(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-123377(P2021-123377A)
(43)【公開日】2021年8月30日
(54)【発明の名称】収納容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/04 20060101AFI20210802BHJP
B65D 83/06 20060101ALI20210802BHJP
【FI】
B65D83/04 G
B65D83/04 H
B65D83/06 E
B65D83/06 F
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-17106(P2020-17106)
(22)【出願日】2020年2月4日
(11)【特許番号】特許第6831933号(P6831933)
(45)【特許公報発行日】2021年2月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】307013857
【氏名又は名称】株式会社ロッテ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】野口 裕雄
(72)【発明者】
【氏名】森田 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】馬場 奈三江
(72)【発明者】
【氏名】藤原 普夫
(72)【発明者】
【氏名】花木 直人
(57)【要約】
【課題】収納物をより容易に容器から取り出すことが可能な収納容器を提供する。
【解決手段】収納容器10は、本体ケース20と蓋ケース30とヒンジキャップ40とを備える。本体ケース20は、角部21aを含む底板21と、角部21aを除いて底板21の周縁に設けられる周壁22とを有する。ヒンジキャップ40は、角部21aに位置し、本体ケース20の周壁22に連接すると共にヒンジ27を中心として回動することにより開口領域の開閉を行う。底板21には誘導ピン25が設けられている。底板41には、開閉動作の際に誘導ピン25がその中を移動可能な切欠部45と、ヒンジキャップ40が開口領域23を閉じた状態にした際に誘導ピン25に係合する第1突出部43と、ヒンジキャップ40が開口領域23を開いた状態にした際に誘導ピン25に係合する第2突出部44とが設けられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの角部を含む底板と、当該1つの角部を少なくとも除いて前記底板の周縁に設けられる周壁とを有し、前記底板と前記周壁とによりその内部に収納物のための収納空間が画定された本体ケースと、
前記本体ケースの前記収納空間を覆う天板を有し、前記本体ケースに嵌合される蓋ケースと、
前記1つの角部に設けられる前記周壁の開口領域に位置し、前記本体ケースの前記周壁の一端に連接するように設けられると共に前記周壁との連接箇所に位置するヒンジを中心として前記本体ケースの前記底板の面方向に沿って回動することにより前記開口領域の開閉を行うヒンジキャップと、
を備え、
前記本体ケースの前記底板には、前記蓋ケースの前記天板に向かって伸びる誘導ピンが設けられており、
前記ヒンジキャップの底板には、前記ヒンジキャップによる開閉動作の際に前記誘導ピンがその中を移動可能な切欠部と、前記切欠部の縁に設けられ、前記ヒンジキャップが前記開口領域を閉じた状態にした際に前記誘導ピンに係合して前記ヒンジキャップの動作を固定する第1突出部と、前記切欠き部の縁に設けられ、前記ヒンジキャップが前記開口領域を開いた状態にした際に前記誘導ピンに係合して前記ヒンジキャップの動作を固定する第2突出部とが設けられている、収納容器。
【請求項2】
前記第1突出部は前記切欠部の一方の縁に設けられ、前記第2突出部は前記切欠部の他方の縁に設けられ、前記第2突出部が前記第1突出部よりも前記ヒンジに近接している、請求項1に記載の収納容器。
【請求項3】
前記第1突出部及び前記第2突出部の少なくとも一方には、当該突出部の先端付近に前記切欠部に向かって膨出する膨出部が設けられている、請求項1又は2に記載の収納容器。
【請求項4】
前記ヒンジキャップの前記底板は略扇形形状を呈しており、当該底板にはその円弧部分から外側に突出する突起が設けられており、
前記本体ケースの前記周壁の他端付近には、前記突起の外側に向かう回転移動を規制する規制部が設けられている、請求項1〜3の何れか一項に記載の収納容器。
【請求項5】
前記本体ケースには、前記ヒンジキャップの前記底板の縁部又は前記突起を前記本体ケースの底板に向かって押し込む浮き規制部が設けられている、請求項1〜4の何れか一項に記載の収納容器。
