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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-123305(P2021-123305A)
(43)【公開日】2021年8月30日
(54)【発明の名称】バンパリインフォース
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/18 20060101AFI20210802BHJP
   B29C 33/42 20060101ALI20210802BHJP
【FI】
   B60R19/18 P
   B29C33/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-20186(P2020-20186)
(22)【出願日】2020年2月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(71)【出願人】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鵜重 鎮馬
(72)【発明者】
【氏名】正保 順
(72)【発明者】
【氏名】松井 恭輔
(72)【発明者】
【氏名】三矢 朋輝
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AG28
4F202AH24
4F202AR12
4F202CA11
4F202CA30
4F202CB01
4F202CK12
(57)【要約】
【課題】各種衝突モードに対応する機械的強度を有する合成樹脂製のバンパリインフォースを得る。
【解決手段】本バンパリインフォース10において車両の前面衝突時に脆弱部44に変形が生じると、第1延出部40及び第2延出部42が車両後側のラジエータサポートへ当接される。ここで、第1延出部40の機械的強度は、オフセット衝突試験での衝突荷重に耐える強度とされる。また、第2延出部42の機械的強度は、フルラップ前面衝突試験で本体基部14に衝突荷重が入力された際に本体基部14に生じた回転モーメントに基づく荷重に耐える強度とされる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材によって成形された車幅方向に長いバンパリインフォース本体と、
前記バンパリインフォース本体と共に一体成形され、車両の車両前側端部における車幅方向の全長に対して車幅方向側端部から40パーセントの範囲に設けられ、前記バンパリインフォース本体から車両後側へ延出されると共に、車幅方向に延びる車体構造部材に対して車両前側で対向される第1延出部と、
前記バンパリインフォース本体と共に一体成形され、前記全長に対して車幅方向側端部から40パーセントの範囲よりも車幅方向中央側に設けられ、前記バンパリインフォース本体から車両後側へ延出されると共に、車幅方向に延びる車体構造部材に対して車両前側で対向される第2延出部と、
前記バンパリインフォース本体における前記第1延出部と前記第2延出部との間に設定され、車両前後方向の荷重に対する曲げ強度が前記第1延出部及び前記第2延出部よりも低く設定された脆弱部と、
を備えるバンパリインフォース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のバンパリインフォースに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、車両上側のバンパリインフォースと車両下側のバンパリインフォースとを車両略上下方向に長く、車幅方向に所定の間隔をおいて配置された支持部材で繋いだ構成が開示されている。両バンパリインフォースとの間で且つ車幅方向に隣合う支持部材の間の通気空間内には羽根が設けられている。羽根は、車幅方向を軸方向とする軸周り方向に回動可能とされており、羽根の車両前後方向側からの投影面積は、羽根の回動によって増減される。
【0003】
この羽根の車両前後方向側からの投影面積が増加されることによって通気空間の開口面積が小さくなり、羽根の車両前後方向側からの投影面積が減少されることによって通気空間の開口面積が大きくなる。このように通気空間の開口面積の増減におって通気空間の車両前側から車両後側への気流の流量を調整できる。すなわち、この特許文献1に開示された構成は、所謂、グリルシャッタとバンパリインフォースとを一体とした構成である。
