【解決手段】情報処理装置としてのローカルサーバ200は、記憶部6と、取得部71と、選択部72と、通知部73とを備える。記憶部は、カメラ画像を配信可能な車両の車両情報を記録する。取得部は、記憶部に記録された車両情報に基づきデータ取得の要否を判定し、データ取得が必要と判定された場合は、複数の車両情報を有する管理サーバから、カメラ画像を受信する受信車両の車両情報に基づき、カメラ画像を配信する車両の候補となる第1の候補車両の車両情報である第1情報を取得し、第1情報を記憶部に記録する。選択部は、記憶部に記録された第1情報に基づき、受信車両との接続条件を満たす第2の候補車両を選択する。通知部は、選択部によって選択された第2の候補車両の車両情報である第2情報を、受信車両に通知する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る情報処理装置、管理サーバ、配信システムおよび情報処理方法について説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、
図1Aおよび
図1Bを用いて、実施形態に係る配信システムおよび情報処理方法の概要について説明する。
図1Aおよび
図1Bは、配信システムの概要を示す図である。また、実施形態に係る情報処理方法は、
図1Aに示す管理サーバ100、ローカルサーバ200、複数の車載装置1が互いにデータを送受信することで実行される。また、以下では、情報処理装置が通信事業者の基地局に設置されたローカルサーバ200である場合を例に挙げて説明する。
【0011】
実施形態に係る配信システムSは、各車両の車載装置1間でカメラ画像を送受信することで、各車両で撮影されたカメラ画像を他の車両で表示することができる。より詳しくは、配信システムSでは、車両の運転者が多地点の現在の状況を所望する状況となった場合に、かかる他地点を撮影可能な車両からカメラ画像を配信させる。
【0012】
図1Aに示す例では、車載装置1が、通信機能を備えたドライブレコーダである場合を示す。車載装置1は、車両情報を所定周期で管理サーバ100へ送信する。例えば、車両情報には、車両の位置情報、走行状態に関する情報などが含まれる。
【0013】
管理サーバ100は、各車載装置1から送信された車両情報を記憶する車両情報データベースを有し、各車両の位置情報などを管理するサーバ装置である。ここで、例えば、管理サーバ100は、全ての車載装置1から送信される車両情報を車両データベースにて管理する。
【0014】
このため、管理サーバ100には、膨大な車両情報が蓄積されることになる。そして、仮に、管理サーバ100で、各車両の位置情報等に基づいて、各車載装置1の接続の要否などを判定すると、管理サーバ100の処理負荷が増大することになる。
【0015】
そこで、実施形態に係る配信システムSでは、管理サーバ100に加え、さらに、ローカルサーバ200を備えることとした。すなわち、実施形態に係る配信システムSでは、管理サーバ100および複数のローカルサーバ200の間で処理を分散させることで、管理サーバ100の処理負荷を軽減することとした。
【0016】
具体的には、
図1Aに示すように、ローカルサーバ200は、まず記憶部に記録された車両情報に基づき、データの取得が必要か否かを判定する。データの取得が必要でないと判定された場合、ステップS3に移行する。
【0017】
データの取得が必要と判定された場合、ステップS1において管理サーバ100からのデータ取得を開始する。まずローカルサーバ200は、データ取得の要求を管理サーバ100に送信する。管理サーバ100は、車両情報データベースからカメラ画像を受信する受信車両の車両情報に基づいて、カメラ画像を配信する車両の候補となる第1の候補車両に関する車両情報である第1情報を抽出する(ステップS1)。ここで、受信車両とは、他の車両からカメラ画像を受信する車両であり、例えば、交通渋滞にこれから合流する車両などが受信車両に該当する。
【0018】
例えば、管理サーバ100は、受信車両から所定範囲内に存在する車両を第1の候補車両として抽出し、かかる車両の車両情報を第1情報として抽出する。なお、それぞれの車両が受信車両および候補車両となり得るので、各車両それぞれを受信車両と見做し、ステップS1の処理では、各車両それぞれについて候補車両の車両情報を抽出する。
【0019】
続いて、ローカルサーバ200は、ステップS1にて受信車両毎に抽出された車両情報を第1情報として取得し、記憶部に記録する(ステップS2)。なお、ローカルサーバ200が、データの取得が必要と判定するのは、具体的には前回取得時からの経過時間に基づき、記録されている車両情報が古くなり、更新が必要と判断された場合である。また、初回起動時などで記憶部に車両情報が記録されていない場合である。
【0020】
