の位置を保持する位置保持機構部とを備える、工作機械。
【請求項2】
前記位置保持機構部は、さらに、前記第2軸の軸方向において前記工具保持部の位置を保持する、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記位置保持機構部は、前記支持部としてセンターピンを有し、前記第1軸の軸方向において前記ワーク主軸と対向して配置され、前記第1軸の軸方向に移動可能な心押し台であり、
前記被支持部には、前記センターピンを受け入れ可能なピン孔が設けられ、
前記心押し台は、前記センターピンを前記ピン孔に挿入することによって、前記第2軸の周方向において前記工具保持部の位置を保持する、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記位置保持機構部は、前記支持部として、ワークを着脱可能に保持するためのチャック機構を有し、前記第1軸の軸方向において前記ワーク主軸と対向して配置され、前記第1軸の軸方向に移動可能な対向ワーク主軸であり、
前記対向ワーク主軸は、前記チャック機構により前記被支持部を把持することによって、前記第2軸の周方向において前記工具保持部の位置を保持する、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項5】
前記位置保持機構部は、前記支持部としてピン部材が装着され、前記第1軸の軸方向と、前記第1軸に直交する方向とに移動可能な刃物台であり、
前記被支持部には、前記ピン部材を受け入れ可能なピン孔が設けられ、
前記刃物台は、前記ピン部材を前記ピン孔に挿入することによって、前記第2軸の周方向において前記工具保持部の位置を保持する、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項6】
前記被支持部は、前記支持部による前記被支持部の支持時に、前記第1軸と交差する方向における前記工具保持部および前記位置保持機構部の相対的な移動を制限する第1状態と、前記支持部による前記被支持部の支持の解消時に、前記第1軸と交差する方向における前記工具保持部および前記位置保持機構部の相対的な移動を許容する第2状態との間で動作するロック機構を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項7】
水平方向に延びる第1軸を中心にしてワークを回転させることが可能なワーク主軸と、前記第1軸と直交する第2軸を中心にして旋回可能な工具保持部と、ワークの振れを防ぐための振れ止め装置とを備える工作機械を用いて、ワークを加工する方法であって、
前記ワーク主軸によりワークを保持する工程と、
前記工具保持部により工具を保持する工程と、
前記振れ止め装置によって前記工具保持部により保持された工具を支持しつつ、前記工具によって、前記ワーク主軸に保持された前記ワークを加工する工程とを備える、ワークの加工方法。
【請求項8】
前記工作機械は、前記第1軸の軸方向と、前記第1軸に直交する方向とに移動可能な刃物台をさらに備え、
前記振れ止め装置は、前記刃物台に装着される、請求項7に記載のワークの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工作機械およびワークの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2014−161941号公報(特許文献1)には、加工工具を保持するとともに、その加工工具を回転軸を中心にして回転させる工具スピンドルと、工具スピンドルを支える工具スピンドルホルダと、鉛直方向に延びる旋回軸を中心にして工具スピンドルホルダを旋回駆動させるモータとを備える加工装置が開示されている。特許文献1に開示される加工装置においては、加工工具の撓み量を推定し、ワークの被加工面の角度ずれが相殺されるように工具スピンドルホルダにおける加工工具の回転軸を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−161941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
B軸旋回可能な工具主軸等の工具保持部によりロングボーリングバー等の長尺工具を保持し、その長尺工具を用いてワークの加工を行なう場合がある。このような場合に、工具保持部が、工具の自重、または、ワーク加工時にワークから工具に加わる反力の影響を受けて、意図せずに旋回することがある。これにより、ワークの加工精度が低下するという問題が生じる。
【0005】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、旋回可能な工具保持部に保持された工具を用いてワーク加工を行なう場合に、良好なワークの加工精度が得られる工作機械およびワークの加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従った工作機械は、ワークを保持し、水平方向に延びる第1軸を中心にしてワークを回転させることが可能なワーク主軸と、被支持部を有し、工具を保持し、第1軸と直交する第2軸を中心にして旋回可能な工具保持部と、工具保持部に保持された工具によりワーク主軸に保持されたワークを加工する場合に被支持部を支持する支持部を有し、第2軸の周方向において工具保持部の位置を保持する位置保持機構部とを備える。
