【解決手段】糊付け装置1は、感圧糊を用紙Pに糊付けする装置である。糊付け装置1は、糊塗布ゴム21を外周面2aに有し、回転軸線A1まわりに回転する円筒状の糊付けドラム2と、糊塗布ゴム21に感圧糊を供給する糊供給ユニット3と、用紙Pを、糊付けドラム2の糊塗布ゴム21との間で挟むことにより、糊塗布ゴム21に供給されている感圧糊を用紙Pに塗布する圧ローラ4と、を含む。糊塗布ゴム21が、周方向Yの全域ではなく、周方向Yの二箇所に互いに間隔を空けて配置されている。糊塗布ゴム21が、糊付けドラム2の外周面2aに着脱可能に貼着されている。
前記糊塗布ゴムが、前記回転軸線に沿う方向に直線状に延び、かつ前記回転軸線に沿う前記方向に関し間隔を空けて配置された複数の帯状ゴム片を含む、請求項1に記載の糊付け装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、図面を参照して、この発明の実施形態を、具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る糊付け装置1を横から見た模式図である。
糊付け装置1は、感圧糊を、所定の工業規格(たとえばB4サイズ)の用紙Pに糊付けする装置である。糊付け後の用紙Pが印刷され、かつ所定のサイズおよび形状に裁断されることにより、たとえば、駐車整理票101(
図6参照)等の帳票が作成される。
【0015】
糊付け装置1は、円筒状の糊付けドラム2と、糊付けドラム2の外周に液体状の感圧糊を供給する糊供給ユニット(糊供給手段)3と、糊付けドラム2に圧接して、糊付け対象の用紙Pを糊付けドラム2の外周との間で挟むことにより、糊付けドラム2の外周に供給された感圧糊を用紙Pに塗布する圧ローラ4と、を含む。糊付けドラム2は、水平方向に延びる回転軸線A1のまわりに所定の回転方向R1に回転する。糊付けドラム2はいわゆる版胴であり、糊付けドラム2の外周には、用紙Pへの糊付け態様である糊付けパターンGP(
図8参照)に対応した、糊付け用の版パターンPP1(
図4参照)が形成されている。
【0016】
糊付け装置1は、さらに、糊付けドラム2に対し、複数枚の用紙P(所定の工業規格(たとえばB4サイズ)の用紙)を連続的に供給する給紙部6と、糊付けドラム2によって糊付けされた用紙Pを貯めて排出する排紙部7と、給紙部6によって供給された用紙Pを糊付けドラム2に向けて搬送する搬送部8と、糊付けドラム2によって糊付けされた用紙Pを、排紙部7に向けて搬送する無端状の搬送ベルト9と、搬送ベルト9を駆動するための駆動ローラ10と、搬送ベルト9に張力を付与するためのテンションローラ11と、搬送ベルト9によって搬送されている用紙Pを乾燥する乾燥装置12と、をさらに含む。
【0017】
給紙部6は、搬送路13および搬送ローラ対14を含む。給紙部6から繰り出される用紙Pは、所定の工業規格(たとえばB4サイズ)の用紙Pである。給紙部6から繰り出された用紙Pは、搬送ローラ対14によって搬送路13を搬送される。このとき、用紙Pの短手方向が搬送方向D1になる姿勢で用紙Pが搬送される。搬送路13を搬送される用紙Pが、糊付けドラム2と圧ローラ4との間に挟まれて、糊付けドラム2と圧ローラ4との間を通ることで、用紙Pに糊付けされ、糊付けパターンGP(
図8参照)が用紙Pに形成される。
【0018】
糊付けドラム2と圧ローラ4との間を通った糊付け後の用紙Pは、所定のベルト搬送方向RVに回転している搬送ベルト9の下部分9aに保持されて搬送される。そして、搬送ベルト9によって搬送させられている用紙Pが、乾燥装置12によって乾燥される。
乾燥装置12は、搬送ベルト9の下部分9aによって搬送されている用紙Pを加熱して乾燥する。乾燥装置12による加熱方式として、電熱ヒータによる加熱、赤外線照射による加熱、遠赤外線照射による加熱、高周波による加熱等の方式等を挙げることができる。この実施形態に係る乾燥装置12は、赤外線または遠赤外線の照射による加熱を採用している。乾燥装置12による赤外線または遠赤外線の照射により、短時間で(秒単位の時間で)乾燥を行うことができる。なお、乾燥装置12が、送風等の、加熱手段以外の手段によって、糊付け後の用紙Pを乾燥させるものであってもよい。