続いて、ローカルサーバ200は、記憶部に記録された第1情報に基づいて、受信車両との接続条件を満たす第2の候補車両を選択する(ステップS3)。
【0021】
例えば、ローカルサーバ200は、受信車両がこれから合流する渋滞区間内を走行中の候補車両を受信車両との接続条件を満たす第2の候補車両として選択する。そして、ローカルサーバ200は、ステップS3において第2の候補車両を選択すると、選択した第2の候補車両に関する車両情報である第2情報を受信車両に対して通知する(ステップS4)。
【0022】
その後、
図1Bに示すように、第2情報を受信した受信車両は、第2の候補車両との事前接続を行うとともに(ステップS5)、受信車両において、所定の表示条件が成立した場合に、渋滞区間を走行中の第2の候補車両から受信したカメラ画像が受信車両にて表示されることになる(ステップS6)。
【0023】
このように、配信システムSでは、ステップS6における表示条件の成立を先読みし、ステップS1〜ステップS5までの処理をステップS6よりも前に行う。これにより、表示条件の成立後、すみやかに他地点のカメラ画像を受信車両において表示することができる。
【0024】
仮に、ステップS6の表示条件の成立をトリガとして、ステップS1〜S5の処理を開始すると、表示条件の成立からカメラ画像を表示するまでにタイムラグが生じることになる。
【0025】
これに対して、実施形態に係る配信システムSでは、表示条件の成立を予測し、予測結果に基づいて、ステップS1〜S5の処理を行うので、上記のタイムラグを生じさせることなく、カメラ画像を表示することが可能となる。
【0026】
また、実施形態に係る配信システムSでは、管理サーバ100が車両情報データベースから第1情報を抽出し、ローカルサーバ200に配信する。ローカルサーバ200は、配信された第1情報が有効な間は、管理サーバの代わりに第1情報からさらに絞り込みを行う。つまり、配信システムSでは、管理サーバ100の権限を車両情報の抽出および第1情報の配信に留め、どの車載装置1間で通信接続を行わせるかといった実質的な判定の権限をローカルサーバ200に持たせる。
【0027】
これにより、管理サーバ100の処理負荷を軽減することが可能となる。また、ローカルサーバ200は、管理サーバ100によって既に抽出された車両情報から接続条件を満たす第2の候補車両を選択すればよいので、接続条件を満たす車両の検索負荷を抑えることができる。
【0028】
次に、
図2を用いて、実施形態に係る管理サーバ100の構成例について説明する。
図2は、管理サーバ100のブロック図である。
図2に示すように、管理サーバ100は、通信部2と、記憶部3と、制御部4とを備える。
【0029】
通信部2は、例えばNIC等によって実現される。通信部2は、所定のネットワークと有線もしくは無線で接続され、ネットワークを介して、他の車載装置1および各ローカルサーバ200との間で情報の送受信を行う。
【0030】
記憶部3は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、HDD(Hard Disk Drive)、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図2の例では、車両情報データベース31および許諾情報データベース32を備える。
【0031】
車両情報データベース31は、各車載装置1から送信される車両情報を格納するデータベースである。
図3は、車両情報データベース31の一例を示す図である。
図3に示すように、車両情報データベース31は、「車両ID」、「IPアドレス」、「現在地」、「走行速度」、「走行予定経路」および「表示範囲」などを互いに関連付けて記憶する。
【0032】
「車両ID」は、各車両を識別する識別子であり、「現在地」は、対応する車両の現在地である。また、「走行速度」は、対応する車両の現在の走行速度であり、「走行予定経路」は、対応する車両の走行予定の経路を示す。上述のように、走行予定経路は、各車両のナビゲーション装置にて設定された経路であるが、ナビゲーション装置にて経路が設定されていない場合には、ブランクとなる。また、「表示範囲」は、各車両の表示された地図画像(ナビゲーション装置のナビ画像)の表示範囲を示す。
【0033】
図3の説明に戻り、許諾情報データベース32について説明する。許諾情報データベース32は、各車両それぞれに対して設定されたカメラ画像の配信許可に関する情報である。
【0034】
図4は、許諾情報データベース32の一例を示す図である。なお、
図4では、1人のユーザに対して設定された許諾情報を例に挙げて説明するが、許諾情報は各ユーザそれぞれに設定されているものとする。また、車両を特定の人物が使用する場合には、車両単位で許諾情報を設定することにしてもよい。
【0035】
