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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-125397(P2021-125397A)
(43)【公開日】2021年8月30日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/91 20110101AFI20210802BHJP
   H01R 13/631 20060101ALI20210802BHJP
【FI】
   H01R12/91
   H01R13/631
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2020-18928(P2020-18928)
(22)【出願日】2020年2月6日
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩田 英生
(72)【発明者】
【氏名】行武 広章
(72)【発明者】
【氏名】牧野 考晃
(72)【発明者】
【氏名】大熊 誉仁
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA16
5E021FB02
5E021FC08
5E021FC38
5E021HA01
5E021HA05
5E223AB02
5E223AB16
5E223AB26
5E223BA07
5E223CD02
5E223DB08
5E223DB11
5E223DB33
5E223DB36
5E223EA03
(57)【要約】
【課題】第一可動ハウジングと第二可動ハウジングとを設ける場合において、第一端子と第二端子との相対位置が所定の位置からずれることが抑制する。
【解決手段】コネクタ1は、固定ハウジング2と、第一可動ハウジング31と、第二可動ハウジング32と、第一端子41と、第二端子42と、を備える。
固定ハウジング2は、第一端子41の第一固定側被保持部4Bを保持する第一端子保持部21Aと、第二端子42の第二固定側被保持部4Bを保持する第二端子保持部22Aと、を有する。固定ハウジング2のうち第一端子保持部21Aと第二端子保持部22Aとが樹脂で一体成形される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象物に対する位置が固定される固定ハウジングと、
前記固定ハウジングに対して移動可能な第一可動ハウジングであって、第一接続対象物と嵌合可能な第一嵌合部を有する前記第一可動ハウジングと、
前記固定ハウジングに対して移動可能な第二可動ハウジングであって、第二接続対象物と嵌合可能な第二嵌合部を有する前記第二可動ハウジングと、
前記固定ハウジングに保持される第一固定側被保持部と、前記第一可動ハウジングに保持される第一可動側被保持部と、前記第一固定側被保持部と前記第一可動側被保持部との間に位置する第一中間部と、を有する第一端子と、
前記固定ハウジングに保持される第二固定側被保持部と、前記第二可動ハウジングに保持される第二可動側被保持部と、前記第二固定側被保持部と前記第二可動側被保持部との間に位置する第二中間部と、を有する第二端子と、を備えるコネクタであって、
前記固定ハウジングは、
前記第一端子の前記第一固定側被保持部を保持する第一端子保持部と、
前記第二端子の前記第二固定側被保持部を保持する第二端子保持部と、を有し、
前記固定ハウジングのうち、少なくとも前記第一端子保持部と前記第二端子保持部とは、樹脂で一体成形される、
コネクタ。
【請求項2】
前記固定ハウジングは、前記第一端子保持部と前記第二端子保持部とを連結する中間部を有し、
前記中間部にゲート跡が形成される、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記固定ハウジングは、
当該固定ハウジングを上下方向に貫通すると共に前記第一可動ハウジング及び前記第二可動ハウジングが収容される収容空間と、
前記収容空間を前記第一可動ハウジングが収容される第一収容空間と前記第二可動ハウジングが収容される第二収容空間とに分割する中間連結部と、を有する、
請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記中間連結部は、
前記第一可動ハウジングに当接することで前記第一可動ハウジングの上方向の移動を制限すると共に、前記第二可動ハウジングに当接することで前記第二可動ハウジングの上方向の移動を制限する、
請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記固定ハウジングは、第一上制限部と第二上制限部とを有し、
前記第一可動ハウジングは、前記第一上制限部に当接することで前記第一可動ハウジングの上方向の移動が制限される第一上当接部を有し、
前記第二可動ハウジングは、前記第二上制限部に当接することで前記第二可動ハウジングの上方向の移動が制限される第二上当接部を有し、
前記第一可動ハウジングと前記第二可動ハウジングとは、所定の配列方向に配列され、
前記第一上当接部及び前記第二上当接部は、何れも、前記配列方向に突出する、
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記固定ハウジングは、
当該固定ハウジングを上下方向に貫通すると共に前記第一可動ハウジング及び前記第二可動ハウジングが収容される収容空間と、
前記収容空間を、前記第一可動ハウジングが収容される第一収容空間と、前記第二可動ハウジングが収容される第二収容空間とに分割する中間連結部と、を有し、
前記固定ハウジングは、第一上制限部と第二上制限部とを有し、
前記第一可動ハウジングは、前記第一上制限部に当接することで前記第一可動ハウジングの上方向の移動が制限される第一上当接部を有し、
前記第二可動ハウジングは、前記第二上制限部に当接することで前記第二可動ハウジングの上方向の移動が制限される第二上当接部を有し、
前記第一可動ハウジングと前記第二可動ハウジングとは、所定の配列方向に配列され、
前記第一上当接部及び前記第二上当接部は、何れも、前記配列方向に突出し、
前記中間連結部は、前記第一上制限部として機能すると共に前記第二上制限部として機能する、
請求項1〜請求項5の何れか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板に取り付けられる固定ハウジングと、固定ハウジングに対して移動可能な可動ハウジングと、を備えるコネクタが開示されている。可動ハウジングは、接続対象物が嵌合可能に構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−067723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの信号を伝送するために、上記のようなコネクタを複数個用意し、基板上に近接配置することがある。
【0005】
本開示の第1の目的は、第一可動ハウジングと第二可動ハウジングとを設ける場合において、第一可動ハウジングに保持される端子(第一端子)と、第二可動ハウジングに保持される端子(第二端子)との相対位置が所定の位置からずれることが抑制することである。
本開示の第2の目的は、一対の側壁と天壁とを有する拘束空間形成部が固定ハウジングに形成されるコネクタにおいて、拘束空間形成部の破損を抑制することである。
本開示の第3の目的は、第一可動ハウジングと第二可動ハウジングとを備えるコネクタにおいて、コネクタを配列方向(第一可動ハウジングと第二可動ハウジングとが配列される方向)で小型化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
≪第1の態様≫
第1−1の態様に係るコネクタは、取付対象物に対する位置が固定される固定ハウジングと、前記固定ハウジングに対して移動可能な第一可動ハウジングであって、第一接続対象物と嵌合可能な第一嵌合部を有する前記第一可動ハウジングと、前記固定ハウジングに対して移動可能な第二可動ハウジングであって、第二接続対象物と嵌合可能な第二嵌合部を有する前記第二可動ハウジングと、前記固定ハウジングに保持される第一固定側被保持部と、前記第一可動ハウジングに保持される第一可動側被保持部と、前記第一固定側被保持部と前記第一可動側被保持部との間に位置する第一中間部と、を有する第一端子と、前記固定ハウジングに保持される第二固定側被保持部と、前記第二可動ハウジングに保持される第二可動側被保持部と、前記第二固定側被保持部と前記第二可動側被保持部との間に位置する第二中間部と、を有する第二端子と、を備えるコネクタであって、前記固定ハウジングは、前記第一端子の前記第一固定側被保持部を保持する第一端子保持部と、前記第二端子の前記第二固定側被保持部を保持する第二端子保持部と、を有し、前記固定ハウジングのうち、少なくとも前記第一端子保持部と前記第二端子保持部とは、樹脂で一体成形される。
