【解決手段】養殖筏(10a)は、筒状の樹脂パイプ(1)を用いて形成された複数の枠状部(1a)を束ねた枠体(2)を有しており、樹脂パイプ(1)の中心軸と直交する平面で樹脂パイプ(1)を切断したときに表れる、樹脂パイプ(1)の外縁によって規定される図形の面積をS(mm
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、先に説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない場合がある。
【0014】
〔本発明の着眼点〕
二枚貝に使用する無給餌養殖の場合の筏は、一般に二枚貝の収量を可能な限り多くさせるために従来は、筏の縦横に組んだ竹に垂下連を垂下させている。すなわち、筏の構成を考えるときには筏の中央部に多くの垂下連を垂下させるよう考えていくのが貝類を養殖する当業者の考えであることから、後述する環状の枠体2では、中央水域に何も垂下できないと考えるのが自然である。このため、枠体2を環状とすると、二枚貝の収量が減少するという考え方になり、枠体2を環状にすることを、貝類を養殖する当業者は一般的に想到しない。本発明者らは、発泡スチロール不要の二枚貝養殖筏を何としても実現させたいという強い意思で環状の枠体2を想到した。
【0015】
また、筏の枠体2の形状が環状の場合、中央水域に何も垂下できないため、中央水域をできるだけ狭い範囲に留める必要がある。このため、筏全体の直径をできるだけ小さくする必要があるが、そのためには、樹脂パイプ1を曲げ加工し易くする必要がある。樹脂パイプ1を曲げ加工し易くするには、樹脂パイプ1の外径を細くする必要があるが、その場合、単位長さ当たりの樹脂パイプ1に働く有効浮力が小さくなってしまう。このため、本発明者らは、枠体2を構成する枠状部1aの個数を増やすことで、枠体2全体の有効浮力を増加させることができる点に思い至った。このため、以下で説明する形態では、枠体2を構成する枠状部1aの個数を複数としている。
【0016】
〔実施形態1〕
まず、
図1および
図2に基づき、本発明の実施形態1に係る養殖筏(浮体構造物)10aの構造について説明する。養殖筏10aは、海面養殖であって無給餌養殖を実施する、牡蠣、ホタテ、真珠貝などの二枚貝を養殖するのに適している。養殖筏10aは、後述する垂下連5などの魚介類の養殖設備を水中で維持するようになっている。
【0017】
養殖筏10aは、筒状の樹脂パイプ(浮体)1を用いて形成された複数の枠状部1aを、結束具3を用いて束ねた枠体2を有している。本実施形態では、3本の環状の枠状部1aを結束具3で束ねて枠体2を構成している。このため、本実施形態では、枠体2の形状は円環状になっている。なお、枠体2の形状はこれに限定されず、矩形の環状、矩形以外の多角形の環状であっても良い。
【0018】
枠体2には、二枚貝養殖用の垂下連(養殖設備)5が垂下される。垂下連5は、
図2に示すように二枚貝6を収容可能となっており、側面壁や底面壁や上面壁等のすべての壁面が水流出入可能に形成された養殖容器で構成されている。養殖容器は格子状の壁で構成されているため、海中に存在するプランクトン等の二枚貝6の餌が養殖容器内に流出入し易く、二枚貝6の育成が促進される。
【0019】
次に、枠状部1aを環状にすると、枠体2に囲まれた内側は外側に比較して波浪の高さが低くなり潮流の速さが遅くなるので、垂下連5に収容された二枚貝6が摂餌している時間が長くなり二枚貝6の収量増加が期待できる。
【0020】
結束具3の材質は、樹脂製や金属製でも良いが、海上使用での耐久性を考慮すると樹脂製が好ましい。また、樹脂パイプ1は、硬さや強さに優れる高密度ポリエチレン製のパイプで構成することが好ましいが、樹脂パイプ1の材質はこれに限定されない。例えば、樹脂パイプ1の材質としては、その他、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等を例示することができる。
【0021】
