【解決手段】このガス検知器100は、検知素子31と、ケース部1に配置された電池部2と、制御部4とを備える。制御部4は、電池部2からの電力の供給が停止した後に、電池部2からの電力の供給が再開した際に、停止期間L1が判定期間Lt以下の場合に、初期動作を実施しないで検知動作を開始するように構成されている。
前記電池とは別個に設けられた電源部からの電力を用いて、前記電池から前記制御部への電力の供給が停止していた期間の長さに対応する情報を取得する期間情報取得部をさらに備える、請求項1に記載のガス検知器。
前記制御部は、前記電池からの電力の供給が停止した後に、前記電池からの電力の供給が再開した際に、前記電力の供給が停止していた期間の長さが前記所定の長さよりも大きい場合に、前記初期動作を実施させる制御を行うように構成されている、請求項1または2に記載のガス検知器。
前記制御部は、前記電池からの電力が供給されており、かつ、前記検知動作を行っている状態である検知モードと、前記検知モード以外のモードとを切り替える制御を行うように構成されており、
前記制御部は、前記検知モード中に前記電池からの電力の供給が停止した後に、前記電池からの電力の供給が再開されると、前記電力の供給が停止していた期間の長さが前記所定の長さ以下の場合に、前記初期動作を実施しないで前記検知モードを開始する制御を行うように構成されているとともに、前記検知モード以外のモード中に前記電池からの電力の供給が停止した後に、前記電池からの電力の供給が再開されると、前記電力の供給が停止していた期間の長さが前記所定の長さ以下の場合でも、前記初期動作を実施する制御を行うように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス検知器。
前記制御部は、前記電池からの電力が供給されており、かつ、前記検知動作を行っている状態である検知モードと、前記電池からの電力が供給されており、かつ、前記検知動作を休止している状態である休止モードとが切り替えられるように構成されており、
前記制御部は、前記検知モード中に前記電池からの電力の供給が停止した後に、前記電池からの電力の供給が再開した際に、前記電力の供給が停止していた期間の長さが前記所定の長さ以下の場合に、前記初期動作を実施しないで前記検知動作を開始する制御を行うように構成されているとともに、前記休止モード中に前記電池からの電力の供給が停止した後に、前記電池からの電力の供給が再開しかつ前記休止モードから前記検知モードに切り替えられる際に、前記電池からの電力の供給が停止していた期間の長さが前記所定の長さ以下の場合でも、前記初期動作を実施する制御を行うように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス検知器。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1〜
図7を参照して、一実施形態によるガス検知器100の構成について説明する。
【0018】
図1に示すように、ガス検知器100は、検知対象ガスを検知して、検知対象ガスの存在を報知する携帯型(可搬型)のガス検知装置である。具体的には、
図1に示すように、ガス検知器100は、操作者(ユーザ)が手に把持して使用可能なハンディタイプのガス検知器である。すなわち、ガス検知器100のケース部1は、操作者が把持可能に構成されている。ガス検知器100は、たとえば屋内および屋外のガス漏れ検査(ガス漏れ箇所の特定)などに用いられる。なお、検知対象ガスは、特許請求の範囲の「所定のガス」の一例である。また、ケース部1は、特許請求の範囲の「検知器本体」の一例である。
【0019】
図2に示すように、ガス検知器100は、電池部2と、検知部3と、制御部4と、表示部5と、報知部6と、期間情報取得部7と、操作部8とを含む。電池部2は、第1電池群21と、第2電池群22とを含む。
【0020】
図1に示すように、ケース部1は、ケース本体部11と、電池収容部12とを含む。検知部3および制御部4は、ケース本体部11内に設けられている。また、表示部5、報知部6および操作部8は、ケース本体部11の正面(
図1のY1方向側の面)に設けられている。また、電池部2は、電池収容部12内に配置されている。
【0021】
図3に示すように、第1電池群21は、互いに電気的に直列に接続された第1電池21aおよび第2電池21bを含む。また、第2電池群22は、互いに電気的に直列に接続された第3電池22aと第4電池22bとを含む。第1電池群21と第2電池群22とは、制御部4等のガス検知器100の電気部品に対して互いに並列に接続されている。そして、ガス検知器100の検知部3、制御部4、表示部5および報知部6を含む各部は、電池部2からの電力供給によって動作する。また、第1電池21a、第2電池21b、第3電池22aおよび第4電池22bの各々は、電池収容部12に対して着脱可能(交換可能)に構成されている。第1電池21a、第2電池21b、第3電池22aおよび第4電池22bの各々は、2次電池として構成されていてもよいし、乾電池として構成されていてもよい。
【0022】
