【解決手段】ベルト40とキャリアローラ支持部50とを備え、キャリアローラ支持部50は、キャリア側ベルト41の下面を幅方向両端部よりも中央部を低い位置で支持可能にするように配置された中央キャリアローラ53、および、中央キャリアローラ53のベルト幅方向の両側に、中央キャリアローラ53に対して傾斜して設けられた外側キャリアローラ54、54を有する。さらに、キャリアローラ支持部50は、ベルト40の幅方向に離れて配置された一対のキャリアスタンド52、52に垂れ下がり状態で架け渡された可撓線状支持部材としてのワイヤロープ状支持部材55を備える。そして、中央キャリアローラ53および外側キャリアローラ54、54は、ワイヤロープ状支持部材55に沿って移動可能に設けられた軸受533、534に支持されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示によるベルトコンベア装置を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
(実施の形態1)
まず、
図1に基づいて実施の形態1のベルトコンベア装置Aの全体構成を説明する。
実施の形態1のベルトコンベア装置Aとして、コンクリート塊や岩石や産業廃棄物などの粉砕過程において粉砕物を搬送物CG(
図2参照)として搬送するものを一例として示している。すなわち、ベルトコンベア装置Aは、一方の端部である第1端部A1が、解砕機Bの排出口の下方に配置され、もう一方の端部である第2端部A2が、粉砕機Cの投入口の上方位置に配置されている。そして、ベルトコンベア装置Aは、解砕機Bで解砕した搬送物CG(
図2参照)を、第1端部A1で受け止め、第2端部A2まで搬送し、第2端部A2から粉砕機Cの投入口に投入する。また、ベルトコンベア装置Aには、解砕機Bと並列にホッパDが設けられている。
【0016】
ベルトコンベア装置Aは、コンベアフレーム10と、駆動プーリ20および従動プーリ30と、ベルト40と、キャリアローラ支持部50(
図2参照)と、張力調節機構60とを備える。
【0017】
なお、以下の説明において、ベルト40が延在された図において矢印の方向を長手方向Ex、これに直交するベルト40の幅方向を左右方向と称する。
【0018】
コンベアフレーム10は、ベルトコンベア装置Aの全体を支持するもので、ベルト40に沿って梯子状に形成されたフレーム部材11や、ベルト40を左右で挟むようにフレーム部材11に固定された板材(不図示)や、柱材12を備える。
【0019】
駆動プーリ20は、ベルトコンベア装置Aの第2端部A2に配置されてコンベアフレーム10に支持され、駆動モータ(不図示)により回転される。従動プーリ30は、ベルトコンベア装置Aの第1端部A1に配置されてコンベアフレーム10に支持されている。そして、ベルト40は、駆動プーリ20と従動プーリ30とに無端状に架け渡され、駆動プーリ20の回転により、ベルト40が走行され、かつ、従動プーリ30が従動回転する。
【0020】
キャリアローラ支持部50は、ベルト40の搬送物CG(
図2参照)を搬送する船底断面形状のキャリア側ベルト41を支持可能なもので、コンベアフレーム10において、長手方向Exに所定の間隔で設けられている。このキャリアローラ支持部50は、
図2に示すように、支持フレーム51と、一対のキャリアスタンド52、52と、中央キャリアローラ53と、一対の外側キャリアローラ54、54と、ワイヤロープ状支持部材(可撓線状支持部材)55とを備える。
【0021】
支持フレーム51は、ベルト40の延在方向に直交する左右方向に略水平に設けられ、コンベアフレーム10に固定されている。この支持フレーム51は、金属板材により下向きのC型断面形状に形成されている(
図3参照)。
【0022】
キャリアスタンド52、52は、金属板材により水平方向の断面形状が左右方向外向きのC型断面形状に形成され、左右方向に間隔を空けて対向して、支持フレーム51の左右方向両端部に起立して設けられている。また、キャリアスタンド52の背面には、左右方向に補強する補強ブラケット52bが設けられている。さらに、
