【解決手段】 移送装置10は、物品XA1の収容部11と、収容部11を第一の軸A1を中心として公転させる公転駆動手段12と、収容部11を第二の軸A2を中心として自転させる自転駆動手段13と、を有し、第一の領域P1で受け入れた物品XA1を第二の領域P2に周回移動するものであり、第一の軸A1と第二の軸A2の軸方向は同一であり、第一の領域P1から第二の領域P2に至る経路上において収容部11の姿勢を変位させて移送する第一の態様と、該経路上において収容部11の姿勢を変化させないで移送する第二の態様とを切替可能に構成した。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る移送装置10について説明する。
図1は本実施形態の移送装置10の一例を示す概要図である。同図(A)が移送装置10の一部を抜き出して示す上面(平面)図、同図(B)が同図(A)の図示下方側から見た側面図、同図(C)が主に1つの収容部11と物品XA1を示す図であり同図(A)の図示右方側から見た正面図である。なお、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、本図及び以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚みなどを適宜誇張して表現する。
【0012】
また、説明の便宜上、移送装置10において、物品XA1が収容部11に供給され、収容部11から排出される方向を移送方向Tといい、移送方向Tに水平面内で直交する方向を移送幅方向Wといい、移送方向Tおよび移送幅方向Wのいずれにも直交する方向を移送高さ方向Hという。
【0013】
本実施形態の移送装置10は、物品XA1の収容部11と、公転駆動手段12と、自転駆動手段13と、制御手段(不図示)等を有し、供給領域である第一の領域P1で受け入れた物品を排出領域である第二の領域P2に周回移動する装置である。
【0014】
本実施形態の物品XA1は一例として、被包装物を袋に入れてシールしたパウチ包装体であり、平面視(同図(A)参照)において略矩形状で比較的厚みが小さい(略扁平状の)外形状を有する。また被包装物として例えば液体や柔らかい固体などが直接封入されており、パウチ包装体としても柔軟性を有している。
【0015】
収容部11は、一例として、略矩形状の物品XA1(パウチ包装体)の対向する2辺を保持可能に構成されている。また、この例では排出領域P2における物品XA1の取り出しを可能にするため、中央部分が開放された収容部11となっている(取り出し(排出)の方法については後述する)。具体的に収容部11は、平面視(同図(A))において略矩形状且つ正面視(同図(C))においてコの字形状の保持部材11a、11bを2個一組とし、コの字状の開放部分が対向するように配置して一組の保持部材11a、11bの間に物品XA1を挟持するように構成されている。
【0016】
また、この例では複数(例えば、2個(2組))の収容部11を移送装置10の中心(第一の軸A1)を中心として互いに180度の位置に配置している。同図(A)では2個の収容部11はそれぞれ、図示右方、図示左方と、それぞれの一対の保持部材11a、11bの対向面側が開放されるように、配置されている。
【0017】
公転駆動手段12は、第一の軸A1を中心として、収容部11を同図(B)の矢印r1で示すように公転させる手段である(詳細は後述する)。以下、第一の軸A1を公転軸A1という。
【0018】
自転駆動手段13は、第二の軸A2を中心として、収容部11のそれぞれを同図(B)の矢印r2で示すように自転させる手段である(詳細は後述する)。以下、第二の軸A2を自転軸A2という。自転軸A2の軸方向は公転軸A1の軸方向と同一である。
【0019】
移送装置10の各部は、制御手段(不図示)によって統括的に制御される。制御手段は、CPU、RAM、及びROM等から構成される。CPUは、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて各種機能(各種制御)を実現する。RAMは、CPUの作業領域として使用される。ROMは、CPUで実行される基本OSやプログラムを記憶する。
