【解決手段】エチレンプロピレン共重合体ゴム、エチレン−αオレフィン共重合体ゴム、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロルスルフォン化ポリエチレンゴム又はこれらの組み合わせであるベースゴムと、融点又は軟化温度が110℃未満である無水マレイン酸変性ポリマーと、非化学変性及び非修飾のセルロースナノファイバーとを含有する組成物。
上記ベースゴムがエチレンプロピレン共重合体ゴム、エチレン−αオレフィン共重合体ゴム、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロルスルフォン化ポリエチレンゴム又はこれらの組み合わせである請求項1に記載の組成物。
【背景技術】
【0002】
セルロースナノファイバー(以下、「CNF」ともいう)を充填剤としてゴム組成物に配合することで、ゴムを補強し、モデュラス(引張応力)や引張強度等の引張特性を向上させることができる。例えば特開2013−018918号公報にはゴムラテックスとセルロース繊維の水分散液とを混合した後、少なくとも一部の水を除去してセルロース繊維/ゴム複合体を得る工程(1)及びこの工程(1)で得られた複合体とゴムとを混合する工程(2)を有するゴム組成物の製造方法が記載されている。
【0003】
CNFの表面には親水性官能基(ヒドロキシ基やカルボキシ基)が存在するため、自己凝集力が強く、また、ゴム成分との相溶性も悪いため、単にゴムエマルションにセルロースナノファイバーを投入して、混合、乾燥及び混練しても、CNFがゴム中で凝集してしまい、ゴム中で解繊及び分散できず、十分な補強性を発揮できない。
【0004】
また、CNF自体は透明であるものの、例えばN−オキシル化合物を触媒として酸化反応させて得られるセルロース繊維(例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル(以下、「TEMPO」ともいう)酸化CNF)や、リン酸エステル化セルロースから得られるCNFをゴムに配合したCNFとゴムとの複合体は、混練及び架橋反応プロセスを経た後、褐色に変色してしまい、白色が要求される製品には、使用が制約されてしまうという問題がある。
【0005】
エマルションの粒子径は、通常、100〜300nmである。繊維幅3〜10nmといった細いCNF水分散液とポリマーラテックスとを混合して乾燥すると、ラテックスポリマー粒子の表面は乾燥後、CNFの被膜で覆われる。例えばInternational Journal of Biological Macromolecules,59(2013),99−104によれば、繊維幅3.5nmのTEMPO酸化CNFの場合、この被膜の強度は290MPaであるので、CNFの被膜で覆われたラテックスポリマー粒子を希釈樹脂と混練しても、CNFは、被膜の粉砕物あるいは、CNFの凝集物がマトリックスポリマー中に分散された構造となり、期待されるナノコンポジットは得られないという問題がある。
【0006】
TEMPO酸化CNFをゴム中に解繊するため、CNFの凝集を抑制するために、グリセリンやジエチレングリコールをCNF分散体の水と置換し、水が除去されたCNF、高沸点水溶性溶剤及び分散安定剤(カチオン界面活性剤など)の混合物をゴムに混練し、高沸点溶剤を加熱して、あるいは減圧乾燥して除去し、CNF/ゴム複合体を得ることが試みられている。しかし、この方法の最大の問題点は高沸点溶剤の除去に時間がかかる、あるいは大がかりな装置が必要となり、高コストとなることであった。
【0007】
特開2015−093882号公報には、平均繊維幅が2〜1000nmの微細セルロース繊維と樹脂エマルションとを含有する固形分濃度が1.5質量%以下の混合液から水分を除去する工程を有する複合材の製造方法が開示されている。固形分濃度を1.5質量%以下に規定しているのは、乾燥後、得られる複合材(マスターバッチ)のCNF濃度が低くならないようにするためである。このように、CNFの固形分濃度を上げると、ラテックスポリマー粒子を覆うCNF被膜の厚みが厚くなるので、CNFの解繊がより困難になる。
【0008】
また、ゴムラテックスを用いる方法は、ラテックスとして市販されているゴムへの適用は可能であるが、エチレンプロピレン系ゴムや、水素添加NBR等のラテックスが市販されていないゴムへの適用が出来ないという、現実的な問題があった。
【0009】
