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特開2021-124928情報処理装置、配信システムおよび情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-124928(P2021-124928A)
(43)【公開日】2021年8月30日
(54)【発明の名称】情報処理装置、配信システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20210802BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20210802BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20210802BHJP
【FI】
   G08G1/00 A
   G08G1/09 F
   G08G1/16 A
   G08G1/09 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-17510(P2020-17510)
(22)【出願日】2020年2月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩津 真一
(72)【発明者】
【氏名】大築 ともえ
(72)【発明者】
【氏名】小島 幹
(72)【発明者】
【氏名】田中 真一
(72)【発明者】
【氏名】前畑 実
(72)【発明者】
【氏名】池田 知弘
(72)【発明者】
【氏名】盛林 敏之
(72)【発明者】
【氏名】菅野 直人
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181EE02
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】運転者の運転傾向に応じて適切なカメラ画像、例えば適切な地点のカメラ画像を提供する。
【解決手段】情報処理装置としての管理サーバ100は、選択部42,43と、指示部44,45とを有する。選択部は、複数の車両の中からカメラ画像を配信する配信車両と、配信車両からカメラ画像を受信する受信車両とを所定選択条件を適用して選択する。指示部は、選択された配信車両のカメラ画像を受信車両の表示部に表示するように指示する。情報処理装置は、条件変更部47を備える。条件変更部は、車両の運転者の特性に応じて所定選択条件を変更する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両の中からカメラ画像を配信する配信車両と、前記配信車両から前記カメラ画像を受信する受信車両とを所定選択条件を適用して選択する選択部と、
選択された前記配信車両のカメラ画像を前記受信車両の表示部に表示するように指示する指示部とを有する情報処理装置において、
車両の運転者の特性に応じて前記所定選択条件を変更する条件変更部
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記所定選択条件が成立する車両を予測する予測部と、
前記予測部が予測した予測車両に基づき受信車両候補と配信車両候補を設定して、当該受信車両候補と配信車両候補に通信確立を行わせる通信確立指示部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記選択部は、
前記配信車両と、前記受信車両とを第1条件を適用して選択する第1選択部と、
前記車両の運転者が特定の運転傾向である場合に、前記第1条件に優先して前記第1条件とは異なる第2条件を適用して、前記配信車両と前記受信車両とを選択する第2選択部と
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2選択部は、
所定の基準範囲から逸脱する運転傾向である場合に、前記特定の運転傾向であるとし、前記第2条件を適用して前記配信車両と前記受信車両とを選択すること
を特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2選択部は、
前記特定の運転傾向である前記車両の走行予定経路において、運転者が注意すべき注意地点を通過する前記車両を前記配信車両として選択すること
を特徴とする請求項3または4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2選択部は、
前記特定の運転傾向である前記車両が車線変更を要する事象の発生地点を前記注意地点として、前記配信車両を選択すること
を特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第2選択部は、
前記特定の運転傾向の運転者が運転する前記車両の後方に後続車両が複数台連続する場合に、当該車両を前記受信車両として選択するとともに、前記後続車両から前記配信車両を選択すること
を特徴とする請求項3〜6のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1選択部または前記第2選択部によって前記配信車両と前記受信車両とが選択された場合に、前記配信車両と前記受信車両との事前接続を指示する第1指示部と、
前記第1条件または前記第2条件にそれぞれ対応する表示条件が成立した場合に、前記配信車両から配信される前記カメラ画像を前記受信車両にて表示させる第2指示部と
を備えることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の情報処理装置と、
車両それぞれに搭載され、前記カメラ画像の送受信を行う車載装置と
を備えることを特徴とする配信システム。
【請求項10】
複数の車両の中からカメラ画像を配信する配信車両と、前記配信車両から前記カメラ画像を受信する受信車両とを所定選択条件を適用して選択する選択工程と、
選択された前記配信車両のカメラ画像を前記受信車両の表示部に表示するように指示する指示工程とを含む情報処理方法において、
車両の運転者の特性に応じて前記所定選択条件を変更する条件変更工程
