ワンタッチ動作で計量容量を設定することができるとともに、所望の容量となるよう慎重に操作する必要がなく、非常にストレスフリーに所望の計量容量を得ることができる計量分配器を提供することを目的とする。
液体容器の注出口に装着する計量分配器であって、前記注出口に取り付けたキャップの上部に装着された計量目盛付きの上部を開放した透明容器と、前記透明容器の内側下部に装着した連通パイプと、該連通パイプの外側に前記透明容器を介して所望の間隔でスライド可能に配設された高さ調節パイプと、該高さ調節パイプから垂設され、前記高さ調節パイプの昇降に伴って前記透明容器の外側を昇降する目印付き目盛板とを備え、
内容物の入った前記液体容器を押圧し、押圧を解除することにより、前記透明容器の計量目盛が指示した位置で内容物の上端が停止することによって計量が完了するようにしたことを特徴とする計量分配器。
液体容器の注出口に装着する計量分配器であって、前記注出口に取り付けたキャップの上部に装着された計量目盛付きの上部を開放した透明容器と、前記透明容器の内側下部に装着した連通パイプと、該連通パイプの外側に前記透明容器を介して所望の間隔でスライド可能に配設された高さ調節パイプと、該高さ調節パイプから垂設され、前記高さ調節パイプの昇降に伴って前記透明容器の外側を昇降する目印付き目盛板とを備え、
前記高さ調節パイプの昇降に応じて、前記目盛板の目印が前記透明容器の計量目盛を指示した状態において、内容物の入った前記液体容器を押圧することにより、前記連通パイプの上端から内容物が溢れ出し、前記液体容器の押圧を解除することにより、前記透明容器の計量目盛が指示した位置で内容物の上端が停止することによって計量が完了するようにしたことを特徴とする計量分配器。
前記連通パイプの外側に前記透明容器を介して所望の間隔で、スライド可能に配設された高さ調節パイプが、前記透明容器の上部に取り付けられた一対の挟着部材間に装着され、前記挟着部材に取り付けたピン間を弾性線材で挟み付けることによりスライド可能に保持されてなることをも特徴とする請求項1または2に記載の計量分配器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2003−075228号に記載の発明では、計量用の分配器としてシリンダを用いており、ピストンを内在させているがために分配器としてのサイズが大きく、分配器側での操作も要求されるために、理科学実験用や家庭用としての日常使いにおいて、使用上の煩わしさがあるものであった。
【0006】
また、特開2004−291969号に記載の発明では、常時開放型で計量容量が目視で確認可能なメモリを備えた計量キャップを用いており、理科学実験用や家庭用等の日常使いにおいては、使用者の握力等をもって外圧を加えることで液体容器内の内容物を容易に計量容量分排出させることができるようにしてあるものの、誤操作等により計量容量を超えて排出された場合には余剰内容物を容器内に戻すことができず余剰内容物が無駄になってしまうという問題があった。
【0007】
そこで、特開2005−022653号に記載の発明では、必要以上の内容物が排出された場合にも、容器の復元力により生ずる容器内負圧により余剰内容物を容器内に回収できるようにして余剰内容物の無駄が生じないようにしたものであるが、計量容器における計量容量の増減方法として、該計量容器を回転運動により上下動させることができるようにしてあるため、計量容器全体の操作を行う必要があり、ワンタッチで目的の計量容量となるように計量容器を配置することができるものではなかった。
【0008】
そこでこの発明の計量分配器は、上記従来の課題を解決すべく、計量目盛と連動させた上下動可能な高さ調節パイプを設けることにより、該高さ調節パイプを上下動させるワンタッチ動作で計量容量を設定することができるとともに、液体容器内から計量分配器内に内容物を排出させる際には、あえて所望の計量容量を超過するように排出させたのち、液体容器にかける外圧を解除することで自動的に余剰内容物が液体容器内に回収されるようになっているため、所望の容量となるよう慎重に操作する必要がなく、非常にストレスフリーに所望の計量容量を得ることができる計量分配器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわちこの発明の計量分配機は、液体容器の注出口に装着する計量分配器であって、前記注出口に取り付けたキャップの上部に装着された計量目盛付きの上部を開放した透明容器と、前記透明容器の内側下部に装着した連通パイプと、該連通パイプの外側に前記透明容器を介して所望の間隔でスライド可能に配設された高さ調節パイプと、該高さ調節パイプから垂設され、前記高さ調節パイプの昇降に伴って前記透明容器の外側を昇降する目印付き目盛板とを備え、