【0004】
ところで、このようなグリルシャッタとバンパリインフォースとを一体とした構成を更に合成樹脂材によって一体成形することが考えられている。ここで、車両前側での車両の衝突には、フルラップ前面衝突モードやオフセット衝突モード等の各種衝突モードがある。合成樹脂材を成形することによって形成されるバンパリインフォースでは、このような各モードを満足する曲げ強度や圧縮強度等の機械的強度の設定が難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018−90060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、各種衝突モードに対応する機械的強度を有する合成樹脂製のバンパリインフォースを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のバンパリインフォースは、合成樹脂材によって成形された車幅方向に長いバンパリインフォース本体と、前記バンパリインフォース本体と共に一体成形され、車両の車両前側端部における車幅方向の全長に対して車幅方向側端部から40パーセントの範囲に設けられ、前記バンパリインフォース本体から車両後側へ延出されると共に、車幅方向に延びる車体構造部材に対して車両前側で対向される第1延出部と、前記バンパリインフォース本体と共に一体成形され、前記全長に対して車幅方向側端部から40パーセントの範囲よりも車幅方向中央側に設けられ、前記バンパリインフォース本体から車両後側へ延出されると共に、車幅方向に延びる車体構造部材に対して車両前側で対向される第2延出部と、前記バンパリインフォース本体における前記第1延出部と前記第2延出部との間に設定され、車両前後方向の荷重に対する曲げ強度が前記第1延出部及び前記第2延出部よりも低く設定された脆弱部と、を備えている。
【0008】
請求項1に記載のバンパリインフォースは、合成樹脂材によって形成される。このため、金属製のバンパリインフォースに比べて軽量化が可能になる。また、本バンパリインフォースにおいて車幅方向に長いバンパリインフォース本体からは、車両後側へ向けて第1延出部及び第2延出部が延出されている。これらの第1延出部及び第2延出部は、車幅方向に長い車両の骨格部材等の車両構造部材に対して車両前側で対向されている。また、バンパリインフォース本体において第1延出部と第2延出部との間は、脆弱部とされ、脆弱部は、車両前後方向の荷重に対する曲げ強度が第1延出部及び第2延出部よりも低く設定される。
【0009】
第1延出部の形成位置は、車両の車両前側端部の全長に対して車両前側端部の車幅方向側端部から車幅方向中央側へ40パーセントの範囲内に設定されている。このため、この第1延出部は、車両のオフセット衝突試験に耐える機械的強度(曲げ強度や圧縮強度)を有していれば、バンパリインフォース本体を介して車両前側からの荷重が、車両後側への軸力として第1延出部に伝わる。
【0010】
この状態でバンパリインフォース本体が車両前側からの荷重によって変形され、第1延出部がバンパリインフォース本体と共に車両後側へ移動されて車両構造部材へ当接されると、第1延出部へ上記の軸力として伝わった荷重を車両構造部材に伝えることができ、車両構造部材によって荷重を支持できる。
【0011】
一方、第2延出部の形成位置は、車両の車両前側端部の全長に対して車両前側端部の車幅方向側端部から車幅方向中央側へ40パーセントの範囲内よりも車幅方向中央側に設定されている。本バンパリインフォースでは、バンパリインフォース本体の車幅方向両側に第1延出部が設けられている。このため、車両のフルラップ全面衝突試験で両第1延出部が車両構造部材へ当接されて車両構造部材に支持されると、両第1延出部の車両前端を中心に車両後側で車幅方向中央側への回転モーメントがバンパリインフォース本体における両第1延出部の間に生ずる。
【0012】
このような回転モーメントがバンパリインフォース本体に生ずることで、バンパリインフォース本体に変形が生じるが、第2延出部は、このような回転モーメントに基づく荷重に耐える機械的強度(曲げ強度や圧縮強度)を有していれば、上記の回転モーメントに基づく荷重が車両後側への軸力として第2延出部に伝わる。この状態でバンパリインフォース本体が車両前側からの荷重によって変形され、両第1延出部及び第2延出部がバンパリインフォース本体と共に車両後側へ移動されて車両構造部材へ当接されると、第2延出部へ上記の軸力として伝わった荷重を車両構造部材に伝えることができ、車両構造部材によって荷重を支持できる。
