(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-123352(P2021-123352A)
(43)【公開日】2021年8月30日
(54)【発明の名称】製品集積供給装置
(51)【国際特許分類】
B65B 5/08 20060101AFI20210802BHJP
B65B 43/56 20060101ALI20210802BHJP
【FI】
B65B5/08
B65B43/56 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-15556(P2020-15556)
(22)【出願日】2020年1月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】平澤 勝人
【テーマコード(参考)】
3E003
3E030
【Fターム(参考)】
3E003AA01
3E003AB05
3E003BA04
3E003BB02
3E003BC01
3E003BD04
3E003CA02
3E003CB06
3E003DA01
3E030AA03
3E030DA06
3E030EA01
3E030EB10
3E030GA04
(57)【要約】
【課題】 搬送コンベア装置で間欠移動する際に、製品群を構成する個々の製品が横移動等して荷崩れ等を起こすことを可及的に抑制できる製品供給装置を提供する
【構成】 製品1を搬送する第一搬送コンベア装置と、箱5を搬送する第二搬送コンベア装置と、製品を保持するとともに第二搬送コンベア装置側に供給する移し替えロボットを備える。第二搬送コンベア装置は、箱5の搬送ピッチよりも短い距離で間欠移動し、移し替えロボットは、間欠移動の一時停止中に製品の供給を行うことで、箱内に複数の製品を積み重ねて段積するように構成する。第二搬送コンベア装置の搬送に伴い物品供給位置をX1,X2,X3と変えるように構成し、段積した製品群2の移動距離を短くて搬送速度を遅くすることで荷崩れしにくくする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を複数集積状態にした製品群を直接または間接的に搬送する搬送装置と、
前記製品を保持するとともに前記搬送装置側に供給するロボットを備え、
前記搬送装置は、前記製品群の搬送ピッチよりも短い距離で間欠移動し、
前記ロボットは、前記間欠移動の一時停止中に前記製品の供給を行うことで段積するものであり、前記搬送装置の搬送に伴い物品供給位置を変えるように構成したことを特徴とする製品集積供給装置。
【請求項2】
前記搬送装置は、箱を搬送するものであり、
前記ロボットは、前記製品を前記箱内に供給するものであり、
前記搬送装置は、前記箱を搬送することで前記箱内に収納された製品群を間接的に搬送するものであることを特徴とする請求項1に記載の製品集積供給装置。
【請求項3】
前記搬送装置は、バケットコンベアであることを特徴とする請求項1に記載の製品集積供給装置。
【請求項4】
前記製品は、袋状物体或いは非矩形の箱体であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の製品集積供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品集積供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の製品を段積状態で箱詰めする箱詰め装置は、例えば平置き状態の製品を搬送する第一搬送コンベアと、上部開口した箱を搬送する間欠的に搬送する第二搬送コンベアと、第一搬送コンベア上の製品をピックアップし、一時停止している第二搬送コンベア上で待機する箱内にピックアップした製品を供給する移し替えロボット等を備える。移し替えロボットは、上記の製品のピックアップと供給の移し替え処理を所定数繰り返し行うことで、2回目以降の移し替え時は、前回の移し替えで箱内に供給された製品の上に重ねて置くことで、箱内に所定数の製品を段積する。
【0003】
すなわち、例えば
図1(a)に示すように、まず、製品供給位置Xで一時停止している空の箱5内に、製品1をロボット供給する。そして、係る製品1のロボット供給を一時停止している箱5内に、繰り返し行い、
図1(b)に示すように、箱5内に所定数(図では3個)の製品1を段積する。次いで、第二搬送コンベアは、1ピッチ移動し、再び一時停止する(
