特開2021-126058(P2021-126058A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-126058(P2021-126058A)
(43)【公開日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】植物加温装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20210806BHJP
   A01G 9/20 20060101ALI20210806BHJP
   H05B 3/48 20060101ALI20210806BHJP
【FI】
   A01G7/00 601Z
   A01G9/20 A
   H05B3/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-21516(P2020-21516)
(22)【出願日】2020年2月12日
(71)【出願人】
【識別番号】319015968
【氏名又は名称】篠田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100078949
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 勝美
(72)【発明者】
【氏名】篠田 正人
【テーマコード(参考)】
2B022
2B029
3K092
【Fターム(参考)】
2B022AA03
2B022AB15
2B022AB17
2B022DA17
2B029KA10
3K092PP20
3K092QA01
3K092QA05
3K092SS18
3K092TT07
3K092VV40
(57)【要約】
【課題】放熱性、耐久性や耐荷重性、経済性を一挙に解決する植物加温装置を供すること。
【解決手段】中空の六面体からなる保護ケース5内に、発熱体3が収納され、ケイ素系成分からなる封止材7が充填されてなる放熱器11と、該放熱器を被覆する樹脂製のケーシング13とからなる。保護ケース5の一対の面に形成される放熱面部6aの周面のケーシングの厚さは他の部分の厚さ以下に形成される。発熱体と保護ケースとは封止材7により一体に固定され、踏付押圧時の負荷を耐荷重性の大なるセラミックからなる保護ケースに伝えるから耐荷重性が大となり、踏付押圧による発熱体の破損を防止する。放熱面部に伝えられた発熱体の熱が熱伝達率の良い保護ケース全面に拡散されて放熱面部より放熱され、該放射面部が熱伝導率の劣る薄いケーシング被覆層に包まれているから放熱効果が大となる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体が収納された保護ケース内に、ケイ素系成分からなる封止材が上記発熱体とセラミックからなる保護ケースとの間に充填されるとともに該発熱体を封止してなる放熱器と、該放熱器を被覆する樹脂製のケーシングとからなり、
上記保護ケースは中空の六面体からなり、
該六面体は4周面のうち少くとも一対の面に放熱面部が形成され、
該放熱面部の周面の上記ケーシングの厚さが他の部分の厚さより小に形成されることを特徴とする植物加温装置。
【請求項2】
請求項1記載の植物加温装置において、上記放熱面部が他の面より大なる表面積を有することを特徴とする植物加温装置。
【請求項3】
請求項2記載の植物加温装置において、上記放熱面部の面板の厚さが上記放熱面部に直交する他の一対の放熱面部の面板の厚さと等しいことを特徴とする植物加温装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の植物加温装置において、上記ケーシングが上記発熱体のリード線及び電源との接続線を含めて上記放熱器と一体に被覆固定されることを特徴とする植物加温装置。
【請求項5】
請求項1記載の植物加温装置において、上記封止材がペースト状に練ったセメントからなることを特徴とする植物加温装置。
【請求項6】
請求項1記載の植物加温装置において、上記封止材がシリコン樹脂からなることを特徴とする植物加温装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一記載の植物加温装置において、上記放熱面部が上記発熱体の長手方向に形成されることを特徴とする植物加温装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一記載の植物加温装置において、上記保護ケースが方形体からなり、上記ケーシングの放熱面部対応部が上記保護ケースと相似方形体からなることを特徴とする植物加温装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