【解決手段】振動発生ユニット100は、可動部240とケース230と振動伝達部材210と弾性部300とを備える。弾性部300は、シートのクッション部に弾性部300が収納された場合にシートの表面側を向くようにして開放された開口320を有してケース230よりも大きな寸法の内部空間を備える凹所310と、開口320に対向する凹所310の対向面328に対して、可動部240の進退方向が平行な方向になるようにして、ケース230が対向面328に固定された場合に、進退方向へ延伸される振動伝達部材210に対して延伸方向の側方から当接する当接部330とを有している。
前記当接部は、前記弾性部に設けられる導通孔であって、前記導通孔に前記振動伝達部材を導入させた状態で、前記導通孔の内面が前記振動伝達部材の周側面に当接すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の振動発生ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したエキサイタと振動伝達部材とからなる振動発生装置(特許文献1参照)では、振動伝達部材をシート内部のクッション材に埋設するために、振動伝達部材が配置された状態でクッション材のインサート成形処理を行う。インサート成形処理されたクッション材を用いて、シートの組み立てを行う場合には、振動伝達部材の配置位置や配置方向を考慮してクッション材を好適に使用する必要が生じる。このため、シートの組み立てにおける作業負担が増大するという傾向にあり、また、振動伝達部材をシートの所望位置に配設することが難しかった。
【0007】
また、エキサイタと振動伝達部材とからなる振動発生装置(特許文献1参照)では、振動伝達部材を座面部等のクッション材の内部に埋設し、エキサイタを座面部等の外部に露出させた状態で、振動発生装置がシートに取り付けられる。エキサイタが座面部等の外部に露出されているため、エキサイタがシートの周囲の物に接触してしまうおそれがある。また、露出したエキサイタが、シートの着座者に接触等しないようにして、振動発生装置をシートに設置する必要が生じるため、振動発生装置の設置に制約が生じていた。
【0008】
シートに対する振動発生装置の設置制約等を考慮して、振動発生装置全体をシートの内部に設置すること(特許文献2参照)も考えられる。しかしながら、エキサイタと振動伝達部材とからなる振動発生装置(特許文献1参照)では、エキサイタ(振動発生部)によって発生された進退方向の振動を、振動伝達部材の延設方向に伝達することによって振動伝達部材の全体に縦波を伝達させ、振動伝達部材の全体に伝達された振動を、振動伝達部材を介してシートの座面部等へ伝達させることを特徴とする。従って、エキサイタを含む振動発生装置全体をシートの内部に設置してしまうと、エキサイタで発生された振動が、直接的にシートの座面部等に伝達されてしまい、振動伝達部材に伝達された振動を、効果的にシートの座面部の表面(着座面)へ伝達することが難しい。
【0009】
特に、エキサイタで発生された振動が、直接的にシートの座面部等に伝達されてしまうと、振動伝達部材を介して座面部へ伝達される振動がマスクされてしまうおそれがある。直接的に伝達された振動によって、振動伝達部材を介して伝達された振動がマスクされてしまうと、シートの着座者に対して、所望のタイミングで所望の強さの振動を体感させること(強弱のある振動を体感させること)が難しくなってしまう。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、シートに対して簡単に取り付けることができ、振動伝達部材を介して、振動をシートの表面側へ効果的に伝達することが可能な振動発生ユニットおよびその振動発生ユニットを収納したシートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る振動発生ユニットは、進退動作を行うことにより振動を発生させる可動部と、該可動部を進退動作可能に収納するケースと、該ケースから前記可動部の進退方向へ延伸されて、前記可動部により発生された振動を延伸方向へ伝達する振動伝達部材と、前記ケースと前記振動伝達部材とを収納した状態で、シートのクッション部に収納される弾性部とを備え、前記弾性部は、前記シートの前記クッション部に前記弾性部が収納された場合に当該シートの表面側を向くようにして開放された開口を有して、前記ケースよりも大きな寸法の内部空間を備える凹所と、前記開口に対向する前記凹所の対向面に対して、前記可動部の前記進退方向が平行な方向になるようにして、前記ケースが前記対向面に固定された場合に、当該進退方向へ延伸される前記振動伝達部材に対して前記延伸方向の側方から当接する当接部とを有することを特徴とする。
【0012】
上述した振動発生ユニットの弾性部は、シートのクッション部に収納された場合にシートの表面側を向くようにして開放された開口を有し、ケースよりも大きな寸法の内部空間を備える凹所を有している。従って、凹所にケースが固定された場合には、凹所内に十分な空間を確保することができる。
【0013】
特に、ケースが、開口に対向する凹所の対向面に固定された状態では、ケースから凹所の開口までの間に空間(S4)を確保することができる。このため、可動部の進退動作によりケースに振動が発生した場合であっても、振動がケースから開口側のクッション部に伝達しにくくなり、ケースからシートの表面側へ直接的に伝達されることを防ぐことができる。
【0014】
さらに、弾性部は、延伸される振動伝達部材に対して延伸方向の側方から当接する当接部を有している。可動部の進退動作により発生された振動は、振動伝達部材を介して延伸方向へと伝達されるため、弾性部がシートのクッション部に収納された場合には、当接部を介して振動伝達部材の振動をシートの表面側へ伝達することが可能になる。
【0015】
また、上述した振動発生ユニットは、前記凹所の前記対向面に前記ケースが固定された場合に、前記凹所の前記対向面以外の内面と前記ケースとの間に空間が確保されるものであってもよい。
【0016】