【請求項6】
前記本体ケースと前記ヒンジキャップとが一体に形成されている、請求項1〜5の何れか一項に記載の収納容器。
【請求項7】
前記本体ケースの前記底板には、前記ヒンジキャップの前記底板が配置される薄肉領域が設けられており、前記薄肉領域は前記本体ケースの前記底板の他の部分よりも厚みが薄くなるように形成されている、請求項1〜6の何れか一項に記載の収納容器。
【請求項8】
前記本体ケースの前記底板には、前記収納物の当該収納容器の開口に向かっての移動を調整する複数の調整ピンが設けられており、前記調整ピンは、前記誘導ピンよりも収納容器の内側に位置している、請求項1〜7の何れか一項に記載の収納容器。
【請求項9】
前記複数の調整ピンは、前記周壁の高さの半分よりも低い、請求項8に記載の収納容器。
【請求項10】
前記ヒンジキャップの操作部は前記ヒンジキャップにおいて前記ヒンジから最も離れた位置に設けられており、前記ヒンジと前記切欠部との間の距離は、前記ヒンジと前記操作部との間の距離の半分以下である、請求項1〜9の何れか一項に記載の収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜6には、粒状物等を容器内に収納すると共に、振り出しにより当該粒状物等を容器内から取り出すことが可能なヒンジキャップ付きの収納容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−315468号公報
【特許文献2】特開平9−286474号公報
【特許文献3】特開平11−208746号公報
【特許文献4】実開平3−111987号公報
【特許文献5】特開平8−295375号公報
【特許文献6】特開平11−100081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1に記載の収納容器では、当該容器を持った手の指先でヒンジキャップを開けて収納されている粒状物等を振り出して取り出そうとした場合、ヒンジキャップを十分に下まで押し下げる必要がある。この際、使用者によっては、収納容器を持ち替えたり、親指を無理に横に回転させたり、又はもう一方の手でヒンジキャップを押し下げたりする必要が出てきてしまい、使用者が不便を感じることがある。そこで、粒状物等を収納する容器から粒状物等を取り出す際の動作をより簡易なものとすることが望まれている。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためのものであり、収納物を容器内からより容易に取り出すことが可能な収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、その一側面として、本体ケースと、蓋ケースと、ヒンジキャップとを備える収納容器に関する。本体ケースは、少なくとも1つの角部を含む底板と、当該1つの角部を少なくとも除いて底板の周縁に設けられる周壁とを有する。これら底板と周壁とによりその内部に収納物のための収納空間が画定される。蓋ケースは、本体ケースの収納空間を覆う天板を有し、本体ケースに嵌合される。ヒンジキャップは、上記1つの角部に設けられる周壁の開口領域に位置し、本体ケースの周壁の一端に連接するように設けられると共に周壁との連接箇所に位置するヒンジを中心として本体ケースの底板の面方向に沿って回動することにより当該開口領域の開閉を行う。この収納容器では、本体ケースの底板に、蓋ケースの天板に向かって伸びる誘導ピンが設けられている。また、ヒンジキャップの底板には、ヒンジキャップによる開閉動作の際に誘導ピンがその中を移動可能な切欠部と、切欠部の縁に設けられ、ヒンジキャップが開口領域を閉じた状態にした際に誘導ピンに係合してヒンジキャップの動作を固定する第1突出部と、切欠き部の縁に設けられ、ヒンジキャップが開口領域を開いた状態にした際に誘導ピンに係合してヒンジキャップの動作を固定する第2突出部とが設けられている。
【0007】
この収納容器では、本体ケースにおける開口領域に位置するヒンジキャップが本体ケースの周壁の一端に連接するように設けられると共に周壁との連接箇所に位置するヒンジを中心として回動することにより、当該開口領域の開閉を行うように構成されている。そして、この開閉動作が、本体ケースの底板に設けられた誘導ピンと、ヒンジキャップの底板に設けられた、切欠部、第1突出部及び第2突出部と、により実現されている。このような構成により、この収納容器では、ヒンジキャップの開閉動作が切欠部内を移動する誘導ピンにより誘導されてスムーズに行われ、且つ、第1突出部及び第2突出部でその誘導ピンを開閉位置に確実に固定させることができるため、ヒンジキャップの開閉動作をより容易なものとすることができる。その結果、この収納容器によれば、収納物を収納容器からより容易に取り出すことが可能となる。
