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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-13009(P2021-13009A)
(43)【公開日】2021年2月4日
(54)【発明の名称】積層セラミックキャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20210108BHJP
【FI】
   H01G4/30 201G
   H01G4/30 201C
   H01G4/30 201F
   H01G4/30 201D
   H01G4/30 513
   H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-40239(P2020-40239)
(22)【出願日】2020年3月9日
(31)【優先権主張番号】10-2019-0080682
(32)【優先日】2019年7月4日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リー、タク ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ミン ゴン
(72)【発明者】
【氏名】ジョー、ジン キュン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、ジ ホン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ジェ ヨル
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AF06
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE23
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
(57)【要約】
【課題】基板を実装または内蔵する際に固着強度が改善された積層セラミックキャパシタを提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態は、誘電体層及び上記誘電体層を挟んで配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に対向する第5及び第6面、第2方向に対向する第3及び第4面、第3方向に対向する第1及び第2面を含む本体と、上記本体を貫通して上記第1内部電極と連結される第1貫通電極と、上記本体を貫通して上記第2内部電極と連結される第2貫通電極と、上記第1面及び第2面に配置され、上記第1貫通電極と連結される第1及び第2外部電極と、上記第1及び第2外部電極と離隔し、上記第2貫通電極と連結される第3及び第4外部電極と、を含み、上記第1〜第4外部電極は、ニッケルを含む焼成電極である、積層セラミックキャパシタを提供することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び前記誘電体層を挟んで配置される第1及び第2内部電極を含み、
第1方向に対向する第5及び第6面、第2方向に対向する第3及び第4面、第3方向に対向する第1及び第2面を含む本体と、
前記本体を貫通して前記第1内部電極と連結される第1貫通電極と、
前記本体を貫通して前記第2内部電極と連結される第2貫通電極と、
前記第1面及び第2面に配置され、前記第1貫通電極と連結される第1及び第2外部電極と、
前記第1及び第2外部電極と離隔し、前記第2貫通電極と連結される第3及び第4外部電極と、を含み、
前記第1〜第4外部電極は、ニッケルを含む焼成電極である、積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
前記第1〜第4外部電極は、中心線平均粗さ(Ra)が1nm〜100nmの範囲内である、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記第1〜第4外部電極は、焼成電極上に順次積層された第1めっき層及び第2めっき層を含む、請求項1または2に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
前記第1めっき層はニッケルを含む、請求項3に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項5】
前記第2めっき層は銅または錫を含む、請求項3または4に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
前記第1及び第2内部電極はニッケルを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記第1及び第2貫通電極は、本体の第2面に突出している、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項8】
前記第1及び第2貫通電極はニッケルを含む、請求項1から7いずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項9】
前記第1〜第4外部電極は、本体と同時に焼成されたものである、請求項1から8のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項10】
前記第1〜第4外部電極の厚さは、1um〜10umの範囲内である、請求項1から9のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項11】
前記本体は、厚さが100um以下である、請求項1から10のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項12】
