特開2021-123912(P2021-123912A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2021123912-止水セパレータ 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-123912(P2021-123912A)
(43)【公開日】2021年8月30日
(54)【発明の名称】止水セパレータ
(51)【国際特許分類】
   E04G 17/065 20060101AFI20210802BHJP
   E04G 17/06 20060101ALI20210802BHJP
【FI】
   E04G17/065 F
   E04G17/06 101B
   E04G17/065 A
   E04G17/065 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2020-16840(P2020-16840)
(22)【出願日】2020年2月4日
(11)【特許番号】特許第6701464号(P6701464)
(45)【特許公報発行日】2020年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】593179783
【氏名又は名称】株式会社フジモト
(74)【代理人】
【識別番号】100119220
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(72)【発明者】
【氏名】藤本 隆司
【テーマコード(参考)】
2E150
【Fターム(参考)】
2E150AA00
2E150FA02
2E150FA21
2E150FA22
2E150LA13
2E150MA02Z
(57)【要約】
【課題】止水リングを用いることなくセパレータの下面に水路が形成されるのを防止し、セパレータの水による錆を防止し、コンクリートートの強度の低下を招くことのない低コストの止水セパレータを提供することを目的とする。
【解決手段】止水セパレータにおいて、丸棒からなるセパレータの両端に転造加工で形成される型枠保持用の端部転造雄ねじ部と、丸棒の中央部に転造加工により形成されるねじ山に切れ目を有する中央転造雄ねじ部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸棒からなるセパレータの両端に転造加工で形成される型枠保持用の端部転造雄ねじ部と、丸棒の中央部に転造加工により形成されるねじ山に切れ目を有する中央転造雄ねじ部と、を備えることを特徴とする止水セパレータ。
【請求項2】
端部転造雄ねじ部と中央転造雄ねじ部の外径を丸棒の外径より大きくすることを特徴とする請求項1に記載の止水セパレータ。
【請求項3】
丸棒を鋼材で形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の止水セパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート型枠保持用のセパレータに関し、特にセパレータの水による錆を防止する止水セパレータに関する。
【0002】
型枠を所定間隔で保持するため型枠保持用セパレータが用いられる。型枠間にコンクリートを打設し固化させる。その際,雨水等が侵入するとセパレータの下面に水路が形成され、それが原因でセパレータや型枠接続部材に錆が発生する。セパレータはコンクリート固化後、補強筋として機能するものであり、錆が発生すると強度が低下する。
【0003】
セパレータ下面に水路が形成されるのを防止するために、セパレータに水膨張ゴムからなる止水リングを取り付けるものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−180259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の止水セパレータは、止水リングの取り付け作業が必要であり、取り付け作業の時間の増加によりコストアップするという問題を有している。また、止水リングはコンクリート固化後コンクリート中に残るのでコンクリートの強度を低下させるという問題を有している。
【0006】
本発明は、従来技術のもつ課題を解決する、止水リングを用いることなくセパレータの下面に水路が形成されるのを防止し、セパレータの水による錆を防止し、コンクリートートの強度の低下を招くことのない低コストの止水セパレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の止水セパレータは、前記課題を解決するために、丸棒からなるセパレータの両端に転造加工で形成される型枠保持用の端部転造雄ねじ部と、丸棒の中央部に転造加工により形成されるねじ山に切れ目を有する中央転造雄ねじ部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の止水セパレータは、端部転造雄ねじ部と中央転造雄ねじ部の外径を丸棒の外径より大きくすることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の止水セパレータは、丸棒を鋼材で形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
丸棒からなるセパレータの両端に転造加工で形成される型枠保持用の端部転造雄ねじ部と、丸棒の中央部に転造加工により形成されるねじ山に切れ目を有する中央転造雄ねじ部と、を備えることで、中央転造雄ねじ部をダイスを用いて塑性加工して形成する際、中央転造雄ねじ部のねじ山に切れ目を発生させ表面積を増加させ、コンクリートモルタルの粒子が表面積の大きい切れ目、ねじ谷に侵入して強固に付着するため中央転造雄ねじの下面に水路が発生するのを防止し、止水リングを用いることなく止水セパレータとして機能させることが可能になる。
端部転造雄ねじ部と中央転造雄ねじ部の外径を丸棒の外径より大きくすることで、ダイスを用いて丸棒を塑性加工して中央転造雄ねじを形成する際、ねじ山の外径は丸棒の外径より大きくなり、外径の大きい中央転造雄ねじ外周に強固にコンクリートモルタルが付着することでより水路の発生を防止することが可能となる。
