特開2021-127542(P2021-127542A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-127542(P2021-127542A)
(43)【公開日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20210806BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20210806BHJP
【FI】
   A41D13/11 Z
   A41D13/11 F
   A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-24155(P2020-24155)
(22)【出願日】2020年2月17日
(71)【出願人】
【識別番号】508292235
【氏名又は名称】株式会社ファインプロ
(71)【出願人】
【識別番号】504452789
【氏名又は名称】ニッタモールド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】茂呂 拓実
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CB18
2E185CC14
2E185CC32
(57)【要約】
【課題】 マスク本体を再使用できるようにして廃棄する部分を少なくすることができるマスクを提供すること。
【解決手段】 着用者の鼻部及び口部を覆うためのマスク本体4と、マスク本体4の両側部に設けられた耳掛け部6,8とを備えたマスク。マスク本体4には装着開口部20が設けられ、装着開口部20に交換フィルタ体22が交換可能に取り付けられる。交換フィルタ体22は、外側キャップ、内側キャップ26及びこれらの間に挟持保持されたフィルタ部材28を有している。マスク本体4は補強部とこれを覆うマスク本体部16から構成され、補強部は、耐熱性及び耐衝撃性を有する第1樹脂材料から形成され、マスク本体部16は耐熱性及び柔軟性を有する第2樹脂材料から形成される。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の鼻部及び口部を覆うためのマスク本体と、前記マスク本体の両側部に設けられた耳掛け部とを備えたマスクにおいて、
前記マスク本体には装着開口部が設けられ、前記装着開口部に交換フィルタ体が交換可能に取り付けられることを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記交換フィルタ体は、前記マスク本体の前記装着開口部に装着される外側キャップと、前記外側キャップの内側に取り付けられた内側キャップと、前記外側キャップと前記内側キャップとの間に挟持保持されたフィルタ部材とを備え、前記外側キャップの外周面の一部には、前記外側キャップと前記フィルタ部材との間のキャップ空間に連通する吸気連通開口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記マスク本体は2種類の第1及び第2樹脂材料から形成され、前記第1樹脂材料は耐熱性及び耐衝撃性を有し、前記第1樹脂材料により補強部が形成され、また前記第2樹脂材料は耐熱性及び柔軟性を有し、前記第2樹脂材料によりマスク本体部が形成され、前記補強部は前記マスク本体部により覆われていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマスク。
【請求項4】
前記マスク本体の前記補強部は、前記マスク本体の前記装着開口部を構成する第1補強部と、前記第1補強部から延びる第2補強部とを有し、前記第1補強部は、成形空間を規定する成形金型の支持突出部に支持され、前記第2補強部は前記成形金型に設けられた支持ピンにより支持されることを特徴とする請求項3に記載のマスク。
【請求項5】
前記成形金型の前記支持突出部には充填開口が設けられ、前記第2樹脂材料は、前記支持突出部の前記充填開口を通して前記成形金型の前記成形空間に充填されることを特徴とする請求項4に記載のマスク。
【請求項6】
前記前記第1樹脂材料はポリカーボネート樹脂であり、前記第2樹脂材料はシリコン樹脂であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のマスク。
【請求項7】
着用者の鼻部及び口部を覆うためのマスク本体と、前記マスク本体の両側部に設けられた耳掛け部とを備えたマスクにおいて、
前記マスク本体は2種類の第1及び第2樹脂材料から形成され、前記第1樹脂材料は耐熱性及び耐衝撃性を有するポリカーボネート樹脂であり、前記第1樹脂材料により補強部が形成され、また前記第2樹脂材料は耐熱性及び柔軟性を有するシリコン樹脂であり、前記第2樹脂材料によりマスク本体部が形成され、前記補強部は前記マスク本体部により覆っていることを特徴とするマスク。
【請求項8】
前記マスク本体の前記補強部は、円筒状の第1補強部と、前記第1補強部から外側に延びる第2補強部とを有し、前記第1補強部は、成形空間を規定する成形金型の支持突出部に支持され、前記第2補強部は前記成形金型に設けられた支持ピンにより支持されることを特徴とする請求項7に記載のマスク。






