特開2021-129548(P2021-129548A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2021129548-野菜天ぷらの製造方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-129548(P2021-129548A)
(43)【公開日】2021年9月9日
(54)【発明の名称】野菜天ぷらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/10 20160101AFI20210813BHJP
【FI】
   A23L5/10 D
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-124349(P2020-124349)
(22)【出願日】2020年7月21日
(11)【特許番号】特許第6816935号(P6816935)
(45)【特許公報発行日】2021年1月20日
(31)【優先権主張番号】特願2020-25233(P2020-25233)
(32)【優先日】2020年2月18日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】307005081
【氏名又は名称】株式会社マービィレックス
(72)【発明者】
【氏名】中村 守
(72)【発明者】
【氏名】有賀 俊二
【テーマコード(参考)】
4B035
【Fターム(参考)】
4B035LC03
4B035LC16
4B035LE17
4B035LG12
4B035LG32
4B035LG42
4B035LK01
4B035LP07
4B035LP27
4B035LP31
4B035LP34
4B035LP43
4B035LP59
(57)【要約】
【課題】野菜の天ぷら処理において、衣付けが不均一とならず、十分に野菜が加熱され、かつ、焦げの問題が無く、衣のサクサク感と野菜のシャキシャキ感を保持した野菜天ぷらの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】葉野菜をカットする切断処理と、余分な水分を除去するための脱水処理と、味付けをする味付け処理と、葉野菜に加熱して液状とした食用油脂を混ぜ合わせすための油脂混合処理と、冷却処理と、整形処理を行なった後に、衣をつけて揚げ油処理を行なうことを特徴とする野菜天ぷらの製造方法である。

【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
葉野菜をカットする切断処理と、葉野菜の余分な水分を除去するための脱水処理と、カットした葉野菜に味付けをする味付け処理と、味付け後のカット葉野菜に、加熱して液状とした食用油脂を混ぜ合わせるための油脂混合処理と、食用油脂が固化するまで冷却する冷却処理と、油脂が固化したカット野菜を整形するための整形処理を行なった後に、粉付け処理と衣液浸漬処理後、揚げ油処理を行なうことを特徴とする野菜天ぷらの製造方法。
【請求項2】
前記の味付け処理とともに香味付け処理を行なうことを特徴とする請求項1に記載の野菜天ぷらの製造方法。
【請求項3】
該葉野菜は、複数種類の葉野菜をカットして混合したものであることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の野菜天ぷらの製造方法。
【請求項4】
該複数の葉野菜を各々別々にカット処理し、別々に味付け処理又は香味付け処理を行なうことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の野菜天ぷらの製造方法。
【請求項5】
該葉野菜に魚類又は肉類を混合することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の野菜天ぷらの製造方法。
【請求項6】
前記の葉野菜と魚類又は肉類を積層状に整形することを特徴とする請求項5に記載の野菜天ぷらの製造方法。
【請求項7】
