特開2021-127146(P2021-127146A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-127146(P2021-127146A)
(43)【公開日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】石油缶処理装置及び石油缶処理方法
(51)【国際特許分類】
   B67B 7/52 20060101AFI20210806BHJP
   B23D 15/00 20060101ALI20210806BHJP
【FI】
   B67B7/52
   B23D15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-23089(P2020-23089)
(22)【出願日】2020年2月14日
(71)【出願人】
【識別番号】508231061
【氏名又は名称】株式会社小野運送店
(74)【代理人】
【識別番号】100130476
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 昭穂
(72)【発明者】
【氏名】上野 秀夫
【テーマコード(参考)】
3C039
3E081
【Fターム(参考)】
3C039AA02
3C039AA25
3C039AB06
3E081AA01
3E081AB06
3E081AC04
3E081AC06
3E081EE01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】石油缶に残った廃液や石油缶の内側側面に付着した残渣物を素早くかつ容易に石油缶本体から回収すると共に、石油缶本体を破砕して折り畳み廃棄する。
【解決手段】切断部と掻き出し部を有する切断刃10と、石油缶4を天板5と底板6とで挟み込んで固定する固定部7と、固定部7の下方に配置される廃液回収部16とを備え、切断部により石油缶4の上蓋8及び底蓋9を切断して廃棄し、石油缶4に排出孔27を設けて石油缶4内部の廃液2を回収すると共に、掻き出し部により石油缶4の残渣物23を回収する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断部と掻き出し部を有する切断刃と、
石油缶を天板と底板とで挟み込んで固定する固定部と、
前記固定部の下方に配置される廃液回収部と、を備え、
前記切断部により前記石油缶の上蓋及び底蓋を切断して廃棄し、
前記石油缶に排出孔を設けて前記石油缶内部の廃液を回収すると共に、前記&#25620;き出し部により前記石油缶の残渣物を回収することを特徴とする石油缶処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の石油缶処理装置であって、
前記切断部は、前記石油缶の各辺の隅角部から前記各辺の中央部に向かう傾斜部を有し、前記傾斜部により前記石油缶の前記上蓋と前記底蓋とを平板状に切断して前記石油缶処理装置の下方に設置された廃棄物回収部に回収させて破棄し、
前記石油缶に排出孔を設けて前記石油缶内部の廃液を回収すると共に、
前記&#25620;き出し部は、前記石油缶の内側側面の全周に亘って付着した残渣物を掻き出し、前記廃液及び前記残渣物を前記廃棄物回収部に回収させることを特徴とする石油缶処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の石油缶処理装置であって、前記石油缶の前記上蓋及び前記底蓋が切断された前記石油缶本体は、前記隅角部が切断されてコンパクトに折り畳まれて電炉で溶解することを特徴とする石油缶処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の石油缶処理装置であって、前記石油缶は、前記上蓋に設けられた石油の供給口に差し込まれた錐により前記底板に開口部を設け、前記石油缶内部の前記廃液を前記廃棄物回収部に回収させることを特徴とする石油缶処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の石油缶処理装置を用いた石油缶処理方法であって、
前記廃液が残渣する前記石油缶を前記天板と前記底板とで挟み込みロッドで固定するステップと、
前記石油缶の前記上蓋と前記底蓋とを連続して平板状に切断して前記廃棄物回収部に回収させるステップと、