前記第1貫通電極は、第1及び第2外部電極と接続する第1及び第4連結電極を含み、
前記第2貫通電極は、第3及び第4外部電極と接続する第2及び第3連結電極を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項13】
第1及び第2内部電極は、互いに点対称をなすT字状であり、
前記第1及び第4連結電極は、第2内部電極の電極未配置領域を貫通し、
前記第2及び第3連結電極は、第1内部電極の電極未配置領域を貫通する、請求項12に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項14】
前記第1及び第2内部電極の電極未配置領域はラウンド状である、請求項13に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項15】
第1及び第2内部電極は、互いに点対称をなす長方形であり、
前記第1内部電極は、第2及び第3ビア孔を含み、
前記第2内部電極は、第1及び第4ビア孔を含み、
前記第1及び第4連結電極は、第2内部電極の第1及び第4ビア孔を貫通し、
前記第2及び第3連結電極は、第1内部電極の第2及び第3ビア孔を貫通する、請求項12に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項16】
前記第1ビア孔と第2ビア孔との間の間隔(D3)に対する第1及び第4連結電極の間隔または第2及び第3連結電極の間隔(D1)の比率(D1/D3)は、2.08〜4.7の範囲内である、請求項15に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項17】
前記第1ビア孔と第2ビア孔との間の間隔(D3)に対する第1連結電極または第2連結電極の直径(D2)の比率(D2/D3)は、0.375〜0.52の範囲内である、請求項15に記載の積層セラミックキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックキャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、MLCC(Multi Layer Ceramic Capacitor)を用いた電子機器の使用が急増している。特に、スマートフォン(Smart Phone)の場合は、5G時代が到来してキャパシタ(Capacitor)の数量が増加し、高容量化が必要となった。一方、技術的には、セット製品の小型化によってMLCC及びインダクタのような受動素子の実装面積が減少しており、それにより、受動素子の小型化及び薄型化がさらに求められている状況である。したがって、積層セラミックキャパシタ及びインダクタをIC及びAPとパッケージ化するか、基板の内部に内蔵(Embedding)するか、またはAP下端部にLSCタイプで実装して実装自由度を高める方案が提示されている。
【0003】
上述の場合、単に実装面積の減少にとどまらず、基板内で発生するESLの減少にも効果が大きいため、厚さの薄い積層セラミックキャパシタ製品に対する需要が増加している実情である。
【0004】
しかし、内蔵型キャパシタ(embedded capacitor)、表面実装型キャパシタ(surface−mount capacitor)など、厚さが非常に薄いロープロファイル(low profile)キャパシタに適用される下面電極の場合、下面電極と金属めっき層間の密着力が脆弱であるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、基板を実装または内蔵する際に固着強度が改善された積層セラミックキャパシタを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、小型化、薄型化が可能でありながらも信頼性が向上した積層セラミックキャパシタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、誘電体層及び上記誘電体層を挟んで配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に対向する第5及び第6面、第2方向に対向する第3及び第4面、第3方向に対向する第1及び第2面を含む本体と、上記本体を貫通して上記第1内部電極と連結される第1貫通電極と、上記本体を貫通して上記第2内部電極と連結される第2貫通電極と、上記第1面及び第2面に配置され、上記第1貫通電極と連結される第1及び第2外部電極と、上記第1及び第2外部電極と離隔し、上記第2貫通電極と連結される第3及び第4外部電極と、を含み、上記第1〜第4外部電極は、ニッケルを含む焼成電極である、積層セラミックキャパシタを提供することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によると、本体を貫通する貫通電極と連結される外部電極にニッケルを含む焼成電極を適用して、積層セラミックキャパシタの固着強度を向上させることができる。
【0009】
本発明の他の実施形態によると、外部電極の表面が所定の中心線平均粗さ(Ra)を有することにより、外部電極上にニッケルめっき層を形成することができる。
【0010】
本発明のさらに他の実施形態によると、ロープロファイル(low profile)でありながらも、基板との密着力が改善された積層セラミックキャパシタを提供することができる。
【0011】
本発明のさらに他の実施形態によると、焼成時にミスマッチなどによるクラックの発生を防止して製品の信頼性を向上させることができる。
【0012】
但し、本発明の多様で有益な利点と効果は、上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを概略的に示す斜視図である。
図2図1のI−I'線に沿った断面図である。