【0007】
このように構成された工作機械によれば、位置保持機構部により第2軸の周方向において工具保持部の位置を保持することによって、工具の自重、または、ワーク加工時にワークから工具に加わる反力の影響を受けた工具保持部が意図せずに第2軸の周方向に旋回することを防止できる。これにより、旋回可能な工具保持部に保持された工具を用いてワーク加工を行なう場合に、良好なワークの加工精度を得ることができる。
【0008】
また好ましくは、位置保持機構部は、さらに、第2軸の軸方向において工具保持部の位置を保持する。
【0009】
このように構成された工作機械によれば、ワーク加工時にワークから工具が加わる反力が第2軸の軸方向成分を含む場合であっても、位置保持機構部により第2軸の軸方向において工具保持部の位置を保持することによって、ワークの加工精度を良好に維持することができる。
【0010】
また好ましくは、位置保持機構部は、支持部としてセンターピンを有し、第1軸の軸方向においてワーク主軸と対向して配置され、第1軸の軸方向に移動可能な心押し台である。被支持部には、センターピンを受け入れ可能なピン孔が設けられる。心押し台は、センターピンをピン孔に挿入することによって、第2軸の周方向において工具保持部の位置を保持する。
【0011】
このように構成された工作機械によれば、位置保持機構部として心押し台を利用することによって、簡易な構成で、工具保持部が意図せずに第2軸の周方向に旋回することを防止できる。
【0012】
また好ましくは、位置保持機構部は、支持部として、ワークを着脱可能に保持するためのチャック機構を有し、第1軸の軸方向においてワーク主軸と対向して配置され、第1軸の軸方向に移動可能な対向ワーク主軸である。対向ワーク主軸は、チャック機構により被支持部を把持することによって、第2軸の周方向において工具保持部の位置を保持する。
【0013】
このように構成された工作機械によれば、位置保持機構部として対向ワーク主軸を利用することによって、簡易な構成で、工具保持部が意図せずに第2軸の周方向に旋回することを防止できる。
【0014】
また好ましくは、位置保持機構部は、支持部としてピン部材が装着され、第1軸の軸方向と、第1軸に直交する方向とに移動可能な刃物台である。被支持部には、ピン部材を受け入れ可能なピン孔が設けられる。心押し台は、ピン部材をピン孔に挿入することによって、第2軸の周方向において工具保持部の位置を保持する。
【0015】
このように構成された工作機械によれば、位置保持機構部として刃物台を利用することによって、簡易な構成で、工具保持部が意図せずに第2軸の周方向に旋回することを防止できる。また、位置保持機構部として利用する刃物台が、第1軸に加えて、第1軸に直交する方向に移動可能であるため、工具保持部および位置保持機構部の位置を、ワーク加工の進行に伴って変化する相互の位置関係に調整することができる。
【0016】
また好ましくは、被支持部は、支持部による被支持部の支持時に、第1軸と交差する方向における工具保持部および位置保持機構部の相対的な移動を制限する第1状態と、支持部による被支持部の支持の解消時に、第1軸と交差する方向における工具保持部および位置保持機構部の相対的な移動を許容する第2状態との間で動作するロック機構を有する。
【0017】
このように構成された工作機械によれば、ロック機構が第2状態に動作した場合に、第1軸と交差する方向における工具保持部および位置保持機構部の相対的な移動が許容されることによって、工具保持部および位置保持機構部の位置を、ワーク加工の進行に伴って変化する相互の位置関係に調整することができる。また、ロック機構が第1状態に動作した場合に、第1軸と交差する方向における工具保持部および位置保持機構部の相対的な移動が制限されることによって、工具保持部および位置保持機構部の位置を、調整された相互の位置関係に保持することができる。
【0018】
この発明に従ったワークの加工方法は、水平方向に延びる第1軸を中心にしてワークを回転させることが可能なワーク主軸と、第1軸と直交する第2軸を中心にして旋回可能な工具保持部と、ワークの振れを防ぐための振れ止め装置とを備える工作機械を用いて、ワークを加工する方法である。ワークの加工方法は、ワーク主軸によりワークを保持する工程と、工具保持部により工具を保持する工程と、振れ止め装置によって工具保持部により保持された工具を支持しつつ、工具によって、ワーク主軸に保持されたワークを加工する工程とを備える。
【0019】
このように構成されたワークの加工方法によれば、振れ止め装置により工具を支持しつつワークを加工することによって、工具の自重、または、ワーク加工時にワークから工具に加わる反力の影響を受けた工具保持部が意図せずに第2軸の周方向に旋回することを防止できる。これにより、旋回可能な工具保持部に保持された工具を用いてワーク加工を行なう場合に、良好なワークの加工精度を得ることができる。
【0020】
また好ましくは、工作機械は、第1軸の軸方向と、第1軸に直交する方向とに移動可能な刃物台をさらに備える。振れ止め装置は、刃物台に装着される。
【0021】
このように構成されたワークの加工方法によれば、刃物台によって、振れ止め装置をワーク加工の進行に伴う工具位置の変化に合わせて移動させることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上に説明したように、この発明に従えば、旋回可能な工具保持部に保持された工具を用いてワーク加工を行なう場合に、良好なワークの加工精度が得られる工作機械およびワークの加工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の実施の形態1における工作機械を示す正面図である。