該葉野菜がキャベツ、もやし、小松菜、からし菜から選ばれる1種又は複数種であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の野菜天ぷらの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜天ぷらの製造方法に関し、特に天ぷら処理が困難とされる葉野菜の天ぷらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天ぷらは、魚介類や野菜等の食材を小麦粉を主体とした衣で包み、油で揚げて調理する日本料理であり、種(タネ)と呼ばれる食材を、小麦粉と鶏卵で作った衣をつけてから、天ぷら鍋などを使用して、食用油で揚げる料理である。
【0003】
一般的調理方法としては、食材は下粉を打って(小麦粉をまぶして)から「衣液」にひたし、深い鍋(天ぷら鍋)を使用し、多量の熱い油(160-180℃度程度)で揚げることによって調理を行う。揚がった天ぷらは、天ぷら鍋に取り付けた「天ぷら網」あるいは「天台(天ぷらバット)」などに移して油を切る。
【0004】
衣液は鶏卵、冷水、小麦粉(薄力粉)で作る。小麦粉は軽く数回サックリと混ぜる程度にして、グルテン生成を抑える。グルテンは天ぷらの揚げ上がりの食感を悪くするからである。グルテンにより衣に粘りが出てしまうことを「足が出る」という。グルテン生成の少ない、製粉後しばらく期間を置いた小麦粉を使うこともある。
【0005】
一般的には水2ないし3に対し卵1の割合で「卵水」をつくり、同量の粉を合わせるが、水10に対し卵1の割合の卵水に同量の粉を合わせた衣を使うと、サクサクとした食感となるとされている。
【0006】
揚げ油は、天ぷらの香りを決定付ける重要な要素である。ごま油、または綿実油を使用し、独自に配合した揚げ油を使用する場合もある。
【0007】
ごま油を使用すると衣がこんがりと色が付く「黒天ぷら」、サラダ油などを使用すると衣が白っぽい「白天ぷら」になる。他にも椿油、オリーブオイルや大豆油など様々な植物油が用いられる。
【0008】
タネの素材は、魚介類や各種野菜・根菜のほか、キノコ類、タケノコ、海苔などの海藻など多くの食材が天ぷらのタネとされる。
【0009】
ウド、タラの芽、ナスなどのアクのある野菜でも薄衣にしたり片面衣にするなどして100℃以上の高温にさらすことでえぐみや苦みが出にくくなるとされている。但し、色の変化を防ぐために前処理する場合があることと、高温にさらすことがすべてのアクのある野菜に有効なわけではないとされている。
【0010】
野菜天ぷらの種(タネ)としては、なす、ししとう、ズッキーニ、しいたけ、かぼちゃ等が代表格であり、そのほかにも、サツマイモ、ピーマン、大根、ゴーヤ、セロリ、パセリ、オクラ、ブロッコリ、カリフラワー、レンコン、ごぼう等様々な野菜が使用れれている。
【0011】
これらの野菜は、果菜類、根菜類等であり、葉菜類としては、茸などの子実体や、アスパラガスなどの茎、タマネギなどの鱗茎等であり、一般的な葉野菜としては、ほうれん草やネギなどの天ぷらはあるが、キャベツなどの結球葉類や小松菜などの比較的大きな葉類は、天ぷらに使用されていない。
【0012】
また、特許第3153047号では、アオサ、青海苔等の海藻類、ホウレン草、青ネギ等の野菜類や揚げ玉、カッオ節等をトッピング材として、衣(バッター)のみを揚げた天ぷらの表面にトッピングする方法を用い、使用する揚油として、融点約25℃以上50℃以下である固型油脂を用い、そして天ぷらを通常通りフライ処理して脱水処理が完了した後、まだ熱く油脂が融解状態にある間にこれらのトッピング材をふりかけ付着させる方法である。この方法によって製造されたトッピング材を付着させた天ぷらは、これを冷却することによって、油脂が接着剤としてこれらのトッピング材を天ぷらの表面に固定するので、バッター内に添加した場合に比較して焦げを起こすことがなく、色彩もきれいで風味も損なわれないトッピング材を付着させた天ぷらとなるというものである。
【0013】
また、特開平1−141566号では、含水率の多い野菜類を主体とする天ぷらの具材料に、浸透性物質(塩、グルタミン酸ソーダ)を添加して水分侵出させた後に、衣材料をつけ、水分を必要最小限度の量とし、ここで冷凍処理して保存し、そのまま油揚げして天ぷらとするものである。油揚げの事前処理がないので、熱伝導が良く、短時間で油揚げができ、焦げが生じることがなく、油っぽさもなく、食感、風味を損なうことがないというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第3153047号公報