詳細には、第1電池21a、第2電池21b、第3電池22aおよび第4電池22bの各々は、柱状を有する。たとえば、第1電池21a、第2電池21b、第3電池22aおよび第4電池22bの各々は、直径よりも高さが大きい円柱状を有する。そして、電池収容部12内において、第1電池21a、第2電池21b、第3電池22aおよび第4電池22bはこの順に、第1電池21aの短手方向(
図3のZ2方向)に並んで配置されて構成されている。また、第1電池21aは、正極Pが第1電池21aの長手方向の一方側(
図3のX2方向側)に配置され、負極Nが第1電池21aの長手方向の他方側(
図3のX1方向側)に配置されるように、電池収容部12に収容(装着)されている。また、第2電池21bは、正極Pが第2電池21bの長手方向の他方側(
図3のX1方向側)に配置され、負極Nが第2電池21bの長手方向の一方側(
図3のX2方向側)に配置されるように、電池収容部12に収容(装着)されている。第3電池22aは、第1電池21aと同様の向きで、電池収容部12に収容(装着)されている。第4電池22bは、第2電池21bと同様の向きで、電池収容部12に収容(装着)されている。
【0023】
そして、電池収容部12には、収容部内端子12a、12b、12c、12d、12eおよび12fが設けられている。収容部内端子12aは、第1電池21aの正極Pと第2電池21bの負極Nに接触することにより、第1電池21aと第2電池21bとを直列に接続するように構成されている。収容部内端子12bは、第2電池21bの正極Pに接触している。収容部内端子12cは、第1電池21aの負極Nに接触している。収容部内端子12dは、第4電池22bの正極Pと第3電池22aの負極Nに接触することにより、第3電池22aと第4電池22bとを直列に接続するように構成されている。収容部内端子12eは、第3電池22aの正極Pに接触している。収容部内端子12fは、第4電池22bの負極Nに接触している。
【0024】
また、収容部内端子12a、12c、12dおよび12fの各々には、付勢部分12gが設けられている。付勢部分12gは、導電性を有するとともに、弾性を有するように構成されている。たとえば、付勢部分12gは、金属バネからなる。収容部内端子12aに設けられた付勢部分12gは、第2電池21bに当接するとともに、X1方向(矢印A1方向)に第2電池21bを付勢(押圧)する。また、収容部内端子12cに設けられた付勢部分12gは、第1電池21aに当接するとともに、X2方向(矢印A2方向)に第1電池21aを付勢(押圧)する。また、収容部内端子12dに設けられた付勢部分12gは、第3電池22aに当接するとともに、X2方向(矢印A3方向)に第3電池22aを付勢(押圧)する。収容部内端子12fに設けられた付勢部分12gは、第4電池22bに当接するとともに、X1方向(矢印A4方向)に第4電池22bを付勢(押圧)する。これにより、X方向のうちの一方に向かって衝撃(加速度)が加えられた場合でも、付勢部分12gによる押圧力によって、第1電池21a、第2電池21b、第3電池22aおよび第4電池22bと、収容部内端子12c、12a、12dおよび12fとのそれぞれが離間した状態になるのを抑制して、電力断となるのを抑制することが可能となる。
【0025】
図2に示すように、検知部3は、検知素子31と、吸引ポンプ32とを含む。検知素子31は、ケース本体部11内(
図1参照)に配置されている。吸引ポンプ32は、ケース本体部11内(
図1参照)に検知対象ガスを取り込むように構成されている。具体的には、検知素子31には、ケース本体部11内に取り込まれた検知対象ガスと接触可能に設けられた感応部(図示せず)が設けられている。検知部3(検知素子31)としては、たとえば、熱線型半導体式センサ、基板型半導体式センサ、接触燃焼式センサ、気体熱伝導式センサなどが採用される。本実施形態では、検知素子31は、初期動作としての暖機運転が実施される素子である。検知素子31は、ケース本体部11内に1つ以上設けられる。たとえば、本実施形態では、検知素子31は、検知対象ガスごとに設けられており、複数設けられている。
【0026】
検知対象ガスとしては、プロパン、イソブタン、メタン、水素などの可燃成分を含む可燃性ガス、悪臭の原因となる成分(硫黄化合物、アミン類、カルボン酸類、ケトン類、アルデヒド類など)を含む悪臭ガス、アルコールなどの揮発成分を含む揮発ガスなどの種々のガスがある。なお、検知部3は、検知対象ガスの種類に応じて選択される。
【0027】
制御部4は、ガス検知器100の全体の動作を制御する。制御部4は、演算処理を行うプロセッサおよびメモリ等を含む。そして、制御部4は、表示部5の表示制御、検知部3の出力値に基づく検知判定、検知時の警報制御などを行う。たとえば、制御部4は、検知部3の出力値(検知ガスの濃度)が感度レベルの設定に応じた警報閾値(濃度閾値)を超えた場合に、検知対象ガスを検知したと判定する。そして、制御部4は、検知対象ガスを検知したと判定すると、報知部6により警報動作(ランプ点灯または報知音鳴動)を行う。
