(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-124217(P2021-124217A)
(43)【公開日】2021年8月30日
(54)【発明の名称】調理用トレー
(51)【国際特許分類】
F24C 15/16 20060101AFI20210802BHJP
【FI】
F24C15/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-16084(P2020-16084)
(22)【出願日】2020年2月3日
(71)【出願人】
【識別番号】390007423
【氏名又は名称】高木金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】高木 満郎
(57)【要約】
【課題】異なる食材を同時に加熱調理することを可能とする、調理用トレーを提供する。
【解決手段】トレー1は、加熱調理器具における加熱調理時に用いられ、上面2aと下面2bとを備えた板状部材であって、上面2aにおいて下方に向かって窪んだ複数の凹部(円形凹部である第一凹部3及び矩形凹部である第二凹部4)と、複数の凹部3・4の周囲で水平方向に延出されるとともに平面視で矩形に形成された鍔部5と、を備え、複数の凹部3・4が離間して形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理器具における加熱調理時に用いられ、上面と下面とを備えた板状の調理用トレーであって、
前記上面において下方に向かって窪んだ複数の凹部と、
前記複数の凹部の周囲で水平方向に延出されるとともに平面視で矩形に形成された鍔部と、を備え、
前記複数の凹部が離間して形成される、調理用トレー。
【請求項2】
前記複数の凹部は平面視で互いに異なる形状に形成される、請求項1に記載の調理用トレー。
【請求項3】
前記複数の凹部のうち少なくとも1個は円形凹部として形成され、
前記円形凹部の中央部には、下方に向かってさらに窪んだ円形状の窪み部が形成される、請求項1又は請求項2に記載の調理用トレー。
【請求項4】
前記窪み部が平面状に形成される、請求項3に記載の調理用トレー。
【請求項5】
前記複数の凹部のうち少なくとも1個には、底面部に複数のリブが上方に向かって平行に突出して形成される、請求項1又は請求項2に記載の調理用トレー。
【請求項6】
前記鍔部の四個の角部分のうち少なくとも一箇所が斜め上方に折り曲げられる、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の調理用トレー。
【請求項7】
前記上面がフッ素系樹脂により塗膜加工される、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の調理用トレー。
【請求項8】
前記下面が耐熱性の高分子化合物により塗膜加工される、請求項1から請求項7の何れか1項に記載の調理用トレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は調理用トレーに関し、詳細には、グリルやオーブントースターなどの加熱調理器具における加熱調理時に用いられるトレーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスコンロ又はIHコンロに付随するグリルやオーブントースター等、熱線を放射することにより加熱調理を行う加熱調理器具に用いられる、金属製の調理用トレーが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−265382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献に記載の調理用トレーでは、食材を載置する凹形状の調理部が一個しかないため、異なる食材を同時に加熱調理することは困難であった。例えば、朝食の準備の際に目玉焼きを焼くのと同時にフライを温めなおす場合、卵が周囲に流れ込んでフライに付着することがあった。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、異なる食材を同時に加熱調理することを可能とする、調理用トレーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