図3に示すように、キャリアスタンド52の上部には、ワイヤロープ状支持部材55を連結する連結部としての連結用穴521、522、523が、上下方向に等間隔で設けられている。
【0023】
中央キャリアローラ53は、キャリアローラ支持部50の左右方向の略中央に水平に設けられ、この中央キャリアローラ53を間に挟んで、その左右に外側キャリアローラ54、54が、ベルト縁部側が高くなるように傾斜して設けられている。
【0024】
さらに、本実施の形態1では、中央キャリアローラ53および外側キャリアローラ54、54は、キャリアスタンド52、52に両端部が連結されたワイヤロープ状支持部材55に支持されている。
【0025】
このワイヤロープ状支持部材55は、例えば鋼製のワイヤロープにより形成され、長手方向の両端部がキャリアスタンド52の連結用穴523に挿通された状態で、キャリアスタンド52、52に固定されている。また、ワイヤロープ状支持部材55は、キャリアスタンド52、52の間の部分の長さが、キャリアスタンド52、52の左右方向の間隔よりも長く、かつ、各キャリアローラ53、54、54を直列に並べた長さよりも所定の長さだけ長く設定されている。そして、ワイヤロープ状支持部材55のワイヤ軸方向の中央に、中央キャリアローラ53を配置するとともに、その左右に外側キャリアローラ54、54を配置して、各キャリアローラ53、54,54が支持されている。
【0026】
なお、ワイヤロープ状支持部材55のキャリアスタンド52への固定は、例えば、ワイヤロープ状支持部材55の両端に形成した不図示のアイボルト部分に係合用部材を挿通し、キャリアスタンド52の連結用穴521〜523の周囲に係合させることで実施できる。あるいは、不図示のアイボルト部分を、キャリアスタンド52のピンやボルトおよびナットにより固定することも可能である。
【0027】
また、各キャリアローラ53、54は、それぞれ、第1ローラ531、541と第2ローラ532、542との一対のローラを直列に配置して形成されている。そして、第1ローラ531、541および第2ローラ532、542は、それぞれ、軸心部に設けられた軸受533、543が、ワイヤロープ状支持部材55の外周に装着されている。
【0028】
さらに、軸受533、543は、ワイヤロープ状支持部材55に対してワイヤロープ状支持部材55の延在方向(以下、これをワイヤ軸方向と称する)に沿って移動可能となっている。さらに、本実施の形態1では、軸受533、543は、ワイヤロープ状支持部材55に対しワイヤ軸方向の位置が定まった時点で、規制部材56(
図4参照)により軸方向の移動を規制するようにしている。なお、この規制部材56は、軸受533、543の内周の筒状部535の内周面と、ワイヤロープ状支持部材55の外周面との間に挿入した楔状の部材である。
【0029】
ここで、各キャリアローラ53、54の位置決めおよび軸受533、543の固定について説明を加える。
【0030】
支持フレーム51は、必ずしも、正確に水平に設置されるとは限らない。例えば、コンベアフレーム10が、傾いて設置されたり、コンベアフレーム10に対して支持フレーム51が傾いて設置されたりする場合がある。また、コンベアフレーム10が途中で、水平方向に曲げられて設置される場合、支持フレーム51が、コンベアフレーム10に対し意図して傾斜して設置される場合もある。さらに、左右両側のキャリアスタンド52、52が、製造誤差や取付誤差などにより、幅方向両側で高さが異なる場合もある。
【0031】
このように、支持フレーム51が傾斜したり、キャリアスタンド52の高さが異なったりすると、従来のように、キャリアローラの支持軸が、支持フレームおよびキャリアスタンドに固定された構造では、支持軸の角度が、本来設置されるべき角度にならなくなる。その結果、各キャリアローラの傾斜角度も、本来設置したい角度とは異なってしまう。このような場合に、ベルト40に対する搬送物による荷重が偏り、運搬性や耐久性に悪影響を与えるおそれるがある。
【0032】
一方、実施の形態1のように、各キャリアローラ53、54を、ワイヤロープ状支持部材55により支持する場合でも、製造誤差や取付誤差により左右のキャリアスタンド52、52におけるワイヤロープ状支持部材55の連結位置が、左右で異なる場合がある。