図4に示すように、許諾情報データベース32は、「要求車両種別」、「該当ID」,「配信許可時間帯」、「配信許可車車間距離」、「除外領域」などといった情報を互いに関連付けて記憶する。
【0036】
「要求車両種別」は、対応する車両に対してカメラ画像の配信を要求する受信車両の車両種別を示す。
図4の例では、「要求車両種別」が、「一般」、「特別」、「緊急」などに大別される場合を示す。
【0037】
「一般」は、一般の車両、すなわち、配信システムSに登録された一般ユーザの車両を示す。「特別」は、ユーザが特別に設定した車両を示す。例えば、「特別」には、対応するユーザの家族、友人などを設定するとよい。「緊急」は、パトカー、救急車、消防車などといった緊急車両を示す。
【0038】
「該当ID」は、特別車両に該当する車両IDを示す。「配信許可時間帯」は、カメラ画像の配信を許可する時間帯を示す。言い換えれば、配信許可時間帯以外の時間帯であれば、カメラ画像の配信を拒否することができる。
【0039】
「配信許可継続時間」は、カメラ画像を継続して配信する一回当たりの継続時間を示す。ここで、カメラ画像を配信する継続時間が長くなるほど、カメラ画像を受信する受信車両からカメラ画像を配信している車両の位置などの特定が容易となり、車両が特定されるおそれがある。
【0040】
これに対して、「配信許可継続時間」を予め設定しておくことで、配信したカメラ画像から車両が特定される可能性を軽減することができる。「除外領域」は、カメラ画像の配信を拒否するエリアを示す。
【0041】
図4に示すように、「除外領域」として、「自宅から1km以内」に設定した場合、自宅から1km内であれば、カメラ画像の配信を制限することになり、カメラ画像を配信することによる自宅の特定を防止することができる。また、「道路外」として設定しておくことで、例えば、現在地の特定を防ぐことができる。
【0042】
例えば、車両がコンビニに立ち寄り、コンビニの駐車場に駐車する場合を想定する。この場合、カメラ画像の配信を行うと、立ち寄ったコンビニが特定されるおそれがある。
【0043】
また、この場合、コンビニにいる人物がカメラ画像に写っていると、かかる人物のプライバシーを保護することができない。
【0044】
配信許可車車間距離は、カメラ画像の配信を許可する際の、受信車両との車間距離である。受信車両との距離が近いほど、景色や風景の類似性からカメラ画像を配信している車両の位置の特定が容易になり、車両が特定されるおそれがある。
【0045】
これに対して「配信許可車車間距離」をあらかじめ設定しておくことで、配信したカメラ画像から車両が特定される可能性を低減することができる。
【0046】
このように、配信許可車車間距離や除外領域を設定することで、ユーザのプライバシーの保護を図ることが可能となる。なお、
図4に示す許諾情報は一例であり、その他、カメラ種別を含むようにしてもよい。カメラ種別としては、フロントカメラ、リアカメラなどに加え、車内カメラが含まれる。特に、車内カメラについては、特別車両に対してのみ配信を許可するとよい。
【0047】
図2の説明に戻り、制御部4について説明する。制御部4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、HDD、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0048】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部4の取得部41、抽出部42および配信部43として機能する。
【0049】
また、制御部4の取得部41、抽出部42および配信部43の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0050】
取得部41は、各車両の車載装置1から車両情報を取得し、車両情報データベース31を更新する。上述のように、車両情報には、現在地、走行速度、走行予定経路、表示範囲などが含まれる。なお、その他、アクセル、ブレーキ、ステアリングなどの運転操作に関する情報を含むようにしてもよい。
【0051】
また、取得部41は、各車載装置1からカメラ画像を取得し、記憶部3に格納しておくことにしてもよい。例えば、記憶部3に記憶されたカメラ画像は、該当する配信車両が存在しない場合に、受信車両へ提供される。また、取得部41は、ローカルサーバ200から第1の候補車両を抽出する抽出条件を取得する。なお、取得部41は、車両情報取得部の一例である。
【0052】
抽出部42は、取得した車両情報に含まれるカメラ画像を受信する受信車両の車両情報と、第1の候補車両を抽出する抽出条件とに基づいて、カメラ画像を配信する車両の候補となる第1の候補車両に関する車両情報である第1情報を抽出する。具体的には、抽出部42は、車両情報データベース31を参照し、各車両それぞれに対して、配信車両の候補となる候補車両を抽出する。