【0013】
このように、本バンパリインフォースは、オフセット衝突モード及びフルラップ前面衝突モードの両モードに対応したバンパリインフォース本体、第1延出部、第2延出部の機械的強度(曲げ強度や圧縮強度等)を容易に設定できる。
【0014】
また、上記の請求項1に記載のバンパリインフォースは、前記バンパリインフォース本体の車両上側又は車両下側で前記バンパリインフォース本体と共に一体成形され、車両前後方向に貫通されて車両前側からの気流の通過が可能な貫通部を有すると共に、前記貫通部の開口面積の増減が可能なシャッタ装置が設けられたグリルシャッタ部を備える構成とされてもよい。
【0015】
このような構成のバンパリインフォースでは、バンパリインフォース本体の車両上側又は車両下側には、グリルシャッタ部が設けられる。グリルシャッタ部は、貫通部を有しており、車両前側からの気流は、貫通部を通過して車両後ろ側へ流れることができる。また、グリルシャッタ部には、シャッタ装置が設けられる。このシャッタ装置によって貫通部の開口面積が増減さえると、貫通部を通過する気流を増減させることができる。
【0016】
ここで、このような構成では、グリルシャッタ部がバンパリインフォース本体と共に一体成形される。このため、部品点数を低減でき、車両への組付工数を低減できる。
【0017】
また、上記の請求項1に記載のバンパリインフォースは、前記バンパリインフォース本体における前記第1延出部よりも車幅方向外側の部分は、車両前側からの荷重が所定の大きさを越えた場合に変形されるクラッシュボックスの車両前側で前記クラッシュボックスに対向され、前記クラッシュボックスの車両後側に設けられ、前記クラッシュボックスよりも車両前側からの荷重に対する機械的強度が高い第2車両構造部材に対して前記クラッシュボックスを介して車両前側からの荷重を伝達可能とされた構成としてもよい。
【0018】
このような構成のバンパリインフォースは、バンパリインフォース本体における第1延出部よりも車幅方向外側の部分は、クラッシュボックスの車両前側でクラッシュボックスに対向配置される。このため、オフセット衝突やフルラップ衝突で第1延出部や第2延出部が、例えば、車両後側へ圧縮変形されると、バンパリインフォース本体を介してクラッシュボックスに車両後側への荷重が伝わる。
【0019】
クラッシュボックスの車両後側には、車両後側からの荷重に対する機械的強度がクラッシュボックスよりも高い第2車両構造部材が設けられており、クラッシュボックスは、第2車両構造部材に繋がっている。このため、バンパリインフォース本体からクラッシュボックスへ伝わった車両後側への荷重は、クラッシュボックスから第2車両構造部材へ伝達可能である。
【0020】
このため、荷重が第1延出部や第2延出部を変形させる大きさであっても、第2車両構造部材によって荷重を支持できる。しかも、クラッシュボックスは、バンパリインフォース本体から伝わった車両後側からの荷重が所定の大きさを越えると、圧縮変形される。この状態では、荷重の一部がクラッシュボックスの変形に供されるため、第2車両構造部材に伝わる荷重を低減できる。
【発明の効果】
【0021】
以上、説明したように、請求項1に記載のバンパリインフォースでは、合成樹脂材で形成された構成であっても各種衝突モードに対応する機械的強度を付与できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施の形態に係るバンパリインフォースの車両左後側から見た斜視図である。
図2】オフセット衝突試験でのバンパリインフォースの平面図である。
図3】フルラップ前面衝突試験でのバンパリインフォースの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態を図1から図3の各図に基づいて説明する。なお、以下の各図において適宜に示される矢印FRは、本実施の形態に係るバンパリインフォース10(又はグリルシャッタ部24)が適用される車両の車両前側を示し、矢印UPは、車両上側を示し、矢印LHは、車両左側(車幅方向左側)を示す。
【0024】
<本実施の形態の構成>