図2図1中の工作機械において、長尺の工具を用いてワークに深穴加工を行なう様子を示す正面図である。
図3図2中の2点鎖線IIIにより囲まれた範囲の工具主軸および対向ワーク主軸(ロック機構の第1状態)を示す断面図である。
図4図2中の2点鎖線IIIにより囲まれた範囲の工具主軸および対向ワーク主軸(ロック機構の第2状態)を示す断面図である。
図5】この発明の実施の形態2における工作機械において、長尺の工具を用いてワークに深穴加工を行なう様子を示す正面図である。
図6図5中の2点鎖線VIで込まれた範囲の工具主軸および心押し台(ロック機構の第1状態)を示す断面図である。
図7図5中の2点鎖線VIで込まれた範囲の工具主軸および心押し台(ロック機構の第2状態)を示す断面図である。
図8】この発明の実施の形態3における工作機械において、長尺の工具を用いてワークに深穴加工を行なう様子を示す正面図である。
図9図8中の2点鎖線IXで囲まれた範囲を拡大して示す断面図である。
図10】この発明の実施の形態4におけるワークの加工方法の工程を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における工作機械を示す正面図である。図1中では、工作機械の外観をなすカバー体(スプラッシュガード)を透視することによって、工作機械の内部が示されている。
【0026】
図1を参照して、本実施の形態における工作機械10は、回転するワークに工具を接触させてワークの加工を行なう旋削機能と、ワークに回転する工具を接触させてワークの加工を行なうミーリング機能とが備わった複合加工機である。工作機械10は、コンピュータによる数値制御によって、ワーク加工のための各種動作が自動化されたNC(Numerically Control)工作機械である。
【0027】
まず、工作機械10の全体構造について説明する。工作機械10は、ベッド136と、ワーク主軸111と、対向ワーク主軸116と、工具主軸(第1刃物台)121と、第2刃物台131とを有する。
【0028】
ベッド136は、ワーク主軸111、対向ワーク主軸116、工具主軸121および第2刃物台131等を支持するためのベース部材であり、工場などの床面に設置されている。ベッド136は、鋳鉄等の金属から形成されている。
【0029】
ワーク主軸111および対向ワーク主軸116は、ワークを保持可能なように構成されている。ワーク主軸111および対向ワーク主軸116は、水平方向に延びるZ軸方向において、互いに対向して設けられている。ワーク主軸111および対向ワーク主軸116は、主に、固定工具を用いた旋削加工時にワークを回転させるために設けられている。ワーク主軸111は、Z軸に平行な中心軸201を中心に回転可能なように設けられている。対向ワーク主軸116は、Z軸に平行な中心軸202を中心に回転可能なように設けられている。ワーク主軸111および対向ワーク主軸116には、それぞれ、ワークを着脱可能なように把持するための第1チャック機構113および第2チャック機構118が設けられている。
【0030】
ワーク主軸111は、ベッド136上において固定されている。対向ワーク主軸116は、各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどによって、Z軸方向に移動可能なように設けられている。
【0031】
工具主軸121および第2刃物台131は、工具を保持可能なように構成されている。工具主軸121は、第2刃物台131よりも上方に設けられている。
【0032】
工具主軸121は、鉛直方向に延びるX軸に平行な中心軸203を中心に回転可能に設けられている。工具主軸121には、工具を着脱可能に保持するためのクランプ機構(不図示)が設けられている。
【0033】
工具主軸121は、さらに、水平方向に延び、Z軸方向に直交するY軸に平行な中心軸204を中心に旋回可能に設けられている(B軸旋回)。工具主軸121の旋回範囲は、たとえば、工具主軸121の主軸端面123が下方を向く姿勢(図1中に示す姿勢)を基準にして±120°の範囲である。
【0034】
工具主軸121は、図示しないコラム等によりベッド136上に支持されている。工具主軸121は、コラム等に設けられた各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどによって、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に移動可能に設けられている。
【0035】
第2刃物台131は、いわゆるタレット形であり、複数の工具が放射状に取り付けられ、旋回割り出しを行なう。
【0036】
より具体的には、第2刃物台131は、旋回部132を有する。旋回部132は、Z軸に平行な中心軸206を中心に旋回可能に設けられている。中心軸206を中心にその周方向に間隔を隔てた位置には、工具を保持するための工具ホルダが取り付けられている。旋回部132が中心軸206を中心に旋回することによって、工具ホルダに保持された工具が周方向に移動し、ワーク加工に用いられる工具が割り出される。