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、配信システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両間で映像をやり取りするシステム、例えば先行車両のフロントカメラで撮影された先行車両の前方の映像を後方車両へ送信し、後方車両においてかかる映像を表示するシステムがある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−219531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、予め設定された条件が成立した場合に、車両間で映像の送受信を行うに過ぎず、運転者等に適切なカメラ画像を提供するうえで改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、運転者の運転傾向に応じて適切なカメラ画像、例えば適切な地点のカメラ画像を提供することができる情報処理装置、配信システムおよび情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態に係る情報処理装置は、選択部と、指示部とを有する。選択部は、複数の車両の中からカメラ画像を配信する配信車両と、配信車両からカメラ画像を受信する受信車両とを所定選択条件を適用して選択する。指示部は、選択された配信車両のカメラ画像を受信車両の表示部に表示するように指示する。情報処理装置は、条件変更部を備える。条件変更部は、車両の運転者の特性に応じて所定選択条件を変更する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転者の運転傾向に応じて適切な地点のカメラ画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、配信システムの概要を示す図である。
図1B図1Bは、配信システムの概要を示す図である。
図1C図1Cは、配信システムの概要を示す図である。
図2図2は、管理サーバのブロック図である。
図3図3は、車両情報データベースの一例を示す図である。
図4図4は、運転者情報データベースの一例を示す図である。
図5図5は、接続車両の具体例を示す図である。
図6図6は、接続車両の具体例を示す図である。
図7図7は、車載装置のブロック図である。
図8図8は、表示画像の一例を示す図である。
図9図9は、管理サーバが実行する処理手順を示すフローチャートである。
図10図10は、車載装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る情報処理装置、配信システムおよび情報処理方法について説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、図1A図1Cを用いて、実施形態に係る情報処理装置、配信システムおよび情報処理方法の概要について説明する。図1A図1Cは、配信システムの概要を示す図である。なお、以下では、情報処理装置が管理サーバ100である場合を例に挙げて説明する。また、実施形態に係る情報処理方法は、図1Aに示す管理サーバ100と、複数の車載装置1とが互いにデータを送受信することで実行される。
【0011】
図1Aに示すように、実施形態に係る配信システムSは、各車両に搭載された車載装置1と、管理サーバ100とを備える。図1Aに示す例では、車載装置1が通信機能を備えたドライブレコーダである場合を示す。車載装置1は、車両情報を所定周期で管理サーバ100へ送信する。例えば、車両情報には、車両の位置情報、走行状態に関する情報などが含まれる。
【0012】
管理サーバ100は、各車載装置1から送信された車両情報を車両情報データベースで管理するサーバ装置である。実施形態に係る配信システムSでは、管理サーバ100による指示に基づいて、車載装置1間でカメラ画像の配信および受信を行う。
【0013】
以下では、カメラ画像を配信する車載装置1や、かかる車載装置1を搭載した車両について「配信車両」、カメラ画像を受信する車載装置1や、かかる車載装置1を搭載した車両について「受信車両」と記載する場合がある。なお、車載装置1はカメラ画像の送信・受信機能を有しており、時間経過に伴い、配信車両が受信車両となり、受信車両が配信車両となる場合もある。
【0014】
ここで、図1Bを用いて、受信車両において配信車両から配信されたカメラ画像を表示するまでの一連の処理手順について説明しておく。図1Bに示すように、まず、管理サーバ100は、車両情報データベースに基づいて、接続車両を選択する(ステップS1)。
【0015】
ここでの接続車両には、受信車両と配信車両とが含まれる。例えば、渋滞区間を走行中の車両が配信車両となり、その渋滞区間をこれから通過予定の車両が受信車両となる。なお、受信車両と配信車両とは、1対1の関係である必要はなく、1つの受信車両に対して複数の配信車両が選択される場合、1つの配信車両に対して複数の受信車両が選択される場合もある。
【0016】
尚、事前接続は近い将来にカメラ画像の提供が行われるであろう(カメラ画像の必要性が高まるであろう)、つまり近い将来にカメラ画像の提供条件が成立するであろうと予想される車両間で行われる。例えば、渋滞に巻き込まれるか否かの分かれ目となる分岐点(交差点や高速道路の入口等)にまもなく到達する車両と渋滞に巻き込まれている車両や、前方の大型車両とその大型車両に間もなく追いつく車両(後方車の視界が前方大型車両に遮られる)、と言ったような車両等が、まもなく将来カメラ画像の必要性が高まるであろうと予想され選択されることになる。これらの予測を行うための予測用データは予め管理サーバ100に記憶される。また、予測用データは実際のカメラ画像提供実績やカメラ画像の要求に対する直前の車両周囲状況により学習処理を行うことにより予測精度を上げるようにしても良い。
【0017】
続いて、管理サーバ100は、ステップS1にて選択した接続車両に対して、事前接続を指示する(ステップS2)。事前接続の指示を受信した受信車両は、配信車両と事前接続を開始する(ステップS3)。
【0018】
なお、図1Bの例では、車両C3が受信車両であり、車両C1および車両C2が配信車両である場合を示す。事前接続においては、配信車両から受信車両へカメラ画像の配信を行うことにしてもよいし、単に通信を確立させた状態で待機しておくことにしてもよい。
