特開2021-124770(P2021-124770A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社牧野フライス製作所の特許一覧

<>
  • 特開2021124770-工作機械および消耗品管理システム 図000003
  • 特開2021124770-工作機械および消耗品管理システム 図000004
  • 特開2021124770-工作機械および消耗品管理システム 図000005
  • 特開2021124770-工作機械および消耗品管理システム 図000006
  • 特開2021124770-工作機械および消耗品管理システム 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-124770(P2021-124770A)
(43)【公開日】2021年8月30日
(54)【発明の名称】工作機械および消耗品管理システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20210802BHJP
【FI】
   G05B19/418 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-15570(P2020-15570)
(22)【出願日】2020年1月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000154990
【氏名又は名称】株式会社牧野フライス製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】矢田 賢一
【テーマコード(参考)】
3C100
【Fターム(参考)】
3C100AA56
3C100AA63
3C100BB13
3C100BB15
3C100CC03
(57)【要約】
【課題】工作機械の故障を防止しながら、工作機械で用いる消耗品の在庫を適正化すること。
【解決手段】工作機械に使用されている消耗品の管理を行う消耗品の管理装置10、20、30が、消耗品ごとの消費期限を記憶する記憶部18、28、34と、現在の日時または日付と、記憶部に記憶された消費期限に基づいて、各消耗品の交換タイミングを演算する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の動作を制御すると共に、該工作機械に使用されている消耗品の管理を行う制御装置を有した工作機械において、
前記消耗品ごとの消費期限を記憶する記憶部と、
現在の日時または日付と、前記記憶部に記憶された消費期限に基づいて、各消耗品の交換タイミングを演算する処理部と、
を具備することを特徴とした工作機械。
【請求項2】
前記処理部は、消耗品毎に累積稼働時間を演算し、該累積稼働時間と消耗品の使用可能時間との差分が所定の閾値よりも小さくなったときに、該消耗品の供給者に該消耗品を発注する請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記記憶部は、更に、消耗品を発注してから納品されるまでの時間であるリードタイムを消耗品ごとに記憶しており、
前記処理部は、現在の日時または日付と、前記消費期限から前記リードタイムを減じた日時または日付とを比較して、両者の差分が所定の閾値よりも小さくなったときに、該消耗品の供給者に該消耗品を発注する請求項1に記載の工作機械。
【請求項4】
複数の工作機械とネットワークを介して接続され、該工作機械に使用されている消耗品の管理を行う消耗品の管理システムにおいて、
前記複数の工作機械の各々を制御すると共に、該工作機械の消耗品毎に消費期限を記憶する記憶部を有した制御装置と、
現在の日時または日付と、前記記憶部に記憶された消費期限に基づいて、各消耗品の交換タイミングを演算する管理装置と、
を具備することを特徴とした消耗品の管理システム。
【請求項5】
前記管理装置は、前記複数の工作機械の各々の消耗品毎に累積稼働時間を前記制御装置から取得し、該累積稼働時間と消耗品の使用可能時間との差分が所定の閾値よりも小さくなったときに、該消耗品の在庫を確認する請求項4に記載の消耗品の管理システム。
【請求項6】
前記管理装置は、更に、消耗品を前記工作機械を保有するユーザに納品されるまでの時間であるリードタイムを消耗品ごとに記憶しており、
前記管理装置は、現在の日時または日付と、前記消費期限から前記リードタイムを減じた日時または日付とを比較して、両者の差分が所定の閾値よりも小さくなったときに、該消耗品を前記工作機械のユーザへ向けて発送する請求項4に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械で使用する消耗品をサービス会社に自動的に発注する工作機械および消耗品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
