【解決手段】中心端子21、22を構成する中心端子部121、122と、接地導体27を構成する接地導体部127と、中心端子部121、122と接地導体部127とをそれぞれ連結して両者を一体とする連結部191、192とを有する導体素材100を、導電材料により一体成形し、次いで、導体素材100とハウジング11とを一体的に固定し、次いで、連結部191、192を切断して、中心端子部121、122を中心端子21、22として構成し、接地導体部127を接地導体27として構成したプラグ10を得る。
信号端子と、前記信号端子を囲むようにして該信号端子の周囲全周にわたり配設されたシェル部を有する接地導体と、前記信号端子と前記接地導体とを絶縁させた状態で互いに一体的に固定する絶縁性のハウジングと、を備え、相手コネクタとの嵌合により前記信号端子が相手信号端子に電気的に接続されるコネクタの製造方法であって、
前記信号端子を構成する信号端子部と、前記接地導体を構成する接地導体部と、前記信号端子部と前記接地導体部とを連結して両者を一体とする連結部と、前記シェル部と、を有する導体素材を、導電材料により一体成形し、
次いで、前記導体素材と前記ハウジングとを一体的に固定し、
次いで、前記連結部の少なくとも一部を切断手段により切断して、前記信号端子部を前記信号端子として構成し、前記接地導体部を前記接地導体として構成することを特徴とするコネクタの製造方法。
前記ハウジングには、前記連結部を露出させて該連結部に前記切断手段を到達可能とする貫通孔が、該ハウジングの一面側から他面側にわたり予め形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の製造方法にあっては、中心導体と接地導体とを別々に作製し、さらにそれら中心導体と接地導体との相対位置を高精度に位置決めして絶縁体となる樹脂をインサートモールド成形する必要があるため、工程数が多く繁雑であり、それに伴って製造コストが増大するという問題があった。
【0007】
また、絶縁体を挟んで中心導体の外側に位置する接地導体を基板のランド電極(接地電極)に接続して実装する従来の構造では、接地導体を中心導体から離れた位置で接地させるため、伝送特性の面で不利になることが懸念される。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、従来よりも容易にコネクタを製造することができ製造コストの低減が図られるとともに、伝送特性に優れたコネクタおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコネクタの製造方法は、信号端子と、前記信号端子を囲むようにして該信号端子の周囲全周にわたり配設されたシェル部を有する接地導体と、前記信号端子と前記接地導体とを絶縁させた状態で互いに一体的に固定する絶縁性のハウジングと、を備え、相手コネクタとの嵌合により前記信号端子が相手信号端子に電気的に接続されるコネクタの製造方法であって、前記信号端子を構成する信号端子部と、前記接地導体を構成する接地導体部と、前記信号端子部と前記接地導体部とを連結して両者を一体とする連結部と、前記シェル部と、を有する導体素材を、導電材料により一体成形し、次いで、前記導体素材と前記ハウジングとを一体的に固定し、次いで、前記連結部の少なくとも一部を切断手段により切断して、前記信号端子部を前記信号端子として構成し、前記接地導体部を前記接地導体として構成することを特徴とする。
【0010】
本発明の製造方法によれば、導体素材とハウジングとを一体的に固定した後、導体素材の連結部の少なくとも一部を切断することで分割された信号端子と接地導体を有するコネクタが得られるため、従来よりも手間がかからず容易にコネクタを製造することができる。また、製造開始時には信号端子と接地導体とが一体で1つの部品であるため、従来よりも部品点数を削減することができる。これらのことから本発明の製造方法によれば製造コストの低減が図られる。また、連結部の切断後に形成される信号端子と接地導体とは、切断前では連結部を介して連結されているため、それら信号端子と接地導体の相対的な位置を設計通りに高精度に位置決めすることができる。
【0011】
また、本発明の製造方法によれば、連結部を切断して形成される信号端子と接地導体とを近接した状態とすることができ、近接する両者を基板の電極にそれぞれ接続して実装することにより、伝送特性に優れたコネクタにできる。
