【課題】保護層を形成するために組成物中の金属イオン等の特定成分が減少し、連続プロセス中に保護層の特性が変化することを抑制する金属基材用表面処理組成物の製造方法、および該処理組成物から形成された処理浴を維持するシステム提供する。
【解決手段】リチウムカチオン及び二酸化炭素を水性媒体中で合わせて、イン・サイチュ(in situ)で、炭酸リチウムを含む処理組成物を形成する、製造方法である。炭酸リチウムを含む処理組成物から形成された処理浴を維持するためのシステム及び方法も開示される。二酸化炭素及び/又はリチウム塩は、処理浴のpHを9.5〜12.5に、処理浴の総重量に基づいて、リチウムを5ppm〜5,500ppmの量(リチウムカチオンとして計算)に、及び炭酸塩を15ppm〜25,000ppmの量(炭酸塩として計算)に維持するのに十分な量で浴に供給される。
炭酸リチウムを含む組成物であって、水性媒体中で二酸化炭素源及びリチウムカチオンを反応させることによって前記炭酸リチウムがイン・サイチュ(in situ)で形成される、組成物。
前記供給後の前記処理浴中の炭酸リチウムの量が前記処理組成物の総重量に基づいて25ppm〜30000ppm(総化合物として計算)である、請求項21に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明の目的のために、本発明は、明示的に反対に指定されている場合を除いて、様々な代替の変形及び工程順序を想定し得ることが理解されるべきである。さらに、任意の操作例以外で、又は他に示される場合を除き、値、量、百分率、範囲、部分範囲及び分数を表すものなどのすべての数は、その用語がない場合でも「約」という言葉で始まるように読むことができる。従って、反対のことが示されていない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られるべき所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして及び通常の丸め技術(ordinary rounding technique)を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。本明細書にクローズエンド又はオープンエンドの数値範囲が記載されている場合、その数値範囲内の、又はその範囲に含まれるすべての数、値、量、百分率、部分範囲及び分数は、これらの数、値、量、百分率、部分範囲及び分数がそれらの全体で明白に書き出されたかのように、本出願の元々の開示に具体的に含まれる、及び本出願の元々の開示に属すると考えられるべきである。
【0017】
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータが近似値であるにもかかわらず、特定の例に示される数値は可能な限り正確に報告される。しかし、いずれの数値も、それぞれの試験測定に見られる標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を本質的に含む。
【0018】
本明細書で使用される場合、他に示されない限り、複数形の用語は、他に示されない限り、その単数形の対応物を包含することができ、逆もまた同様である。例えば、本明細書では「リチウム塩(“a” lithium salt)」、「水酸化物(“a” hydroxide)」、及び「処理組成物(“a” treatment composition)」について言及しているが、これらの成分の組み合わせ(すなわち複数)を使用することができる。加えて、本出願において、「又は」の使用は、「及び/又は」が特定の場合に明示的に使用され得るとしても、特に断らない限り「及び/又は」を意味する。
【0019】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、「含む(comprising)」と同義であると本出願の文脈で理解され、従ってオープンエンドであり、追加の記載されていない及び/又は引用されていない要素、材料、成分及び/又は方法工程の存在を除外しない。本明細書で使用される場合、「からなる(consisting of)」は、本出願の文脈では、いかなる特定されていない要素、成分及び/又は方法工程の存在も除外すると理解される。本明細書で使用される場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、本出願の文脈において、特定の要素、材料、成分及び/又は方法工程「並びに記載されているもののその基本的及び新規特徴に実質的に影響を及ぼさないもの」を含むと理解される。
【0020】
本明細書で使用される場合、「上に(on)」、「上に(onto)」、「上に適用される(applied on)」、「上に適用される(applied onto)」、「上に形成される(formed on)」、「上に堆積される(deposited on)」、「上に堆積される(deposited onto)」の用語は、表面に接触しているとは限らないが、表面に形成され、重ね合わせられ、堆積され、及び/又は提供されることを意味する。例えば、基材「上に形成された(formed over)」コーティング層は、形成されたコーティング層と基材との間に位置する同一又は異なる組成の1つ以上の他の介在コーティング層の存在を排除しない。
【0021】
本明細書で他に開示されない限り、用語「実質的に含まない」は、特定の材料が存在しないことに関して使用される場合、そのような材料が、組成物、組成物を含有する浴、並びに/又は組成物から形成される及び組成物を含む層中に存在する場合には、場合によっては組成物、浴及び/又は層の総重量に基づいて、5ppm以下の微量でのみ存在することを意味する。本明細書で他に開示されない限り、用語「本質的に含まない」は、特定の材料が存在しないことに関して使用される場合、そのような材料が、組成物、組成物を含有する浴、並びに/又は組成物から形成される及び組成物を含む層中に存在する場合には、場合によっては組成物、浴及び/又は層の総重量に基づいて、1ppm以下の微量でのみ存在することを意味する。本明細書で他に開示されない限り、用語「完全に含まない」は、特定の材料が存在しないことに関して使用される場合、そのような材料が、組成物、組成物を含有する浴、並びに/又は組成物から形成される及び組成物を含む層中に存在する場合には、組成物、組成物を含有する浴、及び/又は組成物から形成される及び組成物を含む層に存在しない(すなわち、組成物、組成物を含有する浴、及び/又は組成物から形成される及び組成物を含む層がこうした材料を0ppm含有する)ことを意味する。組成物、組成物を含有する浴、並びに/又は組成物から形成される及び組成物を含む層が、特定の材料を実質的に含まない、本質的に含まない、又は完全に含まない場合、これは、そのような材料は、例えば、処理ライン内の前の処理浴からの持ち越し、地方自治体の水源、基材、及び/又は装置の溶解の結果として存在し得ることを除いて、それらから除外されることを意味する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「塩」とは、金属カチオン及び非金属アニオンから構成され、全体の電荷がゼロであるイオン性化合物を指す。塩は水和又は無水であり得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「水性組成物」は、主に水を含む媒体中の溶液又は分散液を指す。例えば、水性媒体は、媒体の総重量に基づいて、50重量%を超える、又は70重量%を超える、又は80重量%を超える、又は90重量%を超える、又は95重量%を超える量の水を含み得る。水性媒体は、例えば実質的に水からなってもよい。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「酸化剤」は、シーリング組成物の成分に関して使用される場合、シーリング組成物と接触する基材中に存在する金属及び/又はシーリング組成物中に存在する金属錯化剤のうちの少なくとも1つを酸化することができる化学物質を指す。「酸化剤」に関して本明細書で使用される場合、語句「酸化することができる」は、場合によっては、基材又はシーリング組成物中に存在する原子又は分子から電子を除去することができ、それによって電子の数を減らすことができることを意味する。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「IA族金属」とは、例えばHandbook of Chemistry and Physics,63
rd edition(1983)に示されるような元素周期表のCAS版のIA族(実際のIUPAC番号付けのグループ1に対応)にある元素を指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「IA族金属化合物」は、元素周期表のCAS版のIA族にある少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「IIA族金属」とは、例えばHandbook of Chemistry and Physics,63
rd edition(1983)に示されるような元素周期表のCAS版のIIA族(実際のIUPAC番号付けのグループ2に対応)にある元素を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「IIA族金属化合物」は、元素周期表のCAS版のIIA族にある少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「IIIB族金属」とは、例えばHandbook of Chemistry and Physics,63
rd edition(1983)に示されるような元素周期表のCAS版のイットリウム及びスカンジウム(実際のIUPAC番号付けのグループ3に対応)にある元素を指す。明確にするために、「IIIB族金属」はランタニド系列元素を明確に除外している。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「IIIB族金属化合物」は、上記で定義されるような元素周期表のCAS版のIIIB族にある少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「IVB族金属」とは、例えばHandbook of Chemistry and Physics,63
rd edition(1983)に示されるような元素周期表のCAS版のIVB族(実際のIUPAC番号付けのグループ4に対応)にある元素を指す。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「IVB族金属化合物」は、元素周期表のCAS版のIVB族にある少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「VB族金属」とは、例えばHandbook of Chemistry and Physics,63
rd edition(1983)に示されるような元素周期表のCAS版のVB族(実際のIUPAC番号付けのグループ5に対応)にある元素を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「第VB族金属化合物」は、元素周期表のCAS版のVB族にある少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「VIB族金属」とは、例えばHandbook of Chemistry and Physics,63
rd edition(1983)に示されるような元素周期表のCAS版のVIB族(実際のIUPAC番号付けのグループ6に対応)にある元素を指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「VIB族金属化合物」は、元素周期表のCAS版のVIB族にある少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「VIIB族金属」とは、例えばHandbook of Chemistry and Physics,63
rd edition(1983)に示されるような元素周期表のCAS版のIA族(実際のIUPAC番号付けのグループ7に対応)にある元素を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「VIIB族金属化合物」は、元素周期表のCAS版のVIIB族にある少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「XII族金属」とは、例えばHandbook of Chemistry and Physics,63
rd edition(1983)に示されるような元素周期表のCAS版のIA族(実際のIUPAC番号付けのグループ12に対応)にある元素を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「XII族金属化合物」は、元素周期表のCAS版のXII族にある少なくとも1つの元素を含む化合物を指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「ランタニド系列元素」は、元素周期表のCAS版の元素57〜71を指し、ランタニド系列元素の元素に相当するものを含む。本発明によれば、ランタニド系列元素は、+3及び+4の共通の酸化状態(以後+3/+4酸化状態と呼ぶ)の両方を有するものであり得る。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「ランタニド化合物」は、元素の周期表のCAS版の元素57〜71のうちの少なくとも1つを含む化合物を指す。
【0043】
本明細書で使用される場合、「シーリング組成物」は、基材表面の物理的及び/又は化学的特性を変化させるように基材表面又は基材表面上に堆積された材料に影響を及ぼす組成物、例えば溶液又は分散液を指す(例えば、この組成物は防食をもたらす)。
【0044】
本明細書で使用される場合、「転化組成物」とは、基材表面と反応して化学的に変化させることができ、それと結合して防食を与えるフィルムを形成することができる組成物、例えば溶液又は分散液を指す。
【0045】
本明細書で使用される場合、「処理浴」は、初期処理組成物から形成された水性浴を指す。処理浴は、基材を処理組成物と接触させるプロセスの副産物である成分を含有し得る。
【0046】
本明細書で使用される場合、処理組成物から形成された処理浴を「維持する」とは、特定の成分の濃度及び/又はpHを含む処理浴の特定のパラメータを望ましい範囲に保つことを指す。これは、以下でより詳細に記載されるように、それぞれの供給源から処理浴へのオン−シフト及び/又はオフ−シフトで1つ以上の材料を添加することによって達成され得る。本明細書で使用される場合、「オン−シフト」は、処理されるべき物品が処理浴中に存在することを意味する。本明細書で使用される場合、「オフ−シフト」は、処理組成物によって処理されるべき物品が処理浴に存在しないことを意味するが、処理浴が必ずしもプロセスラインから取り除かれることを意味するのではない。
【0047】
