【解決手段】第1遮断弁51と、第1遮断弁51よりも下流側に配置される第2遮断弁52と、第1遮断弁51と第2遮断弁52とを接続する接続路53と、接続路53における圧力を測定する圧力測定部54と、第1遮断弁51及び第2遮断弁52を制御する制御部71と、を備えるガス遮断装置100であって、制御部71は、第1遮断弁51のガス漏れを検知する漏れ検知部711を備え、漏れ検知部711は、第1遮断弁51を閉止した後に第2遮断弁52を閉止し、第1遮断弁51及び第2遮断弁52を閉止した後に圧力測定部54において所定の圧力以上の圧力を検知した場合に、第2遮断弁52の開動作を制限する。
前記漏れ検知部は、前記第1遮断弁を閉止した後、所定の時間内に前記圧力測定部において所定の圧力上昇が検知されなかった場合に前記第2遮断弁を一時的に開放する請求項1又は2に記載のガス遮断装置。
【背景技術】
【0002】
従来、気体燃料を燃焼させることで給水を加熱して蒸気を生成するボイラ等の燃焼装置が用いられている。そして、このような燃焼装置を、二重の遮断弁を有するガス遮断装置を含んで構成する技術が提案されている。
【0003】
このようなガス遮断装置においては、二重遮断弁を構成する第1遮断弁及び第2遮断弁は、燃焼装置に供給される燃料ガスの最大供給圧に対応しうる圧力下で動作できるよう、遮断弁を構成するオリフィスの径や遮断弁を動作させるアクチュエータの大きさが決定される。具体的には、高い圧力下で動作できるように遮断弁を設計する場合、オリフィスの径を小さく設計する、又は駆動力の大きなアクチュエータを用いる必要がある。
【0004】
ここで、二つの遮断弁それぞれにおいて、オリフィスの径を小さく設計した場合、ガス遮断装置における圧力損失が大きくなる。また、駆動力の大きなアクチュエータを用いた場合、装置が大型化すると共に製造コストが増大する。
【0005】
そこで、下流側に配置された第2遮断弁の一次側と二次側とを接続するバイパス路と、このバイパス路に配置されるバイパス弁と、を含むガス遮断装置が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1で提案された技術によれば、所定のタイミングでバイパス路を通じて第2遮断弁の一次側のガスをバイパスさせて圧力を低下させられるため、第2遮断弁をより低い圧力で動作可能としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1で提案された技術では、ガス遮断装置を、バイパス路及びバイパス弁を含んで構成する必要があり、装置構成が複雑化してしまう。
【0008】
従って、本発明は、より簡易な構成で設計できる遮断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第1遮断弁と、前記第1遮断弁よりも下流側に配置される第2遮断弁と、前記第1遮断弁と前記第2遮断弁とを接続する接続路と、前記接続路における圧力を測定する圧力測定部と、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁を制御する制御部と、を備えるガス遮断装置であって、前記制御部は、前記第1遮断弁のガス漏れを検知する漏れ検知部を備え、前記漏れ検知部は、前記第1遮断弁を閉止した後に前記第2遮断弁を閉止し、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁を閉止した後に前記圧力測定部において所定の圧力以上の圧力を検知した場合に、前記第2遮断弁の開動作を制限するガス遮断装置に関する。
【0010】
また、前記制御部は、ガスの供給を開始する場合、前記第2遮断弁を開放した後、前記第1遮断弁を開放することが好ましい。
【0011】
また、前記漏れ検知部は、前記第1遮断弁を閉止した後、所定の時間内に前記圧力測定部において所定の圧力上昇が検知されなかった場合に前記第2遮断弁を一時的に開放することが好ましい。
【0012】