【0007】
上記態様では、コネクタは、取付対象物(例えば基板)に対する位置が固定される固定ハウジングと、固定ハウジングに対して移動可能な第一可動ハウジングであって、第一接続対象物と嵌合可能な第一嵌合部を有する第一可動ハウジングと、固定ハウジングに対して移動可能な第二可動ハウジングであって、第二接続対象物と嵌合可能な第二嵌合部を有する第二可動ハウジングと、を備える。
また、コネクタは、第一端子と第二端子とを備える。第一端子は、固定ハウジングに保持される第一固定側被保持部と、第一可動ハウジングに保持される第一可動側被保持部と、第一固定側被保持部と第一可動側被保持部との間に位置する第一中間部と、を有する。第二端子は、固定ハウジングに保持される第二固定側被保持部と、第二可動ハウジングに保持される第二可動側被保持部と、第二固定側被保持部と第二可動側被保持部との間に位置する第二中間部と、を有する。
固定ハウジングは、第一端子の第一固定側被保持部を保持する第一端子保持部と、第二端子の第二固定側被保持部を保持する第二端子保持部と、を有する。
【0008】
ここで、仮に、固定ハウジングのうち第一端子を保持する部分(第一端子保持部)と、固定ハウジングのうち第二端子を保持する部分(第二端子保持部)と、が別体であると、第一端子の第一固定側被保持部と、第二端子の第二固定側被保持部と、の相対位置が所定の位置からずれる可能性がある。
これに対し、上記態様では、固定ハウジングのうち第一端子を保持する部分(第一端子保持部)と、固定ハウジングのうち第二端子を保持する部分(第二端子保持部)とが樹脂で一体成形されるので、第一端子の第一固定側被保持部と、第二端子の第二固定側被保持部と、の相対位置が所定の位置からずれることが抑制される。
【0009】
第1−2の態様に係るコネクタは、第1−1の態様において、前記固定ハウジングは、前記第一端子保持部と前記第二端子保持部とを連結する中間部を有し、前記中間部にゲート跡が形成される。
【0010】
上記態様では、第一端子保持部と第二端子保持部とを連結する中間部に、ゲート跡(成形金型内に溶融樹脂が流入するゲートに対応する位置に形成される跡をいう。)が形成される。
このため、固定ハウジングを成形する際に、第一端子保持部と第二端子保持部との間に位置する部分から溶融樹脂を流入させることができる。そのため、溶融樹脂が成形金型内を効率よく流動でき、固定ハウジングの強度が低下したり、固定ハウジングの形状が歪になったりすることを防止できる。
なお、固定ハウジングの中間部には、固定用金具が圧入される圧入部が形成されないことが、中間部からの溶融樹脂の流動をスムーズにする観点から好ましい。
【0011】
第1−3の態様に係るコネクタは、第1−1又は第1−2の態様において、前記固定ハウジングは、当該固定ハウジングを上下方向に貫通すると共に前記第一可動ハウジング及び前記第二可動ハウジングが収容される収容空間と、前記収容空間を前記第一可動ハウジングが収容される第一収容空間と前記第二可動ハウジングが収容される第二収容空間とに分割する中間連結部と、を有する。
【0012】
上記態様では、固定ハウジングは、当該固定ハウジングを上下方向に貫通すると共に第一可動ハウジング及び第二可動ハウジングが収容される収容空間を有する。収容空間は、固定ハウジングの中間連結部によって、第一可動ハウジングが収容される第一収容空間と、第二可動ハウジングが収容される第二収容空間とに分割される。
このため、固定ハウジングの成型時に固定ハウジングを構成する樹脂が収縮し、その収縮に伴って固定ハウジングが変形してしまうことを抑制することができる。
【0013】
第1−4の態様に係るコネクタは、第1−3の態様において、前記中間連結部は、前記第一可動ハウジングに当接することで前記第一可動ハウジングの上方向の移動を制限すると共に、前記第二可動ハウジングに当接することで前記第二可動ハウジングの上方向の移動を制限する。
【0014】
上記態様では、中間連結部が、第一可動ハウジングの上方向の移動を制限すると共に、第二可動ハウジングに当接することで第二可動ハウジングの上方向の移動を制限する。
このため、中間連結部を効果的に機能させることができる。
【0015】
第1−5の態様に係るコネクタは、第1−1〜第1−4の何れかの態様において、前記固定ハウジングは、第一上制限部と第二上制限部とを有し、前記第一可動ハウジングは、前記第一上制限部に当接することで前記第一可動ハウジングの上方向の移動が制限される第一上当接部を有し、前記第二可動ハウジングは、前記第二上制限部に当接することで前記第二可動ハウジングの上方向の移動が制限される第二上当接部を有し、前記第一可動ハウジングと前記第二可動ハウジングとは、所定の配列方向に配列され、前記第一上当接部及び前記第二上当接部は、何れも、前記配列方向に突出する。
【0016】
上記態様では、第一可動ハウジングの第一上当接部が固定ハウジングの第一上制限部に当接することで、第一可動ハウジングの上方向の移動が制限され、第二可動ハウジングの第二上当接部が固定ハウジングの第二上制限部に当接することで、第二可動ハウジングの上方向の移動が制限される。
ここで、第一上当接部及び第二上当接部は、第一可動ハウジングと第二可動ハウジングとが配列される方向である配列方向に突出する。
このため、上下方向に直交する方向のうち配列方向に垂直な方向において、コネクタを小型にしやすい。
【0017】
第1−6の態様に係るコネクタは、第1−1〜第1−5の何れかの態様において、前記固定ハウジングは、当該固定ハウジングを上下方向に貫通すると共に前記第一可動ハウジング及び前記第二可動ハウジングが収容される収容空間と、前記収容空間を、前記第一可動ハウジングが収容される第一収容空間と、前記第二可動ハウジングが収容される第二収容空間とに分割する中間連結部と、を有し、前記固定ハウジングは、第一上制限部と第二上制限部とを有し、前記第一可動ハウジングは、前記第一上制限部に当接することで前記第一可動ハウジングの上方向の移動が制限される第一上当接部を有し、前記第二可動ハウジングは、前記第二上制限部に当接することで前記第二可動ハウジングの上方向の移動が制限される第二上当接部を有し、前記第一可動ハウジングと前記第二可動ハウジングとは、所定の配列方向に配列され、前記第一上当接部及び前記第二上当接部は、何れも、前記配列方向に突出し、前記中間連結部は、前記第一上制限部として機能すると共に前記第二上制限部として機能する。
【0018】
≪第2の態様≫
第2−1の態様に係るコネクタは、取付対象物に対する位置が固定される固定ハウジングと、前記固定ハウジングに対して移動可能な可動ハウジングと、を備えるコネクタであって、前記可動ハウジングは、上下方向に垂直な方向である突出方向に突出する突出部を有し、前記固定ハウジングは、前記突出部が拘束される空間である拘束空間を形成する拘束空間形成部を有し、前記拘束空間形成部は、前記突出部の側方に位置する一対の側壁と、前記突出部の上方に位置する天壁と、を有し、前記天壁は、前記突出部が当接することで、前記可動ハウジングの上方向への移動を制限し、前記拘束空間形成部は、前記突出部に対して前記突出方向側に位置する補強壁であって、前記一対の側壁を連結する前記補強壁を有する。
【0019】
上記態様では、コネクタは、取付対象物に対する位置が固定される固定ハウジングと、固定ハウジングに対して移動可能な可動ハウジングと、を備える。可動ハウジングは、上下方向に垂直な方向である突出方向に突出する突出部を有する。固定ハウジングは、突出部が拘束される空間である拘束空間を形成する拘束空間形成部を有する。拘束空間形成部は、突出部の側方に位置する一対の側壁と、突出部の上方に位置する天壁と、を有する。天壁は、突出部が当接することで、可動ハウジングの上方向への移動を制限する。
【0020】
ここで、拘束空間形成部は、突出部に対して突出方向側に位置する補強壁であって、一対の側壁を連結する補強壁を有する。
このため、補強壁によって、拘束空間形成部における天壁付近が補強され、拘束空間形成部の破損が抑制される。
【0021】
なお、後述する実施形態では、補強壁の下面が一対の側壁の下面と同一平面を成すが、上記態様の補強壁はこれに限定されない。強度の観点からは、補強壁の下面が一対の側壁の下面と同一平面を成すことが好ましいが、補強壁の下面は、一対の側壁の下面よりも上側に形成されてもよい。