孔食(pitting corrosion)は、それによってキャビティ又はホールが基材に生成される局部的な腐食の形成である。本明細書で使用される場合「ピット」という用語は、孔食に起因するそのようなキャビティ又はホールを指し、(1)試験パネル表面に対して垂直に見る場合に丸みを帯び、細長く又は不規則な外観、(2)ピッティングキャビティから生じる「彗星の尾(comet−tail)」、線、又は「ハロ(halo)」(すなわち表面変色)、及び(3)ピット内部又はピットのすぐ周りに腐食副生成物(例えば、白色、灰色又は黒色の粒状、粉末状又は非晶質の物質)が存在することを特徴とする。観察された表面のキャビティ又はホールは、腐食ピットと見なされるためには、上記の特徴のうちの少なくとも2つを示さなければならない。これらの特徴のうち1つのみを示す表面キャビティ又はホールは、腐食ピットとして分類される前に追加の分析を必要とし得る。10倍の倍率の顕微鏡を使用した目視検査は、腐食副生成物が肉眼で見えない場合に腐食副生成物の存在を決定するために使用される。
【0048】
本明細書で使用される場合、本明細書で他に開示されない限り、用語「総組成物重量」、「総浴重量」、「組成物の総重量」、「処理浴の総重量」又は類似の用語は、任意の担体及び溶媒を含むそれぞれの組成物又は浴中に存在するすべての成分の総重量を指す。
【0049】
上述のように、本発明によれば、炭酸リチウムを含む処理組成物が開示される。炭酸リチウムは、特に、二酸化炭素と、例えば水性媒体中でリチウム塩の形態であり得るリチウムカチオンとを反応させることによって、上記で記載されたようにイン・サイチュで形成され得る。処理組成物は、シーリング組成物、転化組成物などであり得る。
【0050】
本発明の処理組成物は、通常アルカリ性である。本発明によれば、処理組成物のpHは、少なくとも9.5、例えば少なくとも10、例えば少なくとも11であり得、ある場合には、12.5以下、例えば12以下、例えば約11.5以下であり得る。本発明によれば、処理組成物のpHは、9.5〜12.5、例えば10〜12、例えば11〜11.5であり得る。本発明によれば、処理組成物のpHは、二酸化炭素、水溶性及び/又は水分散性の酸、例えば硝酸、硫酸、及び/又はリン酸を含む酸性材料を含めることによって調整され得る。本発明によれば、処理組成物のpHは、炭酸塩、例えばI族炭酸塩、II族炭酸塩、水酸化物、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化アンモニウム、アンモニア、及び/又はアミン、例えばトリエチルアミン、メチルエチルアミン、又はそれらの混合物を含む水溶性及び/又は水分散性塩基を含む塩基性材料を含めることによって調整され得る。
【0051】
本発明によれば、本発明の処理組成物を形成するために使用される二酸化炭素は、気体、固体(すなわち、ドライアイス)、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0052】
本発明によれば、本発明の処理組成物を形成するために使用されるリチウム塩は、無機リチウム塩、有機リチウム塩、又はそれらの組み合わせを含み得る。本発明によれば、リチウム塩のアニオン及びカチオンは両方とも水溶性であり得る。本発明によれば、リチウム塩は、25℃の温度での、少なくとも1×10
−11、例えば少なくとも1×10
−4、ある場合には5×10
+2以下であり得る水中溶解度定数(K;25℃)を有し得る。本発明によれば、リチウム塩は、25℃の温度での、1×10
−11〜5×10
+2、例えば1×10
−4〜5×10
+2水中溶解度定数(K;25℃)を有し得る。本明細書で使用される場合、「溶解度定数」は、それぞれのリチウム塩の飽和水溶液中のイオンの平衡濃度の積を意味する。各濃度は、平衡式におけるそれぞれのイオン係数のべき乗になる。様々な塩に対する溶解度定数は、Handbook of Chemistry and Physicsに見出すことができる。適切なリチウム塩の例は、炭酸リチウム、水酸化リチウム、リン酸リチウム、硫酸リチウム、及び四ホウ酸リチウムである。
【0053】
任意選択的に、処理組成物はまた、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、又はそれらの組み合わせなどの水酸化物も含んでいてもよい。本発明によれば、水酸化物は、1つ以上のI族水酸化物、水酸化アンモニウム、又はそれらの混合物であり得る。水酸化物は、仮に存在するとしても、処理組成物のpHが9.5〜12.5のままであるような量など、任意の量で存在し得る。I族水酸化物の非限定的な例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、又はそれらの混合物が挙げられる。従って、水酸化物は、使用される場合、例えば水酸化リチウムは、任意選択的に炭酸リチウムのような他のリチウム塩と組み合わせて、処理組成物又はその一部を形成するのに使用されるリチウム塩成分として供給されてもよい。しかしながら、処理組成物はまた、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又はそれらの組み合わせなどのリチウム塩とは異なる1つ以上の水酸化物を含んでもよい。
【0054】
本発明の処理組成物は一般に担体として水性媒体を含む。従って、組成物は、担体中のリチウム塩の溶液又は分散液の形態であり得る。
【0055】
本発明によれば、炭酸リチウムは、水性担体媒体中で二酸化炭素及びリチウムカチオンを合わせることによって形成され、ここで二酸化炭素及びリチウムカチオンは、リチウムが処理組成物の総重量に基づいて5ppm〜5,500ppmの量(リチウムカチオンとして計算)で処理組成物中に存在し、炭酸塩は処理組成物の総重量に基づいて15ppm〜25,000ppmの量(炭酸塩として計算)で処理組成物中に存在するような量で存在するようにバランスをとる。上記のように、1つ以上の酸性材料及び/又は1つ以上の塩基性材料、例えば1つ以上の水酸化物などの1つ以上のpH調整剤を任意選択的にさらに水性担体媒体に添加するが、ここでそのような任意のpH調整剤、二酸化炭素及びリチウム塩の量は、処理組成物のpHが9.5〜12.5になるようにバランスをとることができる。
【0056】
本発明によれば、処理組成物は、リチウム以外の少なくとも1つのIA族金属カチオン、VB族金属カチオン、及び/又はVIB族金属カチオンをさらに含み得る。本発明によれば、リチウム以外の少なくとも1つのIA族金属カチオン、VB族金属カチオン、及び/又はVIB族金属カチオンは、塩及びカチオンの形態であってもよく、それぞれは処理組成物の総重量に基づいて少なくとも5ppm、例えば少なくとも50ppm、例えば少なくとも150ppm、例えば少なくとも250ppmの量(金属カチオンとして計算)で処理組成物中に存在し、ある場合には、処理組成物の総重量に基づいて、5,500ppm以下、例えば1,200ppm以下、例えば1,000ppm以下、例えば500ppm以下の量(金属カチオンとして計算)で存在し得る。ある場合には、本発明によれば、リチウム金属は、処理組成物の総重量に基づいて5ppm〜5,500ppm、例えば50ppm〜1,000ppm、例えば150ppm〜500ppmの量(金属カチオンとして計算)で処理組成物中に存在し得る。
【0057】
リチウムカチオン、リチウム以外のIA族カチオン、VB族カチオン、及び/又はVIB族カチオンと塩を形成するのに適したアニオンの非限定的な例には、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩、ハロゲン、硫酸塩、リン酸塩及びケイ酸塩(例えばオルトケイ酸塩及びメタケイ酸塩)が含まれ、このようにして金属塩は、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩(例えば、オルトケイ酸塩又はメタケイ酸塩)、過マンガン酸塩、クロム酸塩、バナジン酸塩、モリブデン酸塩、及び/又は過塩素酸塩を含み得る。
【0058】
本発明によれば、処理組成物の金属塩(すなわち、リチウム、リチウム以外のIA族金属、VB族、及び/又はVIB族の塩)は、それぞれ、処理組成物中に、処理組成物の総重量に基づいて少なくとも25ppm、例えば少なくとも150ppm、例えば少なくとも500ppmの量(総化合物として計算)、及びある場合には処理組成物の総重量に基づいて30,000ppm以下、例えば2,000ppm以下、例えば1,500ppm以下の量(総化合物として計算)で存在し得る。本発明によれば、金属塩はそれぞれ、処理組成物中に、処理組成物の総重量に基づいて25ppm〜30,000ppm、例えば150ppm〜2,000ppm、例えば500ppm〜1,500の量(総化合物として計算)で存在し得る。
【0059】
本発明によれば、本発明のシーリング組成物は、酸化剤、例えば過酸化水素、過硫酸塩、過塩素酸塩、散布酸素(sparged oxygen)、臭素酸塩、過酸化安息香酸塩、オゾンなど、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。例えば、シーリング組成物は、シーリング組成物の総重量に基づいて0.1重量%〜15重量%、例えば2重量%〜10重量%、例えば6重量%〜8重量%の酸化剤を含み得る。代替的に、本発明によれば、シーリング組成物は、酸化剤を実質的に含まない、又は場合によっては本質的に含まない、又は場合によっては完全に含まない場合がある。
【0060】
本発明によれば、処理組成物はクロム又はクロム含有化合物を除外し得る。本明細書で使用される場合、用語「クロム含有化合物」は、六価クロムを含む材料を指す。そのような材料の非限定的な例には、クロム酸、三酸化クロム、無水クロム酸、二クロム酸塩、例えば二クロム酸アンモニウム、二クロム酸ナトリウム、二クロム酸カリウム、及び二クロム酸カルシウム、バリウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、及びストロンチウムが含まれる。処理組成物及び/又は浴、又はそれから形成されたコーティング若しくは層が、クロムを実質的に含まない、本質的に含まない、又は完全に含まない場合、これには、これらに限定されないが、上記で列挙された六価クロム含有化合物などのあらゆる形態のクロムが含まれる。
【0061】
従って、任意選択的に、本発明によれば、本処理組成物及び/又は処理浴及び/又はそれから形成されるコーティング若しくは層は、先行するパラグラフで列挙された元素又は化合物のいずれか1つ以上を実質的に含まなくてもよく、本質的に含まなくてもよく、及び/又は完全に含まなくてもよい。クロム又はクロム含有化合物を実質的に含まない処理組成物及び/又は浴及び/又はそれから形成されるコーティング若しくは層は、クロム又はクロム含有化合物が意図的に添加されないが、不純物又は環境からの避けられない汚染のためなど、微量では存在し得ることを意味する。言い換えれば、材料の量は、処理組成物及び/又は浴及び/又はそれから形成されるコーティング若しくは層の特性に影響を及ぼさないほどに少ない;クロムの場合、これはさらに、その元素又は化合物が、それが環境に負担をかけるようなレベルで処理組成物及び/又は浴及び/又はそれから形成されるコーティング若しくは層中に存在しないことを含み得る。従って、「実質的に含まない」という用語は、例えば、処理組成物及び/又は浴及び/又はそれから形成されるコーティング若しくは層が、組成物、浴、コーティング若しくは層の総重量に基づいて、あるとしても場合によっては、先のパラグラフで列挙した元素又は化合物のいずれか又はすべてを10ppm未満で含有することを意味し得る。「本質的に含まない」という用語は、処理組成物及び/又は浴及び/又はそれから形成されるコーティング若しくは層が、組成物、浴、コーティング若しくは層の総重量に基づいて、あるとしても場合によっては、先のパラグラフで列挙した元素又は化合物のいずれか又はすべてを1ppm未満で含有することを意味する。「完全に含まない」という用語は、処理組成物及び/又は浴及び/又はそれから形成されるコーティング若しくは層が、組成物、浴、コーティング若しくは層の総重量に基づいて、あるとしても場合によっては、先のパラグラフで列挙した元素又は化合物のいずれか又はすべてを1ppb未満で含有することを意味する。
【0062】
本発明によれば、本発明の処理組成物及び/又は処理浴及び/又はそれから形成されるコーティング若しくは層は、ある場合には、リン酸イオン又はリン酸含有化合物及び/又は例えばリン酸亜鉛をベースとする処理剤を使用する場合に形成されるスラッジ、例えばリン酸アルミニウム、リン酸鉄及び/又はリン酸亜鉛の形成を除外し得る。本明細書で使用される場合、「リン酸塩含有化合物」は、オルトリン酸塩、ピロリン酸塩、メタリン酸塩、トリポリリン酸塩、有機ホスホネートなどのリン元素を含有する化合物を含み、一価、二価、又は三価カチオン、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ニッケル、マンガン、アルミニウム及び/又は鉄を含み得るが、これらに限定されない。処理組成物及び/又は浴及び/又はそれから形成されるコーティング若しくは層がリン酸塩を実質的に含まない、本質的に含まない、又は完全に含まない場合、これは任意の形態のリン酸イオン又はリン酸塩を含有する化合物を含む。
【0063】
従って、本発明によれば、本明細書に開示される処理組成物及び/又は浴及び/又はそれから形成されるコーティング若しくは層は、先のパラグラフに列挙されたイオン又は化合物のいずれかの1つ以上を実質的に含まなくてもよく、又は場合によっては本質的に含まなくてもよく、又は場合によっては完全に含まなくてもよい。リン酸塩を実質的に含まない処理組成物及び/又は浴及び/又はそれから形成されるコーティング若しくは層は、リン酸イオン又はリン酸塩含有化合物は、意図的に添加されないが、不純物又は環境からの避けられない汚染のためなど、微量では存在し得ることを意味する。言い換えれば、材料の量は、処理組成物及び/又は浴及び/又はそれから形成されるコーティング若しくは層の特性に影響を及ぼさないほどに少ない;これはさらに、リン酸塩が環境に負担をかけるようなレベルで処理組成物及び/又は浴及び/又はそれから形成されるコーティング若しくは層中に存在しないことを含み得る。「実質的に含まない」という用語は、特に処理組成物及び/又は浴及び/又はコーティング若しくは層が、組成物、浴、それから形成されるコーティング若しくは層の総重量に基づいて、あるとしても場合によっては、先のパラグラフで列挙したリン酸アニオン又はリン酸塩化合物のいずれか又はすべてを5ppm未満で含有することを意味し得る。「本質的に含まない」という用語は、処理組成物及び/又は浴及び/又はそれから形成されるコーティング若しくは層が、組成物、浴、コーティング若しくは層の総重量に基づいて、あるとしても場合によっては、先のパラグラフで列挙したリン酸アニオン又はリン酸塩化合物のいずれか又はすべてを1ppm未満で含有することを意味する。「完全に含まない」という用語は、処理組成物及び/又は浴及び/又はそれから形成されるコーティング若しくは層が、組成物、浴、コーティング若しくは層の総重量に基づいて、あるとしても場合によっては、先のパラグラフで列挙したリン酸アニオン又はリン酸塩化合物のいずれか又はすべてを1ppb未満で含有することを意味する。
本発明によれば、シーリング組成物は、カルシウムを含むがこれに限定されない、IIA族金属カチオン又はIIA族金属含有化合物を除外し得る。そのような材料の非限定的な例としては、IIA族金属水酸化物、IIA族金属硝酸塩、IIA族金属ハロゲン化物、IIA族金属スルファメート、IIA族金属硫酸塩、IIA族炭酸塩及び/又はIIA族金属カルボン酸塩が挙げられる。シーリング組成物及び/又はそれから形成されるコーティング若しくは層が、それぞれ、IIA族金属カチオンを実質的に含まない、本質的に含まない、又は完全に含まない場合、これは、任意の形態のIIA族金属カチオン、例えばこれらに限定されないが上記で列挙されるIIA族金属含有化合物を含む。
