特開2021-129547(P2021-129547A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2021-129547冷凍カスタードプディング、及び、カスタードプディングの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-129547(P2021-129547A)
(43)【公開日】2021年9月9日
(54)【発明の名称】冷凍カスタードプディング、及び、カスタードプディングの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 9/10 20160101AFI20210813BHJP
【FI】
   A23L9/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】3
(21)【出願番号】特願2020-28213(P2020-28213)
(22)【出願日】2020年2月21日
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】712009249
【氏名又は名称】松田 健太
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】松田 健太
【テーマコード(参考)】
4B025
【Fターム(参考)】
4B025LB17
4B025LG26
4B025LG32
4B025LG52
4B025LG53
4B025LP01
4B025LP12
(57)【要約】
【課題】冷凍変性が抑制された冷凍カスタードプディングを提供する。
【解決手段】
冷凍カスタードプディングは、加糖率が17重量%以上である。好適には、前記加糖率に相当する加糖量の60重量%〜75重量%は、トレハロースである。好適には、ゼラチンが0.54重量%〜0.81重量%添加されている。冷凍カスタードプディングは、トレハロース等の糖が添加されたカスタードを水蒸気下で加熱し、その後、急速冷凍されたものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加糖率が17重量%以上である冷凍カスタードプディング。
【請求項2】
前記加糖率に相当する加糖量の60重量%以上は、トレハロースである
請求項1に記載の冷凍カスタードプディング。
【請求項3】
前記加糖率に相当する加糖量の60重量%〜75重量%が、トレハロースであり、
ゼラチンが0.54重量%〜0.81重量%添加されている
請求項2に記載の冷凍カスタードプディング。
【請求項4】
全体の17重量%以上となる糖を加えて、カスタードとする工程と、
前記カスタードを水蒸気下で加熱する工程と、
加熱した前記カスタードを冷却し、急速冷凍する工程と
を有するカスタードプディングの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍カスタードプディング、及び、カスタードプディングの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、全原料に対して、1.0〜2.0%のゼラチンを含有した冷凍カスタードプディングが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平01−240163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、冷凍変性が抑制された冷凍カスタードプディングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る冷凍カスタードプディングは、加糖率が17重量%以上である。
【0006】
好適には、前記加糖率に相当する加糖量の60重量%以上は、トレハロースである。
【0007】
好適には、前記加糖率に相当する加糖量の60重量%〜75重量%が、トレハロースであり、ゼラチンが0.54重量%〜0.81重量%添加されている。
【0008】
本発明に係るカスタードプディングの製造方法は、全体の17重量%以上となる糖を加えて、カスタードとする工程と、前記カスタードを水蒸気下で加熱する工程と、加熱した前記カスタードを冷却し、急速冷凍する工程とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、冷凍変性が抑制された冷凍カスタードプディングを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[背景]
牛乳にゼリー化剤としてカラギーナンやゼラチンを加配しゼリー状に成形したミルクプリン(又はケミカルプリン)が市販されている。これとは別に、卵を主成分としたカスタードを加熱し凝固させたカスタードプディングが存在する。冷凍機器の発達により、ミルクプリンやカスタードプディングは、冷凍保管できる製品であることが望まれている。
しかしながら、ミルクプリンは冷凍しても冷凍変性しないのに対し、カスタードプディングは冷凍すると卵黄分が変性し、離水やスポンジ化現象が生じ、食味が低下してしまうという問題がある。
【0011】
[実施形態]
本発明は、冷凍変性の生じにくい冷凍カスタードプディングを提供することを目的としてなされたものである。
本実施形態の冷凍カスタードプディングは、加糖率17重量%以上35重量%以下であるカスタードを、凍結してなることを特徴とするものである。
ここでカスタードプディングとは、牛乳・粉乳等の乳原料、全卵・卵黄及び卵黄と卵白の混合液等卵黄を含む卵液、砂糖・水あめ等の甘味料、その他好みに応じ、香料・着色料等を原料とし、これらの原料を混合して加熱した後冷却し、ゼリー状に固化させた食品をいう。
また、加糖率とは、カスタードの主原料である牛乳及び卵以外の原料に由来する糖の含有率であり、本例では、砂糖及びトレハロースの添加量(重量%)である。好ましくは、冷凍カスタードプディングに対する加糖量のうち、60w%〜75w%がトレハロースである。より好ましくは、本例の冷凍カスタードプディングには、ゼラチンが全体の0.54重量%〜0.81重量%添加されている。
【0012】
本発明の製造方法は、全体の17重量%以上となる糖を加えて、カスタードとする工程と、前記カスタードを水蒸気下で加熱する工程と、加熱した前記カスタードを冷却し、−40℃まで急速冷凍する工程とを有する。
より具体的には、主原料である牛乳及び卵、全体の17重量%以上となる砂糖及びトレハロースを添加し、さらに、ゼラチンを0.54重量%〜0.81重量%添加して混合しプディングペースを得る。
次に、このプディングベースをコンベクションオーブンによりスチーム100%かつ80℃から86℃の環境下で、30分〜45分間加熱する。その後、ショックフリーザーによって、カスタードプディングを−40℃に急速冷凍し、冷凍カスタードプディングとする。
冷凍カスタードプディングは、流水解凍又は自然解凍によって、カスタードプディングとなる。
【0013】
以上述べたように、本実施形態の冷凍カスタードプディングは、加糖率を全体の17重量%以上とすることにより、保形性を高めて、冷凍変性を抑制することができる。さらに、加糖量の66%前後をトレハロースとすることにより、タンパク質変性を抑制し、かつ、甘さを抑えることができる。また、急速冷凍によって、カスタードプディング内における氷の結晶を小さい状態に抑えることができる。したがって、冷凍中に離水やスポンジ化の現象が抑制され、製造直後の食感のまま冷凍保管することができる。