【解決手段】ソケットコンタクト1が、コンタクト本体部2と、電線接続部3と、ランス4とを含む。コンタクト本体部2が、矩形状の底板部20と一対の側板部30とを含む溝形に形成される。底板部20が、一対の狭幅部21,22と、一対の狭幅部21,22間に配置された広幅部23とを含む。広幅部23は、一対の側板部の基端部30aに形成される切欠孔31にそれぞれ隣接する切り起こし状の一対の幅方向縁部23aを含む。ランス4は、広幅部23に形成される矩形孔24の縁部24aから延びる片持ち切り起こし状の弾性舌片である。ランス4の幅W2が、狭幅部21,22の幅に相当する一対の側板部30の最大外幅W1と同等又は同等以上である。
前記ランスの前記先端部が、前記ランスが撓むときに前記矩形孔の前記挿入方向の反対側の縁部と干渉する薄肉圧延部で形成されている、請求項2に記載のソケットコンタクト。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、前記ランスの幅(横幅)を比較的広幅とすることにより、ばね性及び剛性の向上を図り、抜け止め保持力を向上している。しかしながら、前記ランスの幅は、一対の側板部の最大外幅よりも小さい。
一方、抜け止め保持力を更に向上したいという要請がある。
本発明の目的は、抜け止め保持力の高いソケットコンタクト及びソケットコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、ソケットハウジング(60)の収容孔(70)に挿入方向(X1)に挿入されて保持されるソケットコンタクト(1;1P;1Q)であって、矩形状の底板部(20)と一対の側板部(30;30Q)とを含み、溝形に形成されたコンタクト本体部(2)と、前記コンタクト本体部から前記挿入方向の反対側(X2)に延設され、電線(90)に接続される電線接続部(3)と、前記ソケットハウジングの前記収容孔内の係止部(67c)と係合することにより、前記コンタクト本体部が前記挿入方向の反対側に移動することを規制するランス(4;4P)と、を備え、前記底板部(20)が、前記挿入方向に離隔する一対の狭幅部(21,22)と、前記一対の狭幅部間に配置され、前記挿入方向と直交する幅方向(W)に関して前記狭幅部よりも幅の広い広幅部(23)であって、前記一対の側板部の基端部(30a)に形成される一対の切欠孔(31)にそれぞれ隣接する切り起こし状の一対の幅方向縁部(23a)を含み、前記一対の幅方向縁部が前記収容孔の一対の内側壁面(63a,64a)と当接することにより、前記コンタクト本体部の幅方向移動を規制する広幅部と、を含み、前記ランスが、前記広幅部に形成された矩形孔(24)の前記挿入方向側の縁部(24a)から前記挿入方向の反対側に向けて延びる片持ち切り起こし状の矩形の弾性舌片であり、前記幅方向に関して、前記ランスの幅(W2)が、前記狭幅部の幅に相当する前記一対の側板部の最大外幅(W1)と同等又は同等以上とされている、ソケットコンタクトを提供する。
【0006】
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
請求項2に記載の発明のように、請求項1において、前記ランスの先端部(4b)が、残りの部分よりも薄肉に形成されていてもよい。
【0007】
請求項3に記載の発明のように、請求項2において、前記ランスの前記先端部が、前記ランスが撓むときに前記矩形孔の前記挿入方向の反対側(X2)の縁部(24b)と干渉する薄肉圧延部で形成されていてもよい。
請求項4に記載の発明のように、請求項1〜3の何れか一項において、前記一対の側板部(30Q)が、一対の剛性片部(33Q)と、一対の剛性片部に対して前記挿入方向に離隔して配置され、相手側コンタクトと接続される一対の接触弾性片部(32)と、を含み、前記一対の剛性片部の先端部(33Qb)から内向き直交状に延設される一対の延設片部(36)の先端部(36a)どうしが、互いに突き当てられていてもよい。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載のソケットコンタクト(1)と、前記ソケットコンタクトが挿入方向に挿入されて保持される収容孔(70)が形成されたソケットハウジング(60)と、を備え、前記ソケットハウジングの前記収容孔の内側壁面(63a,64a)に、前記ソケットコンタクトが上下逆に挿入されるときに、前記ソケットコンタクトの広幅部の幅方向縁部(23a)の前記挿入方向側の端部(23b)と当接することにより、前記ソケットコンタクトが前記挿入方向の正規位置へ挿入されることを規制する規制部(73)が設けられる、ソケットコネクタ(50)を提供する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明のソケットコンタクトでは、コンタクト本体部の底板部の広幅部に矩形孔が形成され、その矩形孔の挿入方向側の縁部から片持ち切り起こし状の矩形の弾性舌片であるランスが延びている。