(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-130653(P2021-130653A)
(43)【公開日】2021年9月9日
(54)【発明の名称】ガンボージ樹脂由来のアセトン抽出物を含む医薬組成物及びそれを含む製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/38 20060101AFI20210813BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20210813BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20210813BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20210813BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20210813BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20210813BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20210813BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20210813BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20210813BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20210813BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20210813BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20210813BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20210813BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20210813BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20210813BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20210813BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20210813BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20210813BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20210813BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20210813BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20210813BHJP
A61K 47/30 20060101ALI20210813BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20210813BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20210813BHJP
A61K 31/7004 20060101ALI20210813BHJP
A61K 129/00 20060101ALN20210813BHJP
【FI】
A61K36/38
A61P35/00
A61P35/02
A61P29/00
A61P25/04
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/20
A61K9/48
A61K47/20
A61K47/44
A61K47/18
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/02
A61K47/06
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/30
A61K47/40
A61K45/00
A61K31/7004
A61K129:00
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2021-9300(P2021-9300)
(22)【出願日】2021年1月25日
(31)【優先権主張番号】109105282
(32)【優先日】2020年2月19日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】504376382
【氏名又は名称】台湾森本生物科技開發股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李森彬
(72)【発明者】
【氏名】李宜玲
(72)【発明者】
【氏名】李巧玲
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC01
4C076CC04
4C076CC27
4C076DD23
4C076DD25
4C076DD26
4C076DD27
4C076DD27B
4C076DD34B
4C076DD41
4C076DD42
4C076DD43