【0064】
本発明によれば、シーリング組成物は、ある場合には、フッ化物又はフッ化物源を除外し得る。本明細書で使用される場合、「フッ化物源」は、フッ化物イオンを生成することが知られている一フッ化物、二フッ化物、フッ化物錯体、及びそれらの混合物を含む。組成物及び/又はそれを含む層若しくはコーティングが、フッ化物を実質的に含まない、本質的に含まない、又は完全に含まない場合、これは任意の形態のフッ化物イオン又はフッ化物源を含むが、例えば、処理ライン内の前の処理浴からの持ち越し、都市水源(例えば、虫歯を防ぐために給水に添加されるフッ化物)、前処理された基材からのフッ化物などの結果として浴に存在し得る意図しないフッ化物を含まない。すなわち、フッ化物を実質的に含まない、本質的に含まない、又は完全に含まない浴は、たとえ処理ラインで使用する前に浴を製造するために使用される組成物がフッ化物を実質的に含まなかった、本質的に含まなかった、又は完全に含まなかったとしても、これらの外部供給源に由来し得る意図しないフッ化物を有することがある。
【0065】
例えば、シーリング組成物は、アンモニウム及びアルカリ金属フッ化物、酸フッ化物、フルオロホウ酸、フルオロケイ酸、フルオロチタン酸、及びフルオロジルコニウム酸、並びにそれらのアンモニウム及びアルカリ金属塩、並びに他の無機フッ化物などの任意のフッ化物源を実質的に含まない場合があり、その排他的でない例は、フッ化亜鉛、フッ化亜鉛アルミニウム、フッ化チタン、フッ化ジルコニウム、フッ化ニッケル、フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、及びフッ化水素酸、並びに当業者に既知の他の同様の材料である。
【0066】
本明細書で「遊離フッ化物」と定義される、IVB族金属イオンのような金属イオン、又は水素イオンに結合していないシーリング組成物中に存在するフッ化物は、例えばThermoscientificから入手可能なフッ化物イオン選択電極(「ISE」)、VWR Internationalによって供給されるsymphony(登録商標)Fluoride Ion Selective Combination Electrode又は同様の電極を備えたOrion Dual Star Dual Channel Benchtop Meterを用いてシーリング組成物浴中の操作パラメータとして測定され得る。例えば、Light and Cappuccino,Determination of fluoride in toothpaste using an ion−selective electrode,J.Chem.Educ.,52:4,247−250,April 1975を参照のこと。フッ化物ISEは、電極を既知のフッ化物濃度の溶液に含浸し、読取値をミリボルトで記録し、次いでこれらのミリボルトの読取値を対数グラフにプロットすることによって標準化され得る。次いで未知のサンプルのミリボルト読取値は、この較正グラフと比較され、フッ化物濃度が決定できる。代替的に、フッ化物ISEは、内部較正計算を実行し、従って較正後に未知のサンプルの濃度を直接読み取ることができる計器と共に使用することができる。
【0067】
フッ化物イオンは、高い電荷密度を有する小さな陰イオンであるため、水溶液中では、IVB族金属イオンのような高い正電荷密度を有する金属イオン又は水素イオンと錯化することが多い。金属カチオン又は水素イオンにイオン的又は共有結合的に結合している溶液中のフッ化物アニオンは、本明細書において「結合フッ化物」として定義される。このように錯化したフッ化物イオンは、それらが存在する溶液を、そのような錯体からフッ化物イオンを放出するイオン強度調整緩衝液(例えば、クエン酸アニオン又はEDTA)と混合しない限り、フッ化物ISEで測定できない。その時点で(すべての)フッ化物イオンはフッ化物ISEによって測定可能であり、測定は「総フッ化物」として知られる。代替的に、総フッ化物は、シーラー組成物中に供給されたフッ化物の重量を組成物の総重量と比較することによって計算することができる。
【0068】
本発明によれば、処理組成物は、ある場合には、コバルトイオン又はコバルト含有化合物を実質的に含まない、又はある場合には本質的に含まない、又はある場合には完全に含まない場合がある。本明細書で使用される場合、「コバルト含有化合物」は、例えば、硫酸コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト及び酢酸コバルトなどのコバルト元素を含有する化合物、錯体又は塩を含む。組成物及び/又はそれを含む層若しくはコーティングが、コバルトを実質的に含まない、本質的に含まない、又は完全に含まない場合、これは任意の形態のコバルトイオン又はコバルトを含有する化合物を含む。
【0069】
本発明によれば、処理組成物は、ある場合には、バナジウムイオン又はバナジウム含有化合物を実質的に含まない、又はある場合には本質的に含まない、又はある場合には完全に含まない場合がある。本明細書で使用される場合、「バナジウム含有化合物」は、例えば、アルカリ金属の対イオン又はアンモニウムカチオンを含むバナジウム酸塩及びデカバナジウム酸塩(例えば、アンモニウムデカバナジウムナトリウムを含む)のような、バナジウム元素を含む化合物、錯体又は塩を含む。組成物及び/又はそれを含む層若しくはコーティングが、バナジウムを実質的に含まない、本質的に含まない、又は完全に含まない場合、これは任意の形態のバナジウムイオン又はバナジウムを含有する化合物を含む。
【0070】
本発明によれば、処理組成物は指示薬化合物を任意選択的にさらに含有してもよく、それは、例えば金属イオンのような化学種の存在、組成物のpHなどを示すので、そのように命名される。本明細書で使用される場合、「指示薬」、「指示薬化合物」、及び同様の用語は、何らかの外部刺激、パラメータ、又は状態、例えば金属イオンの存在に応じて、又は特定のpH若しくはpH範囲に応じて色が変わる化合物を指す。
【0071】
本発明に従って使用される指示薬化合物は、種の存在、特定のpHなどを示す、当該技術分野において既知の任意の指示薬であることができる。例えば、適切な指示薬は、特定の金属イオンと金属イオン錯体を形成した後に色を変えるものであり得る。金属イオン指示薬は一般に高度に共役した有機化合物である。本明細書で使用され、当業者によって理解されるように、「共役化合物」は、単結合によって分離された2つの二重結合、例えばそれらの間に単一の炭素−炭素結合を有する2つの炭素−炭素二重結合を有する化合物を指す。本発明に従って、任意の共役化合物を使用することができる。
【0072】
同様に、指示薬化合物は、pHが変化すると色が変化するものであり得る;例えば、化合物は、酸性又は中性のpHで一色であってもよく、アルカリ性のpHで色を変えてもよく、又はその逆もあり得る。そのような指示薬は周知であり、広く市販されている。従って、「第1のpHから第2のpHへの移行時に色が変化する」(すなわち、第1のpHから、酸性又はアルカリ性が高い又は低い第2のpHへ)指示薬は、第1のpHに曝された場合に第1の色を有し(又は無色)、第2のpH(すなわち、第1のpHよりも酸性又はアルカリ性が高いか低いかのいずれか)に移行すると、第2の色に変化する(又は無色から有色に変化する)。例えば、「よりアルカリ性のpH(又はより酸性でないpH)への移行時に色が変化する」という指示薬は、pHが酸性/中性からアルカリ性に移行する場合、第1の色/無色から第2の色/色になる。例えば、「より酸性のpH(又はよりアルカリ性でないpH)への移行時に色が変化する」という指示薬は、pHがアルカリ性/中性から酸性に移行する場合、第1の色/無色から第2の色/色になる。
【0073】
そのような指示薬化合物の非限定的な例には、メチルオレンジ、キシレノールオレンジ、カテコールバイオレット、ブロモフェノールブルー、グリーン及びパープル、エリクロームブラックT、セレスティンブルー、ヘマトキシリン、カルマガイト、ガロシアニン、及びそれらの組み合わせが含まれる。任意選択的に、指示薬化合物は、金属イオン指示薬である有機指示薬化合物を含み得る。指示薬化合物の非限定的な例には、表1に見られるものが含まれる。特定の条件下で光を発する蛍光指示薬もまた、本発明に従って使用することができるが、蛍光指示薬の使用もまた特に除外され得る。すなわち、代替的に、蛍光を示す共役化合物は特に除外される。本明細書で使用される場合、「蛍光指示薬」及び同様の用語は、紫外線又は可視光への暴露時に蛍光を発するか又はそうでなければ色を示す化合物、分子、顔料、及び/又は染料を指す。「蛍光を発する」とは、より短い波長の光又は他の電磁放射線の吸収後に光を放出すると理解される。しばしば「タグ」と呼ばれるそのような指示薬の例には、アクリジン、アントラキノン、クマリン、ジフェニルメタン、ジフェニルナフチルメタン、キノリン、スチルベン、トリフェニルメタン、アントラシン及び/又はこれらの部分のいずれかを含有する分子及び/又はこれらのいずれかの誘導体、例えばローダミン、フェナントリジン、オキサジン、フルオロン、シアニン及び/又はアクリジンを含む。
【表1】
【0074】
本発明によれば、指示薬として有用な共役化合物は、表1に示すように、例えばカテコールバイオレットを含み得る。カテコールバイオレット(CV)は、2モルのピロカテコールを1モルのo−スルホ安息香酸無水物と縮合させることから製造されたスルホンフタレイン染料である。CVは指示薬特性を有し、金属イオンを有する組成物中に組み込まれる場合に、それは錯体を形成し、それを錯滴定(complexiometric)試薬として有用にすることが見出された。CVを含有する組成物が金属基材から来る金属イオン(すなわち、二価以上の価数を有するもの)をキレート化するにつれて、一般に青色から青紫色が観察される。
【0075】
表1に示すように、キシレノールオレンジも同様に本発明による組成物に使用され得る。キシレノールオレンジは金属イオン(すなわち、二価以上の価数を有するもの)指示薬特性を有し、金属イオンを有する組成物中に組み込まれる場合に、それは錯体を形成し、それを錯滴定(complexiometric)試薬として有用にすることが見出された。キシレノールオレンジを含有する組成物が金属イオンをキレート化するにつれて、キシレノールオレンジの溶液は赤色からほぼ青色に変わる。
【0076】
本発明によれば、指示薬化合物は、処理組成物中に、少なくとも0.01g/1000gの処理組成物、例えば少なくとも0.05g/1000gの処理組成物の量で存在し得、ある場合には、3g/1000gの処理組成物以下、例えば0.3g/1000gの処理組成物以下で存在し得る。本発明によれば、指示薬化合物は、処理組成物中に、0.01g/1000gの処理組成物〜3g/1000gの処理組成物、例えば0.05g/1000gの処理組成物〜0.3g/1000gの処理組成物の量で存在し得る。
【0077】
本発明によれば、特定の外部刺激に応答して色が変化する指示薬化合物は、それが例えば基材が組成物で処理されたことの視覚的表示として役立つことができるという点で処理組成物を使用する場合に利益を提供する。例えば、基材中に存在する金属イオンに曝されると色が変わる指示薬を含む処理組成物は、その基材中の金属イオンと錯化すると色が変わる;これにより、使用者は、基材が組成物と接触したことを確認することができる。アルカリ又は酸性の層を基材上に堆積させ、アルカリ性又は酸性のpHに曝される場合に色が変わる本発明の組成物と基材を接触させることによって、同様の利点を実現することができる。
【0078】
任意選択的に、本発明の処理組成物は、窒素含有複素環式化合物をさらに含み得る。窒素含有複素環式化合物としては、1つの窒素原子を有する環式化合物、例えばピロール及び2つ以上の窒素原子を有するアゾール化合物、例えばピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール及びペンタゾール、1つの窒素原子及び1つの酸素原子、例えばオキサゾール及びイソオキサゾール、又は1つの窒素原子及び1つの硫黄原子、例えばチアゾール及びイソチアゾールを含んでいてもよい。適切なアゾール化合物の非限定的な例には、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール(CAS:l072−71−5)、1H−ベンゾトリアゾール(CAS:95−14−7)、1H−1,2,3−トリアゾール(CAS:288−36−8)、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール(CAS:2349−67−9)(5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールとも呼ばれる)、及び2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール(CAS:4005−51−0)が挙げられる。いくつかの実施形態では、例えば、アゾール化合物は、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールを含む。さらに、本発明によれば、窒素含有複素環式化合物はナトリウム塩などの塩の形態であってもよい。
【0079】
窒素含有複素環式化合物は、組成物1リットル当たり少なくとも0.0005g、例えば組成物1リットル当たり少なくとも0.0008g、例えば組成物1リットル当たり少なくとも0.002gの濃度で処理組成物中に存在してもよく、ある場合には組成物1リットル当たり3g以下、例えば組成物1リットル当たり0.2g以下、例えば組成物1リットル当たり0.1g以下の量で処理組成物中に存在してもよい。本発明によれば、窒素含有複素環式化合物は、処理組成物中に(あるとしても)、組成物1リットル当たり0.0005g〜組成物1リットル当たり3g、例えば組成物1リットル当たり0.0008g〜組成物1リットル当たり0.2g、例えば組成物1リットル当たり0.002g〜組成物1リットル当たり0.1gの濃度で存在してもよい。
【0080】
上記で示したように、本発明の処理組成物は担体として水性媒体を含む。水性担体は、少なくとも1つの有機溶媒のような他の材料を任意選択的に含んでもよい。適切な溶媒の非限定的な例としては、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、低分子量アルコール(すなわち、C1〜C12アルコール)などが挙げられる。存在する場合、存在するとしても、有機溶媒は、処理組成物1リットル当たり少なくとも1gの溶媒、例えば処理組成物1リットル当たり少なくとも約2gの溶媒の量で処理組成物中に存在してもよく、ある場合には、処理組成物1リットル当たり40g以下の溶媒、例えば処理組成物1リットル当たり20g以下の溶媒の量で存在してもよい。本発明によれば、有機溶媒は、存在するとしても、処理組成物1リットル当たり1gの溶媒〜処理組成物1リットル当たり40gの溶媒、例えば処理組成物1リットル当たり2gの溶媒〜処理組成物1リットル当たり20gの溶媒の量で処理組成物中に存在し得る。
【0081】