【0020】
本実施形態の移送装置10は、公転駆動手段12と自転駆動手段13により、物品XA1を第一の態様と、第二の態様で移送することが可能であり、また、移送途中の任意のタイミングでこれらを切り替え可能に構成されている。具体的には、第一の態様は、第一の領域(供給領域)P1から第二の領域(排出領域)P2に至る公転の経路上において収容部11の姿勢を変位させて移送する態様であり、以下これを変位態様という。変位態様における姿勢の変位とは、基準位置(
図1(B)の基準面BS)に対する収容部11の角度変位である。具体的に変位態様としては、供給領域P1の収容部11の姿勢に対して排出領域P2の収容部11の姿勢が所定角度(180度、90度など)で回転したり、供給領域P1と排出領域P2では同じ姿勢であるがその途中経路において収容部11の角度が変位するなどの移送態様である。
【0021】
また、第二の態様は、当該経路上において収容部11の姿勢を変化させない移送の態様であり、以下これを非変位態様という。
【0022】
制御手段は、1つの移送装置10において変位態様と非変位態様のいずれでも移送できるように制御し、また任意のタイミングでこれらを切り替えることができる。
【0023】
図2および
図3は、移送装置10の変位態様と非変位態様について説明する。
図2は移送装置10において非変位態様で物品XA1を移送する場合を示す図であり、同図(A)、同図(B)および同図(G)が平面(上面)図、同図(C)〜同図(F)が同図(A)等を移送幅方向Wから見た側面図である。なお、
図2(C)〜同図(F)は、説明の便宜上、収容部11の側面(同図(A)の下方側の面)の図示を省略している(
図1(B)、同図(C)参照)。
【0024】
また、
図3は移送装置10において変位態様で物品XA1を移送する場合を示す図であり、同図(A)、同図(B)および同図(G)が平面(上面)図、同図(C)〜同図(F)が同図(A)等を下方から見た側面図である。なお、
図3(C)〜同図(F)は、説明の便宜上、収容部11の側面(同図(A)の下方側の面)の図示を省略している(
図1(B)、同図(C)参照)。
【0025】
<非変位態様での移送>
まず、
図2(A)を参照して物品XA1は、移送装置10の上流(ここでは図示右方)から、例えば押送手段50に押送されるなどして供給領域P1に供給される。より詳細には、移送装置10の上流に物品XA1の搬送路51が設けられ、当該搬送路51に対して、更に上流(ここでは同図(A)の上方)から破線矢印のように物品XA1が供給される。そして移送装置10に対して進退可能に構成された押送手段50が移送装置10方向(図示左方)に進出し、搬送路51上に供給された物品XA1を押送する。
【0026】
供給領域P1には移送装置10の収容部11が待機し、物品XA1は開放された図示右側方からスライドして収容部11に挟持される(同図(B)、同図(C))。その後押送手段50は、移送装置10から離れる方向(図示右方)に退避する。
【0027】
移送装置10は、例えば同図(C)〜同図(F)に示す順で、物品XA1を挟持した収容部11をその姿勢を変位させることなく排出領域P2に周回移動させる。具体的には、移送装置10は、公転軸A1を中心として収容部11を公転させながら排出領域P2に移動させる。そして、供給領域P1の物品XA1受け入れ時の収容部11の位置を基準位置(基準面BS)とした場合、公転の経路中においても排出領域P2においても、収容部11の第一の面S1、第二の面S2が基準面BSに対して角度変位しないよう(上下(表裏)および水平を維持して)収容部11を公転させる。
【0028】
その結果、同図(F)に示すように、収容部11に収容された物品XA1は、その上下(天地)を反転させることなく、供給領域P1で受け入れた状態のまま、すなわち面Fが上面(収容部11は第一の面S1が上面、第二の面S2が下面)のまま、排出領域P2に移送される。
【0029】
また、排出領域P2には物品XA1を下流に搬送する搬送手段(例えばフィンガーコンベア)55などが設けられ物品XA1が排出される。詳細は後述するが、搬送手段55は保持部(フィンガーなど)56を有し、これにより物品XA1は収容部11から取り出され、下流側に搬送される。