また、制御部4に含まれるメモリは、たとえば、揮発性メモリとして構成されており、制御部4による判定結果は、この揮発性メモリに記憶される。なお、制御部4への電力の供給が停止した場合、この判定結果は消失する。すなわち、後述する検知モード中において警報動作を行っている場合に、制御部4への電力の供給が再開した場合には、制御部4は、警報動作を再開させない。
【0028】
表示部5は、
図4〜
図7に示すように、ガス検知器100の各種情報を表示する機能を有する。表示部5は、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのモニタからなる。表示部5は、制御部4の指令に基づいて、初期画面E1、初期動作を実行していることを示す画面E2、検知対象ガスの濃度を示す画面E3、または、設定操作画面E4等を表示するように構成されている。
【0029】
報知部6は、ランプとスピーカまたはブザーとの少なくとも1つを含む。そして、報知部6は、制御部4により検知対象ガスを検知したと判定された場合に、報知部6により警報動作(ランプ点灯・点滅または報知音鳴動)を行うように構成されている。
【0030】
期間情報取得部7は、本実施形態では、バックアップバッテリ71からの電力を用いて、電池部2から制御部4への電力の供給が停止していた期間の長さ(停止期間L1)に対応する情報であるフラグの有無を記憶するように構成されている。
【0031】
たとえば、期間情報取得部7は、リアルタイムクロックモジュールである。期間情報取得部7は、バックアップバッテリ71と、発振器72と、カウンタ73と、期間取得制御部74と、メモリ75とを含む。バックアップバッテリ71は、電池部2とは別個に構成されており、ケース本体部11内に配置されている。発振器72は、バックアップバッテリ71からの電力を用いて、所定の周波数の信号を出力するように構成されている。カウンタ73は、発振器72からの信号に基づいて、期間に応じた数をカウントする(タイムカウントを行う)ように構成されている。また、期間取得制御部74は、電池部2からの電力の供給が停止した時点から、バックアップバッテリ71からの電力を用いて、カウンタ73に期間に応じた数をカウントさせる制御を行う。そして、期間取得制御部74は、カウンタ73によるカウント数Cが瞬停判断用カウント数Ctを超えた時点に、フラグを無「0」から有「1」に切り替える。ここで、判定期間Ltは、瞬停の期間よりも長く、一般的な電池交換に要する期間よりも短く設定されている。たとえば、判定期間Ltは、1秒以上3秒以下である。なお、バックアップバッテリ71は、特許請求の範囲の「電池とは別個に設けられた電源部」の一例である。
【0032】
操作部8は、ガス検知器100に対する操作者による操作入力を受け付けるように構成されている。操作部8は、電源スイッチ81と、メニュースイッチ82とを含む。電源スイッチ81およびメニュースイッチ82は、たとえば、機械式の押しボタンスイッチにより構成されてもよいし、タッチセンサ、トグルスイッチなどの他のスイッチでもよい。操作部8は、入力を受け付けると、制御部4に入力信号を出力する。操作部8は、たとえば、ケース本体部11の前面(Y1方向側の面)に設けられている。
【0033】
(制御部の構成)
制御部4は、初期動作モードと、検知モードと、休止モードとを切り替えるように構成されている。また、初期動作モード、検知モードおよび休止モードは、いずれも、制御部4に電池部2からの電力が供給されている状態において実行される。なお、初期動作モードおよび休止モードは、特許請求の範囲の「検知モード以外のモード」の一例である。
【0034】
〈初期動作モード〉
初期動作モードでは、ガス検知器100の各部を点検する制御と、表示部5に初期画面E1を表示する制御と、表示部5に初期動作を実行していることを示す画面E2を表示する制御と、検知素子31に電力を供給して検知素子31の温度を上昇させる暖機運転を行う制御と、吸引ポンプ32を駆動させる制御と、を含む制御が行われる。
【0035】
詳細には、ガス検知器100の各部を点検する制御は、ガス検知器100の各部に電力を供給した際における各部の異常を検知する制御である。ガス検知器100の各部を点検する制御において、異常が検出された場合には、図示しない機器異常画面が表示部5に表示される。また、
図4に示すように、初期画面E1は、検知対象ガスの各々の閾値等の情報を含む。たとえば、
図4では、「Gas1 100%LEL」および「Gas 25.0vol%」という文字情報が表示される例を示している。
【0036】
図5に示すように、初期動作を実行していることを示す画面E2は、暖機運転の進捗状況を示すプログレスバー等の情報と、暖機運転の進捗状況を示す文字情報と、暖機運転を行う際に要される機器の状態を操作者に報知する文字情報とを含む。たとえば、
図5では、暖機運転の進捗状況を示す文字情報として「20%」、暖機運転を行う際に要される機器の状態を操作者に報知する文字情報として「Fresh air required」が表示部5に表示される例を示している。
【0037】
