(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-129187(P2021-129187A)
(43)【公開日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】屋内環境制御システム及び施設
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20210806BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
H04Q9/00 311J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-22120(P2020-22120)
(22)【出願日】2020年2月13日
(71)【出願人】
【識別番号】519256824
【氏名又は名称】株式会社サンメディカル
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 航
【テーマコード(参考)】
5K048
【Fターム(参考)】
5K048BA12
5K048DA02
5K048DB05
5K048DB07
5K048EB02
5K048EB10
5K048FC04
5K048GC06
(57)【要約】
【課題】屋内環境を把握し、屋内を最適条件に調整するといった目的に即して屋内環境を制御することが可能な屋内環境制御システムを提供することを目的とする。
【解決手段】屋内環境制御システム10は、屋内15に配置された電気機器50を動作制御することにより、目的に即した屋内環境を構築可能なものであり、屋内環境の指標となる少なくとも一つの環境情報を実環境情報21として取得する情報取得部20と、前記目的に即した屋内環境の指標となる目標環境情報31及び実環境情報21に基づき、電気機器50の動作条件を導出する演算部30と、演算部30において導出された動作条件を、電気機器50に向けて出力する通信部40と、を有する。また、屋内環境制御システム10は、スマートスピーカー60を通じて居住者と別の場所にいる家族等と通信を行うことが可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内に配置された電気機器を動作制御することにより、目的に即した屋内環境を構築可能な屋内環境制御システムであって、
前記屋内環境の指標となる少なくとも一つの環境情報を実環境情報として取得する情報取得部と、
前記目的に即した屋内環境の指標となる目標環境情報、及び前記実環境情報に基づき、前記電気機器の動作条件を導出する演算部と、
前記演算部において導出された前記動作条件を、前記電気機器に向けて出力する通信部と、
を有することを特徴とする屋内環境制御システム。
【請求項2】
前記演算部が、前記実環境情報と前記目標環境情報との乖離を減じるように前記動作条件を導出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の屋内環境制御システム。
【請求項3】
前記演算部は、人工知能を用いて前記動作条件を算出するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の屋内環境制御システム。
【請求項4】
前記屋内に配置され、音声及び画像の少なくともいずれかの入出力が可能なスマートスピーカーを有し、
前記目的を前記スマートスピーカーを介して音声により入力することにより、前記スマートスピーカーから出力された情報に基づいて直接的又は間接的に前記動作条件を設定可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の屋内環境制御システム。
【請求項5】
前記スマートスピーカーが、前記情報取得部、前記演算部、及び前記通信部の少なくとも一部を備えていることを特徴とする請求項4に記載の屋内環境制御システム。
【請求項6】
前記情報取得部が、カメラ、温度計、湿度計、照度計、人感センサ、前記電気機器の使用状況取得手段の少なくとも一つからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の屋内環境制御システム。
【請求項7】
前記電気機器が、エアコン、自動開閉式カーテン、加湿器、除湿器、空気清浄機、照明機器、テレビ、報知器、通信機器の少なくとも一つからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の屋内環境制御システム。
【請求項8】
前記屋内は、介護又は看護が必要な者、若しくは高齢者の居住家屋内に形成される入居領域であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の屋内環境制御システム。
【請求項9】