上記で記載されるように、上記で記載される本発明の処理組成物は、水性担体媒体中でリチウム塩及び二酸化炭素を合わせて、処理組成物の総重量に基づいて5ppm〜5,500ppmの量(リチウムカチオンとして計算)のリチウム及び処理組成物の総重量に基づいて15ppm〜25,000ppmの量(炭酸塩として計算)の炭酸塩を含む処理組成物を形成することを含む方法によって調製されてもよい。処理組成物中の適切なリチウム塩及びリチウムの量は上記で記載される。例えば、処理組成物を形成する方法において使用されるリチウム塩は、炭酸リチウム、水酸化リチウム、又はそれらの組み合わせを含むことができる。本発明の処理組成物を製造する方法は、処理組成物のpHを、少なくとも9.5、例えば少なくとも10、例えば少なくとも11のpH、ある場合には12.5以下、例えば12以下、例えば11.5以下のpHに調整することをさらに含んでいてもよい。従って、本発明によれば、処理組成物は、9.5〜12.5、例えば10〜12、例えば11〜11.5のpHを有するように調整され得る。処理組成物のpHは、以下に記載される方法のいずれかに従って測定され得、例えば上記で記載されるように、必要に応じて任意の酸及び/又は塩基を使用して調整され得る。
【0082】
本発明によれば、処理組成物を製造する方法は、水性媒体中で二酸化炭素及びリチウム塩を合わせることを含む。本発明によれば、二酸化炭素は、気体、固体、又はそれらの組み合わせの形態で水性担体媒体に供給され得る。本明細書で使用される場合、「供給される」とは、二酸化炭素に関して使用される場合、大気以外の供給源を使用して二酸化炭素を組成物に導入することを指す。二酸化炭素は、処理組成物の総重量に基づいて少なくとも15ppm、例えば少なくとも50ppm、例えば少なくとも200ppm、ある場合には処理組成物の総重量に基づいて25,000ppm以下、例えば15,000ppm以下、例えば2,400ppm以下の量(炭酸塩として計算)で、炭酸塩を含む処理組成物を形成するのに十分な量で水性媒体に供給される。ある場合には、本発明によれば、二酸化炭素は、処理組成物の総重量に基づいて15ppm〜25,000ppm、例えば50ppm〜15,000ppm、例えば200ppm〜2,400ppmの量(炭酸塩として計算)の炭酸塩を含む処理組成物を形成するのに十分な量で水と合わせてもよい。
【0083】
上記で指摘したように、本発明による処理組成物を製造する方法はまた、I族水酸化物、水酸化アンモニウム、又はそれらの混合物などの水酸化物を添加することを含んでもよい。水酸化物源は、仮に存在するとしても、処理組成物のpHが9.5〜12.5の範囲内にあるような量など、任意の量で存在し得る。I族水酸化物の非限定的な例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0084】
上述のように、本発明によれば、炭酸リチウムを含む処理組成物から形成された処理浴を維持するシステム及び方法も開示される。処理組成物は、上記で記載される処理組成物であり得、本明細書中の上記に記載の方法に従って製造され得るか、又は当業者に既知の任意の方法によって作製され得る。一例では、本発明によれば、「処理浴」は、例えば上記で記載されるように1つ以上の基材の処理時に、炭酸リチウムを含む初期処理組成物から形成される水性浴を指す場合がある。使用される場合、炭酸リチウムを含む処理組成物から形成された処理浴を「維持する」(炭酸リチウム組成物がどのように形成されたかにかかわらず)とは、リチウム及び炭酸塩の濃度及びpHを含む処理浴の特定のパラメータを望ましい範囲、例えば本発明による処理組成物について上記で示される範囲に維持することを指す。これは、以下でより詳細に記載されるように、それぞれの供給源から処理浴へのオン−シフト及び/又はオフ−シフトで1つ以上の材料を添加することによって達成され得る。
【0085】
本発明によれば、維持するシステム又は方法は、(i)処理組成物を配合するために使用される材料とは異なる材料を処理組成物から形成される処理浴に添加すること、及び/又は(ii)処理組成物を配合するために使用される材料と同じ材料を処理組成物から形成される処理浴に添加することを含んでいてもよい。例えば、処理組成物を含有する処理浴を維持する方法は、処理浴に二酸化炭素を添加することを含み得るが、処理組成物は炭酸塩を使用して配合され得る。
【0086】
本発明によれば、維持するシステム又は方法は、処理組成物を配合するために使用される材料と同じ材料を、処理組成物を含有する処理浴に添加することを含んでいてもよい。例えば、処理組成物は(上記で記載されるように)二酸化炭素を使用して配合されてもよく、処理組成物を含有する処理浴を維持する方法は、処理浴に二酸化炭素を添加することを含み得る。
【0087】
本発明のシステム又は方法は、浴を維持するために単により多くの処理組成物を処理浴に添加することを対象としていない。むしろ、上述のように、本発明のシステム及び方法は、処理浴のpHを9.5〜12.5に、リチウムを処理浴の総重量に基づいて5ppm〜5,500ppmの量(リチウムカチオンとして計算)に、及び炭酸塩を処理浴の総重量に基づいて15ppm〜25,000ppmの量(炭酸塩として計算)に維持するのに十分な量で二酸化炭素及び/又はリチウム塩及び/又は水酸化物を処理浴に添加することを対象とする。供給はオン−シフト又はオフ−シフトで行うことができる。
【0088】
上述のように、本発明によれば、炭酸リチウムを含む処理組成物から形成された処理浴を維持するためのシステムが開示される。本発明によれば、システムは、リチウム塩及び/又は二酸化炭素、任意選択的に水酸化物、又はこれらのいずれかの組み合わせを含み得る。リチウム塩は、例えば炭酸リチウム、水酸化リチウム又はそれらの組み合わせなどの上記で記載されるリチウム塩のいずれかの1つ以上を含み得る。二酸化炭素は、気体、固体、又はそれらの組み合わせとしての二酸化炭素を含み得る。水酸化物は、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はそれらの組み合わせなどの、上述の水酸化物のいずれかの1つ以上を含み得る。上述のリチウム塩、二酸化炭素、及び/又は水酸化物は、個別に又は任意の組み合わせでシステムに含まれてもよく、システムのそれぞれの供給源から処理組成物から形成された処理浴に添加されて、上記で記載されるようなpHとリチウム及び炭酸塩の量とを有するように維持された処理浴を達成し得る。
【0089】
上述のように、本発明によれば、炭酸リチウムを含む処理組成物から形成された処理浴を維持する方法も開示される。本発明によれば、この方法は、浴を用いて基材の処理中及び/又は処理後に、処理浴のpHを9.5〜12.5に、リチウムを処理浴の総重量に基づいて5ppm〜5,500ppmの量(リチウムカチオンとして計算)に、及び炭酸塩を処理浴の総重量に基づいて15ppm〜25,000ppmの量(炭酸塩として計算)に維持するのに十分な量で二酸化炭素及びリチウム塩及び任意選択的に水酸化物の少なくとも1つを処理浴に供給することを含む。上記で記載されるリチウム塩、二酸化炭素、及び水酸化物は、処理組成物から形成された処理浴に添加されて、より詳細には本発明による処理組成物の文脈において上記で記載されるようなpH並びにリチウム及び炭酸塩の量を有するように維持する処理浴を達成し得る。例えば、本発明によれば、維持する方法は、処理浴のpHが12.5未満に維持されるような量で二酸化炭素を処理組成物から形成された処理浴に添加すること、及び/又は処理浴のpHが9.5以上に維持されるような量で水酸化物を処理浴に添加することを含み得る。例では、本発明によれば、二酸化炭素を処理浴中にゆっくりとバブリングしてもよく、又はドライアイスを一片ずつ滴下することによって添加してもよい。本発明によれば、pHを周期的又は連続的にモニターし(以下に記載)、及び/又は水酸化物を上記で議論されるように処理浴に添加してpHを9.5〜12.5の間に維持してもよい。
【0090】
本発明によれば、上記で記載されるように、二酸化炭素及び/又はリチウム塩及び/又は水酸化物の供給の後、リチウム(リチウムカチオンとして計算)は、処理組成物中に、処理浴の総重量に基づいて少なくとも5ppm、例えば少なくとも50ppm、例えば少なくとも150ppm、例えば少なくとも250ppmの量で存在し得、ある場合には処理浴の総重量に基づいて5,500ppm以下、例えば1,200ppm以下、例えば1,000ppm以下、例えば500ppm以下の量で存在し得る。ある場合には、本発明によれば、二酸化炭素及び/又はリチウム塩の供給の後、リチウム(リチウムカチオンとして計算)は、処理浴の総重量に基づいて5ppm〜5,500ppm、例えば50ppm〜1,200ppm、例えば150ppm〜1,000ppm、例えば250ppm〜500ppmの量で処理浴中に存在し得る。
【0091】
本発明によれば、二酸化炭素及び/又はリチウム塩及び/又は水酸化物の供給の後、炭酸塩(炭酸塩として計算される)が、処理浴中に、処理浴の総重量に基づいて少なくとも15ppm、例えば、少なくとも50ppm、例えば少なくとも200ppmの量で存在し得、ある場合には、処理浴の総重量に基づいて25,000ppm以下、例えば15,000ppm以下、例えば2,400ppm以下の量で存在し得る。ある場合には、本発明によれば、二酸化炭素及び/又はリチウム塩及び/又は水酸化物の供給の後、炭酸塩(炭酸塩として計算される)は、処理浴の総重量に基づいて15ppm〜25,000ppm、例えば50ppm〜15,000ppm、例えば200ppm〜2,400ppmの量で処理浴に存在し得る。
【0092】
本発明によれば、二酸化炭素及び/又はリチウム塩及び/又は水酸化物の供給の後、処理浴は少なくとも9.5、例えば少なくとも10、例えば少なくとも11のpHを有していてもよく、ある場合には、12.5以下、例えば12以下、例えば11.5以下のpHを有してもよい。本発明によれば、二酸化炭素及び/又はリチウム塩及び/又は水酸化物の供給の後、処理浴は、9.5〜12.5、例えば10〜12、例えば11〜11.5のpHを有し得る。
【0093】
本発明によれば、処理浴を維持する方法は、必要に応じて任意の酸及び/又は塩基を添加することなどによって、処理浴のpHを調整することをさらに含み得る。本発明によれば、処理浴は、水溶性及び/又は水分散性の酸を含む酸性材料、例えば硝酸、硫酸、及び/又はリン酸を含めることによって維持され得る。本発明によれば、処理浴のpHは、I族炭酸塩、II族炭酸塩、水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム、アンモニア、アミン、例えばトリエチルアミン、メチルエチルアミン、又はそれらの混合物などの水溶性及び/又は水分散性塩基を含む塩基性材料を含めることによって維持され得る。
【0094】
本発明の処理浴を維持する方法は、炭酸リチウムを含む処理組成物から形成される浴のサイズに適したpHメーター及びプローブを使用して処理浴のpHをモニターすることをさらに含み得る。適切なpHメーター及びプローブの例は、Accumet AB15(Fisher Scientificから入手可能)及び単一接合電極(Ag/AgCl基準;Fisher Scientific)を含むが、これらに限定されない。
【0095】
本発明の処理浴を維持する方法は、当業者に既知の任意の方法によって処理浴中のリチウム、炭酸塩、又は炭酸リチウムの量をモニターすることをさらに含み得る。例えば、本発明によれば、リチウムをモニターする方法は、例えば、処理浴中のリチウム(金属カチオン)の濃度を計算するために特定の波長(例えば、670.784nm)で、発光分光分析装置又は同等の機器を使用すること及び規定濃度のリチウム(例えば、既知の濃度の標準(例えば5ppmのLiに希釈された500ppmのLi標準)を有する標準サンプルを使用することを含んでいてもよい。本発明の処理浴を維持する方法は、例えば手動滴定又は自動滴定法を用いることを含む、当業者に既知の任意の方法によって処理浴中の炭酸塩の量をモニターすることをさらに含み得る。
【0096】
二酸化炭素及び/又はリチウム塩、及び任意選択的に水酸化物は、pH及びリチウムカチオン濃度、及び/又はリチウムカチオン濃度及び炭酸塩(アニオン)濃度が、例えば炭酸リチウムを用いた浴の維持(ここでpH、リチウム濃度及び炭酸塩濃度はすべて炭酸リチウムの浴への添加により変化する(すなわち、そのような各パラメータの独立した制御はない))と比較して、浴条件に依存して、独立して操作又は調整し得るように、炭酸リチウム含有処理組成物から形成される処理浴を維持するために使用されてもよいことを見出したことは予想外のことであった。例えば、二酸化炭素及び/又はリチウム塩及び任意選択的に水酸化物を使用して、炭酸リチウム含有処理組成物から形成された処理浴を、処理浴が9.5〜12.5のpH、処理浴の総重量に基づいて5ppm〜5,500ppmのリチウム(リチウムカチオンとして計算)濃度、及び処理浴の総重量に基づいて15ppm〜25,000ppmの炭酸塩(炭酸塩として計算)濃度を有するように維持し得る。
【0097】
上述のように、それから形成される処理組成物又は浴は、担体として水性媒体を含む。従って、組成物又は浴は、担体中のリチウム塩の溶液又は分散液の形態であり得る。本発明によれば、溶液又は分散液は、浸漬又は含浸、噴霧、間欠噴霧、浸漬に続く噴霧、噴霧に続く浸漬、ブラッシング、又はロールコーティングなどの任意の様々な既知の技術によって組成物又は浴で処理されるべき基材と接触させ得る。本発明によれば、基材に適用される場合の溶液又は分散液は、40°F(5℃)〜約160°F(71℃)、例えば60°F(16℃)〜110°F(43℃)の範囲の温度であり得る。例えば、基材を処理組成物又は浴と接触させるプロセスは、他に示されない場合は、23℃などの周囲温度又は室温で行われ得る。接触時間は、1秒〜2時間、例えば5分〜60分間であることが多い。
【0098】
本発明によれば、処理組成物によって形成される層の厚さは、例えば550nmまで、例えば5nm〜550nm、例えば10nm〜400nm、例えば25nm〜250nmであり得る。処理組成物から形成される層の厚さは、XPS(X線光電子分光法)深さプロファイリング又はTEM(透過型電子顕微鏡)を含むがこれらに限定されない、少数の分析技術を用いて決定することができる。本明細書で使用される場合、「厚さ」は、本発明の処理組成物によって形成された層に関して使用される場合、
図3に示すように、(a)元の空気/基材界面の上に形成された層、(b)前処理/基材界面の下に形成された改質層、又は(c)(a)と(b)との組み合わせのいずれかを指す。
図3では改質層(b)が前処理/基材界面まで延びているように示されているが、改質層(b)と前処理/基材界面との間に介在層が存在してもよい。同様に、(a)と(b)との組み合わせである(c)は連続層に限定されず、その間に介在層を有する多層を含んでもよく、層(c)の厚さの測定は介在層を除外してもよい。
【0099】