また、制御部4は、初期画面E1を表示部5に表示させた後に、初期画面E1から初期動作を実行していることを示す画面E2に切り替える。また、制御部4は、初期画面E1を表示している期間および初期動作を実行していることを示す画面E2を表示している期間に、検知素子31に電力を供給して検知素子31の温度を上昇させる暖機運転を行う制御と吸引ポンプ32を駆動させる制御とを併せて行うように構成されている。
【0038】
〈検知モード〉
検知モードでは、検知対象ガスを検知する検知動作と、表示部5に検知対象ガスの濃度を示す画面E3(
図6参照)を表示する制御またはガス検知器100内の設定操作画面E4(
図7参照)を表示する制御と、検知対象ガスの濃度が警報閾値以上の場合に警報動作を行う制御とを含む制御が行われる。本実施形態では、検知モードは、少なくとも検知動作を行っている状態を意味するものとして記載している。たとえば、検知対象ガスの濃度を示す画面E3は、検知対象ガスの各々の濃度の情報を含む。
図6では、第1の検知対象ガス「Gas1」の濃度の情報「0%LEL」および第2の検知対象ガス「Gas2」の濃度の情報「20.0vol%」が、表示部5に表示される例を示している。そして、警報動作は、報知部6のランプの点灯または点滅、または、報知部6のスピーカまたはブザーによる報知音鳴動により、検知対象ガスの濃度が警報閾値以上となったことを報知する動作である。また、
図7では、たとえば、検出されたガス濃度のピーク値を固定するピークホールド機能をオフにする設定となっていることを示す情報が表示部5に表示される例を示している。たとえば、制御部4は、設定操作画面E4が表示部5に表示された状態で、操作部8に対する入力操作に基づいて、設定内容を変更するように構成されている。
【0039】
〈休止モード〉
休止モードは、制御部4には電池部2からの電力が供給されている一方、検知動作を休止している状態である。たとえば、休止モードは、制御部4以外の全ての動作が停止された状態(スリープ状態)である。
【0040】
〈モードの切り替えに関する構成〉
制御部4は、操作者による操作部8に対する入力操作に基づいて、初期動作モードと検知モードと休止モードとを切り替えるように構成されている。たとえば、制御部4は、初期動作モードまたは検知モードにおいて、電源スイッチ81に対する入力操作が行われた場合、初期動作モードまたは検知モードから、休止モードのうちのスリープ状態に切り替える。また、制御部4は、休止モードにおいて、電源スイッチ81に対する入力操作が行われた場合、休止モードから、初期動作モードに切り替える。
【0041】
また、制御部4は、検知モードにおいて、メニュースイッチ82に対する入力操作が行われた場合、検知対象ガスの濃度を示す画面E3を表示する制御を行っている状態から設定操作画面E4を表示する制御を行っている状態に切り替える。また、制御部4は、初期動作モードおよび検知モードにおいて、電源スイッチ81に対する入力操作が行われた場合、休止モード(スリープ状態)となるように構成されている。
【0042】
〈電池部からの電力の供給が停止した場合に関する構成〉
ここで、本実施形態では、制御部4は、検知モード中に電池部2からの電力の供給が停止した後に、電池部2からの電力の供給が再開した場合、停止期間L1が判定期間Lt以下の場合には、初期動作を実施しないで検知モードにおいて検知動作を行うように構成されている。
【0043】
詳細には、制御部4は、検知モード中に電池部2からの電力の供給が停止した後に、電池部2から制御部4への電力の供給が再開した場合、期間情報取得部7のメモリ75のフラグの有無を読み取る。そして、制御部4は、フラグが無の場合(「0」の場合)、停止期間L1が判定期間Lt以下であると判定する。そして、制御部4は、長さL1が判定期間Lt以下である場合、初期動作モードにおける初期動作を実施することなく、検知モードにおいて検知動作を開始する制御を行う。すなわち、制御部4は、少なくとも、ガス検知器100の各部を点検する制御と、表示部5に初期画面E1を表示する制御と、表示部5に初期動作を実行していることを示す画面E2を表示する制御と、暖機運転を行う制御とを省略して、検知動作を開始する。すなわち、電力断の前後において、
図6の検知対象ガスの濃度を示す画面E3が表示部5に継続して表示される。
【0044】
また、制御部4は、検知モード中に電池部2からの電力の供給が停止した後に、電池部2からの電力の供給が再開した場合、停止期間L1が判定期間Ltよりも長い場合には、休止モード(スリープ状態)になる。この場合、制御部4は、スリープ状態において、電源スイッチ81に対する入力操作を受け付けた場合に、休止モードから初期動作モードに切り替わり、初期動作を行うように構成されている。そして、制御部4は、初期動作が終了した後に、初期動作モードから検知モードに切り替わり、検知モードにおいて検知動作を行う。
【0045】
