【解決手段】実施形態に係る表示装置は、発光パネルと、カバーパネルと、冷却部とを備える。カバーパネルは、発光パネルの発光面を覆う。冷却部は、カバーパネルと発光パネルとの空間に配置され、発光パネルを冷却するとともに、空間の外周を囲うフレーム部と、空間の外から空間内に供給され、空間から空間の外へ排出される冷却剤とを有する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明にかかる表示装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<第1の実施形態>
まず、
図1A〜
図1Cを用いて、第1の実施形態に係る表示装置について説明する。
図1Aは、第1の実施形態に係る表示装置の分解斜視図である。
図1Bは、第1の実施形態に係る冷却剤の経路の模式図である。
図1Cは、第1の実施形態に係る冷却部の模式図である。なお、以下では、実施形態に係る表示装置が車両のインストルメントパネルに設置されるタッチパネルディスプレイである場合について説明する。
【0011】
図1Aに示すように、表示装置1は、発光パネル10と、冷却部20と、カバーパネル30とを備える。発光パネル10は、図示しないOLED(Organic Light Emitting Diode)や、カラーフィルタなどを備えたいわゆるOLEDパネルである。なお、発光パネル10は、LCD(Liquid Crystal Display)や、プラズマ方式のものであってもよい。
【0012】
冷却部20は、発光パネル10と、カバーパネル30との空間に設けられ、冷却剤21が循環する層である。冷却剤21は、充填剤であり、発光パネル10からカバーパネル30までの屈折率の変化を緩和する役割を担う。なお、一般的に、充填剤として、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)、OCR(Optical Clear Resin)などといった透明性の樹脂が用いられる。
【0013】
カバーパネル30は、例えば、発光パネル10の主面を覆う透明のガラス板である。なお、カバーパネル30は、透明樹脂などで形成されたものであってもよい。実施形態に係る表示装置1は、タッチパネルディスプレイであることからカバーパネル30は、ユーザの表示装置1に対するタッチ操作を受け付ける操作受付部としても機能する。なお、表示装置1にボタンなどを別途設けることとし、かかるボタンを操作受付部とすることにしてもよい。
【0014】
このような表示装置においては、発光パネルによる発熱が問題となる。例えば、発光パネルの温度が上昇した状態で発光素子を発光させると、発光素子の寿命の低下を招くおそれがある。また、発光パネルの発熱がカバーパネルに伝搬すると、カバーパネルの温度が上昇するおそれもある。
【0015】
このため、従来、発光パネルの発熱を取り除くために、発光パネルの周囲に冷却液を循環させるものがある。しかしながら、この場合においては、冷却液および冷却液を循環させる循環機構を別途設ける必要があるので、表示装置の小型化を図るうえで足かせとなる。
【0016】
そこで、実施形態に係る表示装置1は、発光パネル10と、カバーパネル30との間に設けられるボンディング層に着目し、ボンディング層に発光パネル10の冷却機能を付与することとした。つまり、実施形態に係る表示装置1では、表示装置1において必須構成であるボンディング層にさらに冷却機能を付与することで、表示装置1の大型化を抑制しつつ、発光パネル10の発熱を取り除くことができる。なお、一般的に、ボンディング層は、発光パネルと、カバーパネルとの隙間を埋める充填剤や、発光パネルと、カバーパネルとを接着する接着剤等により構成される。
【0017】
具体的には、
図1Aに示すように、冷却部20は、冷却器26と、ポンプ27と備えるとともに、カバーパネル30と発光パネル10との空間の外周を囲うフレーム部25を備える。なお、冷却器26およびポンプ27は、熱交換部に対応する。冷却器26は、例えば、コイル状の筒であり、その外部にラジエータ(不図示)などの冷却機構が設置され、冷却器26の内部を通過する冷却剤21を冷却する。
【0018】
図1Bに示すように、冷却部20には、液状の冷却剤21が充填されており、冷却剤21が冷却器26により冷却されたのちに、ポンプ27により冷却部20内部へ圧送される。これにより、冷却器26により冷却された冷却剤21が冷却部20内部を循環することになる。