前記高さ調節パイプの昇降に応じて、前記目盛板の目印が前記透明容器の計量目盛を指示した状態において、内容物の入った前記液体容器を押圧することにより、前記連通パイプの上端から内容物が溢れ出し、前記容器の押圧を解除することにより、前記透明容器の計量目盛が指示した位置で内容物の上端が停止することによって計量が完了するようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
この発明の計量分配器において、前記キャップに装着した連通パイプが、その下端を前記液体容器の底面に近接して配設されていることをも特徴とするものである。
【0011】
この発明の計量分配器において、前記連通パイプの外側に前記透明容器を介して所望の間隔で、スライド可能に配設された高さ調節パイプが、前記透明容器の上部に取り付けられた一対の挟着部材間に装着され、前記挟着部材に取り付けたピン間を弾性線材で挟み付けることによりスライド可能に保持されてなることをも特徴とするものである。
【0012】
この発明の計量分配器において、前記連通パイプが、前記液体容器内の下端と上端とにそれぞれ逆止弁が敷設されていることをも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
以上のように構成したこの発明の計量分配器によれば、計量目盛と連動させた昇降可能な高さ調節パイプによりワンタッチで所望の計量容量を設定することができる。そして、液体容器を押圧することで前記透明容器内に排出された内容物は、液体容器への押圧を解除することで所望の計量容量を超える分のみが前記液体容器内に還流していき、前記透明容器内には所望の計量容量の内容物のみが残存して容易に所望の計量容量を得ることができる。このような操作時にも神経質になる必要が全くなく、熟練を要することもない。
【0014】
また、前記キャップに装着した連通パイプが、その下端を前記液体容器の底面に近接して配設されているようにしたので、常に液体容器内に収納された内容物の液体容器内の底面に近接した部分を排出することができるため、液体容器内に収納された内容物の上面の空気に触れて多少なりとも酸化等の劣化した部分ではなく、液体容物に収納された内容物のより新鮮な部分を常に排出することができるため、あえて液体容器を揺動させて内容物を攪拌する必要もなく、スピーディーに内容物の排出を行うことができる。
【0015】
さらに、前記連通パイプの外側に前記透明容器を介して所望の間隔で、スライド可能に配設された高さ調節パイプが、前記透明容器の上部に取り付けられた一対の挟着部材間に装着され、前記挟着部材に取り付けたピン間を弾性線材で挟み付けることによりスライド可能に保持されてなるようにしてあるので、前記高さ調節パイプの昇降による所望の計量容量となる位置への移動および位置決めが極めて容易かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明の計量分配器を構成する各パーツの分解状態の概略正面図である。
【
図3】(a)は高さ調節パイプの概略斜視図であり、(b)はその概略斜視断面図である。
【
図4】(a)は透明容器等の各パーツの概略斜視図であり、(b)はその概略斜視断面図である。
【
図5】(a)はキャップおよび連通パイプ等の各パーツの概略斜視図であり、(b)はその概略斜視断面図である。
【
図8】この発明の計量分配器を構成する一対の挟着部材に取り付けられたピン間に弾性線材を取り付けようとする状態を示す概略斜視断面図である。
【
図9】その一対の挟着部材に取り付けられたピン間に弾性線材を取り付けた状態を示す概略斜視断面図である。
【
図10】その一対の挟着部材どうしを引き離して一対の挟着部材間に高さ調節パイプを挿通させようとする状態を示す概略斜視断面図である。
【
図11】その一対の挟着部材間に高さ調節パイプを挿通させて一対の挟着部材に高さ調節パイプを装着させた状態を示す概略斜視断面図である。
【
