特開2021-127139(P2021-127139A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大森機械工業株式会社の特許一覧

特開2021-127139耳折り装置付ロボットハンド及びそれを用いた箱詰め装置
<>
  • 特開2021127139-耳折り装置付ロボットハンド及びそれを用いた箱詰め装置 図000003
  • 特開2021127139-耳折り装置付ロボットハンド及びそれを用いた箱詰め装置 図000004
  • 特開2021127139-耳折り装置付ロボットハンド及びそれを用いた箱詰め装置 図000005
  • 特開2021127139-耳折り装置付ロボットハンド及びそれを用いた箱詰め装置 図000006
  • 特開2021127139-耳折り装置付ロボットハンド及びそれを用いた箱詰め装置 図000007
  • 特開2021127139-耳折り装置付ロボットハンド及びそれを用いた箱詰め装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-127139(P2021-127139A)
(43)【公開日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】耳折り装置付ロボットハンド及びそれを用いた箱詰め装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 5/04 20060101AFI20210806BHJP
   B65B 35/18 20060101ALI20210806BHJP
【FI】
   B65B5/04
   B65B35/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-22770(P2020-22770)
(22)【出願日】2020年2月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】蜂須賀 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松本 真幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直哉
【テーマコード(参考)】
3E003
3E054
【Fターム(参考)】
3E003AA01
3E003AB05
3E003BA03
3E003BB02
3E003BC01
3E003BD04
3E003CB03
3E003DA01
3E054AA13
3E054CA04
3E054DC12
3E054FA02
3E054FE08
3E054GA04
3E054GC03
3E054HA04
3E054HA07
3E054JA02
(57)【要約】
【課題】 内容物等を損傷させず包装体の耳部を折り曲げて箱体等に供給する箱詰め装置を提供する
【構成】 ロボットアーム2の先端にロボットハンド10を取り付ける。ロボットハンドは、包装体3を吸着する筒状本体11と、包装体の耳部3aを折り曲げる耳折り部12を備える。筒状本体は、円筒状の上部筒体13と、上部筒体の下方に移動可能に装着された下部筒体14とを備え、下部筒体の下面が貫通孔を有する吸着部15となる。吸着部が包装体の上面に接触した状態で吸引駆動すると、包装体が吸着部に吸着され、下部筒体・包装体が上昇移動し、板状部材25が閉じると耳部が折り曲げられる。第一ストッパーピン31の位置を昇降することで、吸引オフ時における吸着面の下降停止位置を、包装体を吸引保持する際の下降停止位置よりも高くし、内容物等に荷重をかけないように構成する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装体を吸引保持する吸着手段と、
その吸着手段で吸引保持された前記包装体の両端を折り曲げる耳折り手段と、を備え、
前記吸着手段は、吸着面の位置が昇降移動可能に設けられた中空の吸着ボックスを有し、
その吸着ボックスの下面には貫通孔が形成されてその表面が前記吸着面となり、
その吸着ボックスは、前記包装体が前記貫通孔を塞いだ状態で吸着ボックス内が吸引されると前記包装体が前記吸着面に吸引保持されるとともに、前記吸着面が上昇移動し、前記吸引を停止した状態では、前記吸着面が下降移動するように構成され、