マシニングセンタや旋盤、放電加工、レーザ加工機のような工作機械には、ユーザへ引き渡した後に定期的に交換すべき消耗品または交換部品(本明細書では、単に消耗品と記載する)がある。消耗品を交換するために、ユーザは工作機械の設置されている工場内または倉庫に一定数または一定量の消耗品を保管していることがある。この場合、消耗品の在庫が無くなると工作機械のメンテナンスや修理、消耗品の供給等のサービスを提供するサービス会社に消耗品を発注する。
【0003】
消耗品をユーザが保管する場合には、消耗品の保管に適した保管場所を確保し、該保管場所、保管数または量と消耗品とを関連づけて記録しておかなければならない。そのために、消耗品の在庫を持たずに、交換の都度サービス会社へ消耗品を発注するユーザもいる。然しながら、消耗品をサービス会社へ適切に発注するためには、ユーザーが消耗品の交換時期と在庫を常に確認しておかなければならないことから、消耗品の発注業務は、非常に手間の掛かる業務となっている。こうした問題を解決するために、特許文献1には、工作機械を保守用コンピュータに接続して、工作機械の稼働時間に基づいて保守点検を行えるようにした機械保守管理システム及び機械保守管理方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−244707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発明では、工作機械の稼働時間に基づいて、部品情報データベースを参照して全部品・ユニットから点検・交換を要する部品のリストを作成し、点検・交換を要する部品・ユニットの保守文書を作成し、保守文書をインターネットを介して保守点検すべき工作機械へ転送するようになっている。然しながら、消耗品の発注は、工作機械の表示装置に表示される発注画面に従ってオペレータが行うようになっている。そのために、例えば、オペレータは消耗品の在庫があると考えていて、サービス会社へ発注をしなかったが、いざ消耗品の交換作業(保守作業)を行う段になって、保管されている消耗品の消費期限を徒過していることが明らかとなるような場合に、消耗品の交換作業ができなくなる問題がある。
【0006】
更に、特許文献1の発明では、発注から消耗品がユーザの手元に到着するまでに要する時間であるリードタイムを考慮していないので、発注した消耗品が、交換作業するときまでに、ユーザに届けられない可能性がある。こうしたことから、特許文献1の発明では、ユーザは、必要以上に多くの消耗品の在庫を保管しなければならなくなる。
【0007】
本発明は、こうした従来技術の問題を解決することを目的としており、簡単な方法で消耗品の在庫を低減することができる工作機械および消耗品の管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、工作機械の動作を制御すると共に、該工作機械に使用されている消耗品の管理を行う制御装置を有した工作機械において、前記消耗品ごとの消費期限を記憶する記憶部と、現在の日時または日付と、前記記憶部に記憶された消費期限に基づいて、各消耗品の交換タイミングを演算する処理部とを具備する工作機械が提供される。
【0009】
更に、本発明によれば、複数の工作機械とネットワークを介して接続され、該工作機械に使用されている消耗品の管理を行う消耗品の管理システムにおいて、前記複数の工作機械の各々を制御すると共に、該工作機械の消耗品毎に消費期限を記憶する記憶部を有した制御装置と、現在の日時または日付と、前記記憶部に記憶された消費期限に基づいて、各消耗品の交換タイミングを演算する管理装置とを具備する消耗品の管理システムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、現在の日時または日付と消費期限とに基づいて、各消耗品の交換タイミングを演算するようにしたので、消耗品を適切なタイミングで発注することが可能となり、工作機械の故障を防止しながら、保管すべき消耗品の在庫を低減可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の好ましい実施形態による消耗品管理システムの概略ブロック図である。
図2】本発明の好ましい実施形態による消耗品管理方法を示すフローチャートである。
図3】本発明の好ましい実施形態による消耗品管理方法を示すフローチャートである。
図4】工作機械の制御装置の表示部に表示される管理画面の一例を示す図である。