ランスの幅が、一対の側板部の最大外幅と同等又は同等以上と広くされている。このため、ランスのばね性と剛性が高められる。このため、ランスがソケットハウジングと係合するときに、高い抜け止め保持力を確保することができる。また、広幅部が、ランスを安定して支持する幅広の土台となるため、不用意なランスの変形を抑制して、抜け止め保持力を高めることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、ランスの先端部が、残りの部分よりも薄肉に形成されており、抜け止め時に、ソケットハウジングに対して食い込むように係合する。このため、抜け止め保持力を高めることができる。
請求項3に記載の発明では、ランスの先端部が、薄肉圧延部で形成されており、ランスが撓むときに矩形孔の挿入方向の反対側の縁部と干渉する。このため、外力を受けたランスが矩形孔を通してコンタクト本体部の内側に落ち込むことを抑制することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、底板部と一対の剛性片部と一対の延設片部とを含むボックス状部が形成される。このため、ランスを支持する部分の土台としての剛性をより向上することができる。ひいては、ランスの不用意な変形を抑制して、抜け止め保持力をより高めることができる。
請求項5に記載の発明のソケットコネクタでは、ソケットハウジングの収容孔に対してソケットコンタクトが上下逆に挿入されるときに、収容孔の内側壁面の規制部が、ソケットコンタクトの広幅部の幅方向縁部の挿入方向側の端部と当接することにより、ソケットコンタクトが挿入方向の正規位置へ挿入されることが規制される。このため、ソケットコンタクトの逆挿入を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るソケットコンタクト1の斜視図である。
図2は、ソケットコンタクト1の別角度からの斜視図である。
図3は、ソケットコンタクト1の平面図である。
図4は、ソケットコンタクト1の底面図である。
図5は、ソケットコンタクト1の側面図である。
図6は、ソケットコンタクト1の一部破断側面図である。
図7は、ソケットコンタクト1の端面図である。
【0014】
図1〜
図7に示されるソケットコンタクト1は、後述するソケットコネクタ50(
図9及び
図10を参照)の収容孔70に挿入方向X1に挿入されて保持される。
ソケットコンタクト1は、コンタクト本体部2と、電線接続部3と、ランス4とを備え、導電性部材で形成されている。コンタクト本体部2は、相手側コネクタであるプラグコネクタ80(
図17を参照)との連結時に、相手側コンタクトであるピンコンタクト82と接続される。
【0015】
電線接続部3は、コンタクト本体部2から挿入方向X1の反対側X2に延設される。電線接続部3は、被覆電線90の芯線91を圧着するワイヤーバレル5と、被覆電線90の被覆部92を圧着するインシュレーションバレル6とを含む(
図10を参照)。
ワイヤーバレル5は、底板部5aと、芯線91を加締める一対のバレル片5bとを含む。インシュレーションバレル6は、底板部6aと、被覆部92を加締める一対のバレル片6bとを含む。ワイヤーバレル5及びインシュレーションバレル6は、圧着時に例えば略円形ないし略楕円形に加締められる。
【0016】
ランス4は、コンタクト本体部2から片持ち切り起こし状に延設されている。ランス4は、ソケットコネクタ50の収容孔70からソケットコンタクト1を抜け止めする機能を果たす。
次いで、コンタクト本体部2を詳しく説明する。
コンタクト本体部2は、矩形状の底板部20と、一対の側板部30とを含む溝形に形成されている。
【0017】
図2及び
図4に示すように、底板部20は、挿入方向X1に離隔する一対の狭幅部21,22と、一対の狭幅部21,22間に配置される広幅部23とを含む。
広幅部23は、挿入方向X1と直交する幅方向Wに関して、各狭幅部21,22よりも幅が広くされている。広幅部23には、ランス4を切り起こすための矩形孔24が挿入方向X1に延びるように形成されている。
【0018】
図1、
図5及び
図6に示すように、広幅部23は、一対の側板部30の基端部30aに形成される一対の切欠孔31にそれぞれ隣接する一対の幅方向縁部23aを含む。広幅部23の一対の幅方向縁部23aは、一対の切欠孔31から、それぞれ切り起こされている。
