(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-124545(P2021-124545A)
(43)【公開日】2021年8月30日
(54)【発明の名称】メガネ
(51)【国際特許分類】
G02C 5/00 20060101AFI20210802BHJP
G02C 5/14 20060101ALI20210802BHJP
G02C 11/00 20060101ALN20210802BHJP
【FI】
G02C5/00
G02C5/14
G02C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-16135(P2020-16135)
(22)【出願日】2020年2月3日
(71)【出願人】
【識別番号】305054762
【氏名又は名称】株式会社アサヒ商会
(74)【代理人】
【識別番号】100122552
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 浩二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】徳永 大祐
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006AA00
2H006CA04
(57)【要約】
【課題】メガネについて、その不使用時に傷や汚れが付きにくい状態を維持しながら、その存在を認識しやすいものとする。
【解決手段】左右のレンズを保持しているメガネ本体10Aの左右両端側から、一対のヨロイ11,12がメガネ本体10に対し各々内側に所定角度で屈曲して延設され、ヨロイ11,12の先端側にテンプル22,23が各々蝶着されてなるメガネ1Aにおいて、そのヨロイ11,12には永久磁石50a,50bを備えており、ヨロイ11,12の外側面が磁性体又は永久磁石を有した固定対象の表面に磁気吸着することで、メガネ本体10が固定対象の表面に対し所定角度屈曲した角度で起立した状態にて固定される、ことを特徴とするものとした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のレンズを保持しているメガネ本体の左右両端側から、一対のヨロイが前記メガネ本体に対し各々内側に所定角度で屈曲して延設され、前記ヨロイの先端側にテンプルが各々蝶着されてなるメガネにおいて、前記一対のヨロイのうち少なくとも一方に永久磁石を備えており、前記ヨロイの外側面が磁性体又は永久磁石を有した固定対象の表面に磁気吸着することで、前記メガネ本体が前記固定対象の表面に対し前記屈曲した角度で起立した状態にて固定される、ことを特徴とするメガネ。
【請求項2】
前記一対のテンプルは、内側に畳んだ状態でその先端側が前記ヨロイの外側面よりも内側に位置する長さとされている、ことを特徴とする請求項1に記載したメガネ。
【請求項3】
前記永久磁石を設けたヨロイは、ヨロイ本体に埋め込まれた前記永久磁石の表面側が、磁力線透過素材によるカバー部品で覆われていることで平坦な外側面を有している、ことを特徴とする請求項1又は2に記載したメガネ。
【請求項4】
前記カバー部品は、透明又は半透明の素材からなり、外部から前記永久磁石の存在を視認可能とされている、ことを特徴とする請求項3に記載したメガネ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメガネに関し、殊に、使用しない時に起立した状態を維持できるメガネに関する。
【背景技術】
【0002】
メガネを使用しない状況においては、左右のテンプルを畳んでコンパクトな状態にしてから、いずれかの場所に置いたり収納したりするのが通常であるが、メガネの置き場所や収納場所が複数あったり一定していなかったりすると、次にメガネが必要となった際に、すぐに見つからずに困ってしまう場合も多い。
【0003】
また、顔から外したメガネは、レンズが汚れたり傷ついたりしないように左右のテンプルを畳んでレンズ表面が斜め上向きになるようにして置くのが一般的であるところ、左右のテンプルを畳んでメガネをコンパクトな状態にすると、レンズ側が重い関係で下向きに回転しやすいため、レンズに傷や汚れが付いてしまうこともある。
【0004】
