(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-130101(P2021-130101A)
(43)【公開日】2021年9月9日
(54)【発明の名称】SCR用電気加熱式触媒装置およびこれを用いた排ガス浄化方法
(51)【国際特許分類】
B01J 35/04 20060101AFI20210813BHJP
B01J 35/02 20060101ALI20210813BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20210813BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20210813BHJP
F01N 3/20 20060101ALI20210813BHJP
【FI】
B01J35/04 301P
B01J35/02 G
B01J35/04 301F
B01D53/94 222
B01D53/94ZAB
F01N3/08 B
F01N3/20 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-27923(P2020-27923)
(22)【出願日】2020年2月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000228198
【氏名又は名称】エヌ・イーケムキャット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 由紀夫
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AB05
3G091BA14
3G091CA04
3G091GA10
3G091HA45
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4G169EE03
4G169EE09
4G169ZA01A
(57)【要約】
【課題】低い排ガス温度雰囲気下においても環境負荷物質であるNOxを、少ない消費電力で高効率に浄化可能なSCR用の電気加熱式触媒装置を提供する。
【解決手段】導電性ハニカム構造体と、このハニカム構造体に電気を供給する電極とを備えた電気加熱式触媒装置であって、
導電性ハニカム構造体にゼオライトと抵抗発熱体を含む通電発熱性触媒組成物が被覆担持されたことを特徴とするSCR用電気加熱式触媒装置およびこれを用いた排ガス浄化方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性ハニカム構造体と、このハニカム構造体に電気を供給する電極とを備えた電気加熱式触媒装置であって、
導電性ハニカム構造体にゼオライトと抵抗発熱体を含む通電発熱性触媒組成物が被覆担持されたことを特徴とするSCR用電気加熱式触媒装置。
【請求項2】
通電発熱性触媒組成物に含まれる抵抗発熱体が炭化ケイ素である請求項1記載のSCR用電気加熱式触媒装置。
【請求項3】
導電性ハニカム構造体が、コージェライトと炭化ケイ素を含むものである請求項1または2記載のSCR用電気加熱式触媒装置。
【請求項4】
通電発熱性触媒組成物が、貴金属成分を含まないものである請求項1〜3の何れかに記載のSCR用電気加熱式触媒装置。
【請求項5】
通電発熱性触媒組成物が、導電性ハニカム構造体の電極に対応する領域に被覆担持されたものである請求項1〜4の何れかに記載のSCR用電気加熱式触媒装置。
【請求項6】
電極が、導電性ハニカム構造体の排ガス流れの上流側領域の外周上に設けられるものである請求項1〜5の何れかに記載のSCR用電気加熱式触媒装置。
【請求項7】
内燃機関を備えた自動車の排ガス経路に、請求項1〜6の何れかに記載のSCR用電気加熱式触媒装置を配置し、排ガス中の窒素酸化物を選択還元することを特徴とする排ガス浄化方法。
【請求項8】
SCR用電気加熱式触媒装置が、自動車の床下に配置され、触媒温度が200℃未満の時に当該電気加熱式触媒装置へ通電するものである請求項7記載の排ガス浄化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニア、またはアンモニア前駆体としての尿素水溶液を還元剤として使用し、内燃機関から排出される排気ガス中の窒素酸化物を選択還元(SCR)する触媒と、その触媒を電気的に加熱する手段とを組み合わせたSCR用電気加熱式触媒装置およびこれを用いた排ガスの浄化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガソリンや軽油を燃料として使用した内燃機関は様々な場所で使用されているが、そのうち最も多く使用されているのは自動車用途であることは言うまでもない。このような内燃機関の排ガスには様々な有害物質、排出規制物質が含まれている。有害物質、排出規制物質としては炭化水素(HC)、煤等の微粒子成分(soot)の他、温室効果ガスとして知られている二酸化炭素(CO