図3a図1のX及びY方向断面図であり、第1内部電極の断面を観察した図である。
図3b図1のX及びY方向断面図であり、第2内部電極の断面を観察した図である。
図4】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタを概略的に示す斜視図である。
図5図4のII−II'線に沿った断面図である。
図6a図4のX及びY方向断面図であり、第1内部電極の断面を観察した図である。
図6b図4のX及びY方向断面図であり、第2内部電極の断面を観察した図である。
図7a図4のX及びY方向断面図であり、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタを示す図であって、第1内部電極の断面を観察した図である。
図7b図4のX及びY方向断面図であり、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタを示す図であって、第2内部電極の断面を観察した図である。
図8a図4のX及びY方向断面図であり、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタを示す図であって、第1内部電極の断面を観察した図である。
図8b図4のX及びY方向断面図であり、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタを示す図であって、第2内部電極の断面を観察した図である。
図9図4をS1方向から見た平面図である。
図10】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造工程を示す図である。
図11】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造工程を示す図である。
図12】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造工程を示す図である。
図13】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造工程を示す図である。
図14】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0015】
そして、本発明を明確に説明するために、図面において説明と関係ない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一の構成要素に対しては、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外する意味ではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0016】
図面において、X方向は、第1方向、L方向または長さ方向、Y方向は、第2方向、W方向または幅方向、Z方向は、第3方向、T方向または厚さ方向と定義することができる。
【0017】
以下、図1図3を参照して、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタについて詳細に説明する。
【0018】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、誘電体層111及び上記誘電体層111を挟んで配置される第1及び第2内部電極121、122を含み、第1方向(X方向)に対向する第5及び第6面S5、S6、第2方向(Y方向)に対向する第3及び第4面S3、S4、第3方向(Z方向)に対向する第1及び第2面S1、S2を含む本体110と、上記本体110を貫通して上記第1内部電極121と連結される第1貫通電極131と、上記本体110を貫通して上記第2内部電極122と連結される第2貫通電極132と、上記第1面及び第2面に配置され、上記第1貫通電極131と連結される第1及び第2外部電極141、144と、上記第1及び第2外部電極141、144と離隔し、上記第2貫通電極132と連結される第3及び第4外部電極142、143と、を含むことができる。上記第1〜第4外部電極141、142、143、144は、ニッケルを含む焼成電極であることができる。
【0019】
本体110には、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。上記本体110の具体的な形状は特に制限がないが、図示のように、本体110は六面体状やそれと類似の形状からなることができる。上記本体110は、焼成過程で上記本体110に含まれているセラミック粉末の収縮によって、上記本体110は完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0020】
本体110は、厚さ方向(Z方向)に互いに対向する第1及び第2面S1、S2、第1及び第2面S1、S2と連結され、幅方向(Y方向)に互いに対向する第3及び第4面S3、S4、第1及び第2面S1、S2と連結され、且つ第3及び第4面S3、S4と連結され、長さ方向(X方向)に互いに対向する第5及び第6面S5、S6を有することができる。このとき、第1、第2、第3及び第4面S1、S2、S3、S4の中から選択された一面が実装面になることができる。
【0021】
本体110を形成する複数の誘電体層111は、焼成された状態であり、隣接する誘電体層111の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認し難いほど一体化することができる。