図1に示されるように、本バンパリインフォース10は、全体的に合成樹脂材によって一体成形されている。バンパリインフォース10は、バンパリインフォース本体12を備えている。バンパリインフォース本体12は、本体基部14を備えている。本体基部14の長手方向は、概ね、車幅方向(図1の矢印LH方向側及びその反対方向側)とされている。本体基部14の車幅方向両側には、本体側部16が形成されている。車両左側の本体側部16は、本体基部14の車両左側端から車両左後側へ延びており、車両右側の本体側部16は、本体基部14の車両右側端から車両右後側へ延びている。
【0025】
本体基部14の長手方向に対して直交する方向に本体基部14を切った際の本体基部14の断面形状及び本体基部14からの本体側部16の延出方向に対して直交する方向に本体側部16を切った際の本体側部16の断面形状は、概ね、矩形とされている。本体基部14の所定部位及び両本体側部16は、中空形状とされており、本体基部14の所定部位及び両本体側部16は、車両後側へ向けて開口されている。
【0026】
このため、本体基部14の所定部位及び両本体側部16の上記の断面形状は、車両後側(図1の矢印FRとは反対方向側)へ向けて開口した略C字形状とされている。このように、本体基部14及び両本体側部16において車両後側へ向けて開口された部分の内側には、リブ等の補強部18が適宜に形成されている。これによって、例えば、本体基部14及び両本体側部16の車両前側からの荷重に対する機械的強度(例えば、曲げ強度や圧縮強度)が設定されている。
【0027】
図2に示されるように、車両左側の本体側部16の車両左側端部の車両後側及び車両右側の本体側部16の車両右側端部の車両後側には、それぞれクラッシュボックス20が設けられている。クラッシュボックス20は、車両前後方向に開口された筒形状とされている。クラッシュボックス20を車両前後方向に対して直交する方向にクラッシュボックス20を切った際のクラッシュボックス20の断面の外周形状及び内周形状は、例えば、略矩形とされている。クラッシュボックス20の車両前側端部は、例えば、ボルト等の締結部材(図示省略)によって本体側部16に固定されている。
【0028】
このクラッシュボックス20の車両後側には、車両構造部材(第2車両構造部材)の一態様であるサイドメンバ22が設けられている。サイドメンバ22の長手方向は、概ね、車両前後方向とされている。サイドメンバ22の車両前側端は、クラッシュボックス20の車両後側でクラッシュボックス20の車両後側端に対向されており。クラッシュボックス20の車両後側端部は、ボルト等の締結手段によってサイドメンバ22の車両前側端部へ固定されている。
【0029】
また、図1に示されるように、本体基部14の車両上側(図1の矢印UP方向側)には、グリルシャッタ部24が設けられている。グリルシャッタ部24は、フレーム26を構成するフレーム上部28を備えている。フレーム上部28は、3本の脚部30を備えている。3本の脚部30のうちの1本は、本体基部14の車幅方向左側の端部に設けられ、3本の脚部30のうちの他の1本は、本体基部14の車幅方向右側の端部に設けられている。
【0030】
さらに、3本の脚部30のうちの残りの1本は、車幅方向に上記の2本の脚部30の間の略中央(すなわち、バンパリインフォース本体12の本体基部14の車幅方向略中央の車両上側)に設けられている。これらの脚部30は、本体基部14から車両上側へ延びるように本体基部14と共に一体成形されている。
【0031】
これらの脚部30の車両上側(図1の矢印UP方向側)には横部32が設けられている。横部32は、本体基部14と共に一体成形されている。横部32の車幅方向左側の端部は、車両左側の脚部30の車両上側端部に繋がっており、横部32の車幅方向右側の端部は、車両右側の脚部30の車両上側端部に繋がっている。さらに、横部32の車幅方向略中央では、本体基部14の車幅方向略中央に設けられた脚部30の車両上側端が横部32に繋がっている。このように、3本の脚部30と横部32とを含んで構成されるフレーム上部28は、バンパリインフォース本体12の本体基部14と共にグリルシャッタ部24のフレーム26を構成している。
【0032】