2)、温室効果ガスや酸性雨の原因として知られる窒素酸化物(NOx)があり、各国の行政機関により規制値が設けられ、それらの排出量の削減が求められている。
【0003】
このような有害物質、規制物質の削減には従来から様々な触媒が使用されている。このうち、NOxの削減については選択還元触媒が知られており、広く実装もされている。選択還元触媒は還元成分を使用して排ガス中のNOxを浄化するものであるが、還元成分としては尿素水溶液を前駆体としてアンモニア(NH
3)が利用され、選択還元触媒の主要成分としては特許文献1のようなゼオライト(モルキュラーシーブともいう)が使用されている。このような選択還元触媒はSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒といわれたり、還元剤としてNH
3や尿素水溶液を使用することからNH
3−SCR、尿素−SCRと表されることもある。
【0004】
NH
3−SCR触媒、尿素−SCR触媒(以下、特にことわりの無い限り本願ではこれらを総称して「SCR触媒」という)に主要材料として使用されるゼオライトには様々なものがあるが、近年は銅で修飾したゼオライトを使用することが多い。ゼオライトは構造上の特徴により様々な種類が知られている。このように多様な種類のゼオライトはアルファベット大文字3文字の構造コードとして国際ゼオライト学会(International Zeolite Association)に登録されている。
【0005】
SCR触媒用ゼオライトとして、近年、特に小細孔なゼオライトがSCR触媒材料として普及している。このような小細孔なゼオライトの例としてはCHA、AEI、AFXがある(特許文献1)。
【0006】
小細孔なゼオライトは銅で修飾することでSCR触媒として200℃という比較的低い温度から高いNOx浄化性能が発揮されることが報告されている(特許文献1)。そして、ディーゼル自動車の排ガスの浄化にあたっては、一酸化炭素(CO)や未燃焼の炭化水素(HC)を酸化して浄化する酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)や、煤などの微粒子を排ガスから濾しとるフィルター(DPF:Diesel Particulate Filter )と組み合わせることで排ガス中の有害成分を総合的に浄化することが可能になる(特許文献2)。DOCやDPFは白金等の貴金属成分で触媒化されて使用されることが一般的で、触媒化したフィルターはCSF(Catalyzed Soot Filter)と言われることがある。
【0007】
特許文献2のDOC、DPF、SCRはこの順番で排ガスの流路中に配置されて使用されるもので、現在の触媒を使ったディーゼル自動車排ガス浄化における一般的な仕様の一つである。この仕様でSCRはDOC、フィルターの後段に配置され、排ガスの発生源である内燃機関からも遠く、排ガスの温度は低下していることが多い。このように低下した排ガス温度環境下においても、これまでは特許文献1のように銅で修飾した小細孔なゼオライトを使用することで優れたNOx浄化性能が発揮されていた。
【0008】
排ガス温度の低下は内燃機関からの距離の影響だけではなく、燃費向上によってももたらされる。CO
2は燃料である軽油を燃焼したことにより生じるため、燃焼に使用する燃料が少ない程CO
2の排出量も少ないことになる。そして、温室効果ガスであるCO
2の排出量規制の強化に伴い、自動車であればその燃焼制御の改良等により燃費は年々向上しており、CO
2の排出量も削減されている。そのため、排ガスの温度も低下する傾向にある。このようなCO
2の排出量規制は継続して強化される見込みがあり、排ガス温度も一層の低下が見込まれる。
【0009】
また、排ガスの温度に関して言えば、ハイブリッド自動車の様に電力モーターの補助により稼働する自動車では更に顕著なものになる。加えて、更なるCO
2排出の規制強化への対応として、電力モーター駆動機会が増加し内燃機関駆動機会は減少するものと考えられる。そして、近年の電池性能の向上はこのような電力モーターによる駆動機会の増加を可能にしている。一方で、内燃機関の稼働機会の減少は排ガスが排出量そのものの低下となり自動車に搭載されている触媒の温度も低下してしまう。
【0010】
このように、今後、更に排ガスの温度が低下した場合には、前記のような小細孔なゼオライトを使用したSCR触媒をもってしても充分なNOxの浄化が困難になってしまうことが懸念されている。
【0011】
