【解決手段】警報器(1)は、報知部(30)による、通信部(60)とサーバ(3)との通信結果に基づいた所定のコンテンツの報知の実行中に、ガス、一酸化炭素および火災の少なくとも1つを含む監視対象について、検知部(20)により報知が必要な状態にあることが検知されると、当該コンテンツの報知を停止させ、検知結果に基づいた、報知部による監視対象に関する報知を実行させる報知制御部(10)を備える。
前記報知制御部は、前記報知部による前記監視対象に関する報知の実行中に、前記検知部により報知が必要な状態に無いことが検知されると、前記監視対象に関する報知を終了させ、
その後、前記通信部と前記サーバとの通信結果に基づいて、前記報知部によるコンテンツの報知を実行させる、請求項1に記載の警報器。
前記報知制御部は、前記検知部により報知が必要な状態にあることが検知されると、前記検知結果に基づいた前記報知部による前記監視対象に関する報知を実行させ、前記報知部によるコンテンツの報知を実行させない、請求項1または2に記載の警報器。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態〕
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ以下に説明する。
図1は、実施形態に係る警報器1の要部の構成を示すブロック図である。実施形態に係る警報器1は、ガス、一酸化炭素および火災の少なくとも1つを含む監視対象について、報知が必要な状態にあるか否かを検知し、検知結果に基づき警報(監視対象に関する報知)を行う。
【0014】
また、警報器1は、ネットワーク2上のサーバ3と通信可能である。警報器1は、サーバ3との通信結果に基づいて所定のコンテンツの報知を実行する。
図1に示されるように、警報器1は、報知制御部10、検知部20、報知部30と、通信部60とを、少なくとも備える。警報器1は更に、故障検出部40、動作時間検出部50を備えていてもよい。
【0015】
<検知部>
検知部20は、検知部20に設けられるセンサの出力信号を監視し、異常の発生を検知する機能ブロックである。検知部20は、ガス、一酸化炭素および火災の少なくとも1つを含む監視対象について、報知が必要な状態にある(異常がある)か否かを検知する。そのため検知部20には、ガスを検知するガスセンサ、一酸化炭素を検知するCOセンサ、および火災を検知する火災センサのうちの少なくとも1つのセンサが設けられている。
【0016】
検知部20に設けられるこれらのセンサは、好ましくは警報器1本体の筐体内に配置される。しかしこれらいずれかのセンサは、物理的に、警報器1本体の筐体外部に遠隔に配置されてもよい。検知部20のセンサがガスセンサである場合、検知部20は、ガス機器あるいはガス配管等からのガス漏れによる、警報器1周辺雰囲気中でのガス濃度上昇を、ガス漏れ異常として検知する。検知部20のセンサがCOセンサである場合、検知部20は、ガス機器での不完全燃焼による一酸化炭素ガス生成等に伴う、警報器1周辺雰囲気中でのCO濃度上昇をCO異常として検知する。
【0017】
検知部20のセンサが火災センサである場合、検知部20は、警報器1周辺における火災に伴う高温、煙、火炎からの放射等によって、火災による異常を検知する。実施形態における以下の説明では、
図1に示されるように、検知部20にガスセンサ21とCOセンサ22とが設けられている事例を具体的に説明する。つまり、ガス漏れ異常と、CO発生異常とを、検知し得る構成である警報器の事例を、具体例として挙げて説明する。
【0018】
<報知部>
報知部30は、利用者に対する警報その他の報知を実行する機能ブロックである。報知部30は、検知部20の検知結果に基づいた上記監視対象に関する報知(警報の報知)、通信部60とサーバ3との通信結果に基づいた所定のコンテンツの報知、を行うことができる。
【0019】
報知部30には、CO異常の警報(CO警報)を、視覚を通じて報知するためのCO警告ランプ31、ガス漏れ異常の警報(ガス漏れ警報)を、視覚を通じて報知するためのガス漏れ警告ランプ32が設けられている。報知部30にはまた、警報器1の状態を示すための表示ランプ33が設けられていてもよい。更に報知部30には、コンテンツの報知を実行していることを示すための、情報通知ランプ34が設けられていてもよい。
【0020】
表示ランプ33は、電源がオンの状態の時に連続点灯する、いわゆる電源ランプとしての機能を併せて備えていてもよい。この場合、表示ランプ33は、所定の間隔での点滅を実行することで、警報器1が正常でない状態にあることを利用者に対して報知するようにすることができる。