【0053】
続いて、抽出部42は、抽出した第1の候補車両の許諾情報を許諾情報データベース32から抽出し、車両情報に対応付けた第1情報を生成する。ここで、抽出部42が抽出条件に基づいて抽出する第1の候補車両は、受信車両において表示条件が成立した場合に、受信車両において実際に必要となるカメラ画像を撮像可能な車両であることが好ましい。
【0054】
このため、抽出条件は、受信車両から所定範囲内に存在する車両、受信車両の走行予定経路上に存在する車両、受信車両の地図画像の表示範囲内に存在する車両について、それぞれ受信車両に対する候補車両として抽出する条件とするとよい。
【0055】
すなわち、受信車両から所定範囲内の車両や地図画像の表示範囲内に存在する車両は、受信車両がこれから通過する可能性がある地点を撮像可能な車両となる。また、この際、走行予定経路が決まっている場合には、走行予定経路上に存在する車両にさらに絞り込むことができる。
【0056】
つまり、これから通過する可能性のある経路上または通過予定の経路上に存在する車両を候補車両として抽出することで、カメラ画像を配信する車両を適切に絞り込むことが可能となる。なお、上記の所定範囲を受信車両の走行速度に応じて設定することにしてもよい。具体的には、走行速度が速いほど、所定範囲を拡張することにしてもよい。言い換えれば、所定範囲を受信車両が所定時間内に通過する範囲に設定することにしてもよい。
【0057】
また、抽出部42は、受信車両の走行履歴に基づいて、候補車両を抽出することにしてもよい。ここで、受信車両の走行履歴とは、受信車両がこれまで通過した経路、目的地、経由地などの履歴を示す。すなわち、抽出部42は、受信車両の履歴に基づき、受信車両の運転者の目的地や経由地の傾向を把握し、目的地や経由地に基づいて、走行予定経路をさらに推定する。
【0058】
この場合、抽出部42は、推定した目的地、経由地、走行予定経路に基づいて、受信車両に対する候補車両を抽出することができる。つまり、抽出部42は、受信車両の履歴に基づいて候補車両を抽出することで、候補車両を適切に絞り込むことができる。
【0059】
なお、目的地については、例えば、これまでの目的地からユーザの趣味嗜好を推定し、推定した趣味嗜好に基づいて推定することにしてもよい。また、この際、抽出部42は、イベント情報から、ユーザの趣味嗜好にあったイベントを抽出し、かかるイベントの会場を目的地として推定することにしてもよい。
【0060】
配信部43は、抽出部42によって抽出された第1情報を所定のローカルサーバ200へ配信する。
図1Aに示したように、例えば、ローカルサーバ200は、基地局に設置される。
【0061】
例えば、配信部43は、受信車両の現在地を管轄する基地局(例えば、受信車両から最も近い基地局)に設置されたローカルサーバ200や、現在の処理負荷が最も低いローカルサーバ200に対して第1情報の配信を行う。なお、各車両それぞれは移動するので、取得部41、抽出部42および配信部43による処理は、所定の周期で繰り返し行われる。すなわち、配信部43は、常に最新の車両情報から抽出された第1情報を随時、ローカルサーバ200へ配信する。なお、配信部43は送信部の一例である。
【0062】
次に、
図5を用いて、ローカルサーバ200の構成例について説明する。
図5は、ローカルサーバ200のブロック図である。
図5に示すように、ローカルサーバ200は、通信部5と、記憶部6と、制御部7とを備える。
【0063】
通信部5は、例えばNIC等によって実現される。通信部5は、所定のネットワークと無線で接続され、ネットワークを介して、他の車載装置1および各ローカルサーバ200との間で情報の送受信を行う。
【0064】
記憶部6は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図5の例では、第1情報データベース61を備えるとともに、ルール情報62を記憶する。
【0065】
第1情報データベース61は、管理サーバ100から送信される第1情報を記憶するデータベースである。上述のように、第1情報は、車両情報と、車両の許諾情報とが互いに対応付けられた情報である。
【0066】
ルール情報62は、受信車両に対する第2の候補車両を選択する際に適用するルールに関する情報であり、上述の接続条件に関する情報である。すなわち、ローカルサーバ200は、ルール情報62に基づいて、受信車両に対して接続条件を満たす第1の候補車両を第2の候補車両として選択することになる。
【0067】
続いて、制御部7について説明する。制御部7は、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0068】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部7の取得部71、選択部72および通知部73として機能する。