【0008】
上記の収納容器において、第1突出部は切欠部の一方の縁に設けられ、第2突出部は切欠部の他方の縁に設けられ、第2突出部が第1突出部よりもヒンジに近接していることが好ましい。この場合、第1突出部に係合された誘導ピンを第1突出部から外す際の力が弱くてもよいため、ヒンジキャップの開放動作をより容易なものとすることができ、収納物を収納容器から更に容易に取り出すことが可能となる。
【0009】
上記の収納容器において、第1突出部及び第2突出部の少なくとも一方には、当該突出部の先端付近に切欠部に向かって膨出する膨出部が設けられていることが好ましい。この場合、第1突出部によるヒンジキャップの閉じた状態や第2突出部によるヒンジキャップの開いた状態をより確実に維持し、収納物を取り出す際には適切に排出することができ、一方、収納物を取り出さない際には開口領域をより確実に閉めた状態のままとして収納物の排出を防止することができる。
【0010】
上記の収納容器において、ヒンジキャップの底板は略扇形形状を呈しており、当該底板にはその円弧部分から外側に突出する突起が設けられており、また、本体ケースの周壁の他端付近には、突起の外側に向かう回転移動を規制する回動規制部が設けられていることが好ましい。この場合、ヒンジキャップの開口領域を所定の角度範囲に限定することができ、収納容器から排出される収納物の量を好適な状態とすることが可能となる。
【0011】
上記の収納容器において、ヒンジキャップの底板の縁部又は突起を本体ケースの底板に向かって押し込む浮き規制部が設けられていてもよい。この場合、ヒンジキャップの開閉動作の際、ヒンジキャップが本体ケースの底板から浮いてしまい、ヒンジキャップと本体ケースの底板との間に収納物が挟まってしまうようなことを防止することができ、スムーズな開閉動作が可能となる。
【0012】
上記の収納容器において、本体ケースとヒンジキャップとが一体に形成されていることが好ましい。この場合、収納容器を構成する部品点数を削減することが出来ると共に、本体ケースとヒンジキャップとが一体であることから、本体ケースへのヒンジキャップの取付け作業を容易なものとすることができる。
【0013】
上記の収納容器において、本体ケースの底板には、ヒンジキャップの底板が配置される薄肉領域が設けられており、薄肉領域は本体ケースの底板の他の部分よりも厚みが薄くなるように形成されていることが好ましい。この場合、ヒンジキャップの回動動作をより確実なものとすることができる一方、収納容器の厚みをそれほど厚くせずに全体を薄型化することが可能となる。
【0014】
上記の収納容器において、本体ケースの底板には、収納物の当該収納容器の開口に向かっての移動を調整する複数の調整ピンが設けられており、各調整ピンは、誘導ピンよりも収納容器の内側に位置していることが好ましい。この場合、収納容器から排出される収納物を順に排出させることができるため、収納物の取り出しを効率的に行うことができる。なお、その場合において、複数の調整ピンは、周壁の高さの半分よりも低くてもよい。
【0015】
上記の収納容器において、ヒンジキャップの開閉操作部はヒンジキャップにおいてヒンジから最も離れた位置に設けられており、ヒンジと切欠部との間の距離は、ヒンジと操作部との間の距離の半分以下であることが好ましい。この場合、ヒンジキャップの回動動作に伴う開閉位置での固定用の作用点がよりヒンジ(支点)に近いため、力点で必要とされる力(開閉動作の力)を低減することができ、よりスムーズなヒンジキャップの開閉動作を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、収納物をより容易に容器から取り出すことが可能な収納容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る収納容器の全体を示す斜視図であり、(a)は、収納容器のキャップが閉まった状態を示す斜視図であり、(b)は、収納容器のキャップが開いた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す本体ケースの一部とヒンジキャップとを拡大して示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す収納容器が閉じた状態の際の本体ケースの一部とヒンジキャップとを示す斜視図であり、(a)はヒンジキャップの操作部側から視た斜視図であり、(b)は本体ケースの収納空間側から視た斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