【0019】
搬送ベルト9によって支持されている用紙Pが排紙部7の上方の位置まで搬送されると、離脱爪(図示しない)によって、搬送ベルト9への用紙Pの保持が解除され、用紙Pが搬送ベルト9から離脱して自由落下し、排紙部7によって下方から受け止められる。これにより、糊付けおよび乾燥後の用紙Pが落下し、排紙部7に貯められる。
図2は、
図1の要部を拡大して示す模式図である。
図3は、糊付けドラム2および供給ローラ32の構成を示す模式図である。
図4は、糊付けドラム2の構成を示す斜視図である。
図5は、糊塗布ゴム21を構成する帯状ゴム片24の構成を示す斜視図である。
図5には、帯状ゴム片24が糊付けドラム2の外周面2aに貼着されている状態を示す。
【0020】
図3および
図4に示すように、糊付けドラム2の外周面2aは、円筒面によって構成されている。
図4に示すように、糊付けドラム2は、芯部16と、芯部16の外周を覆うように巻回された金属板17と、を含む。金属板17は、芯部16の外周の略全域を覆っている。すなわち、円筒状に曲げられた金属板17の外表面によって、糊付けドラム2の外周面2aが構成されている。金属板17は、たとえばアルミニウムを含む材料を用いて構成されている。
【0021】
糊付けドラム2には、モータ等を含む糊付けドラム回転ユニット(図示しない)が結合されている。糊付けドラム回転ユニットの回転駆動によって、糊付けドラム2が回転軸線A1まわりに、回転方向R1に向けて回転する。
図4に示すように、版胴である糊付けドラム2の外周面2aには、糊付け用の版パターンPP1が形成されている。糊付け用の版パターンPP1は、糊付けパターンGP(
図8参照)に対応するものである。糊付け用の版パターンPP1は、糊付けドラム2の外周面2aに配置された糊塗布ゴム21(複数の列状ゴム22A,22B)によって構成されている。糊塗布ゴム21は、糊付けドラム2の外周面2aに着脱可能に設けられている。具体的には、
図5に示すように、糊塗布ゴム21は、両面テープ23を用いて糊付けドラム2の外周面2aに貼着されている。両面テープ23は、薄膜状のシートの両面に接着剤が付されて構成されている。両面テープ23として、「一般用」または「多用途用」として市販されているものが採用される。糊付けドラム2の外周面2aが滑らかな円筒状の金属面によって構成されているため、接着効率が高い。そのため、両面テープ23のような、接触面積に対する接触力がそれほど強くないような接着手段を用いる場合であっても、糊塗布ゴム21を糊付けドラム2の外周面2aに強固に貼り付けることができる。また、接着手段が両面テープ23であるので、外周面2aに対する糊塗布ゴム21の着脱を容易に行うことができる。両面テープ23は、糊塗布ゴム21の底面全域に亘って配置されている。
【0022】
糊塗布ゴム21が糊付けドラム2の外周面2aに着脱可能に設けられているため、糊塗布ゴム21を交換することにより、糊付け用の版パターンPP1を、用紙Pに糊付けすべき糊付けパターンGPに応じて変更できる。すなわち、糊付け装置1では、種々の糊付けパターンGPに応じた糊付けを実現できる。
糊塗布ゴム21が、糊付けドラム2の外周面2aに着脱可能に貼着されている。糊塗布ゴム21を構成するゴム材料は、天然ゴム、EPDM、CR、NBR等のゴムを含む。より好ましくは、CRである。このゴム材料は、非発泡のゴムである。
【0023】
図4の例では、糊塗布ゴム21は、糊付けドラム2の外周面2aにおいて、回転軸線A1に沿う方向に直線状に延びる列状ゴムを含む。より具体的には、糊塗布ゴム21は、糊付けドラム2の周方向(以下、単に「周方向」という場合がある)Yに間隔を隔てて互いに平行に配置された複数(たとえば2つ)の列状ゴム22A,22Bを含む。列状ゴム22Aおよび列状ゴム22Bは、それぞれ、回転軸線A1に沿う方向(以下、単に「軸方向に沿う方向」という場合がある)Xに関し間隔を空けて配置された複数(
図4の例では、6つ)の帯状(短冊状)の帯状ゴム片24を含む。個々の列状ゴム22A,22Bにおいて、複数の帯状ゴム片24は、等間隔を隔てて直線状に並べられている。