本実施形態の枠体2は、垂下連5を2連以上、ロープ4を用いて直接的に垂下することが可能になっている。また、枠体2を水面に浮かせたときの枠体2自体の有効浮力は、枠体2自体に直接結束して垂下させる複数の垂下連5の合計の水中重量よりも大きくなっている。言い換えれば、養殖筏10aは、枠体2自体の浮力により垂下連5を水中で維持するようになっている。これにより、垂下連5などの養殖設備を水中に維持した状態で、枠体2を水面に浮かせることができるため、発泡スチロール等のフロートを設置する必要がない。なお、本実施形態では、垂下連5の個数は、8個であるが、これに限定されず、養殖筏10aが沈まない程度の個数であればよい。
【0022】
ここで、浮力は、枠体2を液体中に沈めたときに枠体2が押しのけた液体の重さと同じ大きさの力であって、枠体2に対して上向きに働く力である。有効浮力は、対象に働く浮力からその対象の自重を引いたものである。有効浮力は、液体の比重によって変化し、枠体2を淡水に浮かべるか、または海水に浮かべるか、の何れかで、その大きさが変化する。
【0023】
本実施形態では、枠体2を水面に浮かせたときの枠体2自体の有効浮力を、枠体2に垂下させる複数の垂下連5の合計の水中重量よりも大きくしているので、発泡スチロール等のフロートが必要ない。すなわち、筏の最低限の構成要件として枠体2のみを有していれば良いので、本実施形態の養殖筏10aの構造は極めてシンプルである。
【0024】
また、本実施形態の養殖筏10aでは、
図1に示すように、樹脂パイプ1を直線状に伸ばした場合の樹脂パイプ1の中心軸と直交する平面で樹脂パイプ1を切断したときに表れる、樹脂パイプ1の外縁によって規定される図形(円形)の面積をS(mm
2)とするとき、S≦4.0×10
4が成立するようになっている。
【0025】
S>4.0×10
4の場合と比較して、S≦4.0×10
4の場合、樹脂パイプ1の曲げ加工が顕著に容易になる。これにより、樹脂パイプ1を曲げ加工し易くなる。このため、発泡スチロール等のフロートを使用せず、従来の養殖筏よりも現場での施工が容易な養殖筏10aを実現することができる。また、前記構成によれば、垂下連5を水中に維持した状態で、枠体2を水面に浮かせることができるため、発泡スチロール等のフロートを枠体2に設置する必要がない。
【0026】
本実施形態では、枠体2は、枠状部1aとして、複数の筒状の樹脂パイプ1によって個別に形成された複数の枠を含んでいる。これにより、枠体2を複数の枠状部1aに分解することにより運搬を容易にできるため、輸送コストを低減することができる。また、枠体2を構成するためには、複数の枠状部1aを束ねれば良いので、現場での施工を容易にすることができる。
【0027】
また、本実施形態の樹脂パイプ1は、高密度ポリエチレンで形成されており、かつ、樹脂パイプ1の断面の外径が200mm以下であることが好ましい。これにより、複数の枠状部1aを束ねて枠体2を形成することが容易になる。
【0028】
(枠状部の個数と樹脂パイプの外径との関係)
次に、養殖筏10aを構成する枠体2の枠状部1aの個数と樹脂パイプ1の外径との関係について説明する。枠状部1aの個数をn(個)とし、
図1に示すように樹脂パイプ1の断面における外径をd(mm)とするとき、下記(1)式で示す関係式が成り立つ。
n>(1.6×10
3)/(π×d) (但し、d≦225)・・・(1)
前記断面とは、樹脂パイプ1を直線状に伸ばした場合の樹脂パイプ1の中心軸に対して垂直な平面で樹脂パイプ1を切断したときの断面である。この関係式は、以下のようにして求めることができる。
【0029】
筏浮体部の容積V(cm
3)は、V=(樹脂パイプ1の断面積)×単位長さ×筏円周×(枠状部1aの個数)・・・(2)
で与えられる。ここで、円形の養殖筏10aの直径をD(m)とし、枠状部1aの個数をnとすると、
V=π×(d/2)
2×100×π×D×n・・・(3)
が成り立つ。
【0030】
さらに、樹脂パイプ1の1m当たりの荷重をW(kg)とすると、筏が支えるべき荷重Sは、
S=π×D×W=πDW・・・(4)