前記耳折り手段は、一対の耳折り部材と、その一対の耳折り部材を開閉させる駆動機構とを備え、前記一対の耳折り部材が閉じた状態ではその一対の耳折り部材の間隔が狭くなって前記包装体の両端に接触してその両端を折り曲げるように構成され、
前記吸引を停止した状態における前記吸着面の下降停止位置を変更する調整機能を備え、
前記調整機能は、前記包装体を吸引保持する際の前記下降停止位置よりも、前記吸引を停止して下降移動する際の前記下降停止位置を高くし、前記包装体を損傷しないようにすることを特徴とする耳折り装置付ロボットハンド。
【請求項2】
前記一対の耳折り部材を、前記吸着ボックスに対して相対的に昇降移動可能に構成し、
前記吸引を停止して前記吸着ボックスが前記下降停止位置に位置した状態で、前記一対の耳折り部材を前記吸着ボックスに対して相対的に上昇移動するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の耳折り装置付ロボットハンド。
【請求項3】
前記一対の耳折り部材は、その上方側を回転中心として正逆回転することで開閉動作をするようにし、
前記一対の耳折り部材が開いた待機姿勢では、その一対の耳折り部材の下端側が互いに外側を向いたハの字状になり、前記待機姿勢から前記一対の耳折り部材が閉じた第一動作姿勢ではその一対の耳折り部材の前記下端側の間隔が狭くなって前記包装体の両端に接触して折り曲げるように構成し、
前記第一動作姿勢からさらに前記下端側の間隔が狭まり、前記一対の耳折り部材の前記下端側が上端側よりも内側に位置し、下端先細り状に狭まる第二動作姿勢をとるように構成することを特徴とする請求項1または2に記載の耳折り装置付ロボットハンド。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の耳折り装置付ロボットハンドと、
その耳折り装置付ロボットハンドを支持すると共に複数地点間を移動させる手段と、を備え、
前記吸引保持した前記包装体を箱体に供給するようにしたことを特徴とする箱詰め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耳折り装置付ロボットハンド及びそれを用いた箱詰め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばピロー包装体からなる製品を箱体内に収納する場合、ピロー包装体の両端に存在する耳部(トップシール部)並びに耳部周辺の包装体の内容物に当接していないフィルム部位を下方に折り曲げて平面積を小さくし、その耳折りした状態で箱詰めすることで、小さい箱に効率よく収納することがある。そして、係る耳折り処理と箱体に供給する一連の処理を自動的に行う装置として、従来、特許文献1に開示された装置がある。
【0003】
この特許文献1に開示された装置は、ロボットアームの先端下面に、ロボットハンドを取り付ける。ロボットハンドは、包装体を吸着する筒状本体と、包装体の耳部を折り曲げる耳折り部とを備える。筒状本体は、円筒状の上部筒体と、その上部筒体の下方に移動可能に装着された下部筒体とを備え、下部筒体の下面が貫通孔を有する吸着部となる。吸着部が包装体の上面に接触した状態で吸引駆動すると、包装体が吸着部に吸着され、さらに下部筒体ひいては包装体が上昇移動し、耳折り用爪により耳部が下方に向けられ、更に耳折り用爪が閉じることで耳部が確実に折り曲げられる。
【0004】
そしてロボットハンドを箱体の上方所定位置に移動し、そのままロボットハンドを下降することで、耳折り用爪で耳部を折り曲げた状態のまま耳折り用爪とともに包装体が箱体内に挿入される。この挿入時には、耳折り用爪は、包装体を箱体内に挿入する際のガイドとしても機能する。この状態で吸引を解除すると、包装体は吸着部から離反して箱体内に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4914696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、箱体内に包装体を挿入した状態で吸引を解除すると、下部筒体が下降移動しようとするが、その移動方向には包装体が存在するため、下部筒体は包装体すなわち内容物の存在によりそれ以上の下降移動が抑止される。その結果、下部筒体の荷重が包装体や内容物に加わることになる。すると例えば内容物が手土産スイーツなどの脆弱な物品の場合には内容物が損傷してしまったり、袋が破裂したりするおそれがある。