ここで、本実施形態では、制御部4は、検知モード以外のモード中に電池部2からの電力の供給が停止した後に、電池部2からの電力の供給が再開されると、停止期間L1が判定期間Lt以下の場合でも、初期動作を実施するように構成されている。具体的には、制御部4は、初期動作モード中に電池部2からの電力の供給が停止した場合に、電池部2からの電力の供給が再開した場合、停止期間L1が判定期間Lt以下の場合でも、初期動作を実施するように構成されている。すなわち、制御部4は、初期動作モード中に電池部2からの電力の供給が停止し、その後、電池部2からの電力の供給が再開した場合で、かつ、停止期間L1が判定期間Lt以下の場合、初期動作モードにおいて初期動作を開始する制御を行う。その後、制御部4は、初期動作モードから検知モードに切り替える制御を行う。
【0046】
また、本実施形態では、制御部4は、休止モード中に電池部2からの電力の供給が停止した後に、電池部2からの電力の供給が再開しかつ休止モードから検知モードに切り替えられる際に、停止期間L1が判定期間Lt以下の場合でも、初期動作を実施する制御を行うように構成されている。ここで、検知モード以外のモード中に電池部2からの電力の供給が停止した後に、電池部2からの電力の供給が再開された場合に実施される初期動作の開始時期は、電池部2からの電力の供給が再開した直後には限られない。すなわち、上記の開始時期は、電池部2からの電力の供給が再開した後、最初に初期動作モードになった時(たとえば、休止モードから初期動作モードに切り替えられた時)であってもよい。すなわち、制御部4は、休止モード中に電池部2からの電力の供給が停止した場合に、電池部2からの電力の供給が再開した場合、スリープ状態となる。そして、制御部4は、スリープ状態において、電源スイッチ81に対する入力操作を受け付けた場合に、休止モードから初期動作モードに切り替わり、初期動作を行うように構成されている。そして、制御部4は、初期動作が終了した後に、初期動作モードから検知モードに切り替わり、検知モードにおいて検知動作を行う。なお、制御部4は、初期動作モード中に電池部2からの電力の供給が停止した後に、電池部2からの電力の供給が再開した場合、停止期間L1が判定期間Ltよりも長い場合には、休止モード(スリープ状態)になる。また、制御部4は、休止モード中に電池部2からの電力の供給が停止した後に、電池部2からの電力の供給が再開した場合、停止期間L1が判定期間Ltよりも長い場合には、休止モード(スリープ状態)を維持する。
【0047】
[電池部からの電力の供給が停止した際の動作]
次に、
図8を参照して、ガス検知器100による電池部2からの電力の供給が停止した際の動作について説明する。この動作は、期間情報取得部7により実施される。
【0048】
ここで、制御部4は、電池部2からの電力の供給が停止された場合、制御部4による制御が全て停止する。すなわち、制御部4は、電池部2からの電力の供給が停止している期間には制御を行わない。
【0049】
ステップS1において、バックアップバッテリ71からの電力を用いて、カウンタ73により電池部2から制御部4への電力の供給が停止した時点からタイムカウントが開始される。なお、ステップS1においては、フラグは無「0」の状態である。その後、ステップS2に進む。
【0050】
ステップS2において、停止期間L1が判定期間Ltを超えたか否かが判断される。すなわち、カウント数Cが瞬停判断用カウント数Ctを超えたか否かが判断される。停止期間L1が判定期間Ltを超えた場合(カウント数Cが瞬停判断用カウント数Ctを超えた場合)、ステップS5に進み、停止期間L1が判定期間Lt以下の場合(カウント数Cが瞬停判断用カウント数Ctを超えない場合)、ステップS3に進む。
【0051】
ステップS3において、電池部2からの電力の供給が再開されたか否かが判断される。電池部2からの電力の供給が再開された場合、ステップS4に進み、電池部2からの電力の供給が再開されていない場合、ステップS2に戻る。
【0052】
ステップS4において、カウント数Cがリセットされる。その後、電池部2からの電力の供給が停止した際のガス検知器100の動作が終了される。
【0053】
ステップS5において、フラグを無(たとえば、「0」)から有(たとえば、「1」)に切り替える。その後、ステップS6に進む。
【0054】
ステップS6において、電池部2からの電力の供給が再開されたか否かが判断される。電池部2からの電力の供給が再開されるまでこの判断は繰り返され、電池部2からの電力の供給が再開された場合に、ステップS7に進む。
【0055】
ステップS7において、カウント数Cがリセットされる。その後、電池部2からの電力の供給が停止した際のガス検知器100の動作が終了される。
【0056】
[電池部からの電力の供給が再開した際の制御処理]
次に、
図9を参照して、ガス検知器100による電池部2からの電力の供給が再開した際の動作について説明する。この動作は、制御部4により実施される。
【0057】
ステップS11において、期間情報取得部7のフラグの有無の読み取りが行われる。すなわち、制御部4への電力の供給が停止していた期間の長さL1である停止期間L1に対応する情報が取得される。その後、ステップS12に進む。
【0058】
