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特開2021-128163マイクロオプトメカニカルシステムセンサ、システムおよび製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-128163(P2021-128163A)
(43)【公開日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】マイクロオプトメカニカルシステムセンサ、システムおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/093 20060101AFI20210806BHJP
   G01P 3/36 20060101ALI20210806BHJP
   G01L 1/24 20060101ALI20210806BHJP
   G01L 7/08 20060101ALI20210806BHJP
【FI】
   G01P15/093
   G01P3/36 Z
   G01L1/24 Z
   G01L7/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2021-21243(P2021-21243)
(22)【出願日】2021年2月12日
(31)【優先権主張番号】20157050
(32)【優先日】2020年2月13日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521066433
【氏名又は名称】ミラエックス エスエー
【氏名又は名称原語表記】Miraex SA
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル・アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】クレマン・ジャベルザック−ギャリー
(72)【発明者】
【氏名】オレキシ・フェオファノフ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・アベレ
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB20
2F055CC02
2F055DD20
2F055EE31
2F055FF49
2F055GG49
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マイクロオプトメカニカルシステム(MOMS)センサの感度を維持する技術を提供する。
【解決手段】マイクロオプトメカニカルシステム(MOMS)センサ100は、1つ以上の光ファイバ106を通すための通過部104を含む光ファイバインタフェイス102と、気密に封入されたエレメント110を含むキャビティ108と、を備え、エレメントは、キャビティの内壁に対して、SiNアーム112によって動くことができるように固定されており、SiNアームは、エレメントに接続された第1端部と、キャビティの内壁に接続された第2端部とを有し、光ファイバインタフェイスは、通過部を介して、エレメントと光ファイバとの間で光通信を行うことができるような位置に、光ファイバを挿入できるように構成する。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロオプトメカニカルシステム(MOMS)センサであって、
1つ以上の光ファイバを通すための通過部を含む光ファイバインタフェイスと、
気密に封入されたエレメントを含むキャビティと、
を備え、
前記エレメントは、前記キャビティの内壁に対して、SiNアームによって動くことができるように固定されており、
前記SiNアームは、前記エレメントに接続された第1端部と、前記キャビティの内壁に接続された第2端部とを有し、
前記光ファイバインタフェイスは、前記通過部を介して、前記エレメントと前記光ファイバとの間で光通信を行うことができるような位置に、前記光ファイバを挿入できるように構成されたMOMSセンサ。
【請求項2】
前記通過部から挿入された前記光ファイバと前記エレメントとの間で光通信を行うため、前記光ファイバインタフェイスが透明層によって前記キャビティから分離された請求項1に記載のMOMSセンサ。
【請求項3】
前記透明層は、前記キャビティ側の面に、1つ以上のレンズを有する請求項2に記載のMOMSセンサ。
【請求項4】
前記通過部に挿入された光ファイバの端部に1つ以上のレンズが設けられた、請求項1から3のいずれか1項に記載のMOMSセンサ。
【請求項5】
前記透明層が半透明のゲッター材料またはガラスとゲッター材料の合成材から形成され、
および/または
前記MOMSセンサが、前記キャビティ内の雰囲気を制御するためゲッター材料を含む、請求項2に記載のMOMSセンサ。
【請求項6】
前記光ファイバインタフェイスが、前記エレメントと前記光ファイバとの間で光通信を行うために、前記通過部に挿入された前記光ファイバからの光ビームを位置決めするための1つ以上の反射面を含む請求項1から5のいずれか1項に記載のMOMSセンサ。
【請求項7】
前記SiNアームが、1つ以上の方向の力に敏感に反応するように構成されている請求項1に記載のMOMSセンサ。
【請求項8】
気密に封止されたセラミック製の外壁部を備えた請求項1から7のいずれか1項に記載のMOMSセンサ。
【請求項9】
1つ以上の光ファイバによって1つ以上の光源および1つ以上の光検出器に接続された請求項1から8のいずれか1項に記載の1つ以上のMOMSセンサと、
1つ以上のプロセッサと、
プログラムコードを記憶したメモリと、
を備え、
前記プログラムコードが前記プロセッサによって実行されることにより、
前記光源による、前記光ファイバへの光の伝達を制御する制御ステップと、
前記MOMSセンサから前記光ファイバを介して光検出器に伝達された反射光の強度を測定する測定ステップと、
前記測定ステップで測定された前記反射光の強度に基づいて1つ以上の量を決定するステップと、
を実現するセンサシステム。
【請求項10】
一つの反射面が、前記MOMSセンサに接続された少なくとも1つの光ファイバの一端に設けられ、または
一つの反射面が、前記エレメントと少なくとも1つの光ファイバとの間の透明層上に配置され、または
複数の反射面が、少なくとも1つの光ファイバの一端に配置され、かつ、一つの反射面が、前記エレメントと少なくとも1つの光ファイバとの間の透明層上に配置されており、
前記光ファイバの前記反射面および/または前記透明層の反射面から反射された光の測定された強度に基づいて、光ファイバの摂動を決定する請求項9に記載のセンサシステム。
【請求項11】
前記MOMSセンサを気密に封止するためのセラミック製の外壁部を備えた請求項9または10に記載のセンサシステム。
【請求項12】
前記光ファイバの少なくとも1つは、前記エレメントの変位を所定範囲内で測定するための、より大きな焦点距離を有し、