【0069】
また、制御部7の取得部71、選択部72および通知部73の少なくともいずれか一部または全部をASICやFPGA等のハードウェアで構成することもできる。
【0070】
取得部71は、カメラ画像の配信元となる車両に関する車両情報のうち、カメラ画像を受信する受信車両に基づいて抽出された第1の候補車両に関する車両情報である第1情報を取得する。具体的には、取得部71は、記憶部における第1情報データベースに記録された車両情報に基づきデータの取得要否を判断する。データの取得が必要と判断すると、取得部71は、管理サーバ100にデータの配信要求を送信する。管理サーバ100は、データの送信要求に応答して第1情報を配信し、取得部71は、管理サーバ100から配信される第1情報を取得する。取得部71は、取得した第1情報に基づいて、第1情報データベース61を更新する。
【0071】
なお、上記では取得部71からの送信要求をトリガとして第1情報の取得を行ったが、定期的に第1情報の配信が行われるようにしてもよい。
【0072】
選択部72は、取得部71によって取得された第1情報に基づいて、受信車両との接続条件を満たす第2の候補車両を選択する。ここでの接続条件とは、例えば、受信車両に基づく条件、候補車両に基づく条件などが含まれる。
【0073】
受信車両に基づく条件の一例としては、例えば、ナビゲーション装置の目的地または経路設定が挙げられる。この場合、選択部72は、受信車両の車載装置1から送信されるナビゲーション装置に対する操作信号に基づいて、ナビゲーション装置に対する操作を把握することができる。
【0074】
そして、選択部72は、目的地や目的地までの経路上に存在する車両を接続条件を満たす第2の候補車両として選択する。より詳細には、目的地周辺に存在し、目的地周辺の現在の様子を撮影可能な車両や、目的地までの経路上に存在する車両を接続条件を満たす第2の候補車両として選択する。
【0075】
なお、目的地までの経路上に存在する車両については、例えば、各経路の分岐点、経路上のおススメスポットや、事故多発地点、急カーブなどといった特異点近傍を走行する車両を第2の候補車両として選択するとよい。
【0076】
また、候補車両に基づく条件としては、例えば、渋滞の発生や、車線変更を伴う事象(例えば、赤信号、路肩駐車、落下物)の発生などが挙げられる。渋滞の発生については、例えば、交通情報センターから取得した交通情報や、各車両の走行速度および走行位置などに基づいて検出することができる。また、車線変更を伴う事象の発生については、例えば、各車両の走行軌跡(位置情報の継時変化)に基づいて検出することができる。
【0077】
選択部72は、渋滞、車線変更を伴う事象の発生を検知すると、渋滞区間を走行中の車両、車線変更を伴う事象の発生地点を通過予定の車両を接続条件を満たす第2の候補車両として選択する。
【0078】
また、選択部72は、許諾情報に基づいて、さらに、第1の候補車両の絞り込みを行う。具体的には、選択部72は、第1の候補車両各々がカメラ画像を配信する時刻(または配信予定の時刻)が受信車両の要求車両種別の「配信許可時間帯」に含まれるか否か、配信車両が「除外領域」に存在しないかなどを判定する。
【0079】
そして、選択部72は、受信車両や第1の候補車両の現在地、現在時刻などが、配信許可時間帯、配信許可車車間距離などといった全ての許諾条件を満たす第1の候補車両を第2の候補車両として選択することになる。言い換えれば、許諾条件を満たしていない車両については、接続条件を満たしていたとしても、配信車両の選択対象から除外されることになる。
【0080】
つまり、選択部72は、接続条件に加え、許諾条件を満たす車両を第2の候補車両として選択することで、カメラ画像を配信する車両のプライバシーを保護しつつ、受信車両において必要となる他地点のカメラ画像を受信車両へ配信させることが可能となる。
【0081】
また、このように、許諾条件を考慮することで、第2の候補車両は、事前に許可されたシチェーションにおいてカメラ画像の配信を行うことが可能になる。したがって、受信車両による第2の候補車両への接続要求が行われた場合に、第2の候補車両の承認を再度得ることなく第2の候補車両と受信車両を接続することが可能となる。
【0082】
このため、例えば、受信車両は、第2の候補車両からカメラ画像の配信の承諾を都度得る必要がないので、受信車両と第2の候補車両との通信接続を速やかに行うことが可能となる。なお、各車両の走行位置は、刻一刻と変化するので、取得部71は、所定周期で第1情報を取得するとともに、選択部72は、所定周期で接続条件を満たす第2の候補車両の選択を行う。この際、選択部72は、新たな車両を第2の候補車両に選択したり、既に選択した第2の候補車両から特定の車両の選択を解除したりすることになる。
