スーツケース1は、ケース本体2と、ケース本体2の開口を塞ぐカバー3と、ケース本体2の下面25に直接または近接して設けられ、ケース本体2の下面25を床面100に向けた状態で、床面100に接触し、ケース本体2の下面25側を支持するケース本体下面側キャスタ4a、4bと、カバー3の下面に直接または近接して設けられ、カバー3の下面35を床面100に向けた状態で、当該床面100に接触し、カバー3の下面35側を支持するカバー下面側キャスタ5a、5bと、利用者が押進操作を行う際に、当該当該利用者が握るグリップ部71を先端側に有し、伸縮可能であるとともに、基端側がケース本体2に対して傾動可能に設けられた伸縮ハンドル7とを備える。
ケース裏面、上面、左右側面、及び下面より構成され、物入れの主体であるケース本体と、 ケース表面、上面、左右側面、及び下面より構成され、前記ケース本体の開口を塞ぐカバーと、 前記ケース本体の前記下面に直接または近接して設けられ、前記ケース本体の前記下面を床面または地面に向けた状態で、当該床面または当該地面に接触し、前記ケース本体の前記下面側を支持するケース本体下面側キャスタと、 前記カバーの前記下面に直接または近接して設けられ、前記カバーの前記下面を前記床面または前記地面に向けた状態で、当該床面または当該地面に接触し、前記カバーの前記下面側を支持するカバー下面側キャスタと、 利用者が押進操作を行う際に、当該利用者が握るグリップ部を先端側に有し、伸縮可能であるとともに、基端側が前記ケース本体に対して傾動可能に設けられた伸縮ハンドルと、 を備えることを特徴とするスーツケース。
前記ケース本体下面側キャスタは、前記ケース本体の前記下面に対して水平方向の外側に展開可能であり、 前記カバー下面側キャスタは、前記カバーの前記下面に対して水平方向の外側に展開可能であることを特徴とする請求項1に記載のスーツケース。
前記ケース本体の前記上面に直接または近接して設けられ、前記ケース本体の前記ケース裏面を前記床面または前記地面に向けた状態で、当該床面または当該地面に接触し、前記ケース本体の前記上面側を支持する前記ケース本体上面側キャスタを更に備え、 前記ケース本体下面側キャスタは、前記ケース本体の前記ケース裏面を前記床面または前記地面に向けた状態で、当該床面または当該地面に接触し、前記ケース本体の前記下面側を支持し、 伸縮ハンドルは、前記ケース本体の前記ケース裏面を前記床面または前記地面に向けた状態で、前記グリップ部を利用者が握れる位置まで傾動させることが可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスーツケース。
前記ケース本体の前記ケース裏面を前記床面または前記地面に向けた状態で、前記伸縮ハンドルの傾動の角度を利用者の選択により規制する傾動規制手段を更に備えることを特徴とする請求項5に記載のスーツケース。
前記ケース本体下面側キャスタ及び前記ケース本体上面側キャスタと異なる位置に設けられ、前記ケース本体の前記ケース裏面を前記床面または前記地面に向けた状態で、当該床面または当該地面に接触し、前記ケース裏面を支持するケース裏面支持キャスタを更に備えることを特徴とする請求項5または6に記載のスーツケース。
前記カバーの前記ケース表面に、他のスーツケースのケース本体のケース裏面に設けられたケース裏面側嵌合部と嵌合するケース表面側嵌合部を設けたことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載のスーツケース。
前記ケース本体の前記ケース裏面と前記上面の間のコーナに設けられ、前記ケース本体の前記ケース裏面を前記床面または前記地面に向けた状態で、当該床面または当該地面の段差を前記スーツケースが乗り越える際に、前記段差に接触可能な補助キャスタを更に備えることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載のスーツケース。
前記ケース本体の前記ケース裏面と前記下面の間のコーナに突出して設けられ、前記ケース本体の前記ケース裏面を前記床面または前記地面に向けた状態で、当該床面または当該地面の段差を前記スーツケースが乗り越える際に、利用者によって踏まれることで、前記ケース本体の前記上面側を持ち上げるペダルを更に備えることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載のスーツケース。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<本発明の実施の形態>
以下、本発明の実施の形態にかかるスーツケースを、図面に基づいて説明する。
【0021】