図5】工作機械の制御装置の表示部に表示される部品情報データベースの内容の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
本実施形態にする保守管理システム100は、複数の工作機械、本実施形態では、2つの工作機械10、20と、ネットワーク、例えばインターネット40を介して接続されたサービス会社の管理装置30を含んでいる。
【0013】
本実施形態では、工作機械10、20は、異なるユーザ1、2が保有する工作機械であるが、同一のユーザが保有する工作機械であってもよい。工作機械は、例えば、回転工具とワークとを相対移動させて該ワークを加工するマシニングセンタ、回転するワークと工具とを相対移動させて該ワークを加工する旋盤、電極とワークとの間に加工電圧を印加しつつ、電極とワークとを相対移動させて該ワークを加工する放電加工機、或いは、レーザヘッドからワークに対してレーザ光を照射しつつ、レーザヘッドとワークとを相対移動させて該ワークを加工するレーザ加工機とすることができる。
【0014】
工作機械10、20は制御装置12、22を備えている。制御装置12、22は、表示部14、24、処理部16、26および記憶部18、28を含む。制御装置12、22の表示部14、24は、工作機械10、20の操作盤(図示せず)に取り付けられているディスプレイ装置(図示せず)により形成することができる。記憶部18、28は部品情報データベースを含む。
【0015】
制御装置12、22は、CPU(中央演算素子)、RAM(ランダムアクセスメモリ)やROM(リードオンリーメモリ)のようなメモリ装置、HDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)のような記憶デバイス、出入力ポート、および、これらを相互接続する双方向バスを含むコンピュータおよび関連するソフトウェアから構成することができる。制御装置12、22は、更に、時計機能を実装した集積回路より成るRTC(Real-Time-Clock、図示せず)を含むことができる。
【0016】
制御装置12、22は、工作機械10、20の機械制御装置の一部としてソフトウェア的に構成することができる。機械制御装置は、工作機械10、20がマシニングセンタの場合には、工具マガジン(図示せず)や自動工具交換装置(図示せず)のような周辺機器を制御し、旋盤の場合には、ワーク(棒材)供給装置のような周辺機器を制御し、放電加工機の場合には、電極マガジン(図示せず)や電極交換装置(図示せず)のような周辺機器を制御し、レーザ加工機の場合には、レーザ加工機に供給する純粋を生成する純水装置(図示せず)や高圧ポンプ(図示せず)のような周辺機器を制御する。
【0017】
記憶部18、28の部品情報データベースには、工作機械10、20の消耗品に関連した情報が格納されている。消耗品の一例としてグリスの管理画面を示す図4には、部品情報データベースに格納される部品情報の一例が示されている。部品情報は、消耗品のソフトウェア上の名称である交換部品ID、交換部品ユニットまたは交換部品カテゴリ、部品メーカが付与する型式番号である部品モデル(Model)、点検開始日、使用時間、使用可能時間、使用可能時間に対する使用時間の比率である使用率、消耗品の交換予定日である次回交換日、交換部品番号、消費期限、リードタイム1、リードタイム2を含む。
【0018】
サービス会社の管理装置30は、工作機械10、20の制御装置12、22と同様に、処理部および表示部を有し、CPU、RAMやROMのようなメモリ装置、HDDやSSDのような記憶デバイス、出入力ポート、および、これらを相互接続する双方向バスを含むコンピュータおよび関連するソフトウェアから構成することができる。管理装置30は、工作機械10、20の制御装置12、22の記憶部18、28の部品情報データベースと同様の部品情報データベース34、自社の部品倉庫36の管理装置(図示せず)、部品メーカの管理装置(図示せず)にLANのようなネットワークを介して接続されている。
【0019】
以下、本発明の保守管理システム100の作用を説明する。
先ず、図2を参照して、ユーザが保有する工作機械10、20の制御装置12、22による、消耗品の管理方法について説明する。
【0020】
制御装置12、22において、消耗品の管理方法が開始されると、工作機械10、20の処理部16、26は、先ず、記憶部18、28の部品情報データベースにアクセスして、消耗品の消費期限に関する情報を取得する(ステップS10)。消費期限は、消耗品がユーザに納品されたときに、記憶部18、28にオペレータによって入力するようにできる。図5には、表示部14、24に表示される各消耗品の消費期限画面が示されている。消費期限は、例えば、部品ID、部品名、形式(Model)、前回の交換日時、在庫の有無、リードタイムR、現在の状況(使用率)といった項目と共に表示するようにできる。