【0024】
複数の帯状ゴム片24は、互いに共通の寸法および形状をなしている。
図5の例では、個々の帯状ゴム片24は、矩形の帯板状をなしている。個々の帯状ゴム片24は、周方向Yに沿って長い。
図5の例では、帯状ゴム片24の軸方向に沿う方向Xの寸法L1、帯状ゴム片24の周方向Yの寸法L2、および帯状ゴム片24の厚みTが、たとえば、それぞれ、50mm、18mm、および1.5〜2mmである。この場合、糊付けドラム2の軸方向長さがたとえば488mmであり、糊付けドラム2の外径がたとえば156mmである。個々の帯状ゴム片24は、ゴム製のシートを切断することによって形成されている。
【0025】
糊供給ユニット3は、液体状の感圧糊が溜められた糊槽31と、糊槽31に溜められている感圧糊に接液する外周面32aを有する供給ローラ32と、供給ローラ32の外周面32aから剥がれ落ちた感圧糊を受け止めて回収する回収槽39と、を含む。糊槽31に溜められている感圧糊の液位が所定の上限位置を超えると、糊槽31における余剰の感圧糊が、図示しないオーバーフロー路を通して回収槽39に導かれる。
【0026】
図2および
図3に示すように、供給ローラ32は、円筒状をなし、回転軸線A1と平行な回転軸線A2まわりに回転可能に設けられている。供給ローラ32の外周面32aには、粗面加工が施されている。この粗面加工は、外周面32aの全域に形成されている。粗面加工としてメッシュ加工を例示することができる。メッシュ加工の一例として、格子型を例示できる。この場合、線数として75線を例示できるが、それ以外の線数であってもよい。なお、メッシュ加工は、格子型に限定されるものではない。
【0027】
図2および
図3に示すように、供給ローラ32の外周面32aが、糊付けドラム2の外周に圧接されている。供給ローラ32の回転方向R2は、糊付けドラム2の回転方向R1とは逆の方向である。供給ローラ32には、モータ等を含む供給ローラ回転ユニット(図示しない)が結合されている。供給ローラ回転ユニットの回転駆動によって、供給ローラ32が回転軸線A2まわりに、回転方向R2に向けて回転する。
【0028】
図2および
図3に示すように、糊供給ユニット3において、糊槽31と、供給ローラ32とは、供給ローラ32の回転軸線A2に垂直な水平方向に沿って、糊付けドラム2側から、供給ローラ32および糊槽31の順に配置されている。
糊槽31の底壁31aは、糊槽31の側壁31b(
図3参照)から連なって延びる底板37と、ブレード38と、によって構成されている。底板37は、糊槽31の側壁31bに連なり、供給ローラ32の回転軸線A2に垂直な水平方向に沿って延びる水平部37a(
図3参照)と、水平部37aから供給ローラ32に向かうに従って上向きに傾斜する傾斜部37b(
図3参照)と、を含む。傾斜部37bの先端部(供給ローラ32側の端部)と、供給ローラ32の外周面32aとの間には、隙間41(
図3参照)が隔てられている。
【0029】
ブレード38は、樹脂材料(たとえばPET)を用いて形成され、可撓性を有する薄肉板状に設けられている。ブレード38は、隙間41を埋めるように配置されている。これにより、ブレード38が糊槽31の底壁31aの一部として機能する。ブレード38は、供給ローラ32の回転軸線A2に沿う方向に長い帯状をなしている。ブレード38の基端部38a(
図3参照。ブレード38の幅方向の、供給ローラ32と反対側の端部)は、傾斜部37bの先端部に固定具を用いて固定されている。ブレード38の先端部38b(
図3参照。ブレード38の幅方向の、供給ローラ32側の端部)は、自由端であり、供給ローラ32の外周面32aに圧接している。ブレード38の先端部38bは、供給ローラ32の回転軸線A2に沿う方向の全域において、供給ローラ32の外周面32aに接触している。供給ローラ32の外周面32aへの接触により、ブレード38は、その先端部38b側が供給ローラ32の回転方向R2側に寄るように撓んでいる。そのため、ブレード38の先端部38bは、供給ローラ32の法線に対し、供給ローラ32の回転方向R2側に所定の鋭角だけ傾斜している。ブレード38は、供給ローラ32の外周面32aに圧接して、外周面32aに付着している余剰の感圧糊を掻き取り、かつ外周面32aに付着している感圧糊を均す。これにより、薄い厚みを有する感圧糊の膜が、外周面32aの幅方向(回転軸線A2に沿う方向)の全域に亘って形成される。