【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の鼻部及び口部を覆うためのマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、花粉や黄砂などの微粉塵に対する防御対策として、またウイルスや細菌などの感染対策として、種々のマスクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このマスクは、着用者の鼻部及び口部を覆うためのマスク本体と、マスク本体の両側部に設けられた耳掛けバンドとを備えている。このマスクを着用するには、一対の耳掛けバンドを着用者の左右の耳に掛ければよく、かく着用した状態では、着用者の顔(具体的には、鼻部及び口部)がマスク本体で覆われ、これによって、微粉塵やウイルスなどが鼻部、口部を通して体内へ侵入するのを少なく抑えることができ、また着用者の咳などとともにウイルスなどが周囲に飛散するのを抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−14647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のマスクでは、次の通りの解決すべき問題がある。第1に、マスク本体は、微粉塵やウイルスなどが通過するのを少なく抑えるために、例えば織布又は不織布の2層構造又は3層構造などに構成されるが、このようなマスクは、基本的に、使用した後は廃棄して再使用することがなく、多くの装着者が使用すると大量の廃棄物が生じることになる。
【0005】
第2に、マスク本体の全体が織布又は不織布の2層構造又は3層構造などに構成されるが、2層構造、3層構造にしたとしても用いる素材が織布又は不織布であるために、微粉塵やウイルスなどの通過を充分に抑えることができない。
【0006】
本発明の第1の目的は、マスク本体を再使用できるようにして廃棄する部分を少なくすることができるマスクを提供することである。
【0007】
本発明の第2の目的は、微粉塵、ウイルスなどの通過を充分に抑えることができるマスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明のマスクは、第1の目的に対応して、着用者の鼻部及び口部を覆うためのマスク本体と、前記マスク本体の両側部に設けられた耳掛け部とを備えたマスクにおいて、
前記マスク本体には装着開口部が設けられ、前記装着開口部に交換フィルタ体が交換可能に取り付けられることを特徴とする。
【0009】
このマスクにおいては、交換フィルタ体を外側キャップ、内側キャップ及びこれらの間に挟持保持されたフィルタ部材から構成するのが好ましく、このように構成することにより、フィルタ部材を確実に保持することができるとともに、外側キャップをマスク本体の装着開口部に装着することによって、この交換フィルタ体を簡単に交換することができる。また、外側キャップの外周面の一部に吸気連通開口を設けるのが好ましく、このように構成することにより、この吸気連通開口を通してマスク本体の内側とその外側とが連通し、微粉塵、ウイルスなどの通過領域を小さくしてそれらの侵入を抑えることができる。
【0010】
また、このマスクでは、耐熱性及び耐衝撃性を備えた第1樹脂材料により補強部を形成し、耐熱性及び柔軟性を有する第2樹脂材料によりマスク本体部を形成するのが好ましく、このように構成することにより、所望の強度を保ってマスク本体の型崩れを防止することができるとともに、着用時には第2樹脂材料が顔に接触するようになり、着用者に優しいマスクを提供することができる。
【0011】
また、このマスクでは、マスク本体の第1補強部を成形金型の支持突出部に支持し、その第2補強部を成形金型に設けられた支持ピンにより支持して成形するのが好ましく、このように構成することにより、内部に補強部を埋め込んだマスク本体を樹脂成形により形成することができる。
【0012】
また、このマスクでは、成形金型の支持突出部に充填開口を設けるのが好ましく、このように構成することにより、第2樹脂材料をこの充填開口を通して成形金型の成形空間に充填することができる。
【0013】
更に、このマスクでは、第1樹脂材料としてポリカーボネート樹脂を用い、第2樹脂材料としてシリコン樹脂を用いるのが好ましく、このように構成することにより、補強部の強度を大きくすることができるとともに、マスク本体の肌と接触する表面を柔らかくして着用者に優しいものにすることができる。
【0014】
更にまた、本発明の他のマスクは、第2の目的に対応して、着用者の鼻部及び口部を覆うためのマスク本体と、前記マスク本体の両側部に設けられた耳掛け部とを備えたマスクにおいて、
前記マスク本体は2種類の第1及び第2樹脂材料から形成され、前記第1樹脂材料は耐熱性及び耐衝撃性を有するポリカーボネート樹脂であり、前記第1樹脂材料により補強部が形成され、また前記第2樹脂材料は耐熱性及び柔軟性を有するシリコン樹脂であり、前記第2樹脂材料によりマスク本体部が形成され、前記補強部は前記マスク本体部により覆っていることを特徴とする。