【0030】
<変位態様での移送>
図3(A)〜同図(B)に示すように、変位態様においても上流側から供給領域P1への物品XA1の受け入れは同様であるので、説明は省略する。
【0031】
移送装置10は、同図(C)〜同図(F)に示す順で、物品XA1を挟持した収容部11の姿勢を変位させながら排出領域P2に周回移動(公転)させる。つまり、供給領域P1の物品XA1受け入れ時の収容部11の位置を基準位置(基準面BS)とした場合、公転の経路中、収容部11の第一の面S1、第二の面S2を基準面BSに対して角度変位させながら(この例では、公転軸A1を中心とした収容部11の公転の角度に合わせて、収容部11自体の角度を変位させながら)収容部11を移動させる。より詳細には、収容部11を自転軸A2を中心として自転させずに、公転軸A1を中心として公転させ排出領域P2に移動させる。収容部11の自転の機構については後述する。
【0032】
この結果、同図(F)に示すように、収容部11に収容された物品XA1は、供給領域P1で受け入れた状態(収容部11は第一の面S1が上面、第二の面S2が下面の状態)からその上下(天地)を180度回転(反転)させて面Fに対向する面R(裏面)を上面として(収容部11は第一の面S1が下面、第二の面S2が上面となって)、排出領域P2に移送される。
【0033】
また、排出領域P2では、例えばフィンガーコンベア55などにより物品XA1が排出される。この取り出しは、非変位態様と同様であるので説明は省略する。
【0034】
このように本実施形態では、一台の移送装置10において非変位態様と変位態様で物品XA1を移送することができ、また制御手段よって、任意のタイミングで変位態様と非変位態様とを切り替えることができる。
【0035】
以下、移送装置10の公転駆動手段12と自転駆動手段13の具体的一例について、説明する。
【0036】
図4は、本実施形態の公転駆動手段12と自転駆動手段13を説明するための、移送装置10の主要な構成を抜き出して示す概要図であり、同図(A)が側面図であり、同図(B)が上面図である。
【0037】
公転駆動手段12は、公転軸A1を中心として回転可能な支持手段21と、公転軸A1を回転させる第一の駆動手段22(例えば、公転用モータ)と、第一の駆動手段(公転用モータ)22の回転軸22aの一端に連結された第1プーリ24、公転軸A1の一端に取り付けられた第2プーリ26、第1プーリ24と第2プーリ26の間に掛け渡されたタイミングベルト25を有する。
【0038】
公転軸A1は、支持手段21の中心に挿通され、移送幅方向Wに延びる回転軸である。支持手段21は例えば、公転軸A1の長手方向(移送幅方向W)の両端に固定され、移送方向Tに延びるアームである。
【0039】
公転用モータ22の回転出力を受けて第1プーリ24が回転すると、その回転がタイミングベルト25を介して第2プーリ26に伝達され、公転軸A1が回転する。これにより、支持手段(アーム)21が公転軸A1を中心に回転する(
図1(B)の矢印r1参照)。
【0040】
自転駆動手段13は、収容部11を支持する収容部支持手段31を有する。この例では収容部支持手段31は、アーム21の長手方向の両端にそれぞれ設けられる。収容部支持手段31は、移送幅方向Hに沿って延在して一端に収容部11が固定される自転軸A2(支持軸)と、自転軸A2の他端に固定された第1ギヤ33を有する。自転軸A2はそれぞれ、アーム21の両端に設けられた軸受け部21aに支持(アーム21に対して相対回転可能に支持)される。
【0041】
自転駆動手段13は更に、収容部支持手段31を回転させる第二の駆動手段(例えば、自転用モータ)35と、第二の駆動手段(自転用モータ)35の回転軸35aの一端に連結され、側板23の外側に取り付けられた第3プーリ36と、第4プーリ37と、第3プーリ36と第4プーリ37の間に掛け渡されたタイミングベルト38と、公転軸A1と同軸で一端に第4プーリ37が連結される回転軸39と、回転軸39の他端に連結される第2ギヤ40と、第2ギヤ40と第1ギヤ33とに噛合する第3ギヤ41を有する。なお、同図(B)に示すように、公転用モータ22、第1プーリ24、第2プーリ26、タイミングベルト25、自転用モータ35、第3プーリ26、タイミングベルト38以外の構成は、公転軸A1の他端側にも設けられる。回転軸39はその中心に公転軸A1が挿通され、公転軸A1に対して相対回転可能に構成される。
