(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-128646(P2021-128646A)
(43)【公開日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】水分反応型タッチペン
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20210806BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20210806BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
G06F3/044 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願2020-23891(P2020-23891)
(22)【出願日】2020年2月15日
(71)【出願人】
【識別番号】513005785
【氏名又は名称】高橋 英全
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英全
(57)【要約】
【課題】従来のタッチペンの材質・構造では、ペン先端部における光の透過性、ペン先端タッチパネル接触部の軟質化、ペン構造の簡素化すべてを同時に実現する事はできなかった。
本発明は、それら全てを同時に解決する手段を提供するものである。
【解決手段】本発明は、前記の問題を解決する方法として、次のような手段を実施した。
(a)水を含み可とう性のある物質をペン先内部1として防水性のある物質内であるペン先外部2に封入し、ペン先として使用する。
(b)ペン先外部2の一部に人体の電位を伝えるためのペン先側電極3を接触させる。
(c)ペン先側電極3と人体とを電気的に接続するため、ペン軸側電極4との通電経路を構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を含み可とう性のある物質を防水性のある物質内部に封入したペン先と、ペン先に接触する金属等の導電性物質で構成されたペン先側電極を持ち、なおかつペン軸表面が金属等の導電性物質で構成されてペン先側電極と電気的に接続されている事を特徴とするタッチペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ペン先が半透明で可とう性のあるタッチペンの製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタッチペンは、ペン先端部に導電性素材を使っている(例えば、特開2018-097703請求項1など)。この結果、ペン先が不透明になるというデザイン上の制約が発生していた。
そうでない事例としては、ペン先に透明な円盤等の物体を使うタイプがある(例えば、実登3196804代表図面など)が、固い素材を使うため長期の使用においてタッチパネル側に摩耗や傷を生じやすいか、あるいは可とう性を生ずる機構をペン先端部近辺に追加して構造が複雑になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-097703
【特許文献2】実登3196804
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】西川武士他著、 「タッチパネル 技術開発・市場・アプリケーションの動向」株式会社オーム社、平成24年10月25日、p.58−63
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のタッチペンの材質・構造では、ペン先端部における光の透過性、ペン先端タッチパネル接触部の軟質化、ペン構造の簡素化すべてを同時に実現する事はできなかった。
本発明は、それら全てを同時に解決する手段を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記の問題を解決する方法として、次のような手段を実施した。
(a)水を含み可とう性のある物質をペン先内部1として防水性のある物質であるペン先外部2内部に封入し、ペン先として使用する。
(b)ペン先外部2の一部に人体の電位を伝えるためのペン先側電極3を接触させる。
(c)ペン先側電極3と人体とを電気的に接続するため、ペン軸側電極4との通電経路を構成する。
【発明の効果】
【0007】
人体は、タッチパネルやペン先に比べ静電容量が十分大きく、事実上接地しているに等しい電位となる。
この電位をペン先の電極に伝える事により、電荷を持つタッチパネル表面との距離を短縮し、ペン先内部における電位勾配を大きくできる。
これに加え、ペン先内部に水分を持つことで、水の持つ比誘電率の高さによってタッチパネル表面の電荷を吸引する効果を増幅し、ペン先の導電性を必要とせずにタッチパネルが反応する程度まで電荷を吸引する力が発生する。
水を含み可とう性のある透明度が高い物質を、光の透過性と防水性のある柔軟な物質内部に封入する事で、簡素な構造でありながらペン先における光の透過性と可とう性、タッチパネル接触部における柔軟性を同時に実現可能となる。
更に、人体の持つ電気的な特性をそのまま利用する事により、電気的な構造も簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の一例として、ペン軸が表面のみ導電性物質で構成される場合の断面図である。
【
図2】本発明の実施の一例として、ペン軸全体が導電性物質で構成される場合の断面図である。
【
図3】本発明の実施の一例として、ペン先から光を発する構成の場合の断面図である。
【
図4】本発明の実施の一例として、ペン先に摩擦を低減するカバーを付加した場合の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ペン先内部1として用意した水を含み可とう性のある物資を、ペン先外部2として用意した柔軟性ある物質内部に封入する。
また、ペン先外部2にペン先側電極3として金属等、導電性のある物質を接触させる。
ペン軸の少なくとも表面を金属等の導電性物質で構成し、ペン軸側電極4として使用する。
さらに、ペン先側電極3とペン軸側電極4を金属等の導電性物質で構成される電極間配線5経由か、またはペン先側電極3とペン軸側電極4を直接接触させ、電気的に接続する。
【実施例】
【0010】
図1は、ペン軸が表面のみ金属等の導電性物質で構成される場合の実施例であり、ペン先側電極3とペン軸側電極4を接続するため、電極間配線5を有する構成の場合の実施例である。
図2は、ペン軸全体が金属等の導電性物質で構成される場合の実施例であり、ペン先側電極3とペン軸側電極4を接続するための電極間配線5を必要としない構成の場合の実施例である。
図3は、
図2の構成に加え、発光体6をペン軸内部に内蔵し配線7経由で電源および制御回路8で発光させ、発生した光をペン先側電極3の開口部からペン先外部2、ペン先内部1を通してペン先から外部に光を出す構成の場合の実施例である。
図4は、
図1の構成に加え、ペン先の滑りを強化するためのカバー9を追加した構成の場合の実施例である。
【符号の説明】
【0011】
1はペン先内部
2はペン先外部
3はペン先側電極
4はペン軸側電極
5は電極間配線
6は発光体
7は6-8間の配線
8は電源および制御回路
9はカバー