ステップS12において、電力の供給が停止する前のモードが検知モードか否かが判断される。電力の供給が停止する前のモードが検知モードである場合には、ステップS13に進み、電力の供給が停止する前のモードが検知モード以外のモードである場合には、ステップS15に進む。
【0059】
ステップS13において、停止期間L1が判定期間Lt以下か否かが判断される。すなわち、停止期間L1が判定期間Lt以下の場合(フラグが無の場合)、ステップS14に進み、停止期間L1が判定期間Ltよりも大きい場合(フラグが有の場合)、ステップS16に進む。
【0060】
ステップS14において、検知モードにおいて検知動作が行われる。すなわち、暖機動作を含む初期動作が実施されないで、検知動作が行われる。その後、電池部2からの電力の供給が再開した際のガス検知器100の制御処理が終了される。
【0061】
ステップS15において、電力の供給が停止する前のモードが休止モードか否かが判断される。電力の供給が停止する前のモードが休止モードである場合には、ステップS16に進み、電力の供給が停止する前のモードが休止モード以外のモード(初期動作モード)である場合には、ステップS20に進む。
【0062】
ステップS16において、休止モードにおけるスリープ状態となる。その後、ステップS17に進む。
【0063】
ステップS17において、電源スイッチ81に対する入力操作が行われたか否かが判断される。電源スイッチ81に対する入力操作が行われるまでこの判断が繰り返され、電源スイッチ81に対する入力操作が行われた場合、ステップS18に進む。
【0064】
ステップS18において、初期動作モードにおいて、初期動作が行われる。その後、ステップS19において、検知モードにおいて、検知動作が行われる。その後、電池部2からの電力の供給が再開した際のガス検知器100の制御処理が終了される。
【0065】
また、ステップS20において、停止期間L1が判定期間Lt以下か否かが判断される。すなわち、停止期間L1が判定期間Lt以下の場合(フラグが無の場合)、ステップS18に進み、停止期間L1が判定期間Ltよりも大きい場合(フラグが有の場合)、ステップS16に進む。
【0066】
[動作例]
(検知モード中に瞬停が生じた場合の動作例)
検知モードにおいて検知動作を行っている最中に、ガス検知器100が落下することなどによって、ガス検知器100に対して衝撃が加わり、第1電池群21から制御部4への電力の供給、および、第2電池群22から制御部4への電力の供給が一時的(瞬間的)に遮断される場合がある。すなわち、ガス検知器100に瞬停が生じる場合がある。この場合、停止期間L1が判定期間Lt以下となる。そして、制御部4は、電池部2からの電力の供給が再開した際に、初期動作を実施しないで検知モードにおいて検知動作を行う。また、検知対象ガスの濃度を示す画面E3が表示部5に表示されている状態で瞬停が生じた場合、電力の供給が再開した際の表示部5の表示は、検知対象ガスの濃度を示す画面E3である。なお、設定操作画面E4が表示部5に表示されている状態で瞬停が生じた場合、電力の供給が再開した際の表示部5の表示は、検知対象ガスの濃度を示す画面E3であってもよいし、瞬停が生じる前の設定操作画面E4であってもよい。
【0067】
(電池交換の場合の動作例)
ガス検知器100では、電池収容部12に装着されている第1電池21a、第2電池21b、第3電池22aおよび第4電池22bが交換される際、電池部2から制御部4への電力の供給が停止される。すなわち、電池収容部12から、第1電池21a、第2電池21b、第3電池22aおよび第4電池22bが取り外されることにより、電池部2から制御部4への電力の供給が停止する。この場合、電池部2からの電力の供給が停止していた停止期間L1が判定期間Ltよりも長くなる。制御部4は、電池部2からの電力の供給が再開した際に、休止モード(スリープ状態)となる。その後、電源スイッチ81が操作された場合、初期動作が実施され、検知動作が開始される。
【0068】
[本実施形態の効果]
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0069】
本実施形態では、上記のように、制御部4を、電池部2からの電力の供給が停止した後に、電池部2からの電力の供給が再開した際に、停止期間L1が判定期間Lt以下の場合に、初期動作を実施しないで検知動作を開始するように構成する。これにより、ガス検知器100に衝撃が加わることなどによって、電池部2からの電力の供給が判定期間Lt以下の比較的短い期間(瞬間的に)遮断された場合に、初期動作が実施されないで検知動作が開始される。このため、初期動作が終了するまで検知動作の開始をユーザーが待つ必要がなく、ガス検知動作(測定)を迅速に再開することができる。そして、停止期間L1が判定期間Lt以下の場合には、初期動作を実施する必要がないため、ガス検知器100としての性能が低下するのを抑制しながら、迅速に検知動作を再開することができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、ガス検知器100に、電池部2とは別個に設けられたバックアップバッテリ71からの電力を用いて、停止期間L1に対応する情報であるフラグを取得する期間情報取得部7をさらに備える。