一記載の植物加温装置において、上記ケーシングの先端部に位置合わせ孔が設けられることを特徴とする植物加温装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一記載の植物加温装置において、上記発熱体が30W未満の電力量かつ3A以下電流の小勢力回路からなることを特徴とする植物加温装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は植物加温装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、地球環境に対する対応が非常に厳しくなっており、脱炭素化が急務となってきている。
【0003】
日本における施設園芸用ハウスのうち加温装置のある割合は44%であり、その殆どが燃焼式加温器である。またヒートポンプを導入しているハウスは6%に留まっている、と言われる。その原因は、屋外の温度が低くなるとデフロスト(霜取り)で極端に効率が悪くなるためである。更にヒートポンプのみでの加温は導入の台数が飛躍的に多くなり、設備費用と電気代が嵩むため、ハイブリッド加温方式で燃焼式加温機を併用することが多く、本来の脱炭素化は難しい。
【0004】
燃料価格が高止まりになっているにも拘わらずヒートポンプの導入が進まないのは、小規模農家多くヒートポンプ導入に大きな初期投資がかかることや、保守的で経験と勘による農家が多く、栽培環境を変えることを嫌がる傾向があること、また高齢化や後継者問題のためと考えられている。
【0005】
ヒートポンプの場合、電気料金が嵩み、特に冬場の暖房のみの限定となると、基本電気料金は加温していない期間にも料金が発生する。
【0006】
例えばいちごの高設栽培においては、培地が空中にあるため、培地の温度が低下しやすく、電熱線や温湯管またはベンチの下を温風ダクトで加温し、培地温度を15℃〜18℃で維持しなければならない。そのために加温熱源の温度は50℃前後と高く維持するためのランニングコストがかかる。
【0007】
従来の植物加温装置の設置は電気工事士による設備工事である場合が多く、この面からも多大の費用がかかるため、敬遠されることが多かった。
【0008】
別の観点からみると、従来のこの種植の物加温装置は耐荷重に対して強度が不足していた。例えば、ヒーターの着脱作業中踏み付けられると破損することがあり、破損時に発熱体の膨れやガスの吹き出しが生じる。折れた状態で通電されると高温で発熱してしまう。
【0009】
発熱体が折損すると高温で樹脂が溶けて高温ガスが発生し、溶融した樹脂が吹き出してやけどをしたり、ケーシング内に水分が入って爆発するおそれがあった。この場合、荷重でケーシングが曲がり更に発熱体が破損して高温を発し、ケーシングの耐熱温度を超えてケーシング内の高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)を溶かす現象がおこり易い。
【0010】
また発熱体の表面積が小さく伝熱量が少ないという問題もあった。加えて、ケーシングの耐熱性や絶縁性が低い等の欠点があるため、発熱体の温度を更に上昇させること自体も難しかった。具体的にはバラの切り花栽培やトマト栽培で多く採用されているロックウール栽培において、ロックウールキューブのみを加温する場合、希望する温度まで上がらず加温容量が不足するため、ヒーターを2個使いする必要が生じ、省エネルギー効果が少なくなる。
【0011】
また植物加温装置の培地に挿し込んで加温するタイプの場合、地上部のイチゴのクラウン加温や切り花のバラの株元には固定することが難しく、培地加温の場合、培地加温専用のクラウン加温ではクラウン加温専門の温湯管やテープヒーターなどに特化した加温装置が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−119311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本願発明は上記背景に鑑み、放熱性、耐久性や耐荷重性、経済性といった両立が難しい課題を一挙に解決する植物加温装置を供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題解決のため、本願発明請求項1による植物加温装置は、発熱体が収納された保護ケース内に、ケイ素系成分からなる封止材が上記発熱体とセラミックからなる保護ケースとの間に充填されるとともに該発熱体を封止してなる放熱器と、該放熱器を被覆する樹脂製のケーシングとからなり、上記保護ケースは中空の六面体からなり、該六面体は4周面のうち少くとも一対の面に放熱面部が形成され、該放熱面部の周面の上記ケーシングの厚さが他の部分の厚さより小に形成されることを特徴とする。
