(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-126213(P2021-126213A)
(43)【公開日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】脱毛針
(51)【国際特許分類】
A61B 18/04 20060101AFI20210806BHJP
A45D 26/00 20060101ALI20210806BHJP
【FI】
A61B18/04
A45D26/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2020-21340(P2020-21340)
(22)【出願日】2020年2月12日
(71)【出願人】
【識別番号】398033105
【氏名又は名称】株式会社ニドー
(74)【代理人】
【識別番号】100066441
【弁理士】
【氏名又は名称】川島 順
(72)【発明者】
【氏名】細川 祐喜
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK42
4C160KK43
4C160KK45
4C160MM22
(57)【要約】
【課題】毛穴以外の皮膚に誤って脱毛針を突き刺しても皮膚に傷が付かない高周波脱毛器
用の脱毛針を提供する。
【解決手段】
本発明の高周波脱毛器用の脱毛針1は、針先に向かって次第に細くなる円錐体形状の毛穴
挿入部12の先端に平坦な円形先端部13を形成したので、脱毛手術者が誤って毛穴以外
の皮膚にこの脱毛針の先端を押し当てても、脱毛針1は皮膚を付き破って内部に侵入する
事が防止され、皮膚に傷を付けることがなくなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱毛針の本体丸棒の先端に連続して針先に向かって次第に細くなる円錐体形状の毛穴挿入
部を設け、該毛穴挿入部の先端を軸線に直角にカットして平坦な円形先端部を形成したこ
とを特徴とする高周波脱毛器用の脱毛針。
【請求項2】
上記円形先端部の直径は、毛穴には容易に侵入することができるが、人体皮膚に突き刺し
た場合は、人間の指先だけの力では容易に侵入できない程度の抵抗力を発揮する大きさに
設定されていること特徴とする請求項1に記載の高周波脱毛器用の脱毛針。
【請求項3】
上記円形先端部の直径は0.07mm±0.01mmであることを特徴とする請求項1又
は請求項2に記載の高周波脱毛器用の脱毛針。
【請求項4】
上記毛穴挿入部は電解研磨によってその表面を鏡面仕上げに加工されていることを特徴と
する請求項1〜3のいずれか1項に記載の高周波脱毛器用の脱毛針。
【請求項5】
上記毛穴挿入部はその先端部から予め定められた寸法を離隔して表面に絶縁皮膜が被覆さ
れていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高周波脱毛器用の脱毛針
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体皮膚のムダ毛を脱毛するための高周波脱毛装置用の脱毛針に関する。
【背景技術】
【0002】
人体のムダ毛を取るために高周波脱毛装置が開発されている。この脱毛装置はその先端に
設けられた脱毛針を人体の毛穴に挿入して、通電し高周波電流を瞬間的に流してその熱に
よって毛根部を焼き切るように設定されている。そのために脱毛針の先端は鋭く尖らされ
ている(実開昭58−179110号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58−179110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の実開昭58−179110号公報記載の脱毛針では、針先が鋭く尖っているので、
毛穴に挿入したときはスムースに毛根部まで到達するが、初心者の手術者の場合は、毛穴
に刺す際に誤って毛穴以外の皮膚に刺してしまうことが往々に発生する。その際、従来の
脱毛針は針先が尖っているので容易に皮膚に深く突き刺さり、患者の皮膚に傷を負わせて
しまうことがある。当然患者は苦痛を覚え、脱毛手術を忌避する結果となる。
【0005】
本発明者は、上記の欠点を改良し、手術者が誤って毛穴以外の皮膚に脱毛針を突き刺した
場合、脱毛針の先端が皮膚を突き破らないように脱毛針の先端形状を改良したものである
。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の高周波脱毛器用の脱毛針は、脱毛針の本体丸棒の
先端に連続して針先に向かって次第に細くなる円錐体形状の毛穴挿入部を設け、該毛穴挿
入部の先端を軸線に直角にカットして平坦な円形先端部を形成したことを特徴とする。円
錐体形状の毛穴挿入部の実寸法は長さ約2.5mm、太い方の基部の直径は脱毛針の種類
によって異なるが0.15mm〜0.23mmである。
【0007】
上記円形先端部の直径は、毛穴には容易に侵入することができるが、人体皮膚に突き刺し
た場合は、人間の指先だけの力では容易に侵入できない程度の抵抗力を発揮する大きさに
設定されている。具体的な円形先端部の直径は0.07mm±0.01mmであることが
好ましい。
【0008】
上記毛穴挿入部は電解研磨によってその表面を鏡面仕上げに加工されており、さらに、そ
の先端部から予め定められた寸法を離隔して表面に絶縁皮膜が被覆されている。絶縁皮膜