【0021】
更に報知部30には、ガス漏れ警報及びCO警報を、聴覚を通じて報知するためのスピーカー35が設けられている。コンテンツの報知もまた、報知部30のスピーカー35を通じて実行される。すなわち、実施形態における以下の説明では、具体的な事例として、コンテンツが聴覚情報である場合が取り上げられる。
【0022】
<通信部>
通信部60は、ネットワーク2を介して警報器1が、ネットワーク2上のサーバ3との間の通信を実行するための通信インターフェースである。警報器1が、ガスコンロ等のガス機器を備える、台所、厨房等の部屋内に設置される警報器である場合、無線通信を通じてネットワーク2に接続されることが好ましい。警報器1は天井や壁に設置されることが多く、有線通信方式が適用されると工事が必要になり、警報器1の設置が簡便ではなくなるからである。
【0023】
通信部60は、無線通信方式として、建物内での無線ネットワークとして広く用いられている、例えばWi−Fi(登録商標)に対応した通信規格を用いることが好ましい。こうして、警報器1は、建物内での無線ネットワークとインターネット等の上位ネットワーク(併せてネットワーク2)を介して、所定のサーバ3と通信を行うことができる。
【0024】
<故障検出部、動作時間検出部>
故障検出部40は、警報器1の所定の各部の状態を監視し、動作の不具合があれば、警報器1が故障しているとして、故障検出を行う機能ブロックである。動作時間検出部50は、警報器1の動作時間(稼働時間)を監視する機能ブロックである。動作時間検出部50は、例えば、警報器1に通電が行われている時間の累積を、動作時間として算出する。
【0025】
<報知制御部>
報知制御部10は、検知部20、通信部60の動作を参照して、報知部30を制御し、報知部30に所要の報知を実行させる機能ブロックである。また、警報器1が故障検出部40あるいは動作時間検出部50を備えている場合、報知制御部10は、これら少なくともいずれかの機能ブロックをも併せて参照して、報知部30に所要の報知を実行させる。このような報知部30の制御に基づく警報器1の動作については、詳細に後述される。
【0026】
<警報器の外観>
図2は、実施形態に係る警報器1の形態例を示す外形図である。本形態例では、
図1に示された上述の各機能ブロックは筐体70内に納められており、警報器1が一体の機器として構成されている。
【0027】
図2に示されるように、筐体70の正面(パネル部)の下部には、CO警告ランプ31、ガス漏れ警告ランプ32、表示ランプ33、及び情報通知ランプ34が適宜に並べられて配置されている。なお、表示ランプ33は、電源ランプと兼用されている。例示として、CO警告ランプ31、ガス漏れ警告ランプ32の発光色は、それぞれ警告色である黄色、赤色とすることができる。また、表示ランプ33の発光色は緑色とすることができる。情報通知ランプ34の発光色は、上記各ランプのいずれの発光色とも異なる橙色とすることができる。
【0028】
筐体70の正面の側部付近の上下方向中央部には、筐体70に設けられた複数の小孔としての、通気孔71が形成されている。通気孔71の裏側の筐体70内部にガスセンサ21及びCOセンサ22が配置されることにより、これらのセンサが警報器1周囲の雰囲気を監視することを可能にしている。また、筐体70の正面の上部中央付近には、筐体70に設けられた複数の小孔としての音声出力孔72が形成されている。音声出力孔72の裏側の筐体70内部にスピーカー35が配置されることにより、スピーカー35の出力が、音声出力孔72を通じて警報器1の筐体70外部に取り出される。
【0029】
なお、
図2に示されるように、筐体70の正面(パネル部)には、通信部60によるサーバ3との通信の状態を示すためのアクセスランプ61が更に配置されていてもよい。アクセスランプ61は、例えばサーバ3との接続が確立できない場合に点灯することで、利用者がサーバ3との通信の不具合が認識できるように構成される。
【0030】
<コンテンツ>
警報器1に提供されるコンテンツの管理者は、例示として、ガス事業者、自治体、地方公共団体や警報器1の製造者、あるいはこれらいずれかから受託された事業者であり得る。コンテンツの管理者は、コンテンツをサーバ3を通じて警報器1に提供し得る。
【0031】
コンテンツの態様は、聴覚を通じて報知される聴覚情報であることが好ましい。警報器1は天井や壁の高い位置に設置されることがあり、ディスプレイでの表示によって利用者に情報が伝達されるようにする方法は適さないためである。所要の情報を利用者に伝達するために、コンテンツの態様は、人声または合成音声での発話による音声コンテンツであることが、最も好ましい。