【0007】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の耳折り装置付ロボットハンドは、(1)包装体を吸引保持する吸着手段と、その吸着手段で吸引保持された前記包装体の両端を折り曲げる耳折り手段と、を備え、前記吸着手段は、吸着面の位置が昇降移動可能に設けられた中空の吸着ボックスを有し、その吸着ボックスの下面には貫通孔が形成されてその表面が前記吸着面となり、その吸着ボックスは、前記包装体が前記貫通孔を塞いだ状態で吸着ボックス内が吸引されると前記包装体が前記吸着面に吸引保持されるとともに、前記吸着面が上昇移動し、前記吸引を停止した状態では、前記吸着面が下降移動するように構成され、前記耳折り手段は、一対の耳折り部材と、その一対の耳折り部材を開閉させる駆動機構とを備え、前記一対の耳折り部材が閉じた状態ではその一対の耳折り部材の間隔が狭くなって前記包装体の両端に接触してその両端を折り曲げるように構成され、前記吸引を停止した状態における前記吸着面の下降停止位置を変更する調整機能を備え、前記調整機能は、前記包装体を吸引保持する際の前記下降停止位置よりも、前記吸引を停止して下降移動する際の前記下降停止位置を高くし、前記包装体を損傷しないようにした。
【0009】
このようにすると、例えば上流側の所定位置にある包装体の上面に、吸着面を接触させた状態で吸引をすると、吸着面が上昇する。そして、包装体の両端が一対の耳折り部材の間に位置した状態で耳折り部材を閉じると、両端が折り曲げられる。例えばその状態で吸引保持した包装体を、箱体等の供給位置付近に移動させるとともに、吸引を停止して吸引保持を解除して包装体を移し替え供給しようとすると、吸着面が下降移動しようとして包装体や内容物に吸着ボックスの荷重がかかろうとするが、調整機能によりし、包装体を損傷しない位置にとどまり、それ以上の下降移動が抑止される。よって、例えば包装体を構成する袋体が破損・破断等の損傷を発生したり、内容物が損傷等したりすることが可及的に抑止できる。
【0010】
吸着ボックスは、実施形態では筒状本体に対応する。吸着面の位置が昇降移動させるためには、例えば実施形態のように上部筒状体13と下部筒状体を14の一端同士を軸方向に移動可能に連結するようにしても良いし、蛇腹などの伸縮する部材を実装してもよい。また、少なくとも吸着面の位置が移動すればよいので、実施形態のように途中から下部筒状体が移動するようになっていても良いし、例えば吸着ボックスの上端側に蛇腹等を取り付け、吸着ボックス全体が移動するようになっていても良いし、逆に吸着面のみが移動するようになっても良い。調整機能は、実施形態では第一シリンダとそれにより昇降する第一ストッパーピンと第一長孔等により構成する。実施形態では、吸引を停止すると、吸着面は少し下降移動し第一ストッパーピン31等の作用により下降移動が停止されるが、吸引を停止しても下降移動しないようにしてもよい。
【0011】
(2)前記一対の耳折り部材を、前記吸着ボックスに対して相対的に昇降移動可能に構成し、前記吸引を停止して前記吸着ボックスが前記下降停止位置に位置した状態で、前記一対の耳折り部材を前記吸着ボックスに対して相対的に上昇移動するように構成すると良い。
【0012】
このようにすると、例えば包装体を箱体に移し替えるような場合に、耳折り部材が包装体の両端を折り曲げた状態のまま箱体内に進入すると、その後に耳折り部材のみを専攻して上昇移動して箱体から退避することができる。この耳折り部材の上昇時に、例えば耳折り部材で押さえている包装体の両端部を上方に付勢し、包装体を持ち上げてしまうおそれがあるが、先行して耳折り部材が上昇移動すると、仮に包装体が持ち上がろうとしても、その上方に吸着部が存在しているためそれ以上の上昇移動が抑止され、包装体を残したまま耳折り部材を確実に上昇させることができるので良い。また、同様の効果は、例えば、調整機能により吸着を停止した際の吸着部の下降停止位置を徐々に下げながら耳折り部材と期中着ボックスを上昇させることによっても得られるが、(2)の構成をすると簡単に行えるので良い。