CNFをマトリックス中に分散する為に、CNF表面のヒドロキシ基を化学的に修飾したり、アニオン変性CNFの場合には、カチオン性の物質(例えばアルキルアミン)をイオン結合させたりして、マトリックス樹脂とCNF界面との相互作用を高めることがなされている。CNFを疎水性処理剤で処理することで、ゴム成分とCNFとの相溶性を改善する方法が開示されている。特開2014−125607号公報では、平均繊維径が1〜200nmであり、カルボキシ基を有する微細セルロース繊維を、炭化水素基を有する疎水変性処理剤で処理して得られる微細変性セルロース繊維をゴムに配合することで、セルロース繊維のゴム中での分散性を改善する方法が開示されている。ゴムは基本的には疎水性高分子(例えばエチレンプロピレンゴム、天然ゴムは典型的な疎水性高分子)であるので、用いる疎水性処理剤は例えば長鎖アルキル基を有するものが適用される。したがって、疎水性処理は水系ではなく、溶剤系で行われることが必然となり、コストアップの原因となっていた。
【0010】
特開2016−147996号公報には、非イオン性界面活性剤及び/又は陽イオン性界面活性剤と、平均繊維径1μm以下のミクロフィブリル化植物繊維分散液とを混合し、得られた混合物とゴムラテックスとを更に混合することで調製された配合ラテックスから得られるミクロフィブリル化植物繊維・ゴム複合体が開示されている。ミクロフィブリル化繊維は機械的解繊で得られたCNF(実施例によれば、繊維幅20nmを使用)を用いている。また、ゴムラテックスを用いるので、水溶性界面活性剤を用いている。セルロースは親水性であり、界面活性剤も水溶性であるので、得られたCNF/ゴム複合体は耐水性が悪く、例えば他材質との接着を阻害するという問題があった。さらには、界面活性剤はCNFとゴムとの相溶性は高めるものの、界面の相互作用力は低いので、この複合体を用いたゴム組成物は、十分な引張特性を発揮できず、変形を与えた場合に永久変形が大きいという問題もあった。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の組成物及び組成物の製造方法について詳説する。
【0019】
<組成物>
当該組成物は、ベースゴム(以下、「A成分」ともいう)と、無水マレイン酸変性ポリマー(以下、「B成分」ともいう)と、非化学変性及び非修飾のセルロースナノファイバー(以下、「C成分」ともいう)とを含有する。当該組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、A成分、B成分及びC成分以外のその他の成分(以下、「他の成分」ともいう)を含有していてもよい。
【0020】
当該組成物は、A成分、B成分及びC成分を含有することにより、セルロースナノファイバーが解繊・分散しており、優れた引張特性を発揮する架橋ゴムを製造することができる。なお、本明細書において「セルロースナノファイバーが解繊・分散している」とは、架橋ゴム中においてセルロースナノファイバーの凝集が抑制されており、目視において凝集物がほぼ認められない状態、より詳細には凝集物が全く認められない状態か、又は認められたとしても微小な凝集物が認められる状態を意味する。さらに、本明細書において、「セルロースナノファイバーが高度に解繊・分散している」とは、架橋ゴム中においてセルロースナノファイバーの凝集が抑制されており、目視において凝集物が全く認められない状態を意味する。当該組成物が上記構成を備えることによりこのような効果を奏する理由としては、例えば以下のように推察できる。B成分として無水マレイン酸変性ポリマーを、C成分として非化学変性及び非修飾のセルロースナノファイバーを用いることにより、セルロースナノファイバーのヒドロキシ基と無水マレイン酸変性ポリマーの無水マレイン酸基とが反応することにより、セルロースナノファイバーの凝集が抑制され、当該組成物中においてセルロースナノファイバーが解繊・分散する。その結果、当該組成物を用いて製造される架橋ゴムにおいてもセルロースナノファイバーが解繊・分散し、セルロースナノファイバーが高い補強性を発揮することにより、優れた引張特性を発揮すると考えられる。
【0021】
上述の通り、当該組成物を用いて製造される架橋ゴムは優れた引張特性を発揮することから、当該組成物は、ゴムの補強等を目的としたゴム用の添加剤として好適に用いることができる。
【0022】
以下、当該組成物が含有する各成分について説明する。
【0023】
[A成分]
A成分であるベースゴムとしては特に制限されず、例えば天然ゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレン(CR)等の乳化重合で製造されるゴム(ラテックスが存在するゴム);ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレン共重合体ゴム(EPDM、EPM)、エチレン−αオレフィン共重合ゴム、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、クロルスルフォン化ポリエチレン(CSM)、エピクロルヒドリンゴム(CO,ECO)等の乳化重合で製造されないゴム(ラテックスが存在しないゴム)などが挙げられる。これらの中でも、乳化重合で製造されないゴムが好ましく、エチレンプロピレン共重合体ゴム、エチレン−αオレフィン共重合体ゴム、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロルスルフォン化ポリエチレンゴム又はこれらの組み合わせがより好ましい。当該組成物は、1種又は2種以上のA成分を含有することができる。