【0042】
自転用モータ35の回転出力を受けて第3プーリ36が回転すると、その回転がタイミングベルト38を介して第4プーリ37に伝達され、回転軸39が回転し、第2ギヤ40が回転する。これにより第三のギヤ41が第2ギヤ40とは逆方向に回転し、第1ギヤ33は第2ギヤ40と同方向に回転する。つまり、第1ギヤ33は、第2ギヤ40に対して相対的に回転可能に構成されている。第1ギヤ33の回転により自転軸A2が回転し、その一端に固定された収容部11は自転軸A2を中心に、アーム21に対して相対的に回転する(
図1(B)の矢印r2参照)。
【0043】
このように自転用モータ35は、第2ギヤ40を回転させ、第2ギヤ40に対して相対的に収容部支持手段31(第1ギヤ33)、および収容部11を回転させる。つまり収容部支持手段31は、アーム21とともに回転可能であり、且つ支持手段21に軸受け支持されることでアーム21に対して相対的に回転可能に構成される。
【0044】
このように、本実施形態の公転軸A1は自転軸A2とは独立して回転制御が可能に構成される。この例では、公転軸A1と自転軸A2はそれぞれ独立して回転制御可能に構成される。
【0045】
また、第1ギヤ33と第2ギヤ40の回転の位相差により収容部11の姿勢を基準面BSに対して変位させることができる。
【0046】
つまり、変位態様での移送の場合、例えば、第1ギヤ33と第2ギヤ40の歯数を同数にし、公転用モータ22と自転用モータ35の回転数を同じにするなどして同方向に回転させ、両者の回転の位相差を0にする(同期して回転させる)。これにより、
図3(C)〜同図(F)に示すように、公転軸A1(アーム21)の回転に同期して自転軸A2(収容部11)が回転し、収容部11の姿勢を供給領域P1と排出領域P2とで180度回転(反転)させることができる。
【0047】
また、第1ギヤ33と第2ギヤ40の歯数や、公転用モータ22と自転用モータ35の回転数を適宜調整し、両者の回転に位相差を設けることで、供給領域P1と排出領域P2とで、あるいは供給領域P1から排出領域P2に至る経路途中で、収容部11の姿勢(基準面BSに対する角度)を変位させることができる。一例として、供給領域P1の姿勢に対して排出領域P2の姿勢を90度回転させたり、供給領域P1と排出領域P2の姿勢は同じであるが経路途中のみ収容部11角度を基準面BSより15度傾ける、などの変位が可能となる。
【0048】
また、非変位態様での移送の場合、自転用モータ35の回転を停止するよう制御し、公転用モータ22のみを駆動させる。これにより、
図2(C)〜同図(F)に示すように、公転軸A1(アーム21)が回転する一方で、自転軸A2(収容部11)の回転(自転)は停止され、収容部11の姿勢(例えば基準面BSに水平な姿勢)を維持した状態で、供給領域P1から排出領域P2に移動させることができる。
【0049】
また、制御手段によって変位態様での移送と非変位態様での移送を任意のタイミングで切り替えることができる。
【0050】
図5は、主に物品XA1の排出側となる排出領域P2付近の構成を示す図であり、同図(A)が側面概略図、同図(B)が上面概略図である。
【0051】
本実施形態の移送装置10(収容部11)は、排出領域P2において、下流側に設けられる搬送手段55の搬送面59Sに物品XA1を載置する。
【0052】
排出側(下流側)に設けられる搬送手段55は、例えば移送方向T(図示左右方向)の前後に配置されたプーリ58とそのプーリ58に掛け渡されたベルト59と、ベルト59の外面に所定間隔で取り付けられた複数の保持部(フィンガー)56を有するフィンガーコンベアである。
【0053】