【0030】
回収槽39は、供給ローラ32の下方の略全域、およびブレード38の下方の略全域を覆うように設けられている。回収槽39が受け止めた感圧糊は、回収槽39の最下部39aに溜められる。
糊供給ユニット3は、さらに、糊槽31の底部に向けて液体状の感圧糊を吐出する糊ノズル33と、糊槽31の上面の一部を覆う蓋部材36と、供給元の糊タンク34と、糊タンク34に溜められている液体状の感圧糊を糊ノズル33に対し供給する糊供給配管35と、回収槽39によって回収した感圧糊を、糊タンク34に戻す糊リターン配管40と、を含む。糊タンク34、糊供給配管35、糊ノズル33、糊槽31、回収槽39、および糊リターン配管40によって、感圧糊を循環させる循環経路が形成されている。循環経路に感圧糊を循環させるので、使用済みの感圧糊を再利用することが可能であり、これにより、感圧糊の使用量の低減を図ることができる。
【0031】
糊供給配管35に介装されている図示しないバルブが開かれると、糊タンク34から糊ノズル33に液体状の感圧糊が供給され、糊ノズル33から感圧糊が吐出される。糊ノズル33から吐出された感圧糊は、糊槽31に溜められる。液体状の感圧糊が糊槽31に所定液位(
図3参照)まで溜められている状態で、供給ローラ32の一部が感圧糊に浸漬されている。この状態で、供給ローラ32が回転方向R2に向けて回転すると、糊槽31に溜められている感圧糊が供給ローラ32の外周面32aに付着し、回転状態にある供給ローラ32によって、糊槽31に溜められている感圧糊が供給される。そして、供給ローラ32によって、供給ローラ32の外周に圧接されている糊付けドラム2の外周に直接的に供給(塗布)される。すなわち、糊槽31に溜められている感圧糊に、供給ローラ32の外周面32aが接液している。そして、供給ローラ32の外周面32aが糊付けドラム2の糊塗布ゴム21に接触(圧接)することにより、糊塗布ゴム21に感圧糊が供給される。
【0032】
また、供給ローラ32の外周面32aに粗面加工が施されているので、供給ローラ32の外周面32aに感圧糊が付着し易い。これにより、供給ローラ32によって多量の感圧糊の量を外周面32aに供給できる。
糊槽31に溜められる感圧糊は、感圧接着剤(PSA)である。この感圧糊として、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル樹脂系、ポリビニルエーテル樹脂系、シリコン樹脂系等の糊が挙げられる。具体例としては、「CS−100」(株式会社レヂテックス)を例示できる。
【0033】
図3に示すように、供給ローラ32の回転軸線A2と糊付けドラム2の回転軸線A1との間の距離Lは、糊付けドラム2の外径(回転軸線A1から外周面2aまでの距離)と、シート状の糊塗布ゴム21の厚みT(
図5を併せてご参照)と、を足し合わせた長さと同程度か、やや短くなるように設定されている。そのため、供給ローラ32は、糊付けドラム2の外周に圧接されるが、あくまでも糊塗布ゴム21の外表面(帯状ゴム片24の外表面24a)に接触するのであり、糊付けドラム2の外周面2aに接触するわけではない。すなわち、供給ローラ32に付着している感圧糊は、各糊塗布ゴム21の外表面(帯状ゴム片24の外表面24a)に塗布(直接供給)されるが、糊付けドラム2の外周面2aには直接塗布(直接供給)されない。これにより、糊付けドラム2の外周面2aが感圧糊によって過度に汚れてしまうことを抑制または防止できる。
【0034】