【0024】
当該組成物におけるA成分の含有割合の下限としては、当該組成物に含有される全成分に対して、10質量%が好ましく、20質量%がより好ましい。上記含有割合の上限としては、当該組成物に含有される全成分に対して、50質量%が好ましく、40質量%がより好ましい。上記含有割合が上記下限未満であると、組成物が硬すぎて、ゴムに混練出来なくなる場合がある上記含有割合が上記上限を超えると、組成物の溶融粘度が低くなりすぎて、混練時にせん断力が作用しにくくなり、セルロースナノファイバーの解繊不良の原因となる場合がある。
【0025】
なお、A成分としては、当該組成物を、架橋ゴムを製造する際のマスターバッチとして用いる場合、当該組成物を添加するゴム種と同種のゴムを用いることが好ましい。この場合、A成分としては、当該組成物を添加するゴム種と完全同一のものを用いてもよいし、同種であるがグレードが異なるものを用いてもよい。グレードが異なるものとしては、例えばA成分としてエチレンプロピレン共重合体ゴムを用いる場合を例に挙げると、ムーニー粘度が異なるものや、エチレン含有量が異なるもの等が挙げられる。
【0026】
[B成分]
B成分である無水マレイン酸変性ポリマーは、ベースポリマーを無水マレイン酸で変性したポリマーである。ベースポリマーを無水マレイン酸で変性することにより導入される無水マレイン酸基は、セルロースナノファイバー表面のヒドロキシ基と反応して、セルロースナノファイバーとポリマーとの相互作用を強固にする。セルロースナノファイバーの表面と化学結合することにより、セルロースナノファイバーをベースゴム中に分散させることができる。
【0027】
上記ベースポリマーとしては特に制限されず、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ポリプロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム等が挙げられる。
【0028】
ベースポリマーを無水マレイン酸で変性する方法としては特に制限されず、常法に従って行うことができる。例えば、ベースポリマーと無水マレイン酸とを混合し、少量のパーオキサイドの存在下で加熱することにより、無水マレイン酸をベースポリマーにグラフト重合する方法や、ベースポリマーの重合時に少量の無水マレイン酸を共存させて共重合する方法等が挙げられる。
【0029】
B成分としては、ラテックス由来のポリマー(以下、「無水マレイン酸変性ポリマーラテックス」ともいう)であることが好ましい。B成分がラテックス由来のポリマーである場合、B成分とC成分とを均質に混合することができる。その結果、CNF同士の凝集を抑制することができ、当該組成物においてCNFを高度に解繊・分散させることができる。なお、本明細書において「ラテックス由来」とは、当該組成物の調製の際に当該組成物における無水マレイン酸変性ポリマーを与える成分として、ラテックス状態の無水マレイン酸変性ポリマーを用いることを意味する。
【0030】
ラテックス状態の無水マレイン酸変性ポリマーを得る方法としては特に制限されず、常法に従って行うことができる。例えば無水マレイン酸変性ポリマーが可溶な溶剤に溶解し、必要に応じて乳化剤の存在下で水と高速攪拌することにより乳化した後、溶剤を除去する方法や、ベースポリマーを構成するモノマーを無水マレイン酸存在下で乳化重合する方法等が挙げられる。
【0031】
B成分がラテックス由来のポリマーである場合、B成分は粒子の形態で存在する。この粒子の平均粒子径の下限としては、50nmが好ましい。上記平均粒子径が上記下限未満であると、ラテックスの調製が困難となり、乳化安定性を確保するために界面活性剤等の乳化安定剤を多量に添加する必要が生じるおそれがある。上記平均粒子径の上限としては、300nmが好ましい。上記平均粒子径が上記上限を超えると、ラテックスポリマー粒子の表面積が小さくさり、粒子の表面にCNFが多層に存在することになり、層間でCNFが凝集してしまい、解繊が困難になるおそれがある。なお、本明細書において、B成分の平均粒子径は、動的光散乱法粒子径測定装置(マルバーン・パナリティカル社の「Malvern Nano−ZS」)で測定したZ平均粒子径である。
【0032】
