【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明者は、ニシキギ目ニシキギ科サラシア属のサラシア・レティキュレータ(コタラヒムブツ)粉砕物と小麦粉及び/又は米粉との混合物に、水及びコタラヒムブツ粉砕物と小麦粉及び/又は米粉との混合物を加えながら、三本ロールを用いて製造した混錬物は、コタラヒムブツ粉砕物が均一に分散した小麦粉及び/又は米粉と水の混錬物となり、うどんのドウ及びたこ焼きのバッター、並びに、フォーの生地に速やかに混入して、コタラヒムブツ粉砕物が均一に分散することを見出し、最終製品として試食実験したところ、コタラフィムブツ粉砕物が含まれていることを感じることなく食することができた。そこで、この混錬物に、各種糖類及び生薬等の生体調整機能剤を適用したところ、同様の効果及び結果が得られ、本発明の完成に至った。
【0028】
すなわち、本発明は、生体調整機能剤が少なくとも一種以上が均一に存在する小麦粉及び/又は米粉と水との混錬物で、小麦粉のドウ及びバッター、並びに、米粉の生地に混合容易であることを特徴とする小麦粉及び/又は米粉加工食品用マスターバッチであり、あらゆる小麦粉及び/
又は米粉加工食品に適用できる。
【0029】
食品の機能には、第一次機能として、栄養機能で、栄養素としての働き、第二次機能として、感覚機能で、五感(視覚・嗅覚・聴覚・味覚・触覚)に訴える働き、そして、第三次機能として、生体調整機能で、消化器系、循環器系、内分泌系、免疫系、神経系等の生理調節を行い、健康の維持・増進等、人の健康、身体能力、心理状態に対して良い影響を与える働きがあると分類されているが、特に、生体調整機能剤が、これらのどの機能を有するかは明確でないと考えられる。しかし、本発明の生体調整機能剤は、「生体調整機能成分」、「生体調整機能成分」を含む天然由来の生薬及び/又は伝承薬、それら生薬及び/又は伝承薬の抽出物、並びに、それらの抽出物の少なくとも一つ以上の「生体調整機能成分」以外の機能成分であれば、特に限定されないが、「保健機能成分」、「機能性関与成分」、及び、医薬部外品等のように、糖質吸収抑制機能、脂質吸収抑制機能、腸内環境改善機能等の生体調整機能を発現する成分、その成分を含む天然由来の生薬及び/又は伝承薬、並びに、それらの抽出物が好ましい。
【0030】
糖質吸収抑制機能を有する代表的な生体調整機能剤としては、スクラーゼ、マルターゼ、イソマルターゼ、ラクターゼ、トレハラーゼ、グルコアミラーゼ等の炭水化物消化酵素の阻害物質、及び、それらを含む天然由来の生薬及び/又は伝承薬、その抽出物、並びに、その抽出物に含まれる機能成分が使用される。
【0031】
天然由来の生薬及び/又は伝承薬としては、ニシキギ科サラシア属のサラシア・レティキュレータ、サラシア・オブロンガ、サラシア
・プリノイデス、サラシア ・チネンシス、サラシア・フルチコーサ、及び、サラシア・マクロスペルマ、並びに、キョウチクトウ科ギムネマ属のギムネマ・シルベスタ及びフトモモ科バンジロウ属のグァバの葉等を挙げることができる。従って、これらの抽出物、及び、抽出物に含まれる機能成分、特に、サラシノール、コタラノール、ネオコタラノール、ギムネマ酸、並びに、タンニン、カテキン、及び、プロアントシアニジン等の各種ポリフェノール等が、糖質吸収抑制機能を有する生体調整機能剤として用いることができる。また、植物の加工品である、蒸した大豆を塩漬けにして発酵、乾燥させた豆鼓、そのエキス、及び、その成分であるトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンも使用することができる。
【0032】
また、主として、微生物又は植物より得られた、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、及び、ペプチド類等を用いることができる。特に、単糖類としては、ボグリボース、ミグリトール、フロリジン、及び、L−アラビノース等、オリゴ糖類としては、アルカボーズ及び難消化性オリゴ糖等、多糖類としては、難消化性デキストリン及びポリデキストロース(これらは、食物繊維に分類されることも多い)等、ペプチド類としては、小麦アルブミン等を用いることができる。