図12】この発明の計量分配器を構成する透明容器の内側下部に筒状密閉部材を取り付けようとする状態を示す概略斜視断面図である。
【
図13】その透明容器の内側下部に筒状密閉部材を取り付けた状態を示す概略斜視断面図である。
【
図14】その筒状密閉部材に連通パイプを挿通させようとする状態を示す概略斜視断面図である。
【
図15】その筒状密閉部材に連通パイプを挿通させた状態を示す概略斜視断面図である。
【
図16】その透明容器の内側下部に装着された連通パイプの外側に一対の挟着部材間に装着された高さ調節パイプを配設しようとする状態を示す概略斜視断面図である。
【
図17】その透明容器の内側下部に装着された連通パイプの外側に一対の挟着部材間に装着された高さ調節パイプを配設した状態を示す概略斜視断面図である。
【
図18】その透明容器の下部をキャップに取り付けようとする状態を示す概略斜視断面図である。
【
図19】その取付途中を示す概略斜視断面図である。
【
図20】その透明容器の下部をキャップに取り付けた上、連通パイプの下部に延長パイプを取り付けようとする状態を示す概略斜視断面図である。
【
図21】その連通パイプの下部に延長パイプを取り付けた状態を示す概略斜視断面図である。
【
図22】この発明の計量分配器をキャップを介して液体容器に取り付けようとする状態を示す概略斜視断面図である。
【
図23】その計量分配器をキャップを介して液体容器に取り付けた状態を示す概略斜視断面図である。
【
図26】高さ調節パイプの昇降に伴って前記透明容器の外側を昇降する目印付き目盛板を高さ調節パイプから垂設させた状態を示す概略透過正面図である。
【
図29】高さ調節パイプを昇降させて目盛板の目印位置を透明容器に付された5ccの目盛に合わせた状態を示す概略透過正面図である。
【
図31】高さ調節パイプを昇降させて目盛板の目印位置を透明容器に付された5ccの目盛に合わせた上、液体容器を押圧しようとする状態を示す概略断面図である。
【
図32】その液体容器を押圧している状態を示す概略断面図である。
【
図33】その液体容器をさらに押圧して、液体容器の内容物が透明容器内に排出されている状態を示す概略断面図である。
【
図34】その液体容器をさらに押圧して、透明容器内に排出された内容物の上面が高さ調節パイプの下端よりも上方に位置するようにしてある状態を示す概略断面図である。
【
図35】その液体容器の押圧を解除して、透明容器内に排出された内容物が液体容器内に回収されている状態を示す概略断面図である。
【
図36】その透明容器内の内容物の上面が高さ調節パイプの下端よりも下方に位置した状態を示す概略断面図である。
【
図37】その透明容器内に排出された内容物のうち、所望の計量容量を超過した内容物が液体容器内に回収された状態を示す概略断面図である。
【
図39】その計量された内容物を容器に注出させている状態を示す概略正面図である。
【
図40】その計量された内容物を容器に注出させた状態を示す概略正面図である。
【
図41】連通パイプの下端に接続した延長パイプを二股にした状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下にこの発明の計量分配器の実施の形態について詳述する。
図1ないし
図7は、この発明の計量分配器11を構成する各パーツおよび液体容器21の概略正面図、概略斜視図、概略斜視断面図である。
図において計量分配器11は、
図6および
図7に示す液体容器21の注出口21aに装着されるものであって、
図1ないし
図5に示すとおり、前記注出口21aに取り付けるキャップ31と、該キャップ31の上部に装着される計量目盛付きの上部を開放した透明容器41と、該透明容器41の内側下部に装着される連通パイプ51と、該連通パイプ51の外側に前記透明容器41を介して所望の間隔でスライド可能に配設される高さ調節パイプ61と、該高さ調節パイプ61から垂設され、前記高さ調節パイプ61の昇降に伴って前記透明容器41の外側を昇降する目印付き目盛板71から構成されている。
【0018】
前記キャップ31は、開口部31aを備え、前記液体容器21の抽出口21aに取り付けられる。
前記透明容器41は、上部が開放されているとともに、下部にはテーパ状のつぼまり41aを設けてある。該テーパ状のつぼまり41aの内側下部には、前記連通パイプ51を挿通する保持部材42を収納可能な筒状端部41bを形成してある。なお、前記筒状端部41bは、前記キャップ31に設けた開口部31aに挿通して固定するようにしてある。また、前記透明容器41の上部開放縁41dには、前記高さ調節パイプ61を装着するための一対の挟着部材43,44が取り付けられる。