【0037】
第2刃物台131は、図示しないサドル等によりベッド136上に支持されている。第2刃物台131は、サドル等に設けられた各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどによって、Z軸方向と、Z軸方向に直交するX軸方向とに移動可能に設けられている。なお、第2刃物台131は、Z軸方向と、Z軸方向に直交し、鉛直方向成分を含む斜め上下方向とに移動可能に設けられてもよい。この場合に、第2刃物台131は、X軸方向と、Y軸方向とに同時に送られることによって、Z軸方向に直交し、鉛直方向成分を含む斜め上下方向に移動する構成であってもよい。
【0038】
工具主軸121および第2刃物台131の各々には、回転工具が保持されてもよいし、固定工具が保持されてもよい。回転工具は、回転しながらワークを加工する工具であり、ドリル、エンドミルまたはリーマ等である。固定工具は、回転するワークを加工する工具であり、後述のロングボーリングバーを含む内径切削工具等である。第2刃物台131に回転工具を保持する場合、第2刃物台131には、回転を出力するモータと、モータから出力された回転を回転工具に伝達する動力伝達機構とが内蔵される。
【0039】
工作機械10は、スプラッシュガード210をさらに有する。スプラッシュガード210は、工作機械10の外観をなすとともに、ワークの加工エリア200を区画形成している。
【0040】
なお、図1中には示されていないが、ワーク主軸111の周辺には、工具主軸121に装着された工具を自動交換するための自動工具交換装置(ATC:Automatic Tool Changer)と、工具主軸121に装着する交換用の工具を収容する工具マガジンとが設けられている。
【0041】
図2は、図1中の工作機械において、長尺の工具を用いてワークに深穴加工を行なう様子を示す正面図である。
【0042】
図1および図2を参照して、ワーク主軸111によりワークWが保持されている。工具主軸121は、Z軸方向においてワーク主軸111と対向する位置に配置されている。工具主軸121は、図1中に示される基準姿勢から中心軸204を中心に90°の角度だけ旋回(B軸旋回)されている。
【0043】
工具主軸121によりロングボーリングバー等の長尺の工具Tが保持されている。工具Tは、工具主軸121の主軸端面123からワークWに向けてZ軸方向(−Z軸方向)に突出している。工具Tは、軸部153と、チップ(刃部)151とを有する。軸部153は、中心軸203に沿って延びる円形断面の軸形状を有する。軸部153の先端には、チップ151が取り付けられている。
【0044】
ワーク主軸111によりワークWを中心軸201を中心に回転させながら、工具主軸121に保持された工具Tの刃先(チップ151の先端部)をワークWに接触させ、さらに、工具主軸121により工具TをワークWに向けてZ軸方向に送ることによって、ワークWに深穴加工を行なう。この場合に、工具Tの自重、または、ワーク加工時にワークWから工具Tに加わる反力の影響を受けて、工具主軸121が中心軸204を中心に意図せずに旋回する可能性がある。
【0045】
これに対して、工具主軸121は、被支持部21を有する。被支持部21は、工具主軸121のB軸旋回の中心である中心軸204を挟んで、主軸端面123の反対側に設けられている。被支持部21は、工具主軸121の後端面125に取り付けられている。
【0046】
工作機械10は、中心軸204の周方向において工具主軸121の位置を保持する位置保持機構部26を有する。位置保持機構部26は、支持部27を有する。支持部27は、工具主軸121に保持された工具Tによりワーク主軸111に保持されたワークWを加工する場合に被支持部21を支持する。位置保持機構部26は、支持部27が被支持部21を支持することによって、さらに中心軸204の軸方向において工具主軸121の位置を保持する。
【0047】
対向ワーク主軸116は、工具主軸121を挟んでワーク主軸111の反対側に配置されている。工具主軸121は、Z軸方向において、ワーク主軸111および対向ワーク主軸116の間に配置されている。被支持部21は、Z軸方向において、対向ワーク主軸116が有する第2チャック機構118と対向している。本実施の形態では、対向ワーク主軸116が、位置保持機構部26に対応し、対向ワーク主軸116が有する第2チャック機構118が、支持部27に対応している。
【0048】
図3および図4は、図2中の2点鎖線IIIにより囲まれた範囲の工具主軸および対向ワーク主軸を示す断面図である。
【0049】
図2から図4を参照して、第2チャック機構118は、複数のチャック爪119を有する。複数のチャック爪119は、中心軸202の周方向において互いに間隔を設けて配置されている。複数のチャック爪119は、互いに同期して中心軸202の半径方向にスライド動作可能である。
【0050】
工具主軸121に保持された工具Tによりワーク主軸111に保持されたワークWを加工する場合に、被支持部21が、複数のチャック爪119の内側に配置される。第2チャック機構118は、複数のチャック爪119を中心軸202の半径方向内側に向けてスライド動作させることによって、被支持部21を把持する。これにより、対向ワーク主軸116は、中心軸204の周方向および軸方向において工具主軸121の位置を保持する。
【0051】