これにより、制御部4への電力の供給が再開された際に、制御部4が期間情報取得部7からフラグを読み取れば(取得すれば)、制御部4は、フラグに基づいて、停止期間L1が判定期間Lt以下であるか否かを容易に判断することができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、制御部4を、電池部2からの電力の供給が停止した後に、電池部2からの電力の供給が再開した際に、停止期間L1が判定期間Ltよりも大きい場合に、初期動作を実施させる制御を行うように構成する。これにより、停止期間L1が判定期間Ltよりも大きく、初期動作が必要な場合には、初期動作を適切に実施させることができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記のように、初期動作は、暖機運転を含む。これにより、停止期間L1が判定期間Lt以下の場合には、暖機運転が実施されずに検知動作を再開することができる。この結果、停止期間L1が判定期間Lt以下の場合には、比較的長い期間を要する暖機運転を実施しない分、より迅速に検知動作を再開することができる。
【0073】
また、本実施形態では、上記のように、制御部4を、電池部2からの電力が供給されており、かつ、検知動作を行っている状態である検知モードと、検知モード以外のモードとを切り替える制御を行うように構成する。そして、制御部4を、検知モード中に電池部2からの電力の供給が停止した後に、電池部2からの電力の供給が再開されると、停止期間L1が判定期間Lt以下の場合に、初期動作を実施しないで検知モードを開始する制御を行うように構成する。そして、制御部4を、検知モード以外のモード中に電池部2からの電力の供給が停止した後に、電池部2からの電力の供給が再開されると、停止期間L1が判定期間Lt以下の場合でも、初期動作を実施する制御を行うように構成する。これにより、検知モードにおいて検知動作を行っている最中に、電池部2からの電力の供給が比較的短い期間遮断した場合に、検知動作を再開することができる。この結果、迅速に検知動作を再開することをユーザーが所望する場面において、効果的に検知動作を再開することができる。そして、初期動作を省略する必要がない場合には、初期動作を実施することができる。
【0074】
また、本実施形態では、上記のように、制御部4を、電池部2からの電力が供給されており、かつ、検知動作を行っている状態である検知モードと、電池部2からの電力が供給されており、かつ、検知動作を休止している状態である休止モードとが切り替えられるように構成する。そして、制御部4を、検知モード中に電池部2からの電力の供給が停止した後に、電池部2からの電力の供給が再開した際に、停止期間L1が判定期間Lt以下の場合に、初期動作を実施しないで検知動作を開始する制御を行うように構成する。そして、制御部4を、休止モード中に電池部2からの電力の供給が停止した後に、電池部2からの電力の供給が再開しかつ休止モードから検知モードに切り替えられる際に、停止期間L1が判定期間Lt以下の場合でも、初期動作を実施して、初期動作を実施した後に、検知動作を開始するように構成する。これにより、休止モード中に電池部2からの電力の供給が停止した場合等の初期動作を省略する必要がない場合である休止モードから検知モードに切り替えられる際には、初期動作を実施することができる。
【0075】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0076】
たとえば、上記実施形態では、検知部3に、吸引ポンプ32を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、検知部3に、吸引ポンプ32を設けずに、ガス検知器を、ケース本体部内に自然に流入した検知対象ガスを検知するように構成してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、電池部2に、互いに並列に接続された第1電池群21および第2電池群22を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、電池部2を、単一の電池のみから構成してもよいし、第1電池群21および第2電池群22に加えてさらに並列に接続された電池群を設けてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、第1電池群21および第2電池群22に含まれる電池の数を、それぞれ、2とする例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1電池群21および第2電池群22に含まれる電池の数を、それぞれ、3以上としてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、期間情報取得部7をガス検知器100に設けるとともに、制御部4を、期間情報取得部7のフラグを読み取るように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部を、電池部からの電力の供給の停止直前時および再開時において、通信等により外部から時刻を取得するとともに、取得した時刻に基づいて、電池部から制御部への電力の供給が停止していた期間を算出するように構成してもよい。