また、前記透明容器41には、外部から視認可能な位置に計量目盛41c(
図26参照)を付しておくようにする。
【0019】
前記挟着部材43は、前記透明容器41の上部開放縁41dに沿って取り付けられるフレーム43aと、該フレーム43aの枠内の所定の位置から枠内中心方向に向けて延長された挟着突起43bと、該挟着突起43bの先端部分からさらに挟着突起43bの延長方向に沿って前記フレーム43aの対抗側まで差し渡されたガイドレール43cから構成されている。また、前記挟着部材43は、前記挟着突起43bの下部に下向きのピン43dを設けてある。
他方、前記挟着部材44は、前記挟着部材43の前記フレーム43aの枠内に差し渡された前記ガイドレール43cに取り付けられ、該ガイドレール43cに沿って前後に移動可能としてある。また、前記挟着部材44の下部には下向きのピン44aを設けてある。
【0020】
そして、前記挟着部材43の挟着突起43bの下部に設けたピン43dと、前記挟着部材44の下部に設けたピン44aを弾性線材45で挟み付けるようにして、前記一対の挟着部材43,44が前記高さ調節パイプ61の装着位置において常に互いに引き寄せられる向きに付勢してある。したがって、前記高さ調節パイプ61が前記一対の挟着部材43,44間に装着された際には、前記ピン43d,44a間を前記弾性線材45で挟み付けるようにして、前記一対の挟着部材43,44が互いに引き寄せあうように付勢してあるので、前記高さ調節パイプ61は前記一対の挟着部材43,44間において上下にスライド可能に保持されるのである。
【0021】
前記連通パイプ51は、その両端を開口させてあり、前記透明容器41の内側において、前記透明容器41の下部に設けた筒状端部41bの内側に収納された保持部材42に挿通して装着、保持されるようにしてある。
また、前記連通パイプ51の下端には連結パイプ52を介して延長パイプ53と連結してあり、該延長パイプ53の下端が前記液体容器21の内側底面に位置するようにしている。
そして、前記透明容器41の上部開放縁41dに取り付けられた前記一対の挟着部材43,44に装着された前記高さ調節パイプ61は、上端を封鎖するとともに下端を開口させて、前記連通パイプ51を挿通させた上で、前記連通パイプ51の外側において所望の間隔で昇降可能に配設されている。
このとき、前記連通パイプ51の外側と前記高さ調節パイプ61の内側との間には所定の間隙Lを設けてある。このようにすることで、前記間隙Lが前記液体容器21に収納された内容物Aの流路として機能するようにしてある。
【0022】
つぎに、この発明の計量分配器11を構成する各パーツおよび液体容器21の組み付けの工程について詳述する。
まず、
図8に示すように、前記挟着部材43のフレーム43aの枠内に配設されたガイドレール43cに、前記挟着部材44を取り付ける。そして、
図9に示すように、前記挟着部材43の前記挟着突起43bの下部に設けたピン43dと前記挟着部材44の下部に設けたピン44aに前記弾性線材45を取り付けるようにする。このようにすることで、前記ピン43d,44aどうしが前記弾性線材45により挟み付けられて、前記挟着部材43の挟着突起43bと前記挟着部材44とが互いに引き寄せあうように付勢される。
【0023】
前記高さ調節パイプ61は、
図10に示すように、前記挟着部材44を前記挟着部材43の挟着突起43bから引き離す向きに後退させて生じた間隙に挿通させた上、
図11に示すように、前記挟着部材44の後退を解放して前記一対の挟着部材43,44間に装着してスライド可能に保持している。
このとき、前記挟着部材43,44と前記高さ調節パイプ61との接触面を平滑な面とすることにより、前記高さ調節パイプ61の高さを自在に調節することができるようにしてある。もちろん、あえて前記挟着部材43,44と前記高さ調節パイプ61の互いに接触する部分において、前記挟着部材43,44と前記高さ調節パイプ61の両者またはいずれか一方に、前記透明容器41の外周面に付された計量目盛41cと対応するよう所定の間隔で凹凸を形成させて、前記高さ調節パイプ61を所望の計量容量となる位置に正確にかつ容易にスライド昇降させることができるようにしてもよい。