【0019】
その後、配信システムSでは、受信車両において、所定の表示条件が成立した場合、例えばカメラ画像の情報要求度(有効度)が高くなった状態になった場合に、配信車両から配信されたカメラ画像が受信車両にて表示されることになる。なお、ここでの表示条件とは、受信車両が信号待ちなどで停車した場合(前方停止車両により前方視界が遮られる場合)、受信車両が渋滞に巻き込まれるか否かの分かれ目となる分岐点直前に到達した場合、受信車両から配信車両までの距離が所定値以下となった場合、受信車両の車載装置1に対して乗員が所定の操作を行った場合などの当該カメラ画像の情報要求度(有効度)が高くなった状態等で、これらの条件データは予め管理サーバ100に記憶される。また、カメラ画像の表示に適した車両状態(運転者が表示を視認できる状態)を条件に加えることも有効である。
【0020】
このように、実施形態に係る配信システムSでは、表示条件の成立を先読みし、配信車両と受信車両の事前接続を行っておく。そして、実施形態に係る配信システムSでは、表示条件が成立した場合には、配信車両から配信される他地点のカメラ画像を受信車両にて表示させる。
【0021】
つまり、実施形態に係る配信システムSでは、表示条件の成立を先読みすることで、表示条件の成立した段階で速やかに他地点のカメラ画像を受信車両にて表示することが可能となる。
【0022】
ところで、このような配信システムにおいては、運転者ごとに接続車両の最適化を行うことで、更なるサービス向上を図ることが可能となる。特に、運転に不慣れな運転者や、高齢の運転者は、一般的な運転者に比べて、運転中に多くの情報を即座に処理することが困難となる。
【0023】
このため、実施形態に係る配信システムSでは、ステップS1における接続車両を選択する際の条件を運転者の運転傾向(運転者の特性)にあわせて切り替えることとした。具体的には、図1Cに示すように、例えば、車両C1、車両C2それぞれの運転者に対しては、第1条件を適用し、接続車両を選択し、車両C3の運転者に対しては、第2条件を適用して接続車両を選択する。
【0024】
ここで、車両C1、車両C2それぞれの運転者は、標準的な運転傾向であり、車両C3の運転者は、特定の運転傾向であるものとする。ここで、特定の運転傾向とは、運転者の運転傾向が基準範囲から逸脱することを指す。すなわち、本実施形態では、標準的な運転傾向でない運転傾向を特定の運転傾向と呼ぶこととする。
【0025】
特定の運転傾向の運転者には、例えば、運転操作判断が遅れがちな運転傾向の運転者としては、運転に不慣れな運転者、高齢の運転者などが含まれる。また、運転に不慣れな運転者には、仮運転免許の運転者(教習中の運転者)、運転免許証を取得してから所定期間の運転者(初心者)、ペーパードライバー、走行地域の土地勘の無い運転者などが含まれる。以下では、特定の運転傾向の運転者を特定運転者と記載し、特定運転者が運転中の車両を特定車両と記載する場合がある。
【0026】
例えば、上述の運転操作判断が遅れがちな特定運転者は、一般的な運転者に比べて、車線変更に多くの時間を要する場合や、周囲の状況の迅速な把握が困難であったりする。このため、特定運転者には、車線変更が必要となる事象が発生した場合、早めに事象の状況を通知することが好ましい。
【0027】
このため、例えば、配信システムSでは、特定運転者に対しては、特定車両の走行予定経路上に車両が停車し、特定車両が車線変更を行う必要が生じた場合、停車中の車両の状況を早めに通知する。
【0028】
また、例えば、配信システムSでは、低速運転によって、当該車両を先頭として複数の車両で構成される渋滞が発生した場合には、後続車両の状況を当該車両の運転者へ通知することもできるが、当該車両の運転者が特定運転者の場合にはより少数の後方に連なる車両台数を条件として通知を行うようにする、後方の所定距離内の車両台数(まもなく車両が連なる状態になると予想される距離と台数の状態)が所定台数を超えた場合に通知を行うようにする等、早めの通知を行い対応するための時間に余裕を持たせるのが好ましい。また、配信システムSでは、特定車両については特定車両の状況を周囲の車両へ通知することも可能である。
【0029】
このように、実施形態に係る配信システムSでは、特定運転者に対して、一般運転者向けの第1条件ではなく第2条件を適用し、接続車両を選択することで、特定運転者の運転傾向に応じて適切なカメラ画像、例えば適切な地点のカメラ画像を配信することができる。なお、以下では、特定運転者に対して、第2条件に加え、さらに、第1条件が適用される場合について説明する。換言すれば、全ての運転者に対して第1条件が適用され、特定運転者に対してはさらに第2条件が適用される場合について説明する。
【0030】
次に、図2を用いて、実施形態に係る管理サーバ100の構成例について説明する。図2は、管理サーバ100のブロック図である。図2に示すように、管理サーバ100は、通信部2と、記憶部3と、制御部4とを備える。
【0031】
通信部2は、例えばNIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部2は、所定のネットワークと無線で接続され、ネットワークを介して、他の車載装置1との間で情報の送受信を行う。
【0032】
記憶部3は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、図2の例では、車両情報データベース31と、運転者情報データベース32と、適用条件データベース33とを備える。
【0033】
車両情報データベース31は、各車載装置1から送信される車両情報を格納するデータベースである。図3は、車両情報データベース31の一例を示す図である。図3に示すように、車両情報データベース31は、「車両ID」、「IPアドレス」、「現在地」、「走行速度」および「走行予定経路」などを互いに関連付けて記憶する。
【0034】
「車両ID」は、各車両を識別する識別子であり、「現在地」は、対応する車両の現在地である。また、「走行速度」は、対応する車両の現在の走行速度であり、「走行予定経路」は、対応する車両の走行予定の経路を示す。上述のように、走行予定経路は、各車両のナビゲーション装置にて設定された経路であるが、ナビゲーション装置にて経路が設定されていない場合には、ブランクとなる。