前記光ファイバの少なくとも1つは、前記エレメントの変位を所定範囲内で測定するための、より小さな焦点距離オフセットを有する請求項8、10または11に記載のセンサシステム。
【請求項13】
1つ以上のMOMSセンサを製造する製造方法であって、

・第1Siウエハ上にSiO2層とSi(x)N(yx)層を堆積させるステップと、
・前記Si(x)N(yx)層にSiNアームをパターニングするステップと、
・前記Si(x)N(yx)層を少なくとも100nmの第1保護層で保護するステップと、
・前記第1Siウエハの第1面から前記SiO2層および前記Si(x)N(yx)層を剥離するステップと、
・Si塊をパターニングし、前記第1SiウエハからパターニングされたSi塊をエッチングするステップと、
・エッチングされた前記Si塊およびパターン化されたSiNアームをリリースするために、前記第1Siウエハの第2面から前記SiO2層および前記第1保護層を剥離するステップと、
を含む、1以上のセンサウエハを製造するステップと、
・第2Siウエハ内に1つ以上のキャビティをエッチングするステップと、
・少なくとも100nmの厚さを有する第2保護層を施して、エッチング後のキャビティを保護するステップと、
・前記第2Siウエハを貫く光ファイバ通過部をエッチングするステップと、
・前記第2Siウエハから前記第2保護層を剥離するステップと、
・センサウエハとの接合用に前記第2Siウエハ上にパリレンをコーティングするステップと、
を含む1以上の光ファイバウエハを製造するステップと、
前記センサウエハと前記光ファイバウエハとを位置決めして接着するステップと、
エッチングされた前記Si塊を収容するカプセル化されたキャビティを形成するため、前記センサウエハ上にキャップSiウエハを接合するステップと、
を含む製造方法。
【請求項14】
前記センサウエハと光ファイバウエハとの間に透明層を設けるステップをさらに備えた請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記キャビティ内の雰囲気を制御するために、ゲッターをキャビティ内に配置するステップをさらに備えた請求項13または14に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロオプトメカニカルシステム(MOMS)センサに関する。
【背景技術】
【0002】
ここで、特許請求の範囲に記載されている本発明の背景を説明する。ここでの記載には、本発明の技術思想が含まれている場合があるが、それは、必ずしも従来技術とは限らない。したがって、別段の記載がない限り、ここに記載されている技術は、本願の明細書および特許請求の範囲にとって先行技術ではなく、この欄に含まれているからといって、先行技術であると認めたことにはならない。
【0003】
マイクロオプトメカニカルシステム(MOMS)センサは、膜の機械的な動きをマイクロメートル単位で光信号に変換するセンサである。MOMSセンサの感度は、その膜の動きが悪くなると低下する。高感度を実現するためには、膜が大きく変位できる構成にする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US2011/0268384
【特許文献2】US2017/0307437
【特許文献3】US2011/0274386
【特許文献4】WO2017/089235
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、膜の変位を大きくすると、小さなエネルギーレベルでのMOMSセンサの感度が低下する。また、変位が大きくなると膜に作用する力が大きくなり、MOMSセンサの破損につながる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の様々な実施形態を含む技術範囲は、独立請求項によって定められている。独立請求項の範囲に含まれない本明細書に記載された実施形態、実施形態および特徴は、もしあれば、本発明の様々な実施形態を理解するのに有用な例として解釈されるべきである。
【0007】
第1の側面によれば、請求項1に記載のマイクロオプトメカニカルシステム(MOMS)センサが提供される。
【0008】
第2の側面によれば、請求項9に記載のシステムが提供される。
【0009】
第3の側面によれば、請求項13に記載の1つ以上のMOMSセンサを製造するための方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明の実施形態にかかるマイクロオプトメカニカルシステム(MOMS)センサおよびシステムの例を示す図である。
図1B】本発明の実施形態にかかるマイクロオプトメカニカルシステム(MOMS)センサおよびシステムの例を示す図である。
図2A】本発明の実施形態にかかるマイクロオプトメカニカルシステム(MOMS)センサと、光ビームの焦点およびカプセル化を改善したシステムとを示す図である。
図2B】本発明の実施形態にかかるマイクロオプトメカニカルシステム(MOMS)センサと、光ビームの焦点およびカプセル化を改善したシステムとを示す図である。
図3A】本発明の実施形態にかかるマイクロオプトメカニカルシステム(MOMS)センサと、感度およびカプセル化を改善したシステムとを示す図である。
図3B】本発明の実施形態にかかるマイクロオプトメカニカルシステム(MOMS)センサと、感度およびカプセル化を改善したシステムとを示す図である。
図4】本発明の実施形態にかかる1つ以上のMOMSセンサを含むシステムの例を示す図である。
図5】本発明の実施形態にかかるマイクロオプトメカニカルシステム(MOMS)センサ内の雰囲気制御の一例を示す図である。
図6A】光ファイバからの光ビームの位置ずれをサポートする光ファイバインタフェイスの一例を示す図である。
図6B】光ファイバからの光ビームの位置ずれをサポートする光ファイバインタフェイスの一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態にかかる光ファイバインタフェイスの一例を示す図である。
図8】本発明の実施形態にかかるセンサウエハの一例を示す図である。
図9】本発明の実施形態にかかる、1つ以上の軸に沿った動きを測定するためのMOMSセンサの例示的な構造を示す図である。
図10】本発明の実施形態にかかる、SiNアームの例示的な形状を示す図である。
図11】2つ以上のMOMSセンサを含むシステムの一例を示す図である。
図12】本発明の実施形態にかかるエレメントの動作例を示す図である。
図13】本発明の実施形態にかかる方法の一例を示す図である。
図14】本発明の実施形態にかかるMOMSセンサの製造方法の一例を示す図である。