このような構成によれば、位置保持機構部26(対向ワーク主軸116)により中心軸204の周方向および軸方向において工具主軸121の位置を保持することによって、工具Tの自重、または、ワーク加工時にワークWから工具Tに加わる反力の影響を受けた工具主軸121が意図せずに中心軸204の周方向に旋回したり、中心軸204の軸方向に移動したりすることを防止できる。これにより、良好なワークWの加工精度を得ることができる。
【0052】
続いて、本実施の形態の被支持部21に設けられるロック機構について説明する。図3および図4を参照して、被支持部21は、支持部27による被支持部21の支持時に、中心軸201と交差する方向における工具主軸121および位置保持機構部26の相対的な移動を制限する第1状態(図3に示される状態)と、支持部27による被支持部21の支持の解消時に、中心軸201と交差する方向における工具主軸121および位置保持機構部26の相対的な移動を許容する第2状態(図4に示される状態)との間で動作するロック機構を有する。
【0053】
より具体的には、被支持部21は、第2チャック機構118による被支持部21の把持時に、対向ワーク主軸116に対して、工具主軸121が中心軸201と直交する方向(X軸−Y軸の平面方向)において移動することを制限する第1状態(図3に示される状態)と、第2チャック機構118による被支持部21の把持の解消時に、対向ワーク主軸116に対して、工具主軸121が中心軸201の直交する方向(X軸−Y軸の平面方向)に移動することを許容する第2状態(図4に示される状態)との間で動作するロック機構を有する。
【0054】
被支持部21は、ケース体31と、スライド部材41と、複数のアーム部材51と、弾性部材57とを有する。
【0055】
ケース体31は、工具主軸121の後端面125に取り付けられている。ケース体31は、中心軸203の軸方向に延び、中心軸203の軸方向において、工具主軸121の後端面125の側で開口し、第2チャック機構118の側で閉塞する円筒形状を有する。ケース体31は、工具主軸121の後端面125上に内部空間を形成している。ケース体31は、固定パッド部32を有する。固定パッド部32は、ケース体31の内周面から中心軸203の径方向内側に向けて延出し、中心軸203に直交する平面内で延在する平板形状を有する。固定パッド部32には、開口部33が設けられている。開口部33は、中心軸203の軸上において、固定パッド部32を貫通する貫通孔からなる。開口部33は、中心軸203を中心とする円形の開口形状を有する。
【0056】
スライド部材41は、ケース体31の内部に配置されている。スライド部材41は、ケース体31内において、中心軸203の軸方向にスライド可能なように支持されている。複数のアーム部材51は、ケース体31の内部から外部に延出している。複数のアーム部材51は、ケース体31によって、中心軸203の半径方向においてスライド可能なように支持されている。
【0057】
スライド部材41は、対向ワーク主軸116から被支持部21に入力される動作(複数のチャック爪119による把持動作)を、ロック機構におけるロック動作(可動パッド部42の移動)に変換する。スライド部材41は、可動パッド部42と、中間軸部43と、被把持部44とを有する。可動パッド部42は、中心軸203の軸方向において、工具主軸121の後端面125と、固定パッド部32との間に配置されている。可動パッド部42は、中心軸203を中心に円盤状に広がっている。可動パッド部42は、中心軸203の軸方向において、固定パッド部32と対向して配置されている。
【0058】
被把持部44は、中心軸203の軸方向において、固定パッド部32を挟んで可動パッド部42の反対側に配置されている。被把持部44は、複数のチャック爪119の内側に配置されている。被把持部44は、テーパ面44aを有する。テーパ面44aは、中心軸203を中心とする円錐面からなる。中心軸203を中心とするテーパ面44aの直径は、中心軸203の軸方向において、可動パッド部42に近づくほど小さくなる。
【0059】
中間軸部43は、可動パッド部42および被把持部44を接続している。中間軸部43は、中心軸203の軸上で延びる軸形状を有する。中間軸部43は、中心軸203に直交する平面により切断された場合に、円形の外形を有する。中間軸部43は、可動パッド部42から開口部33を通って被把持部44まで延びている。
【0060】
アーム部材51は、中心軸203の半径方向に延びるアーム形状を有する。複数のアーム部材51は、中心軸203の周方向に互いに間隔を設けて配置されている。複数のアーム部材51は、中心軸203の周方向において、複数のチャック爪119に対応する位相位置にそれぞれ設けられている。アーム部材51には、図示しない弾性部材により、中心軸203の半径方向外側に向けた弾性力が作用されている。
【0061】
アーム部材51は、テーパ面51aを有する。テーパ面51aは、中心軸203の半径方向内側におけるアーム部材51の先端部に設けられている。テーパ面51aは、中心軸203に対して、テーパ面44aに対応する傾斜を有する。
【0062】
弾性部材57は、中心軸203の軸方向において、固定パッド部32および可動パッド部42の間に介挿されている。弾性部材57は、固定パッド部32および可動パッド部42に対して、中心軸203の軸方向において固定パッド部32および可動パッド部42が互いに離間する方向の弾性力を作用させている。弾性部材57は、たとえば、コイルバネからなる。