<スーツケースの全体構成> まず、本発明の実施の形態にかかるスーツケースの構造について説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかるスーツケースの伸縮ハンドルを収納した状態の斜視図である。
図2は、本発明の実施の形態にかかるスーツケースを示す伸縮ハンドルを伸ばした状態の斜視図である。
図3は、発明の実施の形態にかかるスーツケースを示す伸縮ハンドルを傾動させ、キャスタを展開させた状態の斜視図である。
図4は、本発明の実施の形態にかかるスーツケースを倒した状態で牽引する場合を示す斜視図である。
【0022】
図1に示すように、スーツケース1は、物入れの主体であるケース本体2と、ケース本体2の開口を塞ぐカバー3と、ケース本体下面側キャスタ4a、4bと、カバー下面側キャスタ5a、5bと、ケース本体上面側キャスタ6a、6bと、伸縮ハンドル7と、ケース本体の上面22に設けられる取っ手8とから構成されている。
【0023】
ケース本体下面側キャスタ4a、4bと、カバー下面側キャスタ5a、5bと、前記ケース本体上面側キャスタ6a、6bと、伸縮ハンドル7とは、スーツケース1のキャリーシステムを構成している。
【0024】
ケース本体2は、ケース裏面21、上面22、左右側面23、24、及び下面25より構成される。
【0025】
カバー3は、ケース表面31、上面32、左右側面33、34、及び下面35より構成され、ケース本体2の開口26を塞ぐ。
【0026】
ケース本体下面側キャスタ4a、4bは、ケース本体2のケース裏面21と下面25の間の左右の角部に設けられ、ケース本体2の下面25を床面100または地面に向けた状態で、当該床面100または当該地面に接触し、ケース本体2の下面25側を支持する
【0027】
また、前記ケース本体下面側キャスタ4a、4bは、
図4に示すように、ケース本体2のケース裏面21を床面100または地面に向けた状態で、当該床面100または当該地面に接触し、ケース本体2の前記下面25側を支持する。
【0028】
図1に示すように、カバー下面側キャスタ5a、5bは、カバー3のケース表面31と下面35の間の左右の角部に設けられ、カバー3の下面35を床面100または地面に向けた状態で、当該床面100または当該地面に接触し、カバー3の下面35側を支持する。
【0029】
前記ケース本体上面側キャスタ6a、6bは、前記ケース本体2の前記ケース裏面21と前記上面22の間の左右の角部に設けられ、
図4に示すように、ケース本体2のケース裏面21を床面100または地面に向けた状態で、当該床面100または当該地面に接触し、ケース本体2の上面22側を支持する。
【0030】
伸縮ハンドル7は、先端側に利用者が握るグリップ部71を有し、基端側に第1及び第2の回動部72、73(
図3参照)を有し、中間部に伸縮可能な脚筒74と、ロック解除ボタン75とを備えている。
【0031】
グリップ部71は、基部71Sの左右に、丸棒形状のグリップ部71L、グリップ部71Rを設けたものである。 基部71Sには、ロック解除ボタン75が設けられている。
【0032】
ロック解除ボタン75は、利用者が操作することで脚筒74の伸縮をアンロック状態にする
【0033】
脚筒74は、
図2に示すように、内側板棒材76と、外側筒状部77を備えている。 脚筒74は、縮められた状態で、外側筒状部77が内側板棒材76を摺動可能な状態で収納している。
【0034】
内側板棒材76には、
図3に示す支持棒材28の回転係止部28aが係止される係止孔78が形成されている。
【0035】
図1に示すように、ケース本体2のケース裏面21には、伸縮ハンドル7を収納する溝部27が設けられている。
【0036】
溝部27の下端側には、伸縮ハンドル7の回動部72が取り付けられている。
図2に示すように、伸縮ハンドル7は、回動部72により前記ケース本体2に対して、左右方向の回転軸S1により、図中A方向に傾動可能に設けられている。回動部72は、本実施の形態の場合、
図1に示した伸縮ハンドル7の収納位置から、
図4に示した傾動位置を超え、最大270°の角度調整が可能である。
【0037】
尚、回動部72による伸縮ハンドル7の角度調整の角度は、最大250°角度等、他の角度を適用可能である。
【0038】
また、
図3に示すように、伸縮ハンドル7は、溝部27から引き出して状態で、回動部73により、回転軸S2を中心にして傾動可能に設けられている。
【0039】
回動部73による回転軸S2は、前記回転軸S1に対して直交する。回動部73は、左右の中央位置から最大で、±90°、計180°角度調整可能である。尚、回転軸S2による伸縮ハンドル7の角度調整可能な角度は、ケース本体2のケース裏面21及び溝部27の干渉により、回転軸S1を中心とする伸縮ハンドル7の角度調整によって変化する。
【0040】