【0022】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができる限り、特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料またはチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末は、例えば、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶した(Ba1−xCa)TiO、Ba(Ti1−yCa)O、(Ba1−xCa)(Ti1−yZr)OまたはBa(Ti1−yZr)Oなどを挙げることができる。上記誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーに、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0023】
本体110の最下部の内部電極の下部及び最上部の内部電極の上部には、所定の厚さの第1及び第2カバー部112、113が形成されることができる。このとき、第1及び第2カバー部112、113は、誘電体層111と同一の組成からなることができ、内部電極を含まない誘電体層を本体110の最上部の内部電極の上部と最下部の内部電極の下部にそれぞれ少なくとも一層以上積層して形成されることができる。
【0024】
内部電極121、122は、誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。
【0025】
このとき、第1及び第2内部電極121、122はそれぞれ、第1及び第2絶縁部121a、122aを含むことができる。第1及び第2絶縁部121a、122aはそれぞれ、第1及び第2内部電極121、122が形成されない領域を意味し、第1及び第2内部電極121、122がそれぞれ異なる極性の外部電極のみに連結されるようにする役割を果たすことができる。即ち、第1貫通電極131は、第1絶縁部121aによって第2内部電極122と離隔し、第2貫通電極132は、第2絶縁部122aによって第1内部電極121と離隔する。
【0026】
第1及び第2内部電極121、122が第1及び第2貫通電極131、132によって第1〜第4外部電極141、142、143、144とそれぞれ連結されるようにすることで、誘電体層111を挟んで第1及び第2内部電極121、122が互いに重なる面積を最大化することができる。これにより、積層セラミックキャパシタ100のキャパシタ容量が著しく増加することができる。
【0027】
第1及び第2内部電極121、122は、ニッケル(Ni)を最も多く含有することができるが、これに制限されるものではなく、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、銅(Cu)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)及びそれらの合金のうち一つ以上の物質を含む導電性ペーストを用いて形成されることができる。上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0028】
貫通電極131、132は、ニッケル(Ni)を最も多く含有することができるが、これに制限されるものではなく、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、銅(Cu)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)及びそれらの合金のうち一つ以上の物質を含む導電性ペーストを用いて形成されることができる。上記貫通電極131、132を形成する方法は、特に制限されず、例えば、誘電体層111、第1内部電極121及び第2内部電極122が積層された積層体を形成し、その後にレーザードリル(Laser Drill)、穿孔機(Mechanical Pin Puncher)などを用いて本体110を第3方向(Z方向)に貫通し、上述の導電性ペーストを充填して貫通電極131、132を形成することができる。
【0029】
本発明の一例において、内部電極121、122と貫通電極131、132は、同一の金属成分を含むことができる。上記同一の金属成分は、ニッケル(Ni)であることができるが、これに制限されるものではなく、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、銅(Cu)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)及びそれらの合金のうち一つ以上であることができる。本発明による積層セラミックキャパシタの内部電極121、122と貫通電極131、132が同一の金属成分を含む場合、焼成開始温度及び/または焼成収縮率を一致させることができ、クラックやデラミネーションなどの発生を防止することができる。
【0030】
本発明の一実施形態において、貫通電極131、132は、Z方向に突出していることができる。図2を参照すると、貫通電極131は、本体110の第2面に突出していることができる。これは、貫通電極を形成する過程で、焼成収縮などによって本体110の貫通孔の外部に貫通電極が押し出されて発生する現象である。上記突出部の大きさに応じて、基板の内部または表面への実装時に電極の浮き上がりが発生して固着力が低下することがある。本発明の積層セラミックキャパシタは、外部電極を本体の第1面及び第2面の両方に形成することにより、突起部による固着力の低下を防止することができる。
【0031】
本明細書において、貫通電極131、132の形状は円形に示したが、四角形または三角形などの形状を有することができ、その形状は特に限定されない。また、貫通電極131、132は、本体の幅方向(Y方向)を基準に、5〜65%を占めるように形成することができるが、これに制限されるものではない。
【0032】
本発明の一例において、本体110の厚さは、100μm以下であることができる。上記本体110の厚さは、第1面及び第2面の間の垂直距離であることができ、下限は特に制限されないが、例えば、5μm以上であることができる。上記本体110の厚さが100μm以下となるように製作することにより、本発明による積層セラミックキャパシタを基板内蔵用積層セラミックキャパシタ及び/またはAP下端部にLSCタイプで実装することができるキャパシタに適用することができる。