本発明に係る調理用トレーは、加熱調理器具における加熱調理時に用いられ、上面と下面とを備えた板状の調理用トレーであって、前記上面において下方に向かって窪んだ複数の凹部と、前記複数の凹部の周囲で水平方向に延出されるとともに平面視で矩形に形成された鍔部と、を備え、前記複数の凹部が離間して形成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る調理用トレーによれば、異なる食材を同時に加熱調理することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一実施形態に係る調理用トレーを示す斜視図。
【
図2】(a)及び(b)はそれぞれ、第一実施形態に係る調理用トレーを示す平面図及び底面図。
【
図3】(a)及び(b)はそれぞれ、第一実施形態に係る調理用トレーを示す右側面図及び正面図。
【
図4】(a)及び(b)はそれぞれ、
図2(a)におけるA−A線断面図及びB−B線断面図。
【
図5】(a)及び(b)はそれぞれ、第二実施形態に係る調理用トレーを示す斜視図及び平面図。
【
図6】(a)から(c)はそれぞれ、第二実施形態に係る調理用トレーを示す右側面図、正面図、及び、
図5(b)におけるC−C線断面図。
【
図7】(a)及び(b)はそれぞれ、第三実施形態に係る調理用トレーを示す斜視図及び平面図。
【
図8】(a)から(c)はそれぞれ、第三実施形態に係る調理用トレーを示す右側面図、正面図、及び、
図7(b)におけるD−D線断面図。
【
図9】(a)及び(b)はそれぞれ、第四実施形態に係る調理用トレーを示す斜視図及び平面図。
【
図10】(a)から(c)はそれぞれ、第四実施形態に係る調理用トレーを示す右側面図、正面図、及び、
図9(b)におけるE−E線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、
図1から
図4を用いて、本発明の第一実施形態に係る調理用トレー(以下、単に「トレー」と記載する)1について説明する。本実施形態に係るトレー1は、ガスコンロ又はIHコンロに付随するグリルやオーブントースター等、熱線を放射する加熱調理器具において加熱調理を行う際に、加熱調理器具の内部で食材を保持するために用いられる。
【0011】
図1及び
図2に示す如く、トレー1は熱伝導性の高いアルミニウム合金製の金属板で形成され、上面2aと下面2bとを備える。なお、トレー1は板状部材であればよく、その素材及び製造方法は限定されるものではない。例えば、トレー1を陶器で形成したり、鋳物でトレー1を構成したりすることも可能である。
【0012】
トレー1は、上面2aにおいて下方に向かって窪んだ複数の凹部(本実施形態においては、第一凹部3及び第二凹部4)を備える。本実施形態においては、第一凹部3と第二凹部4とが並ぶ方向である、
図2(a)及び(b)における左右方向をトレー1の左右方向と規定する。また、
図2(a)及び(b)における前後方向をトレー1の前後方向と規定する。トレー1は、凹部3・4の周囲で水平方向(前後方向及び左右方向)に延出されるとともに平面視で矩形に形成された鍔部5を備える。
【0013】
図1に示す如く、第一凹部3と第二凹部4とは左右に離間して形成される。換言すれば、第一凹部3と第二凹部4との間には、鍔部5と同じ平面上に位置する中間部6が形成されている。即ち、トレー1において、鍔部5と中間部6とで同一の平面を形成している。
【0014】
トレー1を使用する際は、凹部3・4の一方又は両方に食材を載置した状態で加熱調理器具に挿入し、加熱調理を行う。本実施形態に係るトレー1において、上面2aはフッ素系樹脂により塗膜加工されている。これにより、食材が上面2aにこびりつきにくくしている。また、トレー1の下面2bは耐熱性の高分子化合物、具体的には耐熱シリコーンにより塗膜加工されている。これにより、加熱調理器具の内部での耐熱性を高めている。本実施形態に係るトレー1は、板状部材に上記の如く表面加工が施された後で、凹部3・4を形成することにより形成されている。
【0015】
図1に示す如く、第一凹部3と第二凹部4とは平面視で互いに異なる形状に形成されている。具体的には、第一凹部3は円形凹部として形成され、第二凹部4は矩形凹部として形成されている。これにより、トレー1で異なる種類の食材を加熱調理する際に、より適切な形状の凹部3・4の何れかを選択して使用することができる。なお、複数の凹部を同じ形状で形成しても差し支えない。
【0016】
図3(b)及び
図4(b)に示す如く、円形凹部である第一凹部3の中央部には、下方に向かってさらに窪んだ円形状の窪み部3aが形成されている。この窪み部3aは、トレー1における第一凹部3で目玉焼きを調理する際に、卵の黄身を目玉焼きの中央部分に安定して保持することができる。本実施形態において、窪み部3aは平面状に形成されている。これにより、トレー1を加熱調理器具の内部の棚部材やテーブルの上面に安定的に載置することができる。