さらに、多数のメガネを所有する人にあっては、折り畳んでコンパクトな状態にしたメガネを、専用のケースや引き出しにまとめて収納しておく場合も多いが、上述したようにメガネの位置や向きが安定しにくいため、使用するメガネを選んで取り出す際に、メガネ同士が当たって傷が付いたり指がレンズに触れて皮脂で汚れたりするという問題もある。
【0005】
このような問題に対し、特開2006−323324号公報には、メガネ本体のブリッジにU字状のバネブリッジを開閉可能な状態で蝶着し、メガネの使用時にはバネブリッジがレンズと面一に畳んだ状態となり、不使用時にはバネブリッジが自転車のスタンドのように前方に開いて、レンズ表面が斜め下向きの状態に起立した状態を維持するものが提案されており、メガネを安定した起立状態で置くことを可能としながら、メガネを持ち上げる際には指がレンズに触れにくくして、レンズに傷や汚れが付きにくいものとしている。
【0006】
しかしながら、上述のようにメガネを起立した状態に維持させるバネブリッジを設けると、メガネの使用時に最も目立つ位置に比較的大きな部品が存在することになるため、その美観を大きく損なう結果となってしまう。また、メガネをコンパクトな状態にして支持可能であるとしても、様々な場所に置いたり収納したりしてしまう点については通常のメガネと同様であり、メガネの存在が認識しにくいために探してしまうという問題は解消されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−323324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、メガネについて、その不使用時に傷や汚れが付きにくい状態を維持しながら、その存在を認識しやすくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、左右のレンズを保持しているメガネ本体の左右両端側から一対のヨロイがメガネ本体に対し各々内側に所定角度で屈曲して延設され、そのヨロイの先端側にテンプルが各々蝶着されてなるメガネにおいて、前記一対のヨロイのうち少なくとも一方に永久磁石を備えており、そのヨロイの外側面が磁性体又は永久磁石を有した固定対象の表面に磁気吸着することで、前記メガネ本体が前記固定対象の表面に対し前記屈曲した角度で起立した状態にて固定される、ことを特徴とするものとした。
【0010】
このように、内側に屈曲したメガネのヨロイ部分に永久磁石を設けたものとして、そのヨロイの外側面を磁性体や永久磁石を有した固定対象の表面に対し、メガネ本体を磁気吸着により起立状態で固定可能なものとなり、その起立した状態によりメガネの存在が認識しやすくなることに加え、レンズが固定対象に触れない状態が維持されるため傷が付きにくくなるとともに、レンズに指を触れずにメガネを着脱しやすいものとなる。
【0011】
また、この場合、その一対のテンプルは、内側に畳んだ状態でその先端側がヨロイの外側面よりも内側に位置する長さとされている、ことを特徴としたものとすれば、内側に屈曲したヨロイの長さ分だけテンプルの長さを短くできることから、テンプルを畳んだ状態でその先端がヨロイの外側面から外側に突出しない長さにすることで、メガネを起立させる際にテンプルの先端側が邪魔にならない状態を確保できるものとなる。
【0012】
さらに、上述したメガネにおいて、その永久磁石を設けたヨロイは、ヨロイ本体に埋め込まれた永久磁石の表面側が、磁力線透過素材によるカバー部品で覆われていることで平坦な外側面を有している、ことを特徴としたものとすれば、平坦な外側面により起立状態が安定しやすいことに加え、硬い素材からなる永久磁石で固定対象や他の物品を傷つけることを回避可能なものとなる。
【0013】
この場合、そのカバー部品は透明又は半透明の素材からなり、外部から永久磁石の存在を視認可能とされている、ことを特徴としたものとすれば、永久磁石が目視できることで、起立機能を備えたメガネであること及び固定対象への吸着部分の位置が容易に認識できるものとなる。
【発明の効果】
【0014】
内側に屈曲したヨロイに永久磁石を設けた本発明によると、テンプルを折り畳んだメガネを磁性体や永久磁石を有した固定対象の表面に対し容易に起立状態で固定できることから、その不使用時に傷や汚れが付きにくい状態を維持しながら、その存在を認識しやすいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明における実施の形態のメガネの平面図である。