尚、回動部73による伸縮ハンドル7の角度調整の角度は、±60°、計120等、他の角度を適用可能である。
【0041】
このような構造により、伸縮ハンドル7は、基端側が前記ケース本体2に対して傾動可能に設けられている。
【0042】
また、前記伸縮ハンドル7は、回動部72、73により前記ケース本体2に対して二軸で傾動可能に設けられている。
【0043】
図2に示す前記伸縮ハンドル7は、ロック解除ボタン75の操作により脚筒74を伸ばし、
図3に示すように、ケース本体2のケース裏面21に介して、約20°傾けた状態で、溝部27から延出する支持棒材28の先端の回転係止部28aを、脚筒74の内側板棒材76の係止孔78に係止できるようになっている。
【0044】
ここで、支持棒材28の先端の回転係止部28aは、T文字状に形成され、内側板棒材76の角度規制を行う際、長手方向を係止孔78に合わせた状態で、係止孔78に挿入され、利用者に90°回転操作されることで、係止孔78の縁を係止する。これにより、回転係止部28aは、支持棒材28の棒材本体28bの先端との間で内側板棒材76を挟み込むことで、伸縮ハンドル7の傾動の角度を所定の状態に規制する。
【0045】
従って、支持棒材28は、伸縮ハンドル7の傾動の角度を利用者の選択により規制する傾動規制手段となっている。
【0046】
尚、伸縮ハンドル7の傾動の角度を利用者の選択により規制する傾動規制手段としては、支持棒材28以外の手段、例えば、ヒンジを用いて板棒材を折曲可能にしたアーム部材、ダンパ、ワイヤ、チェーン等、各種適用可能である。
【0047】
図3に示すように、前記ケース本体下面側キャスタ4a、4bは、それぞれ、アルミ合金を板棒形状に形成した引き出し部41a、41bにより、前記ケース本体2の前記下面25に対して水平方向の外側に展開可能である。
【0048】
前記カバー下面側キャスタ5a、5bは、アルミ合金を板棒形状に形成した引き出し部51a、51bにより、前記カバー3の前記下面35に対して水平方向の外側に展開可能である。
【0049】
また、伸縮ハンドル7は、
図4に示すように、前記ケース本体2の前記ケース裏面21を床面100または地面に向けた状態で、グリップ部71を利用者が握れる位置まで傾動させることが可能である。
【0050】
一方、
図4に示すように、カバー3のケース表面31の内部には、支持棒材81が収納される収納部36が設けられている。ケース表面31と下面35の間の角部中央には、収納部36の開口37が設けられる。
図4に示すスーツケース1を利用者が牽引する状態では、支持棒材81が収納部36に収納された状態となる。
【0051】
尚、
図4に示す状態は、後述の
図6の状態に比べてスーツケース1を利用者が牽引する場合に適した状態である。
【0052】
<伸縮ハンドルの回転部の構成> 以下、伸縮ハンドル7の第1及び第2の回動部72、73について詳細に説明する。
【0053】
図5は、本発明の実施の形態にかかるスーツケースを倒した状態で牽引する場合の伸縮ハンドルの回転部を示す斜視図であり、
図4の状態のスーツケースの回転部72、73及びその周辺部を拡大して下から見た状態を示している。
【0054】
図5において、第1の回動部72は、ステンレス鋼をローラ状に形成したローラ部91と、回転軸S1を形成する左右の軸部92(右側は図示略)とを備えている。左右の軸部92は、溝部27の左右内壁における下面25の近傍の位置に、回転可能な状態で軸支されている。
【0055】
一方、伸縮ハンドル7の内側板棒材76は、基端側が折り曲げられて、軸取り付け部93が形成されている。軸取り付け部93は、折り曲げ方向側の面をローラ部91に向けた状態で、リベット94により、回転軸S1を中心にして、ローラ部91の外周面に回転可能に取り付けられている。
【0056】
このような構造により、軸取り付け部93及びリベット94は、第2の回動部73を形成する。また、
図4及び
図5に示す状態で、伸縮ハンドル7のグリップ部71を牽引する利用者が方向転換等の動きをすると、スーツケース1は利用者の動きに追従することになる。
【0057】
尚、第1及び第2の回動部72、73の構造、素材、部品等は、
図5に示した例に限らず、例えば、第1及び第2の回動部72、73をボールジョイントで形成する等、各種適用可能である。
【0058】
図6は、本発明の実施の形態にかかるスーツケース1を倒した状態で押進する場合を示す斜視図である。
【0059】
図6に示すスーツケース1を利用者が押進する状態では、収納部36から支持棒材81が引き出される。支持棒材81は、棒材本体82と回転係止部83とから構成される。棒材本体82の先端には、回転係止部83が軸84を中心にして回動可能な状態で設けられている。また、回転係止部83は、支持棒材81の幅方向に合わせされた状態で、クリックにより停止した状態にできる。