【0012】
また、本発明の製造方法で製造されたコネクタは、接地導体のシェル部によるシールド効果によって外部への信号漏れを効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明に係るコネクタの製造方法は、前記ハウジングには、前記連結部を露出させて該連結部に前記切断手段を到達可能とする貫通孔が、該ハウジングの一面側から他面側にわたり予め形成されていることを特徴とする。
【0014】
この製造方法によれば、導体素材の連結部を切断する際には、ハウジングごと連結部を切断することなく、貫通孔を介して切断すべき連結部のみを切断することができるので、連結部を容易に切断することができる。
【0015】
本発明に係るコネクタの製造方法は、前記連結部は、前記切断手段による押圧切断作用で切断され、前記連結部は、前記押圧の方向側の面に、前記信号端子部および前記接地導体部の肉厚よりも厚さを薄くする凹所を有し、該凹所の内側部分を切断することを特徴とする。
【0016】
この製造方法によれば、切断された連結部の切断縁からバリが生じた場合、そのバリを凹所内にとどまらせバリの突出を防ぐことができる。このため、切断により分割されて互いに対向する信号端子の部分および接地導体の部分を基板の電極に半田付け等でそれぞれ接続して実装する場合、切断で生じたバリが基板の電極に干渉することがなく、コネクタを正常に実装することができる。
【0017】
本発明に係るコネクタは、相手コネクタとの嵌合により相手信号端子と電気的に接続される信号端子と、前記信号端子を囲むようにして該信号端子の周囲全周にわたり配設されるシェル部を有する接地導体と、前記信号端子と前記接地導体とを絶縁させた状態で互いに一体的に固定する絶縁性のハウジングと、を備え、前記ハウジングは、一面側から他面側にわたる貫通孔を有し、前記信号端子は、前記貫通孔に突出する信号端子突出部を有し、前記接地導体は、前記貫通孔に突出して前記信号端子突出部に近接する接地導体突出部を有することを特徴とする。
【0018】
この構成により、本発明に係るコネクタは、近接する信号端子突出部と接地導体突出部を、基板の電極にそれぞれ接続して実装することにより、伝送特性の向上が図られる。
【0019】
また、本発明に係るコネクタは、信号端子突出部と接地導体突出部を基板の電極にそれぞれ接続して実装することにより、貫通孔を介して接続の状況を視認することができる。また、コネクタの外形の内側で接地導体突出部を接地させて基板に実装することができるため、実装部分を含むコネクタのサイズ(実装サイズ)をコンパクトにすることができる。
【0020】
また、本発明に係るコネクタは、接地導体のシェル部によるシールド効果によって外部への信号漏れを効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、従来よりも容易にコネクタを製造することができ製造コストの低減が図られるとともに、伝送特性に優れたコネクタおよびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0024】
(実施形態)
図1〜
図4は本実施形態に係る雄側のコネクタを構成するプラグ10を示し、
図6〜
図9はプラグ10が嵌合する雌側すなわち相手側コネクタを構成するレセプタクル50を示している。プラグ10およびレセプタクル50は、互いに凹凸嵌合してそれぞれが有する対応する端子どうしを接触させて電気的に接続させるように構成されている。
【0025】
以下、プラグ10およびレセプタクル50の構成を説明し、次いでプラグ10の製造方法について説明する。
【0026】
(プラグ)
プラグ10は、矩形板状に成形された絶縁性のハウジング11に、中心端子21、22、端子23、24、25、26、接地導体27が、略平面的に、かつ所定間隔に離間して配設固定された構成を有する。
【0027】
中心端子21、22は、高周波信号伝送用の端子であって本発明の信号端子を構成する。端子23〜26は他の用途の端子であって、例えば端子23、24は高周波以外の他の信号用として用いることができ、端子25、26は電源用として用いることができるが、これら用途は一例であって限定されない。
【0028】
