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特開2021-123536毛髪脱色用又は染毛用の組成物又はキット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-123536(P2021-123536A)
(43)【公開日】2021年8月30日
(54)【発明の名称】毛髪脱色用又は染毛用の組成物又はキット
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/31 20060101AFI20210802BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20210802BHJP
【FI】
   A61K8/31
   A61Q5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-15733(P2020-15733)
(22)【出願日】2020年1月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】渡部 正志
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB012
4C083AB081
4C083AB082
4C083AB311
4C083AB312
4C083AB411
4C083AB412
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC182
4C083AC541
4C083AD042
4C083BB11
4C083CC35
4C083EE27
(57)【要約】
【課題】新規な毛髪脱色機構を呈する毛髪脱色用又は染毛用の組成物又はキットを提供する。
【解決手段】本開示の毛髪脱色用又は染毛用組成物は、毛髪脱色促進剤として、炭素原子数8〜16の炭化水素を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪脱色促進剤として、炭素原子数8〜16の炭化水素を含む、
毛髪脱色用又は染毛用組成物。
【請求項2】
アルカリ剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アルカリ剤が、アンモニア、アンモニウム塩、及びアルカノールアミンから選択される少なくとも一種である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
染料をさらに含み、かつ、染毛用として使用される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
酸化剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
油脂剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記炭化水素が、ドデカン、イソドデカン、テトラデカン、及びイソテトラデカンから選択される少なくとも一種である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
炭素原子数8〜16の炭化水素の毛髪脱色促進剤としての使用。
【請求項9】
毛髪脱色促進剤としての炭素原子数8〜16の炭化水素、又は前記炭化水素を含む組成物である剤、及び
使用説明書、
を備える、毛髪脱色用又は染毛用キット。
【請求項10】
前記剤がアルカリ剤をさらに含む第1剤であり、かつ、酸化剤を含む第2剤をさらに備える、請求項9に記載のキット。
【請求項11】
前記剤が、染料をさらに含む第1剤であり、かつ、染毛用として使用される、請求項9又は10に記載のキット。
【請求項12】
前記剤が酸化剤をさらに含む第2剤であり、かつ、アルカリ剤を含む第1剤をさらに備える、請求項9に記載のキット。
【請求項13】
前記剤が第3剤であり、かつ、アルカリ剤を含む第1剤及び酸化剤を含む第2剤をさらに備える、請求項9に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、毛髪脱色用又は染毛用の組成物又はキットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の毛髪脱色剤又は染毛剤などが開発されている。
【0003】
特許文献1には、オイルゲル及び過硫酸塩を備える安定な毛髪脱色剤組成物が開示されている。
【0004】
特許文献2には、毛髪の染色・脱色に用いられる組成物であって、(A)過酸化水素と、(B)炭素原子数8〜20のα−オレフィンスルホン酸又はその塩を含有する組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2011−518889号公報
【特許文献2】特開2001−064135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、特許文献1に記載されるような過硫酸塩は、脱色性能の高い成分として知られているが、使用者によっては、かぶれ等をもたらすおそれがあった。
【0007】
