特開2021-129394(P2021-129394A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2021129394-非接触給電装置 図000003
  • 特開2021129394-非接触給電装置 図000004
  • 特開2021129394-非接触給電装置 図000005
  • 特開2021129394-非接触給電装置 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-129394(P2021-129394A)
(43)【公開日】2021年9月2日
(54)【発明の名称】非接触給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20210806BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20210806BHJP
【FI】
   H02J50/10
   H01F38/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2020-22472(P2020-22472)
(22)【出願日】2020年2月13日
(71)【出願人】
【識別番号】592259510
【氏名又は名称】竹内工業株式會社
(74)【代理人】
【識別番号】100107700
【弁理士】
【氏名又は名称】守田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】中川 重保
(72)【発明者】
【氏名】八木橋 啓
(72)【発明者】
【氏名】及部 圭
(57)【要約】
【課題】煩雑な作業を要することなく、移動体の移動軌跡に沿って移動体に常時十分な給電を行うことが可能な非接触給電装置を提供する。
【解決手段】静止側に設けられた給電コイル2A〜2Dから、これに対向させて移動体Ct側に設けられた受電コイル1A〜1Cへ電磁結合によって給電を行う非接触給電装置において、給電コイル2A〜2Dは所定長のものが移動体(Ct)の移動軌跡に沿って複数配設されており、これら給電コイル2A〜2Dの隣り合う端部21,22の少なくとも一方で、コイル線24の巻き方向および巻き数を、給電コイル2A〜2Dの主コイル部23の巻き方向と同方向でかつ前記主コイル部23の巻き数よりも多くしてある。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止側に設けられた給電コイルから、これに対向させて移動体側に設けられた受電コイルへ電磁結合によって給電を行う非接触給電装置において、前記給電コイルは所定長のものが前記移動体の移動軌跡に沿って複数配設されており、これら給電コイルの隣り合う端部の少なくとも一方で、コイル線の巻き方向および巻き数を、前記給電コイルの一般部の巻き方向と同方向でかつ前記一般部の巻き数よりも多くしてあることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項2】
前記各給電コイルは、同一のコイル線が給電コイルの一端部と、これに続いて他端部でそれぞれ所定巻き数だけ巻回されており、巻回された前記一端部と前記他端部のコイル線を囲むようにこれらの外周に前記コイル線が架け渡されるように巻回されている請求項1に記載の非接触給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非接触給電装置に関し、特に、移動体の受電コイルに対して静止側に設けた給電コイルから安定した給電を行うことが可能な非接触給電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンベア上を搬送されるコンテナ等の移動体で内容物の表示を行いたい場合等があり、従来は表示用等の電源として電池を使用しているが、電池の交換が煩わしいという問題があった。そこで、移動体に非接触で表示用電源等を供給したいという要請があり、給電コイルと受電コイルによる電磁的結合で非接触給電を行うことが考えられた。ところが、コンベアで比較的長い行程を運ばれるコンテナ等の移動体に対して、コンベアに沿った長大な給電コイルを設置することはコイルの製作自体が困難であるとともに過大な供給電力を必要とする等の点で非現実的である。そこで、短尺の給電コイルをコンベアに沿って複数配置することが考えられるが、前後の給電コイルの端部間で給電量が低下するという問題があった。そこで、例えば特許文献1では、前後の給電コイルの端部を互いに上下に重ねることで給電量の低下を避けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−220268
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記文献に記載の構造では、コイル端部を重ねる作業や十分な給電量を得るためのコイル端部の重ね量の調整が煩雑であるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、煩雑な作業を要することなく、移動体の移動軌跡に沿って移動体に常時十分な給電を行うことが可能な非接触給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本第1発明では、静止側に設けられた給電コイル(2A〜2D)から、これに対向させて移動体(Ct)側に設けられた受電コイル(1A〜1C)へ電磁結合によって給電を行う非接触給電装置において、前記給電コイル(2A〜2D)は所定長のものが前記移動体(Ct)の移動軌跡に沿って複数配設されており、これら給電コイル(2A〜2D)の隣り合う端部(21,22)の少なくとも一方で、コイル線(24)の巻き方向および巻き数を、前記給電コイル(2A〜2D)の一般部(23)の巻き方向と同方向でかつ前記一般部(23)の巻き数よりも多くしてある。
【0007】
本第1発明においては、移動体の移動軌跡に沿って設けた給電コイルの隣り合う端部の少なくとも一方で、コイル線の巻き方向および巻き数を、前記給電コイルの一般部の巻き方向と同方向でかつ前記一般部の巻き数よりも多くしたことにより、隣り合う給電コイルの境界である端部領域を移動体が通過する際の、当該移動体に設けられた受電コイルの受電量の低下が小さく抑えられる。これにより、移動体の移動軌跡の全体にわたって常時十分な給電が保証される。