また、後述する実施形態では、補強壁の上端と天壁とが接続されるが、上記態様はこれに限定されない。例えば、補強壁と天壁とが接続されず、両者の間に開口が形成されてもよい。
また、後述する実施形態では、補強壁が、樹脂で構成され、一対の側壁及び天壁と一体に成形されるが、上記態様はこれに限定されない。例えば、補強壁は、金属で形成されてもよい。金属製の補強壁が突出部に対して突出方向側に配置されることで、拘束空間形成部の上下寸法を拡大することなく、拘束空間形成部における天壁付近を補強することができる。
また、後述する実施形態では、可動ハウジングの突出部が拘束空間形成部の一対の側壁に当接可能であるが、上記態様はこれに限定されない。
【0022】
第2−2の態様に係るコネクタは、第2−1の態様において、前記可動ハウジングが前記突出方向に限界まで平行移動した場合でも、前記突出部は、前記補強壁に当接しない。
【0023】
上記態様では、可動ハウジングが突出方向に限界まで平行移動した場合でも、突出部は、補強壁に当接しない。そのため、補強壁自体に求められる強度が低くて済む。よって、補強壁を薄くでき、固定ハウジングを小型化できる。
【0024】
第2−3の態様に係るコネクタは、第2−1又は第2−2の態様において、前記突出部は、前記突出方向側を向く突出端面を有し、前記突出端面には、ゲート跡が形成される。
【0025】
上記態様では、突出部の突出端面にゲート跡が形成される。このような可動ハウジングでは、溶融樹脂を注入するためのゲートの大きさを確保しようとすると、突出部の小型化に限界が生じる。その結果、突出部が拘束される拘束空間もある程度の大きさが必要である。小型化の限界がある突出部を収容しつつ、固定ハウジングの拘束空間形成部を低背化するには、天壁を薄型化することが考えられる。しかし、天壁を薄型化すると可動ハウジングが固定ハウジングに対して強く当接した場合に、薄型化した天壁付近で拘束空間形成部が破損する恐れがある。そこで、補強壁を設けることで、拘束空間形成部の破損が抑制される。
よって、上記態様は、突出部の突出端面にゲート跡が形成されるコネクタにおいて、拘束空間形成部を低く形成する際に有効である。
【0026】
≪第3の態様≫
第3−1の態様に係るコネクタは、取付対象物に対する位置が固定される固定ハウジングと、前記固定ハウジングに対して移動可能な第一可動ハウジングであって、第一接続対象物と嵌合可能な第一嵌合部を有する前記第一可動ハウジングと、前記固定ハウジングに対して移動可能な第二可動ハウジングであって、第二接続対象物と嵌合可能な第二嵌合部を有する前記第二可動ハウジングと、前記固定ハウジングに保持される第一固定側被保持部と、前記第一可動ハウジングに保持される第一可動側被保持部と、前記第一固定側被保持部と前記第一可動側被保持部との間に位置する第一中間部と、を有する第一端子と、前記固定ハウジングに保持される第二固定側被保持部と、前記第二可動ハウジングに保持される第二可動側被保持部と、前記第二固定側被保持部と前記第二可動側被保持部との間に位置する第二中間部と、を有する第二端子と、を備えるコネクタであって、前記第一可動ハウジングと前記第二可動ハウジングとは、上下方向に垂直な方向である所定の配列方向(例えば前後方向)に配列され、前記第一可動ハウジングは、上下方向に垂直な方向であって前記第二可動ハウジング側に向かう方向(例えば後方向)に突出する第一側突出部を有し、前記第二可動ハウジングは、上下方向に垂直な方向であって前記第一可動ハウジング側に向かう方向(例えば前方向)に突出する第二側突出部を有し、前記固定ハウジングは、前記第一側突出部と前記第二側突出部の両方が拘束される空間である拘束空間を形成する拘束空間形成部を有し、前記拘束空間形成部は、前記第一側突出部及び前記第二側突出部の上方に位置する天壁を有し、前記天壁は、前記第一側突出部及び前記第二側突出部が当接することで、前記第一可動ハウジング及び前記第二可動ハウジングの上方向への移動を制限し、前記拘束空間は、前記第一側突出部と前記第二側突出部の両方が位置可能な共用拘束空間を有する。
【0027】
上記態様では、コネクタは、固定ハウジングと、第一接続対象物と嵌合可能な第一嵌合部を有する第一可動ハウジングと、第二接続対象物と嵌合可能な第二嵌合部を有する第二可動ハウジングと、第一端子と、第二端子と、を備える。
第一可動ハウジングと第二可動ハウジングとは、上下方向に垂直な方向である所定の配列方向(例えば前後方向)に配列される。そして、第一可動ハウジングは、上下方向に垂直な方向であって第二可動ハウジング側に向かう方向(例えば後方向)に突出する第一側突出部を有し、第二可動ハウジングは、上下方向に垂直な方向であって第一可動ハウジング側に向かう方向(例えば前方向)に突出する第二側突出部を有する。
また、固定ハウジングは、第一側突出部と第二側突出部の両方が拘束される空間である拘束空間を形成する拘束空間形成部を有する。拘束空間形成部は、第一側突出部及び第二側突出部の上方に位置する天壁を有し、天壁は、第一側突出部及び第二側突出部が当接することで、第一可動ハウジング及び第二可動ハウジングの上方向への移動を制限する。
【0028】
ここで、拘束空間は、第一側突出部と第二側突出部の両方が位置可能な共用拘束空間を有する。
したがって、例えば、第一可動ハウジングが第二可動ハウジングから離れる方向に移動した場合、移動する前に第一側突出部が位置していた空間に、第二可動ハウジングの第二突出部が移動することが可能である。また例えば、第二可動ハウジングが第二可動ハウジングから離れる方向に移動した場合、移動する前に第二側突出部が位置していた空間に、第一可動ハウジングの第一側突出部が移動することが可能である。つまり、拘束空間の少なくとも一部が、第一側突出部と第二側突出部とで共用される。
このため、コネクタを配列方向で小型化しやすい。
【0029】
なお、第一接続対象物と第二接続対象物とは、互いに相対変位しないように構成されてもよい。例えば、上記態様に係るコネクタの接続対象物としての相手側コネクタが、第一接続対象物と第二接続対象物とを含んで構成され、第一接続対象物と第二接続対象物とが互いに相対変位しないように相手側コネクタが構成されてもよい。この場合、相手側コネクタがコネクタに対して移動する際には、第一可動ハウジングと第二可動ハウジングとが一体的に移動することとなる。
【0030】
なお、後述する実施形態では、固定ハウジングの全体が樹脂で一体に成形され、その結果、固定ハウジングのうち第一端子を保持する部分(第一端子保持部)と、固定ハウジングのうち第二端子を保持する部分(第二端子保持部)とが樹脂で一体成形されるが、上記態様はこれに限定されない。例えば、第一端子保持部と第二端子保持部とが別体として成形され、後述する実施形態における固定ハウジングの中間部の部分が金属製の部材で構成されてもよい。この場合、当該金属製の部材の一部が、天壁として機能する。
【0031】
第3−2の態様に係るコネクタは、第3−1の態様において、正規状態における前記第一側突出部と前記第二側突出部との前記配列方向(例えば前後方向)の間隔は、正規状態から前記第一可動ハウジングが前記第二可動ハウジングに近づく方向(例えば後方向)へ移動可能な距離の1/5以下であり、かつ、正規状態から前記第二可動ハウジングが前記第一可動ハウジングに近づく方向(例えば前方向)へ移動可能な距離の1/5以下である。
【0032】
上記態様では、正規状態において、第一側突出部と第二側突出部とが配列方向(例えば前後方向)で近接している。具体的には、正規状態における第一側突出部と第二側突出部との配列方向(例えば前後方向)の間隔は、正規状態から第一可動ハウジングが第二可動ハウジングに近づく方向(例えば後方向)へ移動可能な距離の1/5以下であり、かつ、正規状態から第二可動ハウジングが第一可動ハウジングに近づく方向(例えば前方向)へ移動可能な距離の1/5以下である。
このため、より一層、コネクタ1を配列方向で小型化しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】コネクタの斜視図である。
図2】コネクタの分解斜視図である。
図3】コネクタの平面図である。
図4】コネクタの正面図である。
図5】コネクタの側面図である。
図6】コネクタの底面図である。
図7】コネクタの断面図である。
図8】端子の拡大斜視図である。
図9】固定ハウジングの斜視図である。
図10】固定ハウジングの下方から見た斜視図である。
図11】固定ハウジングの平面図である。
図12】固定ハウジングの底面図である。
図13】可動ハウジングの斜視図である。
図14】可動ハウジングの正面図である。
図15】可動ハウジングの側面図である。
図16】可動ハウジングの平面図である。
図17】可動ハウジングの底面図である。