特許文献2に記載されるような2剤式の染毛剤又は毛髪脱色剤の場合には、典型的には、第1剤にアンモニア等のアルカリ成分が含まれ、第2剤に過酸化水素等の酸化剤が含まれている。そして、第1剤及び第2剤を毛髪に適用すると、毛髪内に浸透した過酸化水素は、同時に浸透したアルカリ成分によって分解されて酸素が発生し、それにより毛髪中のメラニン色素が分解して毛髪を脱色することができる。しかしながら、アンモニア等のアルカリ成分は、好ましくない臭いのもととなるおそれがあった。
【0008】
このため、脱色に関するバリエーションを増やし、種々の使用者に対して好適に使用され得るように、これまでとは異なる毛髪脱色機構を呈する新規な剤の開発が望まれていた。
【0009】
したがって、本開示の主題は、新規な毛髪脱色機構を呈する毛髪脱色用又は染毛用の組成物又はキットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
〈態様1〉
毛髪脱色促進剤として、炭素原子数8〜16の炭化水素を含む、
毛髪脱色用又は染毛用組成物。
〈態様2〉
アルカリ剤をさらに含む、態様1に記載の組成物。
〈態様3〉
前記アルカリ剤が、アンモニア、アンモニウム塩、及びアルカノールアミンから選択される少なくとも一種である、態様2に記載の組成物。
〈態様4〉
染料をさらに含み、かつ、染毛用として使用される、態様1〜3のいずれかに記載の組成物。
〈態様5〉
酸化剤をさらに含む、態様1に記載の組成物。
〈態様6〉
油脂剤をさらに含む、態様1〜5のいずれかに記載の組成物。
〈態様7〉
前記炭化水素が、ドデカン、イソドデカン、テトラデカン、及びイソテトラデカンから選択される少なくとも一種である、態様1〜6のいずれかに記載の組成物。
〈態様8〉
炭素原子数8〜16の炭化水素の毛髪脱色促進剤としての使用。
〈態様9〉
毛髪脱色促進剤としての炭素原子数8〜16の炭化水素、又は前記炭化水素を含む組成物である剤、及び
使用説明書、
を備える、毛髪脱色用又は染毛用キット。
〈態様10〉
前記剤がアルカリ剤をさらに含む第1剤であり、かつ、酸化剤を含む第2剤をさらに備える、態様9に記載のキット。
〈態様11〉
前記剤が、染料をさらに含む第1剤であり、かつ、染毛用として使用される、態様9又は10に記載のキット。
〈態様12〉
前記剤が酸化剤をさらに含む第2剤であり、かつ、アルカリ剤を含む第1剤をさらに備える、態様9に記載のキット。
〈態様13〉
前記剤が第3剤であり、かつ、アルカリ剤を含む第1剤及び酸化剤を含む第2剤をさらに備える、態様9に記載のキット。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、新規な毛髪脱色機構を呈する毛髪脱色用又は染毛用の組成物又はキットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】毛髪脱色促進剤であるイソドデカンの使用量と、L値との関係を示すグラフである。
図2】毛髪脱色促進剤であるイソドデカンの使用量と、L値との関係を示す別のグラフである。
図3】(a)は、流動パラフィンの使用量と、L値との関係を示すグラフであり、(b)は、揮発性環状シリコーンの使用量と、L値との関係を示すグラフであり、(c)は、揮発性直鎖シリコーンの使用量と、L値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について詳述する。本開示は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、発明の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0014】
本開示の毛髪脱色用又は染毛用の組成物(単に「組成物」という場合がある。)は、毛髪脱色促進剤として、炭素原子数8〜16の炭化水素を含んでいる。
【0015】
原理によって限定されるものではないが、このような組成物が、これまでにはない新規な毛髪脱色機構を呈し得る作用原理は以下のとおりであると考える。
【0016】
例えば、典型的な毛髪脱色剤又は染毛剤は、アルカリ剤を含む第1剤と、酸化剤を含む第2剤とが用いられている。そして、第1剤に含まれるアルカリ剤は、毛髪を膨潤させる機能を有し、それにより、第1剤のアルカリ剤及び第2剤の酸化剤などを毛髪中に浸透させることができ、また、毛髪中に浸透したアルカリ剤は、毛髪中の酸化剤を分解して酸素を発生させ、それにより毛髪中のメラニン色素が分解し、毛髪を脱色させ得ることが知られている。
【0017】
本発明者は、特定の炭化水素、即ち、炭素原子数8〜16の炭化水素を、例えば、上述した第1剤又は第2剤などに配合して使用すると、毛髪の脱色性がより向上することを見出した。この効果は、意外にも、炭素原子数が7以下及び17以上の炭化水素では奏し得ないことも、本発明者は見出している。
【0018】
特定の炭化水素による毛髪脱色促進性能の作用原理は定かではないが、本発明者は、この特定の炭化水素が、アルカリ剤の毛髪膨潤作用によって形成された毛髪表面の各種成分の侵入経路を拡張し、脱色に寄与するアルカリ剤及び酸化剤の毛髪内への浸透をより向上させていると考えている。具体的には、特定の炭化水素を含まない従来の構成の第1剤及び第2剤を使用した場合には、それらの中に含まれるアルカリ剤及び酸化剤は、毛髪内に比較的少ない割合しか侵入できず、残部は、脱色に貢献できない状態で毛髪外に存在していたところ、特定の炭化水素を含む第1剤等を使用した場合には、アルカリ剤及び酸化剤は、比較的多い割合で毛髪内に侵入することができるようになったため、従来のものに比べて毛髪の脱色性能をより向上させることができたと考えている。