本発明において使用され得る適切な基材は、金属基材、金属合金基材、及び/又はニッケルめっきされたプラスチックなどの金属化された基材を含む。本発明によれば、金属又は金属合金は、鋼、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、及び/又はマグネシウムを含むか又はそれらであり得る。例えば、鋼基材は、冷間圧延鋼、熱間圧延鋼、電気亜鉛めっき鋼、及び/又は溶融亜鉛めっき鋼であり得る。1XXX、2XXX、3XXX、4XXX、5XXX、6XXX、又は7XXXシリーズのアルミニウム合金並びにクラッドアルミニウム合金もまた基材として使用され得る。アルミニウム合金は、0.01重量%の銅〜10重量%の銅を含み得る。処理されるアルミニウム合金は、1XX.X、2XX.X、3XX.X、4XX.X、5XX.X、6XX.X、7XX.X、8XX.X、又は9XX.X(例えば:A356.0)のような鋳物も含み得る。AZ31B、AZ91C、AM60B、又はEV31Aシリーズのマグネシウム合金も基材として使用され得る。本発明で使用される基材はまた、チタン及び/又はチタン合金、亜鉛及び/又は亜鉛合金、及び/又はニッケル及び/又はニッケル合金を含んでもよい。本発明によれば、基材は、車体(例えば、限定されないが、ドア、ボディパネル、トランクデッキリッド、ルーフパネル、フード、ルーフ、及び/又はストリンガ、リベット、ランディングギア部品及び/又は航空機に使用されるスキンなど)及び/又は車両のフレームのような車両の一部を含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、「車両」又はその変形は、民間、商業及び軍用の航空機、及び/又は自動車、オートバイ、及び/又はトラックなどの陸上の車両を含むがこれらに限定されない。
【0100】
本発明によれば、グリース、汚れ、及び/又は他の異物を除去するために、上記で記載される処理組成物又は浴と基材表面の少なくとも一部とを接触させる前に、基材表面の少なくとも一部を洗浄及び/又は脱酸素及び/又は別の方法で金属基材を洗浄若しくは前処理する当該技術分野で既知の従来の手段によって前処理してもよい。基材の表面の少なくとも一部は、表面を機械的に研磨すること及び/又は当業者に周知の市販のアルカリ性又は酸性の洗浄剤で表面を洗浄/脱脂することなどの物理的及び/又は化学的手段によって洗浄してもよい。本発明での使用に適したアルカリ洗浄剤の例には、Chemkleen(商標)166tlP、166m/c、177、490MX、2010LP、及びSurface Prep 1(SP1)、Ultrax 32、Ultrax 97、Ultrax 29及び92D(それぞれPPG Industries,Inc,(Cleveland、OH)から市販されている)、及びDFMシリーズのいずれか、RECC 1001、及び88X1002洗浄剤(PRC−DeSoto International,Sylmar,CA)から市販されている)並びにTurco 4215−NCLT及びRidolene(Henkel Technologies,Madison Heights,MIから市販されている)が含まれる。そのような洗浄剤は、水道水、蒸留水、又はそれらの組み合わせなどによる水リンスの前又は後にしばしば行われる。
【0101】
上述のように、本発明によれば、洗浄された基材表面の少なくとも一部は、機械的及び/又は化学的に脱酸素化されてもよい。本明細書で使用される場合、用語「脱酸素化」は、転化組成物又は前処理組成物の均一な堆積を促進するため、並びにそのような組成物コーティングの基材表面への接着を促進するために基材の表面上に見られる酸化物層の除去を意味する。適切な脱酸素剤は当業者によく知られている。典型的な機械的脱酸素剤は、研磨パッド又は洗浄パッドを使用することなどによる、基材表面の均一な粗面化であり得る。典型的な化学的脱酸素剤としては、例えば、リン酸、硝酸、フルオロホウ酸、硫酸、クロム酸、フッ化水素酸、及び二フッ化アンモニウムなどの酸系脱酸素剤、又はAmchem 7/17脱酸素剤(Henkel Technologies,Madison Heights,MIから入手可能)、OAKITE DEOXIDIZER LNC(Chemetallから市販されている)、TURCO DEOXIDIZER 6(Henkelから市販されている)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。多くの場合、化学的脱酸素剤は担体、多くの場合は水性媒体を含むので、脱酸素剤は担体中の溶液又は分散液の形態であってもよく、その場合溶液又は分散液は任意の種々の技術、例えば浸漬又は含浸、噴霧、間欠噴霧、浸漬に続く噴霧、噴霧に続く浸漬、ブラッシング、又はロールコーティングによって基材と接触させてもよい。本発明によれば、当業者は、例えば50°F〜150°F(10℃〜66℃)、例えば70°F〜130°F(21°C〜54°C)、例えば80°F〜120°F(27°C〜49°C)の範囲の温度で、エッチング速度に基づいて、金属基材に適用される場合に、溶液又は分散液の温度範囲を選択する。接触時間は、30秒〜20分、例えば1分〜15分、例えば90秒〜12分、例えば3分〜9分であり得る。
【0102】
洗浄及び/又は脱酸素工程に続いて、残留物を除去するために、任意選択的に基材を水道水、脱イオン水、及び/又はすすぎ剤の水溶液ですすいでもよい。本発明によれば、湿潤基材表面は、陽極酸化又は転化組成物での処理など、基材保護の当業者によく知られている任意の方法によって前処理されてもよく、及び/又は上記で記載の処理組成物の1つで処理されてもよく、又は基材は、基材表面を処理する前に、例えばエアナイフを用いることによって、高温、例えば15℃〜100℃、例えば20℃〜90℃への基材の短時間暴露により、又は例えば赤外熱を用いるヒーターアセンブリにおいて、例えば70℃で10分間、又は基材をスクイージロール間に通すことにより、水を蒸発(flashing off)させることによって、乾燥、例えば空気乾燥させてもよい。本発明によれば、転化組成物は、例えばランタニド系列元素、IIIB族金属、及び/又はIVB族金属を含んでいてもよく、さらにIIA族金属、VB族金属、VIB族金属、VIIB族金属、及び/又はXII族を含んでいてもよい。本発明によれば、ランタニド系列元素は、例えば、セリウム、プラセオジム、テルビウム、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよく;IIA族金属はマグネシウムを含んでいてもよく;IIIB族金属は、イットリウム、スカンジウム、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよく;IVB族金属は、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよく;VB族金属はバナジウムを含んでいてもよく;VIB族金属は、三価又は六価のクロム及び/又はモリブデンを含んでいてもよく;VIIB族金属はマンガンを含んでいてもよく;XII族金属は亜鉛を含んでいてもよい。
【0103】
本発明によれば、基材を処理組成物と接触させた後、フィルム形成樹脂を含むコーティング組成物を、処理組成物と接触した基材の表面の少なくとも一部上に堆積させてもよい。このようなコーティング組成物を基材上に堆積させるためには、例えば、ブラッシング、浸漬、フローコーティング、噴霧などの任意の適切な技術を使用してもよい。しかしながら、ある場合には、以下により詳細に記載されるように、そのようなコーティング組成物の堆積は、電着によって金属基材上に電着可能組成物が堆積される電着工程を含み得る。他の特定の例では、以下により詳細に記載されるように、そのようなコーティング組成物の堆積は粉末コーティング工程を含む。さらに他の例では、コーティング組成物は液体コーティング組成物であり得る。
【0104】
本発明によれば、コーティング組成物は、熱硬化性フィルム形成樹脂又は熱可塑性フィルム形成樹脂を含み得る。本明細書で使用される場合、用語「フィルム形成樹脂」は、組成物中に存在する任意の希釈剤又は担体の除去時、又は周囲温度若しくは高温での硬化時に、基材の少なくとも水平面上に自立連続フィルムを形成し得る樹脂を指す。使用され得る従来のフィルム形成樹脂としては、限定されないが、特に自動車OEMコーティング組成物、自動車補修コーティング組成物、工業用コーティング組成物、建築用コーティング組成物、コイルコーティング組成物、及び航空宇宙用コーティング組成物に通常使用されるものが挙げられる。本明細書で使用される場合、用語「熱硬化性」は、硬化又は架橋の際に不可逆的に「硬化」する樹脂を指し、ここでポリマー成分のポリマー鎖は共有結合によって共に結合される。この特性は通常、例えば熱又は放射線によってしばしば誘導される組成物成分の架橋反応に関連する。硬化又は架橋反応も周囲条件下で行われてもよい。一旦硬化又は架橋すると、熱硬化性樹脂は熱を加えても溶融せず、溶媒に不溶性である。本明細書で使用される場合、用語「熱可塑性」は、共有結合によって結合されず、それによって加熱時に液体流動でき、溶媒に可溶性であるポリマー成分を含む樹脂を指す。
【0105】
先に示したように、本発明によれば、電着可能コーティング組成物は、電着コーティング工程によって基材上に堆積され得る水分散性イオン性塩グループ含有フィルム形成樹脂を含み、ここで電着可能コーティング組成物は、電着により金属基材上に堆積される。イオン性塩グループ含有フィルム形成ポリマーは、カチオン性電着可能コーティング組成物に使用するためのカチオン性塩グループ含有フィルム形成ポリマーを含み得る。本明細書で使用される場合、用語「カチオン性塩グループ含有フィルム形成ポリマー」は、正電荷を付与する、スルホニウム基及びアンモニウム基などの少なくとも部分的に中和されたカチオン性基を含むポリマーを指す。カチオン性塩グループ含有フィルム形成ポリマーは、例えば、ヒドロキシル基、一級又は二級アミン基、及びチオール基を含む活性水素官能基を含み得る。活性水素官能基を含むカチオン性塩グループ含有フィルム形成ポリマーは、活性水素含有カチオン性塩グループ含有フィルム形成ポリマーと称され得る。カチオン性塩グループ含有フィルム形成ポリマーとしての使用に適したポリマーの例としては、特に、アルキドポリマー、アクリル、ポリエポキシド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル、及びポリエステルが挙げられるが、これらに限定されない。カチオン性塩グループ含有フィルム形成ポリマーは、カチオン性電着可能コーティング組成物中に、電着可能なコーティング組成物の樹脂固形分の総重量に基づいて40重量%〜90重量%、例えば50重量%〜80重量%、例えば60重量%〜75重量%の量で存在してもよい。本明細書で使用される場合、「樹脂固形分」は、イオン性塩グループ含有フィルム形成ポリマー、硬化剤、及び電着可能コーティング組成物中に存在する任意のさらなる水分散性非着色成分を含む。
【0106】
代替的に、イオン性塩グループ含有フィルム形成ポリマーは、アニオン性電着可能コーティング組成物に使用するためのアニオン性塩グループ含有フィルム形成ポリマーを含み得る。本明細書で使用される場合、用語「アニオン性塩グループ含有フィルム形成ポリマー(anionic salt group−containing film−forming polymer)」は、少なくとも部分的に中和されたアニオン性官能基、例えば負電荷を与えるカルボン酸及びリン酸基を含むアニオン性ポリマーを指す。アニオン性塩グループ含有フィルム形成ポリマーは、活性水素官能基を含み得る。活性水素官能基を含むアニオン性塩グループ含有フィルム形成ポリマーは、活性水素含有アニオン性塩グループ含有フィルム形成ポリマーと称され得る。アニオン性塩グループ含有フィルム形成ポリマーは、塩基可溶化(base−solubilized)カルボン酸グループ含有フィルム形成ポリマー、例えば乾燥油若しくは半乾燥脂肪酸エステルとジカルボン酸若しくは無水物との反応生成物又は付加物;脂肪酸エステル、不飽和酸又は無水物と、ポリオールとさらに反応する任意の追加の不飽和改質材料との反応生成物を含んでいてもよい。不飽和カルボン酸のヒドロキシ−アルキルエステル、不飽和カルボン酸及び少なくとも1つの他のエチレン性不飽和モノマーの少なくとも部分的に中和されたインターポリマーもまた適切である。さらに別の適切なアニオン性電着可能樹脂は、アルキド−アミノプラストビヒクル、すなわちアルキド樹脂及びアミン−アルデヒド樹脂を含有するビヒクルを含む。他の好適なアニオン性電着可能樹脂組成物は樹脂性ポリオールの混合エステルを含む。リン酸化ポリエポキシド又はリン酸化アクリルポリマーのような他の酸官能性ポリマーもまた使用され得る。例示的なリン酸化ポリエポキシドは、米国特許出願公開第2009−0045071号明細書([0004]〜[0015])及び米国特許出願第13/232,093号([0014]〜[0040])に開示されており、それらの引用部分は参照により本明細書に組み込まれる。アニオン性塩グループ含有フィルム形成ポリマーは、アニオン性電着可能コーティング組成物中に、電着可能なコーティング組成物の樹脂固形分の総重量に基づいて50%〜90%、例えば55%〜80%、例えば60%〜75%の量で存在してもよい。
【0107】
電着可能コーティング組成物はさらに硬化剤を含み得る。硬化剤は、イオン性塩グループ含有フィルム形成ポリマーの活性水素基などの反応性基と反応して、コーティング組成物の硬化を達成してコーティングを形成し得る。適切な硬化剤の非限定的な例は、少なくとも部分的にブロックされたポリイソシアネート、アミノプラスト樹脂及びフェノプラスト樹脂、例えばそれらのアリルエーテル誘導体を含むフェノールホルムアルデヒド縮合物である。硬化剤は、カチオン性電着可能コーティング組成物中に、電着可能コーティング組成物の樹脂固形分の総重量に基づいて10〜60重量%、例えば20〜50重量%、例えば25〜40重量%の量で存在し得る。代替的に、硬化剤は、アニオン性電着可能コーティング組成物中に、電着可能コーティング組成物の樹脂固形分の総重量に基づいて10〜50重量%、例えば20〜45重量%、例えば25〜40重量%の量で存在し得る。
【0108】
電着可能コーティング組成物は、顔料組成物のような他の任意成分、及び所望により様々な添加剤、例えば充填剤、可塑剤、酸化防止剤、殺生物剤、紫外線吸収剤及び安定剤、ヒンダードアミン光安定剤、消泡剤、殺菌剤、分散助剤、流動制御剤、界面活性剤、湿潤剤、又はそれらの組み合わせをさらに含んでいてもよい。電着可能コーティング組成物は、水及び/又は1つ以上の有機溶媒を含み得る。水は、電着可能コーティング組成物の総重量に基づいて、例えば、40重量%〜90重量%、例えば50重量%〜75重量%の量で存在することができる。使用される場合、有機溶媒は、通常、電着可能コーティング組成物の総重量に基づいて10重量%未満、例えば5重量%未満の量で存在し得る。電着可能なコーティング組成物は、特に水性分散液の形態で提供され得る。電着可能コーティング組成物の総固形分含有量は、電着可能コーティング組成物の総重量に基づいて、1重量%〜50重量%、例えば5重量%〜40重量%、例えば5重量%〜20重量%であり得る。本明細書で使用される場合、「総固形分」とは、電着可能なコーティング組成物の不揮発分、すなわち、110℃に15分間加熱しても揮発しない材料を指す。
【0109】
カチオン性電着可能コーティング組成物は、組成物を導電性カソード及び導電性アノードと接触させることによって導電性基材上に堆積させることができ、コーティングされる表面はカソードである。代替的に、アニオン性電着可能コーティング組成物は、組成物を導電性カソード及び導電性アノードと接触させることによって導電性基材上に堆積させることができ、コーティングされる表面はアノードである。十分な電圧が電極間に印加されると、電着可能コーティング組成物の接着性フィルムがそれぞれカソード又はアノード上に実質的に連続的に堆積される。印加電圧は変化させてもよく、例えば、50ボルト〜500ボルトのように、1ボルト程度の低いものから数千ボルト程度の高いものまであり得る。電流密度は通常1平方フィート当たり1.0アンペア〜15アンペア(1平方メートル当たり10.8〜161.5アンペア)の間であり、電着プロセスの間に迅速に低下する傾向があり、連続的な自己絶縁フィルムの形成を示す。