【0035】
図2の説明に戻り、運転者情報データベース32は、各車両の運転者に関する情報を格納するデータベースである。図4は、運転者情報データベース32の一例を示す図である。なお、図4の例では、運転者情報データベース32が運転者ごとの情報を記憶する場合を示すが、車両が特定の運転者しか運転されない場合は、車両ごとの情報を記憶することにしてもよい。
【0036】
図4に示すように、運転者情報データベース32は、「運転者ID」に関連付けて「運転傾向」、「事故歴」、「適用条件」などといった情報を記憶する。「運転者ID」は、運転者を識別する識別子であり、「運転傾向」は、対応する運転者の運転の傾向を示す。図4の例では、運転傾向が標準運転、教習中、高齢者運転、危険運転に大別される場合を示す。
【0037】
標準運転は、基準範囲内の運転傾向であり、標準的な運転傾向を示し、教習中は、仮運転免許証を取得し、運転免許証の教習を受けていることを示す。また、「高齢者運転」は、高齢者に特有の運転傾向であることを示し、「危険運転」は、法定速度の速度超過などといった危険運転の常習者であることを示す。
【0038】
教習中、高齢者運転、危険運転は、いずれも基準範囲から逸脱した運転傾向の一例であり、かかる運転傾向の運転者が上記の特定運転者となる。このように、特定運転者が運転する特定車両については、第2条件を適用し、周囲に注意を喚起することで、特定車両が絡む事故を抑制することができる。なお、各運転者がどの運転傾向に対応するかは、例えば、運転者それぞれの運転履歴や、運転免許証の種別等に基づいて、適宜判定するとよい。
【0039】
また、「事故歴」は、対応する運転者の運転による事故歴を示す。また、「適用条件」は、接続車両を選択する際に、対応する運転者に適用する条件を示す。上述のように、適用条件には、第1条件と、第2条件のいずれかが適用され、図4の例では、第1条件を「C1」、第2条件を「C2」として示す。
【0040】
また、図4に示す例では、第2条件が、「C2−1」、「C2−2」、「C2−3」などさらに細分化される場合を示す。すなわち、第2条件をさらに細分化することで、運転者の運転傾向に応じて、さらに接続車両の最適化を図ることが可能となる。なお、特定運転者に対しては、第1条件である「C1」の記載を省略したが、特定運転者に対しては、さらに、第1条件が適用されるものとする。
【0041】
図2の説明に戻り、適用条件データベース33について説明する。適用条件データベース33は、第1条件および第2条件をそれぞれ格納するデータベースである。
【0042】
次に、制御部4について説明する。制御部4について説明する。制御部4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0043】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部4の取得部41、第1選択部42、第2選択部43、第1指示部44、第2指示部45、予測部46および条件変更部47として機能する。
【0044】
また、制御部4の取得部41、第1選択部42、第2選択部43、第1指示部44、第2指示部45、予測部46および条件変更部47の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0045】
取得部41は、各車載装置1から車両情報を取得し、取得した車両情報に基づいて、車両情報データベース31を更新する。なお、取得部41は、各車載装置1からカメラ画像を取得し、記憶部3に格納しておくことにしてもよい。例えば、記憶部3に記憶されたカメラ画像は、該当する配信車両が存在しない場合に、代替(過去)参考画像として受信車両へ提供される。
【0046】
また、取得部41は、各車載装置1から運転者を識別するための情報を取得する。運転者を識別するための情報としては、例えば、車内カメラの画像、運転免許証に関する情報、運転者が所持する通信端末(例えば、スマートフォン)の認証情報などが挙げられ、これらの情報を各種データ読込器(カメラ、NFCや有線式カードリーダ等)により読み取る。
【0047】
管理サーバ100は、車内カメラの画像、運転免許証に関する情報、運転者が所持する通信端末の認証情報に基づいて、各車両の運転者を識別することができる。なお、運転者の認証については、車載装置1で行うことにしてもよい。
【0048】
予測部46は、所定選択条件が成立する車両を予測する。予測部46は、第1条件を近く満たす車両を予測する。予測部46は、第2条件を近く満たす車両を予測する。
【0049】
条件変更部47は、車両の運転者の特性に応じて所定選択条件を変更する。条件変更部47は、車両の運転者の特性に応じて所定選択条件を第1条件、および第2条件に変更する。
【0050】
第1選択部42は、複数の車両の中からカメラ画像を配信する配信車両と、配信車両からカメラ画像を受信する受信車両とを第1条件を適用して選択する。具体的には、第1選択部42は、例えば、受信車両を選択し、その後、選択した受信車両に応じて配信車両を選択する。
【0051】
例えば、第1選択部42は、これから渋滞区間に到達するであろう車両を受信車両として選択し、かかる渋滞区間を走行中の車両や、受信車両よりも先に渋滞区間に到達する見込みの車両を配信車両として選択する。
【0052】
また、第1選択部42は、ナビゲーション装置の経路を設定中、あるいは走行中の車両を受信車両として選択し、上記の経路を先行して走行中の車両を配信車両として選択する。この際、例えば、経路上に存在する分岐点、事故や渋滞多発地点などといった特異点を撮影可能な車両を配信車両として選択するとよい。
【0053】
その他、第1選択部42は、危険走行区間、例えばR値(曲率半径)が所定値以下(制限速度に応じてR値を可変するのが好ましい)の急カーブをこれから通過する車両を受信車両として選択し、かかる受信車両の前方車両、すなわち、急カーブを受信車両よりも先に通過する車両を配信車両として選択することにしてもよい。
【0054】