また本願発明請求項2による植物加温装置は、請求項1記載の植物加温装置において、上記放熱面部が他の面より大なる表面積を有することを特徴とする。
また本願発明請求項3による植物加温装置は、請求項2記載の植物加温装置において、上記放熱面部の面板の厚さが上記放熱面部に直交する他の一対の放熱面部の面板の厚さと等しいことを特徴とする。
また本願発明請求項4による植物加温装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の植物加温装置において、上記ケーシングが上記発熱体のリード線及び電源との接続線を含めて上記放熱器と一体に被覆固定されることを特徴とする。
また本願発明請求項5による植物加温装置は、請求項1記載の植物加温装置において、上記封止材がペースト状に練ったセメントからなることを特徴とする。
また本願発明請求項6による植物加温装置は、請求項1記載の植物加温装置において、上記封止材がシリコン樹脂からなることを特徴とする。
また本願発明請求項7による植物加温装置は、請求項1乃至請求項6のいずれか一記載の植物加温装置において、上記放熱面部が上記発熱体の長手方向に形成されることを特徴とする。
また本願発明請求項8による植物加温装置は、請求項1乃至請求項7のいずれか一記載の植物加温装置において、上記保護ケースが方形体からなり、上記ケーシングの放熱面部対応部が上記保護ケースと相似方形体からなることを特徴とする。
また本願発明請求項9による植物加温装置は、請求項1乃至請求項8のいずれか一記載の植物加温装置において、上記ケーシングの先端部に位置合わせ孔が設けられることを特徴とする。
また本願発明請求項10による植物加温装置は、請求項1乃至請求項9のいずれか一記載の植物加温装置において、上記発熱体が30W未満の電力量かつ3A以下電流の小勢力回路からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本願発明による植物加温装置によれば、放熱器の発熱体と保護ケースとの間には発熱体を固定するケイ素系成分からなる封止材、具体的には、ペースト状のセメント又はシリコン樹脂が充填されており、このケイ素系成分が発熱体を保護ケースの中に封止するための加温硬化で凝固する役目を有するため、封止材と保護ケースが一体となり、踏付押圧時の負荷を耐荷重性の大なるセラミックからなる保護ケースに伝えるから耐荷重性が大となり、踏付押圧による発熱体の破損を防止する。保護ケースは耐荷重性があるため、踏み付けられても破壊され難い。
【0016】
また上記保護ケースは中空の六面体からなり、一対の面が放熱面部に形成され、該放熱面部は周面のケーシング被覆層の厚さが他の部分のケーシング被覆層の厚さより小に形成されるから、放熱面部に伝えられた発熱体の熱が熱伝達率の良い保護ケース全面に拡散されて放熱面部より放熱され、該放射面部が熱伝導率の劣る薄いケーシング被覆層に包まれていることとも相まって熱放熱量の減少が小となり放熱効果が大となる。
【0017】
さらに上記保護ケースの放熱面の材質はセラミックからなり、大なる熱伝導率を得ることができるので、上記発熱体の発熱を上記保護ケースに伝えることにより、上記保護ケース全面に熱が拡散されて大きな放熱をすることができる。これにより上記保護ケースが放熱器として機能することになり、上記発熱体の消費電力が少なくて済むため、経済性がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(A)は本願発明による植物加温装置の実施の形態を示す正面図、(B)は(A)の右側面図である。
図2】(A)は図1のA−A拡大断面図、(B)は図1のB−B断面図である。
図3図1の植物加温装置の使用例を示す図である。
図4図1の植物加温装置の他の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願発明による植物加温装置の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、便宜上、同一の機能を奏する部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
植物加温装置1は、発熱体3が収納された純度90%以上のアルミナセラミックからなる保護ケース5の中空部5aに、ペースト状に練ったセメントからなる封止材7が充填されてなる放熱器11と、該放熱器11を被覆するケーシング13からなる。9は該保護ケース5の中空部5aに収納される発熱体3のリード線、10はハーネス線と呼ばれる図示しない電源の接続線である。上記封止材7は上記保護ケース5の中空部5aに十分充填されており、該保護ケース5を封止し、これにより上記発熱体3リード線9が動かないようになっている。上記した発熱体3、封止材7、リード線9、ハーネス線10及び保護ケース5により放熱器11が構成される。ケーシング13はポリ塩化ビニル樹脂(PVC)からなり、上記放熱器11と上記リード線9及び上記接続線10の接続部分まで一体で外面を絶縁被覆する。