また、期間情報取得部のフラグを読み取るのではなく、期間情報取得部のカウント数を読み取るように制御部を構成してもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、期間情報取得部7にバックアップバッテリ71を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ガス検知器100にコンデンサを設けて、電池部からの電力が供給されている間に充電されたコンデンサを、電池部からの電力の供給が停止した際における電源として、期間情報取得部7を動作させてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、
図9のステップS16のように、電力の供給が停止する前のモードが検知モードでかつ停止期間L1が判定期間Ltを超えた場合、休止モードにおけるスリープ状態となり、電源スイッチ81に対する入力操作に基づいて、初期動作が実施される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図10および
図11に示す変形例によるガス検知器200の制御部204のように、ステップS13において、停止期間L1が判定期間Lt以下でない場合、自動的にステップS18における初期動作モードが実施されてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、初期動作に暖機運転を含める例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、暖機運転を要しないガス検知器にも、本発明は適用可能である。たとえば、本発明のガス検知器を、電気化学式ガス検知器として構成する場合、または、光学式(赤外線式)ガス検知器として構成する場合には、初期動作に暖機運転は含まれない。
【0083】
また、上記実施形態では、検知モード以外のモードの例として、休止モードおよび初期動作モードとする例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、検知モード以外のモードとして、休止モードおよび初期動作モードのいずれか一方のモードであってもよいし、休止モードおよび初期動作モード以外のモードであってもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、停止期間L1が判定期間Ltよりも大きい場合に、初期動作の全てを実施する例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、停止期間L1の大きさに基づいて、初期動作の内容を変更するようにガス検知器を構成してもよい。たとえば、停止期間L1が短い程、暖機運転を行う期間を短くし、停止期間L1が長い程、暖機運転を行う期間を長くするように、ガス検知器を構成してもよい。たとえば、初期動作モード(暖機運転)中に瞬停した場合(停止期間L1が判定期間Lt以下となる場合)、電池部からの電力の供給が再開した際に、最初から暖機運転を開始するのではなく、暖機運転の全体の期間から瞬停前に実施していた分を差し引いた暖機運転の残り期間のみにおいて暖機運転を行うように、ガス検知器を構成してもよい。たとえば、暖機運転の全体の期間が1分間で、スタートから20秒後に瞬停した場合は、電池部からの電力の供給が再開した際に、残りの40秒間、暖機運転が行われる。
【0085】
また、上記実施形態では、
図9のステップS11のように、電池部2から制御部4への電力の供給が再開した際に、電力の供給が停止する前のモードが検知モードであるか否かに関わらず、制御部4は期間情報取得部7のフラグを読み取る例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図10および
図11に示す変形例によるガス検知器200の制御部204のように、ステップS111において、電力の供給が停止する前のモードが検知モードである場合のみに、ステップS112において、制御部4が期間情報取得部7のフラグを読み取るようにガス検知器を構成してもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、カウンタ73によるカウント数Cが瞬停判断用カウント数Ctを超えた時点に、フラグを無「0」から有「1」に切り替えるように期間情報取得部7を構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、カウンタ73によるカウント数Cが瞬停判断用カウント数Ctを超えた時点に、フラグを有「1」から無「0」に切り替えるように期間情報取得部7を構成してもよい。