上述した振動発生ユニットでは、凹所の対向面以外の内面とケースとの間に空間が確保される。従って、可動部の進退動作によりケースに振動が発生した場合であっても、振動がケースから凹所の対向面以外の内面へ伝達しにくくなり、振動伝達部材に伝達される振動が弱まってしまうことを防止することができる。
【0017】
さらに、ケースに発生した振動が、凹所の対向面以外の内面へと伝達してしまって、振動伝達部材を介することなく直接的にシートの表面側に伝達してしまうことを防止することができる。
【0018】
また、上述した振動発生ユニットにおいて、前記当接部は、前記弾性部に設けられる導通孔であって、前記導通孔に前記振動伝達部材を導入させた状態で、前記導通孔の内面が前記振動伝達部材の周側面に当接するものであってもよい。
【0019】
上述した振動発生ユニットでは、当接部が弾性部に設けられる導通孔であって、導通孔に振動伝達部材を導入させた状態で、導通孔の内面が振動伝達部材の周側面に当接するため、導通孔の内面を介して、弾性部で振動伝達部材を把持することができる。このため、振動発生ユニットにおいて振動伝達部材が動いてしまうことを防止することができる。さらに、可動部の進退動作が行われる場合であっても、進退動作に伴って発生された振動により、振動発生ユニット内で振動伝達部材が簡単に動いてしまうことを防止することができる。
【0020】
また、導通孔の内面が振動伝達部材の周側面に当接した状態となるため、弾性部は、振動伝達部材に伝達された振動を、導通孔の内面を介してシートの表面側へ効果的に伝達することが可能になる。
【0021】
また、上述した振動発生ユニットは、前記弾性部が前記シートの前記クッション部に収納された場合に、当該シートの前方側あるいは後方側となる前記凹所の内面が、前記弾性部の壁部により構成されるものであってもよい。
【0022】
上述したように、シートの前方側あるいは後方側となる凹所の内面が、弾性部の壁部により構成されているため、壁部がケースに対する緩衝材となる。このため、振動発生ユニットに対してシートの前方向あるいは後方向から衝撃等が加えられて、ケースが凹所内で移動する場合であっても、移動したケースに加えられる衝撃を、壁部で吸収することができる。従って、シートの外部から衝撃等が加えられる場合であっても、ケースが振動発生ユニットから飛び出してしまうことを防止することができる。
【0023】
また、上述した振動発生ユニットは、前記ケースと前記対向面との間に、前記凹所内に前記ケースを固定するための固着部材が設けられるものであってもよい。
【0024】
上述したように、ケースと凹所の対向面との間に固着部材が設けられる場合には、可動部が進退動作して振動が発生する場合であっても、ケースが凹所内で簡単に移動してしまうことを防止することができる。
【0025】
さらに、対向面に対して可動部の進退方向が平行な方向になるため、固着部材がケースを対向面に固定する方向と、可動部の進退方向とは、異なる方向となる。さらに、ケースは、弾性部(凹所の対向面)に固定されることになるため、可動部の進退方向に対する動きが、固着部材を介して積極的に規制されるわけではない。従って、固着部材によってケースが凹所の対向面に固定される場合であっても、可動部の進退動作に伴って発生する振動が弱められたり、振動伝達部材に振動が伝達されにくくなったりすることを避けることできる。
【0026】
また、上述した振動発生ユニットは、前記対向面に当接する前記ケースの外面に、係合突部と、該係合突部と係合する被係合凹部とのいずれか一方が設けられ、前記凹所の前記対向面に、前記係合突部と前記被係合凹部とのいずれか他方が設けられるものであってもよい。
【0027】
上述したように、係合突部と被係合凹部とのいずれか一方がケースの外面に設けられ、いずれか他方が対向面に設けられる場合には、可動部が進退動作して振動が発生する場合であっても、ケースが凹所内で簡単に移動してしまうことを防止することができる。
【0028】
さらに、対向面に対して可動部の進退方向が平行な方向になるため、係合突部が被係合凹部に係合する方向(ケースを対向面に固定する方向)と、可動部の進退方向とは、異なる方向となる。さらに、ケースは、弾性部(凹所の対向面)に固定されることになるため、可動部の進退方向に対する動きが、係合突部と被係合凹部との係合によって積極的に規制されるわけではない。従って、係合突部と被係合凹部とによって、ケースが凹所の対向面に固定される場合であっても、可動部の進退動作に伴って発生する振動が弱められたり、振動伝達部材に振動が伝達されにくくなったりすることを避けることできる。
【0029】
また、本発明の他の形態に係るシートは、上述した前記振動発生ユニットと、該振動発生ユニットを着脱可能に収納する収納部が形成される前記クッション部とを備えるシートであって、前記振動発生ユニットは、前記弾性部が前記クッション部に当接された状態で、前記凹所の前記開口が前記シートの表面側を向くようにして前記収納部に収納されることを特徴とする。
【0030】
上述のシートでは、振動発生ユニットを着脱可能に収納するための収納部がクッション部に形成されているため、振動発生ユニットに不具合等が発生した場合には、振動発生ユニットだけを簡単に交換することができる。
【0031】
また、可動部を収納するケースが弾性部の凹所に固定された状態で、振動発生ユニットがクッション部内の収納部に収納されるため、可動部を収納したケースが、シートの外部に設置されることがない。ケース等がシートの前後方側の外部、あるいは左右側方側の外部に位置することがないため、ケースがシートの周囲の物に接触したり、ケースがシートの着座者の邪魔になることがない。
【0032】
さらに、振動発生ユニットは、弾性部がクッション部に当接された状態で、弾性部の凹所の開口がシートの表面側に向くようにして収納部に収納される。このため、弾性部がクッション部に当接された状態であっても、シートの表面側を向いて配置される開口の存在によって、ケースに発生した振動等が、ケースからシートの表面側のクッション材などに、直接的に伝達してしまうことを防止することができる。
【0033】