前記上蓋に設けられた石油の前記供給口に差し込まれた前記錐により前記底板に開口部を設け、前記石油缶の内部の前記廃液を前記廃棄物回収部に回収させるステップと、
前記切断刃の&#25620;き出し部を前記石油缶の内側側面に沿って上下させ、側面に付着していた前記廃液の残渣物を除去するステップと、
から構成されることを特徴とする石油缶処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油缶処理装置及び石油缶処理方法に係り、主に石油などを貯蔵して運搬する石油缶について石油缶本体に残った廃液を回収し、又は、石油缶本体の内側側面の残渣物を石油缶本体から掻き出し、石油缶本体を破砕して折り畳み廃棄する石油缶処理装置及び石油缶処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の石油缶の処理方法は、石油缶を大型の破砕機を用い、石油缶本体に残った廃液や残渣物を分離させることなく破砕させていた。この処理方法では、破砕された石油缶を電炉等により溶解する際にシンナー等の石油関連物が流出し、作業員への健康被害、破砕機の故障等の原因となっていた。そこで、廃液や残渣物を含む石油缶を処理するには、石油缶の内部に溶剤を加え、化学処理により時間及び手間をかけて廃液や残渣物を溶解させて除去する方法が採用されていた。そして、廃液を除去した後に石油缶本体を破砕して電炉等により溶解処理していた。なお、本明細書において「残渣物」とは「処理後の残りかす」の意味に用いる。また、「廃液」とは「使用後に廃棄する液体」の意味に用いる。また、石油缶とは、主として石油などの貯蔵及び運搬に用いられる容器をいうが、石油に限らず、他の液状、又は半固体状の素材も含まれる。
【0003】
特許文献1には、印刷インク、ペイント等の使い残した缶内残渣物が長期放置され、固化した状態で廃棄されている缶から、この残渣物を効率的に除去し、これら除去された残渣物と缶とを別々に処理する缶内充填物残渣除去装置が開示されている。ここでは、基盤に設けた中空受容柱内を慴動昇降する支持柱のアームの下部に設けられた抜取型と切断刃の下降により、被切断物架設台に架設された被切断缶を切断貫通して缶内充填物残渣を除去し、残渣物と缶とを別々に回収・廃棄処理できる手段が記載されている。
【0004】
特許文献2には、石油缶から硬度の高い固形の産業廃棄物を取り出す場合に、硬度の高い固形の産業廃棄物を石油缶の切断処理や化学処理を行うことなく安全に取り出す石油缶の内容取り出し装置及び取り出し方法が開示されています。ここでは、掘削機構は、らせん状の刃部及び刃部の先端部に形成される刃先部と、刃部及び刃先部を回転駆動させる駆動部から構成され、刃先部は下方に向かってテーパー形状を有する略円錐形状であり、刃先部の側壁ならびに先端部には側刃が設けられ、昇降機構ならびに駆動部の稼働により、刃部及び刃先部が回転しながら石油缶内の所定の位置まで侵入することが記載されている。
【0005】
特許文献3には、角型缶の天板又は地板を効率よく切断して缶外部に取り出すか、又は缶内部に折り曲げる、連続切断特性に優れた切断刃を用いた角型缶処理装置が開示されている。ここでは、四辺形筒型に形成され、かつ、その一辺の一部に切欠かれた空隙部が設けられる切断刃が記載されている。
【0006】
特許文献4には、高い減容率と良好な作業性をもたらし作業者への負荷の軽い空き缶の剪断折り畳み方法およびその装置が開示されている。ここでは、直方体型の空き缶の四辺形の天板および底板を一辺の一部分を残して剪断する剪断工程、剪断した天板および底板を缶内部に折り曲げて缶胴面の一面または対向する二面に添わせる折り曲げ工程、天板および底板が添わない缶胴面の対向する二面を内部方向に向けて折り目をつける折り目つけ工程、及び、折り目をつけていない缶胴面側より空き缶を押圧して偏平にする折り畳み工程からなることが記載されている。
【0007】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−292042号公報
【特許文献2】特開2017−64798号公報
【特許文献3】特開2004−262474号公報