【0083】
通知部73は、選択部72によって選択された第2の候補車両に関する車両情報である第2情報を受信車両へ通知する。通知部73は、選択部72による第2の候補車両の選択毎に第2情報を生成するとともに、生成した第2情報を受信車両に対して配信する。
【0084】
この際、通知部73は、例えば、第2情報とともに、事前接続指示を受信車両へ通知することにしてもよい。これにより、上述したように、受信車両と第2の候補車両との事前接続が開始されることになる。
【0085】
また、この場合、通知部73は、所定の表示条件が成立した場合に、第2の候補車両から配信されるカメラ画像を受信車両において表示させる表示指示を通知する。これにより、受信車両は、表示条件の成立後、すみやかに第2の候補車両から受信したカメラ画像を表示することが可能となる。
【0086】
例えば、渋滞区間を走行中の車両から配信されたカメラ画像を受信車両にて表示する場合、表示条件は、受信車両が渋滞区間に合流した場合などが挙げられる。
【0087】
なお、事前接続のタイミング判定および表示条件の成立判定については、受信車両側で行うことにしてもよい。この場合、ローカルサーバ200は、随時、第2情報を受信車両へ送信し、第2の候補車両各々の状況を受信車両に把握させておくことで実現することができる。
【0088】
次に、
図6を用いて、実施形態に係る車載装置1の構成例について説明する。
図6は、車載装置1のブロック図である。車載装置1のブロック図である。
図6に示すように、実施形態に係る車載装置1には、カメラ101、車載センサ102、GPS(Global Positioning System)装置103およびナビゲーション装置104が接続される。
【0089】
カメラ101は、車両Cの周囲を撮像するカメラであり、所定のフレームレートでカメラ画像を生成する。なお、カメラ101は、車内を撮像するカメラを含むようにしてもよい。
【0090】
車載センサ102は、車両Cの走行状態を検出する各種センサであり、例えば、速度センサ、ブレーキセンサ、舵角センサ、Gセンサ等を含む。
【0091】
GPS装置103は、GPS衛星(不図示)から送信される測位信号に基づいて、車両の現在地を測位する。ナビゲーション装置104は、乗員によって設定された車両Cの目的地までの走行経路を設定する装置である。
【0092】
また、
図6に示すように、車載装置1は、車載装置1が出力したカメラ画像などの画像を表示する表示装置50に接続される。表示装置50は、表示部51および操作部52を備える。
【0093】
表示部51は、例えば、有機EL(Electro Luminescence)や、液晶ディスプレイで構成されたタッチパネルディスプレイであり、車載装置1から出力される映像信号を表示する。操作部52は、表示部51を構成するタッチパネルや、各所に配置されたボタンなどで構成され、表示部51に表示された画像に基づき、乗員からの所定操作を受け付ける。
【0094】
操作部52は、カメラ画像の再生、停止、巻き戻し等の各種操作を受け付けることも可能である。また、ユーザは、操作部52を介して、過去に撮像されたカメラ画像の配信を要求することも可能である。
【0095】
すなわち、実施形態に係る配信システムSでは、カメラ画像のリアルタイム配信に加え、過去に撮像されたカメラ画像の録画配信を行うこともできる。なお、操作部52を例えば、表示装置50とは別に設けることにしてもよい。
【0096】
図6に示すように、車載装置1は、通信部8と、記憶部9と、制御部10とを備える。通信部5は、例えばNIC等によって実現される。通信部8は、所定のネットワークと無線で接続され、ネットワークを介して、他の車載装置1や、管理サーバ100との間で情報の送受信を行う。
【0097】
記憶部9は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図6の例では、カメラ画像情報91を記憶する。
【0098】
カメラ画像情報91は、カメラ101によって撮影されたカメラ画像に関する情報であり、カメラ像のデータ本体、撮影日時、撮影位置などが含まれる。また、カメラ画像情報91は、他の車両で撮影されたカメラ画像を含む。
【0099】
続いて、制御部10について説明する。制御部10は、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0100】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部10の送信部11、受信部12、再生部13、生成部14および表示制御部15として機能する。
【0101】
また、制御部7の送信部11、受信部12、再生部13、生成部14および表示制御部15の少なくともいずれか一部または全部をASICやFPGA等のハードウェアで構成することもできる。