低温化した排ガスの触媒による浄化にあたっては電気加熱式触媒(EHC:Electric heated catalyst)の採用が有望視されている。電気加熱式触媒の原理は古くから知られているが、前記の燃費の悪化を懸念して普及するには至っていなかった。しかし、排ガス中の有害成分や環境負荷成分の排出規制強化を背景にして、近年になり具体的な検討が加速してきている。
【0012】
電気による加熱方法としては様々な仕様があるが、その装置の単純さから抵抗加熱式が有望な手段の一つと考えられている(特許文献3)。抵抗加熱とは、抵抗を持つ物質(抵抗発熱体)に電気を流した場合に発生するジュール熱を利用して物体を加熱するものである。自動車触媒として多く使用されるハニカム触媒では、その構造担体として使用されるハニカム構造体をステンレス等の金属製や炭化ケイ素を含有するセラミクス製で構成し、このハニカム構造体に電気を流すことでジュール熱を得ようとするものである。このように排ガスの温度に関係なく、反応に適した温度にまで触媒を加熱することができるEHCは、低い排ガス温度下においても優れた浄化能力を発揮できるものと期待されている。
【0013】
この様に、低温排ガスにおける有害物質、環境負荷物質の低減効果が期待されるEHCであるが、その運用には多量の電力を必要とする。EHCに供給する電力が内燃機関の稼働による発電であれば、今度はそのために燃料を多く消費することになり、かえって有害物質や環境負荷物質の排出を増やしてしまうことにもなりかねない。このような懸念は大容量な二次電池を搭載するハイブリッド自動車でも同様である。大容量な二次電池を搭載するといっても、この二次電池への充電は内燃機関の駆動によって発電されるものである。このように、安易にEHCを使用しただけでは、有害物質や環境負荷物質の排出を削減できないだけでなく、かえって増やしてしまうことになりかねない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特表2010−524677号公報
【特許文献2】特表2002−502927号公報
【特許文献3】特許第5864249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、低い排ガス温度雰囲気下においても環境負荷物質であるNOxを、少ない消費電力で高効率に浄化可能なSCR用の電気加熱式触媒装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、導電性ハニカム構造体と、このハニカム構造体に電気を供給する電極とを備えた電気加熱式触媒装置の導電性ハニカム構造体に特定の触媒組成物を被覆担持させることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0017】
すなわち、本発明は、導電性ハニカム構造体と、このハニカム構造体に電気を供給する電極とを備えた電気加熱式触媒装置であって、
導電性ハニカム構造体にゼオライトと抵抗発熱体を含む通電発熱性触媒組成物が被覆担持されたことを特徴とするSCR用電気加熱式触媒装置である。
【0018】
また、本発明は、内燃機関を備えた自動車の排ガス経路に、上記SCR用電気加熱式触媒装置を配置し、排ガス中の窒素酸化物を選択還元することを特徴とする排ガス浄化方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のSCR用電気加熱式触媒装置は、少ない消費電力で導電性ハニカム構造体を速やかに昇温することが可能であるため、それに被覆担持された通電発熱性触媒組成物によりSCRを効率よく行うことができる。
【0020】
そのため、本発明のSCR用電気加熱式触媒装置は、内燃機関から排出される排ガスの温度が、触媒を高活性な状態に昇温するには充分とはいえない低い温度であっても、電気加熱により排ガス中に含まれるNOxを、SCRにより浄化可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は本発明の実施形態1の断面を表した模式図で、構造担体としてフロースルー型のハニカムを使用した例である。
【
図2】
図2は本発明の実施形態2の断面を表した模式図で、構造担体としてフロースルー型のハニカムを使用し、排ガスの流れに対して上流側に発熱性触媒領域と、この領域に対応した長さの電極を配置した例である。
【
図3】
図3は本発明の実施形態3の断面を表した模式図で、実施形態2における構造担体をウォールフロー型のハニカムに変えた例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のSCR用電気加熱式触媒装置(以下、「本発明装置」ということもある)は、導電性ハニカム構造体と、このハニカム構造体に電気を供給する電極とを備えた電気加熱式触媒装置であって、
導電性ハニカム構造体にゼオライトと抵抗発熱体を含む通電発熱性触媒組成物が被覆担持されたものである。