図15】本発明の実施形態にかかる、大きなダイナミックレンジにわたって変位を正確に測定するためのMOMSセンサの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施形態は例示的なものである。本明細書では、複数の箇所で、一つのまたは複数の実施形態を参照するが、これは、そのような参照の各々が同じ実施形態に対するものであることを必ずしも意味するものではなく、また、その特徴が単一の実施形態にのみ適用されることを意味するものではない。異なる実施形態の単一の特徴は、他の実施形態を提供するために結合されてもよい。図面中の同一または類似の特徴は、同一の参照番号を用いて参照される。
【0012】
ここでは、マイクロオプトメカニカルシステム(MOMS)センサであって、1つ以上の光ファイバを通すための通過部(passthrough)を含む光ファイバインタフェイスと、気密に封入されたエレメントを含むキャビティと、を備え、エレメントは、キャビティの内壁に対して、SiNアームによって動くことができるように固定されており、SiNアームは、エレメントに接続された第1端部と、キャビティの内壁に接続された第2端部とを有し、光ファイバインタフェイスは、通過部を介して、エレメントと光ファイバとの間で光通信を行うことができるような位置に、光ファイバを挿入できるように構成されたMOMSセンサを提供する。このロバストな構成により、MOMSセンサの感度を向上させることができる。
【0013】
以下の実施形態では、エレメントが移動し、光が伝達される雰囲気をカプセル化により制御することを提供する。その雰囲気は、湿度、温度、および粒子数のうちの少なくとも1つの観点から制御されてもよい。
【0014】
以下のSiN、Si(x)N(y)または窒化珪素とは、少なくともSiを含む珪素と窒素の化合物を含む群から選択される化合物、すなわち、α−Si、β−Si、γ−Siを意味する。これらの中から、硬度の点からα−Siが好ましい場合がある。一方、β−Siは、化学的にはこれらの中で最も安定している。SiとNの割合は、化合物群の中で同じであっても異なっていてもよい。
【0015】
MOMSセンサは、半導体ウエハおよび/または絶縁体ウエハを接合したパーツを用いて製造される。半導体ウエハの例としては、シリコン(Si)ウエハが挙げられる。絶縁体ウエハの例は、ガラスウエハである。したがって、以下では、MOMSセンサの光ファイバインタフェイス部を光ファイバウエハまたは光ファイバ通過部を含むウエハと称することがある。また、MOMSセンサのキャビティ壁、エレメントおよびSiNアームを総称してセンサウエハと呼ぶことがある。MOMSセンサのキャップウエハは、エレメントをキャビティ内に封入するためのウエハを指す場合がある。また、キャップウエハはボトムキャップと呼ばれることもあり、光ファイバインタフェイスはトップキャップと呼ばれることもある。したがって、トップキャップを備えたMOMSセンサの側面は、MOMSセンサ内のSiウエハの上面を参照することができ、ボトムキャップを備えたMOMSセンサの側面は、MOMSセンサ内のSiウエハの裏面を参照することができる。少なくともいくつかの実施形態では、トップキャップおよびボトムキャップは、キャビティ内にエレメントを封入するために機能してもよい。MOMSセンサは、マイクロメートルスケールの製造プロセスまたはナノメートルスケールの製造プロセスによって製造されてもよく、それによって寸法の精度はマイクロメートルまたはナノメートルスケールで測定されてもよい。
【0016】
図1Aおよび図1Bは、本発明の少なくともいくつかの実施形態にかかるMOMSセンサおよびシステム例の断面図である。MOMSセンサ100は、1つ以上の光ファイバ106のための光ファイバ通過部(開口、開口部または通路)104を含む光ファイバインタフェイス102と、内部に気密に封入されたエレメント110を含むキャビティ108と、を備える。ここで、エレメント110は、SiNアーム112によってキャビティ108の内壁に、動くことが可能な状態で固定されている。光ファイバインタフェイス102により、光ファイバ通過部104を通過するように光ファイバ106が取り付けられ、エレメント110と光ファイバ106との間での光通信が実現する。本実施形態では、エレメントは2つのアーム112によって固定されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の任意の数のアームを用いてもよい。アームの数は少なくとも2つであることが好ましく、例えば2本、3本、4本またはそれ以上のアームを取り付けてもよい。アームは、エレメント110の対向する側面または端面に連結されている。このアームは、この例では、可撓性の長尺部材である。
【0017】
SiNアームを使用すれば、Siアームが使用される場合と比較して、MOMSセンサに多くの利点をもたらす可能性がある。例えばその利点は、より大きな周波数帯域幅、より高い運動直線性、改善された耐衝撃性、およびMOMSセンサのより高い感度のうちの1つまたは複数である。
【0018】
エレメント110と光ファイバ106との間で光通信が行われるような位置に光ファイバは取り付けられる。光ファイバはMOMSセンサに接続され、光ファイバからエレメントの表面に向かって射出され、反射して光ファイバに戻る光ビームによって、エレメント110を反応測定させたり、刺激したりすることができる。したがって、エレメント110を反応測定させるステップには、1つ以上の光ファイバを通ってエレメント110に光を届けるステップと、エレメント110に反射して光ファイバ106に戻ってくる透過光の強度を測定するステップとが含まれる。
【0019】
このシステムは、1つ以上の光源116と1つ以上の光検出器118とを含み、これらは、1つ以上の光ファイバ106によってMOMSセンサ100に接続される。光ミキサー装置120を用いて光源116と、光検出器118と、光ファイバ106とを光接続することにより、複数の光源、光検出器、および光ファイバをシステムに実装することが可能となる。
【0020】
実施形態としての一例では、光ファイバインタフェイス102は、キャビティ108の一部を構成する。つまり、キャビティ108の壁の少なくとも一部は、光ファイバインタフェイス102によって形成される。光ファイバインタフェイス102の全ての光ファイバ通過部104内に光ファイバ106が挿入されると、エレメント110は、光ファイバインタフェイス102を備えたキャビティ108内に気密に封入されることになる。光ファイバ通過部104を通過した光ファイバ106は直接キャビティ108内に入り、光ファイバ106とエレメント110間との間で、キャビティ108内に封入された雰囲気の中を光が伝達される。このようにして、エレメント110の反応測定が、カプセル化(密封)されたキャビティ108内で行われる。このように、この例では、1本以上の光ファイバ106は、その長手方向軸方向に通過部104に挿入され、通過部104を通ってシールされつつ配置される。
【0021】