また、第1選択部42は、配信車両を選択した後に、受信車両を選択することにしてもよい。例えば、第1選択部42は、事故回避のため等に行う危険な運転操作、例えば急ブレーキを行った車両を配信車両として選択し、配信車両の後続車両を受信車両として選択する。この場合、配信車両が危険な運転操作、例えば急ブレーキを行った原因(例えば、子供による飛び出しなど)が写るカメラ画像を後続車両へ配信することができる。
【0055】
第2選択部43は、車両の運転者が特定の運転傾向である特定車両に対して、第1条件に加え第1条件とは異なる第2条件を適用して、配信車両と受信車両とを選択する。具体的には、例えば一般運転者にはあまり必要性の高くないカメラ映像も特定車両の運転者には提供するようにする。例えば、前述の例では、危険走行区間の範囲を広げる、例えばR値(曲率半径)の閾値を一般車両に対するよりも大きめにすると言った条件としたり、急坂等も条件に加えると言ったものとする。
【0056】
また異なった類の選択方法例として、第2選択部43は、特定車両を配信車両として選択し、特定車両の周囲の車両を受信車両として選択する。なお、この場合においては、特定車両の後続車両(特定車両を撮影可能な車両)を配信車両として選択することにしてもよい。
【0057】
この場合には、特定車両の状況を周囲の他車両へ通知することができる。これにより、特定車両の周囲を走行する車両の運転者に対して、特定車両に対する配慮を促すことができる。
【0058】
ここで、図5および図6を用いて、第2選択部43による選択処理の具体例について説明する。図5および図6は、接続車両の具体例を示す図である。図5では、特定運転者が運転する特定車両Csの進行方向前方の路肩に車両が停車している場合を示し、特定車両Csの先行車両Cp1、Cp2が停車中の車両を避けるために、車線変更を行った場合を示す。
【0059】
図5のシチュエーションにおいて、特定車両Csは、先行車両Cpと同様に車線変更を行う必要がある。このため、第2選択部43は、特定車両Csを受信車両として選択するとともに、2台前の先行車両Cp1と特定車両Csとの間を走行中の車両を配信車両として選択する。
【0060】
尚、車両Csが一般車両であった場合は、第1選択部42が1台前の先行車両Cp2を配信車両として選択する。
【0061】
すなわち、受信車両よりも先に車線変更を行う車両を配信車両として選択するが、特定車両Csの場合には、一般車両の場合よりもより先の車両(早く車線変更をする車両)を配信車両として選択することにより、早めの車線変更を促すことになる。
【0062】
尚、本例では1台前、2台前の車両を配信車両としたが、道路状況(制限速度・実走行速度等)等に応じて適切な台数前の車両に設定するようにすれば良い。
【0063】
また、本例ではこの場合、特定車両Csに対して第1選択部42の選択による画像配信の必要性は低いので(紛らわしいので行わない方が良い場合もある)、その通知は行わない、つまり第2選択部43の選択による画像配信を優先処理とするが、両方を行う、つまり第1選択部42および第2選択部43の選択による画像配信を両立的処理とする方法も可能である。
【0064】
これにより、特定車両Csの運転者に対して、特定車両Csが実際に車線変更を行う前に、一般車両よりも早めに停車中の車両の状況を通知することができるので、余裕を持った早めの車線変更を促すことができる。
【0065】
なお、ここでは、特定車両Csの前方に車両が停車中である場合について説明したが、例えば、特定車両Csの走行予定経路上に注意地点が存在する場合についても、特定車両Csを受信車両、注意地点をこれから通過する車両を配信車両として選択することにしてもよい。なお、注意地点の具体例としては、事故や急ブレーキの多発地点、インターチェンジなどの合流地点、一時停止地点などが挙げられる。
【0066】
また、図6の例では、特定車両Csの後方に複数の後続車両Cfが存在する場合を示す。すなわち、図6の例では、特定車両Csを先頭とした複数の車両から構成される渋滞が発生している場合を示す。
【0067】
このような場合、第2選択部43は、特定車両Csを受信車両として選択するとともに、特定車両Csを先頭とした複数の車両から構成される渋滞の後続車両Cf(例えば、渋滞最後尾から所定台数(例えば3台)後ろの車両)を配信車両として選択する。
【0068】
この場合には、特定車両Csの特定運転者に対して、特定車両Cs(自ら)が引き起こしている渋滞の状況(後続車両Cfから見える状況)を知らせることができる。したがって、例えば、特定運転者に対して、路肩に車を寄せさせて後続車両へ道を譲るなどといった措置を促すことができる。
【0069】
尚、一般車両に対しても同様の通知を行うようにし、特定車両Csに対しては、早めの通知、例えば渋滞長が一般車両に対するよりも短い状態から通知を行うようにしても良い。
【0070】
なお、上述のように、特定運転者には、運転傾向が「危険運転」の運転者が含まれる。第2選択部43は、かかる特定運転者の特定車両Csを配信車両として選択するとともに、特定車両Csの周囲の車両を受信車両として選択する。
【0071】
この際、第2選択部43は、「危険運転」の特定車両Csが特定車両Csの前方の先行車両へ接近した場合に、特定車両Csを配信車両、先行車両を受信車両として選択する。この場合、例えば、特定車両が先行車両よりも速い走行速度で先行車両へ近づいてきた場合に、前方車両に対して、特定車両の接近を通知することができる。
【0072】
つまり、一般車両では先行車両に対してこのような通知を行う必要性は低いので、このような条件での通知、カメラ画像の提供は行わない。
【0073】
図2の説明に戻り、第1指示部44について説明する。第1指示部44は、第1選択部42または第2選択部43によって、カメラ画像表示条件成立が予想される配信車両と受信車両とが選択された場合に、配信車両と受信車両との事前接続を指示する。
【0074】
例えば、第1指示部44は、配信車両に関する車両情報を車両情報データベースから抽出し、抽出した車両情報とともに、配信車両と受信車両に相互間の通信接続指示を送信する。これにより、受信車両と配信車両との事前接続が開始されることになる。
【0075】
この際、第1指示部44は、第1選択部42によって選択された通信車両と、第2選択部43によって選択された通信車両との重複を判定し、例えば、双方の通信車両において受信車両が重複している場合には、第2選択部43の選択を優先させる。