【0032】
コンテンツの例としては、防災・防犯に関連する情報、天気・災害に関する情報、交通・水道その他インフラに関する情報、地域に関連したイベント等のその他の情報が挙げられる。また、ガス事業者によるガス設備の定期点検に関する情報や、利用者のガス使用量に関する情報、警報器1やガス機器のメンテナンスや交換についての情報が挙げられる。
【0033】
なお、警報器1に提供されるコンテンツの種別は、利用者がコンテンツの管理者に対して要求することにより、少なくともその一部を選択できるようにすることもできる。コンテンツの管理者に対するこのような要求は、インターネットを通じて行うようにすることもできる。利用者は、必要と考える情報の種別を選択することによって、より嗜好に沿った態様でコンテンツ提供サービスを、利用することができるようになる。
【0034】
<警報器の動作の概要>
図3は、警報器1が実行する、監視処理動作を説明するためのフローチャートである。
図4は、警報器1が実行する、コンテンツ報知処理動作を説明するためのフローチャートである。警報器1は稼動中、
図3に示される監視処理のフローを繰り返し実行する。また、警報器1は稼動中、監視処理のフローと並行して、
図4に示されるコンテンツ報知処理動のフローを繰り返し実行する。次に、監視処理のフロー及びコンテンツ報知処理のフローについて説明する。
【0035】
<監視処理のフロー>
ステップS101:監視処理のフローの始めに、報知制御部10は、検知部20がいずれかの異常(ガス漏れ異常またはCO異常いずれかの異常)を検知したか否かを判断する。検知部20がいずれかの異常を検知したと判断される場合(S101でYES)、フローはステップS102に進む。それ以外の場合(S101でNO)、フローはステップS103に進む。
【0036】
ステップS102:報知制御部10は、状態が警報状態であると決定する。次にフローはステップS104に進む。警報器1が警報状態にあると、報知制御部10は、報知部30を制御して、検知部20の検知結果に基づいた警報の報知を実行させる。当該警報の報知の具体例については後述する。
【0037】
フローがステップS102に至るのは、検知部20がいずれかの異常を検知した場合である。警報状態においてフローがステップS102に至った際には、報知制御部10は、警報の報知を継続させる。警報状態では無い場合にフローがステップS102に至った際には、報知制御部10は、警報の報知を開始させる。
【0038】
ステップS103:報知制御部10は、状態が警報状態では無いと決定する。次にフローはステップS104に進む。警報器1が警報状態に無いと、報知制御部10は、報知部30を制御して、検知部20の検知結果に基づいた警報の報知を実行させない。警報状態においてフローがステップS103に至った場合には、報知制御部10は、警報の報知を停止させる。
【0039】
ステップS104:報知制御部10は、故障検出部40が機器故障を検知したか否かを判断する。故障検出部40が機器故障を検知したと判断されると(S104でYES)、フローはステップS105に進む。それ以外の場合(S104でNO)、フローはステップS107に進む。
【0040】
ステップS105:報知制御部10は、状態が警報状態で無いか否かを判断する。状態が警報状態で無いと判断される場合(S105でYES)、フローはステップS106に進む。それ以外の場合(S105でNO)、フローはステップS107に進む。
【0041】
ステップS106:報知制御部10は、状態が故障報知状態であると決定する。次にフローはステップS108に進む。状態が故障報知状態であると、報知制御部10は、報知部30を制御して、警報器1が故障していることを示す報知(故障報知)を実行させる。故障報知の具体例については後述する。
【0042】
フローがステップS106に至るのは、状態が警報状態に無く、故障検出部40が機器故障を検知した場合である。故障報知状態においてフローがステップS106に至った際には、報知制御部10は、故障報知を継続させる。故障報知状態では無い場合にフローがステップS106に至った際には、報知制御部10は、故障報知を開始させる。
【0043】
ステップS107:報知制御部10は、状態が故障報知状態では無いと決定する。次にフローはステップS108に進む。状態が故障報知状態に無いと、報知制御部10は、報知部30を制御して、故障報知を実行させない。故障報知状態においてフローがステップS107に至った際には、報知制御部10は、故障報知を停止させる。