図1(c)参照)。これにより、次の空の箱5は、移し替えロボットによる製品供給位置Xに至り、そこで製品1の供給を受けるべく待機する。この種の装置は、例えば特許文献1等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−1685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の装置は、所定数の製品を箱詰めした後、移し替えロボットが次の製品の移し替えを行う前に、第二搬送コンベアは1ピッチ分の搬送を行い、新たな空の箱を製品供給位置Xに位置させる必要がある。そのため、例えば第一搬送コンベアにおける製品の移動速度が速く、次の製品の移し替え開始までの時間が短かったり、第二搬送コンベアにおける1ピッチが長かったりするなどの場合、箱詰めされた箱を、高速に一ピッチ分移動する必要がある。そのため、箱内で段積された製品が荷崩れを生じるおそれがある。特に、製品が包装体のような袋状物や、非矩形状の箱物などの場合に顕著となる。
【0006】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の製品供給装置は、(1)製品を複数集積状態にした製品群を直接または間接的に搬送する搬送装置と、前記製品を保持するとともに前記搬送装置側に供給するロボットを備え、前記搬送装置は、前記製品群の搬送ピッチよりも短い距離で間欠移動し、前記ロボットは、前記間欠移動の一時停止中に前記製品の供給を行うことで段積するものであり、前記搬送装置の搬送に伴い物品供給位置を変えるように構成した。
【0008】
本発明では、ロボットにて搬送装置側に製品が供給され、段積されて製品群が形成され、そのまま搬送される。そして、ロボットにて製品を順次積み重ねて段積し、最後の製品を重ねて所定数の製品からなる製品群が形成された後、当該製品群が移動する距離は、搬送装置における製品群の前後の1ピッチに比べて短く、低速度で搬送が可能となるので、段積された製品が荷崩れを生じる恐れを可及的に抑制できる。
【0009】
搬送装置は、実施形態では第二搬送コンベア装置12に対応する。また、実施形態では、ロボットが保持する製品は、第一搬送コンベア装置11にて搬送されている製品をピックアップしたものとしたが、本発明はコンベア装置で搬送されるものに限られるものではない。
【0010】
(2)前記搬送装置は、箱を搬送するものであり、前記ロボットは、前記製品を前記箱内に供給するものであり、前記搬送装置は、前記箱を搬送することで前記箱内に収納された製品群を間接的に搬送するものとするとよい。このようにすると、複数の製品を上下に集積しながら箱詰めすることができ、箱内で製品が荷崩れすることを可及的に抑制できる。搬送装置は、例えば箱の前後を保持した状態で搬送する機能を備えるとより好ましいが、例えば後側に接触して搬送するようにしてもよく、さらにはベルトコンベアのように位置決めする部材がなくてもよい。但し、前後を保持するようにすると、間欠移動する際に箱が搬送面上で位置ずれするのを確実に抑止できるので良い。
【0011】
(3)前記搬送装置は、バケットコンベアとするとよい。例えば、バケットコンベアの搬送面の上に製品群を載せて直接搬送すると良い。
【0012】
(4)前記製品は、袋状物体或いは非矩形の箱体とするとよい。これらの製品は、不安定で横に位置ずれするおそれがあるが、低速度で短い距離を間欠移動することで、当該位置ずれによる荷崩れを防止できるのでよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、搬送装置で間欠移動する際に、製品群を構成する個々の製品が横移動等して荷崩れ等を起こすことを可及的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本発明に係る製品集積供給装置の好適な一実施形態を示す図である。
【
図3】本発明に係る製品集積供給装置の好適な一実施形態の作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0016】
製品集積供給装置10は、製品1を搬送する第一搬送コンベア装置11と、製品1を段積収納するための箱5を搬送する第二搬送コンベア装置12と、第一搬送コンベア装置11上を移動する製品1を保持するとともに箱5へ移し替える移し替えロボット15を備える。
【0017】