実施形態としての一例では、SiNアーム112は、エレメント110に連結されたSiNアーム112の一端と、キャビティ108の壁に連結されたSiNアーム112の他端とに、アンカーエレメントまたはアンカー部を備える。アンカー部を有するSiNアームは、キャビティ108内のエレメント110に対して、堅牢でありながら感度の高いサスペンションを提供する。その端部間のSiNアームの形状は、1つ以上の移動方向におけるエレメントの動きに敏感に構成されてもよい。一方、アンカー部分は、アンカー部分によってエレメントに確実に係止させるための堅牢なアタッチメントを提供する。また、エレメントは、SiNを材料とするものでもよい。
【0022】
実施形態としての一例では、MOMSセンサ100に接続された少なくとも1つの光ファイバ106の端部に反射面が配置される。またはエレメント110と少なくとも1つの光ファイバ106との間の透明層上に反射面が配置される。または、少なくとも1つの光ファイバ106の端部に複数の反射面が配置され、かつ、エレメント110と少なくとも1つの光ファイバ106との間の透明層上にも反射面が配置される。このようにして、光ファイバの摂動は、光ファイバ106の反射面および/または透明層の反射面から反射されて戻ってきた光の強度に基づいて決定されてもよい。一例では、光ファイバの摂動は、キャビティ内のエレメントを反応させて測定する1つ以上の他の光ファイバを用いて測定された光強度によって補償されてもよい。一例では、光ファイバの先端は、平坦、丸みを帯びた形状、または円錐形状であってもよい。例示的な実施形態では、反射面は、光ファイバブラッググレーティング(FBG)または光ファイバ上の半反射コーティングであってもよい。あるいは、先端の前の光ファイバにFBGが含まれていてもよい。FBGは、所定の波長を光センサに反射させるための波長選択反射器として使用され、それにより、MOMSで測定された光信号に基づいて、光ファイバ自体からの光の変化を推論することができる。その場合、FBGによって反射した光は基準として機能し、MOMS装置から同じ光ファイバまたはその隣の光ファイバの中に反射してきた光に基づいて推論することができる。反射面は、例えばコーティングによって透明層に配置されていてもよい。
【0023】
実施形態としての一例では、エレメント110は、光を反射することが可能な少なくとも1つの表面122を備え、すなわち、別の反射表面を形成する。この少なくとも1つの表面は、光ファイバ通過部に接続された光ファイバからの光を受けるために配置されてもよい。より具体的には、この表面は、この例では、光ファイバの長手方向の軸に対して直交して配置されているか、またはほぼ直交して配置されている。エレメントは、MOMSセンサの感度を調整するために、1つ以上の追加の塊が取り付けられていてもよい。この塊は、Siを材料とするものであってもよい。
【0024】
実施形態としての一例では、エレメント110は膜であってもよい。この膜は、MOMSセンサの振動などの動き、大気圧の変化、音響波、または電場によって移動可能であってもよい。この膜の厚さは、200nmのオーダーであってもよく、10nm以上2μm以下の薄さであってもよい。SiN層とその下のシリコンを加えた膜全体の厚さは、1μmから750μm、多くの場合、5μmから300μmであろう。
【0025】
実施形態としての一例では、エレメント110は、透明または半透明の膜を含み、その膜の下に塊(mass)が取り付けられている。言い換えれば、この例では、塊は、光ファイバとは逆側(図中下側)の膜表面に取り付けられ、光ファイバに接する表面とは反対側(裏面)に位置している。このようにして、光ファイバからの光は、膜を通過して、光ファイバから離れたエレメントの表面に到達する。膜の透明度は、光の波長に依存してもよい。
【0026】
図2Aおよび図2Bは、本発明の実施形態にかかるMOMSセンサ200の例を示す。このMOMSセンサ200は、光ビームの焦点およびカプセル化を改善したものである。MOMSセンサ200,201は、図1Aおよび図1Bを参照して説明したMOMSセンサであってもよい。図1Aおよび図1Bを参照して説明したMOMSセンサとの相違点として、図2Aおよび図2Bにおいて、光ファイバインタフェイス102は、エレメント110と光ファイバ通過部を通った光ファイバ106との間の光の通信のための透明層202によってキャビティ108から分離されている。このように、透明層202がキャビティ108内の光ファイバ106とエレメント110との間に配置されるので、光ファイバ106が光ファイバ通過部を通過する前にも、キャビティ108内の雰囲気の制御を改善できる。透明層は、少なくともガラス製であればよく、パリレンのようなポリマーを含んでもよい。図2Aおよび図2Bに示すように、この例では、光ファイバはキャビティ内には延びておらず、通過部の一部のみを長手方向に占有してもよい。
【0027】
実施形態としての一例では、透明層202は、光ファイバ通過部を通過した光ファイバ106同士の間の光の通信のため1つ以上のレンズ204を備える。このようにして、光ファイバ通過部を通過した光ファイバからの光ビームは、多かれ少なかれ、エレメントの表面に、または表面上の特定の点に集束されてもよい。好ましくは、レンズおよび透明層は、屈折率の点で光学的に均一な構造を形成することが理解されるべきである。したがって、好ましくは、レンズと透明層の屈折率は同じであり、レンズと透明層の間には隙間がない。このようにすれば、屈折率の変化に伴う光反射を回避または緩和することができる。屈折率は、光が通過する材質、空気、ガスに依存する。
【0028】
実施形態としての一例では、MOMSセンサ200は、キャビティ内の透明層202の側に配置された1つ以上のレンズ204を含む。このようにして、レンズは、MOMSセンサの環境から保護されてもよい。
【0029】
実施形態としての一例では、MOMSセンサ201は、光ファイバ通過部104内を通過した光ファイバの端部、すなわち光ファイバの先端部または光ファイバの先端部に配置された1つ以上のレンズ206を備える。各光ファイバは、それ自身のレンズを有していてもよい。一例では、レンズは、エッチングによって光ファイバの端部に配置されてもよい。別の例では、レンズを光ファイバ先端に半田付けまたは接着することにより、光ファイバの端部にレンズが配置されてもよい。
【0030】
ガラスまたはポリマーベースのレンズは、射出成形によって製造され、接着またははんだ付けによって光ファイバ先端に取り付けられてもよいことが理解されるべきである。光ファイバインタフェイスへの正確な位置決めのためには、平坦なレンズが好ましいかもしれない。一方、平坦な光ファイバチップは、透明層に密着して配置されてもよく、レンズは、キャビティの内側に向かって透明層の側に配置されてもよい。
【0031】
実施形態としての一例では、1つ以上のレンズ204は、光ファイバ106の光ビームの焦点スポットをエレメント110にオフセットするように構成されている。例示的な実施形態では、焦点スポットは、エレメントの表面にオフセットされる。焦点スポットをオフセットすることは、1つ以上の周波数帯域幅のためにMOMSセンサを使用する場合に特に利点がある。例えば、キャビティ内のエレメントは、様々な周波数で様々な振動モードを有してもよい。一つのモードは、膜が上下に移動し、最大たわみ一がエレメントの中心にあるモードであってもよい。しかしながら、振動の他の機械的なモードは、異なる周波数で、エレメントの表面上の最大たわみの異なる局在性を伴ってもよい。レンズを先端に有する光ファイバを交換するだけで、焦点を、ある最大たわみ位置から別の最大たわみ位置に変更することができる。