【0044】
ステップS108:報知制御部10は、動作時間検出部50が検出した動作時間が警報器1の耐用時間を超過したか否かを判断する。超過したと判断される場合(S108でYES)、フローはステップS109に進む。それ以外の場合(S108でNO)、フローはステップS111に進む。
【0045】
ステップS109:報知制御部10は、状態が警報状態でも故障報知状態でも無いか否かを判断する。状態が警報状態でも故障報知状態でも無いと判断される場合(S109でYES)、フローはステップS110に進む。それ以外の場合(S109でNO)、フローはステップS111に進む。
【0046】
ステップS110:報知制御部10は、状態が期限超過報知状態であると決定する。次に監視処理のフローは終了する。状態が期限超過報知状態であると、報知制御部10は、報知部30を制御して、警報器1の動作時間が耐用時間を超過していることを示す報知(期限超過報知)を実行させる。期限超過報知の具体例については後述する。
【0047】
フローがステップS110に至るのは、状態が警報状態でも故障報知状態でも無く、動作時間が耐用時間を超過した場合である。期限超過報知状態においてフローがステップS110に至った際には、報知制御部10は、期限超過報知を継続させる。期限超過報知状態では無い場合にフローがステップS110に至った際には、報知制御部10は、期限超過報知を開始させる。
【0048】
ステップS111:報知制御部10は、状態が期限超過報知状態では無いと判断する。次に監視処理のフローは終了する。状態が期限超過報知状態に無いと、報知制御部10は、報知部30を制御して、期限超過報知を実行させない。期限超過報知状態においてフローがステップS111に至った際には、報知制御部10は、期限超過報知を停止させる。
【0049】
<コンテンツ報知処理のフロー>
ステップS201:コンテンツ報知処理のフローの始めに、報知制御部10は、通信部60によるサーバ3との通信の結果、サーバ3より、警報器1で報知すべきコンテンツが存在する旨の通知があったか否かを判断する。コンテンツが存在する旨の通知があった場合(S201でYES)フローはS202に進む。それ以外の場合(S201でNO)、コンテンツ報知処理のフローは終了する。
【0050】
ステップS202:報知制御部10は、通信部60を制御して、上記の報知すべきコンテンツのダウンロードを開始する。なお、通信部60は、ステップS202でダウンロードを開始すると、以後、上記の報知すべきコンテンツのダウンロードが完了するまで当該ダウンロードを継続実行し、保持する。報知すべきコンテンツのダウンロードは、警報器1の上記状態の変化によって中断されることはない。
【0051】
ステップS203:続いて報知制御部10は、状態が警報状態、故障報知状態、期限超過報知状態のいずれでも無いか否かを判断する。いずれでも無いと判断される場合(S203でYES)、フローはS204に進む。それ以外の場合(S203でNO)、コンテンツ報知処理のフローは終了する。状態が警報状態、故障報知状態、期限超過報知状態のいずれかであった場合に、コンテンツの報知を行わせないためである。この場合に、通信部60が報知すべきコンテンツのダウンロードを実行中であっても、報知部30がコンテンツの報知を実行中であっても、コンテンツの報知は停止される。
【0052】
ステップS204:報知制御部10は、上記報知すべきコンテンツについて、報知部30を制御して、通信部60によりダウンロードされ保持されたうちの所定時間分の報知を順次実行させる。ここで所定時間とは、ステップS203からステップS205までのループにおいて、ステップS203での判断を実行する間隔に相当する時間であり、例えば、0.01〜1秒程度の時間であり得る。
【0053】
ステップS205:報知制御部10は、上記報知すべきコンテンツについての報知が完了したか否かを判断する。すなわち、コンテンツの最後までの報知が終わったか否かを判断する。コンテンツについての報知が完了したと判断される場合(S205でYES)、コンテンツ報知処理のフローは終了する。それ以外の場合(S205でNO)、フローはステップS203に戻る。ステップS203からステップS205までのループが繰り返されている時間、報知部30が特定のコンテンツの報知を行うこととなる。
【0054】