フィンガーコンベア55のベルト59は、側面視(同図(A))においては収容部11の上側の面(例えば、第一の面S1)と、下側の面(例えば、第二の面S2)の間に位置し、同図(B)に示す上面視においては排出領域P2に位置する収容部11の一組の保持部11a、11b間に位置する。つまり、非変位態様であっても変位態様であってもアーム21の回転によって収容部11が排出領域P2に移動する際、物品XA1は、搬送面59Sとなるベルト59上に載置され、収容部11の下側の面(例えば、第二の面S2)から浮いた状態となる。そして、フィンガー56が一組の保持部11a、11b間に差し込まれ、掻き出すように(スライドさせて)収容部11から取り出される。
【0054】
図6を参照して、本実施形態の移送装置10による移送の一例を説明する。同図は、移送装置10による移送の態様(同図(A)、同図(B))と、移送された物品XA1を集積化した状態を示す側面図(同図(C)、同図(D))である。
【0055】
既に述べているように、移送装置10は、変位態様と非変位態様を任意のタイミングで切り替え可能に構成されている。同図は、変位態様と非変位態様を交互に切り替えて物品XA1を移送し、排出された物品XA1をそのまま集積する場合の一例を示す。ここでは変位態様として、供給領域P1で受け入れた物品XA1を180度回転させ(反転させ)て排出領域P2から排出する場合を例示する。
【0056】
例えば、同図(A)に示すように物品XA1の厚み(移送高さ方向Hの厚み)が移送方向Tに沿って変化する(漸次厚くなる、薄くなる)形状の場合、移送装置10において非変位態様による移送(同図(A))と、変位態様による移送(同図(B))とを交互に切り替えることで、排出領域P2において物品XA1(の表裏)を反転しない状態と反転させた状態の交互に排出することができる。そしてこれらを順次集積することで、同図(C)に示すように集積体ZA1としての無駄なスペースを排除することができる。
【0057】
また、同図(D)に示すように、硬質の樹脂などによる口部Mが設けられたパウチ包装体XA1などの場合も同様に、変位態様と非変位態様を交互に切り替えることで、排出領域P2において物品XA1(の表裏)を反転しない状態と反転させた状態の交互に(口部Mの重なりを交互に)排出することができる。そしてこれらを順次集積することで、集積体ZA1としての無駄なスペースを排除することができる。
【0058】
なお、いずれも変位態様と非変位態様を交互に切り替える構成に限らず、複数回置きに切り替える構成であってもよく、同様の効果が得られる。
【0059】
図7および
図8は、変位態様の他の例を示す図であり、収容部11の姿勢の変位の一例を示す概要図である。
図7および
図8(A),同図(B)が移送装置10の側面概要図であり、
図8(C)、同図(D)が移送装置10の上面概要図である。
図7および
図8では収容部11の変位を説明する便宜上、移送方向Tの一方側が閉口し、他方が開口した(側面視コの字(C字)状の)収容部11を例示する。また、収容部11の自転軸A2を三角で図示し、収容部11の自転の状態を角の位置(の変位)で表す。例えば、
図7(A)が非変位態様で移送する場合(
図2参照)を示し、同図(B)が変位態様で移送する場合(
図3参照)を示している。
【0060】
既に述べているように、自転駆動手段13において、第1ギヤ33と第2ギヤ40の歯数や、公転用モータ22と自転用モータ35の回転数を適宜調整することにより、第1ギヤ33と第2ギヤ40の回転に位相差を設けることで、収容部11(すなわち物品XA1)の姿勢を任意に変位可能である。更にこの変位は、
図5に示す反転に限らず、任意の姿勢(基準面BSに対する角度)を選択できる。
【0061】
例えば、
図7(C)は、供給領域P1の収容部11の姿勢を排出領域P2において90度回転させる場合である。この場合、第1ギヤ33を第2ギヤ40より相対的に遅く回転させる。排出領域P2における回転の角度は90度に限らない(例えば、45度などでも可能である)。
【0062】
また、
