【実施例1】
【0019】
図1〜
図10は、本実施例の風車装置1を示しており、風車装置1は、回転軸2と、回転軸2を回転自在に支持する支持部3と、回転軸2に固定される第1の羽根4と、第1の羽根4に固定される第2の羽根5と、第2の羽根5に固定される第3の羽根6を有している。第1の羽根4、第2の羽根5及び第3の羽根6は、繊維強化プラスチック(FRP)等の軽量で強度の高い材料で形成することが好ましい。支持部3は、風車装置1の設置場所である基礎部7に固定される。
【0020】
主に
図1に示すように、本実施例の回転軸2は、後述する装置ボックス8に挿入される下側部分以外の表面部に雄螺子を形成した雄螺子部21を有している。回転軸2は、支持部3に形成された軸挿通孔37,38に挿通されるが、回転軸2が長手方向(本実施例では上下方向)に大きく移動することを規制する規制部材22,23が回転軸2に取り付けられている。なお、規制部材22,23は回転軸2に着脱可能とすることで、回転軸2の交換作業や撤去作業が容易となる。また、図示しないが、外部からの湿気、気温、衝撃、粉塵等から回転軸2を防護するカバー部材により回転軸2を被覆し、回転軸2の外部環境による劣化を抑制している。
【0021】
主に
図1に示すように、支持部3は、基礎部7に固定する固定部31と、固定部31から立設した立壁部32と、立壁部32の上端部33から水平方向に延設された上支持板部34と、立壁部32の上下方向中間部35から水平方向に延設された下支持板部36を有している。本実施例の固定部31と上支持板部34と下支持板部36は、板状に形成され、同一の方向に延設されている。固定部31は、基礎部7に固定することができれば、任意の形状とすることができる。また、上支持板部34と下支持板部36も回転軸2を挿通可能であって、回転軸2を回転自在に支持することができればそれぞれ任意の形状とすることができる。
【0022】
上支持板部34には回転軸2を挿通する円形の軸挿通孔37が穿設されており、下支持板部36にも回転軸2を挿通する円形の軸挿通孔38が穿設されている。軸挿通孔37の直径と軸挿通孔38の直径は、回転軸2の直径よりも僅かに大きく形成されており、回転軸2が軸挿通孔37と軸挿通孔38に挿通された状態で回転する際の軸ブレを抑制している。
【0023】
規制部材22は、回転軸2を軸挿通孔37,38に挿通した状態で、上支持板部34よりも上側の位置に配設され、規制部材23は、上支持板部34よりも下側の位置に配設されている。
図2に示すように、上側の規制部材22と下側の規制部材23との間隔Dは、上支持板部34の板厚Tより僅かに大きく形成されており、上支持板部34は規制部材22と規制部材23により挟持されていないため、回転軸2が回転する際に、規制部材22,23と上支持板部34との間の摩擦が回転軸2の回転を阻害することを抑制している。
【0024】
本実施例では上支持板部34の上下の位置にのみ規制部材22,23を配設しているが、規制部材22,23を配設する位置は、下支持板部36の上下の位置、上支持板部34の上下の位置と下支持板部36の上下の位置、上支持板部34の上側の位置と下支持板部36の下側の位置、上支持板部34の下側の位置と下支持板部36の上側の位置、上支持板部34の上下の位置と下支持板部36の上側の位置、上支持板部34の上下の位置と下支持板部36の下側の位置、上支持板部34の上側の位置と下支持板部36の上下の位置、上支持板部34の下側の位置と下支持板部36の上下の位置のように、回転軸2が長手方向(上下方向)に大きく移動することを規制できれば、任意の位置とすることができる。
【0025】
図6(A)に示すように、第1の羽根4は、主板部41と、上側の側板部42と下側の側板部43と、副板部44を有している。主板部41、側板部42、側板部43及び副板部44は全て板状に形成されている。風車装置1において、第1の羽根4の主板部41と副板部44は垂直方向に延設され、上側の側板部42と下側の側板部43は水平方向に延設された状態となる。
【0026】
主板部41は、上側の長辺部41Aと、下側の長辺部41Bと、回転軸2に近い側の短辺部41Cと、回転軸2から遠い側の短辺部41Dを有する横長の長方形状に形成されている。
【0027】
上側の側板部42は、長辺部42Aと、長辺部42Aに対向する長辺部42Bと、回転軸2に近い側の短辺部42Cと、回転軸2から遠い側の短辺部42Dを有する。長辺部42Aは長辺部42Bよりも長く形成され、長辺部42Bは短辺部42Cより長く形成され、短辺部42Cは短辺部42Dより長く形成されている。長辺部42Aと短辺部42Cの成す角は鋭角であり、長辺部42Aと短辺部42Dの成す角は直角であり、長辺部42Bと短辺部42Cの成す角は鈍角であり、長辺部42Bと短辺部42Dの成す角は鈍角である。したがって、側板部42は、凸四角形状に形成されている。