【0019】
このように、特定の炭化水素は、これまでにない新規な毛髪脱色機構を呈することができるため、例えば、これまで使用されていたアルカリ剤等の使用量を低減したとしても、同等の脱色性能を発揮することができる。つまり、特定の炭化水素の毛髪脱色促進剤としての使用は、アルカリ剤等の脱色寄与成分の使用量の低減に貢献することができると考えている。
【0020】
《毛髪脱色用又は染毛用組成物》
本開示の毛髪脱色用又は染毛用組成物は、毛髪の脱色を促進する性能を有している。かかる毛髪脱色促進性能は、例えば、ハンターの色差式における明るさを表すL値によって評価することができる。L値が、0に近いと黒、100に近いと白を意図するため、L値が大きいほど、脱色促進性能に優れるといえる。本開示の毛髪脱色用又は染毛用組成物を適用した毛髪のL値は、18.5以上、19.0以上、19.5以上、20.0以上、20.5以上、21.0以上、21.5以上、又は22.0以上を達成することができる。L値の上限値については特に制限はないが、例えば、30.0以下、28.0以下、又は25.0以下とすることができる。
【0021】
この脱色促進性能は、ΔL値によっても評価することができる。例えば、アルカリ剤を含む第1剤、及び酸化剤を含む第2剤を備える2剤式の毛髪脱色剤を使用して脱色した毛髪のL値(基準値)と、毛髪脱色促進剤としての炭素原子数8〜16の炭化水素及びアルカリ剤を含む第1剤、並びに上記の第2剤を備える2剤式の毛髪脱色剤を使用して脱色した毛髪のL値(評価値)を、以下の式1に導入して求めることができる:
ΔL値=L値(評価値)−L値(基準値) …式1
【0022】
本開示の毛髪脱色用又は染毛用組成物を適用した毛髪のΔL値は、0.3以上、0.5以上、0.7以上、1.0以上、1.5以上、2.0以上、又は2.5以上を達成することができる。ΔL値の上限値については特に制限はないが、例えば、5.0以下、4.5以下、又は4.0以下とすることができる。
【0023】
〈毛髪脱色促進剤:炭素原子数8〜16の炭化水素〉
本開示の毛髪脱色用又は染毛用組成物は、毛髪脱色促進剤としての炭素原子数8〜16の炭化水素を含んでいる。このような炭化水素は、典型的には、常温下、例えば15℃〜35℃の雰囲気下において液体状であり、かつ、揮発しやすい性能を有している。したがって、本開示では、このような炭化水素を「揮発性炭化水素」と称する場合がある。また、本開示において「毛髪脱色促進剤」とは、かかる剤を配合しない場合に比べ、配合した場合に、毛髪の脱色性を向上させ得る剤、即ち、毛髪の明度をより明るくさせ得る剤を意図する。具体的には、上述したL値又はΔL値を達成し得る剤を意図することができる。
【0024】
揮発性炭化水素は、それ自体を単独で、毛髪脱色促進剤として使用してもよく、或いは、例えば、2剤式若しくは3剤式の毛髪脱色用又は染毛用キットに用いられる第1剤〜第3剤までのうちの少なくとも一つの一成分として使用してもよい。なお、原理は定かではないが、第1剤〜第3剤のうち、第1剤及び/又は第3剤に揮発性炭化水素を配合すると、毛髪の脱色性能をより向上させることができる。
【0025】
揮発性炭化水素を組成物の形態で使用する場合、その配合量としては特に制限はなく、使用形態、脱色促進性能等に応じて適宜配合することができる。揮発性炭化水素の配合量としては、組成物の全量に対し、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上、又は1.5質量%以上とすることができる。揮発性炭化水素の配合量の上限値としては特に制限はないが、このような組成物を、例えば、2剤式若しくは3剤式の毛髪脱色用又は染毛用キットに用いられる第1剤又は第2剤として使用する場合には、組成物の全量に対し、20質量%以下、15質量%以下、又は10質量%以下とすることができ、毛髪の脱色促進性の観点から、7質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
【0026】
3剤式の毛髪脱色用又は染毛用キットに用いられる第3剤は、追加的な性能を付与するための剤であり、典型的には、第1剤及び/又は第2剤に適宜混ぜ合わせて使用される。したがって、このような第3剤に対する揮発性炭化水素の配合量は、第3剤の使用目的等に応じて変動し得るため特に制限はない。例えば、第3剤は、揮発性炭化水素のみから構成されてもよく、或いは、揮発性炭化水素と、髪の毛をしっとりさせるような油分などとを併用した組成物として構成されてもよい。組成物の場合、揮発性炭化水素の配合量は、組成物の全量に対し、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上、又は1.5質量%以上とすることができ、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、又は10質量%以下とすることができる。
【0027】