【0033】
ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリリジン、ポリエチルアミン、ポリメタリルアミン、ポリビニルメチルイミダゾール、ポリビニルピリジン、キトサン、1,5−ジメチル−1,5−ジアザウンデカメチレン−ポリメトブロマイド(ポリブレン)等のポリアミンも脂質吸収抑制機能を有する生体調整機能剤として使用することも可能である。
【0034】
脂質吸収抑制機能を有する代表的な生体調整機能剤としては、リパーゼ等の脂質消化酵素の阻害物質を含む天然由来の生薬及び/又は伝承薬、その抽出物、及び、その抽出物の中の機能成分が使用される。
【0035】
天然由来の生薬及び/又は伝承薬としては、ブナ科クリ属のクリの皮、ブドウ科ブドウ属の各種ブドウの果実の種子、アオイ科カカオ属のカカオの果実の種子、ウリ科トウガン属のトウガンの果実の種子、キンポウゲ科オキナグサ属のオキナグサの根、セリ科ニンジン属のニンジン、トチュウ科トチュウ属のトチュウの葉、バラ科ビワ属のビワの葉、及び、ツバキ科ツバキ属のチャノキ等を使用することができる。また、糖質吸収抑制機能を有する生体調節機能剤として挙げたニシキギ科サラシア属の各種サラシア及びフトモモ科バンジロウ属のグァバの葉は、脂質吸収抑制機能も有している。従って、これらの抽出物、及び、その抽出物のリバーゼ阻害成分である、サラシノール、コタラノール、及び、ネオコタラノール、並びに、タンニン、プロアントシアニジン、及び、カテキン等の各種ポリフェノールを用いることができる。
【0036】
また、ニンジンの発酵物、並びに、チャノキを発酵させた、白茶、黄茶、青茶(ウーロン茶等)、紅茶、及び、黒茶(プーアル茶等)等には、脂質吸収抑制機能があり、好ましく用いられる。
【0037】
一方、脂質吸収抑制機能を有する成分として、油の成分として少量含まれているジシアルグリセロール、植物油に少量含まれている中鎖脂肪酸、イワシ及びサバ等の青魚に含まれているエイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)等の不飽和脂肪酸、グロビンタンパク分解物等のオリゴペプチド等も使用することができる。
【0038】
更に、糖質吸収抑制機能を有する成分として挙げた難消化性デキストリンは、脂質吸収抑制機能も有している。
【0039】
整腸及び便性改善等の腸内環境改善機能を有する代表的な生体調整機能剤としては、各種オリゴ糖類、多糖類、食物繊維、及び、乳酸菌を挙げることができる。また、スイスチーズ由来のプロピオン酸菌で発酵させた乳清発酵物(乳清タンパク)も好ましい。
【0040】
オリゴ糖類としては、キシロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラクチュロース、ガラクトオリゴ糖、ラフィノース、及び、コーヒーオリゴ糖等を用いることができ、特に、大豆オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖以外の難消化性オリゴ糖が好ましい。
【0041】
多糖類としては、糖質及び脂質吸収抑制機能を有する難消化性デキストリン及びポリデキストロースが腸内環境改善機能も併せ持ち、好ましく用いられる。また、増粘剤等に使用されてきたガラクトマンナン及びその分解物もある腸内環境改善機能を有しており、好ましく用いられる。なお、これらは、次に示すように、水溶性食物繊維に分類されることが多い。
【0042】
食物繊維は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に分類されるが、いずれの食物繊維も好ましく用いられる。不溶性食物繊維は、穀物、野菜、豆、キノコ、果実、海藻、甲殻類(エビやカニ)の殻等に含まれているが、キノコを除いては、その含有量が少なく、食物繊維を抽出して用いる必要がある。特に、サイリウム種皮、ビール酵母、及び、寒天由来の不溶性食物繊維が好ましい。そして、水溶性食物繊維としては、上記多糖類として挙げた難消化性デキストリン、ポリデキストロース、並びに、ガラクトマンナン及びその分解物を用いることができる。