また、振動発生ユニットが収納部に収納される場合には、弾性部がクッション部に当接された状態となる。このため、可動部の進退動作により発生した振動は、振動伝達部材から弾性部に伝達された後に、弾性部とクッション部との当接部分を介して、クッション部に伝達される。このため、可動部で発生した振動を、弾性部とクッション部との当接部分を介して、効果的にシートの表面側へ伝達することが可能になる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の一実施形態に係る振動発生ユニットの弾性部は、シートのクッション部に収納された場合にシートの表面側を向くようにして開放された開口を有し、ケースよりも大きな寸法の内部空間を備える凹所を有している。従って、凹所にケースが固定された場合には、凹所内に十分な空間を確保することができる。
【0035】
特に、ケースが、開口に対向する凹所の対向面に固定された状態では、ケースから凹所の開口までの間に空間(S4)を確保することができる。このため、可動部の進退動作によりケースに振動が発生した場合であっても、振動がケースから開口側のクッション部に伝達しにくくなり、ケースからシートの表面側へ直接的に伝達されることを防ぐことができる。
【0036】
さらに、弾性部は、延伸される振動伝達部材に対して延伸方向の側方から当接する当接部を有している。可動部の進退動作により発生された振動は、振動伝達部材を介して延伸方向へと伝達されるため、弾性部がシートのクッション部に収納された場合には、当接部を介して振動伝達部材の振動をシートの表面側へ伝達することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の一実施形態に係る振動発生ユニットおよびシートについて、図面を用いて詳細に説明する。
【0039】
図1(a)は、実施の形態に係る振動発生ユニットを備えたシートの平面部分断面図を示し、
図1(b)は、側方部分断面図を示している。シート400は、座面部410と、背もたれ部420と、ヘッドレスト部430とを備えている。座面部410は、図示を省略したフレームと、フレームの外側を覆うようにして座面部410の内部に充填されるクッション部411とを有している。振動発生ユニット100は、クッション部411の内部に、振動発生ユニット100の長尺方向を、座面部410の前後方向(シート400の前後方向)に対応させるようにして設けられる。また、
図1(a)では、振動発生ユニット100が座面部410の左右位置に、それぞれ平行になるようにして一対に設けられた状態が、一例として示されている。
【0040】
なお、
図1(a)(b)に示すシート400では、座面部410に振動発生ユニット100が設けられる構成を示しているが、振動発生ユニット100の設置位置は、座面部410に限定されない。振動発生ユニット100を、背もたれ部420や、ヘッドレスト部430に設けることも可能である。さらに、振動発生ユニット100を、図示を省略した肘置き部等に設ける構成であってもよい。
【0041】
座面部410のクッション部411には、振動発生ユニット100を収納するための凹所(収納部)412が形成されている。また、クッション部411に形成された凹所412は、振動発生ユニット100の外形寸法に対応した寸法を備えている。座面部410の底面には、凹所412に振動発生ユニット100を収納するための開口部413が形成されている。開口部413には、底蓋部材414が設けられており、凹所412に振動発生ユニット100を収納した状態で、開口部413を底蓋部材414で閉設することにより、振動発生ユニット100が座面部410内に設置された状態となる。
【0042】
図2(a)(b)(c)は、振動発生ユニット100の概略構成を示した3面図であり、(a)は、平面図を示し、(b)は、正面図を示し、(c)は、側面図を示している。振動発生ユニット100は、
図2(a)(b)(c)に示すように、振動発生装置200と弾性部300とを有している。また、
図3は、振動発生ユニット100の振動発生装置200を拡大して示した側方断面図であり、
図4は、振動発生装置200と弾性部300とを分離して示した振動発生ユニット100の斜視図を示している。
【0043】
振動発生装置200は、本体部220と軸部材(振動伝達部材)210を有している。本体部220は、ケース230と、可動部240と、一対のバネ251,252と、ボイスコイルボビン260とにより概略構成されている。ケース230は、有底の筒形状(円柱外観形状)を呈している。ケース230は、円筒状の周面部232と、周面部232の両端開口233,234を塞ぐようにして取り付けられる断面コ字状の蓋部材235,236とを有している。蓋部材235,236には、周面部232の内部に挿入される弾性の爪部材235a,236aが、それぞれ複数箇所設けられている。蓋部材235,236が周面部232の両端開口233,234にそれぞれ嵌め込まれると、爪部材235a,236aの先端が周面部232の周面に形成された係止孔232a,232bに係止されて、蓋部材235,236が周面部232に固定される。
【0044】
蓋部材235,236の中心には、軸部材210を貫設させるための開口部235b,236bがそれぞれ設けられている。軸部材210は、円形断面を有する棒状部材であって、振動の伝達性能が高い金属等によって構成されている。軸部材210は、一対の蓋部材235,236のそれぞれの開口部235b,236bを貫くようにして、本体部220(ケース230)に設けられて、蓋部材235,236に固定されている。本体部220に設けられる軸部材210の一端211は、一方の蓋部材235から僅かに突出した状態で固定されている。軸部材210の他端212は、他方の蓋部材236から一定の長さだけ延伸された状態となっている。軸部材210は、振動伝達部材として機能する。なお、蓋部材235,236のケース230内部側の側面には、一対のバネ251,252の端部に係合するボス235c,236cが形成されている。
【0045】