B成分の融点又は軟化温度としては、110℃未満であることが好ましく、90℃未満であることがより好ましい。B成分の融点又は軟化温度が上記範囲を超えると、得られたCNF/無水マレイン酸変性ポリマー混合物とゴムとを混練する場合の混練温度を高くする必要があり、CNFに過剰な熱履歴を与え、CNFの分解や変色等を招くおそれがある。なお、本明細書において、B成分の融点はDSC法で測定した値であり、B成分の軟化温度はビカット軟化点測定法(ISO306)で測定した値である。
【0033】
B成分における無水マレイン酸基の含有割合の上限としては、0.7mmol/gが好ましく、0.4mmol/gがより好ましい。無水マレイン酸基の含有割合が上記上限を超えると、B成分の極性が高くなりすぎてベースゴムとの相溶性が低下するおそれがある。上記含有割合の下限としては、0.05mmol/gが好ましく、0.1mmol/gがより好ましい。無水マレイン酸基の含有割合が上記下限未満であると、B成分の配合量を多くする必要が生じ、ベースゴムの特性を損なうおそれがある。
【0034】
なお、無水マレイン酸変性ポリマーのベースポリマーの種類や無水マレイン酸変性ポリマー中の無水マレイン酸基の含有割合(酸価)により、ベースゴムとの相溶性が変化するので、B成分はA成分との相溶性を考慮して選択することが好ましい。例えば、A成分としてエチレンプロピレン共重合体ゴムやエチレン−αオレフィン共重合ゴムを用いる場合には、B成分として無水マレイン酸変性ポリオレフィンを用いることが好ましい。また、無水マレイン酸変性ポリオレフィンは、A成分として水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムを用いる場合であっても相溶性の問題を生じることがないため好ましい。
【0035】
[C成分]
本発明のセルロースナノファイバー(C成分)は、非化学変性及び非修飾のセルロースナノファイバーである。化学変性されたセルロースナノファイバーとしては、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル等のN−オキシル化合物を触媒として酸化反応させて得られるセルロースナノファイバー(TEMPO酸化セルロースナノファイバー)やセルロースナノファイバーをリン酸エステル化したアニオン変性セルロースナノファイバー等が存在するが、当該C成分はこのような化学変性や化学修飾がなされたものではない。
【0036】
例えば、TEMPO酸化セルロースナノファイバーは、セルロースにおけるグルコース環の第1級のヒドロキシ基が選択的に酸化されてカルボキシ基となり、ナトリウム塩等の形態で存在しており、セルロースナノファイバーの表面に残存するヒドロキシ基としては第2級のヒドロキシ基のみである。この場合、第2級のヒドロキシ基とB成分における無水マレイン酸基との反応は、カルボキシ基のナトリウム塩の立体障害等の影響により起こりにくいと考えられる。したがって、当該組成物では、セルロースナノファイバーとして、非化学変性及び非修飾のセルロースナノファイバーを用いることにより、第1級のヒドロキシ基が化学変性されていないため、ヒドロキシ基と無水マレイン酸基との反応が起こりやすくなる。
【0037】
C成分としては、機械解繊されたものであることが好ましい。セルロースナノファイバーの解繊方法としては、上記の機械解繊の他、化学解繊が存在する。化学解繊されたセルロースナノファイバーは、通常、繊維径が3〜4nm程度と細いため、例えばポリマーラテックスと混合した場合の分散体の流動性を確保するために、セルロースナノファイバーの濃度を1%程度に設定する必要がある。この場合、最終的に99%の水を除去する必要があることから、生産性の確保や加工時のエネルギー消費が大きいという点で不都合を生じる。また、化学解繊されたセルロースナノファイバーは、機械解繊されたセルロースナノファイバーよりも加熱により変色しやすいとう不都合もある。機械解繊されたセルロースナノファイバーである場合には、上述のような化学解繊されたセルロースナノファイバーの抱える不都合がない。
【0038】
C成分の繊維径としては、B成分とC成分との質量比やB成分として無水マレイン酸変性ポリマーラテックスを用いる場合の粒子径等に応じて適宜選択することができる。上記繊維径の下限としては、10nmが好ましく、20nmがより好ましい。上記繊維径が上記下限未満であると、無水マレイン酸変性ポリマーラテックスの粒子をCNFが覆った場合のCNFの層の厚みが複層のCNF層で形成され、A成分、B成分及びC成分の混練時の解繊が困難になるおそれがある。上記繊維径の上限としては、300nmが好ましく、100nmがより好ましい。上記繊維径が上記上限を超えると、当該組成物を用いて製造される架橋ゴムの物性の異方性が問題となるおそれがある。
【0039】