図7(D)は供給領域P1の姿勢と排出領域P2の姿勢は同じであるが、移送経路中に基準面BSに対して傾斜させる場合である。例えば、移送経路中に収容部11の内側(公転軸A1側)より外側が移送高さ方向Hの上方に位置するように、収容部11を傾斜させることで、移送経路中に遠心力の影響で収容した物品XA1の飛び出しを防止することができる。この場合、供給領域P1及びその付近で第2ギヤ40の回転を停止した状態で公転を開始し、経路途中で第2ギヤ40を回転させ、排出領域P2の近傍又は排出領域P2において第2ギヤ40を第1ギヤ33と逆方向に回転させる。
【0063】
また、これまでの例では、基準面BSから移送高さ方向Hに高くなるように収容部11を移動(公転)させる場合を例示したが、基準面BSから移送高さ方向Hに低くなるように収容部11を移動(公転)させるようにしてもよい。
【0064】
具体的に、
図8(A)に示すように、第一の領域(供給領域)P1から移送高さ方向Hの下方に移動するように周回し、第二の領域P2に至るようにしてもよい。この場合、第1ギヤ33と第2ギヤ40の回転を同一方向に同期させることで、例えば基準面BSから90度の位置で物品XA1を排出させることができる。
【0065】
また、この場合、移送装置10の上流側に検査手段(不図示)を備え、当該検査手段の検査結果に応じて公転する回転方向を変更してもよい。例えば、検査の結果、不良品は下方に移動するように周回して排出してもよい。
【0066】
また、同図(B)に示すように、第1ギヤ33と第2ギヤ40の回転を逆方向に行なうことで、収容部11を基準面BSから基準面BSから移送高さ方向Hに低くなるように移動させるとともに、第一の領域(供給領域)P1と第二の領域(排出領域)P2とで収容部11(物品XA1)を反転させることができる。
【0067】
また、同図(C)、同図(D)は、公転軸A1を移送高さ方向H(鉛直方向)に延在させた移送装置10の概要を示す上面図である。この場合、物品XA1は例えば起立状態で移送され、収容部11も、物品XA1の両面側を支持するように一組の保持部材11a、11bを起立させる。同図(C)が変位態様での移送であり、供給領域P1と排出領域P2における物品XA1の移送方向Tの向き(前後)が反転する。一方同図(D)は非変位態様での移送であり、供給領域P1と排出領域P2における物品XA1の移送方向Tの向き(前後)は変らない。
【0068】
<第2実施形態>
図9は、移送装置10の第2実施形態を示す図であり、
図4(A)に対応する側面概要図である。
【0069】
第1実施形態では、自転駆動手段13が専用の第二の駆動手段(自転用モータ35)を有する例を説明したが、これを不要とし、公転駆動手段12のモータ(第一の駆動手段22)を、自転駆動手段13の駆動手段として共用してもよい。
【0070】
この場合、第一の駆動手段22の駆動力を第2ギヤ40に伝達する伝達手段として、第5プーリ45、第6プーリ46および第7プーリ47と、クラッチ60を設ける。クラッチ60は、第6プーリ46の軸(動力伝達軸)と、自転駆動手段13の第3プーリ36の軸(動力伝達軸)とが同軸で回転するように両者を連結し、および両者を遮断する。また、公転駆動手段12のタイミングベルト25を、第1プーリ24、第5プーリ45、第6プーリ46、第7プーリ47を経由して第2プーリ26に掛け渡す。また、自転駆動手段13のタイミングベルト38(大破線で示す)を、第3プーリ36、(第5プーリ45、第7プーリ47)と第4プーリ37の間に掛け渡す。これ以外の構成は、図示を省略しているが第1実施形態と同様である。
【0071】
変位態様による移送では、クラッチ60によって第6プーリ46と第3プーリ36の軸を連結する。これにより、第一の駆動手段22の回転に伴い、第2プーリ26が回転し公転軸A1が回転する。また同時に、第6プーリ46を介して第3プーリ36が回転し、第1実施形態と同様に第2ギヤ40および第1ギヤ33が回転し、自転軸A2が回転する。
【0072】
また非変位態様による移送の場合、クラッチ60を切り離し、第3プーリ36の回転を停止する。この場合、別途のブレーキ手段(不図示)により第3プーリ36の自由な回転を防止すると望ましい。このように、本実施形態の公転軸A1は自転軸A2とは独立して回転制御が可能に構成される。
【0073】