炭素原子数8〜16の炭化水素としては、直鎖状又は分岐状の炭化水素であってもよい。具体的には、オクタン、イソオクタン、ノナン、イソノナン、デカン、イソデカン、ウンデカン、イソウンデカン、ドデカン、イソドデカン、トリデカン、イソトリデカン、テトラデカン、イソテトラデカン、ペンタデカン、イソペンタデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカンを挙げることができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。中でも、脱色促進性能の観点から、ドデカン、イソドデカン、テトラデカン、及びイソテトラデカンから選択される少なくとも一種が好ましく、ドデカン及び/又はイソドデカンがより好ましい。
【0028】
〈アルカリ剤〉
いくつかの実施態様において、本開示の毛髪脱色用又は染毛用組成物は、アルカリ剤を含んでもよい。このような組成物は、一般には、2剤式若しくは3剤式の毛髪脱色用又は染毛用キットに用いられる第1剤として使用され得る。アルカリ剤は、毛髪を膨潤させて、各種の成分を毛髪の内部に浸透させやすくする機能を有するとともに、例えば、過酸化水素等の酸化剤を分解して酸素を発生させ、それにより、毛髪のメラニン色素の分解、又は酸化染料の重合に間接的に貢献することができる。
【0029】
アルカリ剤の配合量としては特に制限はなく、例えば、組成物の全量に対し、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、又は8質量%以上とすることができる。アルカリ剤の配合量の上限値としては特に制限はないが、例えば、30質量%以下、25質量%以下、又は20質量%以下とすることができる。本開示の組成物は、揮発性炭化水素によって、毛髪の脱色性を向上させることができ、アルカリ剤によって間接的にもたらされる脱色性能を、この揮発性炭化水素で補完することができるため、異臭等の不具合を引き起こしやすいアルカリ剤の使用量を従来よりも低減することができる。具体的には、アルカリ剤の配合量の上限値として、組成物の全量に対し、20質量%未満、17質量%以下、15質量%以下、又は10質量%以下とすることができる。
【0030】
アルカリ剤としては特に制限はなく、例えば、アンモニア、炭酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸;グアニジン、2−アミノ−2−メチルプロパン、モノイソプロパノールアミン等の有機アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリなどを挙げることができる。さらに、これらの塩との組合せによる緩衝溶液(例えば、リン酸−リン酸のナトリウム塩)などを用いることができる。好ましいアルカリ剤としては、アンモニア、アンモニウム塩、アルカノールアミンを挙げることができる。これらのアルカリ剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0031】
〈染料〉
いくつかの実施態様において、本開示の染毛用組成物は、染料を含んでもよい。このような組成物は、一般には、2剤式若しくは3剤式の染毛用キットに用いられる第1剤として使用され得る。染毛用組成物の第1剤に配合し得る染料としては、一般に、酸化染料(「酸化染料中間体」と称する場合がある。)、直接染料などを挙げることができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0032】
染料の配合量としては特に制限はなく、例えば、組成物の全量に対し、0.01質量%以上、0.05質量%以上、又は0.1質量%以上とすることができ、また、5.0質量%以下、4.5質量%以下、又は4.0質量%以下とすることができる。
【0033】
酸化染料(酸化染料中間体)としては特に制限はなく、酸化染料(酸化染料中間体)自身が単独で酸化重合して高分子の発色団に変化して発色するタイプであってもよく、或いは、酸化染料(酸化染料中間体)とカプラーとが酸化重合して高分子の発色団に変化して発色するタイプであってもよい。
【0034】
酸化染料(酸化染料中間体)としては、例えば、パラフェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、2−クロロ−パラフェニレンジアミン、N−メトキシエチル−パラフェニレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−パラフェニレンジアミン、2−(2−ヒドロキシエチル)−パラフェニレンジアミン、2,6−ジメチル−パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、1,3−ビス(N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(4−アミノフェニル)アミノ)−2−プロパノール、PEG−3,3,2’−パラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2−アミノメチル−4−アミノフェノール、2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−4−アミノフェノール、オルトアミノフェノール、2−アミノ−5−メチルフェノール、2−アミノ−6−メチルフェノール、2−アミノ−5−アセタミドフェノール、3,4−ジアミノ安息香酸、5−アミノサリチル酸、2,4,5,6−テトラアミノピリミジン、2,5,6−トリアミノ−4−ヒドロキシピリミジン、4,5−ジアミノ−1−(4’−クロロベンジル)ピラゾール、4,5−ジアミノ−1−ヒドロキシエチルピラゾール、又はこれらの塩(例えば硫酸塩)等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0035】