【0063】
図3に示されるように、複数のチャック爪119を中心軸202の半径方向内側に向けてスライド動作させることによって、複数のアーム部材51を介して被把持部44を把持する。このとき、テーパ面51aがテーパ面44aと接触することによって、スライド部材41が、中心軸203の軸方向において対向ワーク主軸116に近づく方向にスライド移動する。これにより、可動パッド部42が、弾性部材57の弾性力に抗しながら固定パッド部32に向けて近接移動し、やがて中心軸203の軸方向において固定パッド部32に押し当てられる。結果、可動パッド部42および固定パッド部32の間に生じる摩擦力により、ケース体31およびスライド部材41の間が結合されるため、対向ワーク主軸116および工具主軸121を相互にロックする第1状態が得られる。
【0064】
図4に示されるように、複数のチャック爪119を中心軸202の半径方向外側に向けてスライド動作させることによって、複数のアーム部材51が被把持部44から離間する。このとき、テーパ面51aがテーパ面44aと非接触になることによって、スライド部材41が、弾性部材57の弾性力により、中心軸203の軸方向において対向ワーク主軸116から遠ざかる方向にスライド移動する。これにより、可動パッド部42が固定パッド部32から離間し、ケース体31およびスライド部材41の間の結合が解除されるため、対向ワーク主軸116および工具主軸121を相互にアンロックする第2状態が得られる。
【0065】
このような構成によれば、工具Tの刃先をワークWに接触させながら工具TをZ軸方向に送る場合には、被支持部21を図3に示される第1状態とする。この場合に、対向ワーク主軸116によって、中心軸204の周方向および軸方向における工具主軸121の位置が保持される。一方、工具Tの刃先をワークWから離間させたり、ワークWに対する工具Tの刃先の切り込み位置を中心軸201の半径方向において変更したりする場合には、被支持部21を図4に示される第2状態とする。この場合に、工具主軸121は、開口部33の開口縁の内側で中間軸部43が移動可能な範囲内において、中心軸201の半径方向に移動可能となる。
【0066】
なお、本実施の形態では、本発明における工具保持部が工具主軸である場合を説明したが、本発明はこれに限られない。本発明における工具保持部は、たとえば、B軸旋回可能な刃物台であってもよい。
【0067】
(実施の形態2)
図5は、この発明の実施の形態2における工作機械において、長尺の工具を用いてワークに深穴加工を行なう様子を示す正面図である。本実施の形態における工作機械は、実施の形態1における工作機械10と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
【0068】
図5を参照して、本実施の形態における工作機械は、図2中の対向ワーク主軸116に替わって、ワーク主軸111に保持されたワークWの回転中心を支持するための心押し台161を有する。心押し台161は、Z軸方向において、ワーク主軸111と対向して設けられている。
【0069】
心押し台161は、各種の送り機構、案内機構およびサーボモータなどによって、Z軸方向に移動可能なように設けられている。心押し台161は、センターピン162を有する。センターピン162は、Z軸に平行な中心軸207の軸上でワーク主軸111に向かって延び、その先に尖鋭化された先端部を有する。
【0070】
心押し台161は、工具主軸121を挟んでワーク主軸111の反対側に配置されている。工具主軸121は、Z軸方向において、ワーク主軸111および心押し台161の間に配置されている。被支持部21は、Z軸方向において、心押し台161が有するセンターピン162と対向している。本実施の形態では、心押し台161が、位置保持機構部26に対応し、心押し台161が有するセンターピン162が、支持部27に対応している。
【0071】
図6および図7は、図5中の2点鎖線VIで込まれた範囲の工具主軸および心押し台を示す断面図である。
【0072】
図5から図7を参照して、被支持部21には、ピン孔92が設けられている。ピン孔92は、センターピン162を受け入れ可能な孔形状を有する。工具主軸121に保持された工具Tによりワーク主軸111に保持されたワークWを加工する場合に、心押し台161をZ軸方向において工具主軸121に近づく方向(−Z軸方向)に移動させることによって、センターピン162をピン孔92に挿入する。これにより、心押し台161は、中心軸204の周方向および軸方向において工具主軸121の位置を保持する。
【0073】
続いて、本実施の形態の被支持部21に設けられるロック機構について説明する。図6および図7を参照して、被支持部21は、ケース体61と、シリンダ71と、ピストン91と、可動パッド79と、弾性部材80とを有する。
【0074】
ケース体61は、工具主軸121の後端面125に取り付けられている。ケース体61は、工具主軸121の後端面125上に内部空間を形成している。ケース体61は、固定パッド部62を有する。固定パッド部62は、中心軸203に直交する平面内に延在する平板形状を有する。固定パッド部62には、開口部63が設けられている。開口部63は、中心軸203の軸上において、固定パッド部62を貫通する貫通孔からなる。開口部63は、中心軸203を中心とする円形の開口形状を有する。開口部63は、ケース体61の内外の空間を連通させている。