【0102】
送信部11は、車両に関する車両情報を所定周期で管理サーバ100へ送信する。具体的には、送信部11は、車載センサ102によって検出された走行状態に関する情報、GPS装置103によって検出された位置情報を含む車両情報を生成し、管理サーバ100へ送信する。
【0103】
この際、送信部11は、全ての走行状態に関する車両情報を生成する必要はなく、データを選別して送信データを生成することにしてもよい。例えば、送信部11は、急ブレーキや急舵角を検出した場合にのみ、走行状態に関する情報を送信することにしてもよい。また、送信部11は、自装置がカメラ画像を配信する車両として選択された場合には、事前接続を行ったうで、カメラ画像を受信車両に対して送信する。
【0104】
受信部12は、受信車両で表示させるカメラ画像を配信する配信車両および第2の候補車両からカメラ画像を受信する。具体的には、受信部12は、ローカルサーバ200から第2情報とともに接続指示を受信すると、事前接続指示に基づいて、第2の候補車両との通信接続の接続要求を送信部11に対して指示する。
【0105】
その後、受信部12は、配信車両からカメラ画像の受信を開始すると、カメラ画像を再生するビュワーアプリ(後述の再生部13に対応)を起動させる。そして、再生部13にて、バックグランド再生を開始させる。
【0106】
なお、バックグラウンド再生時に再生するカメラ画像は、表示装置50に基本的に表示されないので、受信部12は、バックグラウンド再生時のカメラ画像について、低容量画像を受信することにしてもよい。
【0107】
なお、低容量画像とは、実際に表示装置50に表示されるカメラ画像に比べて、フレームレートが低いカメラ画像、解像度が低いカメラ画像、ビットレートが低いカメラ画像のいずれか一つを含むカメラ画像である。これにより、通信負荷を抑えつつ、カメラ画像を受信することが可能となる。
【0108】
生成部14は、ナビゲーション装置104から通知されるナビゲーション画像を加工することで、表示装置50に表示する表示画像を生成する。
図7は、表示画像の一例を示す図である。
【0109】
図7に示すように、カメラ画像の表示画面においては、カメラ画像Lcとともに、カメラ画像Lcの撮影位置を示す地図画像Lmが表示される。地図画像Lmにおいては、自車両の位置を示す自車両アイコンA1と、配信車両によるカメラ画像Lcの撮像位置を示す他車両アイコンA2とが重畳される。
【0110】
また、他車両アイコンA2には、リアルタイム配信であることを示す「LIVE」の吹き出しが表示される。このように、他車両アイコンA2を地図画像Lmとともに表示することで、カメラ画像Lcの撮像位置を容易に認識することが可能となる。また、リアルタイム配信であることはアイコンを点滅させることで示してもよい。
【0111】
図6の説明に戻り、表示制御部15について説明する。表示制御部15は、所定の表示条件が成立した場合に、配信車両から配信されるカメラ画像を表示する。
【0112】
ここで、カメラ画像を表示するとは、再生部13によってバックグラウンド再生中のカメラ画像の画面階層を最前面とすることを指す。
【0113】
より詳しくは、生成部14によって生成された表示画像の画面階層を最前面に切り替えることで、配信車両から配信されるカメラ画像が表示装置50に表示されることになる。
【0114】
このように、表示制御部15は、画面階層を切り替えるだけでよいので、表示条件の成立後、配信車両で撮影されたカメラ画像を速やかに乗員へ提供することが可能となる。
【0115】
次に、
図8を用いて、実施形態に係る管理サーバ100が実行する処理手順について説明する。
図8は、管理サーバ100が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理は、各車両に対して繰りかえし実行される。
【0116】
図8に示すように、管理サーバ100は、各車載装置1から車両情報を取得すると(ステップS101)、候補車両の抽出条件が成立したか否かを判定する(ステップS102)。ここでの抽出条件は、受信車両において目的地設定が行われた場合、走行方向が変更された場合などが挙げられる。
【0117】
管理サーバ100は、抽出条件が成立した場合(ステップS102,Yes),カメラ画像を配信する車両の候補となる第1の候補車両を抽出する(ステップS103)。そして、管理サーバ100は、抽出した第1の候補車両の車両情報である第1情報を生成し、第1情報をローカルサーバ200へ配信し(ステップS104)、処理を終了する。
【0118】
なお、管理サーバ100は、ステップS102の判定において、抽出条件が非成立の場合(ステップS102,No)、ステップS101の処理へ移行する。
【0119】
次に、
図9を用いて、ローカルサーバ200にが実行する処理手順について説明する。