当該組成物におけるC成分の含有割合の下限としては、当該組成物に含有される全成分に対して、15質量%が好ましく、20質量%がより好ましい。上記含有割合が上記下限未満であると、当該組成物の粘度が低く、せん断力が低くなることにより、セルロースナノファイバーの解繊が不十分となるおそれがある。上記含有割合の上限としては、33質量%が好ましく、30質量%がより好ましい。上記含有割合が上記上限を超えると、ベースゴムとの混練時に均一化しにくくなるおそれがある。一方、C成分の含有割合が上記範囲内であることにより、セルロースナノファイバーが高度に解繊・分散した架橋ゴム組成物を製造することができる。なお、上記C成分の含有割合は、固形分状態の含有割合を意味する。本明細書において「固形分状態」とは、溶媒(水)を除いた状態を意味する。
【0040】
C成分とB成分との固形分状態での質量比(C成分/B成分)の下限としては、1/4が好ましく、1/3がより好ましい。上記質量比が上記下限未満であると、セルロースナノファイバーの含有割合が低すぎ、セルロースナノファイバーを多量含む複合体を得ようとするとベースゴムに対する無水マレイン酸変性ポリマーの量が多くなりすぎて、ベースゴムの特性を低下させるおそれがある。上記質量比の上限としては、1/1が好ましく、1/1.5がより好ましい。上記含有割合が上記上限を超えると、ベースゴムとの混練時に均一化しにくくなるおそれがある。
【0041】
[他の成分]
当該組成物は、当該組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、A成分、B成分及びC成分以外のその他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば架橋ゴムを製造する際に使用される各種添加剤等が挙げられる。このような添加剤としては、例えばカーボンブラック、シリカ、クレー等の補強性充填剤、ステアリン酸、可塑剤、プロセスオイル等が挙げられる。当該組成物における他の成分の含有割合としては、用いる成分の種類に応じて、本発明の効果を損なわない範囲において適宜設定することができる。
【0042】
[当該組成物の用途]
当該組成物は、上述の通り、セルロースナノファイバーが分散・解繊されており、優れた引張特性を発揮する架橋ゴムを製造することができることから、ゴム用の添加剤として好適に用いることができる。特に、当該組成物は、架橋ゴムを製造する際のマスターバッチとして好適に用いることができる。
【0043】
当該組成物を用いて製造される架橋ゴムは、優れた引張特性を発揮する。また、変形時のエネルギーロスの小さいものとなる。さらに、変色が抑制されている。また、密度が低い。
【0044】
したがって、このような架橋ゴムは、例えば繰返し歪みを受ける伝動ベルトやコンベアベルト、自動車用タイヤ、シューズ等の素材として非常に有用である。特に、シューズ等の履物用途では、白色で、軽く、反発弾性が高いこと等が要求されるため、当該組成物を用いて製造される架橋ゴムはこのような要求に応えることができる優れたものである。
【0045】
架橋ゴムは、マスターバッチである当該組成物に加え、最終生成物に必要な成分を添加することにより製造することができる。上記成分としては、例えばベースゴム、カーボンブラック、シリカ、クレー等の補強性充填剤、顔料、老化防止剤、オゾン亀裂防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、可塑剤、プロセスオイル、粘着付与剤、架橋剤などが挙げられる。また、上記以外の成分としては発泡剤も挙げられる。
【0046】
架橋剤としては、例えばイオウ加硫系の架橋剤(イオウ、加硫促進剤、酸化亜鉛とステアリン酸)、パーオキサイド加硫系の架橋剤(有機過酸化物と共架橋剤)等が挙げられる。これらの中でも、パーオキサイド加硫系の架橋剤は、無水マレイン酸変性ポリマーとベースゴムとを共有結合させる可能性があるため好ましい。また、架橋は放射線架橋で行うこともできる。
【0047】
有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼン等が挙げられ、硫黄系加硫剤としては、硫黄、モルホリンジスルフィド等が挙げられる。共架橋剤としては、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリアリルイソシアヌレートなどの多官能性モノマー、メタクリル酸またはアクリル酸の多価金属塩、N,N’−m−フェニレンビスマレイミドなどのビスマレイミド等が使用出来る。
【0048】