【0110】
カチオン性又はアニオン性電着可能コーティング組成物が導電性基材の少なくとも一部上に電着されると、コーティングされた基材は、基材上の電着コーティングを硬化させるのに十分な温度及び時間加熱され得る。カチオン性電着では、コーティング基材を250°F〜450°F(121.1℃〜232.2℃)、例えば275°F〜400°F(135℃〜204.4℃)、例えば300°F〜360°F(149℃〜180℃)の範囲の温度に加熱し得る。アニオン性電着では、コーティング基材を200°F〜450°F(93℃〜232.2℃)、例えば275°F〜400°F(135℃〜204.4℃)、例えば300°F〜360°F(149℃〜180℃)、例えば200°F〜210.2°F(93℃〜99℃)の範囲の温度に加熱し得る。硬化時間は、硬化温度並びに他の変数、例えば電着コーティングの膜厚、組成物中に存在する触媒のレベル及びタイプなどに依存し得る。例えば、硬化時間は10分〜60分、例えば20〜40分の範囲であることができる。得られる硬化電着コーティングの厚さは、2〜50ミクロンの範囲であり得る。
【0111】
代替的に、上述されるように、本発明によれば基材を処理組成物と接触させた後、次いで粉末コーティング組成物を、処理組成物と接触した基材の表面の少なくとも一部上に堆積させてもよい。本明細書で使用される場合、「粉末コーティング組成物」は、水及び/又は溶媒を完全に含まないコーティング組成物を指す。従って、本明細書に開示される粉末コーティング組成物は、当該技術分野において既知の水性及び/又は溶媒性コーティング組成物と同義でない。本発明によれば、粉末コーティング組成物は、(a)反応性官能基を有するフィルム形成ポリマー;及び(b)官能基と反応する硬化剤を含んでいてもよい。本発明で使用され得る粉末コーティング組成物の例には、ポリエステル系ENVIROCRONラインの粉末コーティング組成物(PPG Industries,Inc.から市販されている)又はエポキシ−ポリエステルハイブリッド粉末コーティング組成物が含まれる。本発明において使用され得る粉末コーティング組成物の代替例としては、(a)少なくとも1つの第3級アミノ尿素化合物、少なくとも1つの第3級アミノウレタン化合物、又はそれらの混合物、及び(b)少なくとも1つのフィルム形成エポキシ含有樹脂及び/又は少なくとも1つのシロキサン含有樹脂(例えば、PPG Industries,Inc.に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,470,752号明細書に記載されているものなど)を含む低温硬化の熱硬化性粉末コーティング組成物;(a)少なくとも1つの第3級アミノ尿素化合物、少なくとも1つの第3級アミノウレタン化合物、又はそれらの混合物、及び(b)少なくとも1つのフィルム形成エポキシ含有樹脂及び/又は少なくとも1つのシロキサン含有樹脂(例えば、PPG Industries,Inc.に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,432,333号明細書に記載されているものなど)を一般に含む硬化性粉末コーティング組成物;及び少なくとも30℃のT
gを有する反応性基含有ポリマーの固体粒子混合物を含むもの(例えば、PPG Industries,Inc.に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,797,387号明細書に記載されているものなど)を含む。
【0112】
粉末コーティング組成物を堆積した後、堆積した組成物を硬化させるためにしばしばコーティングを加熱する。加熱又は硬化操作は、150℃〜200℃、例えば170℃〜190℃の範囲の温度で、10〜20分の範囲の期間にわたって行われることが多い。本発明によれば、得られるフィルムの厚さは50ミクロン〜125ミクロンである。
【0113】
上述のように、本発明によれば、コーティング組成物は液体コーティング組成物であり得る。本明細書で使用される場合、「液体コーティング組成物」は、水及び/又は溶媒の一部を含有するコーティング組成物を指す。従って、本明細書に開示される液体コーティング組成物は、当該技術分野において既知の水性及び/又は溶媒性コーティング組成物と同義である。本発明によれば、液体コーティング組成物は、例えば(a)反応性官能基を有するフィルム形成ポリマー;及び(b)官能基と反応する硬化剤を含んでいてもよい。他の例では、液体コーティングは、空気中の酸素と反応し得る又は水及び/又は溶媒の蒸発によりフィルムに合体し得るフィルム形成ポリマーを含有し得る。これらのフィルム形成メカニズムは、熱又は紫外線又は赤外線のようなある種の放射線の適用を必要とするか又はそれによって促進され得る。本発明で使用されてもよい液体コーティング組成物の例には、SPECTRACRON(登録商標)ラインの溶媒ベースのコーティング組成物、AQUACRON(登録商標)ラインの水性硬化性コーティング組成物、及びRAYCRON(登録商標)ラインのUV硬化コーティング(すべてPPG Industries,Inc.から市販されている)が含まれる。本発明の液体コーティング組成物に使用され得る好適なフィルム形成ポリマーは、(ポリ)エステル、アルキド、(ポリ)ウレタン、イソシアヌレート、(ポリ)尿素、(ポリ)エポキシ、無水物、アクリル、(ポリ)エーテル、(ポリ)スルフィド、(ポリ)アミン、(ポリ)アミド、(ポリ)塩化ビニル、(ポリ)オレフィン、(ポリ)フッ化ビニリデン、(ポリ)シロキサン又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0114】
本発明によれば、本明細書に記載の処理組成物と接触させた基材はまた、プライマー組成物及び/又はトップコート組成物と接触させ得る。プライマーコートは、例えば、クロム酸塩系プライマー及び高性能トップコートであり得る。本発明によれば、プライマーコートは、従来のクロム酸塩系プライマーコート、例えばPPG Industries,Inc.から入手可能なもの(製品コード44GN072)など、又はクロムを含まないプライマー、例えばPPGから入手可能なもの(DESOPRIME CA7502、DESOPRIME CA7521、Deft 02GN083,Deft 02GN084)であることができる。代替的に、プライマーコートは、クロム酸塩を含まないプライマーコート、例えば米国特許出願第10/758,973号、発明の名称「CORROSION RESISTANT COATINGS CONTAINING CARBON(炭素を含有する耐食性コーティング)」、及び米国特許出願第10/758,972号及び第10/758,972号、両方とも発明の名称「CORROSION RESISTANT COATINGS(耐食性コーティング)」に記載されるコーティング組成物(これらのすべては参照により本明細書に組み込まれる)であり得、並びに当該技術分野において既知であり、MIL−PRF−85582クラスN又はMIL−PRF−23377クラスNの軍事的要件を満たすことができる他のクロムを含まないプライマーもまた本発明と共に使用され得る。
【0115】
上述のように、本発明の基材はまたトップコートも含み得る。本明細書で使用される場合、用語「トップコート」は、有機又は無機系ポリマー又はポリマーのブレンドであり得るバインダの混合物を指し、通常は少なくとも1つの顔料は、少なくとも1つの溶媒又は溶媒の混合物を任意選択的に含有でき、任意選択的に少なくとも1つの硬化剤を含有できる。トップコートは、通常、その外面が大気又は環境に曝され、その内面が他のコーティング層又はポリマー基材と接触している単層又は多層コーティング系におけるコーティング層である。適切なトップコートの例としては、PPGから入手可能なもの(Deft 03W127A及びDeft 03GY292)などのMIL−PRF−85285Dに準拠するものが挙げられる。本発明によれば、トップコートは、PPG(Defthane(登録商標)ELT(商標)99GY001及び99W009)から入手可能なものなどの高性能トップコートであり得る。しかしながら、本開示を参照して当業者には理解されるように、他のトップコート及び高性能トップコートを本発明に使用することができる。
【0116】
本発明によれば、金属基材はまた、セルフプライミングトップコート、又は強化セルフプライミングトップコートを含んでもよい。「基材への直接(direct to substrate)」又は「金属への直接(direct to metal)」コーティングとも呼ばれる「セルフプライミングトップコート」という用語は、有機又は無機系ポリマー又はポリマー、通常少なくとも1つの顔料のブレンドであることができ、任意選択的に少なくとも1つの溶媒又は溶媒混合物を含有でき、任意選択的に少なくとも1つの硬化剤を含有できるバインダの混合物を指す。「基材への直接強化コーティング」とも呼ばれる「強化セルフプライミングトップコート」という用語は、官能化フッ素化バインダの混合物、例えば他のバインダを有する全体又は部分的なフルオロエチレン−アルキルビニルエーテルを指し、これは有機若しくは無機系ポリマー又はポリマー、通常少なくとも1つの顔料のブレンドであることができ、任意選択的に少なくとも1つの溶媒又は溶媒混合物を含有でき、任意選択的に少なくとも1つの硬化剤を含有できる。セルフプライミングトップコートの例としては、TT−P−2756Aに準拠したものが挙げられる。セルフプライミングトップコートの例としては、PPGから入手可能なもの(03W169及び03GY369)が挙げられ、強化セルフプライミングトップコートの例としては、Defthane(登録商標)ELT(商標)/ESPT及びPPGから入手可能な製品コード番号97GY121が挙げられる。しかしながら、この開示を参照して当業者には理解されるように、他のセルフプライミングトップコート及び強化セルフプライミングトップコートを本発明によるコーティングシステムに使用することができる。
【0117】
本発明によれば、セルフプライミングトップコート及び強化セルフプライミングトップコートは、封止された基材に直接適用され得る。セルフプライミングトップコート及び強化セルフプライミングトップコートは、プライマー又はペイントフィルムなどの有機又は無機ポリマーコーティングに任意選択的に適用できる。セルフプライミングトップコート層及び強化セルフプライミングトップコートは、通常、単層又は多層コーティングシステムにおけるコーティング層であり、ここでコーティングの外面が大気又は環境に曝され、コーティングの内面が通常は基材又は任意のポリマーコーティング又はプライマーと接触している。
【0118】
本発明によれば、トップコート、セルフプライミングトップコート、及び強化セルフプライミングトップコートは、経時的に乾燥又は硬化する湿潤状態又は「完全に硬化されていない」状態のいずれかで(すなわち溶媒が蒸発する及び/又は化学反応がある)、封止基材に適用できる。コーティングは、自然に又は促進手段、例えば紫外線硬化系によって乾燥又は硬化して、フィルム又は「硬化した」塗料を形成することができる。コーティングはまた、接着剤などの半硬化状態又は完全硬化状態で適用することもできる。
【0119】
さらに、着色剤、及び所望により界面活性剤、湿潤剤又は触媒などの様々な添加剤をコーティング組成物(電着可能、粉末又は液体)に含めることができる。本明細書で使用される場合、用語「着色剤」は、色及び/又は他の不透明性及び/又は他の視覚効果を組成物に付与する任意の物質を意味する。着色剤の例としては、塗料業界で使用されているもの、及び/又はDry Color Manufacturers Association(DCMA)に列挙されているもの、並びに特殊効果組成物などの顔料、染料及びティント(tint)が挙げられる。一般に、着色剤は、所望の視覚的効果及び/又は色彩効果を付与するのに十分な量でコーティング組成物中に存在することができる。着色剤は、組成物の総重量に基づいて重量パーセントで、1〜65重量%、例えば3〜40重量%又は5〜35重量%で含まれてもよい。
【0120】
態様
従って以上のことから、本出願は、特に、それに限定されるものではないが、以下の態様1〜24に関する。
【0121】
1.水性媒体中に二酸化炭素及びリチウムカチオンを含む組成物。
【0122】
2.二酸化炭素が気体、固体、又はそれらの組み合わせを含む、態様1に記載の組成物。
【0123】
3.リチウムカチオンが処理組成物の総重量に基づいて5ppm〜5500ppmの量(リチウムカチオンとして計算)で存在する、態様1又は2のいずれか1つに記載の組成物。
【0124】
4.pHが9.5〜12.5である、態様1〜3のいずれか1つに記載の組成物。
【0125】
5.水酸化物をさらに含む態様1〜4のいずれか1つに記載の組成物。
【0126】
6.炭酸塩が処理組成物の総重量に基づいて15ppm〜25,000ppmの量(炭酸塩として計算)で存在する、態様1〜5のいずれか1つに記載の組成物。
【0127】
7.以下を含む処理組成物を製造する方法であって:
【0128】
水性媒体中でリチウムカチオン及び二酸化炭素を合わせて、イン・サイチュで処理組成物を形成することを含み、前記処理組成物は処理組成物の総重量に基づいて5ppm〜5,500ppmの量(リチウムカチオンとして計算)でリチウム及び処理組成物の総重量に基づいて15ppm〜25,000ppmの量(炭酸塩として計算)で炭酸塩を含む、
方法。
【0129】
8.リチウムカチオンが炭酸リチウム、水酸化リチウム、又はそれらの組み合わせとして存在する、態様7に記載の処理組成物を製造する方法。
【0130】
9.二酸化炭素が気体、固体、又はそれらの組み合わせとして水性媒体に供給される、態様7又は8のいずれか1つに記載の処理組成物を製造する方法。
【0131】
10.水性媒体に水酸化物を添加することを含む態様7〜9のいずれか1つに記載の処理組成物を製造する方法。
【0132】
11.水酸化物が水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又はそれらの組み合わせを含む、態様10に記載の処理組成物を製造する方法。
【0133】
12.処理組成物のpHを9.5〜12.5に調整することを含む態様7〜11のいずれか1つに記載の処理組成物を製造する方法。
【0134】
13.態様7〜12のいずれか1つに記載の方法に従って得られる処理組成物。
【0135】
14.炭酸リチウムを含む処理組成物から形成された処理浴を維持する方法であって、
【0136】
浴を用いて基材の処理中及び/又は処理後に、浴のpHを9.5〜12.5に、リチウムを処理浴の総重量に基づいて5ppm〜5,500ppmの量(リチウムカチオンとして計算)に、及び炭酸塩を処理浴の総重量に基づいて15ppm〜25,000ppmの量(炭酸塩として計算)に維持するのに十分な量で、二酸化炭素及びリチウム塩の少なくとも1つを浴に供給すること
を含む、方法。
【0137】
15.リチウム塩が炭酸リチウム、水酸化リチウム、又はそれらの組み合わせを含む、態様14に記載の処理浴を維持する方法。
【0138】
16.二酸化炭素が気体、固体、又はそれらの組み合わせとして浴に供給される、態様14又は15のいずれか1つに記載の処理浴を維持する方法。
【0139】
17.水酸化物を浴に供給することを含む態様14〜16のいずれか1つに記載の処理浴を維持する方法。
【0140】