【0013】
(3)前記一対の耳折り部材は、その上方側を回転中心として正逆回転することで開閉動作をするようにし、前記一対の耳折り部材が開いた待機姿勢では、その一対の耳折り部材の下端側が互いに外側を向いたハの字状になり、前記待機姿勢から前記一対の耳折り部材が閉じた第一動作姿勢ではその一対の耳折り部材の前記下端側の間隔が狭くなって前記包装体の両端に接触して折り曲げるように構成し、前記第一動作姿勢からさらに前記下端側の間隔が狭まり、前記一対の耳折り部材の前記下端側が上端側よりも内側に位置し、下端先細り状に狭まる第二動作姿勢をとるように構成するとよい。
【0014】
このようにすると、一対の耳折り部材の下端側同士を接近させ、上端側よりも狭めた先細り状の姿態にでき、例えば箱体内に包装体を収納する際のガイドとしてより有効に機能するので良い。
【0015】
(4)本発明に係る箱詰め装置は、上記の耳折り装置付ロボットハンドと、その耳折り装置付ロボットハンドを支持すると共に複数地点間を移動させる手段と、を備え、前記吸引保持した前記包装体を箱体に供給するようにするとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、例えば内容物を損傷させず、例えば袋が破けることなく包装体の両端を折り曲げて箱体内等に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る箱詰め装置の好適な一実施形態を示す斜視図である。
図2】本発明に係る箱詰め装置の好適な一実施形態を示す正面図である。
図3】本発明に係る箱詰め装置の好適な一実施形態を示す側面図である。
図4】作用を説明する図である。
図5】作用を説明する図である。
図6】作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0019】
図1から図3は、本発明の好適な一実施形態の要部(箱詰め装置のロボットハンド部分)を示している。図に示すように、本実施形態の箱詰め装置1は、予め設定された軌跡で移動するロボットアーム2の先端下面に、包装体3を保持することができるロボットハンド10が取り付けられた構造となっている。
【0020】
ロボットハンド10は、包装体3を吸着・保持するための筒状本体11と、包装体3の耳部3aを折り曲げる耳折り部12と、を備えている。筒状本体11は、円筒状の上部筒状体13と、その上部筒状体13の下方に装着された下部筒状体14とを備え、上部筒状体13の下方部位が下部筒状体14内に挿入された構成を採る。
【0021】
下部筒状体14の下端は、吸着部15を備える。吸着部15は、細長な略矩形状からなり、上下方向に延びる下部筒状体14に対し直交する水平方向に延びるように形成する。その吸着部15には、上下に貫通する貫通孔(図示省略)が複数個形成されている。吸着部15の下面が吸着面となる。また本形態では、複数(例えば4個)の包装体3を同時に吸着保持可能に構成する。個々の包装体3の両端の耳部3aが、吸着部15の長辺の両外側に位置するようなレイアウトで吸着保持する。
【0022】
上部筒状体13の外径と下部筒状体14の内径はほぼ等しくしており、両筒状体13,14の接触面から空気が漏れないようにしている。上部筒状体13と下部筒状体14の間の気密性をより確実にするためには、例えば、Oリングを取り付けたり、接触面をシリコンラバー等で被覆したり、グリスを介在させるなど、各種の方法が採れる。また、上部筒状体13は、ロボットアーム2内を介して吸引ポンプ(図示省略)に連携されている。
【0023】
これにより、例えば図2図3等に示すように吸着部15が包装体3の上面に接触して貫通孔を閉塞している状態で吸引駆動すると、筒状本体11内に負圧が生じ包装体3が吸着部15に吸着される。この状態で更に吸引処理を継続すると、筒状本体11内の負圧が上昇し、下部筒状体14が上部筒状体13に対して相対的に上昇移動する(ロボットアーム2に対して接近移動する)。よって、上部筒状体13の位置が一定であるとすると、下部筒状体14(吸着部15)に吸引保持された包装体3も上昇移動する。
【0024】