図18】コネクタの下方から見た拡大斜視図である。
図19】可動ハウジングが正規位置にある状態のコネクタの拡大断面図である。
図20】コネクタの製造途中の状態を示す斜視図である。なお、この図では、複数の端子を可動ハウジングに保持させた後に固定ハウジングに複数の端子を保持させる手順を示しているが、固定ハウジングに対して可動ハウジングを適切な位置に配置した後に複数の端子を固定ハウジング及び可動ハウジングの両方に同時に保持させてもよい。
図21図20に対応する断面図である。
図22】可動ハウジングが前方へ限界まで移動した状態の断面図である。
図23図22に対応する平面図である。
図24】可動ハウジングが前後方向及び幅方向で限界まで移動した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の説明において、各図に示す矢印X,Y,Zは、コネクタ及びその構成部品を基準とした方向概念である。+X方向をコネクタ前方向、+Y方向をコネクタ幅方向一方側、+Z方向をコネクタ上方向という。単に、前後方向、幅方向、上下方向をいうときは、コネクタ前後方向、コネクタ幅方向、コネクタ上下方向を意味する。
【0035】
<概略>
コネクタ1は、上下方向を接続方向として相手側コネクタと接続可能に構成される。コネクタ1と、相手側コネクタ(図示省略)と、によってコネクタ対が構成される。コネクタ1は基板(図示省略)に実装され、相手側コネクタは相手側基板(図示省略)に実装される。コネクタ1と相手側コネクタとが接続した状態では、基板と相手側基板とは、コネクタ対を挟んで互いに平行に配置される。
【0036】
図1は、コネクタ1の斜視図であり、図2は、コネクタ1の分解斜視図である。
【0037】
コネクタ1は、固定ハウジング2と、2つの可動ハウジング3と、複数の端子4と、複数(本実施形態では4つ)の固定用金具5と、を備える。
【0038】
固定ハウジング2及び可動ハウジング3は、合成樹脂などの絶縁体で形成される。固定ハウジング2は、端子4の一部(固定側被保持部4B、図8参照)を保持する。固定ハウジング2は、端子4を介して基板に固定され、基板に対して移動不能となる。可動ハウジング3は、端子4の他の一部(可動側被保持部4D)を保持する。可動ハウジング3は、基板及び固定ハウジング2に対して移動可能となる。複数の端子4の各々は、固定側被保持部4Bと可動側被保持部4Dとの間の中間弾性部4Cを有する。中間弾性部4Cが弾性変形することで、固定ハウジング2に対する可動ハウジング3の移動が許容される。
【0039】
複数の固定用金具5の各々は、固定ハウジング2に圧入される圧入部5Aと、基板に固定される基板固定部5Bと、を有する。固定用金具5は、固定ハウジング2に対し、上方から圧入される。固定用金具5により、固定ハウジング2の基板への固定が補強される。
【0040】
<コネクタ1の詳細構造>
コネクタ1の詳細構造について説明する。
【0041】
≪端子4≫
図8等を用いて、端子4について説明する。
【0042】
端子4は、板材に対し、打ち抜き加工及び曲げ加工等を施すことで製造される。
【0043】
複数の端子4は、幅方向(列間方向)一方側で前後方向(ピッチ方向)に配列された複数の端子4と、幅方向(列間方向)他方側で前後方向(ピッチ方向)に配列された複数の端子4と、から構成される。幅方向一方側の端子4及び幅方向他方側の端子4は、互いの接触部4F同士を対向させるように配置される。
【0044】
図2に示すように、複数の端子4は、第一可動ハウジング31に保持される複数の第一端子41と、第二可動ハウジング32に保持される複数の第二端子42と、から構成される。第一端子41と第二端子42とは、同一形状である。
【0045】
(各端子の構成)
図8に示すように、端子4は、一端から他端に向けて、基板固定部4Aと、固定側被保持部4Bと、中間弾性部4Cと、可動側被保持部4Dと、先端弾性部4Eと、接触部4Fと、を一体に有する。
【0046】
基板固定部4Aは、基板に対して固定される。基板固定部4Aは、一端側から他端側に向けて、幅方向内側に延びる。
【0047】
固定側被保持部4Bは、固定ハウジング2に保持される。固定側被保持部4Bは、上方に向けて延びると共に板幅方向である前後方向の両側に圧入突起を有する。固定側被保持部4Bは、固定ハウジング2に対して下側から圧入される。
【0048】
中間弾性部4Cは、可動側被保持部4Dが固定側被保持部4Bに対して変位可能となるように、弾性変形可能に構成される。中間弾性部4Cは、第一曲部4C1と、直線部4C2と、第二曲部4C3と、を有する。
第一曲部4C1は、固定側被保持部4Bよりも他端側の部分が板厚方向に曲げられることで形成される。直線部4C2は、下方向に向かって幅方向内側に傾斜した方向に直線状に延びる。第二曲部4C3は、直線部4C2よりも他端側の部分が板厚方向に曲げられることで形成される。第二曲部4C3は、直線部4C2と可動側被保持部4Dとを接続する。
【0049】
可動側被保持部4Dは、可動ハウジング3に保持される。可動側被保持部4Dは、上方へ向けて延びると共に板幅方向である前後方向の両側に圧入突起を有する。可動側被保持部4Dは、可動ハウジング3に対して下側から圧入される。
【0050】
先端弾性部4Eは、接触部4Fが可動ハウジング3に対して変位可能となるように接触部4Fを弾性支持する。先端弾性部4Eは、一端側の第一伸長部4E1と、他端側の第二伸長部4E2と、を有する。第一伸長部4E1及び第二伸長部4E2は、共に、上方向に向かって幅方向内側に傾斜した方向に向けて延びるが、第一伸長部4E1は、第二伸長部4E2よりも上方向に対する傾斜角度が大きい。
【0051】
接触部4Fは、「接続対象物」としての相手側コネクタの相手側端子と接触する。接触部4Fは、幅方向内側に向けて凸となるように湾曲する。接触部4Fと先端弾性部4Eとの間には、接触部4Fを幅方向内側へ向けて突出させるように曲部4F1が形成される。
【0052】
≪固定ハウジング2≫
図9図12等を用いて、固定ハウジング2について説明する。
【0053】
(端子保持部2A)
固定ハウジング2は、端子保持部2Aを有する。
端子保持部2Aは、端子4の一部(固定側被保持部4B)を保持する。
端子保持部2Aは側壁2A1を有する。側壁2A1の幅方向内側面には、上下方向に延びる複数の圧入溝が形成される。これら複数の圧入溝に、複数の端子4の固定側被保持部4Bが下側から圧入される。
【0054】
端子保持部2Aは、固定ハウジング2に複数形成される。
複数の端子保持部2Aは、一対の第一端子保持部21Aと、一対の第二端子保持部22Aと、から構成される。第一端子保持部21Aは、複数の第一端子41を保持し、第二端子保持部22Aは、複数の第二端子42を保持する。
一対の第一端子保持部21Aの間には、第一可動ハウジング31が配置される第一配置空間21Sが形成され、一対の第二端子保持部22Aの間には、第二可動ハウジング32が配置される第二配置空間22Sが形成される。
【0055】
端子保持部2Aは、側壁2A1の上端から幅方向内側へ延びる上壁2A2を有する。
図7に示すように、側壁2A1は、端子4の中間弾性部4Cを幅方向外側から保護し、上壁2A2は、端子4の中間弾性部4Cを上側から保護する。側壁2A1及び上壁2A2は、端子4の中間弾性部4Cを保護する「保護壁」として機能する。
【0056】
端子保持部2Aは、上壁2A2を補強する補強部2A3を有する(図10)。
補強部2A3は、端子保持部2Aの延在方向の両端部において、上壁2A2と側壁2A1とを接続する。補強部2A3は、側壁2A1の上端部の幅方向内側かつ上壁2A2の下側に形成される。
【0057】
(中間部2B)
固定ハウジング2は、第一端子保持部21Aと第二端子保持部22Aとの間に形成される中間部2Bを有する。
中間部2Bは、一方側の第一端子保持部21Aと一方側の第二端子保持部22Aとの間に形成される一方側の側壁2B1と、他方側の第一端子保持部21Aと他方側の第二端子保持部22Aとの間に形成される他方側の側壁2B1と、一方側及び他方側の側壁2B1を連結する天壁2B2(「中間連結部」)と、を有する。
【0058】
(前端部21C)
固定ハウジング2は、前端部21Cを有する。
前端部21Cは、一対の第一端子保持部21Aよりも前側に形成され、一方側の第一端子保持部21Aの前端と他方側の第一端子保持部21Aの前端とを連結する。
【0059】
(後端部22C)
固定ハウジング2は、後端部22Cを有する。
後端部22Cは、一対の第二端子保持部22Aよりも後側に形成され、一方側の第二端子保持部22Aの後端と他方側の第二端子保持部22Aの後端とを連結する。
【0060】