【0015】
このマスクでは、マスク本体の補強部の第1補強部を成形空間を規定する成形金型の支持突出部に支持し、その第2補強部を成形金型に設けられた支持ピンにより支持するのが好ましく、このように構成することにより、補強部を埋め込んだマスク本体を樹脂成形により成形することができる。
【発明の効果】
【0016】
本願発明のマスクによれば、マスク本体には装着開口部が設けられ、この装着開口部に交換フィルタ体が交換可能に取り付けられるので、交換廃棄するのは交換フィルタ体のみとなり、これにより、廃棄する部分を少なくするとともに、マスク本体については再使用することが可能となる。
【0017】
また、本発明の他のマスクによれば、ポリカーボネート樹脂により補強部を形成し、シリコン樹脂によりマスク本体部を形成するので、補強部を埋め込んだマスク本体を形成することができる。また、ポリカーボネートは耐熱性及び耐衝撃性を有し、シリコン樹脂は耐熱性及び柔軟性を有しているので、耐熱性の優れたマスク本体を形成することができ、熱殺菌処理などをすることにより安全に再使用することができる。加えて、マスク本体の強度を保ちながら肌に優しいマスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に従うマスクの一実施形態を示す正面図。
図2図1のマスクを背面側から示す斜視図。
図3図1のマスクにおける交換フィルタ体を示す断面図。
図4図3の交換フィルタ体を分解して示す斜視図。
図5】マスク本体を成形する際の補強部の成形金型への取付状態を示す図。
図6】マスク本体を成形するときの状態の一部を拡大して示す部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明に従うマスクの一実施形態について説明する。図1及び図2において、図示のマスク2は、着用者の鼻部及び口部を覆うためのマスク本体4を備え、このマスク本体4の両側部に耳掛け部6,8が設けられている。マスク本体4の幅方向(図1及び図2において左右方向)中央部には、着用者の鼻部に対応した鼻対応領域部10及びその口部に対応した口対応領域部12が設けられ、これら鼻対応領域部10及び口対応領域部12が外側に凸状に緩やかに湾曲して突出している。この鼻対応領域部10については、着用者の鼻頭との間に空間を形成するように、また口対応領域部12については、着用者の顔(口部を含む顔)との間に空間を形成するように構成され、このマスク2を着用した状態では、鼻対応領域部10及び口対応領域部12により顔との間にマスク空間14が生成される。
【0020】
この実施形態では、マスク本体4はマスク本体部16と、このマスク本体部16を上述した形状に保持するための補強部18とから構成され、補強部18については、耐熱性及び耐衝撃性を有する第1樹脂材料から形成し、マスク本体部16については、耐熱性及び柔軟性を有する第2樹脂材料から形成するのが好ましい。第1樹脂材料としてはポリカーボネート樹脂を用いるのが好ましく、また第1樹脂材料としては、安全衛生面なども考慮してシリコン樹脂を用いるのが好ましく、これらの2種類の樹脂材料を用いることにより、マスク本体4を透明なものに仕上げることができ、また着色剤を用いることにより、黒、緑、ピンク色などの好みの色のものに仕上げることもできる。
【0021】
また、耳掛け部6,8についても、マスク本体部16と同様に、第2樹脂材料、即ちシリコン樹脂を用いるのが好ましく、このような樹脂材料を用いることにより、外観上においてマスク本体4及び耳掛け部6,8を一体的なものに仕上げることができる。このような耳掛け部6,8は、例えば超音波溶着、熱溶着などによりマスク本体4の両側部に固着される。
【0022】
このマスク本体4の口対応領域部12には装着開口部20が設けられ、この装着開口部20に交換フィルタ体22が着脱自在に取り付けられる。このように交換フィルタ体22を交換可能にすることにより、使用廃棄するものは交換フィルタ体22のみとなり、廃棄するものを少なくすることができる。尚、マスク本体4(マスク本体部16及び補強部18)及び耳掛け部6,8については、耐熱性の樹脂材料から形成されているので、熱殺菌処理(温水又は水蒸気を用いた殺菌処理)を施すことができ、この熱殺菌処理を施すことにより安全衛生的に再使用することが可能となる。
【0023】
次に、主として図3及び図4を参照して、交換フィルタ体22について説明する。図示の交換フィルタ体22は、外側キャップ24、内側キャップ26及びフィルタ部材28を備え、外側キャップ24及び内側キャップ26は、例えば樹脂成形により形成される。外側キャップ24は、マスク本体4の装着開口部20を閉塞するための円板状の端壁部30と、この端壁部30の外周部から延びる周壁部32とを備え、この周壁部32は、端壁部30から延びる第1円筒状部34と、この第1円筒状部34から延びる第2円筒状部36を有している。第1円筒状部34の外径は第2円筒状部36の外径よりも幾分大きく、この第1円筒状部34と第2円筒状部36との間に環状肩部38が設けられている。