の種類としては、合成樹脂製皮膜やセラミック性皮膜等が使用される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の高周波脱毛器用の脱毛針は、針先に向かって次第に細くなる円錐体形状の毛穴挿
入部の先端に平坦な円形先端部を形成したので、脱毛手術者が誤って毛穴以外の皮膚にこ
の脱毛針の先端を押し当てても、その先端部は人間の指先だけの力では容易に侵入できな
い程度の抵抗力を発揮する大きさの円形先端部が設けられているので、脱毛針は皮膚を突
き破って内部に侵入する事が防止され、皮膚に傷を付けることなく、その結果患者に苦痛
を与えることがない効果を奏する。また、手術者が毛穴を探るために、毛穴周辺の皮膚を
脱毛針の先端でなぞっても、皮膚に突き刺さることがないので、容易に毛穴を探し当てる
ことができ、作業能率を増進することができる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の脱毛針を脱毛針固定部材に装着した状態を示す要部断面図。
【
図2】本発明の脱毛針を脱毛針固定部材及び中間連結部材に接続した状態を示す断面図。
【
図5】従来の高周波脱毛器用脱毛針と本発明の脱毛針との形状の比較説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するための最良の形態を実施例によって説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明の一実施例における脱毛針を脱毛針固定部材に取り付けた状態を示すもので
、脱毛針1は丸棒よりなる基部11に連続して設けれた円錐体状の毛穴挿入部12とその
先端を軸線に直角にカットして形成された平坦な円形先端部13よりなる。この脱毛針1
の基部11は、脱毛針固定部材2の挿入孔21に挿入されて、カシメにより固定されてい
る。脱毛針固定部材2は
図2に示すようにL型をした導電部材から形成されている。その
表面には絶縁皮膜23が施され、絶縁皮膜23の先端は脱毛針の毛穴挿入部12の露出部
まで及んでいる。脱毛針固定部材2の基部22は導電部材よりなる中間連結部材3の先端
に設けられた挿入孔31に挿入されてカシメにより固定されている。中間連結部材3の他
端の基部32は
図3に示される高周波脱毛器4の割り台座44の凹孔42に着脱自在に挿
入されている。
【0013】
高周波脱毛器4は
図3に示されるように、絶縁性プラスチック製のホルダー45の先端に
導電性のロットから形成された割り台座44を螺合して固定し、台座44の先端に設けた
凹孔42に中間連結部材3の基部32を挿入して、絶縁性のキャップ43を割り台座44
にかぶせて螺合することにより固定する。ホルダー45の中心はくりぬかれて中空孔46
が形成されている。この中空孔46を伝ってコード47がひかれその先端は
図4の電気コ
ントローラ5に接続されている。
【0014】
電気コントローラー5は、高周波発生機51,高周波発信機52,増幅器53から構成さ
れ、コード54を通じて高周波脱毛器4に接続されている。なお、図中、55は患者の体
内に電気を通すための極板で手術中患者に握らせているものである。56はフットスイッ
チである。
【0015】
図5は本発明の脱毛針の形状が従来市販の脱毛針と異なっていることを示すために、実寸
法を比較して示したものである。
即ち、従来市販の脱毛針(A)のテーパー部71の長さaは0.4mm、ロッド7の直径
bは0.15mm〜0.23mmである。
テーパー部71の勾配は、b×1/2÷aで表されるので、勾配S1は18/100〜2
8/100となる。
一方、本発明の脱毛針(B)は、テーパー部(毛穴挿入部12)の長さcは2.5mm、
ロッド部(基部11)の直径dは0.15mm〜0.23mm、円形先端部13の直径e
は0.07mmである。
本発明の脱毛針のテーパー部の勾配S2は(d−e)×1/2÷cとなるので、勾配S2
は1.6/100〜3.2/100となる。
このように本発明の脱毛針のテーパー部の勾配は従来の脱毛針の勾配に比して極めて緩や
かであるので、脱毛針を毛穴に挿入する際の抵抗は極めて緩やかとなり、患者の苦痛を和
らげることができる。
【0016】
図6は脱毛針1を患者の毛穴に挿入した状態を示すもので、毛穴61に脱毛針1が挿入さ
れ、その先端は毛62の毛根63に達している。この状態で高周波発生装置5のフットス
イッチ56を踏めば、瞬間的に高周波電流が毛根部63に流れて高熱を発し、毛根63を
焼き切り、除毛することができる。
【0017】
この除毛手術中、毛穴61近傍の皮膚6に誤って脱毛針1の先端を突き刺した場合、脱毛
針先端の円形先端部13の平面積は人間の指先だけの力では容易に侵入できない程度の抵
抗力を発揮する大きさに作られているので、針先は皮膚を突き刺すことができず、患者の
皮膚に傷を付けることがない。
【0018】
このように本発明の脱毛針は患者の皮膚に傷を付けないので、毛穴を探す場合、針先を患
者の皮膚に軽く触れて、なぞりながら毛穴を見つけることができるので、手術者が毛穴を
見つける作業を容易にすると共に脱毛作業の能率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0019】
1 脱毛針
11 基部
12 毛穴挿入部
13 円形先端部
2 脱毛針固定部材
3 中間連結部材
4 高周波脱毛器
42 凹孔
43 キャップ
44 割り台座
45 ホルダー
5 電気コントローラ
6 皮膚
61 毛穴
62 毛
63 毛根