【0075】
ピストン91は、シリンダ71により、中心軸203の軸方向においてスライド可能なように支持されている。ピストン91には、上述のピン孔92が設けられている。ピン孔92は、中心軸203の軸方向において、センターピン162と対向して開口している。
【0076】
シリンダ71は、パッド支持部72と、中間軸部74と、ピストン支持部73とを有する。パッド支持部72は、ケース体61の内部に配置されている。パッド支持部72は、中心軸203を中心とする円柱形状を有する。パッド支持部72には、パッド挿入孔77が設けられている。パッド挿入孔77は、中心軸203の軸方向において、固定パッド部62と対向して開口している。パッド挿入孔77には、可動パッド79が挿入されている。可動パッド79は、中心軸203の軸方向において、スライド可能なように設けられている。パッド支持部72は、可動パッド79とともに、油が封入される油圧室76を区画形成している。
【0077】
ピストン支持部73は、ケース体61の外部に配置されている。ピストン支持部73には、ピストン挿入孔82が設けられている。ピストン挿入孔82は、中心軸203の軸方向において、心押し台161と対向して開口している。ピストン挿入孔82の内側には、ピストン91が挿入されている。ピストン支持部73は、ピストン91とともに、油が封入される油圧室81を区画形成している。
【0078】
中間軸部74は、パッド支持部72およびピストン支持部73を接続している。中間軸部74は、中心軸203の軸上で延びる軸形状を有する。中間軸部74は、中心軸203に直交する平面により切断された場合に、円形の外形を有する。中間軸部74は、パッド支持部72から開口部63を通ってピストン支持部73まで延びている。中間軸部74には、連通孔83が設けられている。連通孔83は、油圧室76および油圧室81を連通させている。
【0079】
弾性部材80は、油圧室76に配置されている。弾性部材80は、可動パッド79に対して、中心軸203の軸方向において可動パッド79を固定パッド部62から遠ざける方向の弾性力を作用させている。弾性部材80は、たとえば、コイルバネからなる。
【0080】
図6に示されるように、心押し台161をZ軸方向において工具主軸121に近づく方向(−Z軸方向)に移動させることによって、センターピン162をピン孔92に挿入する。このとき、センターピン162に押されたピストン91が−Z軸方向にスライドすることによって、油圧室81内の油が連通孔83を通って油圧室76内に移動し、油圧室76の油圧が高まる。これにより、可動パッド79が、弾性部材80の弾性力に抗しながら固定パッド部62に向けて近接移動し、やがて中心軸203の軸方向において固定パッド部62に押し当てられる。結果、可動パッド79および固定パッド部62の間に生じる摩擦力によって、ケース体61と、シリンダ71およびピストン91との間が結合されるため、心押し台161および工具主軸121を相互にロックする第1状態が得られる。
【0081】
図7に示されるように、心押し台161をZ軸方向において工具主軸121から遠ざかる方向(+Z軸方向)に移動させることによって、センターピン162がピン孔92から抜ける。このとき、センターピン162によりピストン91が−Z軸方向に押される力が解消されるとともに、弾性部材80の弾性力によって、可動パッド79が−Z軸方向に引き寄せられる。これにより、可動パッド79が固定パッド部62から離間し、ケース体61と、シリンダ71およびピストン91との間の結合が解除されるため、心押し台161および工具主軸121を相互にアンロックする第2状態が得られる。
【0082】
このように構成された、この発明の実施の形態2における工作機械によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
【0083】
(実施の形態3)
図8は、この発明の実施の形態3における工作機械において、長尺の工具を用いてワークに深穴加工を行なう様子を示す正面図である。本実施の形態における工作機械は、実施の形態1における工作機械10と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
【0084】
図8を参照して、本実施の形態における工作機械は、ピン部材140をさらに有する。ピン部材140は、工具ホルダ137を介して第2刃物台131に装着されている。ピン部材140は、Z軸方向においてワーク主軸111に向かって延び、その先に尖鋭化された先端部を有する。
【0085】
第2刃物台131は、工具主軸121を挟んでワーク主軸111の反対側に配置されている。工具主軸121は、Z軸方向において、ワーク主軸111および第2刃物台131の間に配置されている。被支持部21は、Z軸方向において、第2刃物台131に装着されたピン部材140と対向している。本実施の形態では、第2刃物台131が、位置保持機構部26に対応し、第2刃物台131に装着されたピン部材140が、支持部27に対応している。
【0086】
図9は、図8中の2点鎖線IXで囲まれた範囲を拡大して示す断面図である。図8および図9を参照して、被支持部21は、ブロック体22からなる。ブロック体22には、ピン孔23が設けられている。ピン孔23は、ピン部材140を受け入れ可能な孔形状を有する。工具主軸121により保持された工具Tによりワーク主軸111に保持されたワークWを加工する場合に、第2刃物台131をX軸およびZ軸方向に適宜、移動させることによって、ピン部材140をピン孔23に挿入する。これにより、第2刃物台131は、中心軸204の周方向および軸方向において工具主軸121の位置を保持する。