【0024】
また、第1円筒状部34の内周面には径方向内側に突出する環状支持壁部40が設けられ、かかる環状支持壁部40の内周面には、周方向に間隔をおいて径方向内側に延びる複数の外側支持壁部42が設けられ、これら環状支持壁部40及び外側支持壁部42は、端壁部30の内面から内側に延びている。更に、端壁部30の中央部内面には、周方向に間隔をおいて径方向外側に延びる複数の内側支持壁部44が設けられている。また、この第2円筒状部36の内周面には、径方向内側に突出する環状突部46が設けられている。
【0025】
この外側キャップ24の第1円筒状部34には、第1円筒状部34及び環状支持壁部40を貫通して吸気連通開口48が設けられている。この交換フィルタ体22をマスク本体4の装着開口部20に装着した状態では、外側キャップ24の第2円筒状部36がこの装着開口部20の径方向内側に位置し、その環状肩部38が装着開口部20の前面に当接し、その第1円筒状部34は装着開口部20から外側に突出するようになる(図3参照)。そして、この吸気連通開口40は、このような装着状態において下方に向けて開口する部位に設けられ、このように設けることにより、周囲の微細な埃などの空気連通開口40への侵入を防止することができる。
【0026】
内側キャップ26は、環状のキャップ部50を備え、このキャップ部50が外側キャップ24の内側に、この形態では第2円筒状部36の径方向内側に装着される。このキャップ部50の外周面には、外側キャップ24の環状突部46に対応して環状凹部52が設けられており、この環状凹部52を環状突部46に係合させるように内側キャップ26が外側キャップ24に装着される。この内側キャップ26には、周方向に間隔をおいて径方向外側にキャップ部50まで延びる複数の押圧壁部54が設けられている。
【0027】
フィルタ部材28は、外側キャップ24と内側キャップ26との間に挟持され、この実施形態では、外側キャップ24側の環状支持壁部40、外側支持壁部42及び内側支持壁部44と内側キャップ26側のキャップ部50及び押圧壁部54との間に挟持保持される。フィルタ部材としては、通気性を有する織布、不織布などを複数層(例えば、2〜3層程度)に積層したものを用いることができる。織布、不織布の繊維として、例えば紙、レーヨン、コットンなどの天然繊維やポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロンなどの合成繊維などを用いることができ、またこれらの繊維として抗ウイルス加工を施したものを用いることもでき、抗ウイルス加工のものを用いることにより、抗ウイルス性を高めることができる。
【0028】
この交換フィルタ体22は、例えば、次のように構成されてマスク本体4に交換可能に装着される。この実施形態では、外側キャップ24の第2円筒状部36の外周面には略L字状の係合凹溝62が設けられ、この係合凹溝62の一端側(先端側)に外側(外側キャップ24の開口側)に開放された挿入開口64が設けられ、その他端側(底部側)に径方向外側に突出するロック突部66が設けられている。また、マスク本体4の装着開口部20の内周面の所定部位には、外側キャップ24側の係合凹溝62に対応して、係合突部(図示せず)が設けられる。
【0029】
このように構成されているので、交換フィルタ体22側の係合凹溝62の挿入開口64とマスク本体4側の装着開口部20の係合突部(図示せず)との位置を合わせて挿入開口64を通して係合突部を係合凹溝62内に位置付け、かかる挿入状態にて外側キャップ24を所定方向に回動させることにより取り付けることができる。かく交換フィルタ体22を回動させると、装着開口部20側の係合突部(図示せず)が外側キャップ24側の係合凹溝62に沿って相対的に他端側に向けて移動し、この係合凹溝62のロック突部66を乗り越えることにより、交換フィルタ体22がマスク本体4に交換可能に装着されてロック保持される。
【0030】
この実施形態では、マスク本体4側の係合突部(図示せず)と交換フィルタ体22側の係合凹溝62との取付構造により交換可能に取り付けているが、それ自体周知のその他の取付構造を採用してもよく、例えば、マスク本体4側に雌ねじ部を設け、交換フィルタ体22側に雄ねじ部を設け、これら雌ねじ部と雄ねじ部との螺合による取付構造を採用するようにしてもよい。
【0031】
このマスク本体4は、例えば次のようにして樹脂成形により形成することができる。主として図5及び図6を参照して、マスク本体4を成形するには、まず、マスク本体4の骨組みとなる補強部18が、耐熱性及び耐衝撃性を有する第1樹脂材料を用いて成形により形成される。この補強部18は、図5に示す通り、交換フィルタ体22が取り付けられる装着開口部20を構成する第1補強部72と、この第1補強部72から外側に延びる第2補強部74とを有している。尚、図1においては、この補強部18(第2補強部74)によりマスク本体4の表面側に盛り上がった状態を示している。
【0032】