【0023】
[導電性ハニカム構造体]
導電性ハニカム構造体の材質は導電性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ステンレス等の導電性の薄鋼板からなる平板と波板とを積層巻回して一体化することで円柱状、楕円柱状、多角柱状のように成型したハニカム構造体や、抵抗発熱体、あるいは抵抗発熱体と骨材、必要により他の成分を組み合わせて粘土状に混錬して押出成形した後に乾燥焼成することで導電性ハニカム構造体としたものであってもよい。このような導電性ハニカム構造体のうち、製造コスト、耐熱性、触媒成分を被覆した際の触媒成分の耐剥離性の点からは、抵抗発熱体、あるいは抵抗発熱体と骨材となる他成分を粘土状に混錬して押出成形することで得られた導電性ハニカム構造体であることが好ましい。また、導電性ハニカム構造体の中でも、高細孔容積な多孔質なものが、この多孔質に、後記する抵抗発熱体を含侵させることができるので好ましい。導電性ハニカム構造体の構造としては、従来公知のもの使用することができ、例えば、ウォールフロー型、フロースルー型等が挙げられる。
【0024】
抵抗発熱体を含侵させることを目的にハニカム構造体を使用する場合、その高細孔容積等の状態は特に限定されるものでは無いが、水銀圧入法による水銀圧力400MPaによる測定で、細孔容積は0.3〜1.6ml/gが好ましく、0.8〜1.6ml/gであることがより好ましい。また、平均細孔径は10〜25μmかつ気孔径が17〜25μmであることが好ましく、20〜25μmであることがより好ましい。このような細孔の状態はハニカム構造体のセルの壁に限るものであっても良いが、外周面(円柱形であれば側面)も同様な細孔の状態であっても良い。
【0025】
導電性ハニカム構造体に使用される抵抗発熱体は、特に限定されるものではなく、例えば、抵抗発熱体として知られる公知の材料の中から適宜選択可能である。このような抵抗発熱体としては、例えば、ニッケルクロム合金(Ni−Cr)、二珪化モリブデン(MoSi
2)、炭化ケイ素(SiC)等が挙げられる。このうち、SiCは耐熱性に加え、高温でも軟化しづらいことから、内燃機関の稼働状態によっては一時的に1,000℃を超えるような環境下に置かれる本発明装置に好ましい。
【0026】
導電性ハニカム構造体に使用される骨材は、特に限定されるものではないが、耐熱性が高く、低熱膨張率なものが好ましい。このような骨材としては、コージェライトの様なケイ酸塩鉱物の他、シリカ、アルミナ等が挙げられる。このような骨材を用いることにより冷間時から1,000℃を超えるような幅広い温度範囲でクラックが生じ難いハニカム構造体を得ることができ、多様な環境で使用される本発明装置に好ましい。
【0027】
導電性ハニカム構造体に使用される他の成分としては、澱粉、ショ糖等の製造時に使用する造孔材、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化モリブデン、セリア、ジルコニア、バナジア等の他の成分の一種以上を単独もしくは複合酸化物の形で、構造強度や触媒活性の向上を目的にして補助的に添加しても良い。
【0028】
導電性ハニカム構造体としては、骨材としてコージェライト、抵抗発熱体として炭化ケイ素を含むものが好ましい。
【0029】
導電性ハニカム構造体は、公知の方法に従って製造することができる。例えば、骨材と抵抗発熱体とを水と共に混錬したものをハニカム状に押出成形した後に乾燥焼成して導電性ハニカム構造体を製造することができる。また、骨材と造孔材とを水と共に混錬したものをハニカム状に押出成形した後に乾燥焼成して多孔質なハニカム構造体を製造した後、その多孔質なハニカム構造体に抵抗発熱体を含浸させて導電性ハニカム構造体を製造することもできる。
【0030】
[通電発熱性触媒組成物:ゼオライト+抵抗発熱体]
本発明装置に使用される通電発熱性触媒組成物にはゼオライトと抵抗発熱体が含まれる。この通電発熱性触媒組成物におけるゼオライトと抵抗発熱体の含有量等については目的にあわせて適宜設定すればよい。
【0031】
ゼオライトは、排ガス中のNOxを還元剤としてNH
3や尿素水溶液を使用して選択還元(SCR)するものであり、特にディーゼル自動車から排出される排ガスの浄化に対して広く使用されており、近年はガソリン自動車排ガス中のNOxの浄化への使用も検討される様になっている。
【0032】
ゼオライトとしては、例えば、BEA型、CHA型、AEI型、AFX型等の各種ゼオライトを使用することができる。ゼオライトには還元反応の促進を目的に、特許文献1の様に銅や鉄等の遷移金属を含有させることが一般的である。
【0033】
抵抗発熱体は、導電性ハニカム構造体に使用される抵抗発熱体と同様に、Ni−Cr合金、MoSi