製品1は、例えば四方シール包装体や三方シール包装体のように扁平な袋状のものであり、その袋状の内部に所望の物品が収納される。この製品が上下に積み重ねるように段積されて製品群2が形成される。
【0018】
第一搬送コンベア装置11は、製品1を平置きの姿勢のまま一個ずつ搬送するものであり、例えばベルトコンベアから構成すると良い。図示の例では、各製品1は、所定ピッチ毎に一列縦隊で整列し、個々の製品1の姿勢も長辺が搬送方向と平行な姿勢で搬送しているが、本発明は必ずしもそのようにする必要は無く、前後の製品1の間隔及びまたは搬送姿勢がランダムに変わっていても良いが、図示のように整列していると、移し替えが容易・スムーズ・迅速にできるので良い。また、第一搬送コンベア装置11の搬送路の上方所定位置には、製品検知センサを配置し、搬送路上の製品1を検知するとよい。
【0019】
第二搬送コンベア装置12は、第一搬送コンベア装置11に沿うように配置され、本実施形態では、両コンベア装置の搬送方向は平行で逆方向としているが、同一方向でもよく、さらには、両コンベア装置が平行に配置しなくても良い。第二搬送コンベア装置12は、バケットコンベア、フィンガーコンベアその他の、搬送上で箱5を位置決めした状態で間欠搬送するコンベア装置から構成すると良い。図示の例では、搬送路を構成する無端状部材16と、その無端状部材16を回転移動させる駆動機構(図示せず)と、その無端状部材16の外周面に回転方向に沿って所定間隔で取り付けた前フィンガー部材17,後フィンガー部材18を備える。無端状部材16は、例えばエンドレスベルトや、搬送方向に対して直交する方向に延びるフリーローラを搬送方向に沿って多数整列配置したものの他各種の構成を適用するとよい。
【0020】
また、前フィンガー部材17と後フィンガー部材18は、例えば搬送面に固定接して両者間距離が固定のものでも良いし、少なくとも一方が相対的に前後進移動して箱5の寸法にあわせて両者間距離を調整できるものでもよく、各種の構造のものを用いることができる。
【0021】
本実施形態では、前後に隣接する前フィンガー部材17と後フィンガー部材18で箱5の前後壁に接触して位置決め保持し、その状態で安定して箱5を搬送可能としている。空の箱5は、上部開口した状態で搬送され、移し替えロボット15により第一搬送コンベア装置11で搬送される製品1を一個ずつ箱5内に移し替える。これにより、箱5内に複数の製品1を上下に重ねるように段積する。そして所定数の製品1が箱5内に段積収納されたなら、次の空の箱5に対する箱詰め処理を行う。
【0022】
移し替えロボット15は、図示省略するが例えばロボットアームと、そのロボットアームの先端に取り付けられた吸着部を備える。吸着部は、例えばベース部材に複数の吸着ノズルを格子状に配置し、例えば扁平な袋状の製品1であっても、複数の吸着ノズルが全体的に接触して、全面に対して吸着し、安定して保持することができる。ロボットアームによる吸着部の移動エリアは、第一搬送コンベア装置11の搬送面の上方及び第二搬送コンベア装置12の搬送面の上方を含む。
【0023】
係る構成にすると、移し替えロボット15は、製品検知センサの検出信号に基づき第一搬送コンベア装置11上を移動する製品1を吸着保持し、その保持した状態のままロボットアームの駆動により吸着部を箱5の上方に位置させるとともに、下降移動し、吸引を解除して製品1を箱5内に供給する。そして、係る箱5内への製品1の供給が完了すると、移し替えロボット15は、ロボットアームの駆動により吸着部を第一搬送コンベア装置11上の所定位置に移動して待機し、所定のタイミングで製品1を吸着保持する。次いで、移し替えロボット15は、その保持した状態のままロボットアームの駆動により吸着部を箱5の上方に位置させるとともに、下降移動し、吸引を解除して製品1を箱5内に供給する。これにより、同一の箱5に対する2個目以降に供給される製品1は、すでに供給された製品1の上に置かれ、段積される。
【0024】
ここで本発明では、間欠搬送する第二搬送コンベア装置12の移動距離を、前後の箱5の配置間隔(1ピッチ:例えば、前後に配置される箱5の前壁同士の距離)よりも短い距離とし、1ピッチ分を移動する間に所定回数一時停止するようにした。そして、その一時停止している際に、移し替えロボット15による上記の製品1の移し替え処理を行うように構成した。すなわち、箱詰めする全ての数の製品1を、一つの製品供給位置で一時停止して待機している箱に供給するのではなく、短い距離を移動し、一時停止している箱5に対し、一個或いは所定数よりも少ない個数の製品1を箱5内に供給する。