硫黄系加硫系の場合、ゴム100質量部に対して、硫黄分(硫黄及び硫黄供与剤の硫黄分の合計量)を好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部、配合することが好ましい。使用できる加硫促進剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール(MTB)、ジ−2−ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)等のチアゾール系; N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(TBBS)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系; ジフェニルグアニジン(DPG)等のグアニジン系の加硫促進剤等が挙げられる。その使用量は、ゴム100質量部に対し、好ましくは0.1〜5.0質量部、より好ましくは0.2〜3.0質量部である。
【0049】
<組成物の製造方法>
当該組成物の製造方法は、上述の当該組成物を製造する方法であって、ラテックス状態の無水マレイン酸変性ポリマーとセルロースナノファイバーの水分散体とを混合する工程(以下、「混合工程」ともいう)と、上記混合工程により得られた混合物から水を除去する工程(以下、「除去工程」ともいう)と、上記除去工程により得られた混合物に上記ベースゴムを添加し、110℃以上の温度で混練する工程(以下、「混練工程」ともいう)とを備える。
【0050】
当該組成物の製造方法によれば、上述の当該組成物をベースゴムの種類に関わらず、簡便な方法により低コストで製造することができる。
【0051】
以下、当該組成物の製造方法が備える各工程について説明する。
【0052】
[混合工程]
本工程では、ラテックス状態の無水マレイン酸変性ポリマーとセルロースナノファイバーの水分散体とを混合する。本工程において用いる無水マレイン酸変性ポリマーは上述の当該組成物におけるB成分として、セルロースナノファイバーは上述の当該組成物におけるC成分として説明している。
【0053】
ラテックス状態の無水マレイン酸変性ポリマーとセルロースナノファイバーの水分散体との混合方法は特に制限されず、常法に従って行うことができる。例えば、ラテックス状態の無水マレイン酸変性ポリマーとセルロースナノファイバーの水分散体とを所定の固形分比になるように計量し、ミキサー等を用いて混合する方法などが挙げられる。なお、脱泡と均一な混合の為に、ミキサーとして自転・公転ミキサーを用いて混合することが好ましい。
【0054】
この工程では、ラテックス状態の無水マレイン酸変性ポリマーとセルロースナノファイバーとが均一に混合された混合物を得ることが好ましい。得られる混合物においてCNFが均一に混合されていない場合、ベースゴムとの混練時に不均一なCNFが解繊されず、異物として作用し、架橋ゴムの引張特性を低下させてしまうおそれがある。ラテックス状態の無水マレイン酸変性ポリマーとセルロースナノファイバーとの混合条件は得られる混合物において、ラテックス状態の無水マレイン酸変性ポリマーとセルロースナノファイバーとを均一に混合できる条件であれば特に制限されない。例えば、用いるラテックス状態の無水マレイン酸変性ポリマー及びセルロースナノファイバーの量等によっても適宜決定することができる。
【0055】
[除去工程]
本工程では、上記混合工程により得られた混合物から水を除去する。本工程により、ラテックス状態の無水マレイン酸変性ポリマーとセルロースナノファイバーとの混合物から水が除去され、固形の混合物が得られる。
【0056】
上記混合物から水を除去する方法としては特に制限されず、常法に従って行うことができる。例えば、上記混合物を表面積の大きな容器に入れ、オーブン内で加熱する方法、ニーダーのようなバッチ式混練機中で加熱しながら、オープン状態で混練する方法、上記混合物を混練、加熱及び脱気が可能な多軸混練装置中に連続投入し、連続的に行う方法、スプレー乾燥を行う方法等が挙げられる。
【0057】
上記混合物から水を除去する際の条件としては特に制限されず、適宜決定することができる。例えば、オーブン内で加熱する場合、加熱温度を40〜100℃、加熱時間を10〜80時間程度とすることができる。なお、加熱時間は、例えば混合物の質量を追跡し、質量減少が見られなくなった時点を加熱終了とすることができる。また、水を除去した後の混合物中の水分率は5%以下が望ましい。
【0058】
[混練工程]
本工程では、上記除去工程により得られた混合物に上記ベースゴムを添加し、110℃以上の温度で混練する。
【0059】
本工程において、110℃以上の温度で混練することにより、無水マレイン酸変性ポリマーにおける無水マレイン酸基とセルロースナノファイバーにおけるヒドロキシ基との反応が進行する。混練温度の上限としては、180℃が好ましく、160℃がより好ましい。混練温度が上記上限を超えるには、セルロースナノファイバーが酸化し、変色するおそれがある。
【0060】
本工程において用いるベースゴムとしては、上述の当該組成物におけるA成分として説明している。
【0061】
混練の方法としては特に制限されず、常法に従って行うことができる。例えば、ゴム混練用の通常の設備(2本ロール、ニーダーやバンバリー等)を用いて行うことができる。