また、この場合、変位態様による移送の場合、移送の処理中に本来同期して回転すべき第1ギヤ33と第2ギヤ40の回転に僅かな位相差が生じる可能性がある。その場合は、クラッチ60の連結および遮断によって当該位相差を補正するとよい。
【0074】
第2実施形態では、変位態様としては、供給領域P1と排出領域P2の収容部11の姿勢を180度回転(反転)させるのみとなるが、駆動手段(モータ)が1種で実現できる。
【0075】
<他の実施形態>
図10は、移送装置10の他の実施形態の一例を示す図であり、
図4(A)に対応する側面概要図である。上述の実施形態では、公転駆動手段12の支持手段21が移送方向Tに延在するアームである場合を例示したが、支持手段21は例えば同図に示すような例えば円盤状(または環状)のホルダであってもよい。支持手段(ホルダ)21の中心には公転軸A1が固定され、公転軸A1の回転に伴ってホルダ21がその周方向に回転する。そしてホルダ21の外周付近に収容部支持手段31が軸受け固定される。これ以外の構成は、図示を省略しているが第1実施形態と同様である。
【0076】
このように、本実施形態の移送装置10によれば、非変位態様による移送と変位態様による移送を任意のタイミングで切り替えることができ、また変位態様において収容部11の姿勢(基準面BSからの角度)を任意に変位させることができる。つまり、移送中の収容部11の姿勢の変位に対して柔軟に対応することができる。
【0077】
本実施形態の移送装置10は、収容部11の公転駆動手段12と自転駆動手段13とを有し、非変位態様と変位態様で物品XA1を移送することができ、任意のタイミングで変位態様と非変位態様とを切り替えることができる構成であれば上記の例に限らない。
【0078】
例えば、自転駆動手段13の自転用モータ35は、第2ギヤ40を介さず、第1ギヤ33(のそれぞれ)を直接的に回転させる構成であってもよい。この場合、変位態様において、複数の収容部11をそれぞれに変位させることが可能となり、互いに異なる姿勢に変位するよう制御することができる。
【0079】
また、公転する収容部11の外周(の少なくとも一部)に、遠心力による物品XA1の飛び出しを防止するガイド部材を設けてもよい。また、収容部11の公転の経路途中に収容部11による物品XA1の保持(挟持)の状態を検出するセンサを設けても良い。
【0080】
また、供給領域P1への物品XA1の供給方法、および排出領域P2からの物品XA1の排出方法は、上記の例に限らない。
【0081】
また、収容部11の形状は上述の例に限らない。すなわち収容する物品XA1の形状や、上流側の供給方法(搬送手段)、下流側の排出方法(搬送手段)の構成に応じて適宜変更可能である。
【0082】
また、収容部11の個数は、3個以上でもよい。
【0083】
また、収容部11を供給領域P1から排出領域P2に移動中に収容部11の自転用モータ35を正逆回転させて、例えば、包装体内の被包装物(例えば、粉粒体)の偏りを均すように制御してもよい。
【0084】
また、移送装置10の下流の搬送手段55は、バケットコンベア、フィンガーコンベア、プレートコンベアなどでもよい。
【0085】
また、移送装置10の上流側に物品XA1の表裏を検査する検査手段を備え、その結果に応じて移送装置10で移動したすべての物品XA1を表面または裏面になるように自転の有無を切り替えてもよい。
【0086】
また、移送装置10は、物品XA1を起立状態で移送する装置(起立装置)としてもよい。この場合、排出領域P2側において、収容部11の姿勢を起立させて(開口部を上下方向にして)停止させる。また、このとき収容部11の停止位置は、下流側の搬送手段55の搬送面59Sよりも低い位置に停止することで、例えば、ロボット供給装置におけるロボットハンドで把持しやすいように収容部11に収容している物品XA1の一部を突出させるようにしてもよい。
【0087】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0088】
すなわち、上記実施形態において、各構成の位置、大きさ、長さ、形状、材質、向きなどは適宜変更できる。