2、SiC等が使用でき、導電性ハニカム構造体と同様にSiCが好ましい。
【0034】
本発明装置に使用される通電発熱性触媒組成物には、白金、パラジウム等の高い酸化活性を有する貴金属成分を含まないことが好ましい。貴金属成分は高価であり、これらを使用しない触媒であればコスト的に有利である。また、貴金属成分を含まない通電発熱性触媒組成物では、排ガス中の成分を利用した発熱が困難であるため、電気加熱式の本発明装置の効果がより顕著に発揮される。
【0035】
本発明装置に使用される通電発熱性触媒組成物としては、ゼオライトを含む一般的なSCR触媒と、抵抗発熱体とを含むものが好ましい。このような組成物であれば貴金属成分は含まれない。
【0036】
本発明装置に使用される通電発熱性触媒組成物には抵抗発熱体を含むことは前記のとおりであるが、通電発熱性触媒組成物そのものに抵抗発熱体を含むことで、導電性ハニカム構造体を経て流れてきた電気が活性領域である触媒そのものの温度を上げることが可能になる。導電性ハニカム構造体に、通電発熱性触媒組成物を被覆担持する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、通電発熱性触媒組成物を水等の媒体を使用してスラリー化し、これを導電性ハニカム構造体にウオッシュコート法等の手法をもちいて被覆し、乾燥焼成をすればよい。通電発熱性触媒組成物の被覆担持する位置は、効果の点から、導電性ハニカム構造体の電極に対応する領域に被覆担持されることが好ましい。
【0037】
ところで、導電性ハニカム構造体に被覆担持する触媒組成の中に抵抗発熱体が含まれない場合、触媒層の加熱は導電性ハニカム構造体で生じた熱が触媒層に伝わることで初めて触媒反応に有利な温度にまで加熱することが可能になる。これでは、導電性ハニカム構造体における触媒層が充分に加熱されるまでに時間が掛かってしまうことになる。そして触媒層が充分に加熱されない状態では排ガス中の有害成分や環境負荷成分は浄化されることなく大気中に排出されてしまう。これに対して本発明装置であれば触媒層そのものを迅速に発熱させることが可能になり、通電すると速やかに排ガスの浄化反応が開始される。
【0038】
このような通電発熱性触媒組成物の作用は、導電性ハニカム構造体としてウォールフロー型ハニカム構造体を採用した時も同様である。ウォールフロー型ハニカム構造体は排ガス中から煤等の微粒子成分を濾しとるために使用されるもので、煤等の微粒子成分を濾しとって貯めた後、溜まった微粒子成分をハニカム構造体に担持した触媒の作用で燃焼除去するCSF(Catalyzed Soot Filter)が知られている。また、近年ではSCR触媒を担持したSCRoF(SCR on Filter)としても使用される様になっている。
【0039】
ウォールフロー型ハニカム構造体の構成は、ハニカムを構成するセルが入り口側と出口側で交互に目封じされていて、セルの壁は排ガスが通気可能な高細孔容積で多孔質なセル壁から構成されている。このようなウォールフロー型ハニカム構造体に対して前記の様にスラリー化した触媒組成物をウオッシュコートした場合、触媒組成物は、セル壁の上の他、多孔質なセル壁の細孔内にも侵入してしまうことがある。このような場合も、従来のEHCであれば発熱したセル壁の熱が触媒組成物に伝わった後、触媒組成物は排ガス中の有害成分の浄化に有効な温度に至っていた。本発明装置に使用される通電発熱性触媒組成物であれば、この場合も通電すると速やかに触媒組成物を昇温することが可能である。
【0040】
特にSCRoFの場合、SCRとしての機能を発揮するために白金やパラジウム等、酸化能力の高い貴金属の含有を避けるか、含有させても出来るだけ少ない量に留めようとする。そのため、SCRoF自体が排ガス中の酸化性成分で発熱することが難しい。しかし、本発明装置であれば、通電により迅速かつ確実に昇温することが可能であることから、SCRoFとしての利用においても優れた性能を発揮できる。
【0041】
フロースルー型ハニカム構造体は、上記のウォールフロー型ハニカム構造体において目封じがないセルにより構成されているものでありフィルターとしての機能は有さないが、排ガスの通過に際して圧力損失が少なく、エンジンの出力低下を招きにくい。導電性ハニカム構造体への通電と通電発熱性触媒組成物の相互作用については、通電により通電発熱性触媒組成物が直接加熱されることからウォールフロー型ハニカム構造体の場合と同様に速やかに触媒組成物を昇温することが可能である。なお、本発明装置に使用されるハニカム構造体にフロースルー型ハニカム構造体を採用する場合、セルの壁や外周面に導電性成分を含侵させることも考えられる。この様な場合にはウォールフロー型ハニカム構造体のセルの壁や外周面はウォールフロー型ハニカム構造体同様に多孔質に構成されていることが好ましい。
【0042】