上述した酸化染料と酸化重合し得るカプラーとしては、例えば、メタフェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、2−アミノ−4−(2−ヒドロキシエチルアミノ)アニソール、2,4−ジアミノ−5−メチルフェネトール、2,4−ジアミノ−5−(2−ヒドロキシエトキシ)トルエン、2,4−ジメトキシ−1,3−ジアミノベンゼン、2,6−ビス(2−ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、2,4−ジアミノ−5−フルオロトルエン、1,3−ビス(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン、メタアミノフェノール、2−メチル−5−アミノフェノール、2−メチル−5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2,4−ジクロロ−3−アミノフェノール、2−クロロ−3−アミノ−6−メチルフェノール、2−メチル−4−クロロ−5−アミノフェノール、N−シクロペンチル−メタアミノフェノール、2−メチル−4−メトキシ−5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2−メチル−4−フルオロ−5−アミノフェノール、パラアミノオルトクレゾール、レゾルシン、2−メチルレゾルシン、4−クロロレゾルシン、1−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、4−ヒドロキシインドール、5−ヒドロキシインドール、6−ヒドロキシインドール、7−ヒドロキシインドール、6−ヒドロキシベンゾモルホリン、3,4−メチレンジオキシフェノール、2−ブロモ−4,5−メチレンジオキシフェノール、3,4−メチレンジオキシアニリン、1−(2−ヒドロキシエチル)アミノ−3,4−メチレンジオキシベンゼン、2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン、2,6−ジメトキシ−3,5−ジアミノピリジン、2,3−ジアミノ−6−メトキシピリジン、2−メチルアミノ−3−アミノ−6−メトキシピリジン、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、2,6−ジアミノピリジン、又はこれらの塩(例えば硫酸塩、塩酸塩)等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0036】
直接染料としては特に制限はなく、例えば、ニトロ染料、分散染料、塩基性染料等を挙げることができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0037】
ニトロ染料としては、例えば、2−ニトロ−パラフェニレンジアミン、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール、3−ニトロ−パラヒドロキシエチルアミノフェノール、4−ニトロ−オルトフェニレンジアミン、4−アミノ−3−ニトロフェノール、4−ヒドロキシプロピルアミノ−3−ニトロフェノール、ニトロパラミン、HCブルーNo.2、HCオレンジNo.1、HCレッドNo.1、HCイエローNo.2、HCイエローNo.4、HCイエローNo.5、HCレッドNo.3、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−2−ニトロ−パラフェニレンジアミン等を挙げることができる。
【0038】
分散染料としては、例えば、ディスパーズバイオレット1、ディスパーズブルー1、ディスパーズブラック9等を挙げることができる。
【0039】
塩基性染料としては、例えば、ベーシックブルー99、ベーシックブラウン16、ベーシックブラウン17、ベーシックレッド76、ベーシックレッド51、ベーシックイエロー57、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31等を挙げることができる。
【0040】
〈酸化剤〉
いくつかの実施態様において、本開示の毛髪脱色用又は染毛用組成物は、酸化剤を含んでもよい。このような組成物は、一般には、2剤式若しくは3剤式の毛髪脱色用又は染毛用キットに用いられる第2剤として使用され得る。酸化剤は、毛髪内のメラニン色素の脱色を促進させる働きを有し、また、染毛用組成物においては、酸化染料中間体及び任意のカプラーを酸化重合させて着色効果を確定する効果を発揮することができる。
【0041】
酸化剤の配合量としては特に制限はなく、例えば、組成物の全量に対し、0.1質量%以上、0.5質量%以上、又は1.0質量%以上とすることができ、また、12質量%以下、9.0質量%以下、又は6.0質量%以下とすることができる。