第1補強部72は、リング状に形成され、その内周面に、交換フィルタ体22をロック保持するための上記係合突部(図示せず)が設けられる。また、第2補強部74は、第1補強部72の外周面から両側に延び、マスク本体4を所望の形状、例えば着用者の鼻部及び口部を覆うように幾分前側に凸状に膨らんだ形状に保持するような適宜の形状に形成される。この例では、各第2補強部74は、着用者の鼻部形状に対応した形状に保つための第1部分76と、着用者の頬形状に対応した形状に保つための第2部分78とを有し、第1部分76と第2部分78とが第1補強部72付近とそれらの外側端部付近で接続されて第1補強部74を構成している。
【0033】
マスク本体4を成形するときには、この補強部18は、図5に示すように、成形金型、例えば固定金型80に取り付けられる。この固定金型80には円筒状の支持突出部82が設けられており、補強部18の第1補強部72は、この支持突出部82に被嵌するように取り付けられる。固定金型80の支持突出部82には位置決め凹部(図示せず)が設けられており、第1補強部72の係合突部(交換フィルタ体22側の係合凹溝62に挿入される突部)をこの位置決め凹部に挿入することによって、固定金型80に対する補強部18の位置決めが行われる。また、補強部18の第2補強部74は、固定金型80の所要部位に間隔をおいて設けられた支持ピン84に支持されるように取り付けられる。尚、図5において黒点86で示す部位は、成形金型の例えば可動金型88に設けられた支持ピン90により支持される部位である。
【0034】
このように構成されているので、可動金型88を移動させて型締めを行うと、図5及び図6から理解されるように、補強部18の第2補強部74は、固定金型80側の複数の支持ピン84と可動金型88側の複数の支持ピン90により挟持され、固定金型80及び可動金型88の表面から幾分浮いた状態に保持される。図1において、マスク本体4の表面側に示された黒点86は、可動金型88側の支持ピン90により支持された部位を示し、また図2において、マスク本4の背面側に示された黒点92は、固定金型80側の支持ピン84により支持された部位を示している。
【0035】
マスク本体4を成形する際には、固定金型80の支持突出部82に設けられた充填開口94(図5参照)を通して成形空間96に成形樹脂(第2樹脂材料)が充填される。このように固定金型80の支持突出部82に充填開口94を設けることにより、固定金型80に大きな充填開口94を設けることが可能となり、これによって、樹脂成形の際の第2樹脂材料の流れをスムースにすることができる。
【0036】
可動金型88を型締めすると、図6に示すように、固定金型80と可動金型88との間に成形空間96が形成され、固定金型80の充填開口94を通して成形空間96に第2樹脂材料が充填され、充填された第2樹脂材料は、補強部18(第1補強部72の外周面の一部及び第2補強部74の全体)を覆うように補強部18の周囲を流れ、この補強部18をマスク本体部16内に埋め込んだ形態のマスク本体4が形成される(図3も参照)。
【0037】
この樹脂成形されたマスク本体4では、図1図3及び図6から理解されるように、マスク本体部16(第2樹脂材料)は補強部18(第1補強部72の外周面の一部及び第2補強部74の全体)を覆い、マスク本体部16及び補強部18により気密に保たれ(片側の支持ピン84により支持された部位92及び他側の支持ピン90により支持された部位86は、第2補強部74により気密に保たれる)、このマスク本体4を通して空気が流れることはなく、微粉塵、ウイルスなどの侵入、飛散を防止することができる。
【0038】
また、このマスク2では、着用者に接触する面、即ちマスク本体4の背面及び両耳掛け部6,8が第2樹脂材料(耐熱性及び柔軟性を有する樹脂材料)から形成されているので、マスク本体4及び耳掛け部6,8が肌に柔らかく接触し、着用者に優しいマスクとして提供することができる。更に、この第2樹脂材料としてシリコン樹脂を用いることにより、マスク本体4の外周部が着用者の顔の表面に密着するようになり、これによって、マスク本体4の外周部と顔との間に隙間ができ難く、マスク本体4の外周部を通しての空気の出入りをほとんどなくすことができる。
【0039】
以上、本発明に従うマスクの一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【0040】
例えば、上述した実施形態では、外側キャップ24側に環状突部46を設け、内側キャップ26側に環状凹部52を設けているが、このような構成とは反対に、外側キャップ24側に環状凹部を設け、内側キャップ26側に環状突部を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
2 マスク
4 マスク本体
6,8 耳掛け部
16 マスク本体部
18 補強部
20 装着開口部
22 交換フィルタ体
24 外側キャップ
26 内側キャップ
28 フィルタ部材
48 空気連通開口
72 第1補強部
74 第2補強部
80 固定金型
84,90 支持ピン
88 可動金型




図1
図2
図3
図4
図5
図6