【0033】
本実施の形態1では、支持フレーム51が傾斜したり、キャリアスタンド52、52に製造誤差や取付誤差が生じたり、ワイヤロープ状支持部材55の両端の高さが異なったりした場合でも、各キャリアローラ53、54を、適正位置に配置することができる。
【0034】
すなわち、本実施の形態1では、ワイヤロープ状支持部材55において中央キャリアローラ53の左右に位置する部分の傾斜角度を、中央キャリアローラ53の左右方向の位置により調整することができる。例えば、中央キャリアローラ53をワイヤロープ状支持部材55に沿って左側に移動させれば、ワイヤロープ状支持部材55の左側の部分の傾斜が急になり、右側の部分の傾斜角度が緩やかになる。また、中央キャリアローラ53は、左側が高く傾斜する。逆に、中央キャリアローラ53の左右のワイヤロープ状支持部材55の傾斜角度が均等になると、中央キャリアローラ53は水平に配置される。
【0035】
したがって、製造誤差や取付誤差により、ワイヤロープ状支持部材55の左右の傾斜角度が異なっていても、中央キャリアローラ53を、傾斜角度が緩やかになっている側に移動させることにより、ワイヤロープ状支持部材55の傾斜を左右均等にすることができる。
【0036】
また、このような調整は、実際にベルト40を回転させて、各キャリアローラ53、54に荷重をかけることで、左右均等な適正な位置にさせることができる。すなわち、中央キャリアローラ53からワイヤロープ状支持部材55に荷重が作用した場合、中央キャリアローラ53は、ワイヤロープ状支持部材55からの反力が左右均等になる位置に配置される。そして、このとき、ワイヤロープ状支持部材55において中央キャリアローラ53からキャリアスタンド52に延びる部分の傾斜角度が均等になる。したがって、本実施の形態1では、各キャリアローラ53、54は、左右対称に配置される。
【0037】
また、搬送経路の平面視の線形で曲線部となる箇所や傾斜が生じる箇所でベルト40をカーブさせる場合など、各キャリアローラ53、54、54を、意図的に左右非対称に設定したい場合には、上述したように中央キャリアローラ53の配置に基づいて、任意に左右非対称の傾斜角度とすることもできる。
【0038】
(張力調節機構の説明)
以下に、張力調節機構60について説明する。
張力調節機構60は、ベルトコンベア装置Aの第1端部A1において、コンベアフレーム10の左右両側に設けられ、従動プーリ30の回転軸31を、長手方向に移動可能に構成されている。
【0039】
回転軸31は、左右端部のそれぞれが
図5に示す回転軸スライダ32に連結されている。そして、張力調節機構60は、左右の回転軸スライダ32を、ベルトコンベア装置Aの長手方向に沿ってスライド可能に形成されている。
【0040】
この張力調節機構60は、スライドフレーム61と、伝達ブラケット62と、張力調節操作機構63とを備える。
【0041】
スライドフレーム61は、伝達ブラケット62をスライドフレーム61に沿ってスライド可能に支持するとともに、張力調節操作機構63を支持する。このスライドフレーム61は、ベースプレート611と、一対のサイドプレート612、612と、アッパフレーム613とにより、側方から見て長方形の枠状に形成されている。
【0042】
ベースプレート611は、
図6A、
図6Bに示すように、帯板状に形成されている。そして、
図6Aに示すように、長手方向の両端部には、ボルトなどの締結部材を挿通するための貫通穴611aが形成されたブラケット部611bが左右方向の両端部に起立して形成されている。また、ベースプレート611の上面には、
図5に示す回転軸スライダ32を長手方向にスライドガイドするガイドレール614が設けられている。
【0043】
サイドプレート612は、起立状態で、ベースプレート611のブラケット部611bにボルトなどの締結部材により固定され、
図7Aに示す背面板612aと、一対の