【特許文献2】特開平1−141566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このように、従来の野菜天ぷらは、ナス、かぼちゃ等の果菜類や、サツマイモ、レンコンなどの根菜類が多く、葉菜類では、タマネギ、シイタケなど一部の比較的葉の厚みのあるものや、比較的葉の小さなものに限られていた。
【0016】
この理由としては、薄い葉を広げた状態で衣をつけ、油で揚げる場合、衣が偏って付着し、衣の付着した部分と付着しない部分ができ、油揚げが均一にならないなど、高温では、変色、焦げ付きが発生し、食味を損なう問題があるためである。
【0017】
特許第3153047号では、このような高温による焦げを起こすことがなく、色彩もきれいで風味も損なわない天ぷらが製造できるとされるが、本発明は、衣(バッター)のみを揚げた天ぷらの表面に野菜類をトッピングする方法であるため、自然乾燥、熱風乾燥、フリーズドライ等の予め適当な方法で脱水処理を施したトッピング材(野菜)をふりかけ付着させるため、使用される野菜はフライ処理されておらず、天ぷらの食味とは異なるものとなってしまう。
【0018】
特開平1−141566号では、野菜の水分を浸透性物質を添加し、野菜中から強制的に衣(バッター)中に排出させてから冷凍処理し、そのまま短時間(1分前後)の油揚げするものであるので、野菜中の水分が少ない状態で、僅か1分程度の油揚げをするものであるため、単に水分の少ない野菜を短時間(1分前後)加熱処理したものと同じ状態であり、天ぷら特有の効果である、高温になった衣の中で蒸された状態とはならず、天ぷらとは異なる風味となってしまう問題がある。
【0019】
本発明は、上記の問題に鑑み、野菜の天ぷら処理において、衣付けが不均一とならず、十分に野菜が加熱され、かつ、焦げの問題が無く、衣(バッター)内で野菜が十分に蒸される状態となり、天ぷら特有の野菜と衣の風味があり、衣のサクサク感と野菜のシャキシャキ感を保持した野菜天ぷらの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、上記に示す課題を以下の手段によって解決することができる。
【0021】
本発明の請求項1では、葉野菜をカットする切断処理と、葉野菜の余分な水分を除去するための脱水処理と、カットした葉野菜に味付けをする味付け処理と、味付け後のカット葉野菜に、加熱して液状とした食用油脂を混ぜ合わせるための油脂混合処理と、食用油脂が固化するまで冷却する冷却処理と、油脂が固化したカット野菜を整形するための整形処理を行なった後に、粉付け処理と衣液浸漬処理後、揚げ油処理を行なうことを特徴とする野菜天ぷらの製造方法である。
【0022】
該葉野菜は、野菜を果実類、葉菜類、根菜類の3つに分類したときの葉菜類に属するものである。例えば、普通の葉となる、タイサイ、コマツナ、タカナ、ホウレンソウ、キクナ、ネギ、ワケギ、セルリーなどや、結球した葉となる、ハクサイ、キャベツ、メキャベツ、レタスなどや、鱗茎となるタマネギ、ニンニク、ラッキョウなどや、茎となるアスパラガス、ウド、コールラビ、タケノコなどや、未熟な花芽となる、ハナヤサイ、ブロッコリーなどや、子実体である、マツタケ、シイタケ、ヒラタケ、エノキタケ、マッシュルームなどである。
【0023】
該切断処理は、後述の整形処理がしやすい状態であればいずれでも良く、1cmから2cm程度に角切りやザク切りしたものでも良い。
【0024】
該脱水処理は、カットした葉野菜の余分な水分を適度に除去できるのであればいずれの方法でもよく、網製の篩などで適度な時間放置して水切りを行なっても良く、数回振って水切りするものでも良く、手で絞るのでも良い。後処理の味付けに適した水分量とする。例えば、カット葉野菜全量に対して20%程度の水分を除去するものでも良い。
【0025】
該味付け処理は、野菜に味付けできるものであればいずれでも良く、例えば、鶏ガラのだしやコンソメや味覇(ウェイパァー)、オイスターソースなどの調味料を使用して味付けを行なっても良い。
【0026】
該油脂混合処理は、加熱して液状とした食用油脂を水切り後のカット葉野菜に十分に混ぜ合わせるものであればいずれでも良い。手で混ぜ合わせても良く、攪拌装置を使用しても良い。
【0027】
該食用油脂は、加熱して液状となる食用油脂であり、常温で固まっている油脂であればいずれでも良く、植物性油脂と動物性油脂のいずれでも良い。例えば、脂肪、脂肪酸、ショートニング、バター、カカオ脂、マーガリン、ラード、ヘッド、ココナッツオイル、食用精製加工油脂等でも良い。