【0025】
このようにすると、所定数の製品1が箱詰めされた箱5は、製品群2の1ピッチよりも短い所定距離を移動するだけで、後続の空の箱5を製品供給開始位置に位置させることができる。よって、例えば第一搬送コンベア装置11における製品1の移動速度が速く、次の製品1の移し替え開始までの時間が短かったり、第二搬送コンベア装置12における1ピッチが長かったりしても、移動距離が短く移動のための時間も短時間ですむため、第二搬送コンベア装置12における搬送速度を遅くすることができる。その結果、箱5内で段積された製品1が荷崩れを生じる恐れを可及的に抑制できる。
【0026】
一例を示すと、例えば3個の製品1を箱5内に供給する場合には、
図3(a)に示すように、第一製品供給位置X1で製品1をロボット供給する。そして、1個の製品1を供給すると、第二搬送コンベア装置12は、箱5を所定距離、例えば1/3ピッチ搬送し、第二製品供給位置X2で一時停止する。そして、移し替えロボット15は、その第二製品供給位置X2で待機する箱5に対し、製品1をロボット供給する(
図3(b)参照)。このように1個の製品1を箱5内に供給すると、第二搬送コンベア装置12は、箱5を所定距離、例えば1/3ピッチ搬送し、第三製品供給位置X3で一時停止する。次いで移し替えロボット15は、その第三製品供給位置X3で待機する箱5に対し、製品1をロボット供給する(
図3(c)参照)。これにより、箱5内には、所定数の3個の製品1が段積み状態の製品群2が収納され、当該箱5に対する箱詰め処理が完了する。
【0027】
その後、第二搬送コンベア装置12は、箱5を所定距離、例えば1/3ピッチ搬送し、一時停止する。すると、所定数の製品1が箱詰めされた箱5の一つ後の空の箱が、第一製品供給位置X1に至るので、移し替えロボット15は、係る空の箱5に対する製品の供給を開始する。
【0028】
このように、箱5は、1/3ピッチずつ低速度で移動すればよいので、箱5内で製品1が荷崩れを生じることを抑制できる。図示の令では、段積みする製品1の個数を3個としたが、4個以上でもよいし、一時停止している際に供給する製品の個数を複数としてもよい。
【0029】
上述した実施形態では、製品1は移し替えロボット15により箱5内の製品の真上に重ねるように供給して集積したが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、箱内に搬送方向または搬送方向と直角方向に一列に、または行列状態にして複数の製品を各位置に重ねて、または重ねずに供給してもよい。また、箱内に製品を集積する際に、製品の一部が重なるようにサシミ状にして供給するものに適用しても良い。サシミ状のようにもとから製品をずらす集積形態の製品群を収納する場合でも、複数の製品を供給した後で、1ピッチ分を一気に移動すると製品同士のずれ具合が供給したときと異なり、例えば製品同士が詰まったりするなど所望のサシミ状態にできないおそれがあるが、本形態のように1ピッチに比べて短い距離を少しずつ移動しながら供給することで、製品群となった状態での移動距離も短くなり、搬送速度を遅くできるので姿勢の崩れを可及的に抑制できる。
【0030】
上述した実施形態並びに変形例では、第二搬送コンベア装置12は、箱を搬送し、製品1を箱詰めする例について説明したが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、第二搬送コンベア装置12の搬送面上に製品1を供給し、複数の製品1を真上或いはサシミ状に集積等した製品群2を乗せた状態で搬送するものに適用してもよい。係る場合に、第二搬送コンベア装置12は、例えばバケットコンベア、フィンガーコンベアその他の搬送面上における製品供給位置が決まっているコンベア装置から構成すると良い。特にバケットコンベアとするとよい。
【0031】
箱の搬送装置は、実施形態等に示すように搬送面が移動するものに限ることはなく、例えば移動しない搬送路の上に置かれた箱に対し、例えばプッシャー手段等により前方に向けて付勢し、搬送するものなど各種の構成をとれる。
【0032】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0033】
1 :製品
2 :製品群
5 :箱
10 :製品集積供給装置
11 :第一搬送コンベア装置
12 :第二搬送コンベア装置
15 :移し替えロボット
16 :無端状部材
17 :前フィンガー部材
18 :後フィンガー部材