4C076DD46
4C076DD46E
4C076DD49E
4C076DD51B
4C076DD55E
4C076DD57E
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4C076EE10
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4C076EE23E
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4C088AB12
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4C088NA20
4C088ZA08
4C088ZB11
4C088ZB26
4C088ZB27
(57)【要約】
【課題】
乾式造粒プロセスに適する医薬組成物を提供する。
【解決手段】総重量に対して含有量が、5%〜30%の医薬有効成分と、20%〜75%の可溶化剤と、5%〜30%の崩壊剤と、5%〜30%の充填剤と、0.1%〜5%の流動剤と、0.1%〜5%の潤滑剤と、を含み、該医薬有効成分は、9:1重量比でアセトン抽出物と糖類化合物とを含み、且つ約1μm〜約30μmの平均粒径を有し、該アセトン抽出物は、ガンボージ樹脂の成分を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
総重量に基づいて含有量が、
5%〜30%の医薬有効成分と、
20%〜75%の可溶化剤と、
5%〜30%の崩壊剤と、
5%〜30%の充填剤と、
0.1%〜5%の流動剤と、
0.1%〜5%の潤滑剤と、を含み、
該医薬有効成分は、9:1重量比でアセトン抽出物と糖類化合物とを含み、且つ約1μm〜約30μmの平均粒径を有し、
該アセトン抽出物は、ガンボージ樹脂の成分を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】
前記可溶化剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、セテアリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、カルナバワックス、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−6(PEG−6)カプリル/カプリングリセリド、ラウロイルポリオキシグリセリド、カプリロカプロイルポリオキシグリセリド、リノレオイルポリオキシグリセリド、オレオイルポリオキシグリセリド、ステアロイルポリオキシグリセリド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、モノイソステアリン酸ソルビタン、ソルビタンモノラウラート、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノパルミタート、ソルビタンモノステアラート、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ソルビタントリラウラート、ソルビタントリオレアート、ソルビタントリステアラート及びそれらの組み合わせからなる群より選択されたことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記崩壊剤は、アルギン酸、アルギン酸カルシウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、セルロース、キトサン、アルファー化デンプン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、架橋ポリビニルピロリドン、グリシン、グアガム、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、ポラクリリンカリウム、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、部分アルファー化デンプン及びそれらの組み合わせからなる群より選択されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記充填剤は、アルギン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム二水和物、ケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ化微結晶性セルロース、酢酸セルロース、デキストリン、エリスリトール、エチルセルロース、フルクトース、フマル酸、イソマルト、カオリン、ラクチトール、炭酸マグネシウム、マルトデキストリン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、微結晶性セルロース、ポリデキストロース、ポリメチルアクリレート、シメチコン、塩化ナトリウム、コーンスターチ、砂糖球、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、アラビアゴム、フコース、キシリトール及びそれらの組み合わせからなる群より選択されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記流動剤は、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素及びそれらの組み合わせからなる群より選択されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン、グリセリルベヘナート、グリセリルパルミタート、ステアリン酸グリセリル、ドデシル硫酸マグネシウム、ミリスチン酸、パルミチン酸、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー338、ポロキサマー407、ポリエチレングリコール1000(PEG 