【0043】
乳酸菌は、12以上の菌属に分類されており、桿菌としては、ラクトバチルス(Lactobacillus)、及び、カルノバクテリウム(Carnobacterium)等、球菌としては、ストレプトコッカス(Streptococcus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、エンテロコッカス(Enterococcus)、ペディオコッカス(Pediococcus)、テトラジェノコッカス(Tetragenococcus)、及び、ロイコノストック(Leuconostoc)等があるが、いずれの菌属に属する乳酸菌も使用することができる。植物性の乳酸菌が好ましく、特に、テトラジェノコッカス・ハロフィルス(Tetragenococcus halophilus、蔵華乳酸菌LTK−1と称して上市)及びラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum,KH3)が好ましい。
【0044】
また、糖質吸収抑制機能及び脂質吸収抑制機能有する生体調節機能剤として挙げたニシキギ科サラシア属の各種サラシアは、更に、腸内環境改善機能をも有している。従って、これらの植物の抽出物、及び、その抽出物の中の機能成分である、サラシノール、コタラノール、及び、ネオコタラノール、並びに、タンニン、プロアントシアニジン、及び、カテキン等の各種ポリフェノールを用いることができる
【0045】
以上、本発明に使用することが好ましい生体調整機能剤の代表例を挙げたが、これらに限定されるものではなく、中国に起源を有する生薬及び漢方薬、並びに、世界各地に存在する伝承薬を含めた生薬の中から、生体調整機能を有する生薬及びその抽出物を用いることができる。また、生体調整機能剤は、糖質吸収抑制機能、脂質吸収抑制機能、及び、腸内環境改善機能を有するものを複数組み合わせて用いることが好ましい。
【0046】
特に、生体調整機能剤が、生薬、生薬の抽出物、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、食物繊維、及び、乳酸菌から選択される少なくとも一つ以上であることが好ましい。中でも、糖質吸収抑制機能、脂質吸収抑制機能、及び、腸内環境改善機能を全て兼ね備えたニシキギ科サラシア属植物である、サラシア
・レティキュラータ、サラシア・プリノイデス、サラシア・チネンシス、サラシア・マクロスペルマ、サラシア・フルチコーサ、サラシア・オブロンガ等の根、茎、及び、葉、並びに、これらニシキギ科サラシア属植物の抽出物であることがより好ましく、サラシア・レティキュレータの根及び茎、並びに、その抽出物であることがより更に好ましい。また、生体調整機能剤として、ニシキギ科サラシア属植物の抽出物の中の機能成分である、サラシノール、コタラノール、及び、ネオコタラノールの中から選択される少なくとも一つ以上を用いることもできる。
【0047】
なお、上記生薬及び伝承薬としては、これまでに報告されている、次に示すようなハーブ等の植物を含む生薬及び/又は伝承薬を使用することができる。なお、ここで示す生薬及び伝承薬は、特許文献1、3、4、5、6,7、9、及び、10、並びに、非特許文献20、21、22、及び、23等に基づいた一例であり、現時点では明らかであるとは断定できないが、その効能が示唆されている生薬及び伝承薬も全て含む。また、機能別に生薬及び伝承薬を記載するが、生薬及び伝承薬の機能は、これらの記載に限定されるものではない。このような注釈は、生体調整機能を明確にするためには、正確かつ高精度の実験データの蓄積等に多大な労力と時間が必要であることに基づいている。また、本発明の目的は、小麦粉及び/又は米粉加工食品に、均一に生体調整機能剤を混入させるための小麦粉及び/又は米粉加工食品用マスターバッチを提供することであり、生体調整機能剤が限定されるものではないからである。