コンテンツ報知処理のフローにおいて、上記報知すべきコンテンツは単数であってもよいし、複数であってもよい。複数である場合には、上記各ステップでは、複数のコンテンツ(コンテンツ群)に関して実行や判断がなされる。また、報知すべきコンテンツが複数である場合の報知の順序は、ランダムであってもよいが、予めコンテンツ毎に優先度が設定されており、報知制御部10が優先度の高い順に報知するようにするものであってもよい。
【0055】
図4に示されるコンテンツ報知処理のフローによれば、報知すべきコンテンツのダウンロードの実行は、警報状態、故障報知状態、期限超過報知状態のいずれでも無い状態の場合のみには限られていない。報知すべきコンテンツのダウンロードは、警報状態、故障報知状態、期限超過報知状態のいずれの状態であっても実施される。このようにすることで、これらいずれかの状態が解除されて、これらのいずれでも無い状態に遷移した際に、利用者に対するコンテンツの報知が行われるようにすることができる。
【0056】
ダウンロードされたコンテンツの保持は、複数のコンテンツについて行われてもよい。保持されたコンテンツは、警報器1が保持できる容量を超えた場合には、ダウンロードした順や優先度に基づいて、適宜に削除されるように構成されていてもよい。
【0057】
なお、コンテンツの報知中に、警報状態、故障報知状態、期限超過報知状態のいずれかの状態となり、コンテンツの報知が中断され、その後再びコンテンツの報知が可能となった際のコンテンツの報知は以下の態様で実行することができる。中断されたコンテンツの報知が再び最初から行われるようにしてもよい。あるいは、中断されたコンテンツの報知が、中断されたところから再開されるようにしてもよい。またあるいは、中断されたコンテンツの報知は行われないようにしてもよい。
【0058】
<警報の報知>
警報器1の状態が、警報状態にある際に、報知部30により実行される警報の報知の方法の具体例について次に説明する。監視対象であるガスについて報知が必要な状態にあるとの、検知部20による検知結果であった場合、報知部30は、当該検知結果に基づいて、ガス漏れ警報を報知する。ガス漏れ警告ランプ32が点灯することで、警報器1は、視覚を通じた報知を行う。ガス漏れ警告ランプ32は、警報器1の状態が、ガス漏れ異常による警報状態で無くなるまで点灯し続ける。
【0059】
また、スピーカー35から、ガス漏れ異常による警報状態であることを示す音声が出力される。音声の例としては、「ガスが漏れていませんか?」といった発話、あるいは警告音であり得る。またあるいは、ガス漏れ異常による警報状態であることを示す音声として、このような発話と警告音とが交互に出力されてもよい。このようなスピーカー35からの聴覚を通じた報知は、警報器1の状態が、ガス漏れ異常による警報状態で無くなるまで継続される。
【0060】
しかし、このような音声が煩わしいと感じる利用者による操作、例えば、所定のスイッチの押下によって、所定時間だけ音声の出力が一時停止され得るように、警報器1が構成されていてもよい。このようなスイッチは、ガス漏れ警告ランプ32と一体とされたプッシュ式スイッチで構成されてもよいし、別途設けられたスイッチであってもよい。所定時間は、数分間、例えば5分間程度とすることができる。
【0061】
監視対象である一酸化炭素について報知が必要な状態にあるとの、検知部20による検知結果であった場合、報知部30は、当該検知結果に基づいて、CO警報を報知する。CO警告ランプ31が点灯し、警報器1は、視覚を通じた報知を行う。CO警告ランプ31は、警報器1の状態が、CO異常による警報状態で無くなるまで点灯し続ける。
【0062】
また、スピーカー35から、CO異常による警報状態であることを示す音声が出力される。音声の例としては、「空気が汚れて危険です。窓を開けて換気してください」といった発話、あるいは警告音であり得る。またあるいは、CO異常による警報状態であることを示す音声として、このような発話と警告音とが交互に出力されてもよい。このようなスピーカー35からの聴覚を通じた報知は、警報器1の状態が、CO異常による警報状態で無くなるまで継続される。
【0063】
なお、監視対象であるガスについて報知が必要な状態でかつ、監視対象である一酸化炭素について報知が必要な状態であるとの検知部20による検知結果であった場合の音声は、以下のものとすることができる。「ガスが漏れていませんか?」といった発話、警告音、「空気が汚れて危険です。窓を開けて換気してください」といった発話、警告音をこの順に繰り返し出力するようにしてもよい。
【0064】
<故障報知>