【0032】
実施形態としての一例では、透明層202は、半透明のゲッターまたはガラスとゲッターの合金を材料としている。このようにして、透明層は、少なくともエレメントのカプセル化、エレメントの反応測定、およびキャビティ内の雰囲気を制御するためのゲッターとして機能してもよい。ゲッターとして機能する透明層によれば、キャビティ内の雰囲気を、圧力および/またはガス含有量の観点から所望の状態(例えば真空)にすることができる。
【0033】
図3Aおよび図3Bは、本発明の実施形態にかかる改善された感度のためのMOMSセンサの例を示す。MOMSセンサ300は、図2Aおよび図2Bを参照して説明されたものであってもよい。図3AのMOMSセンサ300は、図2Aを参照して説明したMOMSセンサ200でもよく、図3BのMOMSセンサ301は、図2Bを参照した説明したMOMSセンサ201でもよい。図2Aおよび図2Bとの相違点として、MOMSセンサ300、301は、気密性を有するセラミックの外壁部302を備える。外壁部302は、MOMSセンサの周囲の熱分布をサポートし、MOMSセンサ内の熱応力を緩和し、MOMSセンサ内の熱膨張を緩和し、それにより、測定シフトを許容可能に保ちながら、所望の温度範囲にわたってMOMSセンサの感度をサポートすることができる。一例では、セラミック外壁部はアルミナであってもよい。密閉された外壁部は、MOMSセンサの光ファイバインタフェイス102のための光ファイバ通過部304を備える。
【0034】
図4は、本発明の実施形態にかかる2つ以上のMOMSセンサを含むシステムの例を示す。システム400は、セラミック外壁部402内に密封されたMOMSセンサを含む。MOMSセンサは、図1A図1B図2Aおよび図2Bを参照して説明した実施形態にかかるものであってもよい。セラミック外壁部402は、アルミナ(AlOx)で作られていてもよい。セラミック外壁部402は、セラミック外壁部内のMOMSセンサの光ファイバインタフェイスのための光ファイバ通過部404を有し、光ファイバ106は光ファイバインタフェイスの光ファイバ通過部404を通過する。システム400は、1つまたは複数の光ファイバ106によってMOMSセンサに接続される1つまたは複数の光源406および1つまたは複数の光検出器408を含む。光源、光検出器、およびMOMSセンサの光ファイバ間の光の接続または結合には、1つ以上の光ミキサー装置410が使用され、それにより、複数の光源、光検出器、光ファイバ、およびMOMSセンサを実装するシステムが実現する。
【0035】
実施形態にかかる、システム400の光ファイバ106の少なくとも一部は、MOMSセンサに接続された光ファイバの端部にレンズを備える。全ての光ファイバ106が、MOMSセンサに接続される端部にレンズを有してもよい。レンズは、光ファイバの光ビームの焦点スポットをエレメントにオフセットするように構成されていてもよい。
【0036】
図5は、本発明の実施形態にかかるMOMSセンサ内の雰囲気を制御する例を示す。MOMSセンサ500は、図1A図1B図2Aおよび図2Bを参照して説明した1つ以上の実施形態にかかるものであってもよい。MOMSセンサのキャビティ108は、キャビティ内の雰囲気を制御するためのゲッター502を含む。このようにして、MOMSセンサの感度がサポートされる。ゲッター502によれば、キャビティ内の雰囲気を、圧力および/またはガス含有量などの点で所望の状態(例えば真空)することができる。
【0037】
一例では、ゲッター502は、活性化温度以上に加熱されると、キャビティ108内の残留ガスまたは粒子を吸収または吸着する非蒸発性材料で作られている。ゲッター502は、熱によるゲッターの活性化によってキャビティ108内の雰囲気を所望の状態に持っていくことができる材料によって形成されているので、MOMSセンサの製造およびMOMSセンサのシステムをサポートする。ゲッターは、MOMSセンサのキャビティ内の任意の表面上に堆積されてもよく、MOMSセンサのシステムは、ゲッターを有するMOMSセンサまたはゲッターを有しないMOMSセンサを構成してもよいことが理解されるべきである。
【0038】
図6Aおよび図6Bは、光ファイバからの光ビームの位置ずれをサポートする光ファイバインタフェイスの一例を示す図である。図6Aは、光ファイバインタフェイス602を備えるMOMSセンサ600を示し、図6Bは、図6Aの光ファイバインタフェイス602を上下逆さまに示す透視図である。MOMSセンサ600は、図1A図1B図2A図2Bを参照して説明した1つ以上の実施形態にかかるものであってもよいが、光ファイバインタフェイス602が異なる。光ファイバインタフェイス602は、エレメント110と光ファイバとの間の光通信のため、光ファイバ通過部606を介して光ファイバ106を挿入し、光ビームの位置を整えるための1つまたは複数の反射面604を備える。このように、光ファイバインタフェイス上の光ファイバ通過部606、より具体的にはMOMSセンサの外表面上の開口部は、必ずしもキャビティ108内のエレメント110への直線上に位置しているわけではない。言い換えれば、通過部の長手方向または中心軸方向の想像上の延長線は、(例えば、図1Aおよび1Bに描かれたセンサの場合のように)エレメントと一致しない。一実施形態では、光ファイバ通過部は、光ファイバインタフェイスの横表面に設けられてもよい。横表面は、例えば、光ファイバからの光によって反応測定されるエレメントの表面に対して実質的に垂直になるように、角度を付けられてもよい。したがって、光ファイバ通過部を通過した光ファイバから射出された光ビームは、エレメントの受光面に対してずれている。その光ファイバインタフェイスは反射面を備えているので、光ファイバからの光ビームは、その反射面で反射してエレメントの表面に向けられ、エレメントで反射して光ファイバに戻ってもよい。
【0039】
実施形態としての一例では、光ファイバインタフェイスは、光ファイバ通過部内に挿入される光ファイバのためのガイド溝608を備えてもよい。案内溝は、この例では、エレメントの受光面に面する溝の端部に1つまたは複数の反射面604を含み、それにより、案内溝は、エレメント110と光ファイバ106との間の光の通信のために、光ファイバからの光ビームが反射面604によって整列され得るように、溝によって案内された光ファイバ通過部606内に光ファイバ106を挿入することをサポートする。
【0040】