可動部240は、軸部材210に沿って、本体部220内部で進退動作を行う構成となっている。可動部240は、ヨーク241と、第一ポール242と、マグネット243と、第二ポール244と、軸受け部245,246とを有している。第一ポール242および第二ポール244は、導磁率の高い鉄製の部材であり、ヨーク241は、マグネット243の磁力を効率よく第二ポール244へ伝えて磁束(磁界)を発生させる部材である。
【0046】
ヨーク241は、有底筒形状を呈しており、底部分(
図3の右側部分)の中央部には、軸部材210を貫通させるための貫通孔241aが形成されている。また、蓋部材236と対向するヨーク241の底部分(
図3の右側の側面部)には、ボス241bが設けられている。さらに、ヨーク241の貫通孔241aの内周面には、軸受け部246が設けられている。
【0047】
ヨーク241の外側径は、ケース230(周面部232)の内側径よりも小径となっており、ケース230(周面部232)の内周面230aとヨーク241の外周面241dとの間に、間隙が確保されている。この間隙により、可動部240が軸部材210の軸方向(延伸方向)に進退動作する場合(
図3の左右方向へ動く場合)であっても、ヨーク241の外周面241dが、ケース230の内周面230aに接触することを防ぐことができる。
【0048】
第一ポール242、マグネット243および第二ポール244は、リング形状を呈している。第一ポール242、マグネット243および第二ポール244は、それぞれのリング孔242a,243a,244aが連通された状態で、マグネット243を第一ポール242と第二ポール244とが挟み込むようにして一体に形成されている。リング孔242a,243a,244aは、軸部材210を貫入させる構造になっている。
【0049】
リング孔242a,243a,244aの内径およびヨーク241の貫通孔241aの内径は、軸部材210の外径よりも僅かに拡径となっている。また、軸受け部245と次述する軸受け部246とが、ヨーク241と第一ポール242とに設けられる。このため、可動部240が進退動する場合に、第一ポール242、マグネット243および第二ポール244のリング孔242a,243a,244aと、ヨーク241の貫通孔241aとが、軸部材210の外周面に接してしまうことを防止することができる。
【0050】
第一ポール242、マグネット243および第二ポール244のそれぞれのリング形状の外径は、ヨーク241の内径よりも小径となっている。第一ポール242、マグネット243および第二ポール244は一体となって、ヨーク241の開放された側の端部241e(
図3の左側端部)からヨーク241の内部に収納され、ヨーク241に連結される。また、蓋部材235に対向する第一ポール242の側面には、ボス242bが設けられている。さらに、第一ポール242のリング孔242aの内周面には、上述した軸受け部245が設けられている。
【0051】
軸受け部245,246は、筒形状を呈しており、筒の内部に軸部材210を貫入させた状態で、軸部材210に沿って進退動可能に取り付けられる。軸受け部245,246は、可動部240が軸部材210の軸方向に円滑に動くことを可能にする部材であり、スライド部材として機能する。
【0052】
具体的には、連結された第一ポール242、マグネット243、第二ポール244およびヨーク241が、軸受け部245,246を介して軸部材210に取り付けられて、軸部材210の延伸方向へと進退動作することが可能になる。なお、軸受け部245,246が設けられていないマグネット243と第二ポール244とは、上述したようにリング孔243a,244aの内径が、軸部材210の外径よりも僅かに拡径となっているため、進退動作を行う場合に、軸部材210の外周面に接することがない。
【0053】
一方の蓋部材235と第一ポール242との間には、バネ251が設けられている。バネ251は、軸部材210を内部に案内した状態で、蓋部材235のボス235cと、第一ポール242のボス242bとのそれぞれに係合した状態で設置される。また、他方の蓋部材236とヨーク241との間にもバネ252が設けられている。バネ252は、軸部材210を内部に案内した状態で、ヨーク241のボス241bと、蓋部材236のボス236cとのそれぞれに係合した状態で設置される。実施の形態に係る2つのバネ251,252は、原則として、同じバネ定数および変動量を備える同一の圧縮バネが用いられる。
【0054】
蓋部材235には、ボイスコイルボビン260が設けられており、ボイスコイルボビン260の先端には、ボイスコイル270が設けられている。ボイスコイルボビン260の先端は、ヨーク241の内周面と第一ポール242の外周面との隙間まで延設されており、可動部240が静止した状態において、ヨーク241と第一ポール242との間に、ボイスコイル270が配置される。
【0055】
振動発生ユニット100を構成する弾性部300は、例えば、ウレタンやクッション材等の弾性部材によって構成される。弾性部300は、振動発生装置200の外寸よりも一回り大きな直方体形状に形成されており、この直方体形状の一部には、振動発生装置200の本体部220を収納するための凹所310が形成されている。
【0056】
凹所310の長尺寸法L1(
図3の左右方向の寸法)は、本体部220の長尺方向の寸法R1よりも長く、凹所310の上下寸法L2(
図3の上下方向の寸法)は、本体部220の上下方向の寸法R2(本体部220の直径)よりも長くなっている。つまり、凹所310は、本体部220(ケース230)よりも大きな寸法の内部空間を備えている。
【0057】
弾性部300において凹所310が形成されることにより、弾性部300の側方断面視でL字となる部分を、説明の便宜上、第一弾性部301と称し、凹所310が形成されていない直方体形状の部分を、説明の便宜上、第二弾性部302と称する。実施の形態に係る弾性部300では、第一弾性部301と第二弾性部302とが一体に形成されている。凹所310において上方に開放した開口を、開口320とする。
【0058】
第二弾性部302には、