さらに、吸着部15の一方の長辺側に位置する下部筒状体14の側面には、上下方向に延びる第一長孔21が形成されるとともに、その第一長孔21に挿入される第一ストッパーピン31が設けられる。吸引のオンオフに伴い下部筒状体14が昇降移動すると、第一ストッパーピン31は、第一長孔21内に沿って相対的に移動する。そして、例えば下部筒状体14が下降移動すると、第一ストッパーピン31は相対的に第一長孔21内を上昇移動し、第一長孔21の上端に至るとそれ以上の下降移動が抑止される。同様に、下部筒状体14が上昇移動すると、第一ストッパーピン31は相対的に第一長孔21内を下降移動し、第一長孔21の下端に至るとそれ以上の上昇移動が抑止される。
【0025】
また、吸着部15の他方の長辺側に位置する下部筒状体14の側面には、上下方向に延びる第二長孔22が形成されるとともに、その第二長孔22に挿入される第二ストッパーピン32が設けられる。そして、吸引のオンオフに伴い下部筒状体14が昇降移動すると、第二ストッパーピン32は、第二長孔22内に沿って相対的に移動する。そして、例えば下部筒状体14が下降移動すると、第二ストッパーピン32は相対的に第二長孔22内を上昇移動し、第二長孔22の上端に至るとそれ以上の下降移動が抑止される。同様に、下部筒状体14が上昇移動すると、第二ストッパーピン32は相対的に第二長孔22内を下降移動し、第二長孔22の下端に至るとそれ以上の上昇移動が抑止される。
【0026】
このように第一ストッパーピン31と第二ストッパーピン32は、ともに下部筒状体14の上下方向の移動を規制する機能を有し、両者の高さが異なる場合には先に長孔の上端或いは下端に接触した方が優先して下部筒状体14の昇降移動を規制する。そして本実施形態では、第二ストッパーピン32は固定設置され、第一ストッパーピン31は昇降移動可能に設置される。この昇降移動可能な構成は、例えば以下のようにすると良い。
【0027】
本実施形態では、上部筒状体13或いはロボットアーム2に第一シリンダ41を取り付ける。より具体的には、第一シリンダ41は、そのシリンダロッド41aが下方に向けて突出し、上下方向に往復動作するように取り付ける。そして、シリンダロッド41aの先端に、第一ストッパーピン31を連結する。これにより、第一シリンダ41のシリンダロッド41aの往復動作に伴い、シリンダロッド41aの先端ひいては第一ストッパーピン31が相対的に第一長孔21内を昇降移動する。そして、第一シリンダ41は、シリンダロッド41aが伸びて第一ストッパーピン31が最下方位置に位置した状態では、例えば第二ストッパーピン32と同じ高さとし、その位置からシリンダロッド41aが上昇し第一ストッパーピン31が最上方位置に位置した状態では、例えば第二ストッパーピン32よりも所定距離だけ高い位置に位置する。
【0028】
このようにすると、第一ストッパーピン31が最上方位置にあるときは、吸引オフに伴う下部筒状体14の下降移動により、第一ストッパーピン31並びに第二ストッパーピン32は、それぞれ第一長孔21並びに第二長孔22内を相対的に上昇移動する。そして、第一ストッパーピン31が先に第一長孔21の上端に至る。よって、下部筒状体14は、それ以上の下降が抑止される。
【0029】
一方、第一ストッパーピン31が最下方位置にあるときは、吸引オフに伴う下部筒状体14の下降移動により、第一ストッパーピン31並びに第二ストッパーピン32は、それぞれ第一長孔21並びに第二長孔22内を相対的に上昇移動する。そして、第一ストッパーピン31と第二ストッパーピン32は、同時にそれぞれ第一長孔21と第二長孔22の上端に至る。そして、下部筒状体14は、それ以上の下降が抑止される。つまり、第一ストッパーピン31が最下方位置にあるときには、第二ストッパーピン32の設置高さに対応する位置まで下部筒状体14が下降移動し、第一ストッパーピン31が最上方位置にあるときには、その位置よりも所定距離(例えばシリンダロッド41aの移動ストロークに相当)だけ高い位置までしか下降移動できないようになる。
【0030】
また、吸引オンに伴う下部筒状体14の上昇移動時は、第一シリンダ41の状態すなわち第一ストッパーピン31の位置に関係なく、第二ストッパーピン32で規制される高さまで上昇し、それ以上の移動が抑止される。
【0031】