【0028】
下側の側板部43は、上側の側板部42と同一形状であり、長辺部43Aと、長辺部43Aに対向する長辺部43Bと、回転軸2に近い側の短辺部43Cと、回転軸2から遠い側の短辺部43Dを有する。長辺部43Aは長辺部43Bよりも長く形成され、長辺部43Bは短辺部43Cより長く形成され、短辺部43Cは短辺部43Dより長く形成されている。長辺部43Aと短辺部43Cの成す角は鋭角であり、長辺部43Aと短辺部43Dの成す角は直角であり、長辺部43Bと短辺部43Cの成す角は鈍角であり、長辺部43Bと短辺部43Dの成す角は鈍角である。したがって、側板部43は、凸四角形状に形成されている。
【0029】
副板部44は、上側の短辺部44Aと、下側の短辺部44Bと、主板部41に接続する長辺部44Cと、主板部41に接続しない長辺部44Dを有する縦長の長方形状に形成されている。
【0030】
第1の羽根4は、主板部41の長辺部41Aと側板部42の長辺部42Aが接続され、主板部41の長辺部41Bと側板部43の長辺部43Aが接続され、主板部41の短辺部41Cと副板部44の長辺部44Cが接続され、側板部42の短辺部42Cと副板部44の短辺部44Aが接続され、側板部43の短辺部43Cと副板部44の短辺部44Bが接続されて形成されている。主板部41と側板部42の成す角は直角であり、主板部41と側板部43の成す角は直角であり、主板部41と副板部44の成す角は鋭角である。
【0031】
側板部42には、第1の固定具挿通孔である円形の固定具挿通孔45が穿設されている。また、側板部43には、第2の固定具挿通孔である固定具挿通孔46が穿設されている。固定具挿通孔45は、短辺部42Cに近い位置に設けられ、固定具挿通孔46は、短辺部43Cに近い位置に設けられている。側板部42と側板部43は、固定具挿通孔45と固定具挿通孔46の位置、形状、大きさを含めて同一形状である。
【0032】
図6(B)に示すように、第2の羽根5は、第1の羽根4と同一形状を有し、主板部51と、上側の側板部52と、下側の側板部53と、副板部54を有している。主板部51、側板部52、側板部53及び副板部54は全て板状に形成されている。風車装置1において、第2の羽根5の主板部51と副板部54は垂直方向に延設され、上側の側板部52と下側の側板部53は水平方向に延設された状態となる。
【0033】
主板部51は、上側の長辺部51Aと、下側の長辺部51Bと、回転軸2に近い側の短辺部51Cと、回転軸2から遠い側の短辺部51Dを有する横長の長方形状に形成されている。上側の側板部52は、長辺部52Aと、長辺部52Aに対向する長辺部52Bと、回転軸2に近い側の短辺部52Cと、回転軸2から遠い側の短辺部52Dを有する凸四角形状に形成されている。下側の側板部53は、上側の側板部52と同一形状であり、長辺部53Aと、長辺部53Aに対向する長辺部53Bと、回転軸2に近い側の短辺部53Cと、回転軸2から遠い側の短辺部53Dを有する凸四角形状に形成されている。副板部54は、上側の短辺部54Aと、下側の短辺部54Bと、主板部51に接続される長辺部54Cと、主板部51に接続されない長辺部54Dを有する縦長の長方形状に形成されている。
【0034】
側板部52には、第3の固定具挿通孔である円形の固定具挿通孔55が穿設されている。また、側板部53には、第4の固定具挿通孔である円形の固定具挿通孔56が穿設されている。固定具挿通孔55は、短辺部52Cに近い位置に設けられ、固定具挿通孔56は、短辺部53Cに近い位置に設けられている。側板部52と側板部53は、固定具挿通孔55と固定具挿通孔56の位置、形状、大きさを含めて同一形状である。
【0035】
図6(C)に示すように、第3の羽根6は、第1の羽根4及び第2の羽根5と同一形状を有し、主板部61と、上側の側板部62と、下側の側板部63と、副板部64を有している。主板部61、側板部62、側板部63及び副板部64は全て板状に形成されている。風車装置1において、第3の羽根6の主板部61と副板部64は垂直方向に延設され、上側の側板部62と下側の側板部63は水平方向に延設された状態となる。
【0036】