該ケーシング13の先端部13aの側には、植物加温装置1の設置が容易となるように、位置合わせ孔15が設けられる。
【0020】
上記保護ケース5は方形体を呈し、図1(A)に示す正面及び背面が他の面(図1(B)、図2(A)参照)より大なる表面積を有する放熱面部6aに形成される。該放熱面部6aは周面の厚さd3が該放熱面部と直交する他の一対の放熱面部6bの面の厚さd3と等しく形成される。本実施例では、上記放熱面部6aは上記発熱体3の長手方向に形成される。保護ケース5の長手方向の一面(本実施例では基端部13c側)は上記発熱体3及び上記封止材7を挿入する開口4となっており、該開口4から発熱体の正極と負極のリード線9が露出する。上記ケーシング13は上記保護ケース5と相似方形体に形成され、上記放熱面部6aの周面のケーシング13の厚さが他の部分即ち先端部13a、テーパ部13b及び基端部13cより薄く形成される。上記ケーシング13の先端部13aは、回動時に衝突しないよう円弧状に形成される。他方基端部13cに至るテーパ部13bは、設置作業に便利なように、内側にテーパ状に形成される。上記放熱器11の電源は電気工事士による工事が必要とされない30W未満で3A以下の小勢力回路で、かつ直流電源回路が用いられる。なお、電源は専用電源やUSBアダプター、ACアダプター、蓄電池など種々適用することができる。
【0021】
ここで、各部の寸法について述べる。本実施例では、保護ケース5は外寸ベースで縦l1:14.5mm、横W1:12mm、厚さd1:5mmに、ケーシング13は外寸ベースで縦l2:55mm、横W2:14mm、厚さd2:9mmに、各形成される。また位置合わせ孔15は直径4mmに形成される。放熱面部6a、6bの面板の厚さd3は約0.9mmである。中空部5aの内寸は約3.2mmであり、発熱体3の直径は約3mmである。
【0022】
上記実施の形態によれば、放熱面部6aが大なる表面積を有するため、熱伝達率が大となり、熱の移動(放熱性)が大となる。即ち、熱の移動(放熱)は熱伝達率に基いており、熱伝達率即ち熱伝導率(W/K)×熱交換が行われる面積(m2)であるから、熱伝導率が同一であれば面積が大きい程大となるからである。よって上記実施の形態では、適用対象への局部加熱に際し、大なる熱伝達率を得ることができる。換言すれば、上記実施の形態によれば、局部加熱を少ない消費電力量にて済む効果がある。
【0023】
単位面積あたりの省エネ化が可能となる理由は、発熱体3の表面温度が同じ場合、発熱体3を加温するために要する消費電力(W)が少ない程、省エネになるからであり、また、同じ表面温度では発熱体3の表面積が大きい程、単位面積あたりの消費電力が小さくなるためである。
さらには発熱体3が同一形状であって消費電力が同じ場合、表面温度が高くなるほど省エネになるところ、上記実施の形態によれば、発熱体3を収納する保護ケース5が純度90%以上のアルミナセラミックからなり、熱伝導率、高耐荷重性、高耐熱性及び絶縁性があり、この発熱体3を収納する保護ケース5が封止材7と一体になって発熱体3を保護するため、発熱体3の発熱温度を上昇化することが可能となる。また保護ケース5は磁器材であるため絶縁性及び耐熱性があり、発熱体3の保護及び絶縁性を更に確保することができ、飛躍的に安全性が向上する。
【0024】
保護ケース5は、放熱面部6a以外の他の放熱面部6bが小なる面積に形成されているため、広い面の放熱面部6aを加温面とすると、放熱量が大となり、加温効率が大となる効果がある。また加温したい部分のみに集中的に放熱できるので放熱ロスの防止となる。植物加温装置1は保護ケース5を絶縁被覆するケーシング13がポリ塩化ビニル(PVC)からなるところ、該樹脂が断熱性を有しているため、放熱面の被膜を薄くして放熱性を大としている。また該樹脂が電線の被覆材であるため、材料費が安価で経済性と耐久性がある。
【0025】
ケーシング13内の放熱器11は、封止材7とファインセラミックのアルミナセラミックからなる保護ケース5からなるため、不溶性と高強度がある。このため樹脂溶融のガス噴出による火傷や爆発のおそれがない。発熱体3に落雷などにより高電流が流れ、発熱体3が破損する場合、発火や爆発を伴うことがあるが、この場合高密度ポリエチレン材(HDPE材)でも、樹脂が溶け出して膨れたりポリ塩化ビニル(PVC)の外皮が破け樹脂が溶け出すので、火傷のリスクがある。しかし、上記実施の形態のように放熱器11の封止材7及びアルミナセラミック材は不溶性と高強度なので、万一発熱体の放熱器11が爆発しても原形を維持することができ、また放熱器11が破断するときの破裂音、煙、発光を抑制することができる。