ハウジング11は、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂を平板状に成形したものである。また、中心端子21、22、端子23〜26および接地導体27は、それぞれ板状の導電材料(例えばリン青銅等の銅合金やステンレス鋼等の金属製の板材)を打ち抜き加工および板厚方向に曲げ加工するなどして所定形状に成形したものである。
【0029】
本実施形態に係るプラグ10は、インサートモールド成形されたハウジング11に、中心端子21、22、端子23〜26および接地導体27が互いに絶縁した状態に、かつ一体的に固定された構成を有する。なお、中心端子21、22、端子23〜26および接地導体27を絶縁した状態でハウジング11に配置ならびに固定するには、ハウジング11のインサートモールド成形による手段に限定されず、例えば成形したハウジング11に接着や圧入、嵌合などといった手段で配置ならびに固定してもよい。
【0030】
ハウジング11は、中央部に並列して形成された中央の凸部11aおよびその両側の凸部11b、11cと、これら凸部11a〜11cの周囲の凹部11dと、凹部11dを取り囲む周壁部11eとを有する。
【0031】
中心端子21は凸部11aと凸部11bとの間に配設され、中心端子22は凸部11aと凸部11cとの間に配設されている。
【0032】
中心端子21、22は、L字状の同一形状を有し、ハウジング11の表面(凹部11d側の面)11fから突出する一端側のリード部21a、22aと、ハウジング11の底面11gと同一面となる状態に該底面11gに露出する実装部21b、22bとを有する。ハウジング11の表面11fおよび底面11gは、それぞれ本発明の一面および他面を構成する。
【0033】
ハウジング11には、中心端子21、22に対応する箇所であって各実装部21b、22bが延びる方向(
図1で上方)側に、表面11fから底面11gにわたって貫通する矩形状の貫通孔12、13が、中心端子21、22に近接してそれぞれ設けられている。
【0034】
図1および
図3に示すように、各中心端子21、22においては、各実装部21b、22bの先端に、貫通孔12、13にそれぞれ突出する中心端子突出部21c、22cを有する。これら中心端子突出部21c、22cは、本発明の信号端子突出部を構成する。
【0035】
図1および
図2に示すように、端子23、24は中央の凸部11aに互いに離間した状態に設けられている。また、端子25は凸部11bに設けられ、端子26は凸部11cに設けられている。
【0036】
図5に示すように、端子23〜26は同一形状に成形されたもので、各凸部11a、11b、11cに外装した状態でそれぞれ嵌合する嵌合部23a、24a、25a、26aと、各嵌合部23a、24a、25a、26aの一端から延びる短板部23c、24c、25c、26cと、他端から延びる長板部23d、24d、25d、26dをそれぞれ有する。
図3に示すように、短板部23c〜26cおよび長板部23d〜26dは、ハウジング11の底面11gと同一面となる状態に該底面11gに露出している。さらに各長板部23d、24d、25d、26dは、その先端に、プラグ10を実装する基板への接続部としてハウジング11の外側に突出する接続端部23e、24e、25e、26eをそれぞれ有する。
【0037】
図2に示すように、接地導体27は、ハウジング11の周壁部11eの内面および開口縁に沿って該周壁部11eの全周にわたり延在するシェル部27aと、プラグ10を実装する基板への接続部としてハウジング11の外側に突出する接続部27b、27c、27d、27e、27fとを有する。さらに接地導体27は、
図3および
図4に示すように、ハウジング11の貫通孔12、13に向かって内側に延びる突片28、29を有する。それら突片28、29は、貫通孔12、13に突出する接地導体突出部28a、29aをそれぞれ有する。接地導体突出部28aは中心端子突出部21cに僅かな隙間を介して近接対向しており、接地導体突出部29aは中心端子突出部22cに僅かな隙間を介して近接して対向している。
【0038】
シェル部27aは、中心端子21、22を囲むようにして中心端子21、22の周囲全周にわたり配設されている。シェル部27aの高さは、少なくともその高さの範囲内に中心端子21、22が収まる程度、すなわち中心端子21、22の高さと同等かそれ以上であることが好ましく、中心端子21、22よりも上下方向(プラグ10の厚さ方向)に大きく形成されていることがより好ましい。