前端部21Cと後端部22Cとは、ほぼ同様の構成とされる。以下、前端部21Cと後端部22Cとを特に区別しないで説明するときは、前後端部2Cという。
【0061】
図10に示すように、固定ハウジング2には、可動ハウジング3の一部(突出部36)が拘束される拘束空間6が形成される。
拘束空間6は、固定ハウジング2に複数形成される。複数の拘束空間6は、前側拘束空間6A1と、中間拘束空間6Bと、後側拘束空間6A2と、から構成される。
図6に示すように、前側拘束空間6A1には、第一可動ハウジング31の前側の突出部36が拘束される。
後側拘束空間6A2には、第二可動ハウジング32の後側の突出部36が拘束される。
中間拘束空間6Bには、第一可動ハウジング31の後側の突出部36と、第二可動ハウジング32の前側の突出部36と、が拘束される。
【0062】
前側拘束空間6A1は、固定ハウジング2の前端部21Cに形成される。後側拘束空間6A2は、固定ハウジング2の後端部22Cに形成される。中間拘束空間6Bは、固定ハウジング2の中間部2Bに形成される。前端部21C、後端部22C及び中間部2Bは、拘束空間6を形成する「拘束空間形成部」として機能する。
【0063】
前後端部2Cは、幅方向両側に形成された一対の側壁2C1と、一対の側壁2C1を連結する天壁2C2と、を有する。一対の側壁2C1の間であって天壁2C2の下方には、拘束空間6が形成される。
【0064】
前後端部2Cは、補強壁2C3を有する。
補強壁2C3は、拘束空間6の前後方向外側の壁を構成する。補強壁2C3の下面は、一対の側壁2C1の下面と同一平面を成す(図10)。
【0065】
(固定用金具5用の圧入部2D)
前後端部2Cの一対の側壁2C1には、それぞれ、固定用金具5が圧入される圧入部2Dが形成される。なお、中間部2Bには、圧入部2Dが形成されない。
圧入部2Dには、上側から固定用金具5が圧入される。圧入部2Dに固定用金具5が圧入された状態では、固定用金具5の基板固定部5Bは、前後端部2Cの幅方向外側面よりも幅方向外側に突出しない(図3)。
【0066】
(膨出部2F)
前後端部2Cには、膨出部2Fが形成される(図9)。
膨出部2Fは、前後端部2Cの幅方向中央部に形成される。膨出部2Fが形成された位置では、前後端部2Cの上面の高さが他の位置と比べて若干高くなる。
【0067】
(テール保護部)
前後端部2Cは、複数の端子4の基板固定部4A(テール部)を保護するテール保護部としても機能する。前後端部2Cは、端子保持部2Aの幅方向外側面に対し、幅方向外側へ突出する。前端部21Cの幅方向外側面と後端部22Cの幅方向外側面とは同一平面上に形成され、この仮想平面よりも幅方向内側に複数の端子4の基板固定部4Aが収まる(図3)。
【0068】
前後端部2Cには、基板に形成される孔に挿入されるボス2Gが形成される。
【0069】
(中間部)
中間部2Bは、幅方向両側に形成された一対の側壁2B1と、一対の側壁2B1を連結する天壁2B2と、を有する。一対の側壁2B1の間であって天壁2B2の下方には、中間拘束空間6Bが形成される。中間拘束空間6Bは、下方向及び前後方向両側に開放された空間である。
【0070】
図9に示すように、中間部2Bの一対の側壁2B1の上面と、中間部2Bの天壁2B2の上面とは、同一平面を成す。中間部2Bの上面の高さは、前後端部2Cの膨出部2Fの高さと同一である(図5)。
【0071】
(制限面)
固定ハウジング2は、可動ハウジング3が当接することで、当該可動ハウジング3の可動域を制限する機能を有する。
すなわち、固定ハウジング2は、可動ハウジング3が当接可能に構成され、可動ハウジング3の移動を所定の可動域に制限する制限面7,8を有する(図11図12)。
【0072】
前後端部2Cに形成される制限面7と、中間部2Bに形成される制限面7とは、略同一構成の制限面7である。
但し、中間部2Bには、前方向を向く制限面7と、後方向を向く制限面7と、が形成される。前方向を向く制限面7は、第一可動ハウジング31が当接可能であり、後方向を向く制限面7は、第二可動ハウジング32が当接可能である。
【0073】
以下、制限面7の具体的構成について説明する。
【0074】
制限面7は、可動ハウジング3の下部3C(突出部36を含む)が当接可能である。
【0075】
図12に示すように、制限面7は、可動ハウジング3の突出部36が当接する上制限面71と、可動ハウジング3の突出部36が当接する一対の幅方向制限面72と、可動ハウジング3の下部3Cが当接する前後制限面73と、を有する。
【0076】
上制限面71は、天壁2B2,2C2の下面である。幅方向制限面72は、一対の側壁2B1,2C1の側面である。前後制限面73は、天壁2B2,2C2の端面である。
【0077】
(前後制限面73)
図12に示すように、前後制限面73は、中央面73Aと、一対の外側面73Bと、一対の凹面73Cと、を有する。
【0078】
中央面73Aは、天壁2B2,2C2の幅方向中央に形成される。中央面73Aは、法線方向を前後方向に向けた平面である。可動ハウジング3が正規位置から前後方向に平行移動した場合、可動ハウジング3の凹部当接面39A(図24参照)が中央面73Aに当接する。
【0079】
一対の外側面73Bは、天壁2B2,2C2の幅方向外側端部に形成される。一対の外側面73Bは、法線方向を前後方向内側に向けた平面である。外側面73Bの前後方向の位置は、中央面73Aと一致する。可動ハウジング3が正規位置から幅方向の何れかに平行移動した後に前後方向に平行移動した場合、可動ハウジング3の凹部当接面39Aが一対の外側面73Bの何れかと中央面73Aに当接する(図24)。
【0080】
凹面73Cは、中央面73Aと外側面73Bとの間に形成される。凹面73Cは、中央面73Aに対して前後方向(前後方向において第一配置空間21S又は第二配置空間22Sが広がる方向)に凹んでいる。凹面73Cにより、コネクタ製造時に可動ハウジング3の嵌合部3B(上部3B)が通過する空間が拡大されている(図20参照)。
【0081】
一対の凹面73Cが形成されることで、一対の凹面73Cの間には、反突出方向(前後方向において可動ハウジング3の本体部3Aに近づく方向)に突出する凸部2Hが形成される。
【0082】
図24に示すように、凹面73Cは、中央面73Aに隣接する第一面73C1と、外側面73Bに隣接する第二面73C2と、第一面73C1と第二面73C2との間の第三面73C3と、を有する。第一面73C1は、幅方向外側を向く。第二面73C2は、幅方向内側かつ前後方向の斜め方向を向く。第三面73C3は、前後方向を向く。
【0083】
(幅方向制限面72)
幅方向制限面72は、一対の幅方向面72Aと、一対の傾斜面72Bと、を有する。
【0084】
幅方向制限面72の一対の幅方向面72Aは、拘束空間6の幅方向外側に位置する面であり、法線方向を幅方向内側に向けた平面である。
【0085】
幅方向制限面72の一対の傾斜面72Bは、一対の幅方向面72Aよりも端子保持部2Aに近い側に形成される。一対の傾斜面72Bは、一対の幅方向面72Aと端子保持部2Aの側壁2A1の幅方向内側面とを斜めに接続する。一対の傾斜面72Bは、法線方向を幅方向内側かつ前後方向の斜め方向に向けた平面である。
【0086】
幅方向制限面72の傾斜面72Bは、凹面73Cの第二面73C2と同一平面上に位置する。図24に示すように、幅方向制限面72の傾斜面72Bと、凹面73Cの第二面73C2との間には、外側面73Bに対応して窪部が形成される。この窪部には、可動ハウジング3が正規位置から幅方向の何れかに平行移動した後に前後方向に平行移動した場合に、可動ハウジング3の一部が入り込む。
【0087】
(端子保持部2Aに形成される制限面8)
図7に示すように、制限面8は、端子保持部2Aの上壁2A2に形成された制限面であり、可動ハウジング3の幅方向外側面3A2が当接可能である。
【0088】
≪可動ハウジング3≫
図13図17等を用いて、可動ハウジング3について説明する。
【0089】
(本体部3A)
可動ハウジング3は、本体部3Aを有する。
本体部3Aは、略直方体形状とされ、法線方向を前後方向外側に向けた一対の前後方向外側面3A1と、法線方向を幅方向外側に向けた一対の幅方向外側面3A2と、を有する。また、本体部3Aは、前後方向外側面3A1と幅方向外側面3A2とを斜めに接続する4つの接続面3A3を有する。前後方向外側面3A1、幅方向外側面3A2及び接続面3A3は、それぞれ、本体部3Aの上下方向全体に亘って同一平面を成す。但し、前後方向外側面3A1及び接続面3A3は、進入凹部39が形成される影響で、可動ハウジング3の上部3Bのみに形成される。
【0090】