1000)、ポリエチレングリコール1450(PEG 1450)、ポリエチレングリコール1540(PEG 1540)、ポリエチレングリコール2000(PEG 2000)、ポリエチレングリコール3000(PEG 3000)、ポリエチレングリコール3350(PEG 3350)、ポリエチレングリコール4000(PEG 4000)、ポリエチレングリコール4600(PEG 4600)、ポリエチレングリコール8000(PEG 8000)、安息香酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カリウム及びそれらの組み合わせからなる群より選択されたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記糖類化合物は、グルコース、ラクトース、スクロース、ブラウンシュガー、ソルビトール、マンニトール、デンプン及びそれらの組み合わせからなる群より選択されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記糖類化合物は、ブラウンシュガーであることを特徴とする請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
錠剤、顆粒、粉末、カプセル、ペレットまたは丸薬からなる群より選択された固形の剤型に製造されたものであることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の医薬組成物を含むことを特徴とする固形製剤。
【請求項11】
錠剤、顆粒、粉末、カプセル、ペレットまたは丸薬からなる群より選択された形態にあることを特徴とする請求項10に記載の固形製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガンボージ樹脂由来のアセトン抽出物を含有する医薬組成物に関する。特に、本発明の医薬組成物は、乾式造粒により固形の剤型に製造することができる。
【背景技術】
【0002】
ガンボージ樹脂は、フクギ科(旧オトギリソウ科)フクギ属(Garcinia sp. of the family Guttiferae)の植物が分泌するゴム樹脂である。古くから植物染料や顔料の原料として利用されてきた。インドやタイなど一部の地域では民間療法としても利用されている。
主に「ガンボージ」と呼ばれているガルシニア(藤黄)は、熱帯地方に育つ常緑樹の一種である。インドでは、"ガルシニアモレラデスブ(Garcinia morella Desv,)"が主に栽培されているが、タイでは、"G. harburyi Hook f."が主に栽培されている。開花期の前に、樹皮を地面から2mほど螺旋状に切り開き、滲み出る樹脂を採取する。一般にはこの樹脂を熱乾燥させて固化したものがガンボージ樹脂である。
【0003】
伝統中国医学(TCM)によると、ガンボージは、抗炎症、毒素の排出、止血、殺虫の効果があると見られる。1934年以来、ガンボージ樹脂の成分については多くの報告がある。
現在では、ガンボージ樹脂の抽出物から多くの化合物が単離できることが知られている。例えば、モレリン、モレリン酸、ガンボギン酸、モレリノール、イソモレリン、イソモレル酸、イソガンボグ酸、イソモレリノール、ネオガンボグ酸、デオキシモレリン、ジヒドロイソモレリン、α−グッチフェリン(α−guttiferin)、β―グッチフェリン(β−guttiferin)、ガンボゲン酸、デオキシガンボゲニン、ガンボゲル酸、エピガンボグ酸、エピイソガンボグ酸、イソガンボゲン酸、30−ヒドロキシガンボグ酸などが挙げられる。
ガンボージ樹脂のアセトン抽出物及びそれから得られる化合物は、腫瘍/癌細胞の増殖を抑制する活性を有し、且つ、鎮痛作用および抗炎症作用を有することが報告されている。例えば、引用文献1には、ガンボージ樹脂由来のアセトン抽出物、即ちTSB−14が開示されている。
【0004】
更に、引用文献1に開示されているように、前記アセトン抽出物TSB−14から9つの化合物がさらに精製されており、その中には、当時では新規化合物であったフォルモキサントンA及び8つの既知の化合物であるベツリン、ベツリン酸、モレリン酸、イソモレル酸、ガンボギン酸、イソガンボグ酸、イソモレリノール及びデオキシモレリンが含まれている。
アセトン抽出物であるTSB-14及び9種類の精製化合物は、肝臓がん細胞(HepG2)、肺がん細胞(A549)、乳がん細胞(MCF-7)、結腸がん細胞(HT-29)、白血病細胞(HL-60)、リンパ腫がん細胞(U937)などの腫瘍/がん細胞の増殖を抑制する効果があることが実証された。
【0005】
引用文献2は、当時、ガンボージ樹脂のアセトン抽出物(即ち、TSB-14)から得られた17の新規化合物及び5つの分画物を開示している。これらの17の新規化合物及び5つの分画物は、腫瘍/癌細胞の増殖を抑制する活性を有することが実証された。また、アセトン抽出物であるTSB−14及びそこから得られた5つの分画物には、鎮痛・抗炎症作用があることが実証された。
【0006】
造粒とは、小さな粒子を凝集させて、顆粒と呼ばれるより大きな多粒子の塊にするプロセスである。造粒プロセスは、他の様々な業界と同様に、製薬業界においても固形経口剤の製剤化のために一般的に利用されている。造粒には、健康や環境に悪影響を及ぼす可能性のある微粒子の粉塵を低減し、製剤中の異なる成分の分離を回避し、取り扱いや輸送が容易な顆粒を製造し、成分の流動性や圧縮性を向上させるなどの利点がある。