警報器1の状態が、故障報知状態にある際に、報知部30により実行される故障報知の方法の具体例について次に説明する。電源ランプと兼用されているため、警報器1が稼動中の通常時に、表示ランプ33は点灯している。警報器1の状態が故障報知状態に転じると、表示ランプ33が故障報知状態を示すための点滅表示に転じることで、警報器1が、視覚を通じた報知を開始する。表示ランプ33による視覚を通じた報知は、警報器1の状態が、故障報知状態では無くなるまで継続する。
【0065】
また警報器1の状態が故障報知状態であると、スピーカー35から、故障報知状態であることを示す音声が出力される。音声の例としては、所定間隔ごとの「故障です」といった発話、あるいは所定間隔ごとの警告音であり得る。またあるいは、故障報知状態であることを示す音声として、発話と警告音の双方が出力されてもよい。その場合例えば、10分おきに「故障です」といった発話がなされ、1分おきに数秒間警告音が鳴って、故障報知状態であることが示されるようにすることもできる。このようなスピーカー35からの聴覚を通じた報知は、警報器1の状態が、故障報知状態では無くなるまで継続される。
【0066】
しかし、このような音声が煩わしいと感じる利用者による操作、例えば、所定のスイッチの押下によって、所定時間だけ音声の出力が一時停止され得るように、警報器1が構成されていてもよい。このようなスイッチは、表示ランプ33と一体とされたプッシュ式スイッチで構成されてもよいし、別途設けられたスイッチであってもよい。所定時間は、数十時間、例えば36時間程度とすることができる。
【0067】
なお、このような操作は故障報知状態を解除するものではなく、操作によって故障報知状態であることを示す音声の出力が一時停止している場合でも、警報器1の状態は故障報知状態にあると判断される。そのため、操作による、故障報知状態であることを示す音声の出力の中断中であっても、コンテンツの報知は行われない。
【0068】
<期限超過報知>
警報器1の状態が、期限超過報知状態にある際に、報知部30により実行される期限超過報知の方法の具体例について次に説明する。電源ランプと兼用されているため、警報器1が稼動中の通常時に表示ランプ33は点灯している。警報器1の状態が期限超過報知状態に転じると、表示ランプ33が期限超過報知状態を示すための点滅表示に転じ、警報器1が、視覚を通じた報知を開始する。
【0069】
期限超過報知状態を示すための点滅表示は、区別のために、上述の故障報知状態を示すための点滅表示よりも長周期の点滅とすることが好ましい。表示ランプ33による視覚を通じた故障報知状態を示すための報知は、警報器1の状態が、期限超過報知状態では無くなるまで継続する。期限超過報知状態を示す表示を行うランプは、上述のように電源ランプと兼用とするのではなく、別途設けられていてもよい。
【0070】
期限超過報知状態を示す報知は、視覚を通じた報知であり、音声による報知ではないため、コンテンツの報知と同時に行うことは可能である。しかし、警報器1では、期限超過報知状態にある際には、コンテンツの報知が行われない。このようにすることで、利用者が、警報器1が正常な状態にないことを認知しやすくなる。期限超過報知状態を示すための報知は、ランプ表示に代えて音声や音による報知でもよく、あるいはランプ表示と共に音声や音による報知を行うようにしてもよい。
【0071】
<コンテンツの報知>
警報器1の状態が、警報状態、故障報知状態、期限超過報知状態のいずれでもなく、警報器1が報知すべきコンテンツが存在する旨のサーバ3からの通知があった際に、報知部30により実行される、コンテンツの報知の方法の具体例について次に説明する。
【0072】
警報器1が報知すべきコンテンツがあった場合、通信部60がサーバ3から当該コンテンツをダウンロードし、報知部30により報知を行う。具体的には、報知部30はスピーカー35によって音声コンテンツを報知する。あるいは、報知部30が予め記録されたコンテンツを複数保有しており、サーバ3により指定されたコンテンツの報知を行うものであってもよい。この場合、通信部60がサーバ3からコンテンツの指定情報を取得し、報知部30が当該指定情報が指示するコンテンツの報知を行う。
【0073】
また、報知部30がコンテンツの報知(スピーカー35による音声コンテンツの出力)を行っている際には、情報通知ランプ34が点滅し、視覚的にもコンテンツの報知が実行されていることが利用者に認識されるように構成されていてもよい。
【0074】
<作用、効果>
実施形態に係る警報器1では、各種の情報を有するコンテンツが報知できることによって利用者の利便性が高められる。特にコンテンツとして、発話による音声コンテンツが選択される場合には、警報器という機器の性質に適した形での、利用者への情報の伝達が可能となる。