【0017】
図3(a)及び
図4(a)に示す如く、矩形凹部である第二凹部4には、底面部に複数のリブ4a・4a・・が上方に向かって平行に突出して形成されている。食材を加熱調理した際に生じる油分等がリブ4a・4a・・の間に流れるため、油分等が食材に付着することを防止できる。これにより、食材が第二凹部4に付着することをより防止することができる。
【0018】
図1から
図4に示す如く、トレー1における鍔部5の四個の角部分は、斜め上方に折り曲げられた取手部7が形成されている。トレー1の使用者は、ミトン等の調理用手袋を手に装着している場合でも、この取手部7を把持することにより、トレー1を容易に加熱調理器具に出し入れすることができる。なお、取手部7を鍔部5の四個の角部分のうち、一箇所乃至三箇所に形成することも可能である。
【0019】
上記の如く、本実施形態に係るトレー1において、食材を載置するための第一凹部3と第二凹部4とが離間して形成されているため、異なる食材を同時に加熱調理することができる。例えば、目玉焼きを焼くのと同時にフライを温めなおすような場合でも、第一凹部3で目玉焼きを調理し、第二凹部4でフライを温めなおすことができる。この際、第一凹部3から卵が周囲に流れ出でることがないため、第二凹部4のフライに卵が付着することがない。このように、本実施形態に係るトレー1によれば、異なる食材を複数の凹部3・4に載置することにより、同時に加熱調理することが可能となる。
【0020】
次に、
図5及び
図6を用いて、本発明の第二実施形態に係るトレー101について説明する。本実施形態及び以降の実施形態で説明するトレー101・201・301は、第一実施形態に係るトレー1と同様に、加熱調理器具の内部で食材を保持するために用いられる。トレー101・201・301について、第一実施形態に係るトレー1と同様の構成が多いため、トレー1と異なる構成を中心に説明する。
【0021】
図5及び
図6に示す如く、本実施形態に係るトレー101は、第一実施形態に係るトレー1において第一凹部3に形成された窪み部3a、及び、第二凹部4に形成されたリブ4a・4a・・を形成しない構成である。即ち、トレー101における第一凹部3及び第二凹部4は、
図5及び
図6に示す如く底面部が平面形状に形成されている。
【0022】
次に、
図7及び
図8を用いて、本発明の第三実施形態に係るトレー201について説明する。
図7及び
図8に示す如く、本実施形態に係るトレー201は、第一実施形態に係るトレー1において鍔部5の四個の角部分に形成された取手部7を形成しない構成である。即ち、トレー201における鍔部5の四個の角部分は、
図7及び
図8に示す如く水平方向に延出されている。
【0023】
なお、本実施形態に係るトレー201において、円形凹部である第一凹部3の中央部には、下方に向かってさらに窪んだ円形状の窪み部3aが形成されている。この窪み部3aにより、トレー201における第一凹部3で目玉焼きを調理する際に、卵の黄身を目玉焼きの中央部分に安定して保持することができる。また、矩形凹部である第二凹部4には、底面部に複数のリブ4a・4a・・が上方に向かって平行に突出して形成されている。このリブ4a・4a・・により、食材が第二凹部4に付着することをより防止することができる。
【0024】
次に、
図9及び
図10を用いて、本発明の第四実施形態に係るトレー301について説明する。
図9及び
図10に示す如く、本実施形態に係るトレー301は、第一実施形態に係るトレー1において第一凹部3に形成された窪み部3a、第二凹部4に形成されたリブ4a・4a・・、及び、鍔部5の四個の角部分に形成された取手部7を形成しない構成である。即ち、トレー301において、第一凹部3及び第二凹部4は底面部が平面形状に形成され、鍔部5の四個の角部分は水平方向に延出されている。
【0025】
上記の如く、第二・第三・第四実施形態に係るトレー101・201・301においても、食材を載置するための第一凹部3と第二凹部4とが離間して形成されているため、異なる食材を同時に加熱調理することができる。即ち、これらの実施形態に係るトレー101・201・301によれば、異なる食材を、離間した複数の凹部3・4に載置することにより、同時に加熱調理することが可能となる。
【符号の説明】
【0026】
1 トレー(調理用トレー・第一実施形態)
2a 上面 2b 下面
3 第一凹部(円形凹部)
3a 窪み部 4 第二凹部(矩形凹部)
4a リブ 5 鍔部
6 中間部 7 取手部
101 トレー(調理用トレー・第二実施形態)
201 トレー(調理用トレー・第三実施形態)
301 トレー(調理用トレー・第四実施形態)