このフレーム26の内側は、上記の車幅方向中央側の脚部30によって仕切られており、フレーム26の内側における車幅方向中央側の脚部30の車両左側及び車両右側の各空間は、貫通部としてのシャッタ配置部34とされている。シャッタ配置部34の内側には、シャッタ装置を構成するシャッタ36が設けられている。シャッタ36は、薄肉で細幅の板状とされ、シャッタ36の長手方向は、概ね、車幅方向とされている。両シャッタ配置部34の各々には、複数のシャッタ36が設けられる。
【0033】
各シャッタ配置部34のシャッタ36は、車両上下方向(図1の矢印UP方向及びその反対方向)に所定の間隔をおいて配置されている。車両左側のシャッタ配置部34のシャッタ36は、車幅方向を軸方向とする軸周り方向に回動可能に車両左側の脚部30及び車幅方向略中央の脚部30に支持されている。これに対して、車両右側のシャッタ配置部34のシャッタ36は、車幅方向を軸方向とする軸周り方向に回動可能に車両右側の脚部30及び車幅方向略中央の脚部30に支持されている。
【0034】
これらのシャッタ36は、モータ等のシャッタ駆動装置の出力軸へ直接又は減速ギヤ列等の減速装置(何れも図示省略)を介して機械的に連結されている。このため、シャッタ36は、シャッタ駆動装置から出力された回転力によって車幅方向を軸方向とする軸周り方向へ回動される。各シャッタ36の車両前後方向側からの投影面積は、車幅方向を軸方向とする軸周り方向へのシャッタ36の回動によって増減される。
【0035】
上記のように、各シャッタ36は、フレーム26の内側の空間であるシャッタ配置部34に設けられる。したがって、上記の各シャッタ36の車両前後方向側からの投影面積の増加によって、シャッタ配置部34の開口面積は、減少され、各シャッタ36の車両前後方向側からの投影面積の減少によって、シャッタ配置部34の開口面積は、増加される。
【0036】
グリルシャッタ部24の車両前側には、車両のフロントグリル(図示省略)が設けられ、グリルシャッタ部24の車両後側には、車両構造部材の一態様であるラジエータサポート38(図2参照)に支持されたラジエータが設けられる。フロントグリルを車両前側から通過した車両走行時の気流は、グリルシャッタ部24のフレーム26の内側、すなわち、両シャッタ配置部34を通ってラジエータへ向かう。ここで、上記のようにシャッタ36の回動によるシャッタ配置部34の開口面積の増減によってシャッタ配置部34を通る気流を増減させることができる。
【0037】
一方、上述したバンパリインフォース本体12の本体基部14の車両後側には、一対の第1延出部40と、第2延出部42とが設けられている。一対の第1延出部40の一方は、本体基部14の車両左側端部の車両後側に配置されている。一方の第1延出部40の配置位置は、車両の車体における車両前側端部の車幅方向の全長に対し、車体の車両前側端部の車両左側端から40パーセントの範囲以内に設定されている。これに対し、一対の第1延出部40の他方は、本体基部14の車両右側端部の車両後側に配置されている。他方の第1延出部40の配置位置は、車両の車体における車両前側端部の車幅方向の全長に対し、車体の車両前側端部の車両右側端から40パーセントの範囲以内に設定されている。
【0038】
また、第2延出部42は、本体基部14の車幅方向略中央部分の車両後側に配置されている。更に詳細には、第2延出部42の配置位置は、車両の車体における車両左側端部の車幅方向の全長に対し、車体の車両前側端部の車両左側端から40パーセントの範囲及び車体の車両前側端部の車両右側端から40パーセントの範囲の双方よりも車幅方向中央側に設定されている。これらの第1延出部40及び第2延出部42は、本体基部14から連続して車両後側へ延びており、本体基部14と共に一体成形されている。
【0039】
また、第1延出部40及び第2延出部42の各々を本体基部14からの延出方向に対して直交する方向に切った第1延出部40及び第2延出部42の断面形状は、略矩形とされ、第1延出部40及び第2延出部42は、中実のブロック状とされている。本体基部14において車幅方向に各第1延出部40と第2延出部42との間の部分は、脆弱部44とされており、車両前側からの荷重に対する機械的強度(曲げ荷重や圧縮荷重)や剛性が各第1延出部40や第2延出部42よりも低く設定されている。
【0040】
さらに、各第1延出部40及び第2延出部42の各々の車両後側端は、車両前後方向に略同じ位置とされている。さらに、各第1延出部40及び第2延出部42の各々の車両後側には、上述した車両構造部材としてのラジエータサポート38が配置されている。
【0041】