前記入居領域から離れた位置に配置される遠隔端末を有し、
前記入居領域に配置された電気機器、あるいは前記入居領域に配されたスマートスピーカーを介して、前記遠隔端末との間で通信が可能であることを特徴とする請求項8に記載の屋内環境制御システム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の屋内環境制御システムを、介護又は看護が必要な者、若しくは高齢者の居住家屋内に形成される入居領域に導入したことを特徴とする施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内環境制御システム及び施設に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者、要介護者、要看護者が増加してきている。また、核家族化に伴い、前記高齢者等の独り暮らしも増加している。そのため、前記高齢者等の睡眠時間情報や緊急情報を介護者や家族等に通報する生活見守り装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
上述した生活見守り装置は、見守り対象者宅に設置された人感センサの反応数から睡眠状態、生活反応等の事象を決定し、当該事象をサーバー、パソコン又はスマートフォンにメールにて送信するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6145907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の装置は、人感センサの検出頻度に応じて得られた生活情報を単に介護者や家族等に通報するだけのシステムである。そのため、例えば、夏場の高温多湿時に屋内環境を最適に保って、熱中症対策等を施すことはできない問題がある。また、特許文献1の装置は、介護者等への通報においても単にメール送信するだけで、高齢者等とコミュニケーションが取れるものではない。従って、それほど緊急性を要しない場合でも、確認のために介護者等が、訪問しなければならない問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、屋内環境を把握し、屋内を最適条件に調整するといった目的に即して屋内環境を制御することが可能な屋内環境制御システムを提供することを目的とする。また、本発明は、居住者と別の場所にいる家族、介護者、看護者等と通信することが可能な屋内環境制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の屋内環境制御システムは、屋内に配置された電気機器を動作制御することにより、目的に即した屋内環境を構築可能な屋内環境制御システムであって、前記屋内環境の指標となる少なくとも一つの環境情報を実環境情報として取得する情報取得部と、前記目的に即した屋内環境の指標となる目標環境情報、及び前記実環境情報に基づき、前記電気機器の動作条件を導出する演算部と、前記演算部において導出された前記動作条件を、前記電気機器に向けて出力する通信部と、を有することを特徴とするものである。
【0008】
本発明の屋内環境制御システムは、屋内に配置された電気機器を動作制御することにより、目的に即した屋内環境を構築可能とするものである。従って、前記屋内を最適な環境条件(例えば、適温、適湿等)にするといった目的に即して、各種の電気機器を動作制御することができる。また、本発明の屋内環境制御システムは、前記屋内環境の指標となる少なくとも一つの環境情報を実環境情報として取得する情報取得部を有しているので、屋内の例えば温度、湿度、照度などの実環境情報を取得することができる。これにより、現在の屋内がどのような条件下にあるのかを把握することができる。また、本発明の屋内環境制御システムは、上述したような目的に即した屋内環境の指標となる目標環境情報、及び前記実環境情報に基づき、電気機器の動作条件を導出する演算部を有している。従って、目的に即した屋内環境の指標に近づけるために必要とされる電気機器の動作条件を導出することができる。また、本発明の屋内環境制御システムは、前記演算部において導出された前記動作条件を、前記電気機器に向けて出力する通信部を有している。そのため、前記目標環境情報に近づくように電気機器を制御することができる。これにより、上述した屋内の居住者が電気機器を操作することなく、自動的に最適な屋内環境を構築することが可能となる。また、家族、介護者、看護者等(総称して介護者等とも称する)の手を介することなく、居住者に最適な環境を提供することができる。
【0009】