で与えられる。
【0031】
V/1000≧SのV、Sに前記(3)式および(4)式を代入すると、
π×(d/2)
2×100×π×D×n/1000≧πDW・・・(5)
が成立する。これにより、n≧(4W×10
3)/(π×d
2)の関係式が得られる。
【0032】
ここで、養殖筏10aに吊るすことができる荷重W(kg)は、これまでの経験から樹脂パイプ1の外径dと比例関係にあり、W=0.4dであるとすると、
n>(1.6×10
3)/(π×d) (但し、d≦225)・・・(6)
の関係式が得られる。これにより、樹脂パイプ1の外径dの大きさに応じて枠体2を構成する枠状部1aの個数nの下限値を決定することができる。例えば、d=225の場合、n>2.26となるため、枠状部1aの個数nは3以上であることが好ましい。
【0033】
〔実施例1〕
実施例1の樹脂パイプ1は、Φ125mm、管厚6mm、および自重2.3kg/mのものを用いた。養殖筏10aの内径は8mである。このとき、樹脂パイプ1が1本あたりでは、円周=8×π=25(m)、浮力=(12.5/2)
2×π×100/1000×25=306.6kg、自重=2.3×25=57.5kg、有効浮力=306.6−57.5=249.1kgである。
【0034】
枠状部1aが6個では、有効浮力は、249.1×6=1.5t、枠状部1aが9個では、249.1×9=2.2tである。
【0035】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0036】
図3に基づき、本発明の実施形態2に係る生簀(浮体構造物)10bの構造について説明する。生簀10bは、海面養殖であって給餌養殖を実施する、魚類や海老などの魚介類を養殖するのに適している。
【0037】
生簀10bは、筒状の樹脂パイプ1を用いて形成された複数の矩形状の枠状部1aを、結束具3を用いて束ねた枠体2を有している。これにより、本実施形態の生簀10bは、枠体2が矩形の環状となっている。なお、枠体2の形状は、これに限定されない、枠体2の実施形態1の養殖筏10aのように円環状であっても良いし、三角形の環状や、矩形以外の多角形の環状であっても良い。なお、本実施形態では、
図3に示すように結束具3の個数を4個としているが、これに限定されない。結束具3の個数は、枠状部1aの結束状態が崩れない程度の個数であれば良い。
【0038】
本実施形態の枠体2は、魚介類養殖用の網(養殖設備)7を直接的に垂下することが可能になっている。また、枠体2を水面に浮かせたときの枠体2自体の有効浮力は、枠体2に垂下させる網7の水中重量よりも大きくなっている。
【0039】
また、本実施形態の生簀10bでは、樹脂パイプ1の中心軸と直交する平面で樹脂パイプ1を切断したときに表れる、樹脂パイプ1の外縁によって規定される図形(矩形)の面積をS(mm
2)とするとき、S≦4.0×10
4が成立するようになっている。
【0040】
本実施形態では、生簀の最低限の構成要件として枠体2のみを有していれば良いので、本実施形態の生簀10bの構造は極めてシンプルである。
【0041】
また、本実施形態の生簀10bでは、樹脂パイプ1の外縁によって規定される図形の面積Sについて、S≦4.0×10
4が成立する。S>4.0×10
4の場合と比較して、S≦4.0×10
4の場合、樹脂パイプ1の曲げ加工が顕著に容易になる。これにより、樹脂パイプ1を曲げ加工し易くなる。このため、発泡スチロール等のフロートを使用せず、従来の生簀よりも現場での施工が容易な生簀10bを実現することができる。また、前記構成によれば、網7を水中に維持した状態で、枠体2を水面に浮かせることができるため、発泡スチロール等のフロートを枠体2に設置する必要がない。
【0042】
〔実施形態3〕
図4に基づき、本発明の実施形態3に係る養殖筏(浮体構造物)10cの構造について説明する。
【0043】