【0033】
本発明の一実施形態によると、第1〜第4外部電極141、142、143、144は、本体110の両面に配置されることができる。上記第1及び第2外部電極141、144は、本体110の第1面S1及び第2面S2にそれぞれ配置され、上述の第1貫通電極131によって電気的に連結されることができる。また、上記第3及び第4外部電極142、143は、上記第1及び第2外部電極141、144と離隔し、本体110の第1面S1及び第2面S2にそれぞれ配置されることができ、上述の第2貫通電極132によって電気的に連結されることができる。
【0034】
上記構造の積層セラミックキャパシタ100は、本体110の上面及び下面を連結する側面のマージン部を減少させることにより、第1及び第2内部電極121、122が形成される領域を増加させて積層セラミックキャパシタ100のキャパシタ容量を著しく向上させることができる。即ち、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、側面に外部電極が配置されない電極構造を有し、内部電極と外部電極が、本体を貫通する貫通電極によって連結される構造を有するため、キャパシタの容量をさらに向上させることができる。
【0035】
以下、図2を参照して、第1外部電極141を基準に外部電極の構造について説明するが、これは、第2〜第4外部電極142、143、144に同一に適用されることができる。
【0036】
図2を参照すると、第1外部電極141は、第1焼成電極141a、第1及び第2めっき層141b、141cを含むことができる。上記第1焼成電極141aは、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、錫(Sn)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)及びそれらの合金のうち一つ以上の物質を含むことができ、例えば、ニッケル(Ni)を含む導電性ペーストを焼成して形成された焼成電極であることができる。上記第1焼成電極141aのように、外部電極を焼成電極で形成する場合、本体及び内部電極と同時に焼成が可能であるという利点があり、本体と外部電極間の固着強度をさらに向上させることができる。
【0037】
本発明の一例において、本発明の第1〜第4外部電極141、142、143、144は、表面の中心線平均粗さ(Ra)が1nm〜100nmの範囲内であることができる。本明細書において「中心線平均粗さ(Ra)」とは、仮想の中心線に対する距離の平均値を意味することができる。上記中心線平均粗さ(Ra)が1nm〜100nmの範囲内である外部電極は、上述の範囲の表面粗さを有する外部電極であることを意味することができ、上述の範囲を満たす表面粗さを人為的に形成した外部電極であることを意味することができる。
【0038】
上記中心線平均粗さ(Ra)は、第1〜第4外部電極141、142、143、144の表面上に形成されている粗度に対して仮想の中心線を想定し、上記粗度の仮想の中心線を基準にそれぞれの距離(例えば、r1、r2、r3…rn)を測定した後、下記式のように各距離の平均値を求めて算出された値から誘電体層の中心線平均粗さ(Ra)を算出することができる。
【0039】
【数1】
【0040】
上記範囲を満たす中心線平均粗さ(Ra)を有する外部電極は、物理的または化学的方法で表面改質(Surface modification)して形成することができる。上述の粗度を付与することができれば、表面改質方法は特に制限されず、例えば、酸性または塩基性溶液による表面処理または研磨剤を用いた物理的研磨などの方法を用いることができる。
【0041】
一般に、ニッケルなどを含む焼成電極は、焼成過程で表面に酸化層が形成されるため、めっき層を形成することが困難であり、形成されためっき層が簡単に剥離されるなどの問題点がある。しかし、本発明の一実施形態による外部電極が上述の範囲の中心線平均粗さ(Ra)を満たすように表面改質された場合、酸化層が除去されるか、または所定の粗度を有する表面が形成されるため、外部電極とめっき層の密着力を強化することができ、めっき層の剥離を防止することができる。
【0042】
本発明の一実施形態による第1めっき層141bは、ニッケルを含むめっき層であることができ、第2めっき層141cは、銅または錫を含むめっき層であることができる。上記第1めっき層141bはニッケルを含むことにより、第1焼成電極141aとの密着性を向上させることができる。また、上記第2めっき層141cが銅または錫を含むことにより、導電性、めっき密着性及び半田付け性に優れた外部電極を形成することができる。
【0043】
本発明の一例において、本発明の第1〜第4外部電極141、142、143、144は、厚さが3um〜30umの範囲内であることができる。上記第1〜第4外部電極141、142、143、144の厚さは、上述の焼成電極、第1めっき層及び第2めっき層が積層された全体厚さを意味することができ、本体から外部電極の表面に対する垂直距離を意味することができる。外部電極の厚さを上記範囲に調節することにより、表面実装用または基板内蔵用としての使用時に多くの空間を占めることなく、優れた実装性を有することができる。
【0044】
図4図7は、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタを示す図である。以下、図4図7を参照して、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタについて詳細に説明する。
【0045】