図11に示すように、広幅部23は、一対の幅方向縁部23aが収容孔70の一対の内側壁面63a,64a(具体的には、内側壁面63a,64aに形成されたガイド溝66の底面66a)に当接することにより、コンタクト本体部2が幅方向Wに移動することを規制する。
【0019】
図5に示すように、一対の側板部30のそれぞれは、挿入方向X1側に配置される接触弾性片部32と、挿入方向X1の反対側X2に配置される剛性片部33と、接触弾性片部32と剛性片部33とを連結する連結部34とを含む。
図2及び
図7に示すように、一対の側板部30の接触弾性片部32は、底板部20の挿入方向X1側の狭幅部21の一対の幅方向縁部21aから内向き傾斜状に延設されており、プラグコネクタ80のピンコンタクト82(
図17を参照)と嵌合接続される。
【0020】
図7に示すように、一対の接触弾性片部32の先端部32b側の内側面には、ピンコンタクト82に対する一対の凸状の接触部32cが設けられている。一対の接触弾性片部32は、ピンコンタクト82を接触部32cを介して弾性的に挟持する。
図1及び
図3に示すように、一対の側板部30の剛性片部33は、底板部20の挿入方向X1の反対側X2の狭幅部22の一対の幅方向縁部から直交状に延設されている。剛性片部33は、コンタクト本体部2において一対の接触弾性片部32やランス4を支持する剛性の向上に寄与する。
【0021】
図2及び
図5に示すように、各側板部30において接触弾性片部32と剛性片部33との間には、切欠孔31側とは反対側に開放するU字状の溝35が形成されている。各側板部30において接触弾性片部32と剛性片部33とを連結する連結部34は、U字状の溝35の底と切欠孔31との間に配置されている。
図7に示すように、接触弾性片部32は、底板部20側の基端部32aと、自由端である先端部32bとを含む。剛性片部33は、底板部20側の基端部33aと、自由端である先端部33bとを含む。
【0022】
内向き傾斜状なす一対の接触弾性片部32の外幅は、先端部32bにおいて最小となり、基端部32aにおいて最大外幅となる。一対の剛性片部33の外幅は、基端部33aから先端部33bまで一定である。一対の剛性片部33の外幅は、一対の接触弾性片部32の最大外幅に等しい。したがって、一対の側板部30の最大外幅W1は、一対の接触弾性片部32の最大外幅である基端部32aにおける外幅に相当する。
【0023】
また、一対の側板部30の最大外幅W1は、底板部20における各狭幅部21,22の幅と等しい。
次いで、ランス4を説明する。
図2に示すように、コンタクト本体部2の底板部20の広幅部23には、挿入方向X1に延びる矩形孔24が形成されている。ランス4は、広幅部23の矩形孔24の挿入方向X1側の縁部24aから挿入方向X1の反対側X2に向けて延びる片持ち切り起こし状の矩形の弾性舌片である。
【0024】
ランス4は、矩形孔24の挿入方向X1側の縁部24aと接続される基端部4aと、基端部4aの反対側の自由端部である先端部4bとを含む。
図7に示すように、幅方向Wに関して、ランス4の幅W2が、一対の側板部30の最大外幅W1と同等(W2=W1)又は同等以上(W2≧W1)とされている。
図6に示すように、矩形孔24の挿入方向X1の反対側X2の縁部24bに、挿入方向X1側及び外側(ランス4の先端部4b側)へ迫り出すように突出する突片部25が設けられている。突片部25は、パンチなどによる押しつぶしによる圧延部として設けられている。
【0025】
突片部25は、外力によってランス4が撓むときに、ランス4の先端部4bと干渉して先端部4bを受け止めることにより、ランス4が、矩形孔24を通してコンタクト本体部2の内側に落ち込むことを抑制する。
次いで、ソケットコンタクト1が適用されるソケットコネクタ50を説明する。
図8は、ソケットコネクタ50の斜視図である。
図9は、ソケットコネクタ50の横断面図である。
図10は、ソケットコネクタ50の縦断面図である。
図11は、ソケットコネクタ50の別角度からの縦断面図である。
【0026】
図8〜
図11を参照して、ソケットコネクタ50は、ソケットハウジング60と、例えば複数のソケットコンタクト1とを備える。
まず、ソケットハウジング60を説明する。
図12は、ソケットハウジング60の縦断面図である。
図13は、ソケットハウジング60の挿入方向X1側からの端面図である。
図14は、ソケットハウジング60の一部破断斜視図である。
【0027】
図12〜