供給ローラ32の外周面32aに残留している感圧糊が、供給ローラ32の回転方向R2への回転状態において、供給ローラ32の外周面32aに接触(圧接)するブレード38によって、外周面32aに付着している余剰の感圧糊が掻き取られ、かつ外周面32aに付着している感圧糊が均される。供給ローラ32の外周面32aに付着している液体状の感圧糊は、高粘性の液体で流動性に乏しい。そのため、供給ローラ32の外周面32aに付着している感圧糊が、供給ローラ32の外周面32aで堆積し、供給ローラ32の外周面32aに形成される感圧糊の膜の厚みが大きくなり、過剰な量の感圧糊が供給ローラ32から糊付けドラム2に供給されることが考えられる。所期量よりも多い過剰な量の感圧糊が糊付けドラム2に供給されると、用紙Pへの糊付けの精度が低下するおそれがある。
【0035】
この実施形態では、供給ローラ32の外周面32aに接触(圧接)するブレード38によって、外周面32aに付着している余剰の感圧糊が掻き取られ、かつ外周面32aに付着している感圧糊が均される。これにより、薄い厚みを有する感圧糊の膜が、外周面32aの幅方向(回転軸線A2に沿う方向)の全域に亘って形成される。供給ローラ32の外周面32aに薄い感圧糊の膜を形成できるから、糊塗布ゴム21に供給される感圧糊の量を適量に保つことができる。ゆえに、過剰な量の感圧糊が用紙Pに付されることを抑制または防止できる。なお、ブレード38が掻き取り機能を有するが、供給ローラ32の外周面32aへの感圧糊の供給量が少ない場合には、ブレード38が掻き取り機能を有さず、均し機能のみを有するようになる。
【0036】
また、
図3の例では、糊槽31の底壁31aの一部が、ブレード38によって構成されている。そのため、ブレード38を糊槽31の底壁31aと別に設ける場合と比較して、糊槽31およびブレード38の全体構成を小型化できる。これにより、糊供給ユニット3の小型化を図ることができる。
図2および
図3に示すように、水平姿勢をなす蓋部材36によって、糊槽31の上面の全部または少なくとも一部が覆われている。蓋部材36は、糊槽31に溜められている液体状の感圧糊が、供給ローラ32の外周面32aとの接触に伴って周囲に飛散することを抑制または防止する役割を果たしている。蓋部材36は、透明材料または半透明材料を用いて形成されている。この場合、糊槽31の内部の状態を上方から視認することが可能であり、作業者が、糊槽31の内部の状態を、蓋部材36を取り外すことなく視認できる。
【0037】
糊ノズル33は、蓋部材36によって支持されている。具体的には、蓋部材36には、上下を貫通する貫通穴が形成されており、糊ノズル33が貫通穴を挿通した状態で、糊ノズル33が貫通穴に固定されている。この場合、糊ノズル33を蓋部材36とは別の部材で支持する場合と比較して、部品点数の低減を図ることができる。
図6は、糊付け装置1による糊付け後の用紙Pに基づいて作成された駐車整理票101の一例を示す図である。
図7は、
図6の駐車整理票101を二輪車151に取り付けた状態を示す図である
駐車整理票101は、商業施設や駅の駐輪場等の駐車場に一時的に駐車中の二輪車(自転車、スクーター、オートバイ、自転車、原動機付自転車等)151の利用者の本人確認のために使用される帳票である。
図6に示すように、駐車整理票101は、駐車券102と、駐車券控103と、を含む。駐車券102および駐車券控103は、ミシン目104を介して互いに接合されている。駐車券102は、駐車中の二輪車151に取り付けておくための帳票である。駐車券控103とは、二輪車151を駐車場に駐車させておく間中、二輪車151の利用者が保管する帳票である。
【0038】
二輪車151を駐車場に駐車する際には、駐輪場の係員は、二輪車151の利用者に対し、駐車整理票101を手渡す。駐車整理票101を受け取った二輪車151の利用者は、駐車整理票101の駐車券102を二輪車151の一部(ハンドル部分152)に捲き付ける。そして、駐車券102の裏面102bの両端部にそれぞれ設けられた糊部106,107同士を重ね合わせて押し付ける。感圧糊層は、感圧糊層同士を互いに接触させて押し付けることにより感圧糊層同士が接着する、という性質がある。糊部106,107同士を互いに接着させて押し付けることにより、