(2)上述した課題を解決すべく提供される本発明の屋内環境制御システムは、前記演算部が、前記実環境情報と前記目標環境情報との乖離を減じるように前記動作条件を導出するようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の屋内環境制御システムは、前記演算部が、前記実環境情報と前記目標環境情報との乖離を減じるように前記動作条件を導出するので、屋内環境を目標環境情報に迅速に近づけるように電気機器を制御することができる。また、実環境情報と目標環境情報の乖離が少ない場合は、目的に即した屋内環境を維持することができる。
【0011】
(3)上述した課題を解決すべく提供される本発明の屋内環境制御システムは、前記演算部が、人工知能を用いて前記動作条件を算出するものであることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の屋内環境制御システムは、前記演算部が、人工知能を用いて前記動作条件を算出するものであるので、人工知能により、実環境情報と目標環境情報との乖離を減じるための最短の動作条件を算出することが可能である。また、季節や昼夜などに応じた環境情報に基づき、目標環境情報を自動的に算出し、当該目標環境情報を用いて電気機器の動作条件を算出させることも可能である。
【0013】
(4)上述した課題を解決すべく提供される本発明の屋内環境制御システムは、前記屋内に配置され、音声及び画像の少なくともいずれかの入出力が可能なスマートスピーカーを有し、前記目的を前記スマートスピーカーを介して音声により入力することにより、前記スマートスピーカーから出力された情報に基づいて直接的又は間接的に前記動作条件が設定可能であることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の屋内環境制御システムは、前記屋内に配置され、音声及び画像の少なくともいずれかの入出力が可能なスマートスピーカーを有しているので、当該スマートスピーカーを前記屋内の居住者からの入出力手段として用いることができる。また、本発明の屋内環境制御システムは、前記スマートスピーカーを介して前記目的を音声や画像で入力することにより、前記スマートスピーカーから出力された情報に基づいて直接的又は間接的に前記動作条件を設定することが可能である。そのため、居住者からの発声や身振り等により、電気機器を操作することが可能である。これにより、高齢者等であっても簡単に電気機器の操作を行うことができる。
【0015】
(5)上述した課題を解決すべく提供される本発明の屋内環境制御システムは、スマートスピーカーが、情報取得部、演算部、及び通信部の少なくとも一部を備えていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の屋内環境制御システムは、前記スマートスピーカーが、前記情報取得部、前記演算部、及び前記通信部の少なくとも一部を備えているので、スマートスピーカーに、情報取得、演算、通信などの機能を実行させることができる。これにより、高齢者等の負担を軽減させることが可能である。
【0017】
(6)上述した課題を解決すべく提供される本発明の屋内環境制御システムは、前記情報取得部が、カメラ、温度計、湿度計、照度計、人感センサ、前記電気機器の使用状況取得手段の少なくとも一つからなることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の屋内環境制御システムは、前記情報取得部が、カメラ、温度計、湿度計、照度計、人感センサ、前記電気機器の使用状況取得手段の少なくとも一つからなるので、例えば、カメラや人感センサを用いることで居住者の状況を確認することが可能である。また、温度計や湿度計を情報取得手段として使用することで、例えば、エアコンや加湿器などを制御して、最適な屋内環境を構築することができる。これにより、夏場に居住者が熱中症となることを抑制したり、冬場に屋内が乾燥して、居住者がインフルエンザに罹患したりすることを抑制することができる。また、照度計を情報取得手段として使用することで、例えば、就寝時間や起床時間に取得した照度を利用して照明機器などの電気機器の動作制御を実行することが可能となる。また、情報取得部が電気機器の使用状況取得手段からなるものとすることで、電気機器の稼働状態を取得することが可能となるので、電気機器を効率的に動作制御させることができる。
【0019】
(7)上述した課題を解決すべく提供される本発明の屋内環境制御システムは、前記電気機器が、エアコン、自動開閉式カーテン、加湿器、除湿器、空気清浄機、照明機器、テレビ、報知器、通信機器の少なくとも一つからなることを特徴とするものである。
【0020】