【0042】
酸化剤としては特に制限はなく、例えば、過酸化水素、過酸化水素塩(例えば、過酸化水素ナトリウム等)、過酸化塩(例えば、過酸化アンモニウム、過酸化カリウム等)、過硫酸塩、過ホウ酸塩(例えば、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸アンモニウム、過ホウ酸カリウム等)、臭素酸塩(例えば、臭素酸ナトリウム等)、過ヨウ素酸塩、過酸化尿素塩、過炭酸塩(例えば、過炭酸ナトリウム等)等を挙げることができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0043】
これらの酸化剤のうち、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩は、例えば、3剤式の毛髪脱色用又は染毛用キットに用いられる第3剤(「ブースター」又は「脱色剤」と称する場合がある。)として使用され得る。したがって、いくつかの実施態様では、本開示の毛髪脱色用又は染毛用組成物は、3剤式の毛髪脱色用又は染毛用キットに用いられる過硫酸塩等の酸化剤を含む第3剤として使用してもよい。しかしながら、一般に、過硫酸塩は、毛髪の脱色効果が極めて高く、過硫酸塩と揮発性炭化水素を併用しても、揮発性炭化水素による毛髪の脱色促進性能を感じにくい。ブースターと称する第3剤には、過硫酸塩が組成物の全量に対して25質量%以上含まれる場合があるが、本開示の組成物は、揮発性炭化水素によって毛髪の脱色性を押し上げることができるため、揮発性炭化水素を含む組成物中における過硫酸塩の配合量を、組成物の全量に対し、25質量%未満、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、6質量%以下、3質量%以下、又は1質量%以下に低減することができ、また、組成物中には、過硫酸塩を配合させなくてもよい。
【0044】
〈油脂剤〉
いくつかの実施態様において、本開示の毛髪脱色用又は染毛用組成物は、油脂剤を含んでもよい。このような組成物は、一般には、2剤式若しくは3剤式の毛髪脱色用又は染毛用キットに用いられる第1剤〜第3剤として使用され得る。油脂剤は、一般に、塗布性能の向上、使用感(例えばしっとり感)の発現、毛髪に対するエモリエント効果の発現等のために、組成物中に配合され得る。
【0045】
油脂剤の配合量としては特に制限はなく、例えば、組成物の全量に対し、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上、3.0質量%以上、又は5.0質量%以上とすることができ、また、20質量%以下、18質量%以下、15質量%以下、13質量%以下、又は10質量%以下とすることができる。
【0046】
油脂剤としては特に制限はなく、例えば、高級アルコール、高級脂肪酸、炭化水素油等の油性成分を挙げることができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0047】
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール;イソステアリルアルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分岐鎖アルコール等を挙げることができる。
【0048】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニン)酸、オレイン酸、12−ヒドキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等を挙げることができる。
【0049】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等を挙げることができる。なお、炭化水素油には、炭素原子数8〜16の炭化水素は含まれない。
【0050】
〈任意成分〉
本開示の毛髪脱色用又は染毛用組成物は、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、各種成分を適宜配合することができる。例えば、金属封鎖剤(例えば、EDTA)、酸化防止剤(例えば、ビタミンC、シスチン、亜硫酸塩)等の安定化剤、殺菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、溶剤(例えば、エタノール)、水、浸透剤(例えば、ベンジルアルコール)、界面活性剤(例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤)、水溶性高分子化合物、保湿剤、コンディショニング剤(例えば、ポリオール、ケラチンタンパク、シリコーン、アミノ酸、植物エキス)、pH調整剤(例えば、リン酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸)、光沢付与剤、感触改良剤、エモリエント剤、毛髪補修剤、増粘剤(セルロース、キサンタンガム)、可溶化剤(例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン)、顔料、香料等を挙げることができる。これらの任意成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0051】