図7に示すように、駐車券102の両端部同士が接合され、駐車整理票101が二輪車151に取り付けられる。そして、利用者は、駐車整理票101から駐車券控103をミシン目104に沿って切り取り、駐車券控103を自身で保管する。駐車券控103の切り取りにより、駐車券102のみが二輪車151に残される。
図7には、駐車券控103が切り取られた後の駐車整理票101(すなわち、駐車券102のみ)を示している。
【0039】
利用者は、駐車場から二輪車151を取り出すときには、自身が保管している駐車券控103を取り出し、駐車場の係員に提示する。係員は、二輪車151に取り付けられている駐車券102と、利用者が保管していた駐車券控103と、を照合することにより、二輪車151の利用者の本人確認を行う。
図6に示すように、駐車券102の表面102aおよび駐車券控103の表面103aには、それぞれ、駐車年月日、整理番号、注意事項、駐車場名称等が記載されている。駐車券102および駐車券控103には、それぞれ、互いに共通の年月日および整理番号が記載されている。
【0040】
図6に示すように、駐車券102の裏面102bには、2つの糊部106,107が形成されている。個々の糊部106,107は、それぞれ帯状(短冊状。より具体的には、矩形状)をなし、駐車券102の長手方向の両端部に、駐車券102の幅方向に延びるように設けられている。個々の糊部106,107は、感圧糊層によって構成されている。
個々の糊部106,107が感圧糊層によって構成されている場合、糊部106,107同士を互いに接触させて押圧することにより、糊部106,107同士が互いに接着する。
【0041】
図8は、糊付け装置1による糊付け後の用紙Pを示す図である。糊付け後の用紙Pの裏面Pbには、糊付けパターンGPが形成されている。
図8に示す糊付けパターンGPは、駐車整理票101を作成するためのパターンである。
図8では、給紙部6から所定の工業規格(たとえばB4サイズ)の用紙Pを、用紙Pの短手方向が搬送方向D1になるように搬送した場合を示す。用紙Pの裏面Pbには、用紙Pの搬送方向D1に直交する方向に延びる、6つの糊部106が形成されている。6つの糊部106は、列状ゴム22Aに含まれる複数の帯状ゴム片24と圧ローラ4との圧接により、用紙Pの裏面Pbに感圧糊が塗布されて形成された、感圧糊層である。6つの糊部107は、列状ゴム22Bに含まれる複数の帯状ゴム片24と圧ローラ4との圧接により、用紙Pの裏面Pbに感圧糊が塗布されて形成された、感圧糊層である。用紙Pの短手方向を搬送方向D1とし、かつ、
図4に示すように列状ゴム22Aおよび列状ゴム22Bを軸方向に沿う方向Xに延びるように配置することにより、用紙Pの長手方向に沿って延びる6つの糊部106および6つの糊部107を、それぞれ、用紙Pの裏面Pbに設けることができる。この場合、給紙用の紙として、特許文献2のような長尺な紙(すなわち、ロール紙)を必要としない。
【0042】
図8に示す用紙Pに対しては、その後、用紙Pの表面Paに所定の印刷が行われる。その後、用紙Pを、
図8に示す左右に、複数(6つ)に分かれるように切断することにより、
図6の駐車整理票101が得られる。
以上によりこの実施形態によれば、糊塗布ゴム21を外周面32aに有する円筒状の糊付けドラム2と圧ローラ4とによって、用紙Pを挟むことにより、糊塗布ゴム21に供給された感圧糊を用紙Pに塗布できる。外周面32aに形成される糊付け用の版パターンPP1を糊付けパターンGPに応じて設けることにより、所望の糊付けパターンGPを用紙Pに良好に糊付けできる。
【0043】
また、糊塗布ゴム21が、糊付けドラム2の外周面32aに着脱可能に貼着されている。そのため、糊塗布ゴム21の配置位置や、糊塗布ゴム21自体のサイズや形状を変えることができる。したがって、糊付け用の版パターンPP1を、用紙Pへの糊付けパターンGPに応じて適宜交換することが可能である。すなわち、複数の糊付けパターンGPで用紙Pに糊付けすることが可能である
以上により、互いに異なる複数の糊付けパターンGPで用紙Pに良好に糊付けすることが可能である。
【0044】
ところで、本願発明者らは、糊付け装置1を用いて、用紙Pの裏面Pbだけでなく用紙Pの表面Paをも糊付けし、駐車整理票101(