図4に示すように、第一弾性部301の凹所310を構成する一方の側面321から第二弾性部302の端部322まで連通する連通孔(当接部、導通孔)330が貫設されている。連通孔330には、軸部材210の延伸部分214(他端212側部分)が配設される。連通孔330の直径は、軸部材210の延伸部分214の直径(断面径)と同じか僅かに小さくなっている。連通孔330に軸部材210が貫入された状態において、軸部材210の外周面に連通孔330の内周面が当接あるいは僅かに圧接する状態を保つ構造となっている。つまり、軸部材210の延伸方向の側方から、連通孔330の内周面が、軸部材210に当接する構造になっている。
【0059】
第二弾性部302には、連通孔330から第二弾性部302の側壁面323へ続く水平な切り込み325が設けられている。第二弾性部302の側壁面323側から切り込み325を介して、軸部材210を連通孔330へと水平に移動させることにより、軸部材210を連通孔330に導き入れることが可能になっている。
【0060】
凹所310を構成する第一弾性部301の側面326には、軸部材210の一端211が貫入される貫入孔327が設けられている。貫入孔327は、貫入孔327の端面(
図3の左側端面)と一端211の先端との間に、僅かな隙間S1が確保されるようにして設けられる。軸部材210の一端211を貫入孔327に貫入させる場合には、まず、軸部材210の延伸部分214を、切り込み325を利用して連通孔330へ導き入れた後に、弾性部300に対して軸部材210を僅かにスライドさせることにより、一端211を貫入孔327に貫入させる。
【0061】
凹所310の側面326と、本体部220の蓋部材235の側面235dとの間には、十分な距離の空間S2が確保されている。また、空間S2が確保された状態において、凹所310の側面321と、本体部220の蓋部材236の側面236dとの間にも、十分な距離の空間S3が確保されている。このように、凹所310に本体部220(ケース230)が固定された状態において、本体部220(ケース230)と凹所310の内面(側面321,326)との間に、十分な空間S2,S3が確保される。
【0062】
第二弾性部302の連通孔330に軸部材210の延伸部分214が挿入され、第一弾性部301の凹所310に、振動発生装置200の本体部220(ケース230)が配置された状態において、本体部220の下面部220aと凹所310の底面(対向面)328との当接部分に、粘着部材(固着部材)340が取り付けられる。粘着部材340として、例えば、両面接着シートなどを用いることができる。粘着部材340を取り付けることにより、本体部220が凹所310(弾性部300)に固定される。本体部220が凹所310の底面328に固定されると、
図3に示すように、底面328に対して、可動部240の進退方向が平行な方向になる。
【0063】
このようにして構成される振動発生ユニット100を、シート400の座面部410(クッション部411)に形成される凹所412へ、開口部413より設置して、底蓋部材414を閉設することによって、振動発生ユニット100が座面部410(クッション部411)内に収納される(
図1(a)(b)参照)。このとき、凹所310の開口320が、座面部410の表面(着座面)側を向いた状態で、つまり凹所310の開口320が上側を向いた状態で、振動発生ユニット100が座面部410に設置される。
【0064】
シート400の内部に設置された振動発生ユニット100は、座面部410の凹所412の天井面(クッション部411)に、第二弾性部302の上面が当接しており、凹所412の天井面と第二弾性部302の上面との間に隙間が生じない状態となっている。
【0065】
一方で、振動発生ユニット100の第一弾性部301には、凹所310が設けられており、凹所310によって本体部220の上側面と凹所310の開口320との間に空間S4が確保されている。このため、振動発生装置200の本体部220が、座面部410(クッション部411)の凹所412の天井面に接することはない。
【0066】
振動発生ユニット100が座面部410(クッション部411)の内部に設置された状態で、ボイスコイル270に対して、図示を省略したケーブルを介して電流が流れると、ヨーク241と第一ポール242との間に発生する磁束との影響によって、軸部材210の延伸方向(軸方向)に作用する力が発生する(フレミングの左手の法則)。延伸方向(軸方向)に作用する力により、ヨーク241と第一ポール242とマグネット243と第二ポール244と軸受け部245、246とからなる可動部240が一体となって、軸部材210に沿ってケース230の内部で進退動作を行う。
【0067】
可動部240の進退動作によって、ケース230に対して可動部240が、相対的に近接離反することになる。さらに、バネ251,252による弾性力の作用によって、可動部240の進退動作による振動が増大されて、縦波を主成分とする振動が軸部材210に伝達される。軸部材210に伝達された振動は、軸部材210の延伸方向(軸方向)へと伝達される。このとき、振動は縦波を主成分とするため、軸部材210の延伸部分214(他端212側部分)の端部まで、迅速且つ強さを弱めることなく振動が伝達されることになる。軸部材210の端部(他端212)まで伝わった振動は、延伸部分214の全体の周側面から、第二弾性部302の連通孔330の内面を介して、座面部410のクッション部411へ伝達される。クッション部411に伝達された振動は、座面部410の表面側へ伝わる。
【0068】
特に、座面部410の凹所412の天井面と第二弾性部302の上面とは、当接した状態となっており、凹所412の天井面と第二弾性部302の上面との間に隙間が生じない。このため、軸部材210の延伸部分214に伝達された振動は、延伸部分214から第二弾性部302に伝達された後に、第二弾性部302の上面と凹所412の天井面との当接部分を介して、座面部410のクッション部411に伝達される。従って、軸部材210(延伸部分214)に伝達された振動を、当接部分を介して、効果的に座面部410の表面側へ伝達することが可能になる。また、軸部材210(延伸部分214)に伝達した振動が、当接部分を介して第二弾性部302から座面部410へ伝達されるため、振動が第二弾性部302から座面部410(クッション部411)へ伝わる際に、弱まってしまうことを抑制することができる。