〈組成物の形態〉
本開示の毛髪脱色用又は染毛用組成物の形態としては特に制限はなく、例えば、液状、ゲル状、ペースト状、クリーム状、ワックス状等の形態を適宜選択することができる。例えば、2剤式の毛髪脱色用又は染毛用キットに用いられる第1剤〜第2剤において、第1剤をクリーム状とし、第2剤を液状としてもよく、或いは、第1剤及び第2剤をともに液状又はクリーム状としてもよい。混ぜ合わせる各剤の形態は、本開示の組成物に含まれる揮発性炭化水素が、例えば、第1剤と第2剤とを混ぜ合わせたときに均一に混ざり合うように、同一であることが有利であり、また、各剤の粘度も同程度であることが有利である。
【0052】
上記の形態の中でも、クリーム状であることが好ましい。クリーム状の組成物は、液状の組成物に比べて毛髪上に保持されやすく、本開示の組成物に含まれる揮発性炭化水素により、毛髪内へのアルカリ剤及び/又は酸化剤の浸透をより高めることができるため、脱色促進効果をより向上させることができる。
【0053】
クリーム状組成物、例えば、2剤式の毛髪脱色用又は染毛用キットに用いられる第1剤及び第2剤を混ぜ合わせた状態の粘度としては、例えば、髪への塗布性、髪上での保持性等の観点から、10,000mPa・s以上、20,000mPa・s以上、30,000mPa・s以上、40,000mPa・s以上、45,000mPa・s以上、又は50,000mPa・s以上とすることができでる。クリーム状組成物の粘度の上限値としては特に制限はなく、例えば、髪への塗り伸ばしやすさの観点から、100,000mPa・s以下、80,000mPa・s以下、60,000mPa・s以下、55,000mPa・s以下、又は50,000mPa・s以下とすることができる。ここで、かかる粘度は、25℃の雰囲気下でRV型粘度計(ブルックフィールド製、ローターNo.6)を用いたときの、2rpmで測定される粘度を意図する。
【0054】
本開示の組成物は、水、界面活性剤、油分などを用いて調製した、水中油型又は油中水型の乳化物の形態であってもよい。
【0055】
《毛髪脱色用又は染毛用キット》
本開示の毛髪脱色用又は染毛用キットは、上述した、毛髪脱色促進剤としての炭素原子数8〜16の炭化水素である剤、又はこの炭化水素を含む組成物である剤と、使用説明書とを備えている。ここで、使用説明書とは、キット内に書類の形態で添付されている一般的な使用説明書以外に、例えば、キットを収容する包装容器、又は揮発性炭化水素を含む第1剤等を注入するチューブ等の包装容器に対して使用説明文が印字された状態のものも包含することができる。
【0056】
以下に、毛髪脱色用又は染毛用キットの具体的な実施態様をいくつか例示するが、本開示のキットはこれらに限定されるものではない。汎用的には、かかるキットは、少なくとも、アルカリ剤を含む第1剤と、酸化剤を含む第2剤とを混合して用いる毛髪脱色用又は染毛用組成物のための毛髪脱色用又は染毛用キットとして使用され得る。
【0057】
以下のキットに使用される、毛髪脱色促進剤としての炭素原子数8〜16の炭化水素、アルカリ剤、酸化剤、染料などは、上述したものを同様に使用することができ、また、キットに用いられる各剤には、上述した任意成分を適宜配合してもよい。また、以下に示す各剤に含まれる内容物の形態としては、上述した組成物の形態と同様のものを採用することができる。
【0058】
いくつかの実施態様において、本開示の毛髪脱色用又は染毛用キットは、毛髪脱色促進剤としての炭素原子数8〜16の炭化水素に加え、酸化染料等の染料及び/又はアルカリ剤をさらに含む第1剤と、酸化剤を含む第2剤と、使用説明書とを備えることができる。第1剤に染料が含まれているキットは、染毛用キットとして使用することができる。
【0059】
いくつかの実施態様において、本開示の毛髪脱色用又は染毛用キットは、アルカリ剤を含む第1剤と、毛髪脱色促進剤としての炭素原子数8〜16の炭化水素に加え、酸化剤をさらに含む第2剤と、使用説明書とを備えることができる。
【0060】
いくつかの実施態様において、本開示の毛髪脱色用又は染毛用キットは、アルカリ剤を含む第1剤と、酸化剤を含む第2剤と、毛髪脱色促進剤としての炭素原子数8〜16の炭化水素の第3剤又はこの炭化水素を含む組成物の第3剤と、使用説明書とを備えることができる。
【0061】
上述した実施態様では、毛髪脱色促進剤としての炭素原子数8〜16の炭化水素は、1つの剤に対して配合するように構成されているが、かかる炭化水素は、2つ以上の剤に対して配合してもよい。
【0062】
〈剤型〉
上述した各種の剤は、チューブ等の容器に適宜配合することができ、その剤型としては特に制限はなく、例えば、ポンプスプレー、エアゾールスプレー、ポンプフォーム、エアゾールフォーム、クリーム、ジェル、ローション等を挙げることができる。中でも、上述したように、毛髪上での保持性能、脱色促進性能等の観点から、少なくとも、本開示の組成物を含む剤の剤型としては、クリームの剤型が好ましい。
【0063】
〈使用方法〉
上述した毛髪脱色用又は染毛用キットに用いられる各種の剤は、公知の方法によって髪に適用することができる。例えば、2剤式の場合は、第1剤と第2剤とを混ぜ合わせて毛髪に塗布し、所定時間経過後、洗い流すことで実施することができる。3剤式の場合は、例えば、第1剤〜第3剤を混ぜ合わせて、同様にして実施することができる。