す収納容器が開いた状態の際の本体ケースの一部とヒンジキャップとを示す斜視図であり、(a)はヒンジキャップの操作部側から視た斜視図であり、(b)は本体ケースの収納空間側から視た斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す収納容器において整流用の調整ピンにより収納物の取り出しの際の収納物の流れを調整する点を説明するための模式的な平面図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す収納容器のヒンジキャップにおいて開閉動作の際に浮きが発生することを説明するための斜視図である。
【
図8】
図8の(a)は、変形例に係る蓋ケースを示す斜視図であり、
図8の(b)は、
図8の(a)における浮き規制部を拡大して示す斜視図である。
【
図9】
図9の(a)は、浮き規制部がヒンジキャップの浮きを抑制する仕組みについて説明するための上面図であり、
図9の(b)は、その断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る収納容器について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いる場合があり、重複する説明は省略する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る収納容器の全体を示す斜視図であり、(a)は、収納容器のヒンジキャップが閉まった状態を示す斜視図であり、(b)は、収納容器のヒンジキャップが開いた状態を示す斜視図である。
図1に示すように、収納容器10は、箱状の本体ケース20と、本体ケース20を覆う蓋ケース30と、ヒンジキャップ40とを備えており、その内部に所定の収納物(例えばガムやキャンディーなどの食品等)を収納することができる空間を有するプラスチック容器である。収納容器10では、長手方向の一方の角部にヒンジキャップ40が収納されており、ヒンジキャップ40の操作部49を使用者が図示左側に押し込むことによりヒンジキャップ40がヒンジ27を中心として回動し、これにより、収納容器10内に収納されている収納物を開口12から順に取り出すことが可能となっている。収納容器10では、
図1の(a)に示すようにヒンジキャップ40が閉じた状態では、収納物が外に出て来ないようにヒンジキャップ40の回動が規制(固定)される。このような収納容器10は、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン樹脂(PE)又はポリスチレン(PS)樹脂などのプラスチック材料から形成することができる。
【0020】
図2は、収納容器10を分解した分解斜視図である。
図2では、ヒンジキャップ40は、本体ケース20内に組み込まれる前の状態を示している。
図2に示すように、収納容器10を構成する本体ケース20は、略矩形形状の底板21と、周壁22と、開口領域23と、複数のボス24(本実施形態では8個のボス24)と、誘導ピン25と、調整ピン26a,26bと、ヒンジ27と、回動規制部28と、を備えている。また、収納容器10を構成する蓋ケース30は、略矩形形状の天板31と、周壁32と、開口領域23に対応する開口領域33と、複数のボス受け部34(本実施形態では8個のボス受け部34)と、浮き規制部35と、を備えている。本実施形態では、ヒンジキャップ40は、本体ケース20と一体に形成(一体成形)されており、本体ケース20の周壁22の一端22aに連接され、連接箇所に位置するヒンジ27を中心として底板21の面方向に沿って回動するように構成されている。但し、ヒンジキャップ40は、本体ケース20と別部材から構成し、周壁22の一端22aに連接して、同様に回動するようにしてもよい。この場合でもヒンジキャップ40は、本体ケース20との連接箇所に位置するヒンジを中心として回動する。
【0021】
本体ケース20の底板21は、4つの角部を有する略矩形形状であり、本実施形態では、各角部がR状に形成されている。周壁22は、角部21aを除いて底板21の周縁に沿って蓋ケース30に向かって伸びるように設けられている。角部21aには周壁22が設けられておらず、開口領域23が形成されている。これら底板21と周壁22とによりその内部に粒状物等の収納物のための収納空間Sが画定される。複数のボス24は、蓋ケース30の複数のボス受け部34に嵌合することで蓋ケース30を本体ケース20に固定するための部材であり、周壁22に沿った領域及び底板21の中央等に設けられている。蓋ケース30のボス受け部34も同様に、周壁32に沿った領域及び天板31の中央等に設けられている。各ボス24が対応するボス受け部34に挿入されて嵌合することにより、天板31が収納空間Sを覆うように蓋ケース30が本体ケース20に固定される。なお、天板31が本体ケース20に嵌合された際、蓋ケース30の周壁32は、本体ケース20に対向するようにその内側に配置される。