本実施形態の養殖筏10cは、枠体2が、1本の樹脂パイプ1を枠状に複数回(本実施形態では6回)巻くことによって形成された複数の枠状部1bを含んでいる点で、実施形態1の養殖筏10aと異なっている。これにより、1本の樹脂パイプ1を枠状に複数回巻いて運搬し易い適切なサイズで枠体2を構成できるため、輸送コストを低減することができる。また、枠体2を構成するために、1本の樹脂パイプ1を枠状に複数回巻いて束ねるだけで良いので、現場での施工を容易にすることができる。
【0044】
本実施形態の枠体2は、上述した二枚貝養殖用の垂下連5を2連以上、ロープ4を用いて直接的に垂下することが可能になっている。また、枠体2を水面に浮かせたときの枠体2自体の有効浮力は、枠体2自体に直接結束して垂下させる複数の垂下連5の合計の水中重量よりも大きくなっている。
【0045】
また、本実施形態の養殖筏10cでは、樹脂パイプ1の中心軸と直交する平面で樹脂パイプ1を切断したときに表れる、樹脂パイプ1の外縁によって規定される図形(円形)の面積をS(mm
2)とするとき、S≦4.0×10
4が成立するようになっている。
【0046】
本実施形態では、枠体2を水面に浮かせたときの枠体2自体の有効浮力を、枠体2に垂下させる複数の垂下連5の合計の水中重量よりも大きくしているので、発泡スチロール等のフロートが必要でない。すなわち、筏の最低限の構成要件として枠体2のみを有していれば良いので、本実施形態の養殖筏10cの構造は極めてシンプルである。
【0047】
また、本実施形態の養殖筏10cでは、樹脂パイプ1の外縁によって規定される図形の面積Sについて、S≦4.0×10
4が成立する。S>4.0×10
4の場合と比較して、S≦4.0×10
4の場合、樹脂パイプ1の曲げ加工が顕著に容易になる。これにより、樹脂パイプ1を曲げ加工し易くなる。よって、発泡スチロール等のフロートを使用せず、従来の養殖筏よりも現場での施工が容易な養殖筏10aを実現することができる。また、前記構成によれば、垂下連5を水中に維持した状態で、枠体2を水面に浮かせることができるため、発泡スチロール等のフロートを枠体2に設置する必要がない。
【0048】
また、本実施形態の養殖筏10cでは、樹脂パイプ1が、高密度ポリエチレンで形成されており、かつ、樹脂パイプ1の断面の外径が90mm以下であることが好ましい。これにより、1本の樹脂パイプ1を枠状に複数回巻くことによって構成される枠体2を形成することができるため、パイプを繋ぐ融着作業を省くことができ、現場施工が容易になる。
【0049】
〔実施例2〕
実施例2の樹脂パイプ1は、Φ90mm、管厚4mm、および自重1.4kg/mのものを用いた。養殖筏10cの内径は8mである。このとき、樹脂パイプ1が1本あたりでは、円周=8×π=25(m)、浮力=(9/2)
2×π×100/1000×25=159kg、自重=1.4×25=35kg、有効浮力=159−35=124kgである。
【0050】
枠状部1bが12回巻きでは、有効浮力は、124×12=1.5t、枠状部1bが18回巻きでは、124×18=2.2tである。
【0051】
〔変形例〕
次に、
図5に基づき、本発明に係る樹脂パイプの構造の変形例である樹脂パイプ1の構造について説明する。本変形例の樹脂パイプ1は、その中空内(樹脂パイプ1の筒状体11に囲まれた空間)に発泡体12が挿入されている。これにより、樹脂パイプ1が破損した場合でも、樹脂パイプ1の中空内に水が浸入して枠体が水中に沈んでしまうことを抑止することができる。
【0052】
発泡体12の材料としては、熱可塑性エラストマー発泡体やスチレン系発泡体を例示することができる。
【0053】
また、本実施形態では、樹脂パイプ1の中空内に水が浸入しないように、発泡体12が中空のすべて埋めるような態様になっているが、これに限定されない。発泡体12と筒状体11との間に隙間があっても良い。
【0054】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る浮体構造物(養殖筏10a、生簀10b、養殖筏10c)は、魚介類の養殖設備(垂下連5、網7)を水中で維持する浮体構造物であって、筒状の浮体(樹脂パイプ1)を用いて形成された複数の枠状部(1a)を束ねた枠体(2)を有しており、前記浮体の中心軸と直交する平面で前記浮体を切断したときに表れる、前記浮体の外縁によって規定される図形の面積をS(mm