主板部61は、上側の長辺部61Aと、下側の長辺部61Bと、回転軸2に近い側の短辺部61Cと、回転軸2から遠い側の短辺部61Dを有する横長の長方形状に形成されている。上側の側板部62は、長辺部62Aと、長辺部62Aに対向する長辺部62Bと、回転軸2に近い側の短辺部62Cと、回転軸2から遠い側の短辺部62Dを有する凸四角形状に形成されている。下側の側板部63は、上側の側板部62と同一形状であり、長辺部63Aと、長辺部63Aに対向する長辺部63Bと、回転軸2に近い側の短辺部63Cと、回転軸2から遠い側の短辺部63Dを有する凸四角形状に形成されている。副板部64は、上側の短辺部64Aと、下側の短辺部64Bと、主板部61に接続される長辺部64Cと、主板部61に接続されない長辺部64Dを有する縦長の長方形状に形成されている。
【0037】
側板部62には、第5の固定具挿通孔である円形の固定具挿通孔65が穿設されている。また、側板部63には、第6の固定具挿通孔である円形の固定具挿通孔66が穿設されている。固定具挿通孔65は、短辺部62Cに近い位置に設けられ、固定具挿通孔66は、短辺部63Cに近い位置に設けられている。側板部62と側板部63は、固定具挿通孔65と固定具挿通孔66の位置、形状、大きさを含めて同一形状である。
【0038】
ここで、風車装置1の組み立て方法について説明する。まず、基礎部7に支持部3を固定する。次に、回転軸2を支持部3の軸挿通孔37,38に挿通する。このとき、回転軸2に規制部材22,23を取り付ける。次に、回転軸2の上側端部に、円筒形状の継手部材24を取り付ける。回転軸2は上側端部にも雄螺子部21が形成されており、継手部材24は内面に雌螺子が形成された雌螺子部25を有するため、継手部材24は回転軸2に螺合させることができる。継手部材24は、上側の規制部材21に当接させる。この状態が
図7に示す状態である。
【0039】
次に、
図5に示すように、第1の羽根4の固定具挿通孔46に上側から第1の固定部材であるボルト26を挿通し、継手部材24に螺合する。このとき、ボルト26の頭部26Aと側板部43との間にワッシャ28を配設し、継手部材24と側板部43との間にワッシャ29を配設する。これにより、
図8に示すように、側板部43が頭部26A及びワッシャ28と、継手部材24及びワッシャ29により挟持され、第1の羽根4が回転軸2に固定される。
【0040】
次に、
図3及び
図5に示すように、第1の羽根4の側板部42の固定具挿通孔45と、第2の羽根5の側板部53の固定具挿通孔56に上側から第2の固定部材であるボルト47を挿通し、側板部42の下側でナット48と螺合する。このとき、ボルト47の頭部47Aと側板部53との間にワッシャ49を配設し、側板部42とナット48との間にワッシャ50を配設する。これにより、
図9に示すように、側板部42と側板部53が、互いに当接した状態で頭部47A及びワッシャ49と、ナット48及びワッシャ50により挟持され、第2の羽根5が第1の羽根4に固定される。このとき、第2の羽根5は、第1の羽根4に対して水平方向に120°向きをずらした位置に固定する(
図10参照)。
【0041】
次に、
図3及び
図4に示すように、第2の羽根5の側板部52の固定具挿通孔55と、第3の羽根6の側板部63の固定具挿通孔66に上側から第3の固定部材であるボルト57を挿通し、側板部52の下側でナット58と螺合する。このとき、ボルト57の頭部57Aと側板部63との間にワッシャ59を配設し、側板部52とナット58との間にワッシャ60を配設する。これにより、
図1に示すように、側板部52と側板部63が、互いに当接した状態で頭部57A及びワッシャ59とナット58及びワッシャ60により挟持され、第3の羽根6が第2の羽根5に固定される。このとき、第3の羽根6は、第1の羽根4及び第2の羽根5に対して水平方向に120°向きをずらした位置に固定する(
図10参照)。
【0042】
本実施例では、回転軸2と第1の羽根4との固定に継手部材24、ボルト26、ワッシャ26及びワッシャ27を用いているが、第1の羽根4を回転軸2に固定可能であれば、他の固定方法を用いてもよい。また、第1の羽根4と第2の羽根5との固定にボルト47、ナット48、ワッシャ49及びワッシャ50を用いているが、第2の羽根5を第1の羽根4に固定可能であれば、他の固定方法を用いてもよい。また、第2の羽根5と第3の羽根6との固定にボルト57、ナット58、ワッシャ59及びワッシャ60を用いているが、第3の羽根6を第2の羽根5に固定可能であれば、他の固定方法を用いてもよい。
【0043】
ボルト26、ボルト47及びボルト57は、回転軸2の延長線上に配置される。また、軸挿通孔37の中心、軸挿通孔38の中心、固定具挿通孔45の中心、固定具挿通孔46の中心、固定具挿通孔55の中心、固定具挿通孔56の中心、固定具挿通孔65の中心及び固定具挿通孔66の中心は、同軸上に位置する。なお、ここで記載した風車装置1の組み立て方法は一例にすぎず、第1の羽根4を回転軸2に固定した後に回転軸2を支持部3に取り付け、その後、第2の羽根5と第3の羽根6を取り付ける等、任意の手順で組み立てることができる。