【0039】
本実施形態に係るプラグ10は、中心端子21、22を囲むようにして中心端子21、22の周囲全周にわたり配設されるシェル部27aを有する接地導体27と、中心端子21、22、端子23〜26および接地導体27を絶縁させた状態で一体的に固定する絶縁性のハウジング11とを備え、ハウジング11は、表面11f側から底面11g側にわたる貫通孔12、13を有し、中心端子21、22は、貫通孔12、13に突出する中心端子突出部21c、22cをそれぞれ有し、接地導体27は、貫通孔12、13に突出して中心端子突出部21c、22cに近接する接地導体突出部28a、29aをそれぞれ有する構成となっている。本実施形態に係るプラグ10においては、中心端子21、22と接地導体27のシェル部27aとにより、擬似同軸構造のコネクタが構成される。
【0040】
(レセプタクル)
次に、レセプタクル50の構成を説明する。
【0041】
図6および
図7に示すように、レセプタクル50は、矩形板状に成形された絶縁性のハウジング51に、中心端子61、62、端子63、64、65、66、接地端子67、68、69、70、シェル状導体71が、略平面的に、かつ所定間隔に離間して配設固定された構成を有する。
【0042】
ハウジング51は、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂を平板状に成形したものである。また、中心端子61、62、端子63〜66、接地端子67〜70およびシェル状導体71は、板状の導電材料(例えばリン青銅等の銅合金やステンレス鋼等の金属製の板材)を打ち抜き加工し、必要に応じて板厚方向に曲げ加工するなどして所定形状に成形したものである。
【0043】
中心端子61、62は上述したプラグ10の中心端子21、22にそれぞれ対応して嵌合するもので、本発明の相手側信号端子を構成する。また、端子63〜66はプラグ10の端子23〜26にそれぞれ対応して嵌合するよう構成されている。
【0044】
図7(a)に示すように、端子63〜66は、ハウジング51に形成された端子嵌合孔51a、51b、51c、51dにそれぞれ嵌合して装着されている。端子63〜66は同一形状であって、
図6および
図7に示すように、それぞれの板面によってプラグ10の端子23〜26の各嵌合部23a〜26aを挟持して接触し嵌合状態を保持する一対の対向する挟持面63a・63b、64a・64b、65a・65b、66a・66bをそれぞれ有し、各挟持面63a・63b、64a・64b、65a・65b、66a・66bの間に、端子23〜26の嵌合部23a〜26aがそれぞれ嵌まり込む嵌合孔63c、64c、65c、66cが形成されている。また、端子63〜66は、レセプタクル50を実装する基板への接続部としてハウジング51の外側に突出する接続端部63d、64d、65d、66dを有する。
【0045】
中心端子61は接地端子67と接地端子68との間に配設され、中心端子62は接地端子69と接地端子70との間に配設されている。
【0046】
中心端子61、62は同一形状に成形されたものであり、
図9に示す中心端子62を説明して中心端子61の説明を兼ねる。
図9に示すように、中心端子62は、上述したプラグ10の中心端子22のリード部22aを挟持して接触し嵌合状態を保持する一対の対向する挟持面62a、62bを有する。また、中心端子62は、各挟持面62a、62bの間から内方(
図9で下方)に形成されリード部22aの先端が嵌まり込む嵌合孔62cを有する。
【0047】
また、中心端子62は、リード部22aが嵌合孔62cに挿入されやすくするための側面視漏斗状に形成された開口62dを有する。
【0048】
上述したように中心端子21は中心端子22と同一の形状であり、図示は省略するが、プラグ10の中心端子21のリード部21aを挟持して接触し嵌合状態を保持する一対の対向する挟持面、リード部21aの先端部が嵌まり込む嵌合孔、該嵌合孔にリード部21aを挿入しやすくするための側面視漏斗状の開口を、それぞれ有する。
【0049】
また、