【0022】
本体ケース20の底板21の開口領域23付近には、底板21の他の部分よりも厚みが薄い薄肉領域21bが形成されており、蓋ケース30に向かって伸びる誘導ピン25がこの薄肉領域21bに設けられている。誘導ピン25は、後述するヒンジキャップ40の切欠部45内に配置されて、ヒンジキャップ40のヒンジ27を中心とした回動をガイドするための部材である。ヒンジキャップ40は、収納容器として組み立てられた際、この薄肉領域21bの上に配置される(
図4及び
図5を参照)。また、本体ケース20の底板21のうちヒンジキャップ40が収納される領域(薄肉領域21b)の縁には、収納物を外部に取り出す際に収納物の動き(収納容器内での流れ)を調整するための調整ピン26a,26bが設けられている。調整ピン26a,26bは、周壁22やボス24よりも低く形成されており、調整ピン26aと調整ピン26bとの間、調整ピン26aと天板31との間、調整ピン26bと天板31との間、調整ピン26aと近接するボス24との間、調整ピン26bと近接するボス24との間等に収納物を所定数通るようにして、その流れを制御する。
【0023】
また、本体ケース20の周壁22の他端22b付近には、ヒンジキャップ40の回動動作を規制する回動規制部28が設けられている。回動規制部28は、ヒンジキャップ40の外周(円弧上)に設けられた突起46が引っ掛かる面28bを有しており、突起46が面28bに引っ掛かることにより、ヒンジキャップ40の外側への回動を所定の角度に規制する。この回動規制部28及び突起46により、例えば、
図1の(b)に示すように、収納容器10の開口12が所定の大きさとなるようにヒンジキャップ40の回動が規制される。なお、浮き規制部35は、ヒンジキャップ40の回動動作の際にヒンジキャップ40の底板が浮くのを規制する。
【0024】
次に、
図3を参照してヒンジキャップ40について詳細に説明する。
図3は、本体ケース20の一部とヒンジキャップ40とを拡大して示す斜視図である。
図3に示すように、ヒンジキャップ40は、略扇形形状の底板41と、閉じた際に周壁22,32の開口領域23,33を覆う側壁42と、第1突出部43と、第2突出部44と、切欠部45と、突起46と、切り抜き部47と、閉鎖用突起48と、を備えている。底板41は、平面視した際にヒンジ27を中心とした略扇形形状を呈しており、本体ケース20の薄肉領域21bに略対応する形状になっている。側壁42は、ヒンジキャップ40が閉じた際に、開口領域23,33を閉鎖する部分である。なお、側壁42は、周壁22の一端22aに連接されており、これにより、ヒンジキャップ40が本体ケース20と一体になっている。
【0025】
切欠部45は、誘導ピン25がその中に配置され、本体ケース20に対するヒンジキャップ40の回動動作を誘導するための部分であり、例えば、ヒンジ27を中心とする円弧形状になっている。切欠部45は、ヒンジキャップ40の回動動作を誘導できれば、上述した円弧に近似する直線状の切欠部でもよい。第1突出部43は、切欠部45の外周側の縁であって更に外側に位置する柱状部材であり、ヒンジキャップ40が開口領域23を閉じた状態にした際に誘導ピン25に係合してヒンジキャップ40の動作を固定する。第1突出部43は、その先端に切欠部45に向かって膨出する膨出部43aが設けられており、誘導ピン25が膨出部43aに引っ掛かることにより、誘導ピン25を係合する。また、第2突出部44は、切欠部45の内周側の縁であって更に内側に位置する柱状部材であり、ヒンジキャップ40が開口領域23を開けた状態にした際に誘導ピン25に係合してヒンジキャップ40の動作を固定する。第2突出部44は、その先端に切欠部45に向かって膨出する膨出部44aが設けられており、誘導ピン25が膨出部44aに引っ掛かることにより、誘導ピン25を係合する。
【0026】
突起46は、上述したように、本体ケース20の回動規制部28(面28b)に引っ掛かることにより、ヒンジ27を中心とするヒンジキャップ40の回動を所定の角度範囲内(例えば30°〜70°の範囲内)に規制するための部材である。また、突起46の内側には切り抜き部47が設けられている。切り抜き部47により、ヒンジキャップ40を
図3に示す組み込み前の状態から