18.水酸化物が水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又はそれらの組み合わせを含む、態様17に記載の処理浴を維持する方法。
【0141】
19.処理浴のpH、処理浴中の炭酸塩の量、処理浴中のリチウムの量、又はそれらの組み合わせをモニターすることをさらに含む態様14〜18のいずれか1つに記載の処理浴を維持する方法。
【0142】
20.態様1〜6又は13のいずれか1つの処理組成物で、又は態様14〜19のいずれか1つの方法に従って維持された処理浴で処理された基材。
【0143】
21.炭酸リチウムを含む処理組成物から形成された処理浴を維持するためのシステムであって、
【0146】
任意選択的に、水酸化物源
を含む、システム。
【0147】
22.リチウム塩源が炭酸リチウム、水酸化リチウム、又はそれらの組み合わせを含む、態様21に記載の処理浴を維持するシステム。
【0148】
23.二酸化炭素源が二酸化炭素を気体、固体、又はそれらの組み合わせとして含む、態様21又は22のいずれか1つに記載の処理浴を維持するためのシステム。
【0149】
24.システムが水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又はそれらの組み合わせを含む水酸化物源を含む、態様21〜23のいずれか1つに記載の処理浴を維持するためのシステム。
【0150】
本発明の特定の特徴が説明の目的で上記に記載されているが、処理組成物及びそれから形成される浴の詳細及び本明細書に開示される同じものを調製又は維持する方法の詳細の多数の変形が添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、行うことができることは当業者にとって明らかである。
【0151】
以下の例は本発明を例示するものであり、本発明をそれらの詳細に限定するものと見なすべきではない。例中及び本明細書中のすべての部及び百分率は、他に示されない限り、重量による。
例
【表2】
【表3】
【0152】
例Aの洗浄剤/脱酸素剤組成物を調製するために使用した成分及びそれらの相対量を表3に与える。水酸化ナトリウム及びリン酸ナトリウムを、撹拌プレート(VWR、7×7 CER HOT/STIR)を用いて穏やかに機械的に撹拌しながら脱イオン水中に完全に溶解させた。次に、水酸化ナトリウム及びリン酸ナトリウムが完全に溶解したら、PVPを溶解するまで撹拌し、次にアラントインを添加し、溶解するまで撹拌し、次いでDMTDを添加し、溶解するまで撹拌した。DMTDが完全に溶解した後、Carbowet GA100を上記のように穏やかな機械的撹拌下で撹拌した。
【表4】
【0153】
例Bの転化コーティング処理組成物の溶液を調製するのに使用した成分及びそれらの量を表4に与える。硝酸セリウム、硝酸イットリウム及び塩化セリウム溶液を個々のカップに計量した。次いで、500グラムの脱イオン水を使用して、1,000グラムの脱イオン水を含有する容器に穏やかに撹拌しながら溶液を移した。残りの453グラムの水を添加し、過酸化水素を添加する前に均一性を確保するために溶液を10分間撹拌した。最終溶液を使用前に最低30分間撹拌した。
【表5】
【0154】
シーリング組成物を調製する際に、pHメーター(Accumet AB15、Fisher Scientific)及び単一接合電極(Ag/AgCl基準;Fisher Scientific)を使用して各例C〜JのpHを測定し、pHメーター(Mettler Toledo、Seven2Go、モデルS2)及びダブルオープン(double open)接合電極(Mettler Toledo、Xerolyt(登録商標)ポリマー基準)を用いて各例K〜OのpHを測定した。
【0155】
シーリング組成物例C及び例Kはそれぞれ、表5に示す成分を用いて、上記で記載されるように撹拌プレートを用いて穏やかに撹拌しながら炭酸リチウムを脱イオン水に溶解することにより調製した(VWR、7×7CER HOT/STIR)。例Cは11.52の最終pHを有していた。例Cは、比較例1(以下に記載)のパネルを処理するために使用された。例Kは11.14の最終pHを有していた。例Kは、比較例9(以下に記載)のパネルを処理するために使用された。
【0156】
シーリング組成物例D及び例Lはそれぞれ、表5に示す成分を用いて、上記で記載されるように撹拌プレートを用いて穏やかに撹拌しながら水酸化リチウムを脱イオン水に溶解することにより調製した。例Dは12.69の最終pH値を有していた。例Dを使用して、比較例2(以下に記載)のパネルを処理した。例Lは12.17の最終pH値を有していた。例Lを使用して、比較例10(以下に記載)のパネルを処理した。
【0157】
比較例2に従ってパネルを処理するために例Dの組成物を含有する浴を使用した後、11.42の最終pH値が得られるまで例Dの組成物を含有する浴中に二酸化炭素ガスをバブリングすることによってシーリング組成物例Eを調製した。
図1及び表5を参照のこと。例3のパネルを処理するために例Eを使用した(以下に記載)。
【0158】
例3に従ってパネルを処理するために例Eの組成物を含有する浴を使用した後、10.54の最終pH値が得られるまで例Eの組成物に追加の二酸化炭素ガスをバブリングすることによってシーリング組成物例Fを調製した。
図1及び表5を参照のこと。例4のパネルを処理するために例Fを使用した(以下に記載)。
【0159】
例4に従ってパネルを処理するために例Fの組成物を含有する浴を使用した後、9.47の最終pH値が得られるまで例Fの組成物に追加の二酸化炭素ガスをバブリングすることによってシーリング組成物例Gを調製した。
図1及び表5を参照のこと。例5のパネルを処理するために例Gを使用した(以下に記載)。
【0160】
例5に従ってパネルを処理するために例Gの組成物を含有する浴を使用した後、10.47の最終pH値が得られるまで例Gの組成物に5%の水酸化リチウム溶液を添加することによってシーリング組成物例Hを調製した。
図1及び表5を参照のこと。例6のパネルを処理するために例Hを使用した(以下に記載)。
【0161】
例6に従って例Hの組成物を含有する浴を使用した後、11.48の最終pH値が得られるまで例Hの組成物に5%の水酸化リチウム溶液を添加することによってシーリング組成物例Iを調製した。
図1及び表5を参照のこと。例7のパネルを処理するために例Iを使用した(以下に記載)。
【0162】
例7に従って例Iの組成物を含有する浴を使用した後、12.47の最終pH値が得られるまで例Iの組成物に5%の水酸化リチウム溶液を添加することによってシーリング組成物例Jを調製した。
図1及び表5を参照のこと。例8のパネルを処理するために例Jを使用した(以下に記載)。
【0163】
比較例10に従ってパネルを処理するために例Lの組成物を含有する浴を使用した後、11.37の最終pH値が得られるまで例Lの組成物を含有する浴中に二酸化炭素ガスをバブリングすることによってシーリング組成物例Mを調製した。
図2及び表5を参照のこと。例11のパネルを処理するために例Mを使用した(以下に記載)。
【0164】
例11に従ってパネルを処理するために例Mの組成物を含有する浴を使用した後、9.5の最終pH値が得られるまで例Mの組成物に追加の二酸化炭素ガスをバブリングすることによってシーリング組成物例Nを調製した。
図2及び表5を参照のこと。例12のパネルを処理するために例Nを使用した(以下に記載)。
【0165】
例12に従って例Nの組成物を含有する浴を使用した後、11.37の最終pH値が得られるまで例Nの組成物に5%の水酸化リチウム溶液を添加することによってシーリング組成物例Oを調製した。
図2及び表5を参照のこと。例13のパネルを処理するために例Oを使用した(以下に記載)。
【0166】
パネルの調製
比較例1
3インチ×5インチ×0.032インチの大きさのアルミニウム2024T3未処理基材(Priority Metals,Orange County,CAから得られる)をメチルエチルケトン及び使い捨て布で手動で拭き、化学洗浄の前に空気乾燥させた。パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で3.5分間、洗剤−脱酸素剤組成物例Aに含浸した。次いで、パネルを、2回の後続脱イオン水リンスに、それぞれ2分間、両方とも間欠的に撹拌しながら周囲温度で含浸した。2回目のリンスの後、パネルを連続的脱イオン水リンスで10秒間すすいだ。次いで、パネルを撹拌せずに周囲温度で5分間、転化組成物例Bに含浸した。次に、パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間脱イオン水中に含浸し、続いて10秒間連続的脱イオン水リンスによってすすいだ。次いでパネルを間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間シーリング組成物例Cに含浸した。パネルを周囲条件で一晩空気乾燥した後、以下に記載されるように腐食試験を行った。
【0167】
比較例2
3インチ×5インチ×0.032インチの大きさのアルミニウム2024T3未処理基材(Priority Metals,Orange County,CAから得られる)をメチルエチルケトン及び使い捨て布で手動で拭き、化学洗浄の前に空気乾燥させた。パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で3.5分間、洗剤−脱酸素剤組成物例Aに含浸した。次いで、パネルを、2回の後続脱イオン水リンスに、それぞれ2分間、両方とも間欠的に撹拌しながら周囲温度で含浸した。2回目のリンスの後、パネルを連続的脱イオン水リンスで10秒間すすいだ。次いで、パネルを撹拌せずに周囲温度で5分間、転化組成物例Bに含浸した。次に、パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間脱イオン水中に含浸し、続いて10秒間連続的脱イオン水リンスによってすすいだ。次いでパネルを間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間シーリング組成物例Dに含浸した。パネルを周囲条件で一晩空気乾燥した後、以下に記載されるように腐食試験を行った。
【0168】
例3
比較例2からのパネルを例Dのシール溶液を通して処理した後、pHが11.42になるまで二酸化炭素ガスを浴中にバブリングすることにより浴のpHを調整した(すなわち、上記で記載されるように例Eを形成するため)。
図1を参照のこと。
【0169】
次に、3インチ×5インチ×0.032インチの大きさの追加アルミニウム2024T3未処理基材(Priority Metals,Orange County,CA)をメチルエチルケトン及び使い捨て布で手動で拭き、化学洗浄の前に空気乾燥させた。パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で3.5分間、洗剤−脱酸素剤組成物例Aに含浸した。次いで、パネルを、2回の後続脱イオン水リンスに、それぞれ2分間、両方とも間欠的に撹拌しながら周囲温度で含浸した。2回目のリンスの後、パネルを連続的脱イオン水リンスで10秒間すすいだ。次いで、パネルを撹拌せずに周囲温度で5分間、転化組成物例Bに含浸した。次に、パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間脱イオン水中に含浸し、続いて10秒間連続的脱イオン水リンスによってすすいだ。次いでパネルを間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間シーリング組成物例Eに含浸した。パネルを周囲条件で一晩空気乾燥した後、以下に記載されるように腐食試験を行った。
【0170】
例4
パネルを例Eのシール溶液を通して処理した後、pHが10.54になるまで二酸化炭素ガスを浴中にバブリングすることにより浴のpHを調整した(すなわち、上記で記載されるように例Fを形成するため)。
図1を参照のこと。
【0171】
次に、3インチ×5インチ×0.032インチの大きさの追加アルミニウム2024T3未処理基材(Priority Metals,Orange County,CA)をメチルエチルケトン及び使い捨て布で手動で拭き、化学洗浄の前に空気乾燥させた。パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で3.5分間、洗剤−脱酸素剤組成物例Aに含浸した。次いで、パネルを、2回の後続脱イオン水リンスに、それぞれ2分間、両方とも間欠的に撹拌しながら周囲温度で含浸した。2回目のリンスの後、パネルを連続的脱イオン水リンスで10秒間すすいだ。次いで、パネルを撹拌せずに周囲温度で5分間、転化組成物例Bに含浸した。次に、パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間脱イオン水中に含浸し、続いて10秒間連続的脱イオン水リンスによってすすいだ。次いでパネルを間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間シーリング組成物例Fに含浸した。パネルを周囲条件で一晩空気乾燥した後、以下に記載されるように腐食試験を行った。
【0172】
例5
パネルを例Fのシール溶液を通して処理した後、pHが9.47になるまで二酸化炭素ガスを浴中にバブリングすることにより浴のpHを調整した(すなわち、上記で記載されるように例Gを形成するため)。
図1を参照のこと。
【0173】
次に、3インチ×5インチ×0.032インチの大きさの追加アルミニウム2024T3未処理基材(Priority Metals,Orange County,CA)をメチルエチルケトン及び使い捨て布で手動で拭き、化学洗浄の前に空気乾燥させた。パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で3.5分間、洗剤−脱酸素剤組成物例Aに含浸した。次いで、パネルを、2回の後続脱イオン水リンスに、それぞれ2分間、両方とも間欠的に撹拌しながら周囲温度で含浸した。2回目のリンスの後、パネルを連続的脱イオン水リンスで10秒間すすいだ。次いで、パネルを撹拌せずに周囲温度で5分間、転化組成物例Bに含浸した。次に、パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間脱イオン水中に含浸し、続いて10秒間連続的脱イオン水リンスによってすすいだ。次いでパネルを間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間シーリング組成物例Gに含浸した。パネルを周囲条件で一晩空気乾燥した後、以下に記載されるように腐食試験を行った。
【0174】
例6
パネルを例Gのシール溶液を通して処理した後、浴のpHを上記で記載されるように水酸化リチウム溶液を用いて調整した(すなわち、上記で記載されるように例Hを形成するため)。
図1を参照のこと。
【0175】