上述したように本実施形態では、第一シリンダ41の駆動により第一ストッパーピン31を昇降させることで、吸引オフ時に下降する下部筒状体14の下方停止位置を変更することができる。さらに、第一ストッパーピン31の位置に関係なく、吸引オン時に上昇する下部筒状体14の上方停止位置は、一定にすることができる。
【0032】
一方、耳折り部12は、一対の耳折り用の板状部材25と、その耳折り用の板状部材25を開閉する開閉機構部26と、を備える。一対の板状部材25は、第一長孔21と第二長孔22を設けた下部筒状体14の両側面の外側に配置し、その外側の空間において下方部位が開閉するように所定角度範囲内で正逆回転することで開閉する。
【0033】
開閉機構部26は、上下に直列に配置された第二シリンダ42及び第三シリンダ43と、第三シリンダ43のシリンダロッド43aに連係されるリンク機構27等を備える。第三シリンダ43は、第二シリンダ42のシリンダロッド42aの往復移動に伴い昇降する。そして、リンク機構27に連結される第三シリンダ43のシリンダロッド43aの先端位置の昇降に伴い、板状部材25が、その上端縁を中心に正逆回転する。
【0034】
よって、例えば、図1図3等に示すように第二シリンダ42のシリンダロッド42a,第三シリンダ43のシリンダロッド43aがともに上昇してシリンダ本体内に収納された状態では、一対の板状部材25の下端が、ともに上端よりも外側(下部筒状体14の側面から離反する方向)に位置し、開いた待機姿勢となる。また、例えば待機姿勢にある状態から第二シリンダ42が駆動してそのシリンダロッド42aの先端が下降移動すると、それに伴い第三シリンダ43のシリンダロッド43aの先端位置も下がるので、その移動距離に応じた角度だけ板状部材25が回転し、その下端同士が接近して閉じる動作を行う。さらに、その状態から第三シリンダ43が駆動してそのシリンダロッド43aの先端が下降移動すると、さらに板状部材25が回転し、その下端同士が接近する動作を行う。そして例えば第二シリンダ42が駆動しシリンダロッド42aが延びて板状部材25が閉じる第一動作姿勢では、一対の板状部材25は垂直方向を向き互いに平行な状態になり、その第一動作姿勢から第三シリンダ43が駆動しシリンダロッド43aが延びて板状部材25がさらに閉じる第二動作姿勢では、一対の板状部材25の下端は上端縁よりも内側(下部筒状体14の側面に接近する方向)に位置し、下端先細り状に狭まる状態となる。
【0035】
さらに本実施形態では、板状部材25を筒状本体11に対して相対的に昇降移動可能に構成した。すなわち、シリンダロッドが下方に向けて突出するように第四シリンダ44を配置し、第四シリンダ44の駆動に伴うシリンダロッドの往復動作に伴い、耳折り部12の全体が昇降移動する。例えばそのシリンダロッドの先端に取付けたベース部材に、板状部材25の上端を正逆回転可能に取付けたり、第二シリンダ42の本体を取付けたりすると良い。
【0036】
上述した構成の箱詰め装置1は、例えば以下のように動作し、上流側の搬送路を移動してくる包装体3に対し、複数個(例えば4個)を一括して吸引保持し、下流側の搬送路に待機する箱体内に移し替え供給することで一括して箱詰めをする制御を行う。
【0037】
例えばロボットアーム2により、ロボットハンド10を上流側の搬送路60上で待機する包装体3の上に位置させる。この状態では、吸着部15には包装体3が接触せずオープンの状態のため、吸引のオン/オフにかかわらず下部筒状体14は最下方位置に位置する。このとき、第一ストッパーピン31は下方位置にあり、下部筒状体14は第二ストッパーピン32により規制される最下方位置に位置する。また、板状部材25は、開いた待機姿勢を維持する。
【0038】
その状態でロボットアーム2が動作して、筒状本体11(下部筒状体14等)並びに板状部材25が一体となって下降し、図4(a)に示すように、包装体3の上面に吸着部15が接触する。この状態で吸引ポンプを動作させ、包装体3を吸着部15に吸着させる。なお、吸引ポンプの動作開始は、包装体3を吸着部15に接触させる前から行っても良い。
【0039】
吸引オンに伴い包装体3が吸着部15に吸着され貫通孔を閉塞すると、図4(b)に示すように、下部筒状体14は自動的に上昇する。このとき、上部筒状体13や耳折り部12は上昇移動することなく図4(a)の位置をとどめるため、包装体3の耳部3aは、ハの字状に開いた耳折り用の板状部材25に案内されて下方に向けさせられる。