【0048】
中国由来の生薬と呼称される脂質吸収抑制機能を有する生体調整機能剤としては、ハクトウオウ(白頭翁)、ミツモウカ(密蒙花)、カイトウヒ(海桐皮)、ハクシジン(柏子仁)、トウガシ(冬瓜子)、ドッカツ(独活)、ヨウバイヒ(楊梅皮)、チョウジ(丁子、クローブ)、リョウキョウ(良姜)、ビンロウシ(檳榔子)、ケツメイシ(決明子)、ウワウルシ、イチョウ葉、コウブシ(香附子)、シャクヤク(芍薬)、オオレン(黄連)、オウバク(黄柏)、ボタンピ
(牡丹皮)、ウコン(ターメリック)、オウゴン(黄今)、ダイオウ(大黄)、ガイヨウ(艾葉)、ゲンノショウコウ(玄草)、ゴマ(胡麻)、ニクズク(肉豆く、ナツメグ)、メース(肉豆く衣)、カシ(訶子)、ソウズク(草荳蒄)、ビャクダン(白檀)、ケイヒ(桂皮、支那肉桂)、レンニク(蓮肉)、カヨウ(荷葉)、トチュウヨウ(杜仲茶葉)、タラヨウ(多羅葉)、カモミール(カミツレ)、ダイウイキョウ(大茴香)、タマネギ(玉葱)、タマネギノカワ(玉葱の皮)、ツキミソウ(月見草)、カラモッコウ(唐木香)、ショウモッコウ(青木香)、センモッコウ(川木香)、ドモッコウ(土木香)、コウボク(厚朴)、マツバ(松葉)、マツノミ(松の実)、マツ(松)、シュロシ(棕櫚子)、シュロジツ(棕櫚実)、シュロヨウ(棕櫚葉)、スイコウカシ(水紅花子)、スイヨウバイ(水楊梅、大根草)、アンソクコウジュ(安息香樹)、セイヒ(青皮)、オウゴン(黄ごん)、バンカ(蕃果)、トウヒ(橙皮)、ハクガイシ(白芥子)、ガイハク(薤白)、サンヤク(山薬)、人参(発酵物)、サイチャ(細茶)、ラフマ(羅布麻)、トウヨウ(桃葉)、トウニン(桃仁)、キンギンカ(金銀花)、クジン(苦参)、フジキ(藤木)、クルミ(胡桃)、ジリュウ(地竜)、ソウキセイ(桑寄生)、ヤコウトウ(夜交藤)、及び、レイシ(霊芝)等を挙げることができる。
【0049】
インド、スリランカ、ブラジル等の伝承薬と呼称される脂質吸収抑制機能を有する生体調整機能剤としては、カスカラ(コーヒーの果肉皮)、カツアーバ (樹皮)、アムラ(ユカン、果実)、アラマキ(果実)、ビビタキ(果実)、ハリタキ(果実)、カイソウ(海葱、鱗茎)、クスノハガシワ(カラムの木の果実)、ガルシニア・インディカ(果実)、コパイバ(幹)、ジャボチカバ(果実)、スクピラ(果実)、ジュルベバ(幹・根・葉・果実)、カチャナール(花・樹皮)、ウアナルポマチョ(幹)等を挙げることができる。
【0050】
ハーブと呼称される脂質吸収抑制機能を有する生体調整機能剤としては、ハッカ
(薄荷、ペパーミント、全草)、セイボリー(キダチハッカ・全草)、ヒソップ(ヤナギハッカ・全草)、ペニーロイヤル(メグサハッカ・全草)、レモンバーム(コウスイハッカ・全草)、レモングラス(全草)、オリーブ(葉)、オールスパイス(葉・枝・果実)、タイム(全草)、リンデン(ボダイジュ・ライム・セイヨウナシノキ、葉・花)、ユーカリ(葉・枝)、オレガノ(葉)、アルファルファ(全草)、セイジ(葉)、ディル(葉・種子)、ローズヒップ(果実)、ローズマリー(葉)、ラベンダー(全草)、マジョラム(葉)、サフラワー(花)、ダンデリオン(西洋タンポポ、全草)、ラークスパー(全草)、ムラサキタデ(葉・茎)、バジル(メボウキ・葉)、及び、ハイビスカス(花)等を挙げることができる。ハーブと呼称されるものではない栗、ブドウ、オオアラセイトウ等の植物の、それぞれ、渋皮、種子、及び、種子等も効能が報告されている。
【0051】
また、茶類も脂質吸収抑制機能を有する生体調整機能剤として有用であると報告されており、緑茶、白茶、黄茶、青茶(ウーロン茶等)、紅茶、及び、黒茶(プーアール茶等)を挙げられるが、特に、発酵茶であり、発酵度が高い程好ましい。
【0052】
次いで、中国由来の生薬と呼称される糖質吸収抑制機能を有する生体調整機能剤としては、ラカンカ(羅漢果)、マオウ(麻黄)、オウセイ(黄精)、キグシ(枳具子)、ランソウ(蘭草)、レンセンソウ(連銭草)、ソウコンピ(そう根皮)、及び、タラノキカワ(たらの木皮)等を挙げることができる。