【0024】
前記透明容器41は、
図12および
図13に示すように、前記透明容器41の下部に形成された筒状端部41bの内側に保持部材42を収納しておく。このとき、前記保持部材42は、上端にフランジ部42aを設けてあり、前記筒状端部41bに密着して収納保持されている。前記連通パイプ51は、
図14および
図15に示すように、前記透明容器41の内側において前記保持部材42に挿通して位置を固定された上で保持される。
【0025】
そして、
図16および
図17に示すように、前記連通パイプ51が装着された前記透明容器41の上部開放縁41dに、前記高さ調節パイプ61が装着された前記一対の挟着部材43,44の、前記挟着部材43のフレーム43aを取り付ける。このとき、前記透明容器41に装着された前記連通パイプ51は、前記一対の挟着部材43,44に装着された前記高さ調節パイプ61の内側に挿通させる。
【0026】
さらに、
図18ないし
図21に示すように、前記透明容器41の下部に形成した前記筒状端部41bにリング状部材46を取り付けた上、前記筒状端部41bを前記キャップ31に設けた開口部31aに挿通したのち、該筒状端部41bにリング状弾性部材31bおよび固定キャップ31cを取り付けて前記キャップ31に固定する。
前記連通パイプ51の下端には連結パイプ52を介して延長パイプ53と連結してある。もちろん、前記連通パイプ51を長尺のものとしてもよい。
この発明の計量分配器11は、上述のとおり各パーツが組み付けられており、
図22ないし
図25に示すように、前記キャップ31を前記液体容器21の注出口21aに取り付けることにより、前記液体容器21に収納された内容物Aの計量が可能となる。もちろん、前記液体容器21の注出口21aに取付可能な前記キャップ31を用意すれば、前記液体容器21のサイズ・形状を問わず様々な液体容器にこの発明の計量分配器11を適用することができることはいうまでもない。
【0027】
前記目印付目盛板71は、
図26ないし
図28に示すように、前記透明容器41に付された計量目盛41cと対応するように前記高さ調節パイプ61から垂設されている。このとき、前記高さ調節パイプ61の下部開口端61aと、前記目印71aとは、水平方向に同一の高さとなるようにしておく。したがって、所望の計量容量を得ようとする場合には、前記目印付目盛板71の目印71aが前記透明容器41の計量目盛41cの所望の計量容量位置にくるように前記高さ調節パイプ61をスライド昇降させればよい。
【0028】
つぎに、この発明の計量分配器11の使用方法について、その一例を図面を用いて詳述する。
まずは、
図29および
図30に示すように、前記高さ調節パイプ61から垂設された前記目印付目盛板71の目印71aを、前記高さ調節パイプ61をスライド昇降させて前記透明容器41の計量目盛41cの所望の計量位置まで移動させる。本実施例では、所望の計量容量を5ccとして、前記目印付目盛板71の目印71aを前記計量目盛41cの5ccの位置に移動させている。
【0029】
前記目印付目盛板71の目印71aを、前記計量目盛41cの所望の5ccの位置に移動させたのち、
図31に示すように、前記液体容器21に収納された内容物Aを前記透明容器41内に排出すべく、前記液体容器21の胴部等を押圧する。前記液体容器21を押圧すると、
図32に示すように、前記液体容器21内に収納された内容物Aは、前記連通パイプ51と連結された延長パイプ53の下部開口端53aから順次前記連通パイプ51内に送り込まれて上昇していく。
【0030】
そして、
図33に示すように、前記液体容器21への押圧により前記連通パイプ51内を上昇していく内容物Aは、前記連通パイプ51の上部開口端51aに到達すると、前記連通パイプ51の外側と前記高さ調節パイプ61の内側で形成された間隙Lに流入していき、前記高さ調節パイプ61の下部開口端61aから前記透明容器41内に排出される。
さらに前記液体容器21を押圧していくと、前記内容物Aが前記透明容器41内に順次排出されていくことにより、前記内容物Aは前記透明容器41内においてその水位A−2をさらに上昇させていき、