図7は、本発明の実施形態にかかるファイバインタフェイスの一例を示す図である。光ファイバインタフェイス700は、エッジ704で囲まれたキャビティ702と、1つ以上の光ファイバ通過部706とを含むSiウエハであってもよい。光ファイバインタフェイスは、図1A図1B図2A図2B図3A図3Bを用いて説明したMOMSセンサと同様の光ファイバインタフェイスであってもよい。MOMSセンサの製造時には、エッジ704をセンサウエハに直接接合してもよいし、エッジ表面とセンサウエハとの間に透明層を配置してもよい。実施形態では、光ファイバインタフェイスは、MOMSセンサのキャビティの壁の少なくとも一部を形成する。
【0041】
図8は、本発明の実施形態にかかるセンサウエハの一例を示す図である。センサウエハ800は、エッジ802、エレメント804、およびSiNアーム808(ここでは4つ)を含む。SiNアーム808アンカー部806によってエッジ802およびエレメント804に取り付けられている。エッジ802は、MOMSセンサのキャビティの壁の少なくとも一部を形成する。エレメント804は、動くことができるように、SiNアーム808によってエッジ802に取り付けられている。エレメント804はまた、SiNを材料とするものでも、SiNとシリコンの組み合わせを材料とするものでもよい。
【0042】
図9は、本発明の実施形態にかかる、1つ以上の軸に沿った動きを測定するためのMOMSセンサの例示的な構造を示す図である。このMOMSセンサは、図1A図1B図2A図2B図3A図3Bを用いて説明したMOMSセンサであってもよい。しかし、相違点として、MOMSセンサは、力に敏感に構成されているか、または1つ以上の移動方向に力を維持するように構成されているSiNアーム902を含む。このようにして、SiNアームに取り付けられたエレメントの感度は、力の方向に関して改善され、力の方向のいずれかにおける力は、MOMSセンサのエレメント110の十分な機械的運動を発生させることができる。1つ以上の軸における運動を測定するためのMOMSセンサの反応測定は、光ファイバ通過部を通過した光ファイバの束904(ここでは、互いに平行である)を使用して実行されることができる。光ファイバの束は、例えば、MOMSセンサが密封されるように、光ファイバ間に空間を設けずに束ねられた3つの光ファイバであってもよい。各光ファイバを1本の移動軸の測定に使用してもよく、各軸をそれぞれ別々の光ファイバで測定してもよい。レンズを光ファイバの先端に配置し、光ファイバからの光ビームを実質的にエレメントの表面の中心に向かわせてもよい。あるいは追加的に、レンズの各々は、運動の特定の軸に敏感なエレメント内の所望の深度に光を集めるように構成されていてもよい。このようにして、異なる軸方向の動きであっても、その深度に光を集めるように構成されたレンズ付き先端部を有する専用光ファイバによって測定することができ、エレメントのそれぞれの軸の方向の感度を向上させることができる。
【0043】
図10は、本発明の実施形態にかかる、SiNアームの形状の例を示す。SiNアームの様々な形状により、1つ以上の運動方向の力に敏感なSiNアームを実現する。このようにして、SiNアームは、MOMSセンサによる1つ以上の方向の動きの測定をサポートしてもよい。SiNアームの形状1002,1004は、それぞれ異なる方向1006,1008からMOMSセンサに加えられる力に敏感であるように構成されている。例えば、形状1002を連続的に並べて配置してもよい。その場合、アーム部の少なくとも一部が互いに直交して配置してもよい。力は、横方向の力であってもよい。この例では、SiNアームが実質的にばね形状である。図10は、SiNアームのアンカーポイント間でSiNアームの部分のための2つの形状を示している。それぞれの形状が、力の少なくとも1つの方向に敏感であってもよい。MOMSセンサのエレメントがこのSiNアームによってキャビティ内に吊り下げられると、エレメントが力を受けるとき、SiNアームが力の方向を敏感に感知し、力はSiNアームによるエレメントの移動に変換される。SiNアームの形状を変えれば、SiNアームが、狭い範囲の方向の力をエレメントの動きに変換するために特に敏感になる。したがって、少なくともSiNアームの感度の少なくとも1つの方向を有する力は、SiNアームによってエレメントの動きに変換することができる。
【0044】
図11は、2つ以上のMOMSセンサを含むシステムの一例を示す図である。MOMSセンサ1102、1104は、加速度、速度、変位、力、圧力、音響波、および温度を含む1つ以上の量の1つ以上のパラメータに敏感に反応するように構成されてもよい。
【0045】
パラメータの例としては、異なる方向における量の大きさが挙げられる。方向は、座標系の軸、例えば、直交座標系のx軸、y軸、z軸によって定義されてもよい。したがって、MOMSセンサ1102,1104は、x軸、y軸、およびz軸の方向の加速度、速度、変位、力、圧力、音響波、および温度に敏感に反応するように構成されていてもよい。
【0046】
図示の実施形態によれば、このシステムは、吊り下げられたエレメントごとに異なる形状のSiNアーム1106、1108を有するMOMSセンサを備えている。このシステムは、特定の量の異なるパラメータに対して敏感であってもよく、および/または異なる量に対して敏感であってもよい。感度は、MOMSセンサ1002,1004の異なる形状のSiNアームに応じたものとなる。
【0047】
MOMSセンサ1102,1104の反応測定は、単一の光ファイバ1112によって行われてもよいし、光ファイバの束によって行われてもよい。単一の光ファイバは、光ビームスプリッタ1110が単一光ファイバに接続されていることを条件に、2つ以上のMOMSセンサに接続するために使用されてもよい。図示された例によれば、単一の光ファイバは、2つのMOMSセンサに接続される。光ビームスプリッタは、例えば、X/Y動作のための反射率比に基づいて構成されてもよく、ここで、Xは透過率であってもよく、Yは反射率であってもよく、例えば、X=50%、Y=50%、波長または偏光である。単一の光ファイバをMOMSセンサに接続するための光ファイバには、1つ以上のビームスプリッタが接続されていてもよい。単一の光ファイバの使用は、波長多重化または時分割多重化によってサポートされてもよい。波長多重化では、波長ベースの光スプリッタが使用され、各MOMSセンサをインタログするために専用の波長が使用されてもよい。波長ごとに異なる光源が使用されてもよい。一つの光検出器が、各波長を離散化してもよい。一方、各波長を離散化するために、光検出器のアレイが使用されてもよく、ここで、各光検出器は、(光源の波長に連動した)狭い波長帯域幅を有してもよい。
【0048】
時分割多重化では、パルス信号は、MOMSセンサへの異なるパス長に応じた時間によって分離することができる。
【0049】