造粒プロセスは、湿式造粒と乾式造粒の2つのタイプに分けることができる。
【0007】
湿式造粒プロセスでは、ある種の溶媒または液体バインダーを使用して、小さな粒子を結合させて凝集体に形成する。湿式造粒は、低剪断混合、高剪断混合、押出球形化または流動層処理のいずれかを使用して湿式顆粒を製造することができ、この湿式造粒は、乾燥、篩過及び任意に粉砕されてから錠剤に圧縮される(打錠が望まれる場合)。
湿式造粒は、製薬業界で頻繁に使用されているが、いくつかの欠点がある。例えば、溶媒または液体バインダーは、製剤中の他の成分および/または錠剤などの最終製品の特性に悪影響を及ぼす可能性がある。更に、湿式造粒プロセスは、通常、造粒後に溶媒または液体バインダーを除去するための乾燥ステップを必要とする。
乾式造粒は、溶媒や液体バインダーを使用しないので、溶媒や液体バインダーの使用に起因する湿式造粒の欠点を克服するために採用することができる。乾式造粒プロセスにおいては、一般的に微粒子の形をした粉末成分を造粒前に混合し、圧縮して硬い顆粒を生成し、これを必要に応じて粉砕して篩過するので、所望のサイズ分布の粒子を生成することができる。乾式造粒は、スラッグ法(slugging)またはローラー圧縮のいずれかを使用して、ブリケット、フレークまたはリボンと呼ばれる圧縮物を生成する。これらはまた、所望の顆粒を得るために粉砕してもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7138428号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0305784号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本出願人は、引用文献1(本願と同出願人)に開示されているようなアセトン抽出物TSB−14を含む新規な医薬組成物の開発を試みており、特により乾式造粒プロセスに適する医薬組成物及びそれを含む製剤の開発を試みた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく、本発明は、
総重量に基づいて含有量が、
5%〜30%の医薬有効成分と、
20%〜75%の可溶化剤と、
5%〜30%の崩壊剤と、
5%〜30%の充填剤と、
0.1%〜5%の流動剤と、
0.1%〜5%の潤滑剤と、を含み、
該医薬有効成分は、9:1重量比でアセトン抽出物と糖類化合物とを含み、且つ約1μm〜約30μmの平均粒径を有し、
該アセトン抽出物は、ガンボージ樹脂の成分を含むものであって、ガンボージ樹脂を粉砕して粉末にした後、アセトンで該粉砕された粉末を抽出して得ることを特徴とする医薬組成物を提供する。
また、上記の医薬組成物により製造されて、上記の医薬組成物を含むことを特徴とする固形製剤を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の医薬組成物は、乾式造粒によって圧縮することができ、それによるスラグ(slug)は、所望のサイズの粒子を生成するために粉砕することができる。得られた粒子は、固形の剤型(例えば、錠剤、顆粒、粉末、カプセル、ペレットまたは丸薬)に製剤化することができ、そのような固形の剤型は、優れた薬物放出特性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
先行技術の刊行物が本明細書で言及されている場合、そのような言及は、その刊行物が台湾または他の国において本技術分野における一般的な知識の一部を形成していることを認めるものではないことを理解されたい。
【0013】
本明細書の目的のために、「含んでいる」という語は「含めるがこれに限定されない」ことを意味し、「含む」という語もそれに対応する意味を有することが明確に理解されよう。
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術に熟練した者によって一般的に理解される意味を有する。当技術に熟練した者は、本発明の実施において使用され得る、本明細書に記載されたものと類似または同等の多くの方法及び材料を認識するであろう。実際、本発明は、本明細書に記載された方法及び材料に限定されるものではない。
【0014】
本明細書及び特許請求の範囲の目的のために、別段の記載がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される総量、サイズ、寸法、比率、形状、剤形、パラメータ、パーセンテージ、量(quantities)、特性及びその他の数値を表すすべての数は、例え「約」という用語が値、量または範囲とともに明示的に現れなくても、すべての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。
従って、反対に示されない限り、以下の明細書及び特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、厳密ではなく、また厳密である必要はないが、公差、変換係数(conversion factor)、四捨五入、測定誤差などを反映して、概算値および/または所望の大きさまたは小ささであってもよく、また、現在開示されている主題によって得られようとする所望の特性に応じて、当業者に知られている他の要因を反映していてもよい。
例えば、値を参照する場合の「約」という用語は、そのような変動が開示された方法を実行するため、または開示された組成物を使用するために適切であるとして、±100%、±50%、±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%または±0.1%の指定された量からの変動を包含することを意味することができる。