丸棒を鋼材で形成することで、転造加工で塑性加工することにより鋼材の強度が増加し、止水セパレータをコンクリート固化後の強度の高い補強筋として機能させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態を示す図である。
図2】本発明の実施形態を示す図である。
図3】本発明の実施形態を示す図である。
図4】本発明の実施形態を示す図である。
図5】本発明の実施形態を示す図である。
図6】本発明の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を図により説明する。図1は、本発明の止水セパレータを示す図である。
【0013】
止水セパレータ1は、鋼材で形成された丸棒2の両端に転造加工により型枠保持用の端部転造雄ねじ部3が形成される。丸棒2の中央部に転造加工により中央転造雄ねじ部4が形成される。端部転造雄ねじ部3と丸棒2との境界付近に一定深さの溝5が形成される。
【0014】
転造加工による中央転造雄ねじ部4の形成は、丸棒2を回転させながら所望の形状に転造加工するための複数の転造ダイスを丸棒2に押し付けながら塑性加工する。切削加工の場合,切屑が発生しますが、転造加工の場合、転造ダイスを丸棒に押圧して塑性加工するから切屑は発生せず材料を無駄にしない。さらに、転造加工により鋼材からなる丸棒2は金属組織が鍛造加工時のように変化し強度を増すことができる。
【0015】
図1に示される中央転造雄ねじ部4は、ねじ山4aの外径が丸棒2の外径より大きくされ、ねじ山4aには切れ目4bが形成されます。その結果、ねじ山4a、切れ目4b、ねじ谷4cからなる中央転造雄ねじ部4の表面積は大幅に増加します。中央転造雄ねじ部4の表面積増加の効果につては後述します。
【0016】
図2は、型枠6、6を所定間隔で保持するため止水セパレータ1は配置した一実施例を示す図です。止水セパレータ1の転造雄ねじ部4をコンクリートが打設される空間に位置させ、端部転造雄ねじ部3と丸棒2との境界に形成した溝5に平座金7を嵌め込む。平座金7の表面と型枠6が接するように配置する。端部転造雄ねじ部3をを型枠6に貫通させ、端部雄ねじ部3に固定部材8を螺着する、固定部材8の両側に型枠支持用の単管9を配置し、固定部材8を貫通した3型座金10の端部で単管9,9を押さえる。3座金10の上部の固定部材8の雄ねじ部にナット11を螺着し、型枠6を保持する。その後、型枠6,6間の空間にコンクリートモルタルを打設する。脱型後、平座金7の表面がコンクリート表面と一致し、平座金7をそのまま残す。
【0017】
図3は、型枠6、6を所定間隔で保持するため止水セパレータ1は配置した他の実施例を示す図です。この実施形態では切頭円錐形状のPコン12の大径の部分を型枠6の表面に接するように配置する。Pコン12には大径部から突出する雄ねじ部材12aが螺着されており、Pコン11の小径部に形成した雌ねじ穴に端部転造雄ねじ部3を螺着する。型枠6を貫通する雄ねじ部材12aに固定部材8を螺着する。固定部材8の両側に型枠支持用の単管9を配置し、固定部材8を貫通した3型座金10の端部で単管9,9を押さえる。3座金10の上部の固定部材8の雄ねじ部にナット11を螺着し、型枠6を保持する。その後、型枠6,6間の空間にコンクリートモルタルを打設する。脱型後、Pコン12は除去され、コンクリート表面に切頭円錐形状の穴が残るので、その部分にモルタルを充填し固化させ表面を平滑にする。
【0018】
図4図5は、中央転造雄ねじ部4の表面積増加の効果を説明する図です。型枠6,6間にコンクリートモルタルを打設すると、コンクリートモルタル粒子13は、切れ目4b、ねじ谷4cに侵入し付着します。表面積の大きな中央転造雄ねじ部4にコンクリートモルタルが強固に付着するため、雨水等が浸入しても中央転造雄ねじ部4の下面には水路が形成されません。その結果、止水リング等を取り付けることなく中央転造雄ねじ部4は、止水セパレータ1の機能を発揮し、錆の発生を防止することができる。
【0019】
型枠6を取り外す時、中央転造雄ねじ部4の全周が固化したコンクリートが強固に付着しているので容易に脱型作業をすることができる。中央転造雄ねじ部4は転造加工により強度を増していますので、コンクリート固化後強度の大きい補強筋として機能する。
【0020】
図6は、表面積の小さい丸棒2のコンクリートモルタル粒子7の付着状態を示す図です。表面積が小さいためコンクリートモルタル粒子13の付着力が小さく、雨水等の浸入により丸棒2の下面に水路14が形成され錆を発生させます。それだけでなく、コンクリート固化後、型枠6を外す時、コンクリートの付着力が十分でなく、共回りして脱型作業に苦労することになります。錆の発生により補強筋としての強度も十分ではありません。
【0021】
本発明の止水セパレータ1は、転造加工によりねじ山に切れ目を有する中央転造雄ねじ部4を形成するだけで、止水リング等を用いることなく止水セパレータとして機能することができます。
【0022】
以上のように、本発明の止水セパレータ1は、中央転造雄ねじ部をダイスを用いて塑性加工して形成する際、転造雄ねじ部のねじ山に切れ目を発生させ表面積を増加させ、コンクリートモルタルの粒子が表面積の大きい切れ目、ねじ谷に侵入して強固に付着するため転造雄ねじの下面に水路が発生するのを防止し、止水リングを用いることなく止水セパレータとして機能させることが可能になり、転造加工で塑性加工することにより鋼材の強度が増加し、止水セパレータをコンクリート固化後の強度の高い補強筋として機能させることが可能となる。
【符号の説明】
【0023】
1:止水セパレータ、2:丸棒、3:端部転造雄ねじ部、4:中央転造雄ねじ部、4a:ねじ山、4b:切れ目、4c:ねじ谷、5:溝、6:型枠、7:平座金、8:固定部材、9:単管、10:3型座金、11:ナット、12:Pコン、12a:雄ねじ部材、13:コンクリートモルタル粒子、14:::水路
図1
図2
図3
図4
図5
図6