【特許文献4】特開2004−141947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、石油缶をそのまま破砕する従来の処理方法は、大型の圧縮装置が必要となり、この大型の圧縮装置は、所有している業者が限られているため、融通が利かないという問題があった、また、この大型の圧縮装置を稼働させるのに大量の燃料を使用していたため、石油缶の処理費用が嵩むという問題があった。
【0010】
また、石油缶内部に残った廃液は、上述したように、石油缶本体の電炉等による溶解の際にシンナー等の石油生成物となって拡散し、作業員への健康被害、破砕機の故障等の原因となるという問題があった。
【0011】
さらに、この石油缶の内部の廃液の処理に関し、石油缶の底に開口を設けて排出する方法が用いられているが、石油缶本体の内部に付着した残渣物は、時間の経過と共に石油缶本体の底部に溜まる。この溜まった残渣物をきれいに除去するには時間と手間がかかる。すなわち、より廃液の除去率を上げるには処理費用が嵩むという問題があった。
【0012】
本願の目的は、かかる課題を解決し、石油缶に残った廃液や石油缶の内側側面に付着した残渣物を素早くかつ容易に石油缶本体から回収し、石油缶本体を破砕して折り畳み廃棄する石油缶処理装置及び石油缶処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る石油缶処理装置は、切断部と掻き出し部を有する切断刃と、石油缶を天板と底板とで挟み込んで固定する固定部と、固定部の下方に配置される廃液回収部とを備え、切断部により石油缶の上蓋及び底蓋を切断して廃棄し、石油缶に排出孔を設けて石油缶内部の廃液を回収すると共に、&#25620;き出し部により石油缶の残渣物を回収することを特徴とする。
【0014】
上記構成により、本願発明の石油缶処理装置は、切断刃の切断部が第1の処理である石油缶の上蓋及び底蓋を切断して石油缶本体から分離させて廃棄する。また、石油缶に排出孔を設けて石油缶内部の廃液を回収すると共に、切断刃の&#25620;き出し部が第2の処理である石油缶の内側側面に沿って上下して石油の残渣物を回収する。
【0015】
また、石油缶処理装置は、切断部が、石油缶の各辺の隅角部から各辺の中央部に向かう傾斜部を有し、傾斜部により石油缶の上蓋と底蓋とを平板状に切断して石油缶処理装置の下方に設置された廃棄物回収部に回収させて破棄し、石油缶に排出孔を設けて石油缶内部の廃液を回収すると共に、&#25620;き出し部が、石油缶の内側側面の全周に亘って付着した残渣物を掻き出し、廃液及び残渣物を廃棄物回収部に回収させることが好ましい。これにより、石油缶処理装置は、第1の処理である石油缶本体処理と、第2の処理である廃液回収処理とを連携して行うことができる。
ことができる。
【0016】
また、石油缶処理装置は、石油缶の上蓋及び底蓋が切断された石油缶本体の隅角部を切断してコンパクトに折り畳んで電炉で溶解されることが好ましい。これにより、石油缶処理装置は、第1の処理である石油缶本体処理を容易に行うことができる。
ことができる。
【0017】
また、石油缶処理装置は、石油缶が上蓋に設けられた石油の供給口に差し込まれた錐により底板に開口部を設け、石油缶内部の廃液を廃棄物回収部に回収させることが好ましい。これにより、石油缶処理装置は、第2の処理である廃液回収処理を容易に行うことができる。
【0018】
さらに、石油缶処理方法は、廃液が残渣する石油缶を天板と底板とで挟み込みロッドで固定するステップと、石油缶の上蓋と底蓋とを連続して平板状に切断して廃棄物回収部に回収させるステップと、上蓋に設けられた石油の供給口に差し込まれた錐により底板に開口部を設け、石油缶の内部の廃液を廃棄物回収部に回収させるステップと、切断刃の&#25620;き出し部を石油缶の内側側面に沿って上下させ、側面に付着していた廃液の残渣物を除去するステップとから構成されることが好ましい。これにより、本発明に係る石油缶処理方法は、第1の処理である石油缶本体処理と第2の処理である廃液回収処理を連携して処理することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明に係る石油缶処理装置及び石油缶処理方法によれば、石油缶に残った廃液や石油缶の内側側面に付着した残渣物を素早くかつ容易に石油缶本体から回収し、石油缶本体を破砕して折り畳み廃棄する石油缶処理装置及び石油缶処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る石油缶処理装置の一つの実施形態の概略構成を示す立面図である。