[電極]
導電性ハニカム構造体を電気により加熱する手段としては誘導加熱、誘電加熱、抵抗加熱が考えられるが、本発明装置においては、加熱にあたり必要な設備の小型化が容易で低コストであり、電極の接触部位以外では発熱し難く安全であるため抵抗加熱を使用する。
【0043】
導電性ハニカム構造体に、電気を供給する電極としては、導電性ハニカム構造体に電気を供給できるものであればよく、その大きさ、位置等は適宜設定すればよい。電極の位置は、本発明装置の効果の点から導電性ハニカム構造体の排ガス流れの上流側領域の外周上に設けられることが好ましい。そして、電気の供給を導電性ハニカム構造体の外周側から行う場合、一つの電極で外周側全域を覆うものであってもよく、一対の対向する電極を外周側に配置するものであってもよい。この配置の中でも導電性ハニカム構造体の外周側に一対の電極を対向する様に配置し、この電極の間に通電することで発熱を促す仕様が好ましい。この構成であれば構造が単純で低コスト化が可能となり、産業上有利な手法であるといえる。また、電極の長さは導電性ハニカム構造体の軸線長と同等で有ってもよく、導電性ハニカム構造体の軸線長より短くてもよい。
【0044】
このうち、電極の長さが導電性ハニカム構造体の軸線長より短いものである場合、電極の配置位置は排ガスの流れに対して上流側端面から下流側に向けて配置することが好ましい。このような配置は、電気の供給部位、すなわち導電性ハニカム構造体の発熱部位が、
図2、
図3の様に導電性ハニカム構造体の上流側の領域になる。
【0045】
[電極のZone配置:上流側]
導電性ハニカム構造体の発熱部位が上流側になることで、上流側で発生した熱は排ガスを通じて、あるいは熱伝導によって下流側にも伝わる。これにより、通電発熱性触媒組成物の発熱に要する電力は上流領域を発熱させる分だけになり省電力な加熱方法であるといえる。
【0046】
また、一つの導電性ハニカム構造体において上流側にのみ電極を配置することは、上流の電気加熱領域と下流の非電気加熱領域が形成されているものともいえる。導電性ハニカム構造体の上流側にのみ電極を配置する場合、電極に対応する触媒の組成としては白金やパラジウム等の酸化能力の高い貴金属を含まないものであることが効率的な触媒配置であるといえる。前述したように、白金やパラジウム等の貴金属成分を含まない触媒組成では排ガス中の酸化成分による発熱があまり期待できないが、本発明装置の様に電気による加熱を行うことでこのような自己発熱性に乏しい触媒領域を加熱し、有害成分の浄化を促進することができる。
【0047】
[電極のZone配置:“SCR zone”+“NH
3-slip DOC zone”]
本発明装置において、導電性ハニカム構造体の上流側に電極を配置し、また、上流側に白金やパラジウム等の酸化能力の高い貴金属成分を含まない通電発熱性触媒組成物を被覆担持する場合、当該導電性ハニカム構造体の下流側に被覆担持する触媒は特に限定されるものではなく、白金やパラジウム等の酸化能力の高い貴金属成分を含まないSCR触媒、白金やパラジウム等の酸化能力の高い貴金属成分と共にSCR成分を含むNH
3−slip触媒、白金やパラジウム等の酸化能力の高い貴金属成分を含む酸化触媒、白金やパラジウムに加えてロジウム等を含む三元触媒等が挙げられる。
【0048】
上記の例に挙げた下流側の触媒のうち、白金やパラジウム等の酸化能力の高い貴金属成分と共にSCR成分を含むNH
3−slip触媒は、上流の白金やパラジウム等を含まないSCR触媒と好ましい組合せといえる。
【0049】
SCR触媒へのアンモニア成分の供給量は理論的なNOx浄化に必要な量よりもやや多めにすることがある。これは、NOxの選択還元を確実にするためのものであるがSCR触媒後方にアンモニアを漏出してしまいかねないことにもなる。SCR触媒の後方にNH
3−slip触媒を配置することで、SCR触媒から漏出したアンモニアを酸化除去すると共に、アンモニアの酸化で生じたNOxを選択還元し、大気中へのアンモニアの漏出を防ぐことができる。
【0050】
このようなNH
3−slip触媒は白金やパラジウム等の酸化能力の高い貴金属成分を含むことから、触媒組成そのものが発熱性を有することに加え、上流側の電気加熱領域で生じた熱が排ガスの流れやハニカム構造体を伝わって下流側に供給される。そのため、非電気加熱領域であっても昇温し易い状態にあり、省電力で優れた浄化性能を期待できるレイアウトといえる。
【0051】