【0021】
ユーザの工場等に消耗品の在庫があっても、当該消耗品に消費期限があるものは使用できない場合がある。例えば、マシニングセンタで用いるエア配管用のフィルタには消費期限は無く、切削油は未開封であれば、消費期限がない、つまり、適正に保管されている限り何時までも使用することができる。これに対して、グリスは、未開封品でも2年、開封後は1年で、軸移動周辺のゴム製ワイパーは1年で劣化により使用できなくなる。このように、各消耗品につき、消費期限が工作機械10、20の製造者或いは消耗品のメーカによって予め決定され、記憶部18、28の部品情報データベースに格納されている。
【0022】
次いで、工作機械10、20の1日の平均稼働時間が演算される(ステップS12)。処理部16、26は、工作機械10、20の電源のOn−Offを監視しており、電源がOnされた時刻からOffされた時刻までの時間を工作機械10、20の稼働時間として積算し、これを記憶部18、28に記憶させる。これを工作機械10、20の稼働日数で除することによって、工作機械10、20の1日の平均稼働時間が演算される。
【0023】
次に、処理部16、26は、各消耗品の交換予定日を演算する(ステップS14)。消耗品にはそれぞれ使用可能な時間が予め決められており、使用可能時間として記憶部18、28の部品情報データベースに格納されている。前回消耗品を交換した際にオペレーターが入力した交換日時を起点として、一日の平均稼働時間に基づいて、現在日時または日付まで当該消耗品が使用された或いは稼働した累積稼働時間が演算され、該累積稼働時間と使用可能時間との差分に基づいて、消耗品を交換すべき日(年月日)を予測することができる。
【0024】
次に、ステップS16で発注リードタイムが演算される。リードタイムは、消耗品を発注してから納品されるまでの時間であり、本実施形態では、ユーザとサービス会社との間のリードタイムR1と、サービス会社と消耗品のメーカとの間のリードタイムR2の合計としてリードタイムR=R1+R2が演算される。
【0025】
次に、ステップS18で現在の日時または日付を取得し、ステップS20において、累積稼働時間が所定の閾値を越えている消耗品があるか否かを判定する。所定の閾値は、製造者、サービス会社またはユーザによって消耗品毎に決定し、工作機械10、20の記憶部18、28に格納することができる。消耗品の累積稼働時間が閾値を越えると、消耗品の交換時期が迫っていることを意味している。そこで、累積稼働時間が閾値を越えている消耗品がある場合(ステップS20でYesの場合)、当該消耗品の交換時期が迫っていることを工作機械10、20のオペレータに報知するようにできる(ステップS22)。例えば、図4の管理画面において、「グリス」や「次回点検日」、具体的な次回点検日「〇〇年〇〇月〇〇日」の周囲をハイライト表示して、当該消耗品の交換時期が迫っていることを報知するようにできる。
【0026】
累積稼働時間が閾値を越えている消耗品がある場合(ステップS20でYesの場合)、更に、記憶部18、28の部品情報データベースを検索して、当該消耗品の在庫をユーザが保管しているか否を判定する(ステップS24)。当該消耗品の在庫が保管されている場合(ステップS24でYesの場合)、処理は終了する(ステップS30)。
【0027】
ステップS24でNoの場合、つまり、当該消耗品の在庫が無い場合、ステップS26で当該消耗品がサービス会社に発注され、ステップS28で当該消耗品を発注したことを示すメッセージを表示部14、24に表示して、処理が終了する(ステップS30)。発注すべき個数は、ユーザ側のオペレータによって消耗品ごとに予め決定し、工作機械10、20の記憶部18、28に格納しておくようにできる。
【0028】
ステップS20でNoの場合、つまり、累積稼働時間が閾値を越えている消耗品が無い場合、ステップS32において、更に、リードタイムRと比較して消費期限が迫っている消耗品があるか否が判定される。ステップS32では、図2の処理を行っている現在の日時または日付と消費期限との差分が、リードタイムR=R1+R2よりも所定の余裕を以て大きいか否かが判定される。つまり、処理部16、26は、現在の日時または日付と、消費期限からリードタイムRを減じた日時または日付との差分と、所定の閾値とを比較する。
【0029】