図8に示すように、中心端子61、62は、ハウジング51の底面51gと同一面となる状態に該底面51gに露出する実装部61e、62eをそれぞれ有する。実装部61e、62eの先端部は、ハウジング51にその表面51fから底面51gにわたり形成された貫通孔52、53にそれぞれ突出している。これら貫通孔52、53に突出する実装部61e、62eの先端部を、レセプタクル50を実装する基板の端子に半田付け等で接続することにより、その接続状態を、貫通孔52、53を介して視認することができるようになっている。
【0050】
中心端子61、62は、例えばインサートモールド成形によりハウジング51に一体に固定されている。
【0051】
図6および
図7に示すように、接地端子67〜70は平板状に成形されたもので、板面が中心端子61、62および端子63〜66の並列方向に直交して横断するように、ハウジング51に形成された接地端子嵌合孔51h、51i、51j、51kにそれぞれ嵌合されている。また、接地端子67〜70は、レセプタクル50を実装する基板への接続部としてハウジング51の外側に突出する接続端部67a、68a、69a、70aをそれぞれ有する。
【0052】
シェル状導体71は、ハウジング51の外周部で全周にわたり略矩形状に連続し、ハウジング51の四隅を除いてハウジング51の外周を取り囲む囲繞形状を有している。シェル状導体71は、中心端子61、62を囲むようにして中心端子61、62の周囲全周にわたり配設されている。シェル状導体71の高さは、少なくともその高さの範囲内に中心端子61、62が収まる程度、すなわち中心端子61、62の高さと同等かそれ以上であることが好ましく、中心端子61、62よりも上下方向(レセプタクル50の厚さ方向)に大きく形成されていることがより好ましい。
【0053】
また、シェル状導体71は、レセプタクル50が実装される基板への接続端部71a、71bと、接地端子67、68とともにレセプタクル50が実装される基板に接続される接続端部71cと、接地端子69、70とともにレセプタクル50が実装される基板に接続される接続端部71dとを有する。シェル状導体71はハウジング51に対して例えばインサートモールド成形により一体に装着されている。
【0054】
本実施形態に係るレセプタクル50においては、中心端子61、62とシェル状導体71とにより、擬似同軸構造のコネクタが構成されている。
【0055】
(プラグとレセプタクルの嵌合)
上述のプラグ10とレセプタクル50とは、
図10〜
図12に示すように互いに嵌合される。この嵌合状態では、
図12に示すように、プラグ10の中心端子22のリード部22aがレセプタクル50の中心端子62の嵌合孔62cに嵌合し、リード部22aが中心端子62の挟持面62a、62bで挟持されて接触し導通する。このような中心端子22と中心端子62との嵌合の構成は、他方の中心端子21と中心端子61との間にも同様に構成される。
【0056】
また、プラグ10の各端子23〜26は、嵌合部23a〜26aがレセプタクル50の各端子63〜66の各嵌合孔63c〜66cにそれぞれ嵌合し、嵌合部23a〜26aが挟持面63a・63b、64a・64b、65a・65b、66a・66bにそれぞれ接触し導通する。
【0057】
(プラグの製造方法)
次に、上述したプラグ10の製造方法について説明する。
【0058】
本実施形態に係るプラグ10の製造方法は、まず、
図13〜
図15に示す導体素材100を、導電材料からなる金属板(上述したリン青銅等の銅合金やステンレス鋼等の板材)に打ち抜き加工および折り曲げ加工などを施すことにより作製する。
【0059】
導体素材100は、プラグ10における中心端子21、22を構成する中心端子部121、122と、接地導体27を構成する接地導体部127と、中心端子部121、122と接地導体部127とを連結する連結部191、192とを有する。すなわち導体素材100は、2つの中心端子21、22と1つの接地導体27の3部品を、連結部191、192を介して一体成形し、1つの部品としたものである。
図13〜
図15では、中心端子部121、122および接地導体部127と、連結部191、192との境界を破線で示している。
【0060】
導体素材100の接地導体部127は、プラグ10の接地導体27の突片28、29を構成する突片部128、129を有する。導体素材100においては、突片部128と中心端子部121とが連結部191を介して連結され、突片部129と中心端子部122とが連結部192を介して連結されている。また、導体素材100には、接地導体27におけるシェル部27aと、接続部27b、27c、27d、27e、27fとが形成されている。