【0060】
伸縮ハンドル7は、前記ケース本体2の前記ケース裏面21を床面100または地面に向けた状態で、グリップ部71を利用者が握れる位置まで傾動され、脚筒74の内側板棒材76が棒材本体82の先端の凹部85に挿入され、凹部85が回転係止部83による閉塞されることで、支持棒材81により所定の角度で固定される。
【0061】
尚、
図6に示す状態は、後述の
図4の状態に比べてスーツケース1を利用者が押進する場合に適した状態である。
【0062】
図7は、本発明の実施の形態にかかるスーツケースの動作を示す側面図であり、
図7(a)は、利用者の待機中にスーツケースを垂直に立てた状態を示し、
図7(b)は、利用者がスーツケースを傾けた状態で牽引移動する場合を示し、
図7(c)は、利用者がスーツケースを垂直に立てた状態で牽引移動する場合を示し、
図7(d)は、利用者がスーツケースを水平に倒した状態で牽引移動する場合を示している。
【0063】
図7(a)において、利用者の待機中にスーツケース1を床に垂直に立てた状態では、
図1に示した状態と同じとなり、ケース本体下面側キャスタ4a(
図1参照)、4bと前記カバー下面側キャスタ5a(
図1参照)、5bが床面100と接触し、ケース本体上面側キャスタ6a(
図1参照)、6bが床面100から離れた状態になる。
【0064】
利用者がスーツケース1を傾けた状態で牽引移動する場合には、利用者は、伸縮ハンドル7が傾動しない状態で脚筒74を延ばし、利用者が伸縮ハンドル7を操作してスーツケース1を傾けることで、
図7(b)に示すように、ケース本体下面側キャスタ4a(
図1参照)、4bが床面100との接触を維持し、ケース本体上面側キャスタ6a(
図1参照)、6bが床面100から離れた状態を維持し、カバー下面側キャスタ5a(
図1参照)、5bが床面100から離れた状態になる。
【0065】
ここで、伸縮ハンドル7の回動部72(
図2参照)は適度な摩擦抵抗とクリックを有しており、グリップ部71に重量物を収納していないスーツケース1を傾ける程度の力を加えただけでは、伸縮ハンドル7
は傾動しない。
【0066】
利用者は、
図7(b)に示す状態で、伸縮ハンドル7のグリップ部71を移動方向に引くことで、スーツケース1を牽引移動させる。
【0067】
また、伸縮ハンドル7のグリップ部71を移動方向に押すことで、スーツケース1を押進移動させることもできる。
【0068】
図7(b)に示す状態は、スーツケース1に比較的軽い物を収納した場合に、周囲の邪魔にならず、好適である。
【0069】
利用者がスーツケース1を垂直に立てた状態で牽引移動する場合は、
図7(c)に示すように、利用者の操作により、引き出し部41a(
図3参照)、41bを引き出すことでケース本体下面側キャスタ4a(
図3参照)、4bをケース本体2の外側に展開し、引き出し部51a(
図3参照)、51bを引き出すことでカバー下面側キャスタ5a(
図3参照)、5bをカバー3の外側に展開し、ケース本体下面側キャスタ4a(
図3参照)、4bと、カバー下面側キャスタ5a(
図3参照)、5bとを床面100に接触させる。この状態では、ケース本体上面側キャスタ6a(
図3参照)、6bが床面100から離れた状態になる。
【0070】
また、伸縮ハンドル7は、脚筒74が延ばされて、傾動されるとともに、支持棒材28の先端側が係止されることで、傾動の角度が約20°に規制される。
【0071】
利用者は、伸縮ハンドル7のグリップ部71を移動方向に引くことで、スーツケース1を移動させる。
【0072】
また、伸縮ハンドル7のグリップ部71を移動方向に押すことで、スーツケース1を押進移動させることもできる。
図7(c)に示す状態は、
図3に示す状態と同じであり、スーツケース1に標準的な重量の物を収納した場合に好適である。
【0073】
利用者がスーツケース1を水平に倒した状態で牽引移動する場合、
図7(d)に示すように、伸縮ハンドル7は、利用者の操作により、ケース本体2のケース裏面21を床面100または地面に向けた状態で、脚筒74が延ばされ、前記グリップ部71を利用者が握れる位置まで傾動される。この状態では、ケース本体下面側キャスタ4a、4b(
図4参照)とケース本体上面側キャスタ6a、6b(
図4参照)が床面100と接触し、前記カバー下面側キャスタ5a、5b(
図4参照)が床から離れた状態になる。
【0074】
利用者は、伸縮ハンドル7のグリップ部71を移動方向に引くことで、スーツケース1を移動させる。
【0075】
図7(d)に示す状態は、
図4に示す状態と同じであり、スーツケース1に比較的重い物を収納した場合に好適である。
【0076】
また、