図12は、本発明の実施形態にかかるエレメントの動作例を示す図である。エレメント1202、1204は、SiNアーム1206によってキャビティの壁部1208に吊り下げられており、それによって、少なくとも1つの光ファイバ1210からの光が、エレメントの表面と光ファイバとの間で通信されてもよい。キャビティ内で吊り下げられているとき、エレメント1202、1204は、光ファイバに対して複数の位置をとることができる。複数の位置は、エレメントが光ファイバの先端から異なる距離に位置している少なくとも2つ以上の位置を含む。位置の例としては、静止位置「A」と、エレメントが静止位置から変位する1つまたは複数の変位位置「B」がある。光ファイバから透過した光の強度と、エレメントの表面から反射して戻ってくる光の強度は、エレメントの異なる位置で測定されてもよい。図12は、エレメント1202,1204の2つの位置を示している。静止位置では、エレメント1202は、エレメントに作用する外力によって変位していない。変位位置では、エレメントは、エレメントに作用する少なくとも1つの力によって変位されている。図示された例では、そのような力により、エレメント1204が光ファイバ先端から離れる方向に変位している。
【0050】
実施形態としての一例では、エレメントは、膜を備えてもよい。膜は、必要に応じて、塊として機能する延長部1214を備えてもよい。このようにして、エレメントは、必ずしも追加の塊を必要とせずに、均一な材料から作られてもよい。
【0051】
実施形態としての一例では、エレメント1204は、透明または半透明な膜で構成されてもよく、膜の下に塊1212が取り付けられている。このようにして、エレメントが変位位置にあるとき、膜は、膜に取り付けられた塊1212からの光を光ファイバに向かって集束させるように構成されてもよい。したがって、膜は、エレメントが静止位置にあるとき、および/またはエレメントが任意の所望の変位位置にあるとき、光ファイバからの光を塊1212の表面に向けて集光するように構成されたレンズとして機能してもよい。光ファイバから膜に向かって来る光が、集束されていないがコリメートされているか、または僅かに集束されているか、または僅かに発散されている場合には、「B」状態で底部に向かって移動する膜は、光を光ファイバに向かって再び集束するためのレンズとして機能し、これにより信号対雑音比を改善する。例では、膜はSiNであってもよい。膜の透明度は、光源の波長に依存してもよい。例えば、SiNは、1500nmの波長よりも850nmの波長の方が透明性が高い。
【0052】
図13は、本発明の実施形態にかかる方法の一例を示すフローチャートである。この方法は、1つ以上の光ファイバによって1つ以上の光源と1つ以上の光検出器とに接続された1つ以上のMOMSセンサと、1つ以上のプロセッサと、プログラムコードを含むメモリとを含むシステムによって実行されてもよく、このメモリは、プロセッサによって実行されると、方法の1つ以上のステップを引き起こす。
【0053】
ステップ1302では、光源による光ファイバへの光の透過を制御する。
【0054】
ステップ1304では、光検出器によってMOMSセンサから光ファイバを介して受けとった反射光の強度を測定する。
【0055】
ステップ1308では、測定された強度に基づいて1つ以上の量を決定する。
【0056】
本発明の実施形態の一例では、MOMSセンサに接続された少なくとも2つの光ファイバのうちの少なくとも1つは、MOMSセンサに接続された光ファイバの端部に配置された反射面を備え、その配置は、光ファイバの反射面から反射された光の測定された強度に基づいて光ファイバ摂動を決定する(ステップ1306)。このようにして、量(quantities)は、光ファイバ摂動を考慮に入れながら、ステップ1308において決定されてもよい。例えば、光が両方の光ファイバに送られ、そのうちの1つの光ファイバ、いわゆる基準光ファイバがその先端に反射面を有し、第2の光ファイバがMOMSセンサ内のエレメントの反応を測定するために使用される場合、光に影響を与える光ファイバ自体のいかなる変動も、両方の光ファイバについて同じになる。そして、プロセッサは、測定された光ファイバで基準光ファイバのデルタを単純に処理して、有用な(破壊されていないセンサデータ情報)を抽出してもよい。
【0057】
一例では、ステップ1308の間に、アルゴリズムは、測定された光強度を変位情報およびセンサ特性に変換する。
【0058】
例示的な実施形態では、ステップ1308は、光ファイバの少なくとも1つが、範囲内のエレメントの変位を測定するための大きな焦点距離を有し、光ファイバの少なくとも1つが、範囲の一部内のエレメントの変位を測定するためのより小さな焦点距離のオフセットを有するように構成されている。大きな焦点距離は、範囲にわたって粗い測定を提供し、変位が範囲の一部分内にあると粗い測定に基づいて決定される場合、その部分を測定するためにオフセットされた光ファイバは、範囲の一部分内の変位の正確な測定を得るために反応測定されてもよい。より小さな焦点距離を持つ複数の光ファイバは、範囲の異なる部分内の変位を測定するためにオフセットされてもよく、それによって粗い測定は、正確な測定を得るために範囲の一部を決定するために使用され、対応する光ファイバを反応測定するために使用されてもよい。
【0059】
図14は、本発明の実施形態にかかるMOMSセンサの例示的な製造方法を示すフローチャートである。MOMSセンサは、図1Aおよび図1Bを参照して説明したMOMSセンサであってもよいし、本明細書に記載された実施形態のいずれかであってもよい。この製造方法は、1つまたは複数のセンサウエハを製造するステップ1402を含む。1つまたは複数のセンサウエハは、以下のステップを含む方法で製造されてもよい。
【0060】
SiO2とSi(x)N(y)をSiウエハ上に堆積させるステップ。
【0061】
Si(x)N(y)層にSiNアームをパターニングするステップ。
【0062】
Si(x)N(y)を保護層、例えば、少なくとも100nmのアルミナ、レジストまたはパリレンの層で保護するステップ。
【0063】
Siウエハの裏面からSiO2層とSi(x)N(y)層を剥離するステップ。
【0064】
1以上のSi塊をパターニングし、SiウエハからSi塊をエッチングするステップ。
【0065】
SiO2と保護層をSiウエハの上面から剥離し、塊とSiNアームを解放するステップ。
【0066】
例示的には、ステップ1402において、SiO2およびSi(x)N(y)をSiウエハ上に堆積させる場合、窒化物層のリフトオフを避けるために、最初にSi(x)N(y)を堆積させ、その後にSiO2を堆積させる。
【0067】
ステップ1404では、1つまたは複数の光ファイバウエハを製造する。1つまたは複数の光ファイバウエハは、以下のステップを含む方法で製造されてもよい。
【0068】
1つ以上のキャビティをSiウエハにエッチングするステップ。
【0069】
保護層、例えば、少なくとも100nmのアルミナ、レジストまたはパリレンの層でキャビティを保護するステップ。
【0070】
光ファイバ通過部をSiウエハを介してエッチングするステップ。
【0071】
Siウエハから保護層を剥離するステップ。
【0072】
センサウエハとの接合用にSiウエハ上にパリレンをコーティングするステップ。
【0073】