【0062】
また、本工程では、上述の当該組成物において架橋ゴムを製造する際に用いられる成分として例示した成分を添加してもよい。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0064】
以下の実施例及び比較例で用いたA成分〜C成分の詳細を以下に示す。
【0065】
<A成分:ベースゴム>
(A−1):エチレンプロピレン共重合体ゴム(JSR(株)「EP24」)
<B成分:無水マレイン酸変性ポリマー>
(B−1):無水マレイン酸変性ポリマーラテックス(東洋紡(株)の「ハードレンNZ1015」(粒子径170nm、固形分濃度30質量%、融点80℃))
<C成分:セルロースナノファイバー>
(C−1):セルロースナノファイバー水分散液((株)スギノマシーンの「ビンフィスWF−0−100」(非化学変性かつ非修飾、固形分濃度:5.9質量%、平均繊維径:10〜50nm))
(C−2):TEMPO酸化セルロースナノファイバー分散液(日本製紙の「セレンピア1%分散液」(平均繊維径:3.5nm))
【0066】
<組成物の調製>
[実施例1−1]組成物(S−1)の調製
(C−1)400g及び(B−1)157.3gをビーカーに計量し、混合後、自転公転ミキサー((株)シンキーの「泡取り連太郎」)を用いて攪拌し、均一に混合し混合物を得た。この混合物を300×230×50mmのトレイに入れ、40℃のオーブン中で96時間乾燥し、さらに70℃で減圧乾燥して揮発分を完全に除去し、乾燥物を得た。この乾燥物30gと(A−1)10gとを混合し、3インチのゴム用オープンロールを用いて、ロール温度を110〜120℃に保ち、30分間混練し、組成物(S−1)を得た。
【0067】
[実施例1−2]組成物(S−2)の調製
(B−1)を196.7gとし、乾燥物35gと(A−1)26gとを混合したこと以外は、実施例1と同様にして組成物(S−2)を得た。
【0068】
[実施例1−3]組成物(S−3)の調製
(B−1)を118gとし、乾燥物25gと(A−1)6gとを混合したこと以外は、実施例1と同様にして組成物(S−3)を得た。
【0069】
[実施例1−4]組成物(S−4)の調製
(A−1)を35gとしたこと以外は、実施例2と同様にして組成物(S−4)を得た。
【0070】
[実施例1−5]組成物(S−5)の調製
(A−1)を4gとしたこと以外は、実施例3と同様にして組成物(S−5)を得た。
【0071】
[比較例1−1]組成物(CS−1)の調製
(C−1)に代えて(C−2)を500gとしたこと以外は実施例1と同様にして組成物(CS−1)を得た。
【0072】
下記表1に組成物(S−1)〜(S−5)及び(CS−1)の組成を示す。なお、下記表1において、各成分の含有割合は組成物全量を100質量%とした値である。また、下記表1において、B成分及びC成分の含有割合は、固形分としての含有割合である。
【0073】
【表1】
【0074】
<架橋ゴムシートの作製>
以下の実施例2−1〜2−6及び比較例2−1〜2−5で用いた成分の詳細を以下に示す。
ベースゴム:エチレンプロピレン共重合体ゴム(JSR(株)「EP24」)
架橋剤:ジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)の「パークミルD」)
カーボンブラック:HAF(東海カーボン(株)の「シースト3」)
【0075】
[実施例2−1]架橋ゴムシート(G−1)の作製
ベースゴム23.33gをオープンロールに巻き付かせ、上記調製した組成物(S−1)13.33gを加え、上記オープンロールを用いて8〜10分混練を行った後、架橋剤0.83gを添加し、ロール温度60〜70℃で混練を行なった。次いで、ロール間隙を締め切って、3回薄通しを行い、混練を完了した。得られた混練物を上記オープンロールで、1.1〜1.2mmの厚みにシーティングを行った。次いで、熱板温度165℃で25分間加熱・加圧して、架橋を行い、厚み1.0mmの架橋ゴムシート(G−1)を得た。
【0076】
[実施例2−2〜2−6]架橋ゴムシート(G−2)〜(G−6)の作製
下記表2に示す種類及び配合量の各成分を用いたこと以外は、実施例2−1と同様にして厚み1.0mmの架橋ゴムシート(G−2)〜(G−6)を得た。
【0077】
[比較例2−1]架橋ゴムシート(CG−1)の作製
下記表2に示す種類及び配合量の各成分を用いたこと以外は、実施例2−1と同様にして厚み1.0mmの架橋ゴムシート(CG−1)を得た。
【0078】
[比較例2−2]架橋ゴムシート(CG−2)の作製
ベースゴム33.33gと架橋剤0.83gとを混合し、ロール温度60〜70℃で混練し、薄通しを3回行った。次いで、1.1〜1.2mmにシーティングし、熱板温度165℃で25分間加熱・加圧して、架橋を行い、厚み1.0mmの架橋ゴムシート(CG−2)を得た。