【0026】
上記実施の形態では電源が30W未満で3A以下の小勢力回路となり、家電製品と同様、電気工事士が必要とされない商品として取り扱われる。このため、使用する電線などある程度自由な設計が可能となり、誰でもが自由に使用することができる。また電流3A以下での直流電流を使用するので、人体への感電事故などの安全性も更に確保することができる。
【0027】
この結果、次のような利活用の簡便性、多様性を得ることができる。
即ち、利活用において、個人用の花や家庭菜園などでも利用することができる。また電池(充電器等)による1日中の加温を実現することができ、さらにコンセントの無い場所でも利用することができる。更に、定置用蓄電池の普及や電気自動車の普及、電気自動車等の移動可能な電池の再利用などによる加温が十分可能になる。
また太陽光などの再生可能エネルギーを併用すれば部品製造以外はCO2の発生をゼロにすることができる。
【0028】
また家庭で種から育てることができるため、発芽用専用加温機などが無くても、本願発明による植物加温装置を適用することにより、育成用にも発芽用にも使用することが可能である。また植物加温装置1の設置位置を変えなくても電圧を変更することにより温度を調節することができる。この調節効果は育成用/発芽用の選択的使用に効果を発揮する。
なお、例えば家庭使用では携帯用USBアダプターを利用して使用することができる。また携帯用モバイルバッテリーで24時間加温可能となるため、留守やコンセントの無い場所でも加温することができる。
【0029】
本願発明による植物加温装置の適用対象は、例えば切り花栽培のバラ、ガーベラ等及びイチゴ、トマト等のハウス栽培植物、その他植物全般である。
【0030】
植物への加温形態は、局部加温が可能であるため、図3に示すように植物、例えば切り花栽培のバラの茎部21やイチゴのクラウンなどの成長点部、根部、その他どこでも適用可である。図中20は植物加温装置1を植物の茎部21に固定する結束バンドである。
例えば図4に示すように、鉢の底から加温する場合、位置合わせ孔15よりピン19にて鉢底17aに固定したり又は図示しない鉢の受け皿に固定して鉢ごと加温することができる。図4において、先端部13aが円弧状に形成されているので、鉢底17aの壁部に衝突するのを防止する。鉢花の場合日常の管理として日の当たるところに移動することが多く、鉢の培地や植物に植物加温装置1を設置したとき、ハーネス毎の移動が大変になる。上記実施の形態による植物加温装置1は鉢と別体になっているので移動が便利である。
さらに、本実施例では植物加温装置1全体が薄い方形体に形成されているため鉢の中に挿入して使用する場合、放熱面部6aだけでなく他の放熱面部6bから放熱される熱を利用することができるので、加温効率が向上する。
【0031】
上記実施の形態による植物加温装置1は、最大90Wまで連結可能で、使い回し可であり、移動も簡単である。設置作業効率も良好であって、必要部位のみの加温もできるので、経済的である。また使い回しの際は、移設も簡単に行うことができる。
さらに上記実施の形態による植物加温装置1の設置は簡単に行うことができる。とくに電源差し込みタイプは一層簡単である。
【0032】
本願発明は上記した実施の形態に制限されない。例えば、封止材7は、セメントに代えて、高絶縁性、高耐熱性、高耐荷重性のシリコン樹脂や高絶縁性、高耐熱性の高伝導率のアルミナ粉末を含む無機質の封止材を使用することができる。
保護ケース5の放熱面部6a、6bの面板厚d3は1mm前後であれば、厳密に等しくなくてもよい。
また本願発明による植物加温装置の適用対象は、昆虫等の保育にも適用することができる。
また局部加温面が小の場合、小面積の他の放熱面部6bを放熱面として、例えばいちごのクラウン加温に利用することもできる。
また封止材は、接着効果を良好ならしめるため、熱硬化性樹脂を添加して加温することにより凝固接着するものが許される。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本願発明による植物加温装置は家庭用はもとより施設園芸用ハウスの植物加温装置として利活用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 植物加温装置
3 発熱体
4 開口
5 保護ケース
5a 中空部
6a 放熱面部
6b 他の放熱面部
7 封止材
9 リード線
10 接続線
11 放熱器
13 ケーシング
13a 先端部
13b テーパ部
13c 基端部
15 位置合わせ孔
17 鉢
17a 鉢底
19 ピン
20 結束バンド
21 植物の茎部
図1
図2
図3
図4