【0015】
本明細書で使用されるように、「医薬有効成分」、「活性成分」、または「生物活性化合物」という用語は互換的に使用され、薬理学的に活性であり、それ故に治療的価値を有する任意の物質もしくは材料、または物質と材料の組み合わせを含むものと理解される。
特許文献1の実施例1において、本願出願人は、ガンボージ樹脂を粉末に粉砕して、次いでアセトンで該粉砕された粉末を抽出して得たガンボージ樹脂由来のアセトン抽出物、即ちTSB−14を開示している。本願出願人は、更に研究を重ねた結果、予期しないことに、アセトン抽出物であるTSB-14を含む医薬組成物を乾式造粒により圧縮し、得られたスラグを粉砕して所望の大きさの粒子を製造することができることを見出した。得られた粒子は錠剤に製剤化することができ、優れた薬物放出特性を示す。
従って、本発明は、総重量に基づいて含有量が、5%〜30%の医薬有効成分と、20%〜75%の可溶化剤と、5%〜30%の崩壊剤と、5%〜30%の充填剤と、0.1%〜5%の流動剤と、0.1%〜5%の潤滑剤と、を含む医薬組成物を提供する。
該医薬有効成分は、9:1重量比でアセトン抽出物と糖類化合物とを含み、且つ約1μm〜約30μmの平均粒径を有する。
該アセトン抽出物は、ガンボージ樹脂の成分を含むものであって、ガンボージ樹脂を粉砕して粉末にした後、アセトンで該粉砕された粉末を抽出して得る。
例示的な実施形態において、医薬有効成分は、約10μmの平均粒子径を有する。
【0016】
本発明によれば、前記糖類化合物は、グルコース、ラクトース(lactose)、スクロース、ブラウンシュガー(brown sugar)、ソルビトール、マンニトール、デンプン(starch)及びそれらの組み合わせからなる群より選択された。
例示的な実施形態において、前記糖類化合物は、ブラウンシュガーである。
本発明によれば、前記可溶化剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、セテアリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(dioctyl sodium sulfosuccinate)、カルナバワックス(carnauba wax)、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ステアリン酸ポリエチレングリコール(polyethylene glycol stearate)、ポリエチレングリコール−6(PEG−6)カプリル/カプリングリセリド、ラウロイルポリオキシグリセリド(lauroyl polyoxylglycerides)、カプリロカプロイルポリオキシグリセリド(caprylocaproyl polyoxylglycerides)、リノレオイルポリオキシグリセリド(linoleoyl polyoxylglycerides)、オレオイルポリオキシグリセリド(oleoyl polyoxylglycerides)、ステアロイルポリオキシグリセリド(stearoyl polyoxylglycerides)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート(Tween(登録商標、以下同)20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート(Tween 40)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート(Tween 60)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(Tween 80)、モノイソステアリン酸ソルビタン(sorbitan monoisostearate)、ソルビタンモノラウラート、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノパルミタート、ソルビタンモノステアラート、セスキステアリン酸ソルビタン(sorbitan sesquistearate)、セスキオレイン酸ソルビタン(sorbitan sesquioleate)、セスキイソステアリン酸ソルビタン(sorbitan sesquiisostearate)、ソルビタントリラウラート(sorbitan trilaurate)、ソルビタントリオレアート、ソルビタントリステアラート及びそれらの組み合わせからなる群より選択された。
例示的な実施形態において、前記可溶化剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである。
【0017】
前記崩壊剤は、アルギン酸、アルギン酸カルシウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、セルロース、キトサン、アルファー化デンプン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、架橋ポリビニルピロリドン、グリシン、グアガム、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、ポラクリリンカリウム、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム(sodium carboxymethyl starch)、部分アルファー化デンプン及びそれらの組み合わせからなる群より選択された。