また、ガス遮断装置は、前記接続路に配置される圧力開放弁を更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、より簡易な構成で設計できる遮断装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のガス遮断装置の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、ガス遮断装置は、燃焼装置としてのボイラに組み込まれて用いられる。
図1は、ガス遮断装置を備えるボイラを模式的に示す図である。
【0016】
本実施形態のボイラ1は、ガスを燃料として水を加熱して蒸気の生成を行う蒸気ボイラであり、負荷機器(図示せず)に蒸気を供給する。
ボイラ1は、缶体10と、缶体10に燃焼用空気を送り込む送風機20と、缶体10と送風機20とを接続し燃焼用空気が流通する給気ダクト30と、缶体10から排出される燃焼ガス(排ガス)が流通する排気筒80と、缶体10に燃料ガスを供給する燃料供給ライン50と、この燃料供給ライン50に配置されるガス遮断装置100と、缶体10に水を供給する給水ライン60と、制御装置70と、を備える。
【0017】
缶体10は、ボイラ筐体11と、複数の水管12と、下部ヘッダ13と、上部ヘッダ14と、バーナ15と、を備える。
【0018】
ボイラ筐体11は、缶体10の外形を構成する。ボイラ筐体11の一側面には、給気口16が形成され、給気口16が形成された側面に対向する側面には、排気口17が形成される。
【0019】
複数の水管12は、ボイラ筐体11の内部に上下方向に延びて配置されると共に、ボイラ筐体11の長手方向及び幅方向に所定の間隔をあけて配置される。
【0020】
下部ヘッダ13は、ボイラ筐体11の下部に配置される。下部ヘッダ13には、複数の水管12の下端部が接続される。上部ヘッダ14は、ボイラ筐体11の上部に配置される。上部ヘッダ14には、複数の水管12の上端部が接続される。
【0021】
バーナ15は、給気口16に配置される。バーナ15によって燃料ガスと燃焼用空気との混合気が燃焼し、水管12の水が加熱されて蒸気が発生する。
【0022】
送風機20は、ファン及びこのファンを回転させるモータを有する送風機本体21と、ファン(モータ)の回転数を増減させるインバータ22と、を備える。送風機20は、インバータ22に入力される周波数に応じて、ファンが所定の回転数で回転することで、缶体10に燃焼用空気を送り込む。
【0023】
本実施形態では、負荷機器(図示省略)から要求される要求負荷に応じて燃焼用空気の流量が設定される。送風機20は、設定された燃料用空気の流量になるように制御装置70によってインバータ22を介して制御される。
【0024】
給気ダクト30は、燃料ガスと混合させる燃焼用空気を缶体10に供給する。給気ダクト30は、上流側の端部が送風機20に接続され、下流側の端部が給気口16に接続される。給気ダクト30は、送風機20から送り込まれた燃焼用空気を缶体10に供給する。
給気ダクト30には、ダンパ31が配置される。
【0025】
ダンパ31は、給気ダクト30の内部の燃焼用空気の流路を塞いだ閉状態と、この閉状態から90度回転し、給気ダクト30の内部の燃焼用空気の流路を開放した開状態との間で回転可能に配置される。
【0026】
排気筒80は、基端側が排気口17に接続され、筒状に形成される。この排気筒80を通じて缶体10で発生した燃焼ガス(排ガス)が缶体10の外部に排出される。
【0027】
燃料供給ライン50は、上流側が燃料供給源(図示せず)に接続され、下流側が給気ダクト30に接続される。燃料供給ライン50の下流側の端部は、給気ダクト30におけるダンパ31が配置された位置よりも下流側に接続される。燃料供給ライン50は、燃料ガスを給気ダクト30に供給する。
【0028】
ガス遮断装置100は、燃料供給ライン50を流通する燃料ガスの缶体10への供給及び停止を制御する。また、ガス遮断装置100は、当該ガス遮断装置100における燃料ガスの漏れを検知する漏れ検知機能を備える。漏れ検知機能の詳細については後述する。
ガス遮断装置100は、燃料供給ライン50に配置される第1遮断弁51、第2遮断弁52、接続路53及び圧力測定部としての圧力センサ54と、圧力開放弁55と、後述の制御装置70を構成する制御部71と、を含んで構成される。
【0029】
第1遮断弁51は、電磁弁等の開閉弁により構成される。第1遮断弁51は、燃料供給ライン50を開放又は閉止し、燃料ガスの供給及び停止を行う。