【0069】
さらに、軸部材210(延伸部分214)と座面部410(クッション部411)の凹所412の天井面との間には、第二弾性部302しか存在しないため、第二弾性部302内を伝わる振動の伝達特性が均一になる。つまり、軸部材210の各部位から第二弾性部302へ伝わった振動は、同じ速度で同じ強さの振動として、座面部410の表面側へと伝達される。軸部材210より所定の強さで振動が発生(出力)された場合には、発生位置から適切なタイミングおよび強さで、座面部410の表面側に対して振動を伝達することが可能になる。
【0070】
また、軸部材210の延伸部分214に伝達した振動が、延伸部分214から座面部410の表面側へ伝達される場合には、振動の伝達経路が、軸部材210の延伸部分214から上側の方向となるため、連通孔330から側壁面323まで水平方向に形成された切り込み325により、振動の伝達特性に影響を与えるおそれがない。切り込み325を設けることにより、振動特性に影響を与えることなく、簡易に、軸部材210を連通孔330に導き入れることが可能になる。
【0071】
さらに、粘着部材340によって本体部220が第一弾性部301の凹所の底面328に固定された状態で、本体部220の上側の外周面と、座面部410(クッション部411)の凹所412の天井面との間には、空間S4が確保されている。このため、可動部240の進退動作によって、本体部220の外周面に振動が発生(伝達)した場合であっても、空間S4によって、本体部220の外周面から座面部410へと振動が直接的に伝達してしまうことを防止することができる。従って、可動部240で発生した振動を効率的に軸部材210に伝達することができると共に、軸部材210を介して伝達された振動を、座面部410の表面側へ、効果的に伝達することが可能になる。
【0072】
特に、座面部410へ振動を効果的に伝達する方法として、ボイスコイル270に流す電流の周波数を制御することにより、座面部410の表面側の振動発生位置を変更・調整する技術が既に提案されている(例えば、特開2018−202883号公報)。このように、ボイスコイル270に流す電流の周波数に応じて座面部410の振動発生位置を調整する場合には、座面部410の水平方向へ延伸される軸部材(振動伝達部材)210に対して、縦波の振動を効率的に伝達させると共に、軸部材210以外の部位(例えば、本体部220の外周面等)から座面部410へ、振動が直接的に伝わることを防ぐ必要が生じる。
【0073】
振動発生ユニット100では、上述したように、本体部220の上側の外周面と、座面部410(クッション部411)の凹所412の天井面との間に空間S4が確保されており、本体部220の外周面から座面部410へ、振動が直接的に伝達してしまうことを防止することができる。このため、可動部240の進退動作により発生した振動を効率的に軸部材210に伝達することができ、電流の周波数調整によって座面部410における振動の発生位置を好適に制御することが可能になる。
【0074】
また、従来の振動発生装置では、振動伝達部材(軸部材)を座面部のクッション材に埋設するために、振動伝達部材を配置した状態で、クッション材をインサート成形することが多い。しかしながら、インサート成形を用いて振動伝達部材を座面部のクッション材に埋設する方法では、シートの組み立てに関する処理負担が生じると共に、振動伝達部材をシートの所望位置に配設することが難しかった。
【0075】
振動発生ユニット100では、座面部410のクッション部411とは別体である、クッション材からなる第二弾性部302を用いるため、振動発生装置200の軸部材(振動伝達部材)210を簡易にクッション材(第二弾性部302)に設置することが可能になる。さらに、軸部材210が第二弾性部302の連通孔330によって把持されているため、振動発生ユニット100(弾性部300)において軸部材210が簡単に動いてしまうことを防止することができる。従って、軸部材210および本体部220を、弾性部300の所望位置に配設することができ、配設された軸部材210および本体部220が、簡単に動いてしまうことを防止することができる。
【0076】
さらに、振動発生ユニット100において、軸部材210および本体部220が動いてしまうことを防止することができるため、振動発生ユニット100が座面部410に配設された場合にも、座面部410の内部において、軸部材210および本体部220が動いてしまうことがない。従って、ボイスコイル270に流す電流の周波数に基づいて、座面部410の表面側の振動発生位置を制御する場合に、軸部材210の設置位置が変動することがないため、振動発生位置をより細かく調整・制御することが可能になる。
【0077】
また、座面部410に振動発生ユニット100を収納するための凹所412が形成されており、凹所412に対して振動発生ユニット100を配設することによって、簡単に座面部410へ振動発生装置200を取り付けることが可能である。このため、座面部410に対する振動発生装置200(振動発生ユニット100)の設置負担を軽減することができる。
【0078】
さらに、座面部410に対して振動発生装置200を設置する場合には、凹所412に対して振動発生ユニット100を収納した後に、凹所412の開口部413を底蓋部材414で閉設するだけでよい。従って、振動発生ユニット100の振動発生装置200が故障等した場合には、底蓋部材414を開けて座面部410から振動発生ユニット100を取り出して、簡単に振動発生装置200(振動発生ユニット100)を交換することができる。つまり、振動発生ユニット100を用いることにより、座面部410に対する振動発生装置200の交換負担(着脱負担)を軽減することが可能になる。
【0079】