図7Bに示す側面板612bとにより、上方から見て横凹状の断面形状に形成されている。そして、側面板612bの下端部には、ブラケット部611bに結合する際のボルトなどの締結部材を挿通するための貫通穴612cが形成されている。また、背面板612aの上部には、張力調節操作機構63の後述する張力調節ボルト631を貫通させるための貫通穴612dが形成されている。
【0044】
アッパフレーム613は、
図5に示すように、一対のサイドプレート612、612の上端部同士を連結して設けられ、下方に開口された略逆凹状の断面形状に形成されている。
伝達ブラケット62は、
図8Aに示すように、薄板状の上部プレート621と、上部プレート621の長手方向の一方の端部から下方に折曲された側部プレート622とにより側方から見て略L字断面形状に形成されている。そして、上部プレート621の長手方向のもう一方の端部から下方に折曲されたフランジ623を備える。そして、上部プレート621を回転軸スライダ32の上方から上下方向に係合させ、かつ、側部プレート622とフランジ623とを、それぞれ、回転軸スライダ32に長手方向に係合させている。したがって、回転軸スライダ32は、伝達ブラケット62により長手方向への回転が規制され、かつ、上方への移動を規制されている。
【0045】
また、
図8Bに示すように、側部プレート622の下端部には、回転軸スライダ32に連結するのに使用する貫通穴624が形成されている。
【0046】
張力調節操作機構63は、
図5に示すように、張力調節ボルト631と、張力調節用スライダ632とを備える。
張力調節ボルト631は、スライドフレーム61の一対のサイドプレート612、612に架け渡し、貫通穴612d(
図7A参照)を貫通して相対回転可能に支持され、かつ、サイドプレート612の外側に突出されている。そして、張力調節ボルト631の外周には雄ネジ(不図示)が形成され、アッパフレーム613の内側に収容されている。さらに、張力調節ボルト631の長手方向両端部には、サイドプレート612の貫通穴612dの内径よりも大経のナット部材633、633が固定され、サイドプレート612に対して長手方向の移動が規制されている。
【0047】
張力調節用スライダ632は、張力調節ボルト631の外周に装着され、内周には、張力調節ボルト631の雄ネジに噛み合う雌ネジが形成されている。そして、張力調節用スライダ632は、回転軸スライダ32に連結されている。したがって、ナット部材633を回転させ、張力調節ボルト631を回転させると、張力調節用スライダ632が軸方向に移動する。そして、張力調節用スライダ632は、回転軸スライダ32に連結されているため、回転軸スライダ32が、ベースプレート611のガイドレール614に沿って長手方向に移動する。したがって、張力調節操作機構63は、従動プーリ30の回転軸31を長手方向に移動させ、ベルト40の張力を調節することができる。
【0048】
そして、張力調節操作機構63は、ナット部材633への回転入力をスライドフレーム61の上部のアッパフレーム613の位置で行うため、スライドフレーム61の上下方向寸法を小さく抑えることができる。
【0049】
すなわち、従来、回転軸スライダ32へ操作力を入力するボルトは、例えば、特開平11−165830号公報に示されるように、回転軸スライダ32の上下方向の中央位置、すなわち、従動プーリ30の回転中心軸の高さに配置されている。そして、この操作力を入力するボルトの延在方向から操作を行う場合、その操作用の空間を確保するために、ボルトの軸心の延長線が地上に接するまでの距離を確保する必要がある。この操作用距離は、入力するボルトである張力調節ボルト631の位置が高い方が長く確保できる。しかしながら、上記の公報に記載のように、ボルトの高さが回転軸スライダ32の中心の高さにあると、このボルトの位置を高くすると、張力調節操作機構のボルトよりも上方部分の構成の分だけ、張力調節操作機構の上下方向寸法が大きくなる。
【0050】
それに対し、本実施の形態1では、張力調節ボルト631が張力調節操作機構63の上端部に位置するため、張力調節ボルト631の高さを確保しても、それよりも上方の構成は殆ど存在せず、張力調節操作機構63の上下方向寸法を抑え小型化できる。