図6参照)等の帳票の裏面Pbおよび表面Paの双方に糊部を設けることを検討している。
図9は、糊付け装置1による糊付け後の用紙Pの他の例を示す図である。
図9の用紙Pに基づいて作成された駐車整理票101を二輪車105に取り付けた状態を示す図である。
【0045】
具体的には、本願発明者らは、裏面Pbを糊付けパターンGPで糊付けした後の用紙Pを上下反転させて給紙部6にセットする。このとき、搬送方向D1に対しても、用紙Pを前後反転させて給紙部6にセットする。そして、糊付け装置1によって裏面Pbにも糊付けパターンGPで糊付けする。糊付け後の用紙Pに配置される糊部106,107は、糊部同士の間で接着するが、感圧糊層は用紙の他の部分に押し付けても接着しない、という性質がある。そのため、糊付け後の用紙Pを、糊付け装置1を用いて再度糊付けしても、糊付け後の用紙Pが、他の用紙や糊付け装置1に接着することがない。糊付け装置1によって再度糊付けされた用紙Pを
図9に示す。糊付け後の用紙Pには、表面Paおよび裏面Pbの双方に、糊付けパターンGPが形成されている。
【0046】
用紙Pの表面Paには、複数(たとえば6つ)の糊部116、および複数(たとえば6つ)の糊部117が形成される。個々の糊部106,107は、感圧糊層によって構成されている。このとき、用紙Pの裏面Pbの一方端部に糊部106が設けられ、用紙Pの表面Paの他方端部に糊部116が設けられる。
図9の用紙を、
図9に示す左右に、複数(6つ)に分かれるように切断して得られた駐車整理票の駐車券102を、二輪車151に取り付けた状態を
図10に示す。
図10の状態で、駐車券102の裏面の糊部106が駐車券102の表面の糊部116に接着することにより、駐車券102の両端部が接合している。
【0047】
図11は、本発明の他の実施形態に係る糊付けドラム202の斜視図である。
図11の実施形態において、
図4等に示す糊付けドラム2と同等の構成には、
図11において
図4と同一の参照符号を付し、説明を省略する。
糊付けドラム202が糊付けドラム2と相違する点は、糊付けドラム2の外周に形成される版パターンとして、版パターンPP1に代えて版パターンPP2を設けた点である。版パターンPP2では、糊付けドラム202の外周面2aに配置される糊塗布ゴム21が、列状ゴム22Bを含まず、列状ゴム22Aを含む。すなわち、糊塗布ゴム21が、糊付けドラム202の周方向Yの複数の箇所ではなく、糊付けドラム202の周方向Yの一箇所に設けられている。
【0048】
版パターンPP1から、列状ゴム22Bに含まれる帯状ゴム片24を取り外して削除することにより、版パターンPP2を実現できる。
図12は、本発明のさらに他の実施形態に係る糊付けドラム302の斜視図である。
図11の実施形態において、
図4等に示す糊付けドラム2と同等の構成には、
図11において
図4と同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0049】
糊付けドラム302が糊付けドラム2と相違する点は、糊付けドラム2の外周に形成される版パターンとして、版パターンPP1に代えて版パターンPP3を設けた点である。版パターンPP3では、糊付けドラム202の外周面2aに配置される糊塗布ゴム21に含まれる列状ゴム322A,322Bが、軸方向に沿う方向Xに延びていない。列状ゴム322Aに含まれる帯状ゴム片24は、互いに周方向Yにずれている。また、列状ゴム322Bに含まれる帯状ゴム片24は、互いに周方向Yにずれている。
【0050】
版パターンPP1を構成する帯状ゴム片24の配置位置を適宜変更することにより、版パターンPP3を実現できる。
以上、この発明の3つの実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、第2の実施形態と、第3の実施形態と、を互いに組み合わせてもよい。すなわち、糊塗布ゴム21が、列状ゴム322Aを備え、列状ゴム322Bを備えていなくてもよい。
【0051】
また、
図1〜
図10の実施形態、
図11の実施形態および