例示的な実施形態において、前記崩壊剤は、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロースである。
【0018】
前記充填剤は、アルギン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム二水和物、ケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ化微結晶性セルロース、酢酸セルロース、デキストリン、エリスリトール、エチルセルロース、フルクトース、フマル酸、イソマルト(isomalt)、カオリン、ラクチトール、炭酸マグネシウム、マルトデキストリン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、微結晶性セルロース、ポリデキストロース、ポリメチルアクリレート、シメチコン、塩化ナトリウム、コーンスターチ、砂糖球(sugar spheres)、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、アラビアゴム、フコース、キシリトール及びそれらの組み合わせからなる群より選択された。
例示的な実施形態において、前記充填剤は、微結晶性セルロースである。
【0019】
前記流動剤は、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素(例えば、疎水性コロイド状二酸化ケイ素といったコロイド状二酸化ケイ素)及びそれらの組み合わせからなる群より選択された。
例示的な実施形態において、前記流動剤は、二酸化ケイ素である。
【0020】
前記潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン、グリセリルベヘナート(glyceryl behenate)、グリセリルパルミタート(glyceryl palmitate)、ステアリン酸グリセリル、ドデシル硫酸マグネシウム(magnesium dodecyl sulfate)、ミリスチン酸、パルミチン酸、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー338、ポロキサマー407、ポリエチレングリコール1000(PEG 1000)、ポリエチレングリコール1450(PEG 1450)、ポリエチレングリコール1540(PEG 1540)、ポリエチレングリコール2000(PEG 2000)、ポリエチレングリコール3000(PEG 3000)、ポリエチレングリコール3350(PEG 3350)、ポリエチレングリコール4000(PEG 4000)、ポリエチレングリコール4600(PEG 4600)、ポリエチレングリコール8000(PEG 8000)、安息香酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カリウム及びそれらの組み合わせからなる群より選択された。
例示的な実施形態において、前記潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
例示的な実施形態において、医薬組成物は、組成物の総重量に基づいて、医薬有効成分を5%、ラウリル硫酸ナトリウムを75%、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロースを9.9%、微結晶性セルロースを9.9%、二酸化ケイ素を0.1%、ステアリン酸マグネシウムを0.1%、それぞれ含有するものである。
【0021】
他の例示的な実施形態において、医薬組成物は、組成物の総重量に基づいて、医薬有効成分を5%、ラウリル硫酸ナトリウムを25%、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロースを30%、微結晶性セルロースを30%、二酸化ケイ素を5%、ステアリン酸マグネシウムを5%、それぞれ含有するものである。
他の例示的な実施形態において、医薬組成物は、組成物の総重量に基づいて、医薬有効成分を23.8%、ラウリル硫酸ナトリウムを47.6%、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロースを15.7%、微結晶性セルロースを11.9%、二酸化ケイ素を0.5%、ステアリン酸マグネシウムを0.5%、それぞれ含有するのものである。
【0022】
本発明によれば、前記医薬組成物は、当業者に周知の技術を用いて、経口投与に適した剤型にすることができる。
剤型の例として、錠剤(例えば、コーティングされた錠剤)、顆粒、粉末、カプセル(例えば、コーティングされたカプセル及びペレット充填されたカプセル)、ペレット及び丸薬が挙げられるが、これらに限定されない。
例示的な実施形態において、前記医薬組成物は、錠剤に製造される。
本発明によれば、医薬組成物は、当技術分野の当業者に周知の直接圧縮または乾式造粒を用いて錠剤に製造することができる。
特定の実施形態において、医薬組成物は、乾式造粒を用いて錠剤に製造される。
製薬業界で一般的に使用されている乾式造粒は、スラッグ法及びローラー圧縮を含む乾式造粒技術がある。医薬組成物は、平面パンチ(flat−faced punches)またはローラー圧縮によってスラグに変換することができる。
該スラグは、その後、打錠用の顆粒に選別(篩過)されるか、または粉砕される。
例示的な実施形態において、医薬組成物は、スラッグ法によって錠剤に製造される。
【0023】
上記の記載により、本発明は、上記の医薬組成物により製造されて、上記の医薬組成物を含む固形製剤を提供する。該固形製剤は、上記の剤型のいずれかでよく、上記の技術を使用して製造することができる。