【0053】
インド、スリランカ、ブラジル等の伝承薬と呼称される糖質吸収抑制機能を有する生体調整機能剤としては、ギムネマ・シルベスタ(葉)、ヒロハセネガ(根)、サトウダイコン(根)、ホウキギ(トンブリ、果実)、タラノキ(芽)、ホウレンソウ(全草)、ツルムラサキ(全草)、トチノキ(種子)、チャノキ(種子)、ツバキ(種子)、及び、インスリーナ(葉)等を挙げることができる。
【0054】
腸内環境改善機能を有する生体調整機能剤としては、中国由来の生薬が多く、ソウジュツ
(蒼朮)、タイソウ(大棗)、チンピ(陳皮)、トウキ(当帰)、ハンゲ(半夏)、ブクリョウ(茯苓)、アカメガシワ(赤芽柏)、ウイキョウ(茴香)、ウヤク(烏薬)、エイジツ(営実)、エンメイソウ(延命草)、ガジュツ(莪朮)、カッコウ(霍香)、カンキョウ(乾姜)、キコク(枳殻)、キジツ(枳実)、キッピ(橘皮)、クコヨウ(枸杞葉)、クコシ(枸杞子)、クロモジ(黒文字)、ケンゴシ(牽牛子)、コウシ(香鼓)、コジョウコン(虎杖根)、サンザシ(山査子)、サンショウ(山椒)、シュクシャ(縮砂)、ショウマ(升麻)、ショウブコン(菖蒲根)、シンギク(神麹)、ショウモク(椒目)、セキショウコン(石菖根)、ソウカ(草果)、ソウジュツ(蒼朮)、トウジン(党参)、バクガ(麦芽)、ハクシニン(柏子仁)、ハクヘンズ(白扁豆)、ハンゲ(半夏)、ビャクジュツ(白朮)、ブクシン(茯神)、マシニン(麻子仁)、及び、リュウタン(竜胆)等を挙げることができる。
【0055】
このような生体調整機能剤の小麦粉及び/又は米粉加工食品用マスターバッチに占める配合量は、最終的な小麦粉及び/又は米粉加工食品を食する際の摂取量から適宜設定してもよいが、小麦粉及び/又は米粉加工食品用マスターバッチに占める生体調整機能剤が多い程、種々の小麦粉及び/又は米粉加工食品のドウ及びバッターに適用することができるマスターバッチとなると共に、その添加量を少なくすることができ好ましい。しかし、生体調整機能剤をマスターバッチに均一に混入可能な量には限界があるため、マスターバッチに占める生体調整機能剤は、20〜50質量%であることが好ましい。
【0056】
一方、生体調整機能剤を含む小麦粉及び/又は米粉に対する水の配合量も、種々の小麦粉及び/又は米粉加工食品のドウ及びバッターに適用するためには、水の配合量は少ない程好ましい。しかし、この場合も、生体調整機能剤が小麦粉及び/又は米粉と水の混錬物の中に均一に存在するためには、生体調整機能剤を含む小麦粉及び/又は米粉と水とには適切な配合比がある。これは、小麦粉の約10〜15%を占めるタンパク質の内、約90%を占める2種類のタンパク質であるグリアジンとグルテニンが、徐々に水を吸収して、粘性と弾性を合わせ持つ独特の物質、すなわち、穀類の中では小麦粉だけに形成されるグルテンという水に不溶なタンパク質を形成するが、その粘弾性を有するグルテンと小麦粉の約70%を占める炭水化物の主成分であるデンプンとが、水を介して結合した凝集体を形成しており、その凝集体に生体調整機能剤が均一に混入する必要があることに基づいている(非特許文献23)。生体調整機能剤を含む小麦粉及び/又は米粉100質量部に対して、水が10〜90質量部であることが好ましく、20〜80質量部であることがより好ましく、30〜70質量部であることがより更に好ましい。水が少なすぎると弾性が高すぎて、生体調整機能剤が、グルテン、デンプン、及び、水から形成される凝集体に均一に分散することが困難になる。逆に、水が少なすぎると粘性が低く、分散時の圧縮力及び剪断力が加わらないため、生体調整機能剤が、グルテン、デンプン、及び、水から形成される凝集体に均一に分散することが困難になる。このようなグルテン、デンプン、及び、水から形成される凝集体の粘弾性は、pH、温度、酸化剤の有無等によって調整することができるが、ここでは、中性で、常温(約25℃)において、酸化剤を使用しない場合における適正な配合量である。