図2】石油缶処理装置により処理される石油缶の実施例を示す斜視図である。
図3】石油缶処理装置のジャッキの先端部に備えられる切断刃の実施例を示す拡大された斜視図及び部分詳細図である。
図4】本発明に係る石油缶本体処理方法及び廃液回収方法からなる石油缶処理方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(石油缶処理装置の構成)
以下に、図面を用いて本発明に係る石油缶処理装置1につき、詳細に説明する。図1に石油缶処理装置1の一つの実施形態の概略構成を立面図で示す。また、図2に、本石油缶処理装置1により処理される石油缶4の実施例を斜視図で示す。更に、図3に、石油缶処理装置1に設けられる切断刃10の実施例を拡大された斜視図及び部分詳細図で示す。
【0022】
本石油缶処理装置1は、石油缶4内に残った廃液2と、石油缶4の内側側面に付着した残渣物23とを除去して石油缶本体20から廃液2及び残渣物23を分離する。そして、廃液2及び残渣物23を除去した石油缶4の上蓋8及び下蓋9を切断し、石油缶本体20を折り畳み処理して破棄する。すなわち、石油缶4内部の廃液2及び残渣物23を除去する分離処理と、石油缶4本体の折り畳み処理とを連携して行う。
【0023】
図1に示すように、本石油缶処理装置1は、例えば廃塗料等の廃液2が入った石油缶4を設置する固定部7と、石油缶4の廃液2、残渣物23、及び石油缶4の上蓋8及び底蓋9を回収する廃棄物回収部16とから構成される。固定部7に設置された石油缶4は、ロッド19を介して石油缶4上部の天板5及び石油缶4下部の底板6により挟み込まれる。天板5上部には切断刃10を上下させるジャッキ3が設けられ、石油缶4の上蓋8及び底蓋9が切り取られる。そして、切り取られた石油缶4の上蓋8及び底蓋9は、石油缶本体20から切り離されて自然落下する。これらの廃棄物は、石油缶4の下部の底板6に設けられた開口部26から廃棄物回収部16に配置されたドラム缶などの廃液回収部16に廃液2と共に回収される。なお、図1において、切断された上蓋8´、切断された下蓋9´、及び切断後の切断刃10´には、符号にダッシュを付す。
【0024】
図1に示す石油缶4の上蓋8には石油の注入口17がある。この注入口17に錐22を差し込み、石油缶4の下蓋9に排出孔27を設ける。この排出孔27から石油缶4に残った廃液2が排出される。この廃液2は、残渣物23も含めて自然落下し、図1に示すように、廃棄物回収部16に備えられた廃棄物回収車29に貯蔵されて運び出される。同様に、切断された上蓋8´、切断された下蓋9´、及び切断後の切断刃10´は、廃液2及び残渣物23と同様に廃棄物回収部16に備えられた廃棄物回収車29に回収されて運び出される。
【0025】
(石油缶)
図2に、本石油缶処理装置1により処理される石油缶4の実施例を斜視図により示す。図2(a)には、一般的な石油缶4の構成を斜視図で示し、図2(b)には、上蓋8と底蓋9とが切断された状態の石油缶4の構成を斜視図で示す。但し、石油を貯蔵して運搬する容器であれば、これに限らない。図2(a)に示すように、一般的な石油缶4は、上蓋8、底蓋9、及び側板24から構成される。また、上蓋8には石油の注入口17が設けられる。各側板24は、中央部14と隅角部13から構成され、各側板24同士は、隅角部13において接続する。
【0026】
(切断刃)
図3は、石油缶処理装置1のジャッキ3の先端部に備えられる切断刃10の一つの実施例を示す拡大された斜視図及び部分詳細図である。図3(a)には、石油缶4の4つの側面に連続して設けられ、石油缶4の上蓋8と底蓋9とを切断する切断刃10を斜視図で示し、図3(b)には、図3(a)の切断刃10のA−A断面を示す。この切断刃10は、切断部11及び掻き出し部12から構成される。切断部11は、各辺の中央となる中央部14と、2個の辺が接続する隅角部13とからなる。この中央部14と隅角部13とは傾斜部15により連続される。石油缶4の上蓋8と底蓋9とは、隅角部13から切断が開始され、この傾斜する切断刃10により容易に切断される。また、ジャッキ3の動作により、石油缶4の内側の側板24を切断刃10の&#25620;き出し部12が上下する。これにより、側板24に付着していた廃液2の残渣物23が除去される。石油缶4内部の廃液2を除去すると共に、通常用いられるジャッキ3には、ねじ式ジャッキ、油圧ジャッキなどの液体ジャッキ、エアージャッキなどの空気作動式ジャッキがあるが、本発明ではいずれのジャッキ3でも良い。