【0024】
以下、本発明の実施例について説明する。これらの実施例は、例示的かつ説明的なものであり、且つ、本発明を限定するものと解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0025】
実施例
基本的な実験材料:
1.アセトン抽出生成物TSB−14を含む本発明の錠剤の調製に使用される成分が表1に記載されている。
【表1】
2.実施例で使用したアセトン抽出物TSB−14は、引用文献1の実施例1に従って製造した。
アセトン抽出物TSB−14を含む錠剤の製造
表2に示されるレシピを用いて、アセトン抽出物TSB-14を含有する7錠の錠剤を製造し、以下、該7錠の錠剤の製造方法を説明する。
全ての錠剤の製造方法は同じであるが、表2に示すように、錠剤1及び錠剤3〜7のみ、本発明において要求される組成比を有する本発明の医薬組成物から製造された。
【表2】
括弧内に示す各成分の割合は、錠剤の総重量に対する重量%である
アセトン抽出物TSB-14をブラウンシュガーと9:1(wt/wt)の割合で混合し、次いで得られた混合物を粉砕して、約10μmの平均粒径を有する製剤TSB-9-W1(即ち、医薬品有効成分(API))を得た。
API、SLS、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロース102、二酸化ケイ素をそれぞれ20メッシュの篩(mesh NO.20、台湾Kuang Yang社)を用いて篩過し、ステアリン酸マグネシウムを40メッシュの篩(mesh NO.40、台湾Kuang Yang社)を用いて篩過した。
その後、API、SLS、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロース102及び二酸化ケイ素を粉砕機に添加し、次いで5分間ブレンドした。
続いてステアリン酸マグネシウムを粉砕機に添加し、5分間ブレンドした。得られた混合物の乾式造粒は、乾式造粒機を用いて行った。
上記のようにして得られたスラグは、0.4〜0.55g/cm
3の密度を有する。次いで、このスラグを粉砕して粒子にした。
得られた粒子をまず20メッシュの篩に通し、次に40メッシュの篩に通した。
20メッシュの篩を通過したが、40メッシュの篩に残された粒子を回収した。
回収された粒子は、錠剤機(台湾Chuang Pao Special Precision Industry CO. , LTD.社、型番:CB−75A)を用いて錠剤に圧縮した。
得られた錠剤のサイズは、0.6cm(幅)×1.4cm(長さ)×0.57cm(厚さ)であり、該錠剤の重量は420mgである。
アセトン抽出物TSB-14を含有する錠剤の溶解試験
上記のようにして得られた錠剤1〜7からのAPIの放出率を評価するために、以下の分析を実施した。
【0026】
方法:
錠剤1〜7(各錠剤についてn=6)からのAPIのインビトロの放出率は、USP溶解装置IIマシン(中国Tianda Tianfa Technology Co.,Ltd社、型番:RC806D)を使用して評価した。
それぞれの錠剤を37±0.5℃の純水900mLに入れ、75rpmのパドル速度(paddle speed)で80分間撹拌した。
それぞれの溶解溶液を収集し、続いて間隙率が0.45μmのフィルターを使用して濾過した。
次に、上記のように得られた試験溶液を、UV−VIS分光光度計(台湾Shishin Technology Co.,Ltd、SP−8001)を使用して、波長360nm(A
360)における吸光度を測定した。
ブランクコントロールとして900mLの純水を使用した。
100mgの製剤TSB−9−W1を純水900mLに溶解し、ポジティブコントロールとして使用した。
ブランクコントロール及びポジティブコントロールもA
360での測定を行った。
各錠剤からのAPI医薬有効成分の放出率(%)は、以下の式(I)を用いて算出した。
放出率 (%)=[(A−C)/(B−C)]×100 式(I)
A=被験溶液のA
360の値
B=ポジティブコントロールのA
360の値
C=ブランクコントロールのA
360の値
結果:
下記の表3に示すように、錠剤1及び3〜7(本発明の医薬組成物から製造された錠剤)のそれぞれの医薬有効成分の放出率は、錠剤2(本発明の医薬組成物とは異なる医薬組成物から製造された錠剤)の医薬有効成分の放出率よりも有意に高く、即ち、本発明の医薬組成物がアセトン抽出物TSB-14の放出を効果的に高めることができることを示している。
【表3】
実験結果からみると、本発明の医薬組成物は、乾式造粒によって圧縮することができ、上記のように得られたスラグは、所望のサイズの粒子を生成するために粉砕することができることが明らかになった。
得られた粒子は、固形の剤型(例えば、錠剤、顆粒、粉末、カプセル、ペレットまたは丸薬)に製剤化することができ、そのような固形の剤型は、優れた薬物放出特性を示す。
本明細書で引用されたすべての特許及び参考文献は、その全体が参考文献として本明細書に組み込まれる。矛盾がある場合は、定義を含み本明細書における説明が優先される。
以上、本発明の例示的な実施形態と考えられるものを記載したが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、最も広い解釈の精神及び範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾及び均等な構成を包含するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の医薬組成物は、特に乾式造粒に好適である。