【0076】
つまり、第1指示部44は、特定車両に対して、第2条件に基づいて選択された配信車両が第1条件に基づいて選択された配信車両に優先して通信接続が行われるように指示する。
【0077】
これにより、特定車両では、表示条件成立時において、第2条件に基づいて配信されるカメラ画像の表示までにかかる時間を第1条件に基づいて配信されるカメラ画像の表示までにかかかる時間をよりも早くすることが可能となる。
【0078】
また、第1条件、第2条件による表示を両方行う(優先度を設定しない)場合には、どちらの条件が早く成立するかを予測して(条件内容により)、早く成立すると予測される方で通信接続を行うようにすれば良い。
【0079】
このように、第1指示部44(通信確立候補の一例)は、受信車両(受信車両候補)と配信車両(配信車両候補)とを設定して、受信車両と配信車両とに通信確立を行わせる。
【0080】
第2指示部45は、第1指示部44による通信接続の指示後に、第1条件または第2条件に基づく表示条件が成立した場合に、配信車両から配信されるカメラ画像を受信車両にて表示させる。
【0081】
例えば、第1条件に基づく表示条件としては、受信車両が渋滞に加わった場合、もしくは、かかる渋滞の手前(例えば、迂回路の手前)で停車した場合などが挙げられる。また、第1条件に基づく表示条件として、例えば、受信車両の車載装置1に対する操作(例えば、表示対象を指定した直接の情報表示指示)を含む。
【0082】
また、第2条件に基づく表示条件としては、例えば、特定車両から注意地点(停車中の車両を含む)までの距離が所定値以下となった場合、特定車両を先頭として、所定台数以上の渋滞が発生した場合などが挙げられる。
【0083】
なお、特定運転者への負荷を軽減する観点からは、別種の表示条件として、車両が停車した場合に、カメラ画像を表示することも効果的である。すなわち、この場合には、車両が停車中にカメラ画像が表示されるので、車両の走行時には運転者を運転に集中させることができる。
【0084】
また、第2条件に基づく表示条件として、例えば、危険運転の特定運転者の特定車両を配信車両とする場合、前方の受信車両との距離が所定値以下となった場合、すなわち、特定車両が前方の車両へ急接近した場合などが含まれる。
【0085】
第2指示部45は、受信車両や配信車両の状態を監視し、上記の表示条件を満たすか否かを判定し、いずれかの表示条件が成立した場合に、受信車両に対して、配信車両から配信されるカメラ画像の表示指示を行う。
【0086】
また、第2指示部45は、第1条件に基づいて選択された受信車両と、第2条件に基づいて選択された受信車両との重複を判定することにしてもよい。すなわち、第2指示部45は、同一の受信車両において、第1条件に基づく表示条件と、第2条件に基づく表示条件とが重複して成立する場合には、第2条件の表示指示を優先して受信車両に対して行う。
【0087】
なお、重複した場合、第1条件に基づく表示と、第2条件に基づく表示を順番に表示する(優先度を考慮して第2条件に基づく表示を先に表示する)方法でも良い。
【0088】
つまり、受信車両は、第1条件に基づく配信車両、第2条件に基づく配信車両それぞれと通信接続を行っておき、その後、第2条件に基づく配信車両から受信したカメラ画像を優先的に表示することになる。なお、第2指示部45は、例えば、第1指示部44が事前接続の指示を行う際に、表示条件をあわせて受信車両へ送信することにしてもよい。この場合、受信車両において、かかる表示条件が成立したか否かの判定を行うことにしてもよい。
【0089】
尚、通信接続数が制限される場合は、優先度の高い条件(第2条件)を優先的に選択して接続確立することになる。
【0090】
次に、図7を用いて、車載装置1の構成例について説明する。図7は、車載装置1のブロック図である。図7に示すように、実施形態に係る車載装置1には、カメラ101、車載センサ102、GPS(Global Positioning System)装置103およびナビゲーション装置104が接続される。
【0091】
カメラ101は、車両Cの周囲を撮像するカメラであり、所定のフレームレートでカメラ画像を生成する。なお、カメラ101は、車内を撮像するカメラを含むようにしてもよい。
【0092】
車載センサ102は、車両Cの走行状態を検出する各種センサであり、例えば、速度センサ、ブレーキセンサ、舵角センサ、Gセンサ等を含む。
【0093】
GPS装置103は、GPS衛星(不図示)から送信される測位信号に基づいて、車両の現在地を測位する。ナビゲーション装置104は、乗員によって設定された車両Cの目的地までの走行経路を設定する装置である。
【0094】
また、図7に示すように、車載装置1は、車載装置1が出力したカメラ画像などの画像を表示する表示装置50に接続される。表示装置50は、表示部51および操作部52を備える。
【0095】
表示部51は、例えば、有機ELディスプレイや、液晶ディスプレイで構成されたタッチパネルディスプレイであり、車載装置1から出力される映像信号を表示する。操作部52は、表示部51に表示された画像に基づき、乗員からの所定操作を受け付ける。
【0096】
操作部52は、カメラ画像の再生、停止、巻き戻し等の各種操作を受け付けることも可能である。また、ユーザは、操作部52を介して、過去に撮像されたカメラ画像の配信を要求することも可能である。
【0097】
すなわち、実施形態に係る配信システムSでは、カメラ画像のリアルタイム配信に加え、過去に撮像されたカメラ画像の録画配信を行うこともできる。なお、操作部52を例えば、表示装置50とは別に設けることにしてもよい。
【0098】
図7に示すように、車載装置1は、通信部5と、記憶部6と、制御部7とを備える。通信部5は、例えばNIC等によって実現される。通信部5は、所定のネットワークと無線で接続され、ネットワークを介して、他の車載装置1や、管理サーバ100との間で情報の送受信を行う。
【0099】
記憶部6は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、図7の例では、カメラ画像情報61を記憶する。
【0100】