図7(d)に示す状態では、カバー3のケース表面31の上に別の荷物を載せ、この別の荷物をベルトによりケース本体2とともに縛り付けることで、別の荷物を運搬することも可能になる。
【0077】
利用者がスーツケース1を水平に倒した状態で押進移動する場合、
図8に示すように、伸縮ハンドル7は、利用者の操作により、ケース本体2のケース裏面21を床面100または地面に向けた状態で、脚筒74が延ばされ、前記グリップ部71を利用者が握れる位置まで傾動され、支持棒材81により固定される。この状態では、ケース本体下面側キャスタ4a、4b(
図6参照)とケース本体上面側キャスタ6a、6b(
図6参照)が床面100と接触し、前記カバー下面側キャスタ5a、5b(
図6参照)が床から離れた状態になる。
【0078】
利用者は、伸縮ハンドル7のグリップ部71を移動方向に押すことで、スーツケース1を移動させる。
【0079】
図8に示す状態は、
図6に示す状態と同様に、スーツケース1に比較的重い物を収納した場合に好適である。
【0080】
また、
図8に示す状態では、カバー3のケース表面31の上に別の荷物を載せ、この別の荷物をベルトによりケース本体2とともに縛り付けることで、別の荷物を運搬することも可能になる。
【0081】
尚、本実施の形態では、ケース本体下面側キャスタ4a、4bは、前記ケース本体2の前記ケース裏面21と前記下面25の間の左右の角部に設けたが、ケース本体下面側キャスタ4a、4bを設ける位置は、“前記ケース本体2の前記下面25に直接または近接して設けられ、前記ケース本体2の前記下面25を床面100または地面に向けた状態で、当該床面100または当該地面に接触し、前記ケース本体2の前記下面25側を支持する”という条件と、“前記ケース本体2の前記ケース裏面21を床面100または地面に向けた状態で、当該床面100または当該地面に接触し、前記ケース本体2の前記下面25側を支持する”という条件を満たせば、ケース裏面21と下面25の一方の側に設ける等、各種適用可能である。
【0082】
また、本実施の形態では、カバー下面側キャスタ5a、5bは、前記カバー3の前記ケース表面31と前記下面35の間の左右の角部に設けたが、カバー下面側キャスタ5a、5bが設けられる位置は、“前記カバー3の前記下面35を床面100または地面に向けた状態で、当該床面100または当該地面に接触し、前記カバー3の前記下面35側を支持する”という条件を満たせば、ケース表面31と下面35の一方の側に設ける等、各種適用可能である。
【0083】
また、本実施の形態では、前記ケース本体上面側キャスタ6a、6bは、ケース本体2の前記ケース裏面21と上面22の間の左右の角部に設けたが、ケース本体上面側キャスタ6a、6bが設けられる位置は、“前記ケース本体2の前記ケース裏面21を床面100または地面に向けた状態で、当該床面100または当該地面に接触し、前記ケース本体2の前記上面22側を支持する”という条件を満たせば、ケース表面31と上面32の一方の側に設ける等、各種適用可能である。
【0084】
以下、このような本発明の実施の形態の構成及び作用を纏めて説明すると、スーツケース1は、ケース裏面21、上面22、左右側面23、24、及び下面25より構成され、物入れの主体であるケース本体2と、ケース表面31、上面32、左右側面33、34、及び下面35より構成され、前記ケース本体2の開口を塞ぐカバー3と、前記ケース本体2の前記下面25に直接または近接して設けられ、前記ケース本体2の前記下面25を床面100または地面に向けた状態で、当該床面100または当該地面に接触し、前記ケース本体2の前記下面25側を支持するケース本体下面側キャスタ4a、4bと、前記カバー3の前記下面35に直接または近接して設けられ、前記カバー3の前記下面35を前記床面100または前記地面に向けた状態で、当該床面100または当該地面に接触し、前記カバー3の前記下面35側を支持するカバー下面側キャスタ5a、5bと、利用者が押進操作を行う際に、当該当該利用者が握るグリップ部71を先端側に有し、伸縮可能であるとともに、基端側が前記ケース本体2に対して傾動可能に設けられた伸縮ハンドル7とを備える。
【0085】
また、前記ケース本体下面側キャスタ4a、4bは、前記ケース本体2の前記下面25に対して水平方向の外側に展開可能であり、前記カバー下面側キャスタ5a、5bは、前記カバー3の前記下面35に対して水平方向の外側に展開可能であることを特徴とする。
【0086】
また、前記伸縮ハンドル7は、前記ケース本体2に対して二軸で傾動可能に設けられている。
【0087】
また、スーツケース1は、前記伸縮ハンドル7の傾動の角度を利用者の選択により規制する傾動規制手段(支持棒材28)を備える。
【0088】