本発明の屋内環境制御システムは、前記電気機器が、エアコン、自動開閉式カーテン、加湿器、除湿器、空気清浄機、照明機器、テレビ、報知器、通信機器の少なくとも一つからなるので、屋内を最適環境にするためにこれらの電気機器を動作制御することが可能となる。そのため、例えば屋内温度が高い場合はエアコンを動作制御させて、屋内温度を下げたり、例えば屋内湿度が低い場合は、加湿器により加湿することで、冬場のインフルエンザ対策をすることができる。また、例えば昼夜の時間や居住者の生活リズムに合わせて自動開閉式カーテンを自動的に開閉させたり、照明機器を照度に合わせてオン、オフさせたりすることが可能である。また、屋内環境が異常な場合に報知器により警報を発したり、通信機器を用いて介護者等と連絡を取ったりすることが可能である。
【0021】
(8)上述した課題を解決すべく提供される本発明の屋内環境制御システムは、前記屋内が、介護又は看護が必要な者、若しくは高齢者の居住家屋内に形成される入居領域であることを特徴とするものである。
【0022】
本発明の屋内環境制御システムは、屋内が、介護又は看護が必要な者、若しくは高齢者の居住家屋内に形成される入居領域であるので、介護又は看護が必要な者、若しくは高齢者(総称して、高齢者等とも称する)が、独り暮らしする場合であっても、快適な環境で生活することが可能である。
【0023】
(9)上述した課題を解決すべく提供される本発明の屋内環境制御システムは、前記入居領域から離れた位置に配置される遠隔端末を有し、前記入居領域に配置された電気機器、あるいは前記入居領域に配されたスマートスピーカーを介して、前記遠隔端末との間で通信が可能であることを特徴とするものである。
【0024】
本発明の屋内環境制御システムは、入居領域から離れた位置に配置される遠隔端末を有し、前記入居領域に配置された電気機器又はスマートスピーカーを介して、前記遠隔端末との間で通信が可能である。そのため、入居領域から離れた位置(遠隔地とも称する)の遠隔端末により、電気機器の状態を入手したり、テレビなどの電気機器を通じて入居者と対話したりすることが可能である。これにより、高齢者等が独り暮らしであっても遠隔地の介護者等とコミュニケーションを取ることができ、高齢者等が安心して生活をすることができる。また、遠隔地の介護者等が屋内の実環境情報を把握することができ、介護者等によって、電気機器を動作制御させることが可能である。
【0025】
(10)上述した課題を解決すべく提供される本発明の施設は、前記屋内環境制御システムを、介護又は看護が必要な者、若しくは高齢者の居住家屋内に形成される入居領域に導入したことを特徴とするものである。
【0026】
本発明の施設は、前記屋内環境制御システムを、高齢者等の居住家屋内に形成される入居領域に導入しているので、高齢者等が最適環境の中で安心して生活することができ、介護者等の負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、屋内環境を把握し、屋内を最適条件に調整するといった目的に即して屋内環境を制御することが可能な屋内環境制御システムを提供することができる。また、本発明は、居住者と別の場所にいる家族、介護者、看護者等と通信することが可能な屋内環境制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る屋内環境制御システムの構築例である。
【
図2】本発明の屋内環境制御システムにおける電気機器の動作制御状態の説明図である。
【
図3】本発明の第二実施形態に係る屋内環境制御システムの構築例である。
【
図4】本発明の第三実施形態に係る屋内環境制御システムの構築例である。
【
図5】本発明の第四実施形態に係る屋内環境制御システムの構築例である。
【
図6】本発明の第五実施形態に係る屋内環境制御システムの構築例である。
【
図7】本発明の屋内環境制御システムを入居領域に構築した概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の屋内環境制御システム10及び施設5について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の屋内環境制御システム10の第一実施形態に係る構築例である。屋内環境制御システム10は、例えば一般住宅、アパート、マンション、介護施設、看護施設などの屋内15に設置されるものである。本実施形態では、屋内環境制御システム10は、情報取得部20、演算部30、通信部40等を有している。また、屋内環境制御システム10は、通信部40から出力される動作条件に従って動作が可能な電気機器50が接続される。
【0031】
情報取得部20は、例えば、温度計、湿度計、照度計などの各種測定器、人感センサなどの各種センサ、
図7に示すようなカメラ50eなどの画像や映像の取得手段の少なくとも一つ又は複数から構成されている。情報取得部20は、屋内環境の指標となる少なくとも一つの環境情報を実環境情報21として取得する。実環境情報21は、例えば、屋内15の室温、湿度、明るさ、屋内15における居住者の有無の検知情報などの少なくとも一つ又は複数からなるものである。
【0032】