本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタ200は、第1内部電極221、誘電体層211及び第2内部電極222が積層された本体210、第1〜第4連結電極231、232、233、234、及び第1〜第4外部電極241、242、243、244を含むことができる。上記誘電体層211、第1及び第2内部電極221、222、第1〜第4外部電極241、242、243、244の成分及び構成などについては、上述のように同一であるため省略する。
【0046】
本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタ200は、第1連結電極231、第2連結電極232、第3連結電極233及び第4連結電極234を含み、上記第1及び第4連結電極231、234は、第1及び第2外部電極241、244と電気的に接続し、上記第2及び第3連結電極232、233は、第3及び第4外部電極242、243と電気的に接続することができる。上述のように、第1外部電極と第2外部電極及び第3外部電極と第4外部電極を連結する連結電極がそれぞれ複数に配置されることにより、外部電極と本体の固着力をより向上させることができる。
【0047】
図6a及び図6bは第1内部電極221及び第2内部電極222の形状を示す断面図である。図6a及び図6bを参照すると、第1内部電極221及び第2内部電極222は、互いに点対称をなすT字状であることができる。上記第1内部電極221は、T字状の電極パターンを有することができ、電極パターンが形成されない電極未配置領域222aは、絶縁領域であることができる。また、上記第2内部電極222は、T字状の電極パターンを有することができ、電極パターンが形成されない電極未配置領域221aは、絶縁領域であることができる。
【0048】
上記電極パターンを有する積層セラミックキャパシタにおいて、第1及び第4連結電極231、234は、第1内部電極221と接続し、第2内部電極222の電極未配置領域222aを貫通することができる。また、第2及び第3連結電極232、233は、第2内部電極222と接続し、第1内部電極221の電極未配置領域222aを貫通することができる。内部電極の電極未配置領域に連結電極が貫通する構造を有することにより、本発明による積層セラミックキャパシタは、相互インダクタンスを相殺してESLを改善することができ、ビア孔が内部電極上に形成される構造に比べてキャパシタの容量を増加させることができる。
【0049】
本発明の一例において、第1及び第2内部電極321、322の電極未配置領域321a、322aは、ラウンド状であることができる。図7a及び図7bを参照すると、第1内部電極321は、T字状の電極パターンを有することができ、内部電極が配置されない電極未配置領域322aは、ラウンド状であることができる。また、第2内部電極322は、T字状の電極パターンを有することができ、内部電極が配置されない電極未配置領域321aは、ラウンド状であることができる。上述のように、内部電極パターンの陥入部をラウンド状に形成する場合、キャパシタの容量をより増加させることができる。
【0050】
上記では、内部電極の電極未配置領域が四角形、ラウンド状を有する場合を例に挙げたが、これは一つの例示であり、本発明の内部電極パターンの形状はこれに制限されるものではなく、三角形、多角形など様々な形状も本発明の権利範囲に属するといえる。
【0051】
図8a、図8b及び図9は、本発明のさらに他の実施形態を示す断面図である。図8a、図8b及び図9を参照すると、第1及び第2内部電極421、422は互いに点対称をなし、長方形であることができる。上記第1内部電極421は、第2及び第3ビア孔を含み、上記第2内部電極422は、第1及び第4ビア孔を含むことができる。このとき、第1及び第4連結電極431、434は、第1内部電極421と接続されていることができ、上記第2内部電極422の第1及び第4ビア孔を貫通することができる。また、第2及び第3連結電極432、433は、第2内部電極422と接続されていることができ、上記第1内部電極421の第2及び第3ビア孔を貫通することができる。第1及び第4連結電極431、434が上記第2内部電極422の第1及び第4ビア孔を貫通して配置されることにより、上記第1及び第4連結電極431、434は、上記第2内部電極422と電気的に絶縁されていることができる。また、上記第2及び第3連結電極432、433が上記第1内部電極421の第2及び第3ビア孔を貫通して配置されることにより、上記第2及び第3連結電極432、433は、上記第1内部電極421と電気的に絶縁されていることができる。
【0052】
図9は第1及び第4連結電極431、434の間隔または第2及び第3連結電極432、433の間隔D1、第1連結電極〜第4連結電極431、432、433、434の直径D2及び第1ビア孔と第2ビア孔との間の間隔または第3ビア孔と第4ビア孔との間の間隔D3を示す図である。
【0053】
図9を参照すると、本実施形態の第1ビア孔と第2ビア孔との間の間隔D3に対する第1及び第4連結電極431、434の間隔または第2及び第3連結電極432、433の間隔D1の比率(D1/D3)は、2.08〜4.7の範囲内であることができる。上記比率(D1/D3)は、2.08以上、2.20以上、2.30以上、2.40以上、2.50以上、2.60以上、2.70以上、2.80以上、2.90以上、3.00以上、3.05以上、3.10以上、または3.15以上であることができ、4.700以下、4.695以下、4.690以下または4.688以下であることができるが、これに制限されるものではない。第1ビア孔と第2ビア孔との間の間隔D3に対する第1及び第4連結電極の間隔または第2及び第3連結電極の間隔D1の比率(D1/D3)が上記範囲を満たす場合、等価直列インダクタンスESLが減少し、特に、上記比率が3.125以上である場合には、ESLの減少効果が最大化することができる。