【0051】
(実施の形態1の効果)
(1)実施の形態1のベルトコンベア装置Aは、ベルト40とキャリアローラ支持部50とを備える。ベルト40は、駆動プーリ20と従動プーリ30に無端状に架け渡されて搬送物CGを運搬可能となっている。
【0052】
キャリアローラ支持部50は、キャリア側ベルト41の下面を幅方向両端部よりも中央部を低い位置で支持可能にするように配置された中央キャリアローラ53、および、中央キャリアローラ53のベルト幅方向の両側に、中央キャリアローラ53に対して傾斜して設けられた外側キャリアローラ54、54を有する。
【0053】
さらに、キャリアローラ支持部50は、ベルト40の幅方向に離れて配置された一対のキャリアスタンド52、52に垂れ下がり状態で架け渡された可撓線状支持部材としてのワイヤロープ状支持部材55を備える。そして、中央キャリアローラ53および外側キャリアローラ54、54は、ワイヤロープ状支持部材55に沿って移動可能に設けられた軸受533、534に支持されている。
【0054】
したがって、実施の形態1のベルトコンベア装置Aは、キャリアスタンド52、52の間のワイヤロープ状支持部材55の長さを調節することにより、外側キャリアローラ54の傾斜角度を任意に調節可能である。しかも、ワイヤロープ状支持部材55における中央キャリアローラ53の位置に応じ、各キャリアローラ53、54、54の傾斜角度を任意に設定することも可能である。
【0055】
よって、外側キャリアローラ54の傾斜角度が異なっていても、ワイヤロープ状支持部材55の長さを変更するだけで済み、キャリアローラ支持部50の各部材の共通化を図りコストおよび手間を低減できる。しかも、各キャリアローラ53、54、54の傾斜角度の設定が容易であり、設置現場の状況や施主の要望に応じたベルトコンベア装置Aの製造が容易にできる。
【0056】
(2)実施の形態1のベルトコンベア装置Aでは、キャリアスタンド52に、ワイヤロープ状支持部材55を連結可能な連結部としての複数の連結用穴521〜523が、異なる高さに設けられている。
【0057】
したがって、一定の長さのワイヤロープ状支持部材55を連結する高さを異ならせて、各キャリアローラ53、54の高さを変更することができる。また、中央キャリアローラ53の設置高さを同じとしつつ、ワイヤロープ状支持部材55の長さを変えて、連結する高さを変えれば、外側キャリアローラ54、54の傾斜角度を任意に変更することができる。
このように、予め複数の連結用穴521〜523を設定しておくことにより、上記の設置位置や傾斜角度の変更を容易に行うことができる。
【0058】
(3)実施の形態1のベルトコンベア装置Aは、ワイヤロープ状支持部材55に沿う方向の任意の位置でワイヤロープ状支持部材55に対する軸受533、543の移動を規制する規制部材56を備える。
【0059】
したがって、各キャリアローラ53、54の位置を、適正位置に配置した後に、その位置を維持させ、安定した性能を確保することができる。
【0060】
(4)実施の形態1のベルトコンベア装置Aは、従動プーリ30を、その回転軸31の直交方向に移動させてベルト40の張力を調節可能な張力調節機構60を備える。そして、張力調節機構60は、スライドフレーム61とベースプレート611と伝達ブラケット62と張力調節ボルト631と張力調節用スライダ632とを備える。
【0061】
スライドフレーム61は、回転軸31を移動させる方向に沿う枠状に形成されている。またベースプレート611は、スライドフレーム61の下部に設けられて、回転軸31に連結された回転軸スライダ32をスライドガイドするガイドレール614を備える。さらに伝達ブラケット62は、回転軸スライダ32に上方から係合され、かつ、回転軸スライダ32に、回転軸31を移動させる方向(長手方向)のスライド作動力を伝達可能に連結されている。そして、張力調節ボルト631は、スライドフレーム61の上部に、回転軸31を移動させる方向(長手方向)に沿って回転中心軸が配置されてスライドフレーム61に回転可能に支持されて、外周に雄ネジが形成されている。一方、張力調節用スライダ632には、張力調節ボルト631の雄ネジに噛み合う雌ネジが形成され、張力調節ボルト631の外周に装着されて伝達ブラケット62に回転を規制された状態で取り付けられる。