【0019】
ここで、冷却剤21は、屈折率が1.5程度の透明の液体であることが好ましい。これにより、カバーパネル30から表示装置1内部へ入射した外来光によるカバーパネル30と冷却部20との境界での反射を抑止することができる。言い換えれば、冷却剤21の屈折率をカバーパネル30と同等にすることで、外来光による表示装置1の視認性の低下を抑制することができる。
【0020】
このように、実施形態に係る表示装置1では、発光パネル10の冷却に際し、充填剤に着目し、充填剤に発光パネル10の冷却機能を付与することとした。これにより、実施形態に係る表示装置1では、表示装置1の大型化を抑制しつつ、発熱を取り除くことができる。
【0021】
また、実施形態に係る表示装置1では、発光パネル10の主面、言い換えれば、発光パネル10の発熱部位に当接する冷却部20によって発光パネル10の発熱を取り除く。これにより、実施形態に係る表示装置1では、発光パネル10の発熱を効率よく取り除くことができる。
【0022】
このような冷却部20は、例えば、
図1Cに示すように、フレーム部25によって構成することが可能である。なお、
図1Cは、
図1Bに示すA−A線に沿った断面図に対応する。
【0023】
図1Cに示すように、フレーム部25は、発光パネル10と、カバーパネル30との空間の外周を囲うフレームである。フレーム部25によって、発光パネル10と、カバーパネル30との空間が密閉され、密閉された空間の内部を冷却剤21が循環することとなる。
【0024】
つまり、この場合には、カバーパネル30と、発光パネル10との空間全域にわたって、冷却剤21が循環するため、発光パネル10全体を均一に冷却することができる。
【0025】
<第2の実施形態>
ところで、第1の実施形態に係る冷却部20では、冷却部20内部で冷却剤21の一部が滞留するなど、発光パネル10全体が均等に冷却されないおそれもある。
【0026】
このため、第2の実施形態に係る表示装置1は、冷却部20に冷却剤21の流路を形成するガイド部を設けることとした。なお、第2の実施形態に係る表示装置1は、冷却部20の構造のみが第1の実施形態に係る表示装置1と異なる。
【0027】
図2Aは、第2の実施形態に係る冷却部20Aの模式図である。
図2Aに示すように、冷却部20Aは、冷却剤21の流れを規定するガイド部22を備える。
図2Aに示す例では、冷却部20Aの全域にわたって、ガイド部22によってサーベンタイン状に冷却剤21の流路が形成される場合を示す。
【0028】
詳しくは、
図2Aに示すように、流路は、直線部と隣接する直線部を繋ぐ折り返し部によって形成される。このように、冷却剤21の流れをガイド部22によって規制することで、冷却剤21の循環効率の向上を図ることができる。
【0029】
したがって、第2の実施形態に係る表示装置1においては、発光パネル10全体を効率よく冷却することができる。また、この際、ガイド部22は、冷却剤21と略同一の光学特性を有する樹脂により形成することが好ましい。
【0030】
より詳しくは、ガイド部22については、透明の樹脂であり、冷却剤21と同程度の屈折率を有する樹脂(例えば、OCR)であることが好ましい。これにより、カバーパネル30側から見て冷却剤21とガイド部22とが分離して見えることを抑制することができる。言い換えれば、表示装置1に表示される映像の視認性の低下を抑えることができる。
【0031】
また、ガイド部22によって形成される冷却剤21の流路は、口径が略一定であることが好ましい。これにより、流路内部において、冷却剤21の流れを一定に保つことができるので、冷却剤21の滞留を抑制することができ、冷却剤21の循環効率を向上させることができる。
【0032】
ところで、
図2Aに示す例では、冷却器26によって冷却された冷却剤21が一方向に流れることになる。このため、発光パネル10の発熱が十分に大きい場合には、冷却部20A内の流路を通過中に冷却剤21が温まり、冷却部20Aにおける冷却剤21の流路のはじめと終わりとで冷却効率が変化することも想定される。
【0033】
このため、例えば、ポンプ27による冷却剤21の圧送方向を所定周期で反転させることにしてもよい。また、
図2Aの例では、1系統の流路を設ける場合について示したが、これに限定されるものではなく、複数系統の流路を設けることにしてもよい。
【0034】