【実施例】
【0064】
以下に実施例を挙げて、本発明についてさらに詳しく説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下、特に断りのない限り、配合量は質量%で示す。
【0065】
《実施例1〜6及び比較例1〜17》
表2〜表6に示す各処方の2剤式脱色剤の第1剤(アルカリ剤を含む組成物)を常法により調製した。また、以下の表1の配合例に示す処方の2剤式脱色剤の第2剤(酸化剤を含む組成物)を常法により調製した。これらの第1剤及び第2剤を用いて、以下の評価を行い、その結果を表2〜表6、及び図1図3に示す。
【0066】
〈評価方法1〉
(脱色促進性評価1:L値)
1.5gの第1剤及び1.5gの第2剤を均一に混ぜ合わせて調製した混合物を、1gの黒髪ストランドに対して刷毛で塗布し、31℃のインキュベーター内に30分間放置した後、水で十分に洗浄してドライヤーで乾燥し、評価サンプルを調製した。調製した評価サンプルのL値を、色差差計(CM−3600d、コニカミノルタ株式会社製)を用いて評価した。
【0067】
〈2剤式脱色剤の第2剤の処方〉
【表1】
【0068】
〈2剤式脱色剤の第1剤の処方及び評価結果〉
表2の実施例1の処方は、揮発性炭化水素を添加したこと以外、比較例1の処方と同一である。また、表3の実施例2〜6の処方は、揮発性炭化水素を添加したこと以外、比較例2の処方と同一であり、表4の比較例3〜7の処方は、流動パラフィンをさらに添加したこと以外、比較例2の処方と同一であり、表5の比較例8〜12の処方は、環状シリコーンを添加したこと以外、比較例2の処方と同一であり、表6の比較例13〜17の処方は、直鎖シリコーンを添加したこと以外、比較例2の処方と同一である。
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】
〈結果〉
表2〜表3及び図1図2を見れば明らかなように、揮発性炭化水素を含まない構成の比較例1及び比較例2のL値に比べ、炭素原子数が12の揮発性炭化水素であるイソドデカンを含む構成の実施例1〜6のL値の方が、その値が明らかに高くなっていることから、特定の炭化水素の使用は、毛髪の脱色を促進させる性能を有していることが確認できた。
【0075】
実施例1のL値が19.6と20.0未満であるのに対し、実施例2〜実施例6のL値はいずれも22.0を超えていた。この原因としては、組成物の形態が影響していると考えられる。つまり、実施例2〜実施例6のクリーム状の組成物の方が、実施例1の液状の組成物に比べて髪に保持されやすく、アルカリ剤と酸化剤が髪の内部に通常よりも深く浸透してメラニンを分解したことが起因していると考えられる。
【0076】
また、表4〜表6及び図3(a)〜図3(c)の結果を見れば明らかなように、揮発性炭化水素とは異なる、流動パラフィン、揮発性の環状シリコーン、揮発性の直鎖シリコーンなどでは、毛髪の脱色促進性能を呈し得ないことが分かった。逆に、これらの成分を含む構成の比較例3〜比較例17のL値は、これらの成分を含まない構成の比較例2のL値に比べて低下していることから、流動パラフィン、揮発性の環状シリコーン、揮発性の直鎖シリコーンの使用は、毛髪の脱色を低下させる性能を有しているといえる。
【0077】
《実施例7〜15及び比較例18〜26》
表7〜表8に示す各処方の2剤式脱色剤の第1剤(アルカリ剤を含む組成物)を常法により調製した。また、上記の表1の配合例に示す処方の2剤式脱色剤の第2剤(酸化剤を含む組成物)を常法により調製した。これらの第1剤及び第2剤を用いて、以下の評価を行い、その結果を表7〜表8に示す。
【0078】
〈評価方法2〉
(脱色促進性評価2:目視観察)
1.5gの第1剤及び1.5gの第2剤を均一に混ぜ合わせて調製した混合物を、1gの黒髪ストランドに対して刷毛で塗布し、31℃のインキュベーター内に30分間放置した後、水で十分に洗浄してドライヤーで乾燥し、基準サンプルと評価サンプルとを調製した。ここで、「基準サンプル」とは、揮発性炭化水素を含まない上述した比較例2の組成物を第1剤として使用して調製したサンプルを意図し、「評価サンプル」とは、表7及び表8における比較例18〜26及び実施例7〜15の組成物を各々第1剤として使用して調製したサンプルを意図する。
【0079】
調製した基準サンプル及び評価サンプルを目視で観察し、以下の基準で脱色促進性を評価した。ここで、A及びB評価が合格、C評価が不合格とみなすことができる:
A:基準サンプルに比べ、評価サンプルの方が、高度に明るかった。
B:基準サンプルに比べ、評価サンプルの方が、明るかった。
C:基準サンプルと評価サンプルとの明るさに差がなかった。
【0080】
〈2剤式脱色剤の第1剤の処方及び評価結果〉
表7及び表8における比較例18〜26及び実施例7〜15の処方は、No.22〜No.39の炭化水素を各々変更したこと以外は同一である。
【0081】
【表7】
【0082】
【表8】
【0083】
〈結果〉
表7及び表8の結果から明らかなように、いかなる炭化水素でも毛髪の脱色促進性能を奏し得るわけではなく、特定の炭化水素、即ち、炭素原子数8〜16の炭化水素を使用した場合に奏し得ることが確認できた。
図1
図2
図3