カメラ画像情報61は、カメラ101によって撮影されたカメラ画像に関する情報であり、カメラ像のデータ本体、撮影日時、撮影位置などが含まれる。また、カメラ画像情報61は、他の車両で撮影されたカメラ画像を含む。
【0101】
続いて、制御部7について説明する。制御部7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0102】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部7の送信部71、受信部72、生成部73、再生部74および表示制御部75として機能する。
【0103】
また、制御部7の送信部71、受信部72、生成部73、再生部74および表示制御部75の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0104】
送信部71は、車両に関する車両情報を所定周期で管理サーバ100へ送信する。具体的には、送信部71は、車載センサ102によって検出された走行状態に関する情報、GPS装置103によって検出された位置情報を含む車両情報を生成し、管理サーバ100へ送信する。
【0105】
この際、送信部71は、全ての走行状態に関する車両情報を生成する必要はなく、データを選別して送信データを生成することにしてもよい。例えば、送信部71は、急ブレーキや急舵角を検出した場合にのみ、走行状態に関する情報を送信することにしてもよい。また、送信部71は、自装置が配信車両として選択された場合には、カメラ画像を受信車両に対して送信する。
【0106】
受信部72は、配信車両からカメラ画像を受信する。具体的には、受信部72は、管理サーバ100から接続指示を受信すると、接続指示に基づいて、配信車両との通信接続の接続要求を送信部71に対して指示する。
【0107】
その後、受信部72は、配信車両から配信されるカメラ画像の受信を開始すると、カメラ画像を再生するビュワーアプリ(後述の再生部74に対応)を起動させる。そして、再生部74にて、バックグランド再生を開始させる。
【0108】
なお、バックグラウンド再生時に再生するカメラ画像は、表示装置50に基本的に表示されないので、受信部72は、バックグラウンド再生時のカメラ画像について、低容量画像を受信することにしてもよい。
【0109】
なお、低容量画像とは、実際に表示装置50に表示されるカメラ画像に比べて、フレームレートが低いカメラ画像、解像度が低いカメラ画像、ビットレートが低いカメラ画像のいずれか一つを含むカメラ画像である。これにより、通信負荷を抑えつつ、カメラ画像を受信することが可能となる。
【0110】
生成部73は、ナビゲーション装置104から通知されるナビゲーション画像を加工することで、表示装置50に表示する表示画像を生成する。図8は、表示画像の一例を示す図である。
【0111】
図8に示すように、カメラ画像の表示画面においては、カメラ画像Lcとともに、カメラ画像Lcの撮影位置を示す地図画像Lmが表示される。地図画像Lmにおいては、自車両の位置を示す自車両アイコンA1と、配信車両によるカメラ画像Lcの撮像位置を示す他車両アイコンA2とが重畳される。
【0112】
また、他車両アイコンA2には、リアルタイム配信であることを示す「LIVE」の吹き出しが表示される。このように、他車両アイコンA2を地図画像Lmとともに表示することで、カメラ画像Lcの撮像位置を容易に認識することが可能となる。
【0113】
図7の説明に戻り、表示制御部75について説明する。表示制御部75は、所定の表示条件が成立した場合に、配信車両から配信されるカメラ画像を表示する。
【0114】
具体的には、表示制御部75は、管理サーバ100から送信される表示指示を受信部72が受信した場合に、配信車両から受信したカメラ画像を表示する。ここで、カメラ画像を表示するとは、再生部74によってバックグラウンド再生中のカメラ画像(例えば、カメラ画像Lc)の画面階層を最前面とすることを指す。
【0115】
より詳しくは、生成部73によって生成された表示画像の画面階層を最前面に切り替えることで、配信車両から配信されるカメラ画像(例えば、カメラ画像Lc)が表示装置50に表示されることになる。
【0116】
このように、表示制御部75は、画面階層を切り替えるだけでよいので、表示条件の成立後、配信車両において撮影されたカメラ画像を速やかに乗員へ提供することが可能となる。
【0117】
次に、図9を用いて、実施形態に係る管理サーバ100が実行する処理手順について説明する。図9は、管理サーバ100が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理手順は、各車両それぞれに対して繰り返し実行される。
【0118】
図9に示すように、まず、管理サーバ100は、処理対象車両が第1条件を近く満たすと予想されるかを判定して(ステップS101)、満たすと判定した場合(ステップS101,Yes)は接続車両として選択する(ステップS102)。また、満たさないと判定した場合(ステップS101,No)は、ステップS102の処理は行わない。
【0119】
そして、次に管理サーバ100は、処理対象車両が第2条件を近く満たすと予想されるかを判定して(ステップS103)、満たすと判定した場合(ステップS103,Yes)は接続車両として選択する(ステップS104)。また、満たさないと判定した場合(ステップS103,No)は、ステップS104の処理は行わない。
【0120】
つまり、管理サーバ100は、第1条件、または第2条件を近く満たすと予想される、車両を抽出・選択する。
【0121】
続いて、管理サーバ100は、処理対象車両の選択状況を判断する。具体的には、管理サーバ100は、処理対象車両の選択状況が第1・第2条件を共に近く満たす選択状態であるか判定し(ステップS105)、第1・第2条件を共に近く満たす選択状態の場合(ステップS105,Yes)は、当該受信車両については第2条件を優先させて適用する受信車両として決定する(ステップS106)。
【0122】