【0008】
本第2発明では、前記各給電コイル(2A〜2D)は、同一のコイル線(24)が給電コイル(2A〜2D)の一端部(21)と、これに続いて他端部(22)でそれぞれ所定巻き数だけ巻回されており、巻回された前記一端部(21)と前記他端部(22)のコイル線(24)を囲むようにこれらの外周に前記コイル線(24)が架け渡されるように巻回されている。
【0009】
本第2発明においては、給電コイルを扁平なケース内に収納してコンパクト化できるとともに、同一構造の給電コイルの量産や現場への設置が容易となる。
【0010】
上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を参考的に示すものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の非接触給電装置によれば、従来のような煩雑な作業を要することなく、移動体の移動軌跡に沿って移動体に常時十分な給電を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】非接触給電装置のコイル配置を示す概略平面図である。
図2】給電コイルと受電コイルの電気系ブロック図である。
図3】給電コイルのコイル線の配線図である。
図4】給電特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
なお、以下に説明する実施形態はあくまで一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が行う種々の設計的改良も本発明の範囲に含まれる。
【0014】
(第1実施形態)
図1には本発明の非接触給電装置を構成する給電コイルと受電コイルの配置を示す。図1において、受電コイル1A〜1Cはコンベアによって搬送されるコンテナ等の移動体Ctにそれぞれ設けられており、各受電コイル1A〜1Cのコイル線は例えば0.2mmφのリッツ線を3本程度束ねたものを使用し、これを長さ200mm程度の略矩形状に300回程度巻回してある。これら各受電コイル1A〜1Cは移動体Ct上に設けた表示器等の負荷4(図2)へ整合回路3を介して接続されている。
【0015】
給電コイル2A〜2Dは静止側に設けられており、詳細を後述するように、各給電コイル2A〜2Dの隣り合う端部21,22ではコイル線の巻き数が主コイル部(一般部)23に比して多くしてある。このような給電コイル2A〜2Dはそれぞれ図2に示すように整合回路5を介して発振器6に接続されており、例えば40V、26KHzの高周波電源が各給電コイル2A〜2Dに供給されて、磁界共鳴方式によって受電コイル1A〜1Cへ非接触で給電が行われる。
【0016】
給電コイル2A〜2Dは実際には矩形の樹脂ケース(図示略)内に収容されて、移動体Ctの移動軌跡に沿って互いに樹脂ケースの長手方向端部を当接させた状態で複数配設される。この状態で、隣り合う給電コイル2A〜2Dの長手方向端部21,22間は例えば0〜4mm程度離れている。移動体Ctが移動しても、これに設けた各受電コイル1A〜1Cは移動軌跡に沿って設けられた給電コイル2A〜2Dに対して常に例えば20mm程度の間隔で対向するように各移動体Ctに設置されている。
【0017】
図3に給電コイル2A〜2Dのコイル線24の配線の一例を示す。使用するコイル線24は例えば0.2mmφのリッツ線を20本程度束ねたものを使用する。図中の矢印はコイル線24の巻き方向を示しており、コイル線24は整合回路5との接続端子Sから給電コイル2A〜2Dの一端部21で、100mm角程度の領域内で略矩形状に4回程度巻回された後、給電コイル2A〜2Dの他端部22へ向かってここで100mm角程度の領域内で略矩形状に4回程度巻回され、この後、両端部21,22のコイル線24を囲むようにこれらの外周に長さ2000mm程度の横長矩形状に架け渡されるように4回程度巻回されて、整合回路5との接続端子Eへ至っている。このような配線とすることにより、給電コイル2A〜2Dの両端部21,22では主コイル部23に対して、コイル線24の巻き方向は同じで、かつコイル線24の巻き数は実質的に約2倍となっている
【0018】
図4には給電コイル2A〜2Dの両端部21,22のコイル線24の巻き数を主コイル部23の約2倍とした場合(線x)と、両端部21,22のコイル線24の巻き数を主コイル部23と同じ巻き数とした場合(線y)につき、給電特性を比較したグラフを示す。図4の横軸は隣り合う給電コイル2A〜2Dの、当接するケース端面を基準にその前後の距離を示し、縦軸はこの間を移動体Ctが移動した時の、受電コイル1A〜1Cで得られる受電電圧を示す。
【0019】
図4の線yより明らかなように、給電コイル2A〜2Dの両端部21,22でのコイル線24の巻き数を主コイル部23と同一にした場合には、隣り合う給電コイル2A〜2Dの端部21,22領域で、移動体Ctに設けられた受電コイル1A〜1Cの受電電圧が、給電表示器等の負荷を動作させるのに必要な下限電圧(本実施形態では6V程度)Vtを下回ってしまう。これに対して、両端部21,22におけるコイル線24の巻き数を主コイル部23に比して約2倍にした場合には、隣り合う給電コイル2A〜2Dの端部21,22領域での受電電圧(受電量)の低下が抑えられて下限電圧Vtを下回ることが回避され、移動体Ctの移動範囲の全領域にわたって常に、移動体Ct上の負荷を作動させるのに十分な受電電圧が得られる。なお、端部21,22におけるコイル線24の巻き数を主コイル部23の巻き数の約2倍としたのはあくまで一例であり、これに限定されるものではない。
【0020】
本実施形態の構造によれば、扁平なケース内に同一構造の給電コイル2A〜2Dを用意し、これらを移動体Ctの移動軌跡に沿ってケースの長手方向両端を互いに当接ないし近接させて配置すれば良いから、製造および設置の手間が大きく軽減される。
【0021】
(その他の実施形態)
なお、給電コイルの隣り合う両端部の両方でコイル線の巻き数を増やす必要はなく、いずれか一方の端部でのみコイル線の巻き数を増やすようにしても良い。
【符号の説明】
【0022】
1A、1B,1C…受電コイル、2A,2B,2C,2D…給電コイル、21…一端部、22…他端部、23…主コイル部(一般部)、24…コイル線、Ct…移動体。
図1
図2
図3
図4