ステップ1406では、スピンオンガラスプロセスによってセンサウエハ上に透明層を製造する。ガラスの熱膨張係数は、好ましくは、センサウエハの熱膨張係数と一致する。このようにして、MOMSセンサの構造の弾力性は、MOMSセンサの環境の温度変化に対して提供される可能性があり、それによってウエハスタックは、加熱されたときに破損せず、キャビティの気密性を維持することができる。透明層は、アモルファス基板や結晶性基板で構成されていてもよい。
【0074】
実施形態に従う例では、1つ以上のレンズが透明層上に配置されている。レンズは、ポリマーおよび/またはポストベークフォトポリマーのインクジェットを用いて、透明上に直接製造されてもよいし、後に透明層に取り付けられてもよい。一方、透明層とレンズは、非晶質または結晶性基板から、非晶質または結晶性基板の透明層にレーザー加工によってレンズをエッチングすることによって一緒に製造されてもよい。
【0075】
ステップ1408では、センサウエハを光ファイバウエハに整列させて接着する。
【0076】
ステップ1410では、塊を備えたカプセル化されたキャビティを形成するために、センサウエハ上に1つ以上のキャップSiウエハを接着する。
【0077】
実施形態としての一例では、ステップ1408は、センサウエハと光ファイバウエハとの間に透明層を結合するステップを含む。
【0078】
実施形態としての一例では、ステップ1408は、塊体と、光ファイバを通過した1つ以上の光ファイバとの間の光の通信のために、光ファイバウエハをセンサウエハと整列させるように構成されている。
【0079】
実施形態としての一例では、製造方法の各ステップは、キャビティ内に封入された1つ以上のガスからなる制御された雰囲気中で実行される。他方では、制御された雰囲気は真空であってもよい。このようにして、可動塊は、MOMSセンサの感度を支持する制御された環境内にあってもよい。
【0080】
実施形態としての一例では、ステップ1410は、キャビティ内の雰囲気を制御するために、ゲッターをキャビティ内に堆積させるステップを含む。例示的な実施形態では、ゲッターは、キャップSiウエハ上に堆積されてもよく、ゲッターがキャビティ内に残されるように、Siウエハはセニョールウエハ上に接合される。
【0081】
例示的な実施形態では、ステップ1402は、Si(x)N(yx)層が10nmから2μm、好ましくは20nmから200nmの厚さを有するように構成される。
【0082】
一例として、図14を参照して説明した方法で製造されたMOMSセンサの側面長さは、1〜5mmであってもよい。
【0083】
図15は、実施形態にかかる、大きなダイナミックレンジにわたって変位を正確に測定するためのMOMSセンサの例を示す。このMOMSセンサは、図9を用いて説明したのと同様に、MOMSセンサの光ファイバ通過部を通過した光ファイバの束904を含む。光ファイバの束は、異なる焦点距離1504を有する光ファイバを含む。例示的な実施形態では、光ファイバ904の少なくとも1つは、ある範囲内のエレメント110の変位を測定するための大きな焦点距離を有し、光ファイバ904の少なくとも1つは、ある範囲の一部の範囲内のエレメントの変位を測定するためにオフセットされた小さな焦点距離を有する。大きな焦点距離は、範囲にわたって粗い測定を提供し、変位が範囲の一部分内にあると粗い測定に基づいて決定される場合、その部分を測定するためにオフセットされている光ファイバ束の光ファイバは、範囲の一部分内の変位の正確な測定を得るために反応測定されてもよい。より小さな焦点距離を持つ複数の光ファイバは、範囲の異なる部分内の変位を測定するためにオフセットされてもよく、それにより、粗い測定は、範囲の一部を決定するために使用され、変位の正確な測定を得るために反応測定される対応する光ファイバを決定するために使用されてもよい。
【0084】
一例では、光ファイバは、光ファイバの焦点距離を設定するために先端にレンズ1502を有してもよい。このようにして、焦点距離は、より小さい範囲およびより大きい範囲でエレメントの変位を測定するために設定されてもよい。
【0085】
光ファイバ束904内の光ファイバは、異なる断面積を有してもよく、光ファイバ先端のレンズ1502は、異なる焦点距離または数値開口を有してもよいことが理解されるべきである。異なる焦点距離は、エレメントの大きな変位が、少なくとも最も長い焦点距離を有する光ファイバによって測定されてもよいことを提供する。次いで、エレメントのより小さい変位は、より小さいが、より小さい変位を測定するのに十分な焦点距離を有する別の光ファイバによって測定されてもよい。一例では、光ファイバの1つは、全範囲にわたってエレメントの変位を測定するための焦点距離を有していてもよい。さらなる光ファイバは、より小さい焦点距離を有してもよく、より小さい変位が測定されてもよいように、範囲の異なる端部に向かってオフセットされている。
【0086】
プログラムコードは、コンピュータ読み取り可能なプログラムコード手段、プログラムコード、コンピュータプログラムまたはコンピュータ命令であってもよい。
【0087】
メモリは、コンピュータ読み取り可能な媒体であればよく、不揮発性であってもよい。メモリは、現地の技術環境に適した任意のタイプのものであってもよく、半導体ベースのメモリ装置、磁気メモリ装置およびシステム、光メモリ装置およびシステム、固定メモリおよびリムーバブルメモリなどの任意の適したデータ記憶技術を用いて実施されてもよい。データプロセッサは、現地の技術環境に適した任意のタイプのものであってもよく、非限定的な例として、汎用コンピュータ、特殊目的コンピュータ、マイクロプロセッサ、およびマルチコアプロセッサアーキテクチャに基づくプロセッサのうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0088】
さらに、処理または方法等は、所定の順序で記載されているが、そのような処理または方法は、異なる順序で動作するように構成されていてもよい。言い換えれば、本明細書に記載されたステップの順序は、本質的に、各ステップがその順序で実行されることを要求するものではない。記載されたステップは、実際には任意の順序で実行されてもよい。さらに、いくつかのステップは、同時に実行されると記載されていなくても(例えば、あるステップが他のステップの後に実行されると記載されていても)、実際には、それらのステップが同時に実行されてもよい。さらに、図面に示されたステップは、図示されたステップが他の修正および変形を排除することを示すものではなく、図示されたステップのいずれかが、1つ以上の発明に必須であることを示すものではない。
【0089】
技術の発展において、本発明の基本的な考え方が多くの異なる方法で実施され得ることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明およびその実施形態は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範疇で変化し得る。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15