本体部3Aには、接続対象物としての相手側コネクタの一部(嵌合部)が挿入される挿入空間3Hが形成される。挿入空間3Hは、上方に向けて開口される。本体部3Aに挿入空間3Hが形成されることで、挿入空間3Hを挟んで前後方向で対向する一対の前後方向壁37と、挿入空間3Hを挟んで幅方向で対向する一対の幅方向壁33と、が本体部3Aに形成される。
【0091】
本体部3Aは、端子4の一部(可動側被保持部4D、先端弾性部4E、接触部4F)が配置される第一端子配置部34を有する。
第一端子配置部34は、幅方向壁33の幅方向内側面に形成された端子配置溝34Bと、端子配置溝34Bの下方に形成された上下方向に貫通する端子配置孔34Aと、から構成される。端子配置孔34Aには、端子4の可動側被保持部4Dが圧入保持された状態で配置され、端子配置溝34Bには、端子4の先端弾性部4E及び接触部4Fが配置される。
【0092】
(ガイド部35)
可動ハウジング3は、前後一対のガイド部35を有する。
ガイド部35は、相手側コネクタとの接続をガイドする。
ガイド部35は、上方へ突出する。ガイド部35は、前後に一対形成される。ガイド部35は、挿入空間3Hに対して前後方向外側の位置に形成され、挿入空間3Hと前後方向で重なる位置には形成されない。一方、ガイド部35は、挿入空間3Hと幅方向で重なる位置だけでなく、挿入空間3Hに対して幅方向外側の位置にまで形成される。ガイド部35の幅寸法は、可動ハウジング3の本体部3Aの幅寸法と一致する。ガイド部35は、上方を向く天面35Aと、可動ハウジング3の本体部3Aの側面3A1,3A2,3A3と接続される傾斜面35Bと、を有する。
【0093】
(突出部36)
可動ハウジング3は、前後一対の突出部36を有する。
突出部36(被拘束部)は、可動ハウジング3の上方向の移動を制限するための構成要素である。
突出部36は、可動ハウジング3の下端部に形成される。突出部36は、前後方向において本体部3Aから離れる方向に突出する。具体的には、前側の突出部36は、前側を突出方向として突出し、後側の突出部36は、後側を突出方向として突出する。突出部36の先端面36Aは、本体部3Aの前後方向外側面3A1よりも、前後方向において本体部3Aから離れる位置に位置する。
突出部36は、固定ハウジング2の拘束空間6に配置され、可動ハウジング3が上方向に移動すると、突出部36の上面36Bが固定ハウジング2の天壁2B2,2C2に当接する。
【0094】
突出部36の先端面36Aは、突出部36の突出方向側の端に形成された面である。先端面36Aには、ゲート跡Gが形成される。
【0095】
突出部36の上面36Bは、可動ハウジング3が上方向に平行移動した場合に天壁2B2,2C2の下面に当接する面であり、法線方向を上方向に向けた平面である。
【0096】
突出部36の下面36Cは、可動ハウジング3が下方向に平行移動した場合に基板に当接する面であり、法線方向を下方向に向けた面である。
【0097】
突出部36の一対の側面36Dは、可動ハウジング3が幅方向に平行移動した場合に側壁2B1,2C1が形成する幅方向面72Aに当接する面であり、法線方向を幅方向外側に向けた平面である。一対の側面36Dと先端面36Aとの間には、両者を滑らかに接続する湾曲面36Eが形成される。
【0098】
(進入凹部39)
可動ハウジング3は、固定ハウジング2の一部(天壁2B2,2C2)が進入可能な進入空間9を形成する進入凹部39を有する。
進入凹部39が形成されることで、可動ハウジング3の下部3Cでは、可動ハウジング3の上部3Bよりも断面形状(上下方向に直交する断面形状)が小さくなっている。
【0099】
進入凹部39は、平面視で、本体部3Aの側面(前後方向外側面3A1、幅方向外側面3A2及び接続面3A3)よりも前後方向及び幅方向の内側の空間(進入空間9)を、可動ハウジング3の下部3Cの側方に形成する。進入凹部39は、可動ハウジング3の前後方向両側に形成される。
【0100】
進入凹部39は、可動ハウジング3が上下方向に垂直な方向に移動した場合に、固定ハウジング2の前後端部2C又は中間部2B(前後制限面73)に当接する凹部当接面39Aを有する。
【0101】
凹部当接面39Aは、上下方向に垂直な方向を向く。
凹部当接面39Aは、第一面39A1と、一対の第二面39A2と、一対の第三面39A3と、一対の第四面39A4と、を有する。
第一面39A1は、可動ハウジング3の幅方向中央部に形成され、前後方向外側を向く平面である。
一対の第二面39A2は、第一面39A1の幅方向外側に接続される。一対の第二面39A2は、幅方向外側を向く平面である。第二面39A2は、突出部36の側面36Dと同一平面を成す。
一対の第三面39A3は、一対の第二面39A2の幅方向外側に形成される。一対の第三面39A3は、幅方向外側かつ前後方向の斜め方向を向く面である。
一対の第四面39A4は、一対の第四面39A4の幅方向外側に接続される。一対の第四面39A4は、前後方向を向く面である。
【0102】
可動ハウジング3の下部3Cの前後寸法L3は、可動ハウジング3の上部3Bの前後寸法L1よりも小さい。一方、可動ハウジング3の下部3Cの幅寸法は、可動ハウジング3の上部3Bの幅寸法と同一である。但し、可動ハウジング3の下部3Cの前端付近及び後端付近(進入凹部39が形成された部分)では、可動ハウジング3の上部3Bよりも幅寸法が小さくなっている。
【0103】
進入空間9の上方には、進入凹部39の上面39Bが形成される。進入凹部39の上面39Bは、下方向を法線方向とする平面である。進入凹部39の上面39Bは、挿入空間3Hの底面3H1よりも下方に位置する(図19)。
進入凹部39は、上下方向において、挿入空間3Hを挟んで前後方向で対向する一対の前後方向壁37の上下方向の全範囲と重ならない位置に形成される。このため、前後方向壁37の強度が確保される。
【0104】
(通過溝38)
可動ハウジング3は、「凹部」としての通過溝38を有する。
通過溝38が形成されることで、コネクタ1の製造時、可動ハウジング3の上部3Bを固定ハウジング2の配置空間21S,22Sを下から上へ通過させる際に、固定ハウジング2の一部(凸部2H)が可動ハウジング3の通過溝38内を通過することができる(図20図21)。
【0105】
通過溝38は、可動ハウジング3の上部3Bの前後方向外側面3A1に形成される。通過溝38の可動ハウジング3の幅方向中央に位置する。通過溝38は、前後方向を溝深さ方向とし、幅方向を溝幅方向として、上下方向に延在する。通過溝38の延在方向に直交する断面形状は、矩形である。通過溝38は、可動ハウジング3の一対の前後方向外側面のうち両方に形成される。
【0106】
図21に示すように、通過溝38が形成されることで、可動ハウジング3の上部3Bの通過溝38が形成された位置(幅方向の位置)における前後寸法L2は、可動ハウジング3の上部3Bの前後寸法L1よりも小さくなっている。このため、一つの可動ハウジング3が当接する前後一対の天壁2B2,2C2の前後方向の距離Dよりも、可動ハウジング3の上部3Bの前後寸法L1が大きいにも拘らず、可動ハウジング3の上部3B(嵌合部3B)が前後一対の天壁2B2,2C2の間の空間を上下方向に通過可能となっている。
【0107】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0108】
≪第1の観点≫
本実施形態では、コネクタ1は、固定ハウジング2と、第一接続対象物(相手側コネクタ)と嵌合可能な第一嵌合部3Bを有する第一可動ハウジング31と、第二接続対象物(相手側コネクタ)と嵌合可能な第二嵌合部3Bを有する第二可動ハウジング32と、を備える。
また、コネクタ1は、第一端子41と第二端子42とを備える。第一端子41は、固定ハウジング2に保持される第一固定側被保持部4Bと、第一可動ハウジング31に保持される第一可動側被保持部4Dと、第一固定側被保持部4Bと第一可動側被保持部4Dとの間に位置する第一中間弾性部4Cと、を有する。第二端子42は、固定ハウジング2に保持される第二固定側被保持部4Bと、第二可動ハウジング32に保持される第二可動側被保持部4Dと、第二固定側被保持部4Bと第二可動側被保持部4Dとの間に位置する第二中間弾性部4Cと、を有する。
固定ハウジング2は、第一端子41の第一固定側被保持部4Bを保持する第一端子保持部21Aと、第二端子42の第二固定側被保持部4Bを保持する第二端子保持部22Aと、を有する。
【0109】
ここで、仮に、固定ハウジング2のうち第一端子41を保持する部分(第一端子保持部21A)と、固定ハウジング2のうち第二端子42を保持する部分(第二端子保持部22A)と、が別体であると、第一端子41の第一固定側被保持部4Bと、第二端子の第二固定側被保持部4Bと、の相対位置が所定の位置からずれる可能性がある。