【0079】
[比較例2−3]架橋ゴムシート(CG−3)の作製
(B−1)を乾燥させ、乾燥ポリマーを得た。この乾燥ポリマー6.67gとベースゴム26.67gとを3インチのゴム用オープンロールを用いて、ロール温度を110〜120℃に保ち、10分間混練した。一旦ロールから取り出し、冷却後、ロール温度を70〜80℃に保ち、架橋剤0.83gを添加して混練し、薄通しを3回行った。次いで、1.1〜1.2mmにシーティングし、熱板温度165℃で25分間加熱・加圧して、架橋を行い、厚み1.0mmの架橋ゴムシート(CG−3)を得た。
【0080】
[比較例2−4]架橋ゴムシート(CG−4)の作製
ベースゴム33.33gをロールに巻き付かせ、カーボンブラック6.67gを分割投入しながら合計10分間混練を行った。次いで、架橋剤0.83gを添加し、混練した。次いで、ロール間隙を締め切って、3回薄通しを行い、混練を完了した。1.1〜1.2mmの厚みにシーティングし、熱板温度165℃で25分間加熱・加圧して、架橋を行い、厚み1.0mmの架橋ゴムシート(CG−4)を得た。
【0081】
[比較例2−5]架橋ゴムシート(CG−5)の作製
カーボンブラックを13.33gとしたこと以外は、比較例2−4と同様にして厚み1.0mmの架橋ゴムシート(CG−5)を得た。
【0082】
下記表2に架橋ゴムシート(G−1)〜(G−6)及び(CG−1)〜(CG−5)の組成を示す。なお、下記表2において、各成分の含有量の単位は「g」である。
【0083】
<評価>
上記作製した架橋ゴムシートについて、以下の方法により分散性評価及び引張特性評価を行った。さらに、実施例2−1〜2−4及び比較例2−1で得られた架橋ゴムシートについて、以下の方法により変色性評価を行った。結果を下記表2に合わせて示す。なお、下記表2中、「−」は該当する評価を行っていないことを示す。また、実施例2−1及び比較例2−5で得られた架橋ゴムシートについて、以下の方法により動的粘弾性特性の測定を行った。結果を下記表3に示す。
【0084】
[分散性評価]
得られた各架橋ゴムシートについて凝集物が認められるか否かを目視観察した。分散性の評価は、目視観察で凝集物が全く認められなかったものを「A」(極めて良好)と、微小な凝集物が認められたものを「B」(良好)と、明らかな凝集物が認められたものを「C」(不良)と評価した。
【0085】
[引張特性評価]
得られた各架橋ゴムシートを6号ダンベルで打ち抜き、引張試験機(島津製作所(株)の「SHIMADZU AUTOGRAPH AGS−X 5kN」)を用い、引張速度500mm/分で引張試験を行い、引張強さ(Tb)、引張伸び(Eb)及び引張応力(M50及びM100)を測定した。引張特性の評価は、架橋ゴムシート(CG−2)の引張強さ(Tb)、切断時伸び(Eb)及び引張応力(M50及びM100)を各引張特性の基準として、各架橋ゴムシートの各特性の値と比較することにより行った。
【0086】
[変色性評価]
得られた各架橋ゴムシートについて色味を目視観察した。変色性の評価は、目視観察で色味が褐色となっているか否かにより判定し、変色が認められなかったものを「A」(良好)と、変色が認められたものを「B」(不良)と評価した。
【0087】
[密度の測定]
得られた各架橋ゴムシートについてJIS K 6268(1998)に準じて密度の測定(単位:mg/m
3)を行った。
【0088】
[動的粘弾性特性の測定]
動的粘弾性特性(E’及びtanδ)の測定は(株)日立ハイテクサイエンスの「DMA7100」を用い、試料サイズは厚み1mm、幅4mm、チャック間距離20mmとし、周波数1Hz、目標振幅値10μm、最小張力50mN、張力ゲイン1.5、張力振幅初期値200mNとし、自動測定にて行った。
【0089】
【表2】
【0090】
表2の結果から明らかなように、実施例の組成物を用いて製造された架橋ゴムシートは、比較例の組成物を用いて製造された架橋ゴムシート(CG−1)と比較して、セルロースナノファイバーが分散・解繊されており、優れた引張特性を発揮した。
【0091】
さらに、実施例の組成物を用いて製造された架橋ゴムシートは、比較例の組成物を用いて製造された架橋ゴムシート(CG−1)と比較して、変色が抑制されていた。
【0092】
また、実施例の組成物を用いて製造された架橋ゴムシートは、カーボンブラックを配合した架橋ゴムシート(CG−4及びCG−5)と比較して、密度が低かった。
【0093】
【表3】
【0094】
実施例2−1の組成物を用いて製造された架橋ゴムシートは、カーボンブラックを配合した架橋ゴムシート(CG−5)と比較して、高弾性率であるにもかかわらず、低いtanδを示した。このことから、本発明の組成物を用いることにより、ヒステリシスロスの小さい架橋ゴムを製造することができることが分かる。