【0028】
該食用油脂の混合料は、葉野菜の5%〜15%程度が好ましい。5%以下では、後述の整形処理が困難となり、15%以上では、油分が多すぎて食味を損ねる。
【0029】
該冷却処理は、食用油脂を十分に混ぜ合わせたカット葉野菜を食用油脂が固化するまで冷却するものであればいずれでも良く、市販の冷蔵庫(4℃程度)に入れて冷却しても良い。冷却時間は、まぶした食用油脂が固化すれば良く、例えば、4℃で1時間程度でも良い。
【0030】
該整形処理は、食用油脂が混ぜ合わされたカット葉野菜を天ぷらとして整形したものであればいずれでも良く、例えば、手で俵状、球状、方形状に整形したり、型に詰めてハート型や星型などに整形したものでも良い。
【0031】
該粉付け処理は、小麦粉を薄く表面に付着させるものであればいずれでも良く、整形処理後の葉野菜の表面全体に小麦粉を軽く振りかけても良く、手で小麦粉をまぶしても良い。
【0032】
該衣液浸漬処理は、衣液に粉付け処理した葉野菜を軽く、くぐらせ、浸漬されるもので良い。衣液は、一般的な天ぷらの衣液で良く、鶏卵、冷水、小麦粉(薄力粉)を用いて作るもので良い。
【0033】
該揚げ油処理は、通常の天ぷら料理の場合に行なわれる揚げ油調理で良く、160℃〜200℃の天ぷら油で衣が適度に褐色になるまで揚げるものでも良い。
【0034】
揚がった天ぷらは、天ぷらバットなどに移して油を切り、葉野菜の天ぷらが完成する。
【0035】
食用油脂が混ぜ合わされたカット野菜の表面に衣をつけて油揚げされているため、葉野菜は、高温となった食用油脂で炒められた状態と、包まれた衣の中で蒸された状態とが同時に行なわれた状態となり、衣のサクサク感と野菜のシャキシャキ感を同時に保持した美味しい天ぷらとなる。
【0036】
通常の野菜天ぷらでは、葉野菜そのままでは、衣液の付着が不均一となり、全体を包み切らず、衣で包まれない状態のため、野菜が焦げたり、しんなりしてしまい、シャキシャキ状態にならない。
【0037】
また、野菜を細切りしたかき揚げ天ぷらでは、油と衣の風味が強く、野菜の個性が活かされない。さらに、野菜の隙間に衣液が詰まった状態で揚げ油処理されることになるため、野菜の隙間の衣が野菜の水分を吸い取り、水分が蒸発しきらないため、野菜がシャキシャキではなく、しんなりしてしまう。
【0038】
本発明の請求項2は、味付け処理とともに香味付け処理を行なうことを特徴とするものである。
【0039】
該香味付け処理は、カットした葉野菜に香味付けできるものであればいずれでも良い。例えば、香味材料は、にんにく、しそ、セロリなどでも良く、該香味材料を刻んで混合しても良く、粉末状、液状、ソース状に加工して混合しても良い。
【0040】
本発明の請求項3は、該葉野菜は、複数種類の葉野菜をカットして混合したものであることを特徴とするものである。
【0041】
該複数種類の葉野菜は、各々カットして混合すれば良い。
【0042】
本発明の請求項4は、該複数の葉野菜を各々別々にカット処理し、別々に味付け処理又は香味付け処理を行なうことを特徴とするものである。
【0043】
本発明の請求項5は、葉野菜に魚類又は肉類を混合することを特徴とするものである。
【0044】
該魚類において、厚みのあるものは火を通した方が好ましい。また、該肉類は、細切れ状とすることが好ましい。
【0045】
本発明の請求項6は、葉野菜がキャベツ、もやし、小松菜、からし菜であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0046】
本発明は、以下の効果がある。
(1)衣のサクサク感と野菜のシャキシャキ感を保持した今までにない食感の野菜天ぷらができる。
【0047】
(2)細切れ野菜を天ぷらにすると、通常、かき揚げ状の天ぷらになってしまうが、食用油脂をカット野菜に混ぜ合わせることによって、衣液がカット野菜の隙間に入らないので、野菜そのもの風味が活かされ、衣に邪魔されない野菜天ぷらができる。
【0048】
(3)外側の衣や揚げ油の味や風味と、内部の各野菜の個性が活かされた、今までに無い、風味と食感の野菜天ぷらができる。
【0049】
(4)冷蔵して十分に整形した後に衣液を付けるので、衣が均一に付着され、焦げ付きの問題がない。
【0050】