【0027】
(廃棄物回収部)
切断部11は、石油缶4の各辺の隅角部13から各辺の中央部14に向かう傾斜部15を有する。この傾斜部15により石油缶14の上蓋8と底蓋9とを連続して平板状に切断する。そして、石油缶処理装置1の下方に設置された廃棄物回収部16に回収させ、&#25620;き出し部12は、石油缶4の内側側面の全周に亘って付着した残渣物23を掻き出し、この残渣物23を含む廃液2を廃棄物回収部16に回収させる。
【0028】
石油缶4の上蓋8及び底蓋9が切断された石油缶4の本体は、隅角部13を切断してコンパクトに折り畳んで電炉で溶解する。また、石油缶4は、上蓋8に設けられた石油の注入口17に差し込まれた錐22により底蓋9に開口部26を設け、石油缶4の内部の廃液2を廃棄物回収部16に収納させる。この錐22には、上蓋8に対して下方にバネを利かせて固定するスプリングロック18が設けられ、切断された上蓋8が下方に落ちるようになっている。
【0029】
(石油缶処理方法)
図4に、本発明に係る石油缶処理方法をフロー図により示す。この石油缶処理方法は、石油缶本体処理方法及び廃液回収処理方法から構成される。本発明は、石油缶本体処理方法と廃液回収処理方法とをそれぞれ独立して行うのではなく、二つの方法を連携して行う点に特徴を有する。なお、各ステップ(S)は、S1乃至S4にて示す。
【0030】
まず、廃液2が残渣する石油缶4を天板5と底板6とで挟み込みロッド19により固定する(S1)。このロッド19による締付けで石油缶4が天板5と底板6との間に固定される。次に、上蓋8に設けられた石油の注入口17に差し込まれた錐22により底板6に開口部26を設け、石油缶4の内部の廃液2を廃棄物回収部16に回収させる(S2)。このように、廃液回収処理方法は、石油缶4を固定部7に固定し、通常、上蓋8に必ず設けられる石油の注入口17を利用して錐22を差し込んで石油缶4の底蓋9に廃液2の排出孔27を設け、この排出孔27から石油缶4の内部の廃液2を廃棄物回収部16に回収させる。これにより、廃液回収処理方法の第1段階である、石油缶4の内部の廃液2をまず回収することができる。次に、石油缶4の上蓋8と底蓋9とを連続して平板状に切断して石油缶4本体から分離させる(S3)。
【0031】
これにより、石油缶4の石油缶本体処理方法の第1段階である、石油缶4の折り畳みによる粉砕が可能となる。さらに、廃液回収処理方法の最終段階として、切断刃10の&#25620;き出し部12を石油缶4の内側側面に沿って上下させ、石油缶4の側板24に付着していた廃液2の残渣物23を除去する。この&#25620;き出し部12は、金属製のブラシが「刷毛」として用いられる。これにより、石油缶4に付着している残渣物23を除去し、廃液回収処理方法を完了することができる。また、石油缶本体処理方法の最終段階として、石油缶4の上蓋8と底蓋9とを分離させることで、残りの石油缶4の側板24を折り畳んでコンパクトにし、例えば、電炉等により溶解させ、或いは、更に細かく切断させる等して処理する。この作業により、石油缶本体処理方法は、石油缶4の本体の処理と廃液2の処理とを連携させて効率よく行うことができる。
【0032】
以上の実施形態で説明された石油缶処理装置及び石油缶処理方法の構成、形状、大きさ、及び配置関係については、本発明が理解、実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って、本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 石油缶処理装置、2 廃液、3 ジャッキ、4 石油缶、5 (石油缶処理装置の)天板、6 (石油缶処理装置の)底板、7 固定部、8 (石油缶の)上蓋、8´ (切断後の)上蓋、9 (石油缶の)底蓋、9´ (切断後の)下蓋、10 切断刃、10´ (切断後の)切断刃、11 切断部、12 掻き出し部、13 隅角部、14 中央部、15 傾斜部、16 廃棄物回収部、17 注入口、18 スプリングロック、19 ロッド、20 石油缶本体、22 錐、23 残渣物、24 側板、26 開口部、27 排出孔、29 廃棄物回収車。
図1
図2
図3
図4