【0030】
第2遮断弁52は、電磁弁等の開閉弁により構成される。第2遮断弁52は、第1遮断弁51の下流側に配置される。第2遮断弁52は、燃料供給ライン50を開放又は閉止して燃料ガスの供給及び停止を行う。
接続路53は、第1遮断弁51と第2遮断弁52と、を接続する。
【0031】
圧力センサ54は、接続路53を流通する燃料ガスの圧力を検知する。
以上の第1遮断弁51、第2遮断弁52、接続路53及び圧力センサ54は、いわゆる二重遮断弁を備えるガス遮断機構として一体的に構成されて燃料供給ライン50に配置される。
圧力開放弁55は、接続路53に配置される。圧力開放弁55は、接続路53の内部の圧力が設定された圧力を超えた場合に、接続路53の内部の燃料ガスを外部に逃がす。圧力開放弁55の動作圧力は、漏れ検知部711によりガス漏れを判定する圧力よりも高く設定される。
【0032】
給水ライン60は、缶体10に水を供給する。給水ライン60の上流側は給水源(図示せず)に接続され、下流側は下部ヘッダ13に接続される。給水ライン60には、給水弁61が配置される。
【0033】
次に、制御装置70について説明する。制御装置70は、ボイラ1の燃焼状態を制御する制御部71と、各種の情報が記憶される記憶部72と、を備える。
制御装置70は、上述した各センサと電気的に接続され、これらのセンサからの信号及び負荷機器からの要求負荷に基づいて第1遮断弁51、第2遮断弁52及び送風機20等の制御を行い、ボイラ1の燃焼状態を制御する。また、制御装置70は、ボイラ1の燃焼状態に応じて給水弁61の開閉又は開度を調整し、水管12の水位を制御する。
【0034】
また、制御部71は、ボイラ1の燃焼停止中(例えば、ポストパージ後)に、ガス遮断装置100からの燃料ガスのガス漏れ(いわゆる弁越し漏れ)の有無を判定する漏れ検知部711を備える。
【0035】
漏れ検知部711の動作について説明する。
漏れ検知部711は、ボイラ1の燃焼停止中、例えば、燃焼停止後に缶体10の内部に残留した燃料ガスを外部に排出するために行うポストパージの終了時に、ガス遮断装置100(第1遮断弁51)からの弁越し漏れを判定する漏れ検知を行う。この場合、漏れ検知部711は、まず、第1遮断弁51を閉止した後、第2遮断弁52を閉止する。これにより、燃料供給ライン50における第1遮断弁51よりも二次側は、缶体10を介して大気と連通することとなる。よって、接続路53を含む燃料供給ライン50における第1遮断弁51よりも二次側の圧力は、第1遮断弁51よりも燃料供給源側のガス圧力よりも低い圧力(例えば大気圧と同等の圧力)となる。
【0036】
そして、漏れ検知部711は、第1遮断弁51及び第2遮断弁52を閉止した後の圧力センサ54により検知される圧力を監視し、圧力センサ54により所定の圧力以上の圧力を検知した場合に、第1遮断弁51からの弁越し漏れが発生していると判定する。所定の圧力は、大気圧よりも高く、燃料供給源からの燃料ガスの供給圧力よりも小さい値に設定される。
漏れ検知部711は、圧力センサ54により所定の圧力以上の圧力が検知された場合、第2遮断弁52の開動作を制限する。即ち、漏れ検知部711は、第1遮断弁51からの弁越し漏れが発生していると判定した場合、第2遮断弁52の開動作を禁止する。
【0037】
これにより、第1遮断弁51に漏れが検知された場合に第2遮断弁52の開動作を禁止でき、また、第1遮断弁51に漏れが生じていない場合における接続路53の圧力を大気圧とすることができる。よって、第2遮断弁52を第1遮断弁51より低圧のガス供給圧に対応した設計としてガス遮断装置100を構成できるので、第2遮断弁52を駆動させるアクチュエータを小型化でき、製造コストを低減しつつ簡易な構成でガス遮断装置100を製造できる。また、第2遮断弁52をより低圧のガス供給圧に対応した設計とすることで、第2遮断弁52を構成するオリフィスを大きく設計できるため、ガス遮断装置100における圧力損失を低減できる。
【0038】
また、漏れ検知部711は、第1遮断弁51を閉止した後、所定の時間内に圧力センサ54において所定の圧力上昇が検知されなかった場合に第2遮断弁52を一時的に開放する。所定の時間は、例えば、1秒〜99秒の範囲で設定される。