また、圧力損失という点でも、非電気加熱領域に使用される触媒組成物には抵抗発熱を目的として添加される抵抗発熱体は含まないことが好ましい。抵抗発熱体が含まれることで、その分、セル壁に被覆担持される触媒量が増えてしまう。増えた触媒量はフロースルー型ハニカム構造体のセルでは壁上に被覆担持される触媒層の厚みが増すことになる。このことによりセルの開口面積が狭くなり易い。セルの開口面積が狭くなることは排ガスの背圧が大きくなることであり、内燃機関においては圧力損失による出力の低下を招くことがある。また、ウォールフロー型ハニカム構造体ではセル壁の細孔も塞いで排ガスの通気を著しく阻害しまうことがあり、この場合の内燃機関の出力低下はより深刻なものになる恐れがある。
【0052】
セルの開口面積が狭くなることによる排ガスの背圧上昇に関しては、ハニカムの上流側の電気加熱領域と下流側の非電気加熱領域で異なる組成の触媒組成物を被覆する場合、それぞれの触媒は導電性ハニカム構造体中で重複させずに被覆することが好ましい。重複させて被覆してしまうと、重複箇所の触媒層は二層分の厚みを持つことになり、セルが狭くなり背圧が増し易くなる。これは上流側、下流側の触媒の下層、上層に加え、アンダーコート、オーバーコートを施す場合にも同様である。
【0053】
[本発明装置の設置位置]
本発明装置は、内燃機関を備えた自動車の排ガス経路に配置し、排ガス中の窒素酸化物を選択還元することにより排ガスを浄化することができる。
【0054】
本発明装置は、特に低温化した排ガスの浄化にあたって有利なものであるが、排ガスの温度が高いときには電気による加熱は特に必要としない場合がある。そのため、本発明装置は排ガスの温度が低くなり易い状況で使用されることが好ましい。このような状況としては自動車に搭載される内燃機関の排ガス浄化に使用される触媒であれば、その床下に配置される触媒が挙げられる。
【0055】
自動車に搭載される触媒は、その配置位置によって直下と床下という分け方をされることがある。直下とは内燃機関のエキゾーストポート(シリンダーヘッドの排気口)に続くエキゾーストマニホールドの直後やエキゾーストマニホールドの途中に配置される状態で、いわばエンジンルーム内に配置されるものともいえる。一方、床下とはエキゾーストマニホールドに続くマフラーの途中、自動車でいうと乗車空間や荷室の下あたりの場所を指す。
【0056】
本発明装置は低温環境下で効果を発揮し易いのは前記のとおりである。直下では燃焼室からの距離が短く排ガスの温度は高い状態であるが、これに比べて床下は燃焼室からの距離も遠く、排ガスの温度は低くなり易い環境であり、通常であれば触媒の活性化には不利な環境であるが、本発明の効果がより発揮され易い場所であるといえる。
【0057】
また、本発明はSCR性能を有する触媒を使用するものであるが、SCR触媒の効果的な用法として、排ガス流れの上流側からDOC−CSF―(尿素水噴霧)―SCR触媒の様な基本配置が知られている。この配置は特許文献2に表されるもので、排ガス中の有害成分や環境負荷成分、すなわち未燃焼の燃料(HC)、煤などの微粒子成分(soot)、一酸化炭素(CO)、NOxを一連の触媒を使用して包括的に浄化するものである。このうちNOxについては還元剤としてアンモニアまたはアンモニア前駆体としての尿素水溶液を使用し、SCR触媒前段に配置される触媒との相互作用をもって浄化される。
【0058】
特許文献2の触媒配置、[DOC−CSF―(尿素水噴霧)―SCR触媒]を見ても分かる様に、この基本構成においてSCR触媒は最後方に配置されることで効率的にNOxの選択還元が行われる。このようなSCR触媒の用法を直下で行おうとすると直下位置に少なくとも都合三種の触媒と一つの構成要素(噴霧手段)も配置することになる。直下は内燃機関近傍、いわゆるエンジンルームでもあり、自動車であればこの限られた空間に更に三種の触媒と尿水噴霧機構を配置することは非現実的である。そのため、[DOC−CSF―(尿素水噴霧)―SCR触媒]レイアウトでは、SCR触媒は床下位置に配置されることが一般的である。
【0059】
床下は排ガスの温度が低いことは前記のとおりであるが、ここで本発明装置を使用することで、排ガスが低温な環境下でも電気加熱したSCR触媒により効果的な選択還元が可能になる。
【0060】
SCR触媒における主要成分としては特許文献1の表されたようなCHA、AEI、AFXといった小細孔径のゼオライトに銅を含有させたものが有効であり、現在のSCR触媒材料の主流になって広く実施されている。このような銅含有小細孔径ゼオライトは比較的低温から優れた活性を発揮するものであるが、特許文献1を見ても分かるとおり、高いNOx浄化性能を得るためにはそれでも200℃の温度が必要になる。言い換えると、200℃に至るまではSCR触媒の性能を完全に発揮することができないともいえる。しかし、200℃は内燃機関が始動して直ぐに到達可能な温度ではなく、特にディーゼルエンジンの場合には希薄燃焼に由来して元来排ガスの温度が低く、相応の連続稼働の後に達する温度である。ここで低燃費化された内燃機関の採用や電力モーターによる補助動力が加わると、触媒温度200℃にいたるまでの時間は一層長くなり、その間、有害物質や環境負荷成分は充分に浄化されることなく大気中に排出されてしまうことになる。このような触媒温度が200℃に到達する時間が長くなり易い環境としてはエンジン始動直後のような状況も挙げられる。なお、エンジン始動直後の触媒温度についてはディーゼルエンジンに限らず、ガソリンエンジンでも同様である。