(5)冷却処理により、整形しやすくなり、大小はもとより、様々な形状に整形でき、例えば、可愛らしいハート型とする事も可能となる。
【0051】
(6)野菜の味付けは、通常、煮込む等の前処理が必要であるが、この発明では、生の野菜に調味材料を混ぜるだけで味付けが可能となる。
【0052】
(7)香味付けも味付けと同様に、生の野菜に香味材料を混ぜるだけで香味付けが可能となる。
【0053】
(8)通常は、単品の天ぷらであるが、本発明では、野菜に食用油脂を混ぜ合わせるので、複数種類のカット野菜を用いても、野菜の隙間に衣液が入り込まないので、野菜の味を衣によって損なわれることがなく、野菜の個性をそのままに美味しい野菜天ぷらにすることができる。
【0054】
(9)通常は、魚や肉を薄切りにして積層状にしても、型崩れするため、一体に整形できないが、食用油脂の接着効果により、積層状態でも一体状に整形が保たれるので、衣をつけて揚げ油しても型崩れせず、食材の個性を活かした美味しい野菜天ぷらができる。
【0055】
(10)密封された衣の内部で、カット野菜がまとまった状態で十分に蒸される状態となり、天ぷら特有の野菜と衣の風味が活かされ、衣のサクサク感と野菜のシャキシャキ感を保持した野菜天ぷらを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】本発明による野菜天ぷらの製造方法の実施例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
次に本発明の一実施形態について、図面を用いて具体的に説明する。
【0058】
図1は、本発明による野菜天ぷらの製造方法の実施例を示すフロー図である。本実施例では、葉野菜としてキャベツを使用した。
【0059】
S−1)キャベツの洗浄
キャベツを水洗い洗浄する。
【0060】
S−2)カット処理
キャベツを1cm角程度にカットする。
【0061】
S−3)脱水処理
重量を計測し、手で絞りながら、全重量の20%程度の水分を除去する。次工程の味付け、香味付けに適した水分量となる。
【0062】
S−4)味付け処理
コンソメ顆粒又は粉末調味料を適量加え、味付けをする。
【0063】
S−5)香味付け処理
ニンニクを混合し、香味付けをする。該ニンニクは、生ニンニクを摺りおろして使用しても良く、市販のすりおろし済みのニンニクを使用しても良い。
【0064】
S−6)油脂混合処理
ラードを熱して溶かし、混ぜ合わせる。液状のラードはキャベツに満遍なく行き渡る十分な量を混ぜ合わせる。
【0065】
S−7)冷却処理
キャベツの表面に付着したラードが固化するまで冷蔵庫(4℃)で冷却する。約1時間冷却した。
【0066】
S−8)整形処理
ラードが固化した状態で、俵状に整形した。整形は、任意の形状で良く、例えば、手で球状に丸めても良く、ハート型の型に入れて整形しても良い。
【0067】
S−9)冷蔵処理
整形後、冷蔵庫(4℃)で適度に冷却する。整形した状態でラードを十分に固化し、しっかりと整形させ、この状態で冷蔵保存する。
【0068】
S−10)粉付け処理
冷却され、整形されたキャベツのタネの表面全体に、小麦粉を薄く振りかける。
【0069】
S−11)衣液浸漬処理
粉付け処理したキャベツのネタを衣液にくぐらせて、表面全体に、ほぼ均一に衣を付着させる。衣液は、鶏卵に冷水を加えて良く混ぜ合わせ、さらに小麦粉を加えて混ぜ合わせた。
【0070】
S−12)湯げ油処理
衣液浸漬処理されたキャベツのタネを180℃の天ぷら油で揚げ油処理を行なう。衣が適度に褐色になるまで揚げる。
【0071】
S−13)キャベツ天ぷら完成
油切りをしてキャベツ天ぷらが完成する。
【0072】
本発明の野菜天ぷらの製造方法は、キャベツに混ぜ合わせたラードが高温に熱せられ、キャベツは炒めた状態となるとともに、衣の内部で高温に蒸される状態となり、天ぷら特有の野菜と衣の風味が十分に発揮され、衣のサクサク感と野菜のシャキシャキ感を同時に有する、今までに無かった食感と美味しさの野菜天ぷらができる。
【符号の説明】
【0073】
S−1 キャベツの洗浄
S−2 カット処理
S−3 脱水処理
S−4 味付け処理
S−5 香味付け処理
S−6 油脂混合処理
S−7 冷却処理
S−8 整形処理
S−9 冷蔵処理
S−10 粉付け処理
S−11 衣液浸漬処理
S−12 揚げ油処理
S−13 キャベツ天ぷら完成
図1