2)とするとき、S≦4.0×10
4が成立し、前記枠体自体の浮力により、前記養殖設備を水中で維持する構成である。
【0055】
前記構成によれば、浮体の断面の面積Sについて、S≦4.0×10
4が成立する。S>4.0×10
4の場合と比較して、S≦4.0×10
4の場合、浮体の曲げ加工が顕著に容易になる。これにより、浮体を曲げ加工し易くなる。よって、現場での施工が容易な浮体構造物を実現することができる。また、前記構成によれば、養殖設備を水中に維持した状態で、枠体を水面に浮かせることができるため、発泡スチロール等のフロートを枠体に設置する必要がない。
【0056】
本発明の態様2に係る浮体構造物(養殖筏10a、養殖筏10c)は、前記態様1において、前記枠体(2)を構成する前記枠状部の個数と前記浮体(樹脂パイプ1)の外径との関係が、下記の式で表されても良い。
【0057】
n>(1.6×10
3)/(π×d) (但し、d≦225)
n:枠状部の個数[個]、d:浮体の外径[mm]
前記構成によれば、浮体の外径の大きさに応じて枠体を構成する枠状部の個数の下限値を決定することができる。
【0058】
本発明の態様3に係る浮体構造物(養殖筏10a、生簀10b)は、前記態様2において、前記枠体(2)は、前記枠状部(1a)として、複数の前記筒状の浮体(樹脂パイプ1)によって個別に形成された複数の枠を含んでいても良い。前記構成によれば、運搬が容易な適切なサイズの枠状の浮体を構成できるため、輸送コストを低減することができる。また、枠体を構成するためには、複数の枠状の浮体を束ねれば良いので、現場での施工を容易にすることができる。
【0059】
本発明の態様4に係る浮体構造物(養殖筏10a、生簀10b)は、前記態様3において、前記浮体(樹脂パイプ1)は、高密度ポリエチレンで形成されており、かつ、前記外径が200mm以下であっても良い。前記構成によれば、複数の枠状部を束ねて枠体を形成することが容易になる。
【0060】
本発明の態様5に係る浮体構造物(養殖筏10c)は、前記態様2において、前記枠体(2)は、1本の前記浮体(樹脂パイプ1)を枠状に複数回巻くことによって形成された複数の前記枠状部(1b)を含んでいても良い。前記構成によれば、1本の浮体を枠状に複数回巻いて運搬し易い適切なサイズで枠体を構成できるため、輸送コストを低減することができる。また、枠体を構成するために、1本の浮体を枠状に複数回巻いて束ねるだけで良いので、現場での施工を容易にすることができる。
【0061】
本発明の態様6に係る浮体構造物(養殖筏10c)は、前記態様5において、前記浮体(樹脂パイプ1)は、高密度ポリエチレンで形成されており、かつ、前記外径が90mm以下であっても良い。前記構成によれば、1本の浮体を枠状に複数回巻くことによって構成される枠体を形成することが容易になる。
【0062】
本発明の態様7に係る浮体構造物(養殖筏10a、生簀10b、養殖筏10c)は、前記態様1〜6の何れかにおいて、前記浮体(樹脂パイプ1)の中空内に発泡体(12)が挿入されていても良い。前記構成によれば、浮体が破損した場合でも、浮体の中空内に水が浸入して枠体が水中に沈んでしまうことを抑止することができる。
【0063】
本発明の態様8に係る浮体構造物(養殖筏10a、養殖筏10c)は、前記態様1〜7の何れかにおいて、前記浮体構造物は、二枚貝の養殖に用いられる養殖筏であっても良い。前記構成によれば、二枚貝の養殖が可能になる。
【0064】
本発明の態様9に係る浮体構造物(生簀10b)は、前記態様1〜7の何れかにおいて、前記浮体構造物は、生簀であっても良い。前記構成によれば、魚類や海老などの養殖が可能になる。
【0065】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。