図14に示すように、ソケットハウジング60は、各ソケットコンタクト1が挿入方向X1に挿入されて保持される収容孔70を形成している(
図9、
図10も参照)。
ソケットハウジング60は、底壁部61と、天壁部62と、一対の側壁部63と、仕切り壁部64と、前壁部65とを含む。
【0028】
仕切り壁部64は、一対の側壁部63と平行に配置され、一対の側壁部63間の中央部で底壁部61と天壁部62とを連結する。
各収容孔70は、底壁部61と天壁部62との間で、仕切り壁部64と対応する側壁部63とによって区画されて形成される。仕切り壁部64は、隣接する収容孔70間を仕切っている。
【0029】
前壁部65は、収容孔70の前側(挿入方向X1側)に配置される。
図10に示すように、前壁部65には、プラグコネクタ80のピンコンタクト82が挿入される挿入孔65aが形成されている。ピンコンタクト82は、挿入孔65aを通して、ソケットコンタクト1と接続される(
図17を参照)。
収容孔70は、挿入開口70aによって、後側(挿入方向X1の反対側X2)に開放されている。
図10に示すように、ソケットコンタクト1は、挿入開口70aを通して、収容孔70内に挿入方向X1に挿入される。
【0030】
図11〜
図14に示すように、各収容孔70において、側壁部63の内側壁面63aと仕切り壁部64の内側壁面64aとには、ソケットコンタクト1の底板部20の広幅部23の一対の幅方向縁部23aがそれぞれ案内されて挿入されるガイド溝66が形成されている。
図12及び
図13に示すように、各収容孔70は、収容孔70に入口部から挿入方向X1の途中部まで延びる広幅収容部71と、幅方向Wに関して広幅収容部71よりも幅が狭く、広幅収容部71に対して挿入方向X1側に配置される狭幅収容部72とを含む。
【0031】
側壁部63の内側壁面63aと仕切り壁部64の内側壁面64aとは、広幅収容部71に対応する広幅対応内壁面部71aと、狭幅収容部72に対応する狭幅対応内壁面部72aと、広幅対応内壁面部71aと狭幅対応内壁面部72aとの間に配置される規制部73とを含む。
狭幅対応内壁面部72aは、広幅対応内壁面部71aから所定量突出している。規制部73は、広幅対応内壁面部71aと狭幅対応内壁面部72aとの間を接続している。規制部73は、挿入方向X1に向かって収容孔70の内側に変位する傾斜面で形成される。
【0032】
図15に示すように、各規制部73は、ソケットコンタクト1が上下逆に挿入されるときに、ソケットコンタクト1の広幅部23の対応する幅方向縁部23aの挿入方向X1側の端部23bと当接することにより、ソケットコンタクト1が挿入方向X1の正規位置(
図10を参照)へ挿入されることを規制する。
図12及び
図13に示すように、各収容孔70において、底壁部61の挿入方向X1の途中部には、係止部としての係止突起67が突出形成されている。係止突起67は、頂部67aと、傾斜状案内部67bと、係止部67cとを含む。
【0033】
図10に示すように、頂部67aは、挿入方向X1に平行な平坦面で形成される。傾斜状案内部67bは、頂部67aに対して挿入方向X1の反対側X2に配置され、挿入方向X1に向かって高さが高くなる傾斜面で形成される。係止部67cは、頂部67aに対して挿入方向X1側に配置される。係止部67cは、挿入方向X1に対して直交する直交面で形成される。
【0034】
収容孔70内に挿入方向X1に挿入されるソケットコンタクト1は、コンタクト本体部2の先端部がソケットハウジング60の前壁部65に当接する状態で、挿入方向X1の正規位置に位置決めされる。
ソケットコンタクト1が収容孔70内に挿入されるときに、ランス4が、傾斜状案内部67bによって徐々に撓まされ、次いで、平坦な頂部67aを乗り越えた後、撓みを解放するように、弾性復帰し、
図10に示すように、係止部67cに対して挿入方向X1に対向する。
【0035】
ソケットコンタクト1が抜け力を受けるときに、ランス4の先端部が、係止部67cと係合することにより、コンタクト本体部2が挿入方向X1の反対側X2(抜け方向)に移動することが規制される。
次いで、
図16は、連結状態のソケットコネクタ50とプラグコネクタ80(相手側コネクタ)との斜視図である。
図17は、連結状態のソケットコネクタ50とプラグコネクタ80との断面図である。
【0036】
図16及び
図17に示すように、プラグコネクタ80は、プラグハウジング81と、ピンコンタクト82とを備える。
プラグハウジング81は、ソケットハウジング60と嵌合接続される。ピンコンタクト82は、ソケットハウジング60の前壁部65の挿入孔65aを通して、ソケットコンタクト1の一対の接触弾性片部32間に挿入され、一対の接触弾性片部32(具体的には、接触部32c)によって弾性的に挟持される。これにより、ピンコンタクト82が、ソケットコンタクト1と電気的に接続される。