リードタイムRを考慮して、現在の日時または日付が消費期限が迫っている消耗品が無い場合、つまり、全ての消耗品について、上記差分が所定の閾値よりも大きい場合(ステップS32でNoの場合)、ステップS30へ進み処理を終了する。ステップS32でYesの場合、つまり、リードタイムRと比較して消費期限が迫っている消耗品がある場合、サブルーチンはステップS24へ進み、上述したステップS24〜ステップS28の処理を実行して終了する(ステップS30)。
【0030】
既述の消耗品の管理方法は、ユーザが保有する工作機械10、20において実行されるローカルな処理であったが、工作機械10、20のメンテナンスや修理、消耗品の供給等のサービスを提供するサービス会社で行うようにもできる。
【0031】
サービス会社の管理装置30が消耗品の管理方法を開始すると、管理装置30は、ユーザの保有する工作機械10、20の制御装置12、22にインターネット40を介してアクセスし、記憶部18、28の部品情報データベースから消耗品の消費期限に関する情報を取得し(ステップS110)、消費期限を越えているか或いは累積稼働時間が閾値を越えている消耗品があるか否かを判定する(ステップS112)。
【0032】
ユーザの工作機械10、20に消費期限を越えているか或いは累積稼働時間が閾値を越えている消耗品がある場合(ステップS112でYesの場合)、サービス会社の管理装置30は、自社(サービス会社)の部品情報データベース34を検索して、自社(サービス会社)の部品倉庫36に、当該消耗品の在庫があるか否を判定する(ステップS114)。当該消耗品の在庫が部品倉庫36にある場合(ステップS114でYesの場合)、ステップS116で自社の部品情報データベース34が更新され(当該消耗品の個数を減らす)、ユーザへ向けて当該消耗品の発送処理がなされ(ステップS118)、処理が終了する(ステップS120)。
【0033】
ステップS114でNoの場合、つまり、当該消耗品の在庫がサービス会社の部品倉庫36に無い場合、ステップS124で当該消耗品が部品メーカに発注され、部品メーカからの納品後、ステップS126で部品情報データベース34が更新される(納品された当該消耗品の個数から、ユーザへ発送される個数が減じられる)、ユーザへ向けて当該消耗または交換部品が納品(発送)され(ステップS118)、処理が終了する(ステップS120)。また、当該消耗品の在庫がある場合には、ユーザへその旨を報知することができ、在庫がない場合には、部品メーカに当該消耗品を発注し、ユーザへの発送時期を報知することができる。
【0034】
ステップS112でNoの場合、つまり、ユーザの工作機械10、20に消費期限を越えているか或いは累積稼働時間が閾値を越えている消耗品が無い場合、ステップS122において、サービス会社の管理装置30は、更に、リードタイムRと比較して消費期限が迫っている消耗品があるか否を判定する。
【0035】
ステップS122では、サービス会社の管理装置30が、処理を行っている現在の日時または日付と消費期限との差分が、リードタイムRよりも所定の余裕を以て大きいか否かが判定される。リードタイムRを考慮しても、消費期限が迫っている消耗品が無い場合(ステップS122でNoの場合)、ステップS120へ進み処理を終了する。ステップS122でYesの場合、つまり、リードタイムRと比較して消費期限が迫っている消耗品がある場合、サブルーチンはステップS114へ進み、上述したステップS114以下の処理を実行し、メーカに当該消耗品が発注される。
【0036】
サービス会社の管理装置30を機械学習装置32に接続して、上述の消耗品の発注プロセスで得られた消耗品の交換日に関するデータを学習データ記憶部32aに蓄積し、消耗品の交換タイミングを機械学習させ、近々ユーザから注文を受けるであろう消耗品を予測し、サービス会社における消耗品の在庫量を適切に管理するようにできる。
【0037】
上述の処理は、ユーザ側で特段の処理を行わなくとも、サービス会社側で自動的に消耗品の管理方法が実行されるが、そのためには、ユーザとサービス会社との間で、サービス会社が保守を行うためのユーザ登録(契約)と、サービス会社から発行されたURL、ID、パスワードを、工作機械10、20の制御装置12、22に設定する管理システムの設定を行う必要がある。
【0038】
記述の実施形態では、工作機械10、20の制御装置12、22によるローカルの消耗品管理方法と、インターネット40を介してサービス会社の管理装置30による集中的な消耗品管理方法とが平行的に行われるように説明したが、ローカルの消耗品管理方法と、集中的な消耗品管理方法とは、それぞれ独立に行うことができる。つまり、ローカルの消耗品管理方法を実行することなく集中的な消耗品管理方法を実行することも、反対に集中的な消耗品管理方法を実行することなく、ローカルの消耗品管理方法だけを各工作機械10、20において個別に行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10、20 工作機械