【
図2】
図1のメガネを固定対象であるメガネステーションの表面に起立状態で固定した場合の正面図である。
【
図3】
図1のメガネにおけるヨロイの詳細な構成を示す拡大した斜視部分図であって、(A)はカバー部材を設けた状態、(B)はカバー部材と永久磁石を外した分解状態である。
【
図4】(A)は
図2のメガネステーションの斜視図、(B)は(A)のメガネステーションを上下逆向きにして分解した状態の斜視図である。
【
図5】
図1のメガネを多数並べて固定する場合の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。尚、本発明において、メガネ本体とは、左右のレンズ、そのレンズを保持する左右のリム、その左右のリムを連結するブリッジが一体になったものを指すが、リムのないタイプのメガネにおいては、左右のレンズとこれらを連結するブリッジが一体になったものを指す。
【0017】
図1は、本実施の形態のメガネ1Aを示している。このメガネ1Aは、ブリッジで連結された左右のリムで左右のレンズを保持してなるメガネ本体10の左右両端側から、一対のヨロイ11,12が、メガネ本体10の表面側に対し各々内側に約80度屈曲して延設されているとともに、ヨロイ11,12の先端側に樹脂製のテンプル22,23が各々開閉可能な状態で蝶着されてなるものである。
【0018】
そして、このメガネ1Aにおいては、ヨロイ11,12の内部に永久磁石50a,50bを各々備えており、テンプル22,23を内側に畳んだ状態で、そのヨロイ11,12の外側面を、磁性体又は永久磁石を有した固定対象の表面に磁気吸着させることで、その固定対象の表面に対し前述の屈曲角度にてメガネ本体10を含むメガネ1A全体が起立した状態で着脱自在に固定されるようになっており、この点が本発明における最大の特徴部分となっている。
【0019】
図1のヨロイ11の部分を拡大した円中の詳細部分を参照して、このヨロイ11は、メガネ本体10の一部を構成しているリムの端縁側からメガネ本体10の表面に対し内側方向に約80度の角度で屈曲した状態で延設されたものであるが、その内部に永久磁石50aが埋め込まれており、その永久磁石50aの表面側が磁力線を透過可能な素材によるカバー部品111で覆われて、平坦な外側面を有したものとなっている。
【0020】
そして、例えば
図2に示すように、上面中央部分の内側に永久磁石71を内蔵してなるメガネステーション7の上面に、永久磁石50aを内蔵したヨロイ12の外側面を密着させるようにメガネ1Aを上から配置することで、ヨロイ12がメガネステーション7上面に磁気吸着して、その上面に対し約80度の角度で起立した状態にて固定することができる。
【0021】
したがって、本実施の形態のメガネ1Aは、自宅や仕事先において、前述のメガネステーション7のような固定対象を所定の位置に配置しておけば、メガネ1Aを外す度に、配置した固定対象に対し起立状態で固定しておくことが可能になることから、メガネ1Aを置く位置が変動せずに定まることに加え、その起立した状態によりメガネ1Aの存在が認識しやすくなるため、メガネ1Aをどこに置いたかを探し回る必要のないものとなる。
【0022】
また、
図2に示したように、メガネ1Aが起立した状態を維持できることから、そのレンズがメガネステーション7等や周囲の物に触れにくい状態となってレンズに傷が付きにくいものとなり、且つ、レンズに触れずにメガネ1Aの着脱操作を行えるため、レンズに皮脂等の汚れが付くのを最小限に抑えることを可能としている。
【0023】
図3は、
図1のメガネ1Aにおけるヨロイ12の詳細な構成を示している。図(A)に示すように、ヨロイ12の外側面には円盤状の永久磁石50bが内蔵されており、その表面側が樹脂製のカバー部品121で覆われたことで平坦な外側面が形成されている。これにより、硬い素材からなる永久磁石50bで固定対象や他の物品の表面を傷つけてしまうことを回避可能としている。
【0024】
また、このヨロイ12は、