ラジエータサポート38の長手方向は、車幅方向とされており、ラジエータサポート38を車幅方向に対して直交する方向に切ったラジエータサポート38の断面形状は、略矩形の筒状とされている。ラジエータサポート38の曲げ荷重等に対する機械的強度、特に、車両前側からの荷重に対する機械的強度は、各第1延出部40及び第2延出部42の各々よりも高い。ラジエータサポート38の車両前側面は、各第1延出部40及び第2延出部42の各々の車両後側面に対して車両前後方向に所定の間隔を介して車両前後方向に対向されている。
【0042】
<第1延出部40及び第2延出部42の強度設定の一例>
次に、図2及び図3を用いて本実施の形態に係るバンパリインフォース10の第1延出部40及び第2延出部42の曲げ荷重や圧縮荷重等に対する機械的強度の設定の一例について説明する。なお、図2及び図3では、グリルシャッタ部24の図示を省略している。
【0043】
本バンパリインフォース10に対して車両前側からの荷重が作用する態様としては、車両前側の障害物に車両が衝突する前面衝突がある。このような前面衝突には、車両の車幅方向中央よりも車幅方向一方の側の部分が障害物に衝突する所謂オフセット衝突と、車両の車両前側端部が車幅方向に略一様に障害物に衝突する所謂フルラップ前面衝突とがあり、これらの衝突を想定した衝突試験がある。
【0044】
車両の車幅方向中央よりも車幅方向左側の部分が障害物に対応するバリヤ46に衝突されるオフセット衝突試験では、車両の車体における車両左側端から車幅方向の全長に対して40パーセントの範囲の部分が所定の速度(例えば、時速64km)でバリヤ46に衝突される。このような衝突によるバリヤ46からの衝突荷重F1は、車両におけるバンパリインフォース10よりも車両前側部分を構成する部材を介してバンパリインフォース本体12の本体基部14に入力される。
【0045】
オフセット衝突試験では、上記のように、車両の車体における車両左側端から車幅方向の全長に対して40パーセントの範囲の部分がバリヤ46に衝突される。本実施の形態では、車両左側の第1延出部40は、車体の車両前側端部の車両左側端から40パーセントの範囲以内に設定されている。このため、上記のようなオフセット衝突試験では、本体基部14における車両左側の第1延出部40よりも車両右側の部分に衝突荷重F1が入力される(すなわち、本体基部14における衝突荷重F1の入力位置がコントロールされる)。ここで、本体基部14における車両左側の第1延出部40と第2延出部42との間の脆弱部44の曲げ荷重等に対する機械的強度は、このようなオフセット衝突試験によって脆弱部44の車両左側端の近傍部分で亀裂等が生じ、変形されるように設定されている。
【0046】
このように脆弱部44で本体基部14に変形が生じると、本体基部14は、上記の衝突荷重F1によって車両後側へ変位される。これによって、車両左側の第1延出部40の車両後側端がラジエータサポート38の車両前側面へ当接されると、車両左側の第1延出部40は、ラジエータサポート38によって車両後側から支えられる。この状態では、車両左側の第1延出部40は、車両前後方向に本体基部14とラジエータサポート38とにおって挟まれる。このため、車両左側の第1延出部40に対し、上記の衝突荷重F1は、主に車両前後方向の圧縮荷重として作用する。
【0047】
ここで、本実施の形態では、車両左側の第1延出部40は、このようなオフセット衝突試験で車両左側の第1延出部40に作用する衝突荷重F1で変形等が生じない機械的強度(曲げ荷重や圧縮荷重等に対する機械的強度)を有しており、また、車両右側の第1延出部40は、車両左側の第1延出部40と同等の機械的強度を有している。このため、オフセット衝突試験で生じる程度の大きさ衝突荷重F1によるバンパリインフォース本体12の車両後側への移動は、車両左側の第1延出部40の車両後側端とラジエータサポート38の車両前側の面との間隔程度に制限される。
【0048】
一方、フルラップ前面衝突試験では、車両の車両前側端部が所定の速度(例えば、時速55km)で車幅方向に略一様にバリヤ46へ衝突される。このような衝突の際のバリヤ46からの衝突荷重F2は、バンパリインフォース本体12の本体基部14に対して本体基部14の長手方向(車幅方向)に略一様に伝わる。
【0049】