演算部30は、目的に即した屋内環境の指標となる目標環境情報31及び実環境情報21に基づき後述する電気機器50の動作条件を導出するものである。演算部30は、コンピュータなどで構成すると良い。また、演算部30は、屋内15に設けられるものや、外部サーバーを利用するものであっても良い。また、演算部30は、電気機器50に内蔵されるものであっても良い。
図2に示すように目標環境情報31は、屋内15における各種環境情報の例えば最適条件を指標として設定されるものである。目標環境情報31は、例えば、屋内15の室温、湿度、明るさ、などの少なくとも一つ又は複数からなるものである。目標環境情報31は、予め季節や時間等に合わせて決定されたものや、屋内15の実環境情報21に基づいて算出したものを用いることができる。また、目標環境情報31は、予め決定したものだけではなく、随時変更するものであっても良い。演算部30は、実環境情報21と目標環境情報31との乖離を減じるように電気機器50の動作条件を演算して導出する。また、演算部30に人工知能を設け、当該人工知能に基づいて電気機器50の動作条件が算出されるものであっても良い。このように人工知能を用いることで、居住者に、より適した屋内環境の構築を行うことができる。なお、上述した目的とは、例えば屋内環境を最適条件とすることである。
【0033】
通信部40は、演算部30において導出された動作条件を、電気機器50に向けて出力するものである。通信部40は、例えば、赤外線通信や無線通信が可能なリモコンを使用すると良い。また、前記リモコンを使用する場合は、1つのリモコンに複数の電気機器50の操作機能を集約して搭載したものを用いることが望ましい。また、リモコンは、学習機能や人工知能が搭載されたものを用いても良い。これにより、例えば高齢者等がリモコンを操作しない場合であっても、演算部30で導出された電気機器50の動作条件に従って電気機器50が制御される。また、通信部40は、外部と通信が可能な電話やネットワークの機能を有するものであっても良い。
【0034】
電気機器50は、屋内環境制御システム10に接続されて制御される。
図7に示すように電気機器50は、例えばエアコン50b、自動開閉式カーテン50c、加湿器(図示しない)、除湿器(図示しない)、空気清浄機(図示しない)、照明機器50d、テレビ50a、報知器(図示しない)、通信機器51等が挙げられる。また、電気機器50は、上述した各種電気機器50の少なくとも一つ又は複数からなるものとされている。また、電気機器50は、通信部40から出力された動作条件を無線通信や赤外線通信で受信することが可能であり、受信した動作条件に従って動作することが可能である。
【0035】
電気機器50に加湿器を用いる場合は、インフルエンザ対策の効果が期待できる。例えば、冬場に屋内15の実環境情報21が、インフルエンザに感染しやすいような湿度条件となった場合やなりそうな場合に、インフルエンザ対策となる湿度条件が目標環境情報31として設定される。目標環境情報31が設定されると、演算部30が実環境情報21と目標環境情報31との乖離を減じるように加湿器の動作条件を導出すると共に通信部40から加湿器に向けて動作条件が出力される。これにより、加湿器が制御されるので、インフルエンザへの罹患が予防される。また電気機器50としてエアコン50bを用いる場合は、熱中症対策の効果が期待できる。例えば、夏場に屋内15が、熱中症になりやすいような高温となった場合やなりそうな場合に、情報取得部20で室温を実環境情報21として取得することで、熱中症対策となる室温条件が目標環境情報31として設定される。目標環境情報31が設定されると、演算部30が実環境情報21と目標環境情報31との乖離を減じるようにエアコン50bの動作条件を導出すると共に通信部40からエアコン50bに向けて動作条件が出力される。これにより、熱中症を予防することができる。
【0036】
また、電気機器50として自動開閉式カーテン50cを用いる場合、例えば、時間情報を取得して、朝の所定時間に自動開閉式カーテン50cを開き、夜の所定時間に自動開閉式カーテン50cを閉じる等の制御を行うことができる。また、複数の入居領域毎に屋内環境制御システム10を設置することで、入居領域毎に自動開閉式カーテン50cの開閉時間が変更されるようにしても良い。また、情報取得部20に照度計を配置し、照度を実環境情報21として取得することで、照度に応じて自動開閉式カーテン50cの開閉が制御されても良い。
【0037】
上述した電気機器50における通信機器51は、例えば、赤外線通信や無線通信が可能なリモコンを使用すると良い。また、前記リモコンを使用する場合は、1つのリモコンに複数の電気機器50の操作機能を集約して搭載したものを用いることが望ましい。また、リモコンは、学習機能を搭載したものを用いても良い。これにより、例えば高齢者等がリモコンを操作しない場合であっても、演算部30で導出された電気機器50の動作条件に従って電気機器50が制御される。また、通信機器51は、例えば、スマートフォンや携帯端末であっても良い。また、通信機器51は、スマートフォン等にリモコンの機能を持たせたものであっても良い。