また、スーツケース1は、前記ケース本体2の前記上面22に直接または近接して設けられ、前記ケース本体2の前記ケース裏面21を前記床面100または前記地面に向けた状態で、当該床面100または当該地面に接触し、前記ケース本体2の前記上面22側を支持する前記ケース本体上面側キャスタ6a、6bを更に備え、前記ケース本体下面側キャスタ4a、4bは、前記ケース本体2の前記ケース裏面21を前記床面100または前記地面に向けた状態で、当該床面100または当該地面に接触し、前記ケース本体2の前記下面25側を支持し、伸縮ハンドル7は、前記ケース本体2の前記ケース裏面21を前記床面100または前記地面に向けた状態で、前記グリップ部71を利用者が握れる位置まで傾動させることが可能である。
【0089】
また、スーツケース1は、前記ケース本体2の前記ケース裏面を前記床面100または前記地面に向けた状態で、前記伸縮ハンドル7の傾動の角度を利用者の選択により規制する傾動規制手段(支持棒材81)を更に備える。
【0090】
以上説明した本発明の実施の形態にかかるスーツケース1によれば、伸縮ハンドル7を基端側が前記ケース本体2に対して傾動可能に設けたことで、ケース本体2とカバー3から形成される箱体を色々の角度に設置して牽引及び押進することが可能になり、ケース本体2とカバー3の安定性を高め、利用者が伸縮ハンドルを掴んでスーツケースを牽引移動する際の労力を軽減できる。
【0091】
また、本発明の実施の形態にかかるスーツケース1によれば、ケース本体下面側キャスタ4a、4bは、ケース本体2の下面25に対して水平方向の外側に展開可能であり、カバー下面側キャスタ5a、5bは、カバー3の下面35に対して水平方向の外側に展開可能であるので、
図4(c)に示すように、スーツケース1を垂直に立てて牽引移動及び押進移動する場合に、スーツケース1の安定性を高めることができる。
【0092】
また、本発明の実施の形態にかかるスーツケース1によれば、前記伸縮ハンドル7は、前記ケース本体2に対して二軸(回動部72、73)で傾動可能に設けられているので、スーツケース1を牽引移動及び押進移動する際の方向転換操作を容易にすることができる。
【0093】
また、本発明の実施の形態にかかるスーツケース1によれば、前記伸縮ハンドル7の傾動の角度を規制する傾動規制手段(支持棒材28)を備えることで、
図3に示すようなスーツケース1を垂直に立てて牽引移動及び押進移動する際に、スーツケース1が転倒するのを防止できる。
【0094】
<本発明の実施の形態の変形例>
図9は、本発明の実施の形態の第1乃至第3の変形例を示す説明図であり、
図9(a)は、第1の変形例を示し、
図9(b)は、第2の変形例を示し、
図9(c)は、第3の変形例を示している。
【0095】
<第1の変形例>
図9(a)に示す様に、本発明の実施の形態の第1の変形例のスーツケースは、ケース本体202のケース裏面203の四隅に、ケース本体下面側キャスタ4a、4b及びケース本体上面側キャスタ6a、6bを備え、ケース裏面203の中央にケース裏面支持キャスタ205を備える。
【0096】
ケース裏面支持キャスタ205は、ケース本体202のケース裏面203を床面または地面に向けた状態で、当該床面または当該地面に接触し、ケース裏面203を支持する。
【0097】
図9(a)に示していない第1の変形例のスーツケースの構成は、
図1乃至
図8に示した実施の形態の構成と同様になっている。
【0098】
ここで、近年普及してきているLLサイズのスーツケースの場合、4個のキャスタで重量を支えるのが困難になってきている。
【0099】
これに対し、本発明の実施の形態の第1の変形例によれば、5個のキャスタでスーツケースの重量を支えるため、LLサイズの様な重いスーツケースの重量を支えるのか容易になる。
【0100】
<第2の変形例>
図9(b)に示す様に、本発明の実施の形態の第2の変形例のスーツケースは、ケース本体212のケース裏面213の四隅に、ケース本体下面側キャスタ4a、4b及びケース本体上面側キャスタ6a、6bを備え、ケース裏面213のケース本体下面側キャスタ4a、4bの間にケース裏面支持キャスタ214を備え、ケース裏面213のケース本体上面側キャスタ6a、6bの間にケース裏面支持キャスタ216を備える。
【0101】
ケース裏面支持キャスタ214、216は、伸縮ハンドル7を避けるため、左右何れかにずらした位置に配置される。
【0102】
ケース裏面支持キャスタ214、216は、ケース本体212のケース裏面213を床面または地面に向けた状態で、当該床面または当該地面に接触し、前記ケース裏面213を支持する。
【0103】
図9(b)に示していない第2の変形例のスーツケースの構成は、
図1乃至
図8に示した実施の形態の構成と同様になっている。
【0104】