【0040】
次に、第二シリンダ42を動作させ、リンク機構27により第二シリンダ42の直線運動を回転運動に変換させて板状部材25を閉じ、第一動作姿勢となる。これにより、図4(c)に示すように、包装体3の耳部3aは折り込まれる。
【0041】
この耳部3aが折り込まれた状態を維持したまま、ロボットアーム2が予め設定された軌跡で移動する。すなわち、まず、筒状本体11(下部筒状体14等)並びに板状部材25が一体となって上昇し(図5(a)参照)、次いで下流側の搬送路上に待機する箱体61の上方に移動する。そして、第三シリンダ43が駆動して一対の板状部材25を第二動作姿勢に変位させる(図5(b)参照)。
【0042】
次いで、ロボットアーム2により筒状本体11並びに第二動作姿勢の板状部材25が下降し、板状部材25の下端から箱体61内に進入し、吸着部15で吸着保持した除隊のまま包装体3を箱体61内に挿入位置させる(図5(c)参照)。このとき、板状部材25は、第二動作姿勢となり下端が狭まった状態となっているので、箱体61内に進入する際のガイド機能を発揮し、スムーズに箱体61内に入ることができる。これにともない、包装体3もスムーズに箱体61内に挿入される。
【0043】
本形態では、板状部材25の下端が、包装体3の底面よりも下方に位置しているため、図5(c)に示すように、板状部材25の下端が箱体61の底面に接触或いは近接した状態のとき、包装体3は箱体61の底面から少し浮いた状態となる。
【0044】
次いで、吸引をオフするが、このオフする前の適宜のタイミングで、第一シリンダ41を駆動し、第一ストッパーピン31を上昇させる。この適宜のタイミングは、例えば図5(c)に示すように板状部材25が箱体61内に進入した後でも良いし、図5(b)等の進入する前でも良い。このようにすると、吸引オフに伴い下部筒状体14が下降移動するが、第一ストッパーピン31により下降移動が抑止される。具体的には、図5(d)に示すように、少なくとも包装体3が箱体61の底面に接触して収納された状態にあるとき、下部筒状体14はそれ以上下降移動しないように調整されており、包装体3ひいては内容物に下部筒状体14の荷重がかからないようにしている。また、板状部材25は、その下端が箱体61内に進入したら、適宜のタイミングで第一動作姿勢に戻すように制御するとよい。
【0045】
このようにして箱体61内に包装体3を挿入配置したら、ロボットアーム2がロボットハンド10を上昇させて、箱体61から離脱するととともに、次の移し替えのために上流側の搬送路60の上方所定位置に移動する。このとき、筒状本体11(下部筒状体14)と板状部材25が一緒に上昇すると、一対の板状部材25により左右が押さえられている包装体3も一緒に持ち上がる可能性がある。そこで、本実施形態では、第四シリンダ44を駆動させ、先に板状部材25を上昇させる。すると、包装体3が持ち上がろうとしても、上方移動方向に吸着部15が存在しているため包装体3は上昇されず箱体61内に留まる(図6(a)参照)。
【0046】
そして板状部材25が包装体3から抜けた後(例えば箱体61より上方に位置した後(図6(b)参照))に、ロボットアーム2を動作させ、ロボットハンド10(筒状本体11,板状部材25等)を上昇させ、ロボットハンド10を箱体61から完全に抜く(図6(c)参照)。その後、ロボットアーム2が動作し、ロボットハンド10が上流側の搬送路60の上方所定位置に移動する。この移動中或いは搬送路60の上方に至った後、板状部材25を開くなど、所定の処理を行う。
【0047】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0048】
1 :箱詰め装置
2 :ロボットアーム
3 :包装体
3a :耳部
10 :ロボットハンド
11 :筒状本体
12 :耳折り部
13 :上部筒状体
14 :下部筒状体
15 :吸着部
21 :第一長孔
22 :第二長孔
25 :板状部材
26 :開閉機構部
27 :リンク機構
31 :第一ストッパーピン
32 :第二ストッパーピン
41 :第一シリンダ
42 :第二シリンダ
43 :第三シリンダ
44 :第四シリンダ
60 :搬送路
61 :箱体
図1
図2
図3
図4
図5
図6