【0057】
特に、生体調整機能剤として、天然由来の生薬及び/又は伝承薬、及び、それらの原料となる植物を使用する場合は、水分が10質量%以下、より好ましくは、5質量%以下となるように乾燥させる。更に、その乾燥物を、長軸方向の長さが、300μm以下となるように細かく粉砕することが、小麦粉及び/又は米粉加工食品用マスターバッチに均一な分散させるために望ましく、200μm以下であることがより望ましい。この粉砕には、一般的なクラッシャー、例えば、ロータリークラッシャー、ハンマークラッシャー、ウイングミル、ロール&ハンマークラッシャー、ロールクラッシャー、及び、カッターミル等を使用することが好ましく、ウイングミルがより好ましい。
【0058】
水については、特に限定されることはなく、水道水、純水、蒸留水、及び、イオン交換水等を用いることができる。
【0059】
生体調整機能剤が均一に混入した小麦粉及び/又は米粉加工食品用マスターバッチを製造するためには、固体の生体調整機能剤の場合、生体調整機能剤を乾式混合した小麦粉及び/又は米粉に、水及び生体調整機能剤を乾式混合した小麦粉及び/又は米粉を加えながら圧縮及び剪断により分散及び混錬し、最終的に、生体調整機能剤を含有する小麦粉及び/又は米粉100質量部に対する水が10〜90質量部となるように圧縮及び剪断により分散及び混錬することが好ましい。10質量部未満である場合、生体調整機能剤、小麦粉及び/又は米粉、並びに、水が、粘弾性を有する均一な塊状物となることはできず、90質量部以上の場合、圧縮力及び剪断力が十分伝わらず、生体調整機能剤、小麦粉及び/又は米粉、並びに、水の均一な分散及び混錬を実現することはできない。一方、液状の生体調整機能剤の場合は、小麦粉及び/又は米粉に、水及び生体調整機能剤を加えながら、最終的に、生体調整機能剤を含有する小麦粉及び/又は米粉100質量部に対する水が10〜90質量部、より好ましくは20〜80質量部、より更に好ましくは30〜70質量部となるように圧縮及び剪断により分散及び混錬することが好ましい。特に、分散及び混錬開始から終了時まで、生体調整機能剤を含有する小麦粉及び/又は米粉100質量部に対する水の配合量を、それぞれ、10〜90質量部、20〜80質量部、及び、30〜70質量部に保つことが、十分に安定した圧縮力及び剪断力が加わり好ましい。
【0060】
また、小麦粉及び/又は米粉加工食品の種類によって、小麦粉のドウ及びバッター、並びに、米粉の生地の粘度が異なるので、どのような小麦粉のドウ及びバッター、並びに、米粉の生地に対応するためには、水の配合量は少ない程好ましいが、小麦粉及び/又は米粉加工食品の種類に応じて配合量を調整することが必要な場合もある。しかし、上述したように、生体調整機能剤の均一な混入を考慮すると、少なくとも、生体調整機能剤を含有する小麦粉及び/又は米粉100質量部に対する水が10〜90質量部、より好ましくは20〜80質量部、より更に好ましくは30〜70質量部とすることによって、幅広い小麦粉及び/又は米粉加工食品に対応可能である。
【0061】
生体調整機能剤が固体の場合には、小麦粉及び/又は米粉との乾式混合は、タンブラーミキサー等を用いることができるが、液体の場合には、乾式混合は省略される。圧縮及び剪断による分散及び混錬は、三本ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押し出し機、及び、二軸押し出し機等を使用することができるが、これらの中から選択される少なくとも二つ以上を併用することが好ましい。しかし、特に、生体調整機能剤を含有する小麦粉及び/又は米粉と水との配合比を制御することが容易な三本ロールを用いて分散及び混錬することが好ましく、二つ以上の分散及び混錬を併用する場合は、三本ロールで分散及び混錬を行った後、その他の分散及び混錬方法を併用することが望ましい。
【0062】