これにより、ボイラ1において許容される程度の微小なガス漏れが第1遮断弁51において生じている場合に、接続路53の圧力が所定の圧力に到達する前に第2遮断弁52を一時的に開放して接続路53に導入された燃料ガスを二次側に放出させられる。よって、第1遮断弁51の微小なガス漏れに起因して接続路53の圧力が過剰に上昇してしまうことを防げ、ガス遮断装置100を安定的に動作させられる。
【0039】
また、本実施形態において、制御部71は、ボイラ1の燃焼を開始させる場合、ガス遮断装置100に対して、第2遮断弁52を先に開放させた後、第1遮断弁51を開放させる。これにより、ボイラ1の燃焼を開始させる場合に、接続路53に燃料ガスが供給される前に第2遮断弁52を開放できるので、第2遮断弁52を第1遮断弁51よりも低圧のガス供給圧に対応した設計とした場合であっても、良好に燃料ガスの供給を開始させられる。
【0040】
以上説明した本実施形態のガス遮断装置100によれば、以下のような効果を奏する。
【0041】
(1)ガス遮断装置100を第1遮断弁51と、第2遮断弁52と、第1遮断弁51と第2遮断弁52とを接続する接続路53と、接続路53における圧力を測定する圧力センサ54と、第1遮断弁51の漏れ検知を行う漏れ検知部711と、を含んで構成し、漏れ検知部711に、燃料ガスの供給を停止する場合に、第1遮断弁51を閉止した後に第2遮断弁52を閉止させ、第1遮断弁51及び第2遮断弁52を閉止した後に圧力センサ54において所定の圧力以上の圧力を検知した場合に第2遮断弁52の開動作を制限させた。これにより、第1遮断弁51に漏れが検知された場合に第2遮断弁52の開動作を禁止でき、また、第1遮断弁51に漏れが生じていない場合における接続路53の圧力を大気圧とすることができる。よって、第2遮断弁52を第1遮断弁51より低圧のガス供給圧に対応した設計としてガス遮断装置100を構成できるので、第2遮断弁52を駆動させるアクチュエータを小型化でき、製造コストを低減しつつ簡易な構成でガス遮断装置100を製造できる。また、第2遮断弁52をより低圧のガス供給圧に対応した設計とすることで、第2遮断弁52を構成するオリフィスを大きく設計できるため、ガス遮断装置100における圧力損失を低減できる。
【0042】
(2)制御部71に、燃料ガスの供給を開始する場合、第2遮断弁52を開放した後に第1遮断弁51を開放させた。これにより、ボイラ1の燃焼を開始させる場合に、接続路53に燃料ガスが供給される前に第2遮断弁52を開放できるので、第2遮断弁52を第1遮断弁51よりも低圧のガス供給圧に対応した設計とした場合であっても、良好に燃料ガスの供給を開始させられる。
【0043】
(3)漏れ検知部711に、第1遮断弁51を閉止した後、所定の時間内に圧力センサ54において所定の圧力上昇が検知されなかった場合に第2遮断弁52を一時的に開放させた。これにより、ボイラ1において許容される程度の微小なガス漏れが第1遮断弁51において生じている場合に、接続路53の圧力が所定の圧力に到達する前に第2遮断弁52を一時的に開放して接続路53に導入された燃料ガスを二次側に放出させられる。よって、第1遮断弁51の微小なガス漏れに起因して接続路53の圧力が過剰に上昇してしまうことを防げ、ガス遮断装置100を安定的に動作させられる。
【0044】
(4)ガス遮断装置100を、圧力開放弁55を含んで構成した。これにより、漏れ検知部711により圧力センサ54において漏れ検知部711によりガス漏れを判定する圧力よりも高い所定の圧力以上の圧力を検知した場合に、圧力開放弁55から燃料ガスを放出させられる。よって、ガス遮断装置100の安全性を高められる。
【0045】
以上、本発明のガス遮断装置100の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、ガス遮断装置100をボイラ1に適用したが、これに限らない。ガス遮断装置は、ボイラ以外の気体燃料を用いる燃焼装置に適用できる。
また、本実施形態では、漏れ検知部711を、ボイラ1の制御装置70の一部として構成したが、これに限らない。即ち、漏れ検知部711を、ボイラの制御装置とは異なる制御部として構成してもよい。