本発明の実施の形態の第2の変形例によれば、6個のキャスタでスーツケースの重量を支えるため、LLサイズの様な重いスーツケースの重量を支えるのか容易になる。
【0105】
<第3の変形例>
図9(c)に示す様に、本発明の実施の形態の第3の変形例のスーツケースは、ケース本体222のケース裏面223の四隅に、ケース本体下面側キャスタ4a、4b及びケース本体上面側キャスタ6a、6bを備え、ケース裏面223の中央にケース裏面支持キャスタ205を備え、ケース裏面223のケース本体下面側キャスタ4a、4bの間にケース裏面支持キャスタ214を備え、ケース裏面223のケース本体上面側キャスタ6a、6bの間にケース裏面支持キャスタ216を備える。
【0106】
ケース裏面支持キャスタ205、214、216は、ケース本体222のケース裏面223を床面または地面に向けた状態で、当該床面または当該地面に接触し、ケース裏面223を支持する。
【0107】
図9(c)に示していない第3の変形例のスーツケースの構成は、
図1乃至
図8に示した実施の形態の構成と同様になっている。
【0108】
本発明の実施の形態の第3の変形例によれば、7個のキャスタでスーツケースの重量を支えるため、LLサイズのスーツケースの様な重い重量を支えるのか容易になる。
【0109】
尚、スーツケースの重量を一度に支えるキャスタの個数は、4個〜7個に限らず、必要に応じて各種適用可能である。
【0110】
図10は、本発明の実施の形態の第4及び第5の変形例を示す説明図であり、
図10(a)は、第4の変形例を示し、
図10(b)は、第4の変形例のスーツケースのカバーを示し、
図10(c)は、第5の変形例を示している。
【0111】
<第4の変形例>
図10(a)及び
図10(b)に示す様に、本発明の実施の形態の第4の変形例のスーツケース301は、カバー303のケース表面に、他のスーツケース311のケース本体312のケース裏面に設けられたケース裏面側嵌合部(凸部314、315、316、317)と嵌合するケース表面側嵌合部(凹部304、305、306、307)を設けている。
【0112】
図10(a)及び
図10(b)に示していない第4の変形例のスーツケースの構成は、
図1乃至
図8に示した実施の形態の構成と同様になっている。
【0113】
本発明の実施の形態の第4の変形例によれば、スーツケース301を倒した状態(
図4及び
図6参照)で、スーツケース301の上に他のスーツケース311を安定した状態で乗せて牽引または押進させることができるので、利用者にとって非常に便利なものとなる。
【0114】
<第5の変形例>
図10(c)に示す様に、本発明の実施の形態の第5の変形例のスーツケース321は、カバー323のケース表面に、第1の他のスーツケース311(
図10(a)参照)のケース本体312(
図10(a)参照)のケース裏面に設けられた4カ所のケース裏面側嵌合部(
図10(a)に示す凸部314、315、316、317)と嵌合する4カ所のケース表面側嵌合部(凹部304、305、306、307)を設けている。 また、カバー323のケース表面に、小型の第2の他のスーツケースのケース本体332のケース裏面に設けられた3カ所のケース裏面側嵌合部と嵌合するケース表面側嵌合部(凹部335、336、337)を設けている。 第1の他のスーツケース311のケース裏面側嵌合部と嵌合する4カ所のケース表面側嵌合部(凹部304、305、306、307)の内、1カ所のケース表面側嵌合部(凹部304)は、第2の他のスーツケースのケース本体332のケース裏面に設けられた残り1カ所のケース裏面側嵌合部とも嵌合するようになっている。
【0115】
図10(c)に示していない第5の変形例のスーツケースの構成は、
図1乃至
図8に示した実施の形態の構成と同様になっている。
【0116】
本発明の実施の形態の第5の変形例によれば、スーツケース301を倒した状態(
図4及び
図6参照)で、スーツケース301の上に二種類のサイズの他のスーツケースを安定した状態で乗せて牽引または押進させることができるので、利用者にとって非常に便利なものとなる。
【0117】
図11は、本発明の実施の形態及び本発明の実施の形態の第6及び第7の変形例を示す説明図であり、
図11(a)は、第6の変形例を示し、
図11(b)は、第7の変形例のスーツケースのカバーを示し、
図11(c)は、本発明の実施の形態を示している。
【0118】
<第6の変形例>
図11(a)に示す様に、本発明の実施の形態の第6の変形例のスーツケース401は、物入れの主体であるケース本体402と、ケース本体402の開口を塞ぐカバー403と、ケース本体下面側キャスタ4a(
図1参照)、4bと、と、ケース本体上面側キャスタ6a(
図1参照)、6bと、伸縮ハンドル7とを備える。