【0061】
本実施形態に係る製造方法は、作製した導体素材100と、プラグ10が有する前述の端子23〜26とを、
図16、
図17および
図18(a)に示すようにハウジング11に一体に固定する。次いで、
図18(b)に示すように適宜な切断手段(例えばカッター治具等)200の刃部201によって連結部192の少なくとも一部を切断し、これと同様にして連結部191の少なくとも一部を切断することにより、プラグ10を得るものである。
【0062】
導体素材100および端子23〜26をハウジング11に固定するには、ハウジング11をインサートモールド成形して導体素材100および端子23〜26をハウジング11に一体化することにより簡便に行うことができる。また、可能であれば成形したハウジング11に導体素材100および端子23〜26を接着や圧入、嵌合などといった手段で固定してもよい。
【0063】
ハウジング11には、ハウジング11の表面11f側から底面11g側にわたり予め上述した貫通孔12、13が形成されており、これら貫通孔12、13を介して切断手段200が連結部191、192に到達可能となるよう構成されている。
【0064】
切断手段200は、ハウジング11の表面11f側から底面11g側に向かう押圧切断作用で刃部201により連結部191、192を切断することができるよう構成されたものである。
【0065】
図17および
図18(a)に示すように、連結部191、192は、その底面(ハウジング11の底面11g側に対応する面)に、中心端子部121、122および接地導体部127の突片部128、129の肉厚よりも厚さを薄くする凹所191a、192aをそれぞれ有する。これら凹所191a、192aは、切断手段200の押圧の方向側の面(押圧の方向側である外側の面)である連結部191、192の底面に形成されている。これら凹所191a、192aは、部分的な潰し加工などにより、ハウジング11に固定される前の段階で導体素材100に形成しておく。なお、凹所191a、192a以外の部分の接地導体部127は、均一の厚さを有している。
【0066】
切断手段200による連結部191、192の切断は連結部191、192の少なくとも一部であって、凹所191a、192aの内側部分(各凹所191a、192aの両端間の部分)を切断する。
【0067】
以上により、
図1〜
図4に示した本実施形態に係るプラグ10を得ることができる。すなわち本実施形態に係る製造方法で得られたプラグ10においては、連結部191、192を切断することで、中心端子部121、122は中心端子21、22として構成され、接地導体部127は接地導体27として構成される。また、接地導体部127の突片部128、129は、それぞれ突片28、29として構成される。さらに、中心端子21、22は、貫通孔12、13にそれぞれ突出する中心端子突出部21c、22cを有するものとなり、突片28、29は、貫通孔12、13にそれぞれ突出する接地導体突出部28a、29aを有するものとなる。
【0068】
プラグ10においては、中心端子突出部21c、22cおよび接地導体突出部28a、29aを、プラグ10を実装する基板の電極に半田付けによってそれぞれ接続することができる。
図19は、中心端子突出部22cを基板300の信号電極310に接続し、接地導体突出部29aを基板300の接地電極320に接続した状態を示している。この場合の半田付けは、例えば信号電極310および接地電極320に塗布した半田クリーム330を加熱溶融した後に冷却固化するなどの手法で行うことができる。また、図示は省略するが、これと同様に、中心端子突出部21cおよび接地導体突出部28aを、基板300の信号電極および接地電極にそれぞれ接続することができる。
【0070】
上述した本実施形態に係るプラグ10の製造方法によれば、導体素材100および端子23〜26とハウジング11とを一体的に固定した後、導体素材100の連結部191、192を切断することにより、中心端子21、22と接地導体27とが分割したプラグ10が得られる。このため、従来よりも手間がかからず容易にプラグ10を製造することができる。また、製造開始時の導体の部品としては中心端子21、22を省略することができるため、従来よりも導体の部品点数を削減することができる。これらのことから製造コストの低減が図られる。