次に、3インチ×5インチ×0.032インチの大きさの追加アルミニウム2024T3未処理基材(Priority Metals,Orange County,CA)をメチルエチルケトン及び使い捨て布で手動で拭き、化学洗浄の前に空気乾燥させた。パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で3.5分間、洗剤−脱酸素剤組成物例Aに含浸した。次いで、パネルを、2回の後続脱イオン水リンスに、それぞれ2分間、両方とも間欠的に撹拌しながら周囲温度で含浸した。2回目のリンスの後、パネルを連続的脱イオン水リンスで10秒間すすいだ。次いで、パネルを撹拌せずに周囲温度で5分間、転化組成物例Bに含浸した。次に、パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間脱イオン水中に含浸リンスによって、続いて10秒間連続的脱イオン水リンスによってすすいだ。次いでパネルを間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間シーリング組成物例Hに含浸した。パネルを周囲条件で一晩空気乾燥した後、以下に記載されるように腐食試験を行った。
【0176】
例7
パネルを例Hのシール溶液を通して処理した後、浴のpHを上記で記載されるように水酸化リチウム溶液を用いて調整した(すなわち、上記で記載されるように例Iを形成するため)。
図1を参照のこと。
【0177】
次に、3インチ×5インチ×0.032インチの大きさの追加アルミニウム2024T3未処理基材(Priority Metals,Orange County,CA)をメチルエチルケトン及び使い捨て布で手動で拭き、化学洗浄の前に空気乾燥させた。パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で3.5分間、洗剤−脱酸素剤組成物例Aに含浸した。次いで、パネルを、2回の後続脱イオン水リンスに、それぞれ2分間、両方とも間欠的に撹拌しながら周囲温度で含浸した。2回目のリンスの後、パネルを連続的脱イオン水リンスで10秒間すすいだ。次いで、パネルを撹拌せずに周囲温度で5分間、転化組成物例Bに含浸した。次に、パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間脱イオン水中に含浸リンスによって、続いて10秒間連続的脱イオン水リンスによってすすいだ。次いでパネルを間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間シーリング組成物例Iに含浸した。パネルを周囲条件で一晩空気乾燥した後、以下に記載されるように腐食試験を行った。
【0178】
例8
パネルを例Iのシール溶液を通して処理した後、浴のpHを上記で記載されるように水酸化リチウム溶液を用いて調整した(すなわち、上記で記載されるように例Iを形成するため)。
図1を参照のこと。
【0179】
次に、3インチ×5インチ×0.032インチの大きさの追加アルミニウム2024T3未処理基材(Priority Metals,Orange County,CA)をメチルエチルケトン及び使い捨て布で手動で拭き、化学洗浄の前に空気乾燥させた。パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で3.5分間、洗剤−脱酸素剤組成物例Aに含浸した。次いで、パネルを、2回の後続脱イオン水リンスに、それぞれ2分間、両方とも間欠的に撹拌しながら周囲温度で含浸した。2回目のリンスの後、パネルを連続的脱イオン水リンスで10秒間すすいだ。次いで、パネルを撹拌せずに周囲温度で5分間、転化組成物例Bに含浸した。次に、パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間脱イオン水中に含浸し、続いて10秒間連続的脱イオン水リンスによってすすいだ。次いでパネルを間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間シーリング組成物例Jに含浸した。パネルを周囲条件で一晩空気乾燥した後、以下に記載されるように腐食試験を行った。
【0180】
比較例9
3インチ×5インチ×0.032インチの大きさのアルミニウム2024T3未処理基材(Priority Metals,Orange County,CAから得られる)をメチルエチルケトン及び使い捨て布で手動で拭き、化学洗浄の前に空気乾燥させた。パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で3.5分間、洗剤−脱酸素剤組成物例Aに含浸した。次いで、パネルを、2回の後続脱イオン水リンスに、それぞれ2分間、両方とも間欠的に撹拌しながら周囲温度で含浸した。2回目のリンスの後、パネルを連続的脱イオン水リンスで10秒間すすいだ。次いで、パネルを撹拌せずに周囲温度で5分間、転化組成物例Bに含浸した。次に、パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間脱イオン水中に含浸し、続いて10秒間連続的脱イオン水リンスによってすすいだ。次いでパネルを間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間シーリング組成物例Kに含浸した。パネルを周囲条件で一晩空気乾燥した後、以下に記載されるように腐食試験を行った。
【0181】
比較例10
3インチ×5インチ×0.032インチの大きさのアルミニウム2024T3未処理基材(Priority Metals,Orange County,CAから得られる)をメチルエチルケトン及び使い捨て布で手動で拭き、化学洗浄の前に空気乾燥させた。パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で3.5分間、洗剤−脱酸素剤組成物例Aに含浸した。次いで、パネルを、2回の後続脱イオン水リンスに、それぞれ2分間、両方とも間欠的に撹拌しながら周囲温度で含浸した。2回目のリンスの後、パネルを連続的脱イオン水リンスで10秒間すすいだ。次いで、パネルを撹拌せずに周囲温度で5分間、転化組成物例Bに含浸した。次に、パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間脱イオン水中に含浸し、続いて10秒間連続的脱イオン水リンスによってすすいだ。次いでパネルを間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間シーリング組成物例Lに含浸した。パネルを周囲条件で一晩空気乾燥した後、以下に記載されるように腐食試験を行った。
【0182】
例11
比較例10からのパネルを例Lのシール溶液を通して処理した後、pHが11.37になるまで二酸化炭素ガスを浴中にバブリングすることにより浴のpHを調整した(すなわち、上記で記載されるように例Mを形成するため)。
図2を参照のこと。
【0183】
次に、3インチ×5インチ×0.032インチの大きさの追加アルミニウム2024T3未処理基材(Priority Metals,Orange County,CA)をメチルエチルケトン及び使い捨て布で手動で拭き、化学洗浄の前に空気乾燥させた。パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で3.5分間、洗剤−脱酸素剤組成物例Aに含浸した。次いで、パネルを、2回の後続脱イオン水リンスに、それぞれ2分間、両方とも間欠的に撹拌しながら周囲温度で含浸した。2回目のリンスの後、パネルを連続的脱イオン水リンスで10秒間すすいだ。次いで、パネルを撹拌せずに周囲温度で5分間、転化組成物例Bに含浸した。次に、パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間脱イオン水中に含浸し、続いて10秒間連続的脱イオン水リンスによってすすいだ。次いでパネルを間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間シーリング組成物例Mに含浸した。パネルを周囲条件で一晩空気乾燥した後、以下に記載されるように腐食試験を行った。
【0184】
例12
パネルを例Mのシール溶液を通して処理した後、pHが9.50になるまで二酸化炭素ガスを浴中にバブリングすることにより浴のpHを調整した(すなわち、上記で記載されるように例Nを形成するため)。
図2を参照のこと。
【0185】
次に、3インチ×5インチ×0.032インチの大きさの追加アルミニウム2024T3未処理基材(Priority Metals,Orange County,CA)をメチルエチルケトン及び使い捨て布で手動で拭き、化学洗浄の前に空気乾燥させた。パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で3.5分間、洗剤−脱酸素剤組成物例Aに含浸した。次いで、パネルを、2回の後続脱イオン水リンスに、それぞれ2分間、両方とも間欠的に撹拌しながら周囲温度で含浸した。2回目のリンスの後、パネルを連続的脱イオン水リンスで10秒間すすいだ。次いで、パネルを撹拌せずに周囲温度で5分間、転化組成物例Bに含浸した。次に、パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間脱イオン水中に含浸し、続いて10秒間連続的脱イオン水リンスによってすすいだ。次いでパネルを間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間シーリング組成物例Nに含浸した。パネルを周囲条件で一晩空気乾燥した後、以下に記載されるように腐食試験を行った。
【0186】
例13
パネルを例Nのシール溶液を通して処理した後、浴のpHを上記で記載されるように水酸化リチウム溶液を用いて調整した(すなわち、上記で記載されるように例Oを形成するため)。
図2を参照のこと。
【0187】
次に、3インチ×5インチ×0.032インチの大きさの追加アルミニウム2024T3未処理基材(Priority Metals,Orange County,CA)をメチルエチルケトン及び使い捨て布で手動で拭き、化学洗浄の前に空気乾燥させた。パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で3.5分間、洗剤−脱酸素剤組成物例Aに含浸した。次いで、パネルを、2回の後続脱イオン水リンスに、それぞれ2分間、両方とも間欠的に撹拌しながら周囲温度で含浸した。2回目のリンスの後、パネルを連続的脱イオン水リンスで10秒間すすいだ。次いで、パネルを撹拌せずに周囲温度で5分間、転化組成物例Bに含浸した。次に、パネルを、間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間脱イオン水中に含浸リンスによって、続いて10秒間連続的脱イオン水リンスによってすすいだ。次いでパネルを間欠的に撹拌しながら周囲温度で2分間シーリング組成物例Oに含浸した。パネルを周囲条件で一晩空気乾燥した後、以下に記載されるように腐食試験を行った。
【0188】
腐食試験
例1〜8からのパネルを、ASTM B117に従って作動させた中性塩噴霧キャビネット内において7日間暴露した。7日間の暴露後にパネル上の肉眼で見えるピットの数を数えることによって腐食性能を評価した。テストの前に存在していた、端にある、又はスクラッチから生じたピットはカウントから除外された。腐食性能データを表6に報告する。
【0189】
例9〜13からの浴を、自動滴定法(Metrohm 799 GPT Titrino,Tiamo 2.3のソフトウェア)を用いて炭酸リチウム含有量について評価した。以下の式を使用して、%Li
2CO
3及び%CO
3を計算した:
%Li
2CO
3=[(EP3での体積−EP2での体積)×MW Li
2CO
3×HCl濃度×100]/(SW×1000)及び
%CO
3=[(EP3での体積−EP2での体積)×MW CO
3×HCl濃度×100]/(SW×1000)、ここで、EP2は第2のエンドポイントで、EP3は第3のエンドポイントである。HCl濃度(N)は0.1012であった。
【0190】
表6に報告されているように、これらの値を用いて例9〜13のシーリング組成物を含有する浴中の炭酸塩の量を計算した。
【表6】
【0191】
比較例1及び9は、炭酸リチウムから製造された組成物を含有する処理浴を示す。これらの例は炭酸リチウムから製造された組成物を含有するそのような処理浴のpHを示し、比較例9はまた処理浴中の炭酸リチウム及び炭酸塩の量を示した。比較例1の処理浴のpHは11.52であり、塩噴霧暴露後に処理パネル上に5個のピットがあった。比較例9の処理浴は11.14のpHを有し、0.154%の炭酸リチウム及び1248ppmの炭酸塩を含有していた。
【0192】
比較例2及び10は、水酸化リチウムから製造された組成物を含有する処理浴を示した。特に、例Dにおけるリチウムの量(比較例2を製造するために使用)は、例Cのリチウム(比較例1を製造するために使用)の量(リチウム0.081モル)と同じであった。比較例2の処理浴のpHは12.69であり、塩噴霧暴露後に処理されたパネル上に100を超えるピットがあった。比較例10の処理浴は12.17のpHを有し、48ppmの炭酸塩のみを含有した。理論に拘束されることを望まないが、比較例10の処理浴中に存在する炭酸塩は、CO
2のCO
3−への転化の結果であると仮定される。これらのデータは、十分な炭酸塩が存在しない場合、リチウムが処理浴で処理された金属基材に対して防食を提供しないことを示している。
【0193】
例3は、処理浴中にCO
2をバブリングすることによって、pHを比較例1に匹敵する範囲まで下げることができると同時に、処理パネル上のピットの数を6まで減少させることを示した。例11によって示されるように、CO
2を添加する前に、微量の炭酸リチウムのみを有する浴中でCO
2を使用して炭酸リチウムを形成することもできる。
【0194】
例4、5、及び12はまた、追加量のCO
2を処理浴中にバブリングすることでpHを低下させることを示したが、これらの例は、比較例1(11.52のpHを有し、処理パネル上に5個のピットを有していた)と比較して、及び例3(11.42のpHを有し、処理パネル上に6個のピットを有していた)と比較して、処理浴のpHが低下するにつれて、塩噴霧暴露後に処理パネル上の腐食ピットがますます増加する傾向を示す(すなわち、例4及び5で処理されたパネルはそれぞれpH10.54及び9.47において10及び18個のピットを有していた)。例12によって示されるように、処理浴中に1960ppmの炭酸塩が存在した。これらのデータは、炭酸リチウムを含有する浴中では、pHが腐食性能にとって重要であることを示している。
【0195】
例6、7、及び13は、例6で処理されたパネルが14ピットを有していたのに対し、例7で処理されたパネルは3ピットを有していたので、pHをそれぞれ10.47及び11.48に増加させるためのLiOHの添加が腐食性能を改善したことを示した。
【0196】
例8は、炭酸塩レベルが十分であってもpHを12.5に上げると腐食性能が損なわれることを示したが、ここで処理パネルは39個の腐食部位を有しており、炭酸リチウムを含まず、100個を超えるピットを有する比較例2と比較して改善はあり、炭酸リチウムを浴に添加しなかった。
【0197】
例は、耐食性に関してpH、リチウム濃度、及び炭酸塩濃度の相互作用を示している。
本発明はさらに、そのような組成物及び維持された処理浴で処理された基材に関する。そのような組成物及び維持された処理浴で処理された基材上に形成されたコーティングのコーティング特徴及び再現性は、この様式で形成又は維持されない組成物で処理された基材上に形成されたコーティングのコーティング特徴及び再現性よりも連続処理された基材においてより一貫している。従って、本発明に従って維持された組成物及び処理浴から形成された保護コーティングは再現性があり、適切な腐食性能及び基材表面への接着性を示す。