図12の実施形態では、糊塗布ゴムが、複数の帯状ゴム片24を含むとして説明したが、糊塗布ゴムが、外周面2aの軸方向に沿う方向Xの略全域に亘って連続的に形成されていてもよい。
また、糊塗布ゴム21は、発泡ゴムを用いて形成されていてもよい。
また、糊塗布ゴム21は、接着剤を用いて外周面2aに貼着されていてもよい。この場合の接着剤は、糊塗布ゴム21の交換を容易に行えるように、接着力の弱いものであることが望ましい。
【0052】
糊付け後の用紙Pが、駐車整理票101(
図6参照)でなく、他の用途に用いられてもよい。この場合、糊塗布ゴム21に含まれるゴム片(帯状ゴム片24)の形態として、帯状以外の形態を採用することもできる。
また、糊付け対象の用紙Pが、パルプを原料とするものに限られず、ポリプロピレン等の合成樹脂を成分の一部または全部に含む合成紙であってもよい。
【0053】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この発明は、感圧糊を用紙に糊付けする糊付け装置であって、糊塗布ゴムを外周面に有し、所定の回転軸線まわりに回転する円筒状の糊付けドラムと、前記糊塗布ゴムに前記感圧糊を供給する糊供給手段と、前記用紙を、前記糊付けドラムの前記糊塗布ゴムとの間で挟むことにより、前記糊塗布ゴムに供給されている前記感圧糊を前記用紙に塗布する圧ローラと、を含み、前記糊塗布ゴムが、前記糊付けドラムの
周方向の一箇所に配置され、または前記周方向の複数の箇所に互いに間隔を空けて配置されており、前記糊塗布ゴムが、前記糊付けドラムの前記外周面に着脱可能に貼着されている、糊付け装置を提供する。
この発明によれば、糊塗布ゴムを外周面に有する円筒状の糊付けドラムと圧ローラとによって用紙を挟むことにより、糊塗布ゴムに供給された感圧糊を用紙に良好に塗布できる。糊付けドラムの外周面に配置される糊塗布ゴムの位
糊付けドラム2には、モータ等を含む糊付けドラム回転ユニット(図示しない)が結合されている。糊付けドラム回転ユニットの回転駆動によって、糊付けドラム2が回転軸線A1まわりに、回転方向R1に向けて回転する。
参照)に対応するものである。糊付け用の版パターンPP1は、糊付けドラム2の外周面2aに配置された糊塗布ゴム21(複数の列状ゴム22A,22B)によって構成されている。糊塗布ゴム21は、糊付けドラム2の外周面2aに着脱可能に設けられている。具体的には、
23を用いて糊付けドラム2の外周面2aに貼着されている。両面テープ23は、薄膜状のシートの両面に接着剤が付されて構成されている。両面テープ23として、「一般用」または「多用途用」として市販されているものが採用される。糊付けドラム2の外周面2aが滑らかな円筒状の金属面によって構成されているため、接着効率が高い。そのため、両面テープ23のような、接触面積に対する接触力がそれほど強くないような接着手段を用いる場合であっても、糊塗布ゴム21を糊付けドラム2の外周面2aに強固に貼り付けることができる。また、接着手段が両面テープ23であるので、外周面2aに対する糊塗布ゴム21の着脱を容易に行うことができる。両面テープ23は、糊塗布ゴム21の底面
の例では、糊塗布ゴム21は、糊付けドラム2の外周面2aにおいて、回転軸線A1に沿う方向に直線状に延びる列状ゴムを含む。より具体的には、糊塗布ゴム21は、糊付けドラム2の周方向(以下、単に「周方向」という場合がある)Yに間隔を隔てて互いに平行に配置された複数(たとえば2つ)の列状ゴム22A,22Bを含む。列状ゴム22Aおよび列状ゴム22Bは、それぞれ、回転軸線A1に沿う方向(以下、単に「軸方向に沿う方向」という場合がある)Xに関し間隔を空けて配置された複数(
糊供給ユニット3は、液体状の感圧糊が溜められた糊槽31と、糊槽31に溜められている感圧糊に接液する外周面32aを有する供給ローラ32と、供給ローラ32の外周面
32aから剥がれ落ちた感圧糊を受け止めて回収する回収槽39と、を含む。糊槽31に溜められている感圧糊の液位が所定の上限位置を超えると、糊槽31における余剰の感圧糊が、図示しないオーバーフロー路を通して回収槽39に導かれる。