【0037】
本実施形態のソケットコンタクト1によれば、
図2に示すように、コンタクト本体部2の底板部20の広幅部23に矩形孔24が形成され、その矩形孔24の挿入方向X1側の縁部24aから片持ち切り起こし状の矩形の弾性舌片であるランス4が、挿入方向X1側の反対側X2に向けて傾斜状に延びている。
図7に示すように、ランス4の幅W2が、一対の側板部30の最大外幅W1と同等又は同等以上と広くされている。このため、ランス4のばね性と剛性が高められる。このため、ランス4がソケットハウジング60と係合するときに、高い抜け止め保持力を確保することができる。また、広幅部23が、ランス4を安定して支持する幅広の土台となるため、不用意なランス4の変形を抑制して、抜け止め保持力を高めることができる。
【0038】
また、本実施形態のソケットコンタクト1を含むソケットコネクタ50によれば、
図15に示すように、ソケットハウジング60の収容孔70に対してソケットコンタクト1が上下逆に挿入されるときに、収容孔70の内側壁面63a,64aの規制部73が、ソケットコンタクト1の広幅部23の幅方向縁部23aの挿入方向X1側の端部23bと当接することにより、ソケットコンタクト1が挿入方向X1の正規位置(
図10を参照)へ挿入されることが規制される。このため、ソケットコンタクト1の逆挿入を抑制することができる。
(第2実施形態)
図18は、本発明の第2実施形態に係るソケットコンタクト1Pの側面図である。
【0039】
図18の第2実施形態のソケットコンタクト1Pが、
図5及び
図6の第1実施形態のソケットコンタクト1と異なるのは、下記である。
すなわち、ランス4Pが、基端部4Paと先端部4Pbとを含む。ランス4Pの先端部4Pbが、残りの部分よりも薄肉に形成されている。具体的には、ランス4Pの先端部4Pbが、ランス4Pが撓むときに矩形孔24の挿入方向X1側の縁部24aと干渉する薄肉圧延部で形成されている。
【0040】
なお、
図18の第2実施形態において、
図5及び
図6の第1実施形態と共通の構成に対しては、共通の符号を付してある。
本実施形態では、ランス4Pの先端部4Pbが、残りの部分よりも薄肉に形成されている。このため、ランス4Pの先端部4Pbがソケットハウジング60(具体的には、係止突起67の係止部67c)に食い込むように係合する。このため、抜け止め保持力を高めることができる。
【0041】
また、ランス4Pの先端部4Pbが、薄肉圧延部で形成されており、ランス4Pが撓むときに矩形孔24の挿入方向X1の反対側X2の縁部24bと干渉する。このため、外力を受けたランス4Pが矩形孔24を通してコンタクト本体部2の内側に落ち込むことを抑制することができる。
特に、ランス4Pの先端部4Pbが、薄肉圧延部で形成されていて加工硬化により強度が向上されている。このため、矩形孔24内へのランス4Pの落ち込みを確実に抑制することができる。
(第3実施形態)
図19は、本発明の第3実施形態に係るソケットコンタクト1Qの挿入方向側からの端面図である。
【0042】
図19の第3実施形態のソケットコンタクト1Qが、
図7の第1実施形態のソケットコンタクト1と異なるのは、下記である。
すなわち、ソケットコンタクト1Qの一対の側板部30Qにおける一対の剛性片部33Qが、基端部33Qaと、先端部33Qbとを含む。
一対の剛性片部33Qの先端部33Qbから、それぞれ内向きの直交状に一対の延設片部36が延設されている。一対の延設片部36の先端部36aどうしが、互いに突き当てられている。これにより、底板部20と一対の剛性片部33Qと一対の延設片部36との全体で、ボックス状部が形成されている。
【0043】
なお、
図19の第3実施形態において、
図7の第1実施形態と共通の構成に対しては、共通の符号を付してある。
本実施形態によれば、一対の剛性片部33Qを含むボックス状部が形成される。このため、広幅部23の存在と相俟って、ランス4を支持する部分の土台としての剛性をより向上することができる。ひいては、ランス4の不用意な変形を抑制して、抜け止め保持力をより高めることができる。
【0044】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、収容孔70は単一で設けられてもよいし、3つ以上で設けられてもよい。その他、本発明は、特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。