図5の(a)等に示す組み込み後の状態にする際、突起46の位置を弾性変形させて組み込みを容易に行うことができるようになっている。なお、閉鎖用突起48は、ヒンジキャップ40が閉じた位置となった際に面48aが回動規制部28の面28aに合わさることにより、収納容器10の閉鎖状態をより確実に行うための部分である。
【0027】
ここで、
図4及び
図5を参照して、ヒンジキャップ40による収納容器10開閉動作について説明する。
図4は、収納容器10が閉じた状態の際の本体ケース20の一部とヒンジキャップ40とを示す斜視図であり、(a)はヒンジキャップ40の操作部側から視た斜視図であり、(b)は本体ケース20の収納空間側から視た斜視図である。
図5は、収納容器10が開いた状態の際の本体ケース20の一部とヒンジキャップ40とを示す斜視図であり、(a)はヒンジキャップ40の操作部側から視た斜視図であり、(b)は本体ケース20の収納空間側から視た斜視図である。
図4に示すように、収納容器10が閉じた状態の際は、切欠部45内に収納されている誘導ピン25は第1突出部43(膨出部43a)に係合し、これにより、ヒンジキャップ40の回動動作が行われないようにして、閉鎖状態を維持している。この際、本体ケース20のヒンジ27付近の周壁22は、ヒンジキャップ40の側壁42と一直線状になっており、1つの壁部を形成している。
【0028】
続いて、この閉じた状態から使用者によってヒンジキャップ40の操作部49が
図4の(a)に示す矢印A方向に押し込まれると、誘導ピン25が切欠部45内を内側に移動し、
図5に示すように、第2突出部44付近まで誘導される。この際、ヒンジキャップ40と本体ケース20の周壁22(回動規制部28)との間に開口12が形成される。開口12からは、収納容器10内に収納されている収容物が取り出し可能となる。また、この開いた状態となる際、突起46は、回動規制部28の面28bに引っ掛かって、ヒンジキャップ40の更なる回動を規制し、一方、第2突出部44は、膨出部44aにより誘導ピン25に係合して、その移動を規制する。これにより、収納容器10が開いた状態が維持される。なお、その後、使用者により、操作部49を
図5の(b)に示す矢印Bの方向に移動させることにより、収納容器10は、
図4に示す閉じた状態に戻ることになる。
【0029】
次に、収納容器10内での収納物P1〜P3の動作を調整する構成について
図6を参照して説明する。
図6は、収納容器10において調整ピン26a,26bにより収納物の取り出しの際の収納物の流れを調整する点を説明するための模式的な平面図である。
図6に示すように、収納容器10内には、調整ピン26aと調整ピン26bが設けられている。これらの調整ピン26a,26bは、ヒンジキャップ40が配置される薄肉領域21bの縁付近に位置しており(即ち開口12に近い位置に設けられており)、開口12から外に排出される収納物の容器内での動き(流れ)を調整する。
図6に示すように、収納容器10では、調整ピン26aと調整ピン26b等の位置を収納物P1〜P3の大きさに応じて調整することで、調整ピン26aと調整ピン26bとの間(収納物P2)、調整ピン26aと天板31との間、調整ピン26bと天板31との間、調整ピン26aと近接するボス24との間(収納物P1)、調整ピン26bと近接するボス24との間(収納物P3)等に収納物を所定数(本実施形態では1つずつ)順に通るようにして、その流れを制御している。各ピンの間等の距離は、収納物の大きさにより調整することが可能である。なお、収納物P1〜P3を容器内で更にスムーズに移動させるため、例えば本体ケース20の底板21に長手方向の伸びる凹部29を設けてもよい。
【0030】
以上、本実施形態に係る収納容器10によれば、本体ケース20における開口領域23に位置するヒンジキャップ40が本体ケース20の周壁22の一端22aに連接するように設けられると共に周壁22との連接箇所に位置するヒンジ27を中心として回動することにより、開口領域23の開閉を行うように構成されている。そして、この開閉動作が、本体ケース20の底板21に設けられた誘導ピン25と、ヒンジキャップ40の底板41に設けられた切欠部45、第1突出部43及び第2突出部44と、により実現されている。このような構成により、収納容器10では、ヒンジキャップ40の開閉動作が切欠部45内を移動する誘導ピン25により誘導されてスムーズに行われ、且つ、第1突出部43及び第2突出部44で誘導ピン25を開閉位置に確実に固定させることができるため、ヒンジキャップ40の開閉動作をより容易なものとすることができる。その結果、この収納容器10によれば、収納物を収納容器10からより容易に取り出すことが可能となる。
【0031】