図34に示すように、前記透明容器41内に排出された内容物Aの水位A−2が前記高さ調節パイプ61の下部開口端61aよりも高くなる。このとき、前記高さ調節パイプ61の下部開口端61aの位置と、前記高さ調節パイプ61から垂設された前記目印付目盛板71の目印71aの位置とは水平方向において同一の高さとしてあるので、所望の計量容量を超える量の内容物Aが前記透明容器41内に排出されたこととなる。
【0031】
このような状態において前記液体容器21への押圧を解除すると、
図35に示すように、前記透明容器内41内に排出された内容物Aの水位A−2と前記液体容器21内に残存する内容物Aの水位A−1の水位(前記連通パイプ51に連結された延長パイプ53の下部開口端53aが前記液体容器21内において内容物A外の中空に露出しているときは、前記連通パイプ51内または延長パイプ53内の内容物Aの下端水位)の差による圧力差により、前記透明容器41内に排出された内容物Aは、前記液体容器21内に向けて逆流を開始する。この現象は、サイフォンの原理と称される場合がある。
【0032】
前記透明容器41内に排出された内容物Aが前記液体容器21内に逆流して回収され、前記透明容器21内の内容物Aの水位A−2が下降していき、前記内容物Aの水位A−2の位置が前記高さ調節パイプ61の下部開口端61aの位置に到達して、前記高さ調節パイプ61の下端開口部61aが前記内容物A外の中空に露出すると、
図36に示すように、露出した前記高さ調節パイプ61の下部開口端61aからは空気が流入するようになり、前記透明容器41内に排出された内容物Aの水位A−2は前記高さ調節パイプ61の下部開口端61aの位置で下降を停止し、
図37に示すように、前記連通パイプ51の外側と前記高さ調節パイプ61の内側で形成された間隙Lおよび前記連通パイプ51内に残存する内容物Aのみが前記液体容器21内に回収されることとなる。
【0033】
このとき、前記透明容器41内に残留した内容物Aの水位A−2は、
図38に示すように、前記高さ調節パイプ61の下部開口端61aと略同じ高さとなっている。すなわち、前記高さ調節パイプ61の下部開口端61aと前記目印付目盛板71の目印71aもまた同じ高さとなっていることから、前記目印71aが指し示す前記透明容器41の計量目盛41cの5ccの位置のとおり、所望の5ccの前記内容物Aのみを前記透明容器41内に残存させることができるようになっているのである。
【0034】
前記透明容器41内に得られた所望の計量容量分の内容物Aは、
図39および
図40に示すように、前記透明容器41の解放された上部から、例えばコップ等の容器に排出すればよい。
【0035】
また、
図41に示すように、前記連通パイプ51の下部に連結した延長パイプ53を二股とした上で、前記液体容器21内の上部に位置する短管54側の下端部に、該短管54内から前記液体容器21内に向けて流出される方向にのみ流通可能な逆止弁54aを設けるとともに、前記液体容器21内の下部底面に位置する長管55側の下端部には、前記液体容器21内から該長管55内に流入する方向にのみ流通可能な逆止弁55aを設けるようにすることもできる。このような構成とすることで、前記液体容器21を押圧した際には、前記液体容器21内の内容物Aが前記長管55の下端部に設けた逆止弁55aのみから前記長管55内に流入して前記連通パイプ51に導入され、前記液体容器21の押圧を解除した際には、前記連通パイプ51等の流路に残存する内容物Aが前記短管54の下端部に設けた逆止弁54aのみから前記液体容器21内に排出されるようになる。
【0036】
以上のように、この発明の計量分配器11を用いることにより、次の効果を奏することができる。
(1)前記高さ調節パイプ61をスライド昇降させるだけで、ワンタッチで所望の計量容量に設定できる。
(2)所望の計量容量を事前に設定できるので、前記液体容器21から内容物Aを排出させる際に、常に前記透明容器41の計量目盛41cを注視しておく必要がなく、ストレスなく所望の計量容量の内容物Aを得ることができる。
(3)前記液体容器21への押圧を解除すると、前記透明容器41内に排出された内容物Aのうち、所望の計量容量を超える分の内容物Aが自動的に前記液体容器21内に回収されるようにしてあるので、容易にかつ確実に無駄を解消することができる。
(4)すなわち、所望の計量容量は前記高さ調節パイプ61をスライド昇降させてワンタッチで設定することができ、あとは、前記液体容器21を押圧し、押圧を解除するだけで、極めて単純な手順で容易にかつ正確に所望の計量容量の内容物Aのみを無駄なく得ることができるのである。