図9は、ローカルサーバ200が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0120】
図9に示すように、ローカルサーバ200は、管理サーバ100から第1情報を取得すると(ステップS201)、受信車両や第1の候補車両の状況に応じて、第2の候補車両の選択条件が成立したか否かを判定する(ステップS202)。
【0121】
ローカルサーバ200は、選択条件が成立した場合(ステップS202,Yes)、第1の候補車両から第2の候補車両を選択し(ステップS203)、第2情報を配信して(ステップS204)、処理を終了する。また、ローカルサーバ200は、ステップS202の判定において、選択条件が非成立である場合(ステップS202,No)、ステップS201の処理へ移行する。
【0122】
次に、
図10を用いて、受信車両の車載装置1が実行する処理手順について説明する。
図10は、車載装置1が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図10に示すように、車載装置1は、まず、第2情報を取得したか否かを判定し(ステップS301)、第2情報を取得した場合(ステップS301,Yes)、第2情報に基づいて配信車両との接続を開始する(ステップS302)。
【0123】
続いて、車載装置1は、ビュアー(再生部13に対応)を起動し(ステップS303)、配信車両から配信されるカメラ画像のバックグラウンド再生を開始する(ステップS304)。
【0124】
続いて、車載装置1は、表示条件が成立したか否かを判定し(ステップS305)、表示条件が成立した場合(ステップS305,Yes)、カメラ画像を表示し(ステップS306)、処理を終了する。
【0125】
また、車載装置1は、ステップS301の判定において、第2情報を取得していない場合(ステップS301,No)、処理を終了し、ステップS305の判定において、表示条件が非成立である場合(ステップS305,No)、ステップS304の処理を継続して行う。
【0126】
上述したように、実施形態に係るローカルサーバ200(情報処理装置の一例)は、記憶部6と、取得部71と、選択部72と、通知部73とを備える。記憶部6は、カメラ画像を配信可能な車両の車両情報を記録する。取得部71は、記憶部6に記録された車両情報に基づきデータ取得の要否を判定し、データ取得が必要と判定された場合は、複数の車両情報を有する管理サーバから、カメラ画像を受信する受信車両の車両情報に基づき、カメラ画像を配信する車両の候補となる第1の候補車両の車両情報である第1情報を取得し、第1情報を記憶部6に記録する。
【0127】
選択部72は、記憶部6に記録された第1情報に基づき、受信車両との接続条件を満たす第2の候補車両を選択する。通知部73は、選択部72によって選択された第2の候補車両の車両情報である第2情報を、受信車両に通知する。したがって、実施形態に係る情報処理装置によれば、管理サーバ100の負荷を軽減することができる。
【0128】
ところで、上述した実施形態では、配信システムSがローカルサーバ200を備える場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、管理サーバ100とローカルサーバ200とを統合することにしてもよい。
【0129】
すなわち、ローカルサーバ200の選択部72と、通知部73との機能を管理サーバ100に持たせることにしてもよい。この場合においては、管理サーバ100は、許諾情報に基づいて、車両情報を選択し、選択した車両情報が車載装置1に対して配信されることになる。
【0130】
したがって、この場合においても、受信車両は、カメラ画像の配信が予め許可された配信車両に対して接続要求を行うことになるので、配信車両による配信拒否を予め回避することができる。
【0131】
また、上述した実施形態では、車両から撮影されたカメラ画像を他の車両へ配信する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、定点カメラで撮影されたカメラ画像を配信することにしてもよい。
【0132】
また、上述した実施形態では、ローカルサーバ200は第2の候補車両を選択していたが、その限りではない。ローカルサーバ200の選択部は、受信車両でカメラ画像を表示させる配信車両を第2の候補車両の中から選択し、受信車両に併せて通知してもよい。また、配信車両は車載機で選択されてもよい。
【0133】
この場合、例えば、定点カメラに比べて配信車両のカメラ画像を優先的に配信し、該当する配信車両がいない場合に、定点カメラのカメラ画像を配信することにしてもよい。
【0134】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。