また、管理サーバ100は、第1・第2条件を共に近く満たさない選択状態の場合(ステップS105,No)は、第1・第2条件の一方を近く満たす選択状態であるか判定し(ステップS107)する。管理サーバ100は、第1・第2条件の一方を近く満たす選択状態の場合(ステップS107,Yes)は、ステップS102またはステップS104で選択された条件(第1条件または第2条件)を適用する受信車両として決定する(ステップS108)。また、管理サーバ100は、第1・第2条件のどちらも近く満たす状況ではない状態、つまり受信車両が選択されていない状態の場合(ステップS107,No)、本処理を終える。
【0123】
次に、管理サーバ100は、適用する条件に基づき受信車両に対する配信車両を決定する(ステップS109)。
【0124】
続いて、管理サーバ100は、選択・決定された受信車両および配信車両に車両間の事前接続指示を示す第1指示を実行する(ステップS110)。
【0125】
次に、管理サーバ100は、処理対象車両に関して表示条件が成立したか否かを判定する(ステップS111)し、表示条件が成立したと判定した場合(ステップS111,Yes)、受信車両に対して配信車両のカメラ画像を表示させる第2指示を送信し(ステップS112)、処理を終了する。また、管理サーバ100は、ステップS111の判定処理において、表示条件が成立していないと判定した場合には(ステップS111,No)、処理対象車両が状態が近く第1・第2条件を満たす状態(S101,S103が判定した状態)から変化したか判定し(ステップS113)、変化していれば(ステップS113,Yes)受信車両、配信車両に通信接続解除の指示を行って本処理を終え、変化していなければ(ステップS113,No)、ステップS111に戻り、処理を繰り返す。
【0126】
尚、図9の処理は、受信車両を選択して選択された受信車両に基づき配信車両を決定する流れの動作に対する処理であるが、配信車両を選択して選択された配信車両に基づき受信車両を決定する流れの動作に対する処理の場合は、配信車両としての第1・第2条件を近く満たす車両を先ず選択する処理として同様の処理を行うことにより、実現が可能である。
【0127】
次に、図10を用いて、受信車両の車載装置が実行する処理手順について説明する。図10は、車載装置1が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理手順は、受信車両の車載装置1が動作中に繰り返し実行される。
【0128】
図10に示すように、車載装置1は、事前接続に関する指示である第1指示を受信したか否かを判定し(ステップS201)、第1指示を受信した場合(ステップS201,Yes)、第1指示に基づいて配信車両に対して接続要求を行う(ステップS202)。これにより、受信車両と配信車両の通信接続が確立され、カメラ画像等の情報の送受信が可能となる。
【0129】
続いて、車載装置1は、ビュワー(再生部74)を起動し(ステップS203)、配信車両から送信されるカメラ画像のバックグランド再生を開始する(ステップS204)。続いて、車載装置1は、カメラ画像の表示指示である第2指示を受信したか否かを判定し(ステップS205)、第2指示を受信した場合(ステップS205,Yes)、配信車両から配信されるカメラ画像を表示し(ステップS206)、処理を終了する。
【0130】
また、受信車両は、ステップS201の判定において、第1指示を受信していない場合(ステップS201,No)、本処理を終了する。
【0131】
また、ステップS205の判定において、第2指示を受信していない場合(ステップS205,No)、受信車両・配信車両間の通信接続解除指示の有無を判定し(ステップS207)、通信接続解除指示がなければ(ステップS207,No)ステップS205からの処理を継続して行い、通信接続解除指示があれば(ステップS207,Yes)、本処理を終了する。
【0132】
上述したように、実施形態に係る管理サーバ100(情報処理装置の一例)は、第1選択部42と、第2選択部43とを備える。第1選択部42は、複数の車両の中からカメラ画像を配信する配信車両と、配信車両からカメラ画像を受信する受信車両とを第1条件を適用して選択する。
【0133】
第2選択部43は、車両の運転者が特定の運転傾向である特定車両に対して、第1条件に優先して第1条件とは異なる第2条件を適用して、配信車両と受信車両とを選択する。したがって、実施形態に係る情報処理装置によれば、運転者の運転傾向に応じて適切な地点のカメラ画像を提供することができる。
【0134】
ところで、上述した実施形態では、情報処理装置が管理サーバ100である場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、情報処理装置の機能構成を車載装置1に持たせることにしてもよい。
【0135】
この場合、車載装置1は、管理サーバ100から例えば、自車両を基準として所定範囲に存在する車両に関する車両情報を管理サーバ100から随時取得し、取得した車両情報に基づいて、第1条件および第2条件に基づいて配信車両を選択する。なお、この場合、自車両は、受信車両として選択されることになる。
【0136】
また、この場合において、特定運転者に対しては、第1条件に優先して第2条件に基づいて配信車両が選択されるので、運転者の運転傾向に対して適切な地点のカメラ画像を提供することができる。
【0137】
また、上述した実施形態では、車両から撮影されたカメラ画像を他の車両へ配信する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、定点カメラで撮影されたカメラ画像を配信することにしてもよい。
【0138】
この場合、例えば、定点カメラに比べて配信車両のカメラ画像を優先的に配信し、該当する配信車両がいない場合に、定点カメラのカメラ画像を配信することにしてもよい。
【0139】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0140】
1 車載装置
41 取得部
42 第1選択部
43 第2選択部
44 第1指示部
45 第2指示部
46 予測部
47 条件変更部
71 送信部
72 受信部
73 生成部
74 再生部
100 管理サーバ
S 配信システム
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10