また、収納容器10では、第1突出部43は切欠部45の一方の縁に設けられ、第2突出部44は切欠部45の他方の縁に設けられ、第2突出部44が第1突出部43よりもヒンジ27に近接している。このため、第1突出部43に係合された誘導ピン25を第1突出部43から外す際の力が弱くてもよいため、ヒンジキャップ40の開放動作をより容易なものとすることができ、収納物を収納容器10から更に容易に取り出すことが可能となる。
【0032】
また、収納容器10では、第1突出部43及び第2突出部44に、当該突出部の先端付近に切欠部45に向かって膨出する膨出部43a,44aが設けられている。このため、第1突出部43によるヒンジキャップ40の閉じた状態や第2突出部44によるヒンジキャップ40の開いた状態をより確実に維持し、収納物を取り出す際には適切に排出することができ、一方、収納物を取り出さない際には開口領域をより確実に閉めた状態のままとして収納物の意図しない排出を防止することができる。
【0033】
また、収納容器10では、ヒンジキャップ40の底板41は略扇形形状を呈しており、底板41にはその円弧部分から外側に突出する突起46が設けられており、また、本体ケース20の周壁22の他端22b付近には、突起46の外側に向かう回転移動を規制する回動規制部28が設けられている。このため、ヒンジキャップ40の開き具合を所定の角度範囲(例えば30°〜70°の範囲)に限定することができ、収納容器10から排出される収納物の量を好適な状態とすることが可能となる。
【0034】
また、収納容器10では、本体ケース20とヒンジキャップ40とが一体に形成されていてもよい。このため、収納容器10を構成する部品点数を削減することが出来ると共に、本体ケース20とヒンジキャップ40とが一体であることから、本体ケース20へのヒンジキャップ40の組み込み作業を容易なものとすることができる。
【0035】
また、収納容器10では、本体ケース20の底板21には、ヒンジキャップ40の底板41が配置される薄肉領域21bが設けられており、薄肉領域21bは本体ケース20の底板21の他の部分よりも厚みが薄くなるように形成されている。このため、ヒンジキャップ40の回動動作をより確実なものとすることができる一方、収納容器10の厚みをそれほど厚くせずに全体を薄型化することが可能となる。
【0036】
また、収納容器10では、本体ケース20の底板21には、収納物の収納容器10の開口12に向かっての移動を調整する複数の調整ピン26a,26bが設けられており、各調整ピン26a,26bは、誘導ピン25よりも収納容器10の内側に位置している。このため、収納容器10から排出される収納物を開口よりも手前で順に排出させることができるため、収納物の開口からの取り出しを効率的に行うことができる。
【0037】
なお、収納容器10では、ヒンジキャップ40の操作部49はヒンジキャップ40においてヒンジ27から最も離れた位置に設けられている。そして、ヒンジ27と切欠部45(中心線)との間の距離は、ヒンジ27と操作部49との間の距離の半分以下であることが好ましい。この場合、ヒンジキャップ40の回動動作に伴う開閉位置での固定用の作用点がよりヒンジ27(支点)に近いため、力点である操作部49で必要とされる力(開閉動作の力)を弱いものにすることができ、よりスムーズなヒンジキャップの開閉動作を実現することが可能となる。
【0038】
以上、本実施形態に係る収納容器について説明してきたが、本発明に係る収納容器は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形を適用することができる。例えば、上記実施形態では、ヒンジキャップ40の回転動作を突起46と回動規制部28とにより規制すると共に、ヒンジキャップ40の底板41の浮きを浮き規制部35により軽く規制していた。しかしながら、浮き規制部35による規制が軽度であるとヒンジキャップ40の底板41が回転動作の際に底板21から浮いてしまい、底板21と底板41との間に収納物が入り込んでしまう可能性がある。
【0039】
そこで、
図7及び
図8に示すように、突起46に厚みを持たせて突起146のような形状にすると共に、蓋ケース130に回動規制部28の内側に位置する浮き規制部135(押さえ部135a)を設けるようにしてもよい。押さえ部135aは、他のリブ135bよりも高さ(厚み)がある部分であり、これにより、
図9に示すように、ヒンジキャップ40の回動動作の際に突起146の浮き上がりを押さえ、これにより、突起146に連接されている底板41の浮きも押さえることが可能となる。このような構成によれば、ヒンジキャップ40の回動動作、即ち、収納容器10の開閉動作をより一層確実に行えることになる。
【符号の説明】
【0040】