【0054】
本発明の他の実施形態において、第1ビア孔と第2ビア孔との間の間隔D3に対する第1連結電極または第2連結電極の直径D2の比率(D2/D3)は、0.375〜0.52の範囲内であることができる。上記第1ビア孔と第2ビア孔との間の間隔D3に対する第1連結電極または第2連結電極の直径D2の比率(D2/D3)は、0.375以上、0.380以上、0.385以上、0.390以上、0.395以上、0.400以上、0.405以上、または0.410以上であることができ、0.52以下であることができる。上記第1ビア孔と第2ビア孔との間の間隔D3に対する第1連結電極または第2連結電極の直径D2の比率(D2/D3)が上述の範囲を満たす場合、等価直列インダクタンス(ESL)を減少させることができる。特に、上記比率が0.41以上である場合は、ESLの減少効果が最大化することができ、0.52以上である場合は、キャパシタの容量が減少することがある。
【0055】
図10〜14は、図1及び図4に示された積層セラミックキャパシタの製造方法を示す図である。図10〜14を参照して、本発明の図1及び図4に示された積層セラミックキャパシタの製造方法を説明する。かかる製造方法の説明から、上述の積層セラミックキャパシタの構造がより明確になることができる。
【0056】
まず、図10に示すように、誘電体層からなるセラミックグリーンシートの一面に導電性金属を含むペーストを所定の厚さに印刷したシートを積層し、誘電体層及び上記誘電体層を挟んで配置される第1及び第2内部電極を含む本体を設ける。本体510の上下部には、内部電極が含まれない誘電体層を積層して第1カバー部512及び第2カバー部513を形成することができる。
【0057】
本発明の一例において、第1カバー部512または第2カバー部513上に、必要に応じて識別部550を配置することもできる。上記識別部550は、上記第1カバー部512及び第2カバー部513のいずれか一つに形成され、明るさまたは色の差によって本体510の上、下部を識別する機能を果たすことができる。上記識別部550は、一つのセラミックグリーンシートが焼成されるか、または多数のセラミックグリーンシートが積層された誘電体層であることができ、第1カバー部512または第2カバー部513内に含まれることができる。
【0058】
上記識別部550が上記第1または第2カバー部と明るさまたは色の差を有するようにする方法は、特に制限されない。上記識別部550は、本体に含まれるセラミック粒子とサイズが異なるセラミック粒子を用いて形成するか、またはセラミック成分にNi、Mn、Cr、Mg、Y、Vのうち選択された一つ以上の金属の酸化物、BaSiOまたはCaSiOなどの成分を追加して形成することができ、レーザーでマーキングする方法などを用いることができるが、これに制限されるものではない。上記識別部が配置される場合、本体の上部及び下部を区別することができ、上述の貫通電極が突出する突出部の方向を確認することができるため、本発明による積層セラミックキャパシタを基板に実装する際に、固着力により優れた方向を選択して実装することができる。
【0059】
上記カバー部を形成した後、レーザードリル(Laser Drill)や穿孔機(Mechanical Pin Puncher)などを用いて本体にビアHを形成する。その後、図11に示すように、ビアHに導電性ペーストを塗布するか、またはめっきなどの方法を用いて導電性物質を充填し、第1及び第2貫通電極531、532を形成する。
【0060】
その後、本体510の一面に、第1及び第2貫通電極531、532と連結される第1〜第4外部電極541、542、543、544を形成する。
【0061】
具体的に、第1〜第4外部電極を形成する段階は、上記本体上にニッケルを含む第1〜第4焼成電極を形成する段階(図12)と、上記第1〜第4焼成電極層上にそれぞれ第1めっき層を形成する段階(図13)と、上記第1めっき層上にそれぞれ第2めっき層を形成する段階(図14)と、を含んで行われる。
【0062】
焼成電極は、ニッケルを含む導電性ペーストを塗布し、これを焼成して形成されることができ、第1めっき層はニッケルを含み、電気的または化学的めっき法によって形成されることができる。第2めっき層は、銅または錫を含み、電気的または化学的めっき法によって形成されることができる。
【0063】
焼成電極層を形成した後、仮焼及び焼成を行い、上記第1めっき層及び第2めっき層を形成して、図1及び図4に示された積層セラミックキャパシタを完成する。
【0064】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0065】
100、200、500 積層セラミックキャパシタ
110、210、510 本体
111、211、311、411、511 誘電体層
112、212、512、113、213、513 カバー部
121、122、221、222、321、322、421、422、521、522 内部電極
131、132、531、532 貫通電極
231、232、233、234、331、332、333、334、431、432、433、434 連結電極
141、142、143、144、241、242、243、244、541、542、543、544 外部電極
141a、142a、143a、144a、241a、242a、243a、244a、541a、542a、543a、544a 焼成電極
141b、142b、143b、144b、241b、242b、243b、244b、541b、542b、543b、544b 第1めっき層
141c、142c、143c、144c、241c、242c、243c、244c、541c、542c、543c、544c 第2めっき層
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9
図10
図11
図12
図13
図14