このようにして製造された小麦及び/又は米粉加工用マスターバッチは、分散及び混錬方法によって製造される形状が異なり、調理現場への供給及び調理現場での取り扱いを考慮して、カッターで裁断する工程、又は、凍結して粉砕する工程を設け、粒状、棒状、及び、板状等の小さな塊状物にすることが好ましい。
【0063】
三本ロールや押し出し機を分散及び混錬の最終工程とした場合は、シート状及び棒状となるので、一般的な、カッター、例えば、シートカッター、ロータリーカッター、スライドカッター、及び、ローラカッター等を用いることができ、又は、凍結して粉砕することが可能である。なお、この粉砕には、天然由来の生薬及び/又は伝承薬、及び、それらの原料となる植物の乾燥物を粉砕するクラッシャーを使用することもできる。
【0064】
しかし、ニーダー及びバンバリーミキサーを用いて混入した場合は、塊状となるので、三本ロール又は押し出し機で、シート状又は棒状とする必要がある。
【0065】
一方、小麦粉は、特に限定されるものではなく、小麦粉及び/又は米粉加工食品の用途に応じて使い分ける必要がある。パン、餃子の皮、及び、中華麺等には、たんぱく質の含有量が多い硬質小麦から製造される強力粉、うどん、そうめん、及び、きしめん等には、たんぱく質の含有量が適度な中間質小麦から製造される中力粉、クレープ、ケーキ、たこ焼き、及び、天ぷら等には、たんぱく質の含有量が少ない軟質小麦から製造される薄力粉、並びに、スパゲッティ、マカロニ、及び、ピッツァ等には、特にグルテンを作るたんぱく質であるグリアジンとグルテニンが多いデュラム小麦から製造されるデュラムセモリナが適している。しかし、実際には、各用途で、各種小麦粉が配合されているが、小麦粉及び/又は米粉加工食品用マスターバッチの場合は、下記に示すように、複雑な配合を必要としない。
【0066】
また、米粉も、もち米及びうるち米から製造されるものであれば、特に限定されることはなく、米粉加工食品の用途に応じて使い分ける必要がある。もち米から製造される白玉粉、餅粉、求肥粉、道明寺粉、寒梅粉、落雁粉、微塵粉、及び、リ・ファリーヌ・レジェール等は、主として、和菓子に、うるち米から製造される上新粉、かるかん粉、乳児粉、及び、リ・ファリーヌ等は、ビーフン、フォー、及び、生春巻き等の米粉加工食品、並びに、小麦粉代替え米粉加工食品に使用される。しかし、実際には、各用途で、各種小麦粉が配合されているが、小麦粉及び/又は米粉加工食品用マスターバッチの場合は、下記に示すように、複雑な配合を必要としない。
【0067】
本発明の小麦粉及び/又は加工食品用マスターバッチは、上記各用途の生地である各種小麦粉及び/又は米粉が配合されている各種生地に対して、少量添加するだけでよいため、本発明の小麦粉及び/又は加工食品用マスターバッチの小麦粉及び/又は米粉としては、4種類の小麦粉及び2種類の米粉から適宜選択して製造すれば良い。この点も、本発明の小麦粉及び/又は米粉加工食品用マスターバッチの大きな特徴の一つである。
【0068】
本発明の生体調整機能剤を含有する小麦粉及び/又は米粉加工食品用マスターバッチは、うどんやそうめん等の麺類、マカロニやスパゲッティ等のマカロニ類、及び、食パンやピロキシ等のパン類等の小麦粉加工食品の生地である小麦粉と水とを混錬した粘度の高いドウ、並びに、クレープやホットケーキ等の菓子類、天ぷらやフライ等の衣(ころも)類、及び、お好み焼きやたこ焼き等の軽食類等の小麦粉加工食品の生地である、ドウに加水して製造される粘度の低いバッター、並びに、ビーフン、フォー、生春巻き等の米粉加工食品、及び、小麦粉代替え米粉加工食品の生地の代替として使用することができる。しかし、本発明の特徴は、従来の各種小麦粉及び/又は米粉加工食品の生地に、本発明の生体調整機能剤を含有する小麦粉及び/又は米粉加工食品用マスターバッチ添加することによって、一部を置き換えて均一に混入可能であり、このような各種加工食品に生体機能調整剤を添加できることにある。従って、本発明は、各加工食品に共通して使用可能であり、少量で各加工食品に生体調整機能剤を均一に添加することが容易な生地、すなわち、生体調整機能剤を含有する小麦粉及び/又は米粉加工食品用マスターバッチを提供するものである。