図3(B)の分解図に示すように、外側面に形成した方形状の凹部120の底面側に嵌め込み穴122が形成され、その嵌め込み穴122に永久磁石50bを嵌め込み、磁力線を透過可能な樹脂素材を凹部120と同じ形状に形成してなるカバー部品121を嵌め込んで固定することで、永久磁石50bの表面側を覆う構成となっている。
【0025】
尚、上述したヨロイ11,12において、そのカバー部品11,121を透明又は半透明の素材からなるものとして外部から永久磁石50a,50bの存在を視認できるものとすれば、永久磁石50a,50bが目視できることで起立機能を備えたメガネであること、及び固定対象への吸着部分の位置が容易に認識できるようになる。
【0026】
図4は、
図2における固定対象であるメガネステーション7の詳細な構成を示しており、図(A)はその斜視図、図(B)は上下反転した状態の分解斜視図である。このメガネステーション7は、磁力線を透過可能な樹脂素材を円柱状に形成してなるものであって、その上面中央部の内側には永久磁石71が内蔵されており、この永久磁石71と上述したメガネ1Aの永久磁石50a又は永久磁石50bが磁気吸引し合うことで、メガネステーション7の上面にメガネ1Aが磁気吸着するようになっている。
【0027】
このメガネステーション7は、
図4(B)の分解斜視図に示すように、ステーション本体70とその底面側を塞いだ底板74により形成された内側空間において、錘73を内蔵したケース730の上に永久磁石71を内蔵したケース710が載っており、その永久磁石71がケース本体70の上面を構成する部分の内側面に近接して支持されている。
【0028】
このように、メガネステーション7は、内部の底面側に重量のある錘73を内蔵していることから、
図2のようにメガネ1Aを起立させた状態において多少の振動を加えても転倒しにくく安定性に優れているに加え、メガネステーション7を手で押さえて支持する必要もなく、片手でメガネ1Aを取り外すことができる。
【0029】
また、このメガネステーション7は、コンパクトで邪魔になりにくい態様であることから、自宅やオフィスの様々な場所に配置しておきやすいものとなっているが、メガネ1Aの全体フォルムを見やすい状態で支持するとともに、それ自体もデザイン性に優れていることから、メガネの販売点における商品ディスプレイ用としても適している。
【0030】
図5は、本発明によるメガネ1Aを多数並べて固定する場合の一例を示している。この例では、メガネ販売点の商品ディスプレイを想定したものであるが、磁性体素材からなるスチール製の陳列台100の上面に、一方のヨロイ側を磁気吸着させて起立状態で固定した複数個のメガネ1Aを並べて陳列しており、狭い陳列スペースであっても、多数のメガネ1Aが各々全体のフォルムを見やすい状態を確保されている。
【0031】
また、図示したように、陳列台100の一部から立設した磁性体素材からなるスチール製の柱200の側面にも、多数のメガネ1Aが磁気吸着により水平の状態に支持されていることから、さらに個々のメガネ1Aを見やすい状態を確保しながらバラエティに富んだ陳列状態を実現している。
【0032】
さらに、陳列された各メガネ1Aは、顧客がそれを手に取って見る際に、レンズに触れることなく容易に取り外すことができ、メガネ1Aを手に取って見終わったら、元の位置・状態に容易に戻すことができる。そして、メガネ1Aのヨロイ11,12に設けた永久磁石50a,50bの表面側は、樹脂製のカバー部品111,121で覆われていることから、顧客によるメガネ1Aの着脱動作で陳列台100や柱200の表面を傷つける心配がないものである。
【0033】
尚、本発明による起立機能を備えたメガネは、上述したメガネステーションや店舗の陳列台のほか、磁性体を有して磁気吸着可能な表面を備えたものであれば、どのようなものであっても、その表面に対し起立状態で固定できることは言うまでもなく、例えば鋼板で構成されている冷蔵庫等の家電類、スチール製の家具や壁等、様々なものに固定することができる。
【0034】
以上、述べたように、メガネについて、本発明により、その不使用時に傷や汚れが付きにくい状態を維持しながら、その存在を認識しやすいものとなった。
【符号の説明】
【0035】
1A メガネ、10 メガネ本体、11,12 ヨロイ、22,23 テンプル、50a,50b,71 永久磁石、111,121 カバー部品