これに対し、本実施形態では、固定ハウジング2のうち第一端子保持部21Aと第二端子保持部22Aとが樹脂で一体成形されるので、第一端子41の第一固定側被保持部4Bと、第二端子42の第二固定側被保持部4Bと、の相対位置が所定の位置からずれることが抑制される。
【0110】
また、本実施形態では、第一端子保持部21Aと第二端子保持部22Aとを連結する中間部2Bに、ゲート跡G(成形金型内に溶融樹脂が流入するゲートに対応する位置に形成される跡をいう。)が形成される(図11)。
このため、固定ハウジング2を成形する際に、第一端子保持部21Aと第二端子保持部22Aとの間に位置する部分から溶融樹脂を流入させることができる。そのため、溶融樹脂が成形金型内を効率よく流動でき、固定ハウジング2の強度が低下したり、固定ハウジング2の形状が歪になったりすることを防止できる。
特に、本実施形態では、固定ハウジング2の中間部2Bには、固定用金具5が圧入される圧入部2Dが形成されないので、中間部2Bから溶融樹脂の流動をスムーズに行える。なお、固定用金具5は、固定ハウジング2の四隅に配置されるので、固定ハウジング2の基板(取付対象物)に対する固定は充分に補強される。
なお、成形金型内を流動した溶融樹脂同士が衝突する部分であるウェルドラインは、一対の端子保持部を繋ぐ前後端部2Cに形成されることが好ましい。なぜなら、端子保持部2Aよりも前後端部2Cの方が、強度に対する要求が低いからである。
【0111】
また、本実施形態では、固定ハウジング2は、当該固定ハウジング2を上下方向に貫通すると共に第一可動ハウジング31及び第二可動ハウジング32が収容される収容空間(第一配置空間21S、第二配置空間22S、図11)を有する。収容空間(第一配置空間21S、第二配置空間22S)は、固定ハウジング2の中間連結部(中間部2Bの天壁2B2)によって、第一可動ハウジング31が収容される第一収容空間21Sと、第二可動ハウジング32が収容される第二収容空間22Sとに分割される。
このため、固定ハウジング2の成型時に固定ハウジング2を構成する樹脂が収縮し、その収縮に伴って固定ハウジング2が変形してしまうことを抑制することができる。
【0112】
また、本実施形態では、中間連結部(中間部2Bの天壁2B2)が、第一可動ハウジング31の上方向の移動を制限すると共に、第二可動ハウジング32に当接することで第二可動ハウジング32の上方向の移動を制限する。
このため、中間連結部を効果的に機能させることができる。
【0113】
また、本実施形態では、第一可動ハウジング31の第一上当接部(突出部36)が固定ハウジング2の第一上制限部(天壁2B2,2C2)に当接することで、第一可動ハウジング31の上方向の移動が制限され、第二可動ハウジング32の第二上当接部(突出部36)が固定ハウジング2の第二上制限部(天壁2B2,2C2)に当接することで、第二可動ハウジング32の上方向の移動が制限される。
ここで、第一上当接部(突出部36)及び第二上当接部(突出部36)は、第一可動ハウジング31と第二可動ハウジング32とが配列される方向である配列方向(本実施形態では前後方向)に突出する。
このため、上下方向に直交する方向のうち配列方向に垂直な方向(本実施形態では幅方向)において、コネクタ1を小型にしやすい。
【0114】
≪第2の観点≫
次に、本実施形態の作用効果について、他の観点から説明する。
【0115】
本実施形態では、図19に示すように、コネクタ1は、固定ハウジング2と、可動ハウジング3と、を備える。可動ハウジング3は、上下方向に垂直な方向である突出方向に突出する突出部36を有する。固定ハウジング2は、突出部36が拘束される空間である拘束空間6を形成する拘束空間形成部(前後端部2C)を有する。拘束空間形成部(前後端部2C)は、突出部36の側方に位置する一対の側壁2A1と、突出部36の上方に位置する天壁2C2と、を有する。天壁2B2は、突出部36が当接することで、可動ハウジング3の上方向への移動を制限する。
ここで、拘束空間形成部(前後端部2C)は、突出部36に対して突出方向側に位置する補強壁2C3であって、一対の側壁2A1を連結する補強壁2C3を有する。
このため、補強壁2C3によって、拘束空間形成部(前後端部2C)における天壁2C2付近が補強され、拘束空間形成部(前後端部2C)の破損が抑制される。
【0116】
また、本実施形態では、可動ハウジング3が突出方向(本実施形態では前後方向)に限界まで平行移動した場合でも、突出部36は、補強壁2C3に当接しない(図22)。そのため、補強壁2C3自体に求められる強度が低くて済む。よって、補強壁2C3を薄くでき、固定ハウジング2を小型化できる。
【0117】
また、本実施形態によれば、突出部36の突出端面(先端面36A)にゲート跡G(図13)が形成されるコネクタ1において、拘束空間形成部(前後端部2C)を低く形成する際に有効である。
すなわち、突出部36の突出端面36Aにゲート跡Gが形成される可動ハウジング3では、溶融樹脂を注入するためのゲートの大きさを確保しようとすると、突出部36の小型化に限界が生じる。その結果、突出部36が拘束される拘束空間6もある程度の大きさが必要である。小型化の限界がある突出部36を収容しつつ、固定ハウジング2の拘束空間形成部(前後端部2C)を低背化するには、天壁2C2を薄型化することが考えられる。しかし、天壁2C2を薄型化すると可動ハウジング3が固定ハウジング2に対して強く当接した場合に、薄型化した天壁2C2付近で拘束空間形成部が破損する恐れがある。そこで、補強壁2C3を設けることで、拘束空間形成部の破損が抑制される。
【0118】
≪第3の態様≫
次に、本実施形態の作用効果について、他の観点から説明する。
【0119】
本実施形態では、コネクタ1は、固定ハウジング2と、第一接続対象物と嵌合可能な第一嵌合部3Bを有する第一可動ハウジング31と、第二接続対象物と嵌合可能な第二嵌合部3Bを有する第二可動ハウジング32と、第一端子41と、第二端子42と、を備える。
第一可動ハウジング31と第二可動ハウジング32とは、上下方向に垂直な方向である所定の配列方向(前後方向)に配列される。そして、第一可動ハウジング31は、上下方向に垂直な方向であって第二可動ハウジング32側に向かう方向(後方向)に突出する第一側突出部36(第一可動ハウジング31の前後一対の突出部36のうち後側の突出部36)を有し、第二可動ハウジング32は、上下方向に垂直な方向であって第一可動ハウジング31側に向かう方向(前方向)に突出する第二側突出部36(第二可動ハウジング32の前後一対の突出部36のうち前側の突出部36)を有する。
また、固定ハウジング2は、第一側突出部36と第二側突出部36の両方が拘束される空間である拘束空間(中間拘束空間6B)を形成する拘束空間形成部(中間部2B)を有する。拘束空間形成部2Bは、第一側突出部36及び第二側突出部36の上方に位置する天壁2B2を有し、天壁2B2は、第一側突出部36及び第二側突出部36が当接することで、第一可動ハウジング31及び第二可動ハウジング32の上方向への移動を制限する。
【0120】
ここで、拘束空間6Bは、第一側突出部36と第二側突出部36の両方が位置可能な共用拘束空間を有する。
したがって、例えば、第一可動ハウジング31が第二可動ハウジング32から離れる方向(前方向)に移動した場合、移動する前に第一側突出部36が位置していた空間に、第二可動ハウジング32の第二側突出部36が移動することが可能である。また例えば、第二可動ハウジング32が第一可動ハウジングから離れる方向に移動した場合、移動する前に第二側突出部36が位置していた空間に、第一可動ハウジング31の第一側突出部36が移動することが可能である。つまり、拘束空間6Bの少なくとも一部が、第一側突出部36と第二側突出部36とで共用される。
このため、コネクタを配列方向で小型化しやすい。
【0121】
また、本実施形態では、正規状態(図5図6に示す状態)において、第一側突出部36と第二側突出部36とが配列方向(前後方向)で近接している。具体的には、正規状態における第一側突出部36と第二側突出部36との配列方向(前後方向)の間隔は、正規状態から第一可動ハウジング31が第二可動ハウジング32に近づく方向(後方向)へ移動可能な距離よりも小さく、かつ、正規状態から第二可動ハウジング32が第一可動ハウジング31に近づく方向(前方向)へ移動可能な距離よりも小さい。更に具体的には、正規状態における第一側突出部36と第二側突出部36との配列方向(前後方向)の間隔は、正規状態から第一可動ハウジング31が第二可動ハウジング32に近づく方向(後方向)へ移動可能な距離の1/5以下であり、かつ、正規状態から第二可動ハウジング32が第一可動ハウジング31に近づく方向(前方向)へ移動可能な距離の1/5以下である。