【0038】
次に、本発明の第二実施形態について、
図3に基づいて以下に詳細を説明する。なお、上述した実施形態と同じ部材は同一の符号を付している。
【0039】
第二実施形態では、屋内環境制御システム10が、音声及び画像の少なくともいずれかの入出力が可能なスマートスピーカー60を有している。第二実施形態では、スマートスピーカー60が、情報取得部20と、演算部30と、通信部40とを有している以外は、上述した第一の実施形態と同じであるので、第一実施形態と同様の部分の説明は省略する。
【0040】
スマートスピーカー60は、例えば居住者からの発話を情報取得部20で受信し、例えば演算部30で受信した発話の内容を認識する。当該発話に電気機器50の動作条件等の操作情報が含まれている場合は、当該操作情報に基づき通信部40が動作条件を電気機器50に向けて出力する。これにより、居住者が発話を行うだけで、電気機器50を自由に操作することができる。従って、高齢者等が、容易に電気機器50を操作することができる。
【0041】
次に、本発明の第三の実施形態について、
図4に基づいて以下に詳細を説明する。なお、上述した実施形態と同じ部材は同一の符号を付している。
【0042】
第三の実施形態では、屋内環境制御システム10が、スマートスピーカー60と、入居領域から離れた位置に配置された遠隔端末70とを有している。スマートスピーカー60は、本実施形態においては、遠隔端末70と有線又は無線で通信可能なものを用いる。遠隔端末70は、例えば、スマートフォン、携帯端末などの通信機器51、あるいは、スマートスピーカー60であっても良い。このように屋内15に配置されたスマートスピーカー60と、遠隔端末70とを通信可能にすることにより、高齢者等と入居領域から離れた位置にいる介護者等とが対話できる。これにより、介護者等がわざわざ高齢者等の入居領域に行くことなく、要件を済ますことができ、介護者等の負担を軽減できる。また、独り暮らしの高齢者等の寂しさ等も軽減でき、高齢者等が安心して生活することができる。なお、本実施形態の屋内環境制御システム10が設置される屋内15において、電気機器50を設け、遠隔端末70から、スマートスピーカー60を介して電気機器50を制御したり、遠隔端末70で電気機器50の稼働状態や実環境情報21等を取得したりするようにしても良い。これにより、入居領域から離れた位置にいる介護者等が、高齢者等が入居する屋内15の実環境情報21に基づいて、電気機器50を操作することができる。
【0043】
次に、本発明の第四の実施形態について、
図5に基づいて以下に詳細を説明する。なお、上述した実施形態と同じ部材は同一の符号を付している。
【0044】
第四の実施形態は、第三の実施形態において、屋内環境制御システム10が、電気機器50としてのテレビ50aを有している以外は、第三の実施形態と同様のものであるので、同様の部分の説明を省略する。テレビ50aは、例えば、遠隔端末70で入力された画像や映像をスマートスピーカー60で受信して、表示することが可能である。これにより、入居領域から離れた位置にいる介護者等とテレビ50aを介して対話することができる。また、スマートスピーカー60で画像や映像を入出力可能とし、遠隔端末70に当該画像や映像を送信するようにすれば、介護者等と介護者等が高齢者等とが画像や映像を介して対話することができる。これにより、介護者等がわざわざ高齢者等の入居領域に行くことなく、要件を済ますことができ、介護者等の負担を軽減できる。また、独り暮らしの高齢者等の寂しさ等も軽減でき、高齢者等が安心して生活することができる。
【0045】
次に、本発明の第五実施形態について、
図6に基づいて以下に詳細を説明する。なお、上述した実施形態と同じ部材は同一の符号を付している。
【0046】
第五実施形態は、第二実施形態(
図3参照)において、屋内環境制御システム10が、通信機器51を有している以外は、第二実施形態と同様のものであるので、同様の部分の説明を省略する。本実施形態では、屋内環境制御システム10が、スマートスピーカー60を有し、スマートスピーカー60に通信機器51が無線や赤外線等で接続されている。通信機器51は、例えば、上述したように電気機器50を制御することが可能なリモコンやリモコン機能を有するスマートフォン等を用いることができる。通信機器51は、例えば無線や赤外線等により、電気機器50にスマートスピーカー60から受信した動作条件を出力する。これにより、スマートスピーカー60が、電気機器50の直接的な制御を行う機能を有していない場合であっても、電気機器50を間接的に制御することが可能である。
【0047】