12、22 制御装置
14、24 表示部
16、26 処理部
18、28 記憶部
30 管理装置
32 機械学習装置
34 部品情報データベース
36 部品倉庫
40 インターネット
100 保守管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021年5月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、工作機械の動作を制御すると共に、該工作機械に使用されている消耗品の管理を行う制御装置を有した工作機械において、前記消耗品ごとにユーザとサービス会社間のリードタイム、サービス会社と消耗品メーカ間のリードタイム、および該消耗品ごとの消費期限を記憶する記憶部と、現在の日時または日付と、前記記憶部に記憶されたユーザとサービス会社間のリードタイム、サービス会社と消耗品メーカ間のリードタイムおよび消費期限に基づいて、各消耗品の交換タイミングを演算する処理部とを具備する工作機械が提供される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
更に、本発明によれば、複数の工作機械とネットワークを介して接続され、該工作機械に使用されている消耗品の管理を行う消耗品の管理システムにおいて、 前記複数の工作機械の各々を制御すると共に、該工作機械の前記消耗品ごとにユーザとサービス会社間のリードタイム、サービス会社と消耗品メーカ間のリードタイム、および該消耗品ごとの消費期限を記憶する記憶部を有した制御装置と、現在の日時または日付と、前記記憶部に記憶されたユーザとサービス会社間のリードタイム、サービス会社と消耗品メーカ間のリードタイムおよび消費期限に基づいて、各消耗品の交換タイミングを演算する管理装置とを具備する消耗品の管理システムが提供される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の動作を制御すると共に、該工作機械に使用されている消耗品の管理を行う制御装置を有した工作機械において、
前記消耗品ごとにユーザとサービス会社間のリードタイム、サービス会社と消耗品メーカ間のリードタイム、および該消耗品ごとの消費期限を記憶する記憶部と、
現在の日時または日付と、前記記憶部に記憶されたユーザとサービス会社間のリードタイム、サービス会社と消耗品メーカ間のリードタイムおよび消費期限に基づいて、各消耗品の交換タイミングを演算する処理部と、
を具備することを特徴とした工作機械。
【請求項2】
前記処理部は、消耗品毎に累積稼働時間を演算し、該累積稼働時間と消耗品の使用可能時間との差分が所定の閾値よりも小さくなったときに、該消耗品の供給者に該消耗品を発注する請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
記処理部は、現在の日時または日付と、前記消費期限から前記ユーザとサービス会社間のリードタイムおよびサービス会社と消耗品メーカ間のリードタイムを減じた日時または日付とを比較して、両者の差分が所定の閾値よりも小さくなったときに、該消耗品の供給者に該消耗品を発注する請求項1に記載の工作機械。
【請求項4】
複数の工作機械とネットワークを介して接続され、該工作機械に使用されている消耗品の管理を行う消耗品の管理システムにおいて、
前記複数の工作機械の各々を制御すると共に、該工作機械の前記消耗品ごとにユーザとサービス会社間のリードタイム、サービス会社と消耗品メーカ間のリードタイム、および該消耗品ごとの消費期限を記憶する記憶部を有した制御装置と、
現在の日時または日付と、前記記憶部に記憶されたユーザとサービス会社間のリードタイム、サービス会社と消耗品メーカ間のリードタイムおよび消費期限に基づいて、各消耗品の交換タイミングを演算する管理装置と、
を具備することを特徴とした消耗品の管理システム。
【請求項5】
前記管理装置は、前記複数の工作機械の各々の消耗品毎に累積稼働時間を前記制御装置から取得し、該累積稼働時間と消耗品の使用可能時間との差分が所定の閾値よりも小さくなったときに、該消耗品の在庫を確認する請求項4に記載の消耗品の管理システム。
【請求項6】
記管理装置は、現在の日時または日付と、前記消費期限から前記ユーザとサービス会社間のリードタイムおよびサービス会社と消耗品メーカ間のリードタイムを減じた日時または日付とを比較して、両者の差分が所定の閾値よりも小さくなったときに、該消耗品を前記工作機械のユーザへ向けて発送する請求項4に記載の工作機械。