このため、より一層、コネクタ1を配列方向で小型化しやすい。
なお、本実施形態では、コネクタ1の接続対象物としての相手側コネクタ(図示省略)が、第一接続対象物としての第一嵌合部(図示省略)と第二接続対象物としての第二嵌合部(図示省略)とを含んで構成され、第一嵌合部と第二嵌合部とが互いに相対変位しないように相手側コネクタが構成されている。
また、本実施形態では、図6に示すように、正規状態における第一側突出部36と第二側突出部36との配列方向(前後方向)の間隔をdとしたときd>0であるが、d=0であってもよい。つまり、正規状態において、第一側突出部36と第二側突出部36とが配列方向で接触していてもよい。
【0122】
≪他の態様≫
次に、本実施形態の作用効果について、他の観点から説明する。
【0123】
本実施形態では、コネクタ1は、固定ハウジング2と、可動ハウジング3と、を備える。可動ハウジング3は、上部3Bと下部3Cとを有する(図14図15)。固定ハウジング2は、可動ハウジング3の下部3Cの側方に配置される部分(進入部としての天壁2B2,2C2)を有する。
【0124】
ここで、可動ハウジング3の下部3Cは、上部3Bの下方に位置する進入空間9が、当該下部3Cの側方に形成されるように構成される。そして、可動ハウジング3が上下方向に垂直な方向(本実施形態では前後方向)に移動することで、進入部(天壁2B2,2C2)が進入空間9に進入可能である(図22)。
このため、可動ハウジング3の上部3Bの下方に位置する空間であって、可動ハウジング3が上下方向に垂直な方向に移動することで固定ハウジング2の一部が進入可能である空間が、下部3Cの側方に形成されないコネクタと異なり、可動ハウジング3の上部3Bの大きさを確保したまま、可動ハウジング3の水平方向(上下方向に垂直な方向)の可動域を大きくすることができる。
なお、本実施形態では可動ハウジング3の上部3Bが嵌合部3Bであるが、上記効果は上部3Bが嵌合部3Bである場合に限定されないことは言うまでもない。
【0125】
また、本実施形態では、可動ハウジング3は、上下方向と垂直な方向である突出方向に突出する突出部36を有する。そして、進入部(天壁2B2,2C2)は、突出部36が当該進入部(天壁2B2,2C2)に当接することで、可動ハウジング3の上方向への移動を制限する「上制限部」である。
このため、本実施形態によれば、可動ハウジング3の上方向への移動を制限するための「上制限部」を固定ハウジング2が有するコネクタ1において、可動ハウジング3の上部3Bの大きさを確保したまま、可動ハウジング3の水平方向の変位量を大きくすることができる。
【0126】
また、本実施形態では、固定ハウジング2は、進入部(天壁2B2,2C2)と突出方向で対向する対向部(天壁2B2,2C2)を有する。進入部(天壁2B2,2C2)と対向部(天壁2B2,2C2)との間には、通過空間(配置空間21S,22S)が形成され、通過空間(配置空間21S,22S)は、可動ハウジング3の上部3Bが上下方向に通過可能に構成される。
このため、固定ハウジング2が形成する通過空間(配置空間21S,22S)を可動ハウジング3の上部3Bに通過させる必要があるコネクタ1において、可動ハウジング3の上部3Bの大きさを確保したまま、可動ハウジング3の水平方向の変位量を大きくすることができる。
【0127】
また、本実施形態では、進入部(天壁2B2,2C2)は、第一方向内側(上下方向に垂直な方向であって可動ハウジング3の中心側に近づく方向)に突出した凸部2Hを有する。可動ハウジング3の上部3Bは、第一方向内側へ凹んだ凹部(通過溝38)を有する。凹部(通過溝38)は、凸部2Hが上下方向に通過可能に構成される。
進入部(天壁2B2,2C2)の凸部2Hは、「上制限部」として機能するので、可動ハウジング3の上方向への移動がより確実に制限される。そして、凸部2Hは、コネクタ組立時、可動ハウジング3の上部3Bの凹部(通過溝38)を通過し、組立後には進入空間9に進入可能である(図20図21)。更に、可動ハウジング3の上部3Bは、凹部(通過溝38)を有するが、凹部(通過溝38)が形成されていない部分が残るため、可動ハウジング3の上部3Bの大きさ(第一方向寸法)を確保することができる。
特に、本実施形態では、可動ハウジング3の上部3B(嵌合部3B)に形成される挿入空間3Hの大きさを確保したまま、周壁(特に、前後方向壁37)の厚さを大きくできるので、周壁の強度を向上させることができる。
【0128】
また、本実施形態では、可動ハウジング3が反突出方向に限界まで移動した場合には、突出部36は、進入部(天壁2B2,2C2)のうち凸部2Hとのみ上下方向で対向する(図23)。このため、可動ハウジング3の反突出方向への可動域を大きくすることができる。
なお、可動ハウジング3の反突出方向への可動域を大きくする観点からは、必ずしも、可動ハウジング3が反突出方向に限界まで移動した場合に突出部36が進入部(天壁2B2,2C2)のうち凸部2Hとのみ上下方向で対向する必要はない。例えば、突出部36と進入部(天壁2B2,2C2)とを上下方向に直交する平面に投影した場合に両者が重なる部分の80%以上の部分が、突出部36と凸部2Hとを上下方向に直交する平面に投影した場合に両者が重なる部分であることを意味する。
但し、突出部36と進入部(天壁2B2,2C2)とを上下方向に直交する平面に投影した場合に両者が重なる部分の100%が、突出部36と凸部2Hとを上下方向に直交する平面に投影した場合に両者が重なる部分であるようにすることが、より好ましい。
【0129】
〔補足説明〕
なお、上記実施形態では、コネクタ1と相手側コネクタとの接続状態で、基板と相手側基板とがコネクタ対を挟んで互いに平行に配置される例(所謂、平行接続)を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、垂直接続や水平接続であってもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、端子に対するハウジングの保持が圧入保持であるが、インサート成形による保持であってもよい。
【0131】
また、上記実施形態では、端子の中間部が中間弾性部であるが、本開示の中間部はこれに限定されない。例えば、端子が、固定側被保持部を有する第一の部分と、可動側被保持部と有する第二の部分とで別体に構成されており、第一の部分と第二の部分との接触した部分が「中間部」であってもよい。
【0132】
また、上記実施形態では、コネクタが2つの可動ハウジングを備えるが、本開示はこれに限定されない。コネクタが備える可動ハウジングの個数は、1つであっても、3つ以上であってもよい。
【0133】
また、上記実施形態では、ハウジングが、全体が樹脂で一体成形されるハウジング2,3であるが、本開示のハウジングはこれに限定されない。例えば、樹脂と金属とが組み合わされてハウジングが構成されてもよい。具体的には、固定ハウジングの上制限部は、金属部材で構成されてもよい。
【0134】
また、上記実施形態では、凹部としての通過溝38が、可動ハウジング3の一対の前後方向外側面のうち両方に形成されるが、本開示はこれに限定されない。例えば、凹部は、可動ハウジング3の一方側の前後方向外側面3A1のみに形成されてもよい。
【0135】
また、上記実施形態では、1つの可動ハウジングに複数の端子が保持されるが、本開示はこれに限定されない。1つの可動ハウジングに保持される端子が1つであってもよい。
【0136】
また、上記実施形態では、中間部2Bが、中間連結部(中間部2Bの天壁2B2)を有するが、中間連結部を有しなくてもよい。
【符号の説明】
【0137】
1 コネクタ
2 固定ハウジング
2A 端子保持部
2B 中間部(拘束空間形成部)
2B1 側壁
2B2 天壁
2C 前後端部(拘束空間形成部)
2C1 側壁
2C2 天壁
2C3 補強壁
2H 凸部
21A 第一端子保持部
21C 前端部
21S 第一配置空間(第一収容空間)
22A 第二端子保持部
22C 後端部
22S 第二配置空間(第二収容空間)
3 可動ハウジング
31 第一可動ハウジング
32 第二可動ハウジング
3B 上部(嵌合部)
3C 下部
36 突出部
36A 先端面(突出端面)
38 通過溝(凹部)
39 進入凹部
4 端子
41 第一端子
42 第二端子
4B 固定側被保持部
4C 中間弾性部(中間部)
4D 可動側被保持部
6 拘束空間
6A1 前側拘束空間
6A2 後側拘束空間
6B 中間拘束空間
7 制限面
8 制限面
9 進入空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24