また、座面部410の凹所412の寸法は、振動発生ユニット100の外形寸法に対応した寸法となっている。このため、凹所412に振動発生ユニット100を収納することにより、凹所412内で振動発生ユニット100が移動することがなく、座面部410における振動発生装置200の設置位置を一定にすることができる。従って、上述したように、ボイスコイル270に流す電流の周波数に基づいて、座面部410の表面側の振動発生位置を制御する場合において、振動発生位置をより細かく調整・制御することが可能になる。
【0080】
さらに、振動発生装置200の本体部220は、弾性部300の凹所310に設けられており、本体部220における可動部240の進退方向側のそれぞれの側面236d,235dと、凹所310のそれぞれの側面321,326との間には、空間S3,S2が形成されている。このため、可動部240の進退動作により発生された振動が、側面321,326に直接的に伝達されて、振動が弱まってしまうことがない。
【0081】
また、振動発生装置200の本体部220は、下面部220aと凹所310の底面328との当接部分に設けられる粘着部材340によって、弾性部300に固定されている。粘着部材340により、本体部220のケース230を第一弾性部301に固定する方向は、
図3の上から下に向かう方向であって、可動部240の進退方向である
図3の左右方向とは異なる方向である。つまり、粘着部材340は、ケース230を底面328に向かう(上から下)方向に向けて固定しているが、ケース230における左右方向(可動部の進退方向)の動きを積極的に規制するものではない。さらに、ケース230が固定される凹所310の底面328は弾性部300(第一弾性部301、クッション材等)であるため、ケース230における左右方向の動きを積極的に規制するものではない。このため、粘着部材340により、振動発生装置200(ケース230)を第一弾性部301(凹所310の底面328)に固定しても、可動部240の進退動作により発生された振動が、粘着部材340によって抑制されてしまうことがない。
【0082】
さらに、本体部220の側面235dは、第一弾性部301の側面326を構成する壁部350に対向しており、振動発生装置200の端面236dは、第二弾性部302(壁部)の側面321に対向している。このため、振動発生ユニット100が設けられたシート400に対して、外部からシート400の前後方向(可動部240の進退方向)に衝撃が加えられた場合であっても、第一弾性部301の壁部350、あるいは、第二弾性部302(壁部)によって、本体部220に対して加えられる衝撃を吸収することができる。
【0083】
また、衝撃によって、本体部220が凹所310内で動いてしまっても、移動する本体部220に加えられる衝撃を、第一弾性部301の壁部350、あるいは、第二弾性部302によって吸収することができる。このため、本体部220が衝撃により大きく破損したり、本体部220が振動発生ユニット100から外部へ、あるいはシート400の座面部410から外部へ飛び出してしまうことを、防ぐことができる。
【0084】
さらに、
図1(a)に示すように、シート400に振動発生ユニット100が収納された場合、本体部220の左右方向(シート400の左右側方、
図1(a)の左右方向)には、凹所310による隙間が確保されており、さらに、その左右方向にはクッション部411が設置されている。このため、振動発生ユニット100が設けられたシート400に対して、外部からシート400の左右方向に衝撃が加えられた場合であっても、本体部220に加えられる衝撃を、座面部410のクッション部411で低減させることができる。このため、本体部220が、左右方向からの衝撃により大きく破損したり、本体部220が振動発生ユニット100から外部へ、あるいはシート400の座面部410から外部へ飛び出してしまうことを、防ぐことができる。
【0085】
さらに、振動発生装置200の軸部材210が第二弾性部302の連通孔330に貫入されて僅かに圧接等された状態となり、さらに本体部220が弾性部300に粘着部材340を介して固定されているため、振動発生ユニット100が設けられたシート400に対して、外部から衝撃が加えられた場合であっても、振動発生装置200が弾性部300から分離されにくい。このため、振動発生ユニット100より、簡単に振動発生装置200が弾性部300から脱落して(飛び出し)しまうことを防ぐことができる。
【0086】
また、振動発生ユニット100は、座面部410のクッション部411に設けられた凹所412に振動発生ユニット100を収納した後に、凹所412の開口部413を底蓋部材414で閉設するだけで、シート400の座面部410に取り付けることができる。従って、振動発生ユニット100を座面部410に取り付けるために、ステーやブラケットを個別に設ける必要がなく、取り付け構造の簡略化を図ることができる。
【0087】
さらに、座面部410に振動発生ユニット100を取り付けるためのステーやブラケットを設けると、軸部材210から第二弾性部302およびクッション部411を介して座面部410の表面側に伝達される振動が、ステーやブラケットにより弱められたり、他の部位へ分散されて伝達されるおそれが生じる。振動発生ユニット100および座面部410には、振動伝達の障害となる、ステーやブラケット等の取り付け部材が設けられていないため、軸部材210から座面部410の表面側へ、振動を弱めることなく伝えることができ、座面部410の所望の位置に、所望の強さで振動を発生させることが可能になる。
【0088】
以上、本発明の一実施形態に係る振動発生ユニットおよびシートについて、図面を用いて詳細に説明を行ったが、本発明に係る振動発生ユニットおよびシートは、上述した実施例に限定されない。例えば、実施の形態に示した振動発生ユニット100では、第二弾性部302の連通孔330へ、軸部材210を水平に案内する切り込み325が設けられる場合について説明した。しかしながら、第二弾性部302に対して、必ずしも切り込み325を設ける必要はない。
【0089】