10…収納容器、20…本体ケース、21…底板、21a…角部、21b…薄肉領域、22…周壁、23…開口領域、24…ボス、25…誘導ピン、26a,26b…調整ピン、27…ヒンジ、28…回動規制部、28a…面、28b…面、29…凹部、30,130…蓋ケース、31…天板、32…周壁、33…開口領域、34…ボス受け部、35,135…浮き規制部、40…ヒンジキャップ、41…底板、42…側壁、43…第1突出部、43a…膨出部、44…第2突出部、44a…膨出部、45…切欠部、46,146…突起、47…切り抜き部、48…閉鎖用突起、48a…面、49…操作部、135a…押さえ部。
【手続補正書】
【提出日】2020年7月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの角部を含む底板と、当該1つの角部を少なくとも除いて前記底板の周縁に設けられる周壁とを有し、前記底板と前記周壁とによりその内部に収納物のための収納空間が画定された本体ケースと、
前記本体ケースの前記収納空間を覆う天板を有し、前記本体ケースに嵌合される蓋ケースと、
前記1つの角部に設けられる前記周壁の開口領域に位置し、前記本体ケースの前記周壁の一端に連接するように設けられると共に前記周壁との連接箇所に位置するヒンジを中心として前記本体ケースの前記底板の面方向に沿って回動することにより前記開口領域の開閉を行うヒンジキャップと、
を備え、
前記本体ケースの前記底板には、前記蓋ケースの前記天板に向かって伸びる誘導ピンが設けられており、
前記ヒンジキャップの底板には、前記ヒンジキャップによる開閉動作の際に前記誘導ピンがその中を移動可能な切欠部と、前記切欠部の縁に設けられ、前記ヒンジキャップが前記開口領域を閉じた状態にした際に前記誘導ピンに係合して前記ヒンジキャップの動作を固定する第1突出部と、前記切欠き部の縁に設けられ、前記ヒンジキャップが前記開口領域を開いた状態にした際に前記誘導ピンに係合して前記ヒンジキャップの動作を固定する第2突出部とが設けられている、収納容器。
【請求項2】
前記第1突出部は前記切欠部の一方の縁に設けられ、前記第2突出部は前記切欠部の他方の縁に設けられ、前記第2突出部が前記第1突出部よりも前記ヒンジに近接している、請求項1に記載の収納容器。
【請求項3】
前記第1突出部及び前記第2突出部の少なくとも一方には、当該突出部の先端付近に前記切欠部に向かって膨出する膨出部が設けられている、請求項1又は2に記載の収納容器。
【請求項4】
前記ヒンジキャップの前記底板は略扇形形状を呈しており、当該底板にはその円弧部分から外側に突出する突起が設けられており、
前記本体ケースの前記周壁の他端付近には、前記突起の前記開口領域に向かう回転移動を規制する規制部が設けられている、請求項1〜3の何れか一項に記載の収納容器。
【請求項5】
前記本体ケースには、前記ヒンジキャップの前記底板の縁部を前記本体ケースの底板に向かって押し込む浮き規制部が設けられている、請求項1〜4の何れか一項に記載の収納容器。
【請求項6】
前記本体ケースと前記ヒンジキャップとが一体に形成されている、請求項1〜5の何れか一項に記載の収納容器。
【請求項7】
前記本体ケースの前記底板には、前記ヒンジキャップの前記底板が配置される薄肉領域が設けられており、前記薄肉領域は前記本体ケースの前記底板の他の部分よりも厚みが薄くなるように形成されている、請求項1〜6の何れか一項に記載の収納容器。
【請求項8】
前記本体ケースの前記底板には、前記収納物の当該収納容器の開口に向かっての移動を調整する複数の調整ピンが設けられており、前記調整ピンは、前記誘導ピンよりも収納容器の内側に位置している、請求項1〜7の何れか一項に記載の収納容器。
【請求項9】
前記複数の調整ピンは、前記周壁の高さの半分よりも低い、請求項8に記載の収納容器。
【請求項10】
前記ヒンジキャップの操作部は前記ヒンジキャップにおいて前記ヒンジから最も離れた位置に設けられており、前記ヒンジと前記切欠部との間の距離は、前記ヒンジと前記操作部との間の距離の半分以下である、請求項1〜9の何れか一項に記載の収納容器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記の収納容器において、第1突出部は切欠部の一方の縁に設けられ、第2突出部は切欠部の他方の縁に設けられ、第2突出部が第1突出部よりもヒンジに近接していることが好ましい
。
【手続補正書】
【提出日】2020年12月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
また、収納容器10では、第1突出部43は切欠部45の一方の縁に設けられ、第2突出部44は切欠部45の他方の縁に設けられ、第2突出部44が第1突出部43よりもヒンジ27に近接してい
る。