【0087】
本実施の形態では、ピン部材140が、X軸方向およびZ軸方向に移動可能な第2刃物台131に装着されている。このため、ワーク加工時に、第2刃物台131を工具主軸121に同期させて移動させることによって、ピン部材140がピン孔23に挿入された状態を保持することができる。
【0088】
このように構成された、この発明の実施の形態3における工作機械によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
【0089】
(実施の形態4)
図10は、この発明の実施の形態4におけるワークの加工方法の工程を示す正面図である。本実施の形態におけるワークの加工方法に用いられる工作機械は、実施の形態1における工作機械10と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
【0090】
図10を参照して、本実施の形態におけるワークの加工方法に用いられる工作機械では、工具主軸121に被支持部21が設けられていない。工作機械は、ワークの振れを防ぐための振れ止め装置191をさらに有する。一例として、振れ止め装置191は、回動動作可能な2本のアームの先端にそれぞれ設けられた2個のローラと、2本のアームの根元部同士の間に設けられた1個のローラ(不図示)とを有し、これら3個のローラによりワークWの外周面を支持可能なように構成されている。
【0091】
振れ止め装置191は、X軸方向およびZ軸方向に移動可能な第2刃物台131に装着されている。
【0092】
振れ止め装置191は、Z軸方向において、ワーク主軸111および工具主軸121の間に配置されている。振れ止め装置191は、Z軸方向において、工具主軸121に保持された工具Tの刃先と、工具主軸121の主軸端面123との間に配置されている。振れ止め装置191は、Z軸方向において、ワーク主軸111に保持されたワークWと、工具主軸121の主軸端面123との間に配置されている。
【0093】
振れ止め装置191は、工具主軸121に保持された工具T(の軸部153)の下方に配置されている。
【0094】
本実施の形態におけるワークの加工方法においては、まず、ワーク主軸111によりワークWを保持し、工具主軸121により工具Tを保持する。より具体的には、第1チャック機構113によってワークWを把持し、工具主軸121におけるクランプ機構(不図示)によって、工具Tをクランプする。
【0095】
なお、ワーク主軸111によりワークWを保持する工程と、工具主軸121により工具Tを保持する工程との先後は、特に限定されない。
【0096】
次に、工具主軸121を、Z軸方向においてワーク主軸111と対向する位置まで移動させるとともに、工具主軸121を、中心軸204を中心に旋回させ、図10中の工具主軸121の主軸端面123が−Z軸方向を向く姿勢に変化させる。第2刃物台131を移動させることによって、第2刃物台131に装着された振れ止め装置191を、工具Tを支持するための上記の位置に移動させる。
【0097】
次に、振れ止め装置191によって工具主軸121により保持された工具Tを支持しつつ、工具Tによって、ワーク主軸111に保持されたワークWを加工する。
【0098】
このような構成によれば、振れ止め装置191により工具Tを支持しつつワークWを加工することによって、工具Tの自重、または、ワーク加工時にワークWから工具Tに加わる反力の影響を受けた工具主軸121が意図せずに中心軸204の周方向に旋回することを防止できる。これにより、良好なワークWの加工精度を得ることができる。
【0099】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0100】
この発明は、たとえば、B軸旋回加工な工具主軸を備えた工作機械、および、そのような工作機械を用いて実行するワークの加工方法に適用される。
【符号の説明】
【0101】
10 工作機械、21 被支持部、22 ブロック体、23,92 ピン孔、26 位置保持機構部、27 支持部、31,61 ケース体、32,62 固定パッド部、33,63 開口部、41 スライド部材、42 可動パッド部、43,74 中間軸部、44 被把持部、44a,51a テーパ面、51 アーム部材、57,80 弾性部材、71 シリンダ、72 パッド支持部、73 ピストン支持部、76,81 油圧室、77 パッド挿入孔、79 可動パッド、82 ピストン挿入孔、83 連通孔、91 ピストン、111 ワーク主軸、113 第1チャック機構、116 対向ワーク主軸、118 第2チャック機構、119 チャック爪、121 工具主軸、123 主軸端面、125 後端面、131 第2刃物台、132 旋回部、136 ベッド、137 工具ホルダ、140 ピン部材、151 チップ、153 軸部、161 心押し台、162 センターピン、191 振れ止め装置、200 加工エリア、201,202,203,204,206,207 中心軸、210 スプラッシュガード。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10