【0119】
前記ケース本体402のケース裏面404と上面405との間とのコーナ406は、流線形に生成されている。
【0120】
図11(a)に示していない第6の変形例のスーツケースの構成は、
図1乃至
図8に示した実施の形態の構成と同様になっている。
【0121】
ここで、横断歩道等の地面500には、2〜3cm程度の段差501が形成されているが、従来のスーツケースでは、キャスタが小径のため、段差501にスタックする場合が多々あった。
【0122】
これに対して、本発明の実施の形態の第6の変形例のスーツケース401では、流線形に生成されたコーナ406に段差501が当たって滑ることで、段差501を容易に乗り越えて進むことができる。
【0123】
<第7の変形例>
図11(b)に示す様に、本発明の実施の形態の第7の変形例のスーツケース411は、物入れの主体であるケース本体412と、ケース本体412の開口を塞ぐカバー403と、ケース本体下面側キャスタ4a(
図1参照)、4bと、と、ケース本体上面側キャスタ6a(
図1参照)、6bと、伸縮ハンドル7とを備える。
【0124】
前記ケース本体412のケース裏面414と上面415との間とのコーナ416には、前記ケース本体412の前記ケース裏面414を前記床面または前記地面500に向けた状態で、当該床面または当該地面500の段差501を前記スーツケースが乗り越える際に、前記段差501に接触可能な補助キャスタ417が設けられている。
【0125】
図11(b)に示していない第7の変形例のスーツケースの構成は、
図1乃至
図8に示した実施の形態の構成と同様になっている。
【0126】
本発明の実施の形態の第7の変形例のスーツケース401によれば、段差501に補助キャスタ417が当たって転がることで、段差501を容易に乗り越えて進むことができる。
【0127】
<本発明の実施の形態の段差乗り越え動作>
図11(c)に示す様に、
図1乃至
図8に示した本発明の実施の形態のスーツケース1は、伸縮ハンドル7を支持棒材81により固定した状態で、利用者が伸縮ハンドル7を下方に下げることで、前記ケース本体2の前記上面22側を持ち上げることになり、段差501を容易に乗り越えて進むことができる。
【0128】
<第8の変形例>
図12に示す様に、本発明の実施の形態の第7の変形例のスーツケース431は、物入れの主体であるケース本体432と、ケース本体432の開口を塞ぐカバー403と、ケース本体下面側キャスタ4a(
図1参照)、4bと、と、ケース本体上面側キャスタ6a(
図1参照)、6bと、伸縮ハンドル7(
図1参照、
図12では図示略)とを備える。
【0129】
ペダル440は、前記ケース本体432のケース裏面434と下面438の間のコーナ439に突出して設けられる。そして、ペダル440は、前記ケース本体432のケース裏面434を前記床面または前記地面500に向けた状態で、当該床面または当該地面500の段差501を前記スーツケース431が乗り越える際に、利用者によって踏まれることで、前記ケース本体432の上面側435を持ち上げる。
【0130】
尚、ペダル440は、ケース本体432側に収納可能な構造にしてもよい。 本発明の実施の形態の第8の変形例のスーツケース431によれば、利用者によってペダル440が踏まれることで、前記ケース本体432の上面側435が持ち上がり、段差501を容易に乗り越えて進むことができる。
【0131】
尚、本発明の実施の形態及び変形例において、スーツケース1を構成するケース本体2、カバー3と、ケース本体下面側キャスタ4a、4b、カバー下面側キャスタ5a、5b、ケース本体上面側キャスタ6a、6b、伸縮ハンドル7と、取っ手8は、本発明の趣旨に逸脱しない範囲内で、形状、材料、構造等、各種変更可能である。
【0132】
スーツケース1において、ケース本体上面側キャスタ6a、6bを設けずに構成し、
図4(c)に示すスーツケースを垂直に立てた状態の効果を得ることも可能である。
【0133】
スーツケース1において、チェーン27と引き出し部41a、41、51a、51bを設けずに構成し、
図4(d)に示すスーツケースを倒した状態の効果を得ることも可能である。
【0134】
また、伸縮ハンドル7は、回動部73を設けず、回動部72のみの一軸回動としてもよい。
【0135】
このように、本発明の、システム、手段、方法、などは、本発明の要旨を変更しない範囲で、様々に変更可能である。
【0136】
例えば、2つ以上のシステムを1つにすることも可能であるし、逆に、1つのシステムを2つ以上の別のシステムから構成して接続することも可能である。
【0137】
また、上記実施の形態及び変形例は、あくまでも、現在のところの最良の形態またはそれに近い形態の一部にすぎない。