ここで、本体基部14に第2延出部42が設けられていない構成を考える。このような構成で、本体基部14に対して略一様に車両前側からの衝突荷重F2が入力されて、両第1延出部40の車両後側端がラジエータサポート38の車両前側の面へ当接するまでバンパリインフォース本体12が移動又は変形されると、本体基部14の車幅方向両側端部は、第1延出部40に支持される。このため、このような状態で本体基部14には、第1延出部40の、概ね、車両上下方向を軸方向とした車両前側端部を中心とする車幅方向中央側で且つ車両後側への回転モーメントM1、M2(すなわち、本体基部14の車幅方向両端部に対して車幅方向中央側部分を車両後側へ変位させようとする回転モーメントM1、M2)が生じる。
【0050】
ここで、本実施の形態では、第2延出部42は、フルラップ前面衝突試験で、上記のような回転モーメントM1、M2に基づく荷重F3(例えば、圧縮荷重)で変形が生じない機械的強度(例えば、圧縮強度)を有している。また、本体基部14の脆弱部44の曲げ荷重や圧縮荷重等に対する機械的強度は、フルラップ前面衝突試験での衝突荷重F2で変形される程度に設定されている。このため、フルラップ前面衝突試験で生じる程度の大きさの衝突荷重F2によるバンパリインフォース本体12の車両後側への移動は、両第1延出部40及び第2延出部42の車両後側端とラジエータサポート38の車両前側の面との間隔程度に制限される。
【0051】
<本実施の形態の作用、効果>
本バンパリインフォース10(又はグリルシャッタ部24)は、バンパリインフォース本体12の各第1延出部40、第2延出部42、脆弱部44の機械的強度が上記のように設定される。このため、上記のオフセット衝突試験程度の衝突荷重F1のオフセット衝突や、上記のフルラップ前面衝突試験程度の衝突荷重F2のフルラップ前面衝突が車両に生じても、バンパリインフォース10(又はグリルシャッタ部24)の車両後側への衝突荷重F1、F2による移動を各第1延出部40及び第2延出部42とラジエータサポート38との間隔程度に制限できる。
【0052】
また、衝突荷重F1、F2が上記のオフセット衝突試験やフルラップ前面衝突試験での衝突荷重F1、F2よりも大きい場合には、両第1延出部40、第2延出部42、両クラッシュボックス20で圧縮変形が生じる。衝突荷重F1、F2の一部は、両第1延出部40、第2延出部42、両クラッシュボックス20の圧縮変形に供されて吸収される。これによって、車両の前面衝突によるバンパリインフォース10(又はグリルシャッタ部24)の車両後側への移動を効果的に抑制できる。
【0053】
また、上記のように、第1延出部40、第2延出部42、脆弱部44の機械的強度が設定されることで、バンパリインフォース本体12の機械的強度を不要に高く設定しなくてもよい。このため、バンパリインフォース本体12の軽量化、ひいては、バンパリインフォース10(又はグリルシャッタ部24)の軽量化が可能になる。このため、バンパリインフォース10(又はグリルシャッタ部24)を合成樹脂材の一体成形によって形成するバンパリインフォース10(又はグリルシャッタ部24)の軽量効果を十分に発揮できる。
【0054】
なお、本実施の形態では、第1延出部40、第2延出部42は、中実状とされていたが、第1延出部40及び第2延出部42の何れかを中空の筒状や、車両上下方向側又は車幅方向側へ開口した断面C字形状としてもよい。
【0055】
また、本実施の形態では、バンパリインフォース本体12が略車両後側へ向けて開口した断面C字形状であった。しかしながら、バンパリインフォース本体12は、中実状であってもよいし、筒状であってもよく、また、車両後側以外の方向へ開口した断面C字形状であってもよい。
【0056】
さらに、本実施の形態では、バンパリインフォース本体12の本体基部14の車両上側にグリルシャッタ部24を設けた構成であった。しかしながら、グリルシャッタ部24は、本体基部14の車両下側に設けられてもよい。また、グリルシャッタ部24の車両上下方向両側にバンパリインフォース本体12がそれぞれ設けられる構成であってもよい。さらには、グリルシャッタ部24を備えない構成であってもよい。
【0057】
また、本実施の形態は、グリルシャッタ部24を備えるバンパリインフォース10であった。しかしながら、本実施の形態は、バンパリインフォース本体12を備えるグリルシャッタ部24とすることもできる。
【符号の説明】
【0058】
10 バンパリインフォース
12 バンパリインフォース本体
40 第1延出部
42 第2延出部
44 脆弱部
図1
図2
図3