【0061】
一方で、言い換えれば200℃を超える触媒温度であれば必ずしも触媒を加熱する必要が無い状態であるともいえる。電極への不必要な電気の供給は、単なるエネルギーの損失になってしまうことがある。そこで、本発明装置への通電を触媒温度が200℃未満の時に限ることで、不要なエネルギーを消費せず、効率的な排ガスの浄化が可能になる。
【実施例】
【0062】
以下、本発明を実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0063】
[実施形態1]
図1は本発明の実施形態1を表している。コージェライトと炭化ケイ素を含む導電性ハニカム構造体1は、フロースルー型の構造を採用している。導電性ハニカム構造体にはゼオライト(貴金属成分を含まないSCR触媒)と炭化ケイ素を含む通電発熱性触媒組成物3が導電性ハニカム構造体のセル壁上に被覆担持されている。導電性ハニカム構造体の外周側には導電性ハニカム構造体の軸線長さと同等の長さの電極2、2’が対向して配置されている。
【0064】
この電極に電流を流すことで、導電性ハニカム構造体の発熱と同時に触媒層も遅れることなく発熱させることが可能になる。そして、通電発熱性触媒組成物が貴金属成分を含まないSCR触媒であっても十分に加熱されているため、供給される尿素水溶液を還元成分として(図示せず)、排ガス温度が低く触媒が充分に温まっていない状態から優れたNOx浄化性能を発揮することができる。
【0065】
[実施形態2]
図2は本発明の実施形態2を表している。
図2における導電性ハニカム構造体1は実施形態1と同様にフロースルー型の構造を採用しているが、一対の電極2,2’が導電性ハニカム構造体の前方、すなわち排ガス流れの上流側にのみ、導電性ハニカム構造体外周側に対抗して配置されている。この電極2,2’に挟まれた導電性ハニカム構造体の領域には通電発熱性触媒組成物3がセル壁上に被覆担持されている。一方、排ガス流れの下流側、すなわちフロースルー型ハニカム構造体の後方側の外周には電極は配置されず、セル壁に抵抗発熱体を含まず、触媒を含む非通電発熱性触媒組成物4が被覆担持された領域になっている。
【0066】
この導電性ハニカム構造体の外周前方に配置された電極2,2’に電流を流すことで導電性ハニカム構造体の前方が特に発熱し、前方で発生した熱は後方の非通電発熱性触媒組成物のある領域も加熱できる。これにより、電気加熱は通電発熱性触媒組成物3の領域に限るものの導電性ハニカム構造体1全体を省電力で加熱することが可能になる。
【0067】
このような
図2における通電発熱性触媒組成物3をSCR触媒を含むものとし、その後方の非通電発熱性触媒組成物4をNH
3−slip触媒とすれば、前方のSCR触媒が内燃機関始動直後等の低温時であっても速やかに高活性な温度域まで昇温され、後方のNH
3−slip触媒は前方の抵抗発熱性触媒3の領域から供給された熱により速やかに昇温される。これにより、非通電発熱性触媒組成物4の領域にエネルギーの供給がなくても省電力で優れたNOx浄化性能が発揮される。
【0068】
[実施形態3]
図3は本発明の実施形態3を表している。導電性ハニカム構造体1を、目封じ5を設けたウォールフロー型の構造に変えた以外は実施形態2と同様である。実施形態2の非通電発熱性触媒組成物4には抵抗発熱体が含まれないことから、導電性ハニカム構造体の後方の非通電発熱性触媒組成の領域に必要な作用を得るために設計した触媒組成以外の成分すなわち抵抗発熱体を含ませないことができる。そのため、セル開口面積を広く保つことが可能になり、多孔質なセルの壁を排ガスが通過するにあたり抵抗となる触媒の被覆量を減らすことができる。
【0069】
このような
図3における電気加熱式触媒装置であれば、実施形態2の作用に加えて、排ガスの背圧が上昇し難い、内燃機関の出力低下を抑制可能なSCRoFとしての機能も得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明のSCR用電気加熱式触媒装置は、内燃機関を備えた自動車の排ガスの浄化に利用でき、かつ、今後燃費の向上や電力モーターの補助駆動機会が増えて触媒反応のみでは規制物質の浄化が難しい低温化した自動車の排ガスに対しても優れたNOx浄化性能が期待できる。
【符号の説明】
【0071】
1 導電性ハニカム構造体
11 ウォールフロー型ハニカム構造体
2 電極
2’ 電極
3 通電発熱性触媒組成物
4 非通電発熱性触媒組成物
5 目封じ