【0075】
ガスコンロ等のガス機器を備える、台所、厨房等の部屋内に設置される警報器では、機器の大きさや設置場所に制約があり、ディスプレイによる情報伝達は適していない。その点、音声コンテンツによる報知方法は、そのような制約に影響されない。また、利用者が調理等の作業を行いながら、音声コンテンツの内容を把握することができる。
【0076】
本実施形態によれば、コンテンツの報知の実行中に、検知部20により報知が必要な状態にあることが検知されると、当該コンテンツの報知が停止されるため、警報器1では、異常発生時の警報を確実に利用者に報知することができる。特にコンテンツとして、発話による音声コンテンツが選択される場合には、それが音声による警報と重複して報知されると、利用者は警報の内容を把握し難くなる。しかし、実施形態に係る警報器1では、そのような懸念が無い。
【0077】
よって警報器1ではコンテンツの報知を可能としながらも、ガス機器を利用する際の安全性が損なわれることは無い。また、利用者が安心してガス機器を使用できるようになる。更に警報器1では、警報の報知を実行すべき異常の状態(警報状態)が解消すると、再度警報器1でのコンテンツの報知が可能な状態になるように制御されるため、利用者の利便性が高められている。
【0078】
また警報器1では、状態が警報状態にあると、コンテンツの報知を行わない。このようにコンテンツに優先して排他的に警報を報知することができ、上記同様に、異常発生時の警報を確実に報知することができる。よって利用者の安心または安全を担保し得る報知器が実現できる。
【0079】
警報器1が機器故障を検出する故障検出部40を更に備えている場合には、警報器1自身が機器故障を検出することができるようになるので、利用者が警報器の故障を認知できないまま放置されることを防止することが可能となる。また、機器故障時にコンテンツの報知が実行されなくなることで、利用者が、警報器1が正常な状態にないことを認知しやすくなる。またそのことにより、警報器1が正常な状態にないことの重要性をより認識できるようになり、利用者に機器故障への対応を促すことができる。
【0080】
警報器1が動作時間検出部50を更に備えている場合には、警報器1自身が耐用時間の超過を検出することができるようになるので、利用者が警報器1の耐用時間の超過を認知できないまま放置されることを防止することが可能となる。また、耐用時間超過時にコンテンツの報知が実行されなくなることで、利用者が、警報器1が正常な状態にないことを認知しやすくなる。またそのことにより、警報器1が正常な状態にないことの重要性をより認識できるようになり、利用者に警報器の交換の対応を促すことができる。
【0081】
〔ソフトウェアによる実現例〕
警報器1の制御ブロック(特に報知制御部10、検知部20(各センサを除く)、報知部30(各ランプ、スピーカーを除く)、故障検出部40、動作時間検出部50、通信部60(アンテナ等を除く))は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0082】
後者の場合、警報器1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。
【0083】
上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。
【0084】
また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0085】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0086】
警報器1は、警報器1の状態をサーバ3に通知するように構成されていてもよい。その場合、サーバ3が、当該通知された情報を参照して、警報器1において報知するコンテンツの選択を行うものであってもよい。例えば、警報器1の状態が故障報知状態であった場合に、警報器1において報知するコンテンツとして、警報器1のメンテナンスサービスの連絡先を報知するようにすることなどができる。
【0087】
また例えば、警報器1が人感センサを備えており、人感センサが警報器1の近傍に人の存在を検知していない際には、コンテンツの音声出力を停止するように構成されていてもよい。この場合にも、ガス漏れ異常やCO発生異常などの警報の報知や、故障報知状態あるいは期限超過報知状態にあることを示す報知は、人感センサの検知情報に関わらず、警報器1が行うようにしてもよい。