【0062】
したがって、張力調節ボルト631を回転させると、張力調節用スライダ632が張力調節ボルト631に沿って移動し、この張力調節用スライダ632と共に伝達ブラケット62と回転軸スライダ32が移動する。これにより、従動プーリ30の回転軸31が移動し、ベルト40の張力を任意に調節することができる。
【0063】
そして、このベルト40の張力を調節する張力調節ボルト631は、スライドフレーム61の上部に設けられているため、スライドフレーム61の上下方向中間部に設けられている場合と比較して、張力調節ボルト631の軸まわりに必要な作業スペースを確保できる。これにより、スライドフレーム61の上下方向寸法も抑えることが可能となり、設計自由度が向上する。
【0064】
(5)実施の形態1のベルトコンベア装置Aは、スライドフレーム61が、張力調節ボルト631および張力調節用スライダ632の側方および上方を囲んで覆う逆C型形状のアッパフレーム613を備える。
【0065】
したがって、コンクリート塊や岩石や産業廃棄物などの粉砕物を搬送物CGとするベルトコンベア装置Aにおいて、張力調節ボルト631および張力調節用スライダ632に粉塵や搬送物CGの欠片などが詰まることを防止し、これを原因とする作動不良の発生を抑制できる。
【0066】
(他の実施の形態)
以下に、他の実施の形態のベルトコンベア装置について説明する。なお、他の実施の形態について説明するにあたり、実施の形態1において共通する構成には共通する符号を付けて説明を省略する。
【0067】
(実施の形態2)
図9Aは、実施の形態2のベルトコンベア装置のキャリアローラ支持部250を示す正面図である。実施の形態2は、キャリアローラ支持部250の中央キャリアローラ253、外側キャリアローラ254、254を、それぞれ1個のローラにより形成した例である。
【0068】
また、
図9Bに示すように、実施の形態2では、キャリアスタンド252に、4個の連結用穴2521〜2524を設けている。
【0069】
このキャリアローラ支持部250は、ベルト240の幅が実施の形態1で示したベルト40よりも相対的に狭い場合に用いるもので、作用効果としては実施の形態1と同様である。
【0070】
以上、本開示のベルトコンベア装置を実施の形態に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、この実施の形態に限られず、特許請求の範囲の各請求項の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加などは許容される。
【0071】
実施の形態では、可撓線状支持部材としてワイヤロープを用いた例を示したが、可撓性を有した線状のものであれば、ワイヤロープに限定されない。
また、キャリアスタンドの連結部として連結用穴を示したが、連結部は、可撓線状支持部材に連結可能なものであれば、連結用穴に限定されず、可撓線状支持部材と係合可能な鈎状のピンや、ボルトとナットなどの締結部材などを用いてもよい。
【0072】
また、実施の形態では、張力調節機構として、従動プーリを移動させるものと例示したが、これに限定されず、駆動プーリを移動させるものであってもよい。
【0073】
また、実施の形態では、アッパフレームは、C型断面形状のものを用いたが、その形状は、C型断面形状に限定されない。要は、アッパフレームは、張力調節用スライダと、伝達ブラケットとを連結する部分と干渉しない形状で、張力調節用ボルトと張力調節用スライダとを覆うものであればよい。
【0074】
また、実施の形態では、規制部材として、楔状のものを示したが、この規制部材は、軸受が可撓線状支持部材に沿って移動するのを規制するものであれば、図示したものに限定されない。例えば、軸受の横位置で可撓線状支持部材に固定可能な規制部材を使用し、この規制部材の固定により軸受の移動を規制してもよい。あるいは、軸受の筒状部分に、径方向に変位可能にボルトなどの締結具を設けてもよい。