図7は、本発明の屋内環境制御システム10を介護又は看護が必要な者、若しくは高齢者の居住家屋内に形成される入居領域に導入した施設5の概略斜視図である。このように、屋内環境制御システム10を設けた施設5を形成することで、介護又は看護の負担を軽減することができる。以上が、本発明の実施形態であるが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲内で適宜の変更を行うことができる。
【0048】
本実施形態では、屋内環境を構築する目的を屋内15の温度や湿度といった条件を最適にすることを目的としたが、当該目的は、各種の目的を設定できる。例えば、屋内15の汚れに応じて、空気清浄機が稼働するようにしたり、掃除機が稼働したりするようにしても良い。また、本実施形態では、屋内環境制御システム10を電気機器50とは別に設けるようにしたが、屋内環境制御システム10を構成する情報取得部20、演算部30及び通信部40は、電気機器50に設けられるものであっても良い。また、情報取得部20、演算部30及び通信部40が別々に設けられたり、これらの一部又は全部が組み合わされているものでも良い。
【0049】
本実施形態では、演算部30が、実環境情報21と目標環境情報31との乖離を減じるように電気機器50の制御情報を導出するようにしたが、気候条件等からの予測により、予め想定される条件に応じて、予測的に制御するようにしても良い。
【0050】
本実施形態では、演算部30が、人工知能を用いて電気機器50の動作条件を算出するものを例示したが、人工知能には、各種の手法を用いることができる。また、人工知能に代えて、各種のフィードバック手法などを用いることができる。
【0051】
本実施形態では、スマートスピーカー60が、情報取得部20、演算部30及び通信部40を一体に有するものを例示したが、スマートスピーカー60は、各種の構成のものを用いることができる。例えば、スマートスピーカー60は、情報取得部20、演算部30及び通信部40の一部又は複数の組合せであっても良い。また、上述の実施形態は、スマートスピーカー60で音声を電気機器50の制御信号に変換して間接的に電気機器50を制御しているが、音声を直接的に電気機器50に出力して電気機器50を制御するようにしても良い。
【0052】
本実施形態では、情報取得部20が、カメラ、温度計、湿度計、照度計、人感センサ、電気機器50の使用状況取得手段の少なくとも一つからなることを例示したが、情報取得部20は、これらに限定されるものではない。例えば、空気の汚れ度合いを検出するセンサ、床面の汚れセンサ、音量センサなど各種の情報取得機器が用いられても良い。
【0053】
本実施形態では、電気機器50が、エアコン50b、自動開閉式カーテン50c、加湿器、除湿器、空気清浄機、照明機器50d、テレビ50a、報知器、通信機器51の少なくとも一つからなることを例示したが、電気機器50には、各種のものを採用することができる。例えば、電気機器50は、介護用ベッドや介護用ロボットなどであっても良い。
【0054】
本実施形態では、屋内15に、高齢者等が独り暮らしする場合を例示したが、屋内15に複数の入居者が存在しても良い。また、入居者は、介護又は看護が必要な者、若しくは高齢者に限定されるものではなく、これらのもの以外の者が居住するものであっても良い。また、高齢者等と、例えば介護者や看護者等が同居するものであっても良い。
【0055】
本実施形態では、入居領域から離れた位置に遠隔端末70を配置したが、遠隔端末70は入居領域の屋内15と隣接する位置であっても良い。例えば、介護施設や看護施設において、屋内環境制御システム10が配置される入居領域と、遠隔端末70が配置される領域が隣接したり、同じビル内等に存在したりする場合が挙げられる。また、本実施形態では、遠隔端末70として、スマートフォン、携帯端末、パソコン、スマートスピーカーを例示したが、遠隔端末70は、各種のものを採用することができる。
【0056】
なお、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の屋内環境制御システムは、一般住宅、アパート、マンション、ビルなどの居住家屋内に利用することが可能である。また、本発明の屋内環境制御システムは、介護又は看護が必要な者、若しくは高齢者が居住する介護施設、看護施設などの居住家屋内に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0058】
5 :施設
10 :屋内制御システム
15 :屋内
20 :情報取得部
21 :実環境情報
30 :演算部
31 :目標環境情報
40 :通信部
50 :電気機器
50a:テレビ
50b:エアコン
50c:自動開閉式カーテン
50d:照明機器
50e:カメラ
51 :リモコン(通信機器)
60 :スマートスピーカー
70 :遠隔端末