すなわち、発光パネル10を複数の流路で分担して冷却することにしてもよい。なお、この場合には、複数の流路それぞれに対して、冷却器26とポンプ27とを設けることにしてもよいし、あるいは、冷却器26とポンプ27とを複数の流路で共有することにしてもよい。
【0035】
ところで、このようなガイド部22は、
図2Bや
図2Cに示す製造手法により製造することができる。
図2Bおよび
図2Cは、第2の実施形態に係る冷却部20Aの製造手法を示す図である。
【0036】
図2Bに示す例では、流路の形状をプリントした遮光フィルムを表面に樹脂Aが塗布された発光パネル10に張り付けたのちに、遮光フィルム側からUV照射器によりUVを照射する。
【0037】
これにより、流路を残して、樹脂Aが硬化し、硬化しなかった未硬化分の樹脂Aを洗浄により洗い流すことにより、流路を形成することができる。また、
図2Cに示す例では、例えば、樹脂Aが入ったディスペンサーをガイド部22に沿って発光パネル10の表面に塗布していく。
【0038】
その後、樹脂Aが塗布された発光パネル10に対して、樹脂A側からカバーパネル30を張り合わせることで、樹脂Aの未塗布部分に流路が形成されることになる。その他、例えば、予め流路を成形した樹脂を発光パネル10と、カバーパネル30との間に貼り合わせることによっても、冷却部20に流路を形成することができる。
【0039】
<第3の実施形態>
次に、
図3を用いて、第3の実施形態に係る表示装置1について説明する。
図3は、第3の実施形態に係る冷却部20Bの模式図である。
図3に示す例において、冷却部20Bは、冷却部20Bの外周に沿って冷却剤21の流路が形成される。
【0040】
より詳細には、カバーパネル30の縁などによって隠れる位置に冷却剤21の流路が形成される。また、ガイド部22は、冷却部20Bの周縁部に沿って形成された流路の内側空間に充填される。すなわち、
図3の例では、ガイド部22は、冷却部20Bの周縁部に沿って形成された流路を除いた領域に充填される。したがって、この場合には、冷却剤21は、カバーパネル30等によって隠れるので、冷却剤21に対して求められる光学特性の制約を緩和することができる。
【0041】
すなわち、この場合には、冷却剤21は、透明でなくてもよく、また、屈折率についても考慮しなくてよい。したがって、この場合には、例えば、熱伝導率などに特化した液体を用いることが可能となる。
【0042】
<第4の実施形態>
次に、
図4を用いて、第4の実施形態に係る表示装置1について説明する。
図4は、第4の実施形態に係る冷却部20Cの模式図である。上述した第2および第3の実施形態では、流路が略一定の口径である場合について説明した。
【0043】
これに対して、
図4に示すように、第4の実施形態に係る冷却部20Cでは、円柱状のガイド部22が千鳥配置状に設けられる場合を示す。この場合、ガイド部22を避けて冷却剤21が流れることになり、ガイド部22によって冷却剤21の流れを分散させることができる。
【0044】
なお、
図4に示すガイド部22の形状や配置は一例であり、例えば、流体工学に基づいて、冷却部20内を冷却部20が均等に流れるように、適宜、変更することにしてもよい。
【0045】
上述したように、実施形態に係る表示装置1は、発光パネル10と、カバーパネル30と、冷却部20とを備える。カバーパネル30は、発光パネルの発光面を覆う。冷却部20は、カバーパネル30と発光パネル10との空間に配置され、発光パネル10を冷却するとともに、空間の外周を囲うフレーム部25と、空間の外から空間内に供給され、前記空間から空間の外へ排出される冷却剤21とを有する。したがって、実施形態に係る表示装置1によれば、表示装置1の大型化を抑制しつつ、発熱を取り除くことができる。
【0046】
ところで、上述した実施形態では、カバーパネル30側から冷却部20によって発光パネル10を冷却する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、発光パネル10の裏面側に冷却部20を配置し、裏面側から発光パネル10を冷却することにしてもよい。
【0047】
また、上述した実施形態では、冷却部20によって発光パネル10を冷却する表示装置1について説明したが、冷却部20を例えば、照明装置などに適用することにしてもよい。
【0048】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。