【0071】
また、連結部191、192の切断後に形成される中心端子21、22と接地導体27とは、切断前では連結部191、192を介して連結されているため、それら中心端子21、22と接地導体27の相対的な位置を設計通りに高精度に位置決めすることができる。
【0072】
また、導体素材100の連結部191、192を切断する際には、ハウジング11ごと連結部191、192を切断することなく、貫通孔12、13を介して連結部191、192のみを切断することができるので、連結部191、192を容易に切断することができる。
【0073】
また、切断手段200により連結部191、192を切断した際に、切断縁すなわち中心端子突出部21c、22cおよび接地導体突出部28a、29aの各端縁のいずれかからバリが生じても、そのバリを凹所191a、192a内にとどまらせバリの突出を防ぐことができる。このため、中心端子突出部21c、22cおよび接地導体突出部28a、29aを基板の電極にそれぞれ半田付け等で接続して実装する場合、切断で生じたバリが基板の電極に干渉することがなく、プラグ10を正常に実装することができる。
【0074】
また、上述の製造方法によって得られたプラグ10にあっては、接地導体27のシェル部27aによるシールド効果によって外部への信号漏れを効果的に抑制することができる。これと同様に、本実施形態に係るレセプタクル50にあっては、シェル状導体71によるシールド効果によって外部への信号漏れを効果的に抑制することができる。
【0075】
図20(a)は、本実施形態に係るプラグ10とレセプタクル50とを嵌合接続した状態(
図12参照)で一方側の中心端子22、63に所定周波数(例えば10GHz)の高周波信号を伝送させた場合における信号漏れの状態を計算したシミュレーション図である。一方、
図20(b)は本実施形態に対する対比例の信号漏れの状態を計算したシミュレーション図である。
【0076】
図21は対比例のプラグ80およびレセプタクル90を示し、プラグ80側の中心端子82は接地導体83の周壁部83aの下方を通って外側まで延在しており、レセプタクル90側の中心端子92は接地導体93の周壁部93aを越えて外側に延在している。
【0077】
図20(a)においては、中心端子22、62の接続部分Aを中心とした黒色で示す靄状の広がり部分が信号の拡散を表しており、
図20(a)においては、中心端子82、92の接続部分Bを中心とした黒色で示す靄状の広がり部分が信号の拡散を表している。
【0078】
図20(a)に示す本実施形態に係るプラグ10およびレセプタクル50では外部への信号漏れが抑制されており、これは接地導体27のシェル部27aによるシールド効果によるものである。これに対し
図20(b)に示す対比例のプラグ80およびレセプタクル90においては、中心端子82、92が接地導体83の周壁部83a、93aの外側に延在しているため、外部への信号漏れが発生している。
【0079】
また、上述した製造方法で得られたプラグ10にあっては、貫通孔12に突出する中心端子突出部21cと接地導体突出部28aとが近接し、貫通孔13に突出する中心端子突出部22cと接地導体突出部29aとが近接している。このようにして中心端子21、22に近接した接地側の接地導体突出部28a、29aを基板に接地させることにより、伝送特性の向上が図られる。
【0080】
また、上述した製造方法で得られたプラグ10は、中心端子突出部21c、22cおよび接地導体突出部28a、29aを基板の電極にそれぞれ接続して実装することにより、貫通孔12、13を介して接続の状況を視認することができる。
【0081】
また、プラグ10の外形の内側で接地導体突出部28a、29aを接地させて基板に実装することができる。このように接地導体突出部28a、29aを接地させると、実装部分を含むプラグ10のサイズ(実装サイズ)をコンパクトにすることができる。その場合には、ハウジング11の外側に突出する接地導体27の接続部27b〜27fを省略することができる。
【0082】
なお、上述した実施形態のプラグ10においては2つの高周波信号伝送用の中心端子21、22を備えているが、中心端子の数は限定されず、3つ以上の中心端子を有する多極コネクタにも適用することができる。また、同軸あるいは擬似同軸の構造を備えたコネクタにも限定はされず、多様な形態のコネクタに適用することができる。