図5は、第二弾性部に対して切り込みを設けていない振動発生ユニットを示した斜視図である。振動発生ユニット100aにおいて、振動発生装置200aの軸部材210を、第二弾性部302aの連通孔330に貫入させる場合には、第一弾性部301aの壁部350を撓ませて、軸部材210の延伸部分214を、第二弾性部302aの側面321側の連通孔330から挿入し、本体部220が凹所310に収納される位置まで軸部材210を連通孔330に貫入させた後で、第一弾性部301aの壁部350の撓みを元に戻す。このようにして、弾性部300aに振動発生装置200aを貫入させることにより、第二弾性部302aに切り込み325を設ける必要がなくなる。
【0090】
さらに、
図3および
図4に示した振動発生ユニット100では、粘着部材340を用いて振動発生装置200の本体部220を、第一弾性部301の凹所310(底面328)に固定する場合について説明した。しかしながら、本体部220を第一弾性部301の凹所310(底面328)に固定する方法は、必ずしも粘着部材340を用いる方法に限定されない。
【0091】
例えば、
図5および
図6に示すように、本体部220の下面部220aに突起部(係合突部)220bを設けると共に、凹所310の底面328に、突起部220bを貫入させるための係合孔(被係合凹部)328aを設ける構造とすることも可能である。このようにして、本体部220の突起部220bを、凹所310の係合孔328aに貫入させて、突起部220bを係合孔328aに係合させることにより、底面328に本体部220を固定することができる。このため、振動発生装置200aの可動部240が進退動作した場合であっても、突起部220bが係合孔328aに係合することにより、振動発生装置200aの本体部220が、凹所310の底面328において動いてしまうことを防止することができる。
【0092】
さらに、突起部220bが係合孔328aに係合する方向(振動発生装置200aを弾性部300aに固定する方向)は、
図6の上から下に向かう方向であって、可動部240の進退方向(
図6の左右方向)と異なる方向である。つまり、突起部220bおよび係合孔328aは、ケース231を底面328に向かう(上から下)方向に向けて固定しているが、ケース231における左右方向(可動部240の進退方向)の動きを積極的に規制するものではない。さらに、ケース231が固定される凹所310の底面328は、弾性部300a(第一弾性部301a、クッション材等)であるため、ケース231にける左右方向の動きを積極的に規制するものではない。このため、突起部220bおよび係合孔328aの係合構造により、振動発生装置200a(ケース231)を第一弾性部301a(凹所310の底面328)に固定しても、可動部240の進退動作により発生された振動が抑制されてしまうことがない。
【0093】
また、実施の形態に示した振動発生ユニット100では、第一弾性部301と第二弾性部302とが一体である場合について説明した。しかしながら、第一弾性部301と第二弾性部302とは、分離されて別々になっているものであってよい。例えば、第一弾性部301と第二弾性部302とを別体とすることにより、第一弾性部301と第二弾性部302との劣化状態が異なる場合に、劣化の早い部分(第一弾性部301あるいは第二弾性部302のいずれか)のみを交換することができる。さらに、振動発生ユニット100が座面部410の凹所412に収納されている場合においても、第一弾性部301と第二弾性部302とのいずれかのみを取り出して交換することができるため、振動発生ユニット100のメンテナンス性能を向上させることができる。
【0094】
また、弾性部300を上下別々の部材に分割して、上側の弾性部が、座面部410のクッション部411によって構成されるようにしてもよい。
図7(a)は、
図4に示した振動発生ユニット100の第二弾性部302を、切り込み325を基準として上下に分割して、第二弾性部302の高さを約半分にした図である。分割した上側部分は、
図7(b)に示した座面部410の断面図のように、クッション部411と一体にする。このように第二弾性部303の上側部分を座面部410のクッション部411によって構成し、第二弾性部303の上面303aに軸部材210を載置するための湾曲溝(
図4に示す連通孔330の下側半分、当接部)が形成されるようにしてもよい。弾性部300bに振動発生装置200を配置する場合には、弾性部300bの上側に振動発生装置200を載せるだけでよいため、簡単に振動発生装置200あるは弾性部300bの交換等を行うことができる。
【0095】
弾性部300bに振動発生装置200を載置した振動発生ユニット100bを、座面部410の凹所412に挿入することにより、
図7(b)に示すように、クッション部411の天井面と第二弾性部303の上面303aとで、軸部材210を上下から挟み込むことになる。このようにして座面部410に振動発生ユニット100bを収納した状態で、可動部240が進退動作を行うことにより、軸部材210に伝わった振動が、クッション部411を介して座面部410の表面側へと伝達されることになる。
図7(a)(b)に示す振動発生ユニット100bでは、軸部材210から座面部410の表面側までクッション部411だけを介して振動が伝達されるため、振動を効果的に座面部410の表面側へと伝達することが可能になる。
【0096】
さらに、実施の形態に係る振動発生ユニット100では、シート400の座面部410の底面に開口部413が形成されて、振動発生ユニット100が座面部410の下側から収納される構成を一例として示した。しかしながら、座面部410に振動発生ユニット100を収納する構成は、この構成には限定されない。例えば、座面部410の左右側方にそれぞれ開口部を形成し、座面部410の側方から振動発生ユニット100を収納する構成にすることも可能である。このようにして、振動発生ユニット100が座面部410に収納される場合であっても、凹所310の開口320が座面部410の表面側(着座面側)を向くようにして、振動発生ユニット100を座面部410に収納することにより、実施の形態に係る振動発生ユニット100と同様の効果を奏することができる。