【0044】
本実施例では、風車装置1を構成する羽根として、第1の羽根4、第2の羽根5及び第3の羽根6の3つの羽根を用いているが、
図9に示す第1の羽根4と第2の羽根5の2つの羽根を用いたものや、第3の羽根6の上側に第4の羽根(図示せず)を取り付け、4つの羽根を用いたものや、5つ以上の羽根を用いたものであってもよい。
【0045】
図2に示すように、回転軸2の下側端部は、基礎部7に載置された装置ボックス8内に挿入されている。装置ボックス8内には、増速機9、発電機10、ブレーキ装置11等が配設されている。回転軸2の下側端部は、増速機9に接続されており、風車装置1の第1の羽根4、第2の羽根5及び第3の羽根6が風の抗力を受けることで回転軸2が回転し、増速機9で回転軸2の回転数を発電機10が必要とする回転数まで高め、動力伝達軸12で増速機9と接続された発電機10により発電する。また、ブレーキ装置11により回転軸2及び動力伝達軸12の回転を減速・停止させることができるようになっている。発電した電気はケーブル13により送電される。
【0046】
以上のように、本実施例の風車装置1は、複数の羽根を備える風車装置1であって、回転軸2と、回転軸2の上部に取り付けられた第1の羽根4と、回転軸2には取り付けられず、第1の羽根4の上部に取り付けられた第2の羽根5と、を有する。これにより、第2の羽根5は回転軸2に取り付ける必要がなく、第1の羽根4にのみ取り付ければよいため、第2の羽根5の着脱作業が容易となる。また、第1の羽根4に対する第2の羽根5の水平方向の向きを所望の向きとすることができる。また、第2の羽根5の水平方向の向きの変更が容易であるため、風車装置1を設置する場所の風向きや風速等を考慮し、適時、容易に変更することができる。また、第2の羽根の上側に第3の羽根6、その上側に第4の羽根、その上側に第5の羽根(図示せず)、というように羽根の数を容易に増やすことができる。このとき、回転軸2の長さを変更する必要がないことも長所である。
【0047】
また、本実施例の風車装置1は、第1の羽根4が、垂直方向に延設された主板部41と、水平方向に延設された上側の側板部42及び下側の側板部43を有し、上側の側板部42が主板部41の上側の長辺部41Aに接続され、下側の側板部43が主板部41の下側の長辺部41Bに接続されていることにより、回転軸2に対して垂直方向に吹く風を主板部41により受けることができる。また、上側の側板部42及び下側の側板部43を回転軸2や第2の羽根5を取り付けるために使用することができる。
【0048】
また、本実施例の風車装置1は、第1の羽根4が主板部41と、上側の側板部42と、下側の側板部43に接続された副板部44を有することにより、主板部41と、上側の側板部42と、下側の側板部43と、副板部44により囲まれた空間で風を受け、受けた風の抗力を第1の羽根4を回転させる力に効率よく用いることができる。
【0049】
また、本実施例の風車装置1は、回転軸2が下側の側板部43に取り付けられていることにより、第1の羽根4が風を受けて回転することで回転軸2を回転させることができる。また、回転軸2は増速機9と下側の側板部43とを接続すればよいため、回転軸2の長さを短くすることができる。
【0050】
また、本実施例の風車装置1は、第2の羽根5が上側の側板部42に取り付けられていることにより、回転軸2と第1の羽根4との固定を維持した状態で第2の羽根5を着脱することができる。すなわち、第2の羽根5を着脱する場合には、ボルト47とナット48の螺合・解除作業のみであり、着脱作業が非常に容易である。
【0051】
また、本実施例の風車装置1は、回転軸2と第1の羽根4とを固定するボルト26と、第1の羽根4と第2の羽根5とを固定するボルト47を有し、上側の側板部42にボルト47を挿通する固定部材挿通孔45が穿設され、下側の側板部43にボルト26を挿通する固定部材挿通孔46が穿設され、固定部材挿通孔45の中心と固定部材挿通孔46の中心が回転軸2の延長線上に位置することにより、第1の羽根4と第2の羽根5が回転軸2の延長線を中心として回転するため、回転軸2を効率よく回転させることができる。
【0052】
また、本実施例の風車装置1は、回転軸2には取り付けられず、第2の羽根5の上部に取り付けられた第3の羽根6を有し、第1の羽根4と、第2の羽根5と、第3の羽根6が同一形状であることにより、第1の羽根4と、第2の羽根5と、第3の羽根6の風を受ける面積を均等とすることができる。また、第1の羽根4と、第2の羽根5と、第